説明

画像形成装置、画像形成方法、プログラム及び記録媒体

【課題】トナーセーブモードで印刷を行う場合に、特定の印刷画像についてはトナーセーブモードを解除又は緩和できるようにする。
【解決手段】画像形成モードとしてトナーセーブモードを有する画像形成装置であって、入力されたマッチングデータをマッチンググループ141aとしてデータ部140に登録する手段と、前記マッチンググループ141aのトナーセーブ設定条件を設定する手段110dと、印刷データ中における登録された前記マッチンググループ141aと一致する印刷データを検出する手段と、を備え、トナーセーブモードで画像形成を行う場合に、前記マッチンググループ141aに設定されたトナーセーブ設定条件にしたがって、トナーセーブを解除して又は設定されたトナーセーブ量で画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、画像形成方法、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、アプリケーションソフトを用いることで文字やグラフィックス、イメージなどを取り込んだカラーのドキュメントを作成することができる。
例えばカラーのドキュメントを印刷する場合、一般にトナーが用いられているが、経費節減の面からこれらのドキュメントの印刷に使用するトナー、とくにカラートナー量を削減することが求められている。文字やグラフィックス、イメージなどを取り込んだドキュメントのプリント画像を得る場合、同じプリント画像でも、トナー使用量を抑えてもよい部分と、画像をはっきりと表現したい部分とがあるため、前者の画像についてはトナー量を抑えた印刷を行うことで経費の節減ができる。
【0003】
実際、画像をはっきりと表現したいドキュメントの文字やグラフィックス、イメージなどの種類毎にトナーセーブを行なうか、トナーセーブをキャンセルするかを決定してトナーセーブを行うカラープリンタ装置(以下カラープリンタという)が既に知られている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたカラープリンタは、ドキュメントのオブジェクト(文字やグラフィックス、イメージなど)の種類に応じてオブジェクトごとに色処理用のプロファイルを予め設定し、このプロファイルで画像データを処理してカラープリントを行なう。即ち、トナーセーブ用のプロファイルを用いて画像データを処理してトナーの使用量を削減するものである。
【0005】
しかし、この従来のカラープリンタでは、以下のような問題がある。
即ち、例えば、印刷時の余白(空白)に広告を掲載する場合を想定する。この場合広告印刷に対してトナーセーブを行うと、印刷された広告が薄くなるためその印象が薄れ、したがって広告効果が低下する。そこで、これを防止するため、広告部分のみトナーセーブをキャンセルしたいという要望がある。しかし、従来のカラープリンタはオブジェクトごとに色処理用のプロファイルを予め設定しておく構造であるため、この要求に応えることができない。
【0006】
また、基幹系の印刷などにおいて、予め印刷フォーマットを例えばHDD(Hard Disk Drive)に登録しておき、印刷時にフォーマットと印刷データを重ね合わせて出力するイメージオーバーレイ印刷を行う場合、全体に一律にトナーセーブを適用すると、重要な金額が見難くなる。そのためフォーマット部分などはトナーセーブを行い、金額や一定の文字列を含む箇所についてトナーセーブをキャンセルしたいとの要望もある。この要望に対しても、前記従来のカラープリンタでは、既に述べたように、印刷部分の一部のみでトナーセーブのキャンセルを行うのは不可能であるから応えることはできない。
つまり、従来のカラープリンタでは、特定の画像のみにトナーセーブを適用しないという処理は不可能であり、ユーザの前記要望に応えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来のカラープリンタにおける前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、トナーセーブモードで印刷を行う場合に、特定の印刷画像についてはトナーセーブモードを解除(キャンセル)又は緩和できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像形成モードとしてトナーセーブモードを有する画像形成装置であって、入力されたマッチングデータをマッチンググループとしてデータ部に登録する手段と、前記マッチンググループのトナーセーブ設定条件を設定する手段と、印刷データ中における登録された前記マッチンググループと一致する印刷データを検出する手段と、を備え、トナーセーブモードで画像形成を行う場合に、前記登録されたマッチンググループと一致する印刷データについては、前記マッチンググループに設定されたトナーセーブ設定条件にしたがって、トナーセーブを解除して又は設定されたトナーセーブ量で画像形成を行う画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナーセーブモードで印刷を行う場合に、特定の印刷画像についてはトナーセーブモードを解除又は緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置におけるトナーセーブ処理手段を示すブロック図である。
