画像形成装置、画像形成方法、及び画像形成プログラム
【課題】後処理装置のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの処理開始時期の遅延を防止することができる画像形成装置。
【解決手段】画像形成装置は、後処理装置のウォームアップが完了するまでは、現時点で実行可能でないジョブを保留しつつ、現時点で実行可能であり且つ分割可能なジョブを優先的に実行する(S9)。さらに、画像形成装置は、優先的に開始されるジョブの処理中にウォームアップが完了する場合には当該ジョブを分割・中断しつつ、保留されるジョブを開始する(S13〜S15)。
【解決手段】画像形成装置は、後処理装置のウォームアップが完了するまでは、現時点で実行可能でないジョブを保留しつつ、現時点で実行可能であり且つ分割可能なジョブを優先的に実行する(S9)。さらに、画像形成装置は、優先的に開始されるジョブの処理中にウォームアップが完了する場合には当該ジョブを分割・中断しつつ、保留されるジョブを開始する(S13〜S15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置、当該画像形成装置において実行される画像形成方法、及び当該画像形成装置を制御するための画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンデマンド印刷(POD)に使用される画像形成装置の多くは、プリンタ等の画像形成部により印刷された記録用紙に種々の後処理を施すための後処理装置を備えている。このような後処理装置は、プリンタと比較して長めのウォームアップ時間を必要とする場合がある。特に、くるみ製本機能を備えた後処理装置は、同機能に用いる製本用の固形糊を加熱・溶融するために数分〜数十分の長いウォームアップ時間を必要とする。そのため、処理対象のジョブにくるみ製本機能を利用するジョブが含まれる場合、後処理装置のウォームアップ完了までは当該ジョブを実行することができないので、プリンタのダウンタイム(稼動していない時間)が発生する虞がある。
【0003】
そこで、以下の特許文献1、2には、後処理装置のウォームアップ時間、及び処理対象のジョブのうち後処理装置を利用しないジョブの処理時間を計算し、前者よりも後者の方が短い場合には後処理装置を利用しないジョブを優先的に実行する画像形成装置が提案されている。
【0004】
上記の画像形成装置によると、ウォームアップ完了までは後処理装置を利用するジョブが保留され、後処理装置を利用しないジョブであり、且つ、ウォームアップ時間内に処理可能なジョブが優先的に実行されることになるので、所定条件下でダウンタイムの発生を防止することができる。
【0005】
他方、オンデマンド印刷の分野では、ダウンタイムの発生を防止することと同様に、各々の印刷物を顧客(ユーザ)が指定した納期までに完成させることが重要であり、そのためには、各々のジョブに対する処理を当初予定した時期までに遅滞なく開始する必要がある。しかし、上記の画像形成装置によると、優先的に実行されたジョブの処理中に用紙切れや紙詰まり等のトラブルが発生した場合には、当該ジョブの処理時間が長期化し、結果的に、保留されたジョブの開始時期が大幅に遅延してしまう。つまり、上記の画像形成装置によると、所定条件下でダウンタイムの発生を防止できるものの、用紙切れや紙詰まり等のトラブルが発生した場合には一部のジョブ(保留されたジョブ)の処理開始時期が当初の予定に対して遅延してしまう虞がある。
【0006】
また、上記画像形成装置によると、後処理装置のウォームアップ時間よりも後処理装置を利用しない印刷ジョブの処理時間の方が長い場合は、依然として画像形成装置のダウンタイムが発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−15683号公報
【特許文献2】特開2007−163559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、後処理装置のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの処理開始時期の遅延を防止することが可能な画像形成装置、画像形成方法、及び画像形成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置であって、受け付けたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する判定部と、前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記判定部により分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始するジョブ実行部と、優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割するジョブ分割部と、を有し、前記ジョブ実行部は、前記ウォームアップ完了時に、前記ジョブ分割部により分割される前記ジョブを中断するとともに、保留される前記ジョブを開始することを特徴とする画像形成装置。
【0011】
(2)前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了後に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(3)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(2)に記載の画像形成装置。
【0013】
(4)前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了前に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0014】
(5)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(4)に記載の画像形成装置。
【0015】
(6)前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0016】
(7)ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を有し、前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成方法。
【0017】
(8)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(7)に記載の画像形成方法。
【0018】
(9)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(8)に記載の画像形成方法。
【0019】