【図3】マッチンググループリストを示す図である。
【図4】パネル装置から設定するトナーセーブ設定条件について具体的に説明する図である。
【図5】基本的なトナーセーブキャンセル時の描画処理の手順を示すフロー図である。
【図6】図4に示すトナーセーブ設定条件でページ全体を設定したときの、トナーセーブキャンセル時の描画処理の手順を示すフロー図である。
【図7】トナーセーブ設定条件で有効範囲が設定されているときのトナーセーブをキャンセルするための処理手順を示すフロー図である。
【図8】マッチンググループ保存のための手順を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、予めトナーセーブを適用したくない印刷データ(描画コマンドグループ)をマッチンググループとして登録しておき、画像形成時に、登録した描画コマンドグループが印刷データ中に存在する場合には、一致した印刷データ(印刷コマンドの描画コマンドグループ)についてのみトナーセーブをキャンセルするものである。この点について以下図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、画像形成装置100の制御を行うコントローラ1と、用紙に画像を印刷するためのエンジン3と、ユーザが入力を行い、かつ後述する設定操作などを行い又は画像形成装置100の状態を表示するパネル装置4とで構成されている。
【0013】
コントローラ1は、プログラムの命令を実行するためのCPU(Central Processor Unit)11と、コントローラ1上で動作するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)12と、プログラムで作成するフレーム(ページ)メモリや、プログラムが動作するために必要なワークメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)13と、RAM13へのアクセスを制御するメモリアビータ13aと、画像形成装置100の印刷条件の設定などを保存しておく不揮発性メモリであるNVRAM(Non Volatile Random Access Memory)14と、ネットワーク上に接続されたホストPC(Personal Computer)2とデータのやり取りを行うためのネットワークI/F(Interface:インターフェース)15と、エンジン3との間で印刷指示等を行うエンジンI/F16と、パネル装置4との入出力を行うためのパネルI/F17と、描画処理の一部をCPU11よりも高速で処理するためのハードウェアである、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成されたハードウェアアクセラレータ18から構成されている。
【0014】
図2は、本画像形成装置100におけるトナーセーブ処理手段を示すブロック図である。
このトナーセーブ処理手段は、ホストPC2と、ホストPC2から送信される印刷データ(プリンタコマンド)をネットワークI/Fを介して受信する印刷制御装置110と、NVRAM14で構成されたデータ部140から成っている。
ホストPC2において、印刷データ24が入力されると、プリンタドライバ22はこの印刷データ24をPDL(Page Description Language)で記述されたプリンタコマンドに変換し、変換された印刷データ(プリンタコマンド)は印刷制御装置110に送信される。
【0015】
ここで、印刷データ24は文字やグラフィックス、イメージなどを含むカラーのドキュメントなどである。マッチングデータ26は文字やグラフィックス、イメージなどで構成されたデータであり、トナーセーブをキャンセルしたいマッチンググループを設定する時に、ユーザや管理者などがパネル装置4から入力又は指定し、指定したマッチンググループはプリンタドライバ22から印刷制御装置110に送信される。
【0016】
印刷制御装置110は、プリンタドライバ22から送信されるPDLで記述された印刷データ(プリンタコマンド)を受信するデータ受信部110aと、マッチングエンジン110bと、描画処理手段110cと、マッチンググループ設定手段110dとから成っており、これらの手段等は、いずれもプログラムによりCPU11の機能実現手段として構成されたものである。
【0017】
ここで、データ受信部110aは、プリンタドライバ22から送信されたプリンタコマンドを受信する機能を有する。