(10)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(9)に記載の画像形成方法。
【0020】
(11)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(10)に記載の画像形成方法。
【0021】
(12)前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする上記(7)〜(11)のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【0022】
(13)ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を前記画像形成装置に実行させ、前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成プログラム。
【0023】
(14)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(13)に記載の画像形成プログラム。
【0024】
(15)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(14)に記載の画像形成プログラム。
【0025】
(16)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(15)に記載の画像形成プログラム。
【0026】
(17)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(16)に記載の画像形成プログラム。
【0027】
(18)前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする上記(13)〜(17)のいずれか1つに記載の画像形成プログラム。
【0028】
(19)上記(13)〜(18)のいずれか1つに記載の画像形成プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置は、後処理装置のウォームアップが完了するまでは、現在実行可能でないジョブを保留するとともに、現在実行可能であり且つ分割可能なジョブを優先的に開始する。さらに、本発明に係る画像形成装置は、優先的に開始されるジョブの処理中にウォームアップが完了する場合には当該ジョブを中断・分割するとともに、保留されるジョブを開始する。その結果、本発明に係る画像形成装置は、後処理装置のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの処理開始時期の遅延を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置が適用された画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るMFPの構成を示す概略図である。
【図4】MFP2の構成を示すブロック図である。
【図5】製本部300の主要部を示す概略図である。
【図6】くるみ製本機能を用いて製本された用紙束を示す概略図である。
【図7】本実施形態における画像形成装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】印刷ジョブ情報の一例を示す図である。
【図9】印刷ジョブ情報の一例を示す図である。
【図10】印刷ジョブ情報の一例を示す図である。
【図11】ステータス情報の一例を示す図である。
【図12】ジョブリストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
−システム全体の構成(図1)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置が適用された画像形成システムAの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムAは、クライアント装置としてのPC1と、画像形成装置としてのMFP2とを備えており、これらは通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。なお、通信ネットワーク3に接続される機器の種類及び台数は、図1に示す例に限定されない。また、PC1は、ネットワーク3を介することなく、MFP2と直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0033】
続いて、上記各機器の構成について説明するが、上記各機器は後述する構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、後述する構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0034】
−PCの構成(図2)
図2は、本実施形態に係るPC1の構成要素の一例を示すブロック図である。図2に示すように、PC1は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信インタフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16を介して相互に接続されている。
【0035】
制御部11はCPUであり、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。記憶部12は、PC1の基本動作を制御する各種プログラムやパラメータを格納するROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、及びOS(オペレーティングシステム、基本ソフトウェア)や後述するPC1の所定の動作を制御するプログラムやパラメータ等を格納するハードディスクを備えている。
【0036】
表示部13は、液晶ディスプレイ等からなり、ユーザに各種情報を表示する。操作部14は、キーボードやマウス等であり、ユーザから各種指示を取得する。通信インタフェース15は、PC1をネットワーク3に接続しネットワーク3上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0037】
−MFPの構成(図3、図4)
図3は、本実施形態に係るMFP2の全体構成を示す概略図である。図4は、MFP2の構成要素を示すブロック図である。図3及び図4に示すように、MFP(Multiple Function Peripheral;多機能周辺機器)2は、制御部21、記憶部22、操作部23、画像読取部24、画像形成部25、給紙部26、通信インタフェース27、及び後処理部30を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス28を介して相互に接続されている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0038】
制御部21はCPUであり、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。記憶部22は、予め各種プログラムやパラメータを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムやパラメータを格納し、又は画像処理により得られた画像データ等を一時的に保存するために使用されるハードディスク等からなる。
【0039】
操作部23は、各種情報を表示し、又は各種設定入力を行うタッチパネル、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキー等の各種固定キー、表示ランプ等からなる。特に本実施の形態では、くるみ製本に関する設定や警告を表示する。
【0040】
画像読取部24は、原稿台の所定の読取位置にセットされた原稿、又はADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)により所定の読取位置に搬送された原稿に対して蛍光ランプ等の光源から光を照射し、その反射光をCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の受光素子でスキャン(走査)することで原稿画像のデジタルデータを生成する。
【0041】
画像形成部25は、電子写真方式の作像プロセスにより、印刷用の画像データを給紙部26から供給された記録用紙に印刷する。ただし、画像形成部25により採用される画像形成方式は、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等の他の方式であってもよい。画像形成部25により印刷された記録用紙は排紙トレイ31、32に排出される。なお、トレイ31は、通常使用される排紙トレイであり、トレイ32は、記録用紙に対して後処理が施された際に使用される排紙トレイである。
【0042】
給紙部26は、複数種類の記録用紙(A4、B5、A3、Letter等)をサイズごとに格納する給紙トレイ、及び制御部21からの指令に応じて各給紙トレイ内の記録用紙を画像形成部25に搬送する搬送機構等を備えている。
【0043】
通信インタフェース27は、MFP2と外部機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によるネットワークインタフェースや、USB、IEEE1394等のシリアルインタフェース、SCSI、IEEE1284等のパラレルインタフェース、Bluetooth(ブルートゥース)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の無線通信インタフェース等の各種ローカル接続インタフェース、電話回線に接続するための電話回線インタフェース等が用いられる。
【0044】
後処理部30は、画像形成部25から搬送された記録用紙に対してユーザが希望する種々の後処理を実行する。特に、本実施形態に係る後処理部30は、画像形成部25から搬送された記録用紙をくるみ製本するための製本部300を備えている。ここで、くるみ製本とは、複数枚の記録用紙の束(以下、単に「用紙束」ともいう)の一側面に製本用糊を塗布し、その塗布面に厚紙等からなる表紙の一部を固着しつつ用紙束をくるむように表紙をコ字状に折り曲げることで用紙束に表紙を貼り付ける製本方法である(図6参照)。製本部300の詳細については後述する。なお、後処理部30は、製本部300のほか、画像形成部25から搬送された記録用紙にパンチ穴を形成するためのパンチ実行部(不図示)、及び同記録用紙をステープルで綴じるためのステープル実行部(不図示)等を備えているが、これらについての詳細な説明は省略する。
【0045】
−製本部の構成(図5、図6)
図5は、製本部300の主要部の構成を示す概略図である。また、図6は、製本部300のくるみ製本処理により表紙Fが貼り付けられた用紙束Pの一例を示す概略図である。
【0046】
図5に示すように、製本部300は、画像形成部25から搬送された複数枚の記録用紙からなる用紙束Pの一側面に製本用糊Nを塗布するための塗布部310と、製本用糊Nを加熱・溶融するための加熱部320と、加熱部320に製本用糊Nを補充するための糊補充部330を有している。ここで、製本用糊Nは、熱溶融型接着剤からなる一般的な固形糊である。
【0047】
塗布部310は、表面上に製本用糊Nが供給されるローラであり、図5中の矢印の方向に回転移動することで、把持具350により固定された状態の用紙束Pの一側面に沿って製本用糊Nを塗布する。
【0048】
加熱部320は、塗布部310に供給される製本用糊Nを収容するための容器321と、容器321内に収容された製本用糊Nを加熱するためのヒータ322と、を備えている。このヒータ322の加熱により、容器321内の製本用糊Nは液状又はゲル状にされてから塗布部310に供給され、塗布部310により用紙束Nに塗布される。なお、ヒータ322の加熱方法は特に限定されないが、常温で固形の製本用糊Nをその溶融温度まで加熱するには数分〜数十分程度の時間を要すると考えられる。そのため、本実施形態の製本部300は、起動されると同時にヒータ322による加熱を開始するが、製本用糊Nが溶融温度に達するまでの間はくるみ製本を実行することができず、その間はウォームアップ中であるということになる。
【0049】
以上のような手順で用紙束Pに製本用糊Nが塗布されたら、表紙搬送機構(不図示)により製本用の表紙Fが搬送され、その中央部SFが用紙束P上の製本用糊Nに対して押圧されて固着される。その後、表紙折り機構(不図示)により、用紙束Pをくるむように表紙Fがコ字状に折り曲げられて、くるみ製本処理が完了する。図6のように、用紙束P上の製本用糊Nに固着される表紙Fの中央部SFは、くるみ製本済みの用紙束Pの背表紙を構成する。このようにしてくるみ製本が施された用紙束Pは、図3中の専用トレイ32に排出される。
【0050】
−MFPの処理(図7〜図12)
次に、本実施形態に係る画像形成装置(MFP2)の動作の概要について説明する。図7は、本実施形態に係るMFP2の処理の手順を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部22に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際に制御部21により読み出されて実行される。
【0051】
先ず、MFP2の処理の前提条件として、MFP2には1つ以上の印刷ジョブが受け付けられているものとする。ここで、印刷ジョブとは、MFP2に対する画像データ等の印刷命令の総称であり、PC1等のクライアント装置側で生成され、通信インタフェース27を介して外部から送信された文書データ等に基づく画像データのみならず、画像読取部24によりスキャンされた原稿に基づく画像データの印刷命令をも含みうる。本実施形態において、印刷ジョブは、例えば、ユーザがPC1上で作動するプリンタドライバに対して文書ファイル等の印刷指示を行ったとき、又はユーザが原稿を画像読取部24のADF又は原稿台にセットした状態で操作部23に対して所定の指示を行なったときに受け付けられるものとする。