マッチングエンジン110bは、後述するデータ部140のマッチンググループリスト141に予め登録してあるマッチンググループが、印刷データ内に存在しているか否かを判断する手段である。
描画処理手段110cは、PDLで記述された印刷データ(プリンタコマンド)を印刷データ(ビットマップデータ)に変換する機能を有すると共に、トナー量の調整も行なう。なお、トナー量の調整方法としてはγ補正が挙げられる。
マッチンググループ設定手段110dは、ホストPC2のプリンタドライバ22から送信されるマッチングデータ26を用いて、トナーセーブをキャンセルしたいマッチンググループの設定を行う。
【0018】
データ部140は、マッチンググループリスト141と、トナーセーブ設定条件142と、マッチング結果143とを保存する。パネル装置4は、ユーザやプリンタ管理者が保存されたマッチンググループに対してトナーセーブ設定条件を設定する設定手段としても用いる。
マッチング結果143は、保存した検出結果に応じてトナーセーブキャンセルを行うのに利用する。
【0019】
図3は、マッチンググループリストを示す図である。
マッチンググループリスト141は複数のマッチンググループ141aを保持している。それぞれのマッチンググループ141aはPDLで記述された描画コマンドとバイナリ(つまり白黒)画像データ(描画コマンド)を組み合わせて保持している。例えば、マッチンググループ1は円を描く描画コマンドと「秘」という文字を書く描画コマンドの組み合わせでできている。
【0020】
図4は、パネル装置4から設定するトナーセーブ設定条件について具体的に説明する図である。
即ち、トナーセーブ設定条件142はマッチンググループ141a毎にこれを保持する。その設定条件の内容は、例えば「マッチング有無」、「トナー量」、「有効単位」、「ジョブモード」、「優先度」、「有効範囲」に関するもので、その具体的内容は以下のとおりである。
【0021】
「マッチング有無」条件は、当該マッチンググループ141aをマッチング対象にするか否かを定義する。有効と定義した場合はマッチングを行い、無効と定義した場合は、マッチングを行わない。ここでは有効となっている。
「トナー量」条件は、当該マッチンググループ141aの印刷に使用するトナー量を定義する。例えば、トナー量100%はトナーセーブを行なわないときのトナー量と等しく、0%はトナー無しのことである。ここでは、50%となっている。
【0022】
「有効単位」条件は、当該マッチンググループ141aにおけるトナーセーブのキャンセルの有効範囲として「ページ単位」、「グループ単位」を設定する。「ページ単位」を設定したときは、プリンタコマンド中に登録されたマッチンググループ141aと一致する印刷データ(描画コマンドグループ)があった場合、トナーセーブをキャンセルする単位をそのページとする。
また、グループ単位を設定したときは、マッチンググループ141aとマッチした描画コマンドグループのみにトナーセーブを実施する。ここではページ単位でトナーセーブを実施する。
【0023】
「ジョブモード」条件は、ジョブ全体でマッチングを実施するかどうかを設定するモードである。ジョブモード有効と無効設定があり、有効設定の場合はジョブ全体でマッチングを行い、無効設定の場合はページ単位でマッチングを行なう。ここでは「有効」が設定されている。
「優先度」条件は、複数のマッチンググループ141aと印刷データ(描画コマンドグループ)が一致した場合に、どのマッチンググループ141aが保持したトナーセーブキャンセル条件、即ちページやジョブ全体のトナーセーブ量を決めるか、そのマッチンググループ141a間の優先度を例えば優先度1から昇順に設定する。ここで、印刷データ(描画コマンドグループ)の有効単位がページ単位で優先度1と優先度5のマッチンググループ141aと一致した場合、優先度1に設定したトナーセーブ量をそのページに施す。ここでは優先度5が設定されている。
【0024】
「有効範囲」条件は、マッチングを行なう範囲を規定する。例えば、有効範囲をX(10,100)、Y(10,200)と設定した場合は、X座標10ピクセルから100ピクセルの範囲、Y座標10ピクセルから200ピクセルの範囲のみマッチング処理を行う。ここでは、マッチングエンジン110bが、マッチンググループリスト141に予め登録してあるマッチンググループ141aが、印刷データ内に存在しているか否かの判断を行う。
有効範囲を設定した場合は、設定した範囲以外にマッチンググループ141aと一致した印刷データ(描画コマンドグループ)が存在しても無視する。
【0025】
図5は、基本的なトナーセーブキャンセル時の描画処理(画像形成)の手順を示すフロー図である。