【0052】
本実施形態に係る印刷ジョブ(以下、単に「ジョブ」ともいう)は、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の4色からなる画像データと、ユーザにより指定された印刷設定等に関する情報を格納する印刷ジョブ情報とから構成される。図8〜図10は、本実施形態に係る印刷ジョブ情報Iの一例を示す図である。各図が示すように、本実施形態に係る印刷ジョブ情報Iは、さらに、印刷対象の全ページに共通する設定情報を格納するジョブ情報と、ページ毎の設定情報を格納するページ情報とから構成される。
【0053】
例えば、図8の印刷ジョブ情報Iによると、当該ジョブ(ID09317)は、ページ数が120ページであり、後処理部30による「くるみ製本」が「オン」にされていることがわかる。また、図9の印刷ジョブ情報Iによると、当該ジョブ(ジョブID09318)は、ページ数が77ページであり、後処理部26による「くるみ製本」は「オフ」であるが「ステープル」として「2点綴じ」が指定されていることがわかる。さらに、図10の印刷ジョブ情報Iによると、当該ジョブ(ジョブID09319)は、ページ数が77ページであり、「くるみ製本」を含む後処理部30の機能はすべて「オフ」にされていることがわかる。
【0054】
MFP2により受け付けられた印刷ジョブは、一時的に記憶部22のRAMに保持され、そこで画像形成部25により処理可能な印刷画像データへと変換される。このとき利用される変換プログラムは、記憶部22のハードディスク(HDD)に格納されており、制御部21により適宜読み出される。なお、以下の説明では、MFP2により受け付けられた印刷ジョブを「登録ジョブ」と称し、さらに、この「登録ジョブ」を、画像形成部25により現在実行されている「実行中ジョブ」と、記憶部22に保持されており画像形成部25による実行待ち状態にある「予約ジョブ」とに分類する。
【0055】
図7のフローチャートを参照すると、先ず、MFP2の制御部21は、画像形成部25のウォームアップが完了するまで待機し(S1のNO)、そのウォームアップが完了したら(S1のYES)、さらに、後処理部30のウォームアップが完了したか否かを判定する(S3)。S1及びS3における判定は、記憶部22のRAM上に保持されているステータス情報を参照することにより行なう。ここで、ステータス情報とは、画像形成部25及び後処理部30を含むMFP2の各部のステータス(作動状態)に関する各種情報を格納するテーブルである。
【0056】
図11はステータス情報Sの一例を示す図である。図中のステータス情報Sは、画像形成部25のウォームアップが完了しているが、後処理部30のウォームアップは完了しておらず、そのウォームアップ完了までの残存時間が10分であることを示す。ステータス情報Sに格納される情報は、各部から送信されたデータや制御部21による計算結果等に基づき適宜更新される。例えば、後処理部30の「ウォームアップ残存時間」は、製本部30内の製本用糊Nの温度測定値に基づき更新される。そして、製本用糊Nの温度測定値がその溶融温度に達したときに製本部30のステータスが「ウォームアップ中」から「使用可能」に切り替えられる。
【0057】
S2での判定の結果、後処理部30のウォームアップが完了している場合は(S2のYES)、制御部21は登録ジョブが存在するか否かを判定する(S3)。その判定の結果、登録ジョブが存在しない場合は(S3のNO)そのままS1へ戻る。他方、登録ジョブが存在する場合は(S3のYES)、画像形成部25に登録ジョブの実行を指示してからS1へ戻る(S4)。このとき、既に後処理部30のウォームアップが完了しており、MFP2は全ての登録ジョブを実行可能な状態にあるので、登録ジョブは受け付けられた順番通りに実行されることになる。なお、後処理部30のウォームアップが完了していない場合も(S2のNO)、制御部21は登録ジョブが存在するか否かを判定する(S5)。
【0058】
ここで、登録ジョブが存在するか否かの判定は、記憶部22のRAM上に保持されたジョブリストを参照することにより行なう。ここで、ジョブリストとは、MFP2により受け付けられた個々の印刷ジョブ(登録ジョブ)に関する各種情報を格納するテーブルである。
【0059】
図12はジョブリストLの一例を示す図である。図中のジョブリストLは、登録ジョブごとに「処理優先度」、「受け付け順番」、「ジョブID」、「状態」及び「詳細」に関する情報を格納する。ここで、「処理優先度」は、各々の登録ジョブの最新の処理順番を表しており、ジョブリスト内の登録ジョブはこの順番に従って並べられる。なお、「処理優先度」は初期段階では「受け付け順番」と一致しているが、種々の判定処理の結果に応じて入れ替えられる。この点についてはさらに後述する。「受け付け順番」は、文字通り、各々の登録ジョブがMFP2に受け付けられた順番であり、「ジョブID」は、各々の登録ジョブの識別番号である。つまり、図12のジョブリストは、「ジョブID」が「09317」〜「09320」である4つの登録ジョブがこの順番で受け付けられたことを意味する。
【0060】
また、「状態」は、各々の登録ジョブが実行中ジョブと予約ジョブのどちらであるかを表す。「詳細」は、各々の登録ジョブの印刷可否や分割可否等を表す。ここで、印刷可否とは、画像形成部25のウォームアップが完了したか否かを表す情報(「印刷可能」/「印刷不可能」)であり、これは、前述のステータス情報等に基づき適宜更新される。また、分割可否とは、各々の登録ジョブが分割可能であるか否かを表す情報(「分割可能」/「分割不可能」)、後述するS8の判定結果等に基づき適宜更新される。この点についてはさらに後述する。さらに、「状態」は、対応する登録ジョブが後処理部30のウォームアップ完了後でないと実行できないジョブであるにもかかわらずそのウォームアップが完了していない場合には、その旨を表示する「後処理ウォームアップ待ち」等のメッセージに書き換えられる。
【0061】
S5での判定の結果、登録ジョブが存在しない場合は(S5のNO)そのままS2に戻る。他方、登録ジョブが存在する場合は(S5のYES)、制御部21は現時点で処理優先度が最も高い予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とするか否かを判定する(S6)。ここで、「後処理部30のウォームアップを必要とするジョブ」とは、後処理部30のウォームアップ完了前は実行できないジョブのことであり、本例においては、製本部300によるくるみ製本機能を利用するジョブのことである。同様に、後処理部30のウォームアップを必要としないジョブとは、ウォームアップ完了前でも実行できるジョブであり、くるみ製本機能を利用しないジョブのことである。本実施形態において、各々の登録ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とするジョブであるか否かの判定は、各々の登録ジョブに対応する印刷ジョブ情報I(図8〜図10)を参照することにより行なう。例えば、図12(a)のジョブリストL中で処理優先度が最も高い予約ジョブである「09317」は、「くるみ製本」が「オン」にされているので(図8参照)、ウォームアップを必要とするジョブということになる。このように、ジョブリストL内の予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とするジョブであるにもかかわらずそのウォームアップが完了していない場合は、「詳細」に関する情報が「後処理ウォームアップ待ち」のメッセージに書き換えられる。
【0062】
S6での判定の結果、処理優先度が最も高い予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要としない場合(S6のNO)、つまり、ジョブリストの最上位にある予約ジョブがくるみ製本機能を利用しないジョブである場合、当該ジョブは現在実行可能なので、制御部21は画像形成部25に当該ジョブの実行を指示する(S4)。
【0063】
他方、処理優先度が最も高い予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とする場合(S6のYES)、つまり、ジョブリストの最上位にある予約ジョブがくるみ製本機能を利用するジョブである場合、当該ジョブは現在実行可能ではないので、残りの予約ジョブの中にウォームアップを必要としないジョブが含まれているか否かをさらに判定する(S7)。このときの判定方法はS6と同様である。なお、S6でウォームアップを必要とするものと判定されたジョブは、ウォームアップが完了するまで保留されることになる。この点についてはさらに後述する。
【0064】
S7での判定の結果、残りの予約ジョブの中にウォームアップを必要としないジョブが含まれていない場合(S7のNO)、制御部21は後処理部30のウォームアップが完了するまでそのまま待機する。他方、残りの予約ジョブの中にウォームアップを必要としないジョブが含まれている場合(S7のYES)、制御部21は、当該ジョブの中に分割可能なジョブが含まれているか否かをさらに判定する(S8)。
【0065】
ここで、本実施形態において「分割可能」なジョブとは、一旦ジョブを中断して他のジョブを実行した後に再開したとしても、その中断の影響を一切受けることなく所望の出力結果を得ることができるジョブのことである。そのため、本実施形態における「分割」は、1つのジョブから独立した2つのジョブを作り出すことのみならず、処理途中である1つのジョブに他のジョブを割り込ませることをも包含しうる。
【0066】
S8の判定を行なう目的は、分割可能なジョブの処理優先度を繰り上げることで、画像形成部25のダウンタイム発生を防止することができるからである。さらに、処理優先度を繰り上げるジョブをウォームアップ完了時期に合わせて分割することで、保留中のジョブの開始時期の遅延を防止することができる。例えば、図12(a)のジョブリストにおいて、リスト最上位にありウォームアップを必要とする「09317」に対して、ウォームアップを必要としない「09319」の処理優先度を繰り上げることで、画像形成部25のダウンタイム発生を防止することができる。さらに、「09319」の処理途中に後処理部30のウォームアップが完了したとしても、その完了時期に合わせて「09319」を分割することで、保留した「09317」の開始時期の遅延を防止することができる。
【0067】
本実施形態において、各々の登録ジョブが分割可能であるか否かの判定は、例えば、図8〜図10のような印刷ジョブ情報Iを参照し、ステープル又は複数枚の折りがオフにされているか否かを判定することにより行う。これは、一般的な後処理装置において、ステープルや複数枚の折り等の処理は予めスタックされた複数枚の用紙に対して一斉に実施されるため、これらの処理を伴うジョブは分割不可能であると考えられるからである。ただし、MFP2として、ステープルや複数枚の折りを伴うジョブをも分割可能なものを用いる場合はこの限りでない。
【0068】
S8での判定の結果、分割可能なジョブが含まれていない場合は(S8のNO)、現時点で実行可能なジョブは存在しないので、制御部21はS2に戻る。他方、分割可能なジョブが含まれている場合は(S8のYES)、制御部21は、処理優先度が最も高いジョブが保留され、当該ジョブに対して分割可能なジョブの処理優先度が繰り上げられるように、ジョブリストLを更新する(S9)。例えば、図12(a)のジョブリストでは「3」であった「09319」の処理優先度は、S9において「09317」に対して繰り上げられた結果、図12(b)のジョブリストでは「1」にされる。ここで、分割可能なジョブが複数ある場合には、これら複数のジョブの相対的な処理優先度を保持しつつ、これら複数のジョブのウォームアップを必要とするジョブに対する処理優先度を繰り上げることが好ましい。
【0069】
続いて、制御部21は、S9で更新されたジョブリストLに従い、分割可能なジョブの実行を画像形成部25に指示し(S10)、その後は、画像形成部25による当該ジョブの処理、及び後処理部30のウォームアップのいずれかが終了するまで待機する(S11のNO、S12のNO)。そして、制御部21は、後処理部30のウォームアップが完了する前に当該ジョブの処理が終了した場合は(S11のYES)S2に戻り、当該ジョブの処理が終了する前に後処理部30のウォームアップが完了した場合は(S12のYES)以下のS13に進む。
【0070】
S13では、制御部21は、処理途中の分割可能なジョブを中断し、それを処理済み部分と未処理部分とに分割する。この時点では後処理部30のウォームアップが完了しているので、制御部21は、S9で保留されたジョブが即座に実行されるようにジョブリストLを更新する(S14)。例えば、ジョブリストLが図12(b)のような状態にあるときに後処理部30のウォームアップが完了したら、処理途中の「09319」が中断され、「後処理ウォームアップ待ち」の「09317」が実行されるように「09317」の処理優先度が「3」から「1」に戻される。このとき、中断・分割されたジョブの処理優先度は、その受け付け時の処理優先度に戻される。例えば、図12(b)のジョブリストにおける「09319」の処理優先度は、その中断・分割の後、「1」から「3」に戻される。その結果、全てのジョブの処理優先度が受け付け順番と再び一致することになる。ただし、本実施形態はこれに限定されず、中断・分割されたジョブ(すなわち、「09319」)の処理優先度が、保留されたジョブの次に高くなる(すなわち「3」から「2」にされる)ようにジョブリストLを更新してもよい。
【0071】