プリンタドライバ22から1ページ分の描画コマンドやバイナリ画像データを含んだ印刷データ(プリンタコマンド)をデータ受信部110aが受信(又は取得)する(S101)。次に、マッチングエンジン110bは、NVRAM14のデータ部140を参照して、ステップS101で受信した印刷データ(プリンタコマンド)中に、データ部140のマッチンググループリスト141に予め登録しておいたマッチンググループ141aが含まれるか否か判断する(S102)。このとき、マッチンググループ141aの文字列の中に正規表現が含まれていた場合には、正規表現のマッチングを行なってもよい。
【0026】
ステップS102において、マッチングエンジン110bが印刷データ中にマッチンググループ141aと一致する描画コマンドグループが存在すると判断したときは(S102、YES)、マッチンググループ141aと一致した描画コマンドグループのみトナーセーブをキャンセルする(S103)。
なお、トナーセーブ量を決める手段を付属させた場合は、ステップS103でトナーセーブをキャンセルする代わりに、前記データ部140で保存されたトナーセーブ設定条件によるトナーセーブ量を設定してもよい。この場合、描画処理手段110cは、設定したトナーセーブ量に応じて描画処理を行なう。描画処理時のトナーセーブ量の変更方法は例えばγ補正による。
【0027】
ステップS102において、マッチングエンジン110bが印刷データ(プリンタコマンド)中にマッチンググループ141aと一致する描画コマンドグループが存在しないと判断したときは(S102、NO)、トナーセーブキャンセル処理を行わず、描画処理手段110cが描画処理を行う(S104)。
ここで、次ページが存在するときは(S105、YES)、ステップS102に戻り、次ページのプリンタコマンドに対してそれ以降の処理を実行する。最終ページであるとき、即ち次ページが存在しないときは(S105、NO)、処理を終了する。
【0028】
図6は、図4に示すトナーセーブ設定条件でページ全体を設定したときの、トナーセーブキャンセル時の描画処理の手順を示すフロー図である。
プリンタドライバ22から1ページ分の印刷データ(プリンタコマンド)をデータ受信部110aが受信する(S201)。次に、マッチングエンジン110bは、NVRAM14のデータ部140を参照して、ステップS201で受信した印刷データ中の描画コマンドグループに、予め登録しておいたマッチンググループ141aが含まれているか否か判断する(S202)。
【0029】
ステップS202において、マッチングエンジン110bが、印刷データ(プリンタコマンド)中にマッチンググループ141aと一致する描画コマンドグループが存在すると判断したときは(S202、YES)、さらに、一致したマッチンググループ141aが保持するトナーセーブ設定条件の有効単位をチェックし(S203)、有効単位がグループ単位であるときは(S203、NO)、描画処理手段110cはマッチンググループ141aとマッチした描画コマンドグループのみのトナーセーブをキャンセルまたはトナー量を設定し(S204)、描画処理を行う(S206)。
【0030】
ステップS203において、有効単位がページ単位だったときは(S203、YES)、描画処理手段110cはページ全体のプリンタコマンドのトナーセーブをキャンセルまたはトナー量を設定し(S205)、次に描画処理を行う(S206)。
ステップS206で当該ページの描画処理を終了し、次ページが存在するときは(S207、YES)、ステップS202に戻り、次ページのプリンタコマンドに対してそれ以降の処理を実行する。最終ページであるとき、即ち次ページが存在しないときは(S207、NO)、処理を終了する。
【0031】
また、印刷データ中の描画コマンドグループが複数のマッチンググループ141aと一致し、それぞれのマッチンググループ141aが保持するトナーセーブ量が異なる場合は、マッチングエンジン110bは、優先度が高いマッチンググループ141aのトナーセーブ量を設定する。
【0032】
図7は、トナーセーブ設定条件で有効範囲が設定されているときのトナーセーブをキャンセルするための処理手順を示すフロー図である。
プリンタドライバ22から1ページ分の印刷データ(プリンタコマンド)をデータ受信部110aが受信する(S301)。次に、マッチングエンジン110bは、NVRAM14のデータ部140を参照して、ステップS301で受信した印刷データ(プリンタコマンド)中に、予め登録しておいたマッチンググループ141aに一致する描画コマンドが含まれるか否か判断する(S302)。
【0033】
一致した印刷データの描画コマンドグループがあれば(S302、YES)、次に、マッチングエンジン110bはマッチンググループ141aと一致した印刷データの描画コマンドグループの描画座標が有効範囲内である否か判断し(S303)、範囲内であれば(S303、YES)、トナーセーブキャンセル処理を行う(S304)。
ステップS302で、マッチングエンジン110bが、マッチした印刷データがないと判断すれば(S302、NO)、トナーセーブキャンセル処理を行わず、描画処理手段110cで描画処理を行う(S305)。
【0034】