そして、制御部21は、S14で更新されたジョブリストLに従って、画像形成部25に登録ジョブの実行を指示する。その後、制御部21は全ての登録ジョブが終了したか否かを判定し(S16)、終了していない場合は(S16のNO)S1へ戻り、終了した場合(S16のYES)は一連の処理を終了する。
【0072】
以上のように本実施形態に係るMFP2は、後処理部30のウォームアップが完了するまでは、現在実行可能でないジョブを保留するとともに、現在実行可能であり且つ分割可能なジョブを優先的に開始する。さらに、本実施形態に係るMFP2は、優先的に開始されるジョブの処理中に後処理部30のウォームアップが完了する場合には当該ジョブを中断・分割しつつ、保留されたジョブを開始する。その結果、本実施形態に係るMFP2は、後処理部30のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの開始時期の遅延を防止することができる。
【0073】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において、種々改変することができる。例えば、上記実施形態において、処理優先度が繰り上げられたジョブは、後処理部30のウォームアップが完了した時点で分割されるが(図7のS13参照)、本発明は必ずしもこれに限定されない。つまり、本発明において、処理優先度が繰り上げられたジョブは、後処理部30のウォームアップが完了する前に分割されてもよい。この場合、MFP2は、後処理装置30のウォームアップに要する時間、及び繰り上げ対象のジョブの処理に要する時間を予め計算しておき、前者よりも後者の方が長い場合のみ、当該ジョブをウォームアップ完了までに終了予定の部分と残りの部分とに分割することになる。これにより、MFP2は、後処理部30のウォームアップ完了後、保留されたジョブに対する処理をより迅速に開始することができる。
【0074】
本発明による画像形成装置は、上記各手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、画像形成装置を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0075】
A 画像形成システム、
1 PC、
2 MFP、
21 制御部、
22 記憶部、
23 操作部、
24 画像読取部、
25 画像形成部、
26 給紙部、
27 通信インタフェース、
30 後処理部
31 排紙トレイ
32 排紙トレイ、
300 製本部、
310 塗布部、
I 印刷ジョブ情報、
L ジョブリスト、
P 用紙束、
N 製本用糊、
F 表紙、
S ステータス情報。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置、当該画像形成装置において実行される画像形成方法、及び当該画像形成装置を制御するための画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンデマンド印刷(POD)に使用される画像形成装置の多くは、プリンタ等の画像形成部により印刷された記録用紙に種々の後処理を施すための後処理装置を備えている。このような後処理装置は、プリンタと比較して長めのウォームアップ時間を必要とする場合がある。特に、くるみ製本機能を備えた後処理装置は、同機能に用いる製本用の固形糊を加熱・溶融するために数分〜数十分の長いウォームアップ時間を必要とする。そのため、処理対象のジョブにくるみ製本機能を利用するジョブが含まれる場合、後処理装置のウォームアップ完了までは当該ジョブを実行することができないので、プリンタのダウンタイム(稼動していない時間)が発生する虞がある。
【0003】
そこで、以下の特許文献1、2には、後処理装置のウォームアップ時間、及び処理対象のジョブのうち後処理装置を利用しないジョブの処理時間を計算し、前者よりも後者の方が短い場合には後処理装置を利用しないジョブを優先的に実行する画像形成装置が提案されている。
【0004】
上記の画像形成装置によると、ウォームアップ完了までは後処理装置を利用するジョブが保留され、後処理装置を利用しないジョブであり、且つ、ウォームアップ時間内に処理可能なジョブが優先的に実行されることになるので、所定条件下でダウンタイムの発生を防止することができる。
【0005】
他方、オンデマンド印刷の分野では、ダウンタイムの発生を防止することと同様に、各々の印刷物を顧客(ユーザ)が指定した納期までに完成させることが重要であり、そのためには、各々のジョブに対する処理を当初予定した時期までに遅滞なく開始する必要がある。しかし、上記の画像形成装置によると、優先的に実行されたジョブの処理中に用紙切れや紙詰まり等のトラブルが発生した場合には、当該ジョブの処理時間が長期化し、結果的に、保留されたジョブの開始時期が大幅に遅延してしまう。つまり、上記の画像形成装置によると、所定条件下でダウンタイムの発生を防止できるものの、用紙切れや紙詰まり等のトラブルが発生した場合には一部のジョブ(保留されたジョブ)の処理開始時期が当初の予定に対して遅延してしまう虞がある。
【0006】
また、上記画像形成装置によると、後処理装置のウォームアップ時間よりも後処理装置を利用しない印刷ジョブの処理時間の方が長い場合は、依然として画像形成装置のダウンタイムが発生することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−15683号公報
【特許文献2】特開2007−163559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、後処理装置のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの処理開始時期の遅延を防止することが可能な画像形成装置、画像形成方法、及び画像形成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置であって、受け付けたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する判定部と、前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記判定部により分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始するジョブ実行部と、優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割するジョブ分割部と、を有し、前記ジョブ実行部は、前記ウォームアップ完了時に、前記ジョブ分割部により分割される前記ジョブを中断するとともに、保留される前記ジョブを開始することを特徴とする画像形成装置。
【0011】
(2)前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了後に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(3)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(2)に記載の画像形成装置。
【0013】
(4)前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了前に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0014】
(5)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(4)に記載の画像形成装置。
【0015】
(6)前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0016】
(7)ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を有し、前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成方法。
【0017】
(8)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(7)に記載の画像形成方法。
【0018】
(9)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(8)に記載の画像形成方法。
【0019】
(10)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(9)に記載の画像形成方法。
【0020】
(11)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(10)に記載の画像形成方法。
【0021】
(12)前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする上記(7)〜(11)のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【0022】
(13)ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を前記画像形成装置に実行させ、前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成プログラム。
【0023】
(14)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(13)に記載の画像形成プログラム。
【0024】
(15)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(14)に記載の画像形成プログラム。
【0025】
(16)前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする上記(15)に記載の画像形成プログラム。
【0026】
(17)前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする上記(16)に記載の画像形成プログラム。
【0027】
(18)前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする上記(13)〜(17)のいずれか1つに記載の画像形成プログラム。
【0028】
(19)上記(13)〜(18)のいずれか1つに記載の画像形成プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置は、後処理装置のウォームアップが完了するまでは、現在実行可能でないジョブを保留するとともに、現在実行可能であり且つ分割可能なジョブを優先的に開始する。さらに、本発明に係る画像形成装置は、優先的に開始されるジョブの処理中にウォームアップが完了する場合には当該ジョブを中断・分割するとともに、保留されるジョブを開始する。その結果、本発明に係る画像形成装置は、後処理装置のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの処理開始時期の遅延を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置が適用された画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るMFPの構成を示す概略図である。
【図4】MFP2の構成を示すブロック図である。
【図5】製本部300の主要部を示す概略図である。
【図6】くるみ製本機能を用いて製本された用紙束を示す概略図である。
【図7】本実施形態における画像形成装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】印刷ジョブ情報の一例を示す図である。
【図9】印刷ジョブ情報の一例を示す図である。
【図10】印刷ジョブ情報の一例を示す図である。
【図11】ステータス情報の一例を示す図である。
【図12】ジョブリストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
−システム全体の構成(図1)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置が適用された画像形成システムAの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムAは、クライアント装置としてのPC1と、画像形成装置としてのMFP2とを備えており、これらは通信ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続されている。なお、通信ネットワーク3に接続される機器の種類及び台数は、図1に示す例に限定されない。また、PC1は、ネットワーク3を介することなく、MFP2と直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0033】
続いて、上記各機器の構成について説明するが、上記各機器は後述する構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、後述する構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0034】
−PCの構成(図2)
図2は、本実施形態に係るPC1の構成要素の一例を示すブロック図である。図2に示すように、PC1は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信インタフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16を介して相互に接続されている。