ステップS303でマッチンググループ141aとマッチした印刷データの描画コマンドグループの描画座標が有効範囲内でなければ(S303、NO)、この場合もトナーセーブキャンセル処理を行わず描画処理手段110cは描画処理を行う(S305)。
ここで、次ページが存在する場合は(S306、YES)、ステップS302に戻り、次ページのプリンタコマンドに対して以降の処理を実行する。最終ページであるとき、即ち、次ページがなければ(S306、NO)、処理を終了する。
【0035】
図8は、マッチンググループ保存のための手順を説明するフロー図である。
以下、マッチンググループ保存時の手順について図8を参照して説明する。
ユーザやプリンタ管理者は、マッチンググループ送信モードにおいて、プリンタドライバ22へマッチングデータ26を送信する。(S401)。次に、プリンタドライバ22はマッチングデータ26をプリンタコマンドに変換し(S402)、印刷制御装置110に対して送信する。このとき、プリンタコマンドにマッチンググループ送信モード中であることを示すデータを付加しておく。
【0036】
データ受信部110aは、プリンタドライバ22から、プリンタコマンドを受信する(S403)。データ受信部110aは受信したプリンタコマンド中にマッチンググループ送信モード中であることを示すデータが設定されていれば、マッチンググループ設定手段110dに対してデータを送信する。前記データを受信したマッチンググループ設定手段110dは、ユーザやプリンタ管理者によりパネル装置4からマッチンググループ141a毎に入力された前記トナーセーブ設定条件を受け付け(S404)、次に、マッチンググループ141aと、前記登録したトナーセーブ設定条件とを紐付けしてデータ部140にトナーセーブ設定条件142として保存し(S405)、処理を終了する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本画像形成装置のトナーセーブ処理を実行する構成のうちハードウェア構成を除く各手段は、本画像形成装置のコンピュータにプログラムを読み取らせることにより実現される。
また、そのプログラムは公知又は周知のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供される。
【0038】
本発明の実施形態は以上のとおりであるが、これによれば、次の作用効果が得られる。即ち、
(1)登録したマッチンググループ141aが印刷データの描画コマンドグループで検出された場合に、ページ全体のトナーセーブをキャンセルすることや、登録したマッチンググループ141aでトナーセーブモードを実施するか否かを自動で選択することができる。
(2)マッチンググループ141aの検出結果を保存し、保存した検出結果に応じてトナーセーブキャンセルを行うことができる。そのため、ジョブ全体にトナーセーブ設定を反映させることができる。
(3)マッチした印刷データのトナーセーブ量をユーザまたはプリンタ管理者が決めることができる。
(4)複数のマッチンググループ141aと印刷データ(描画コマンドグループ)が一致した場合に、どのマッチンググループ141aによりページやジョブ全体のトナーセーブ量を決めるか、そのマッチンググループ141a間の優先度を定めたことにより、複数の登録マッチンググループ141aが存在する印刷ページに対して優先度にしたがってトナーセーブ量を正しく決定することができる。
(5)マッチンググループ141aにおけるマッチングを行なう範囲を規定する有効範囲としてページ単位、グループ単位を設定するため、マッチする印刷データ(描画コマンドグループ)の位置に応じて、トナーセーブをキャンセルする処理の可否を選択することができる。
(6)規則性のある文字列はまとめてトナーセーブキャンセルを実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・コントローラ、2・・・ホストPC、3・・・エンジン、4・・・パネル装置、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、13a・・・メモリアビータ、14・・・NVRAM、15・・・ネットワークI/F、16・・・エンジンI/F、17・・・パネルI/F、18・・・ハードウェアアクセラレータ、22・・・プリンタドライバ、24・・・印刷データ、26・・・マッチングデータ、110・・・印刷制御装置、110a・・・データ受信部、110b・・・マッチングエンジン、110c・・・描画処理手段、110d・・・マッチンググループ設定手段、140・・・データ部、141・・・マッチンググループリスト、142・・・トナーセーブ設定条件、143・・・マッチング結果。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2003−66781号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成モードとしてトナーセーブモードを有する画像形成装置であって、
入力されたマッチングデータをマッチンググループとしてデータ部に登録する手段と、
前記マッチンググループのトナーセーブ設定条件を設定する手段と、
印刷データ中における登録された前記マッチンググループと一致する印刷データを検出する手段と、
を備え、
トナーセーブモードで画像形成を行う場合に、前記登録されたマッチンググループと一致する印刷データについては、前記マッチンググループに設定されたトナーセーブ設定条件にしたがって、トナーセーブを解除して又は設定されたトナーセーブ量で画像形成を行う画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置であって、
登録された前記マッチンググループとのマッチング処理を行うか否かを設定するマッチング有・無設定手段を有し、
マッチング有を設定したとき、登録された前記マッチンググループと一致する印刷データについてトナーセーブを解除して又は前記設定されたトナーセーブ量にしたがって画像形成を行う画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載された画像形成装置であって、
マッチンググループにおけるトナーセーブの解除の有効範囲を単位別に設定する有効単位設定手段を有し、
前記有効単位設定手段により特定の単位を設定したときは、印刷データ中の登録マッチンググループと一致するデータがある前記特定の単位を対象として、トナーセーブを解除して又は前記設定されたトナーセーブ量にしたがって画像形成を行う画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載された画像形成装置であって、
ジョブ全体でマッチング処理を実施するか否かの設定を行うジョブモードを設定する手段を有し、ジョブモードについて有効を設定したときは、当該ジョブ全体を対象にマッチング処理を行い、ジョブモード無効を設定したときは、ページ単位でマッチング処理を行う画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
マッチング処理の結果を保存する手段を備え、
保存した検出結果に基づき前記印刷データについてトナーセーブを解除して又は前記設定されたトナーセーブ量にしたがって画像形成を行う画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載された画像形成装置において、
複数のマッチンググループ間の優先度を設定する手段を備え、
トナーセーブモードで画像形成を行う場合に、前記優先度にしたがって選択されたマッチンググループに設定したトナーセーブ量にしたがって画像形成を行う画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載された画像形成装置において、
正規表現により、文字列のマッチングを行なう手段
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
画像形成モードとしてトナーセーブモードを有する画像形成装置における画像形成方法であって、
入力されたマッチングデータをマッチンググループとしてデータ部に登録する工程と、
前記マッチンググループのトナーセーブ設定条件を設定する工程と、
印刷データ中における登録された前記マッチンググループと一致する印刷データを検出する工程と、
を有し、
トナーセーブモードで画像形成を行う場合に、前記登録されたマッチンググループと一致する印刷データについては、前記マッチンググループに設定されたトナーセーブ設定条件にしたがって、トナーセーブを解除して又は設定されたトナーセーブ量で画像形成を行う画像形成方法。
【請求項9】
画像形成モードとしてトナーセーブモードを有する画像形成装置のコンピュータを、
入力されたマッチングデータをマッチンググループとしてデータ部に登録する手段と、
前記マッチンググループのトナーセーブ設定条件を設定する手段と、
印刷データ中における登録された前記マッチンググループと一致する印刷データを検出する手段として機能させるプログラムであって、
トナーセーブモードで画像形成を行う場合に、前記登録されたマッチンググループと一致する印刷データについては、前記マッチンググループに設定されたトナーセーブ設定条件にしたがって、トナーセーブの解除又は設定されたトナーセーブ量で画像形成を行うためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−80171(P2013−80171A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221115(P2011−221115)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】