【0035】
制御部11はCPUであり、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。記憶部12は、PC1の基本動作を制御する各種プログラムやパラメータを格納するROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、及びOS(オペレーティングシステム、基本ソフトウェア)や後述するPC1の所定の動作を制御するプログラムやパラメータ等を格納するハードディスクを備えている。
【0036】
表示部13は、液晶ディスプレイ等からなり、ユーザに各種情報を表示する。操作部14は、キーボードやマウス等であり、ユーザから各種指示を取得する。通信インタフェース15は、PC1をネットワーク3に接続しネットワーク3上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0037】
−MFPの構成(図3、図4)
図3は、本実施形態に係るMFP2の全体構成を示す概略図である。図4は、MFP2の構成要素を示すブロック図である。図3及び図4に示すように、MFP(Multiple Function Peripheral;多機能周辺機器)2は、制御部21、記憶部22、操作部23、画像読取部24、画像形成部25、給紙部26、通信インタフェース27、及び後処理部30を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス28を介して相互に接続されている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0038】
制御部21はCPUであり、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。記憶部22は、予め各種プログラムやパラメータを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムやパラメータを格納し、又は画像処理により得られた画像データ等を一時的に保存するために使用されるハードディスク等からなる。
【0039】
操作部23は、各種情報を表示し、又は各種設定入力を行うタッチパネル、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキー等の各種固定キー、表示ランプ等からなる。特に本実施の形態では、くるみ製本に関する設定や警告を表示する。
【0040】
画像読取部24は、原稿台の所定の読取位置にセットされた原稿、又はADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)により所定の読取位置に搬送された原稿に対して蛍光ランプ等の光源から光を照射し、その反射光をCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の受光素子でスキャン(走査)することで原稿画像のデジタルデータを生成する。
【0041】
画像形成部25は、電子写真方式の作像プロセスにより、印刷用の画像データを給紙部26から供給された記録用紙に印刷する。ただし、画像形成部25により採用される画像形成方式は、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等の他の方式であってもよい。画像形成部25により印刷された記録用紙は排紙トレイ31、32に排出される。なお、トレイ31は、通常使用される排紙トレイであり、トレイ32は、記録用紙に対して後処理が施された際に使用される排紙トレイである。
【0042】
給紙部26は、複数種類の記録用紙(A4、B5、A3、Letter等)をサイズごとに格納する給紙トレイ、及び制御部21からの指令に応じて各給紙トレイ内の記録用紙を画像形成部25に搬送する搬送機構等を備えている。
【0043】
通信インタフェース27は、MFP2と外部機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によるネットワークインタフェースや、USB、IEEE1394等のシリアルインタフェース、SCSI、IEEE1284等のパラレルインタフェース、Bluetooth(ブルートゥース)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の無線通信インタフェース等の各種ローカル接続インタフェース、電話回線に接続するための電話回線インタフェース等が用いられる。
【0044】
後処理部30は、画像形成部25から搬送された記録用紙に対してユーザが希望する種々の後処理を実行する。特に、本実施形態に係る後処理部30は、画像形成部25から搬送された記録用紙をくるみ製本するための製本部300を備えている。ここで、くるみ製本とは、複数枚の記録用紙の束(以下、単に「用紙束」ともいう)の一側面に製本用糊を塗布し、その塗布面に厚紙等からなる表紙の一部を固着しつつ用紙束をくるむように表紙をコ字状に折り曲げることで用紙束に表紙を貼り付ける製本方法である(図6参照)。製本部300の詳細については後述する。なお、後処理部30は、製本部300のほか、画像形成部25から搬送された記録用紙にパンチ穴を形成するためのパンチ実行部(不図示)、及び同記録用紙をステープルで綴じるためのステープル実行部(不図示)等を備えているが、これらについての詳細な説明は省略する。
【0045】
−製本部の構成(図5、図6)
図5は、製本部300の主要部の構成を示す概略図である。また、図6は、製本部300のくるみ製本処理により表紙Fが貼り付けられた用紙束Pの一例を示す概略図である。
【0046】
図5に示すように、製本部300は、画像形成部25から搬送された複数枚の記録用紙からなる用紙束Pの一側面に製本用糊Nを塗布するための塗布部310と、製本用糊Nを加熱・溶融するための加熱部320と、加熱部320に製本用糊Nを補充するための糊補充部330を有している。ここで、製本用糊Nは、熱溶融型接着剤からなる一般的な固形糊である。
【0047】
塗布部310は、表面上に製本用糊Nが供給されるローラであり、図5中の矢印の方向に回転移動することで、把持具350により固定された状態の用紙束Pの一側面に沿って製本用糊Nを塗布する。
【0048】
加熱部320は、塗布部310に供給される製本用糊Nを収容するための容器321と、容器321内に収容された製本用糊Nを加熱するためのヒータ322と、を備えている。このヒータ322の加熱により、容器321内の製本用糊Nは液状又はゲル状にされてから塗布部310に供給され、塗布部310により用紙束Nに塗布される。なお、ヒータ322の加熱方法は特に限定されないが、常温で固形の製本用糊Nをその溶融温度まで加熱するには数分〜数十分程度の時間を要すると考えられる。そのため、本実施形態の製本部300は、起動されると同時にヒータ322による加熱を開始するが、製本用糊Nが溶融温度に達するまでの間はくるみ製本を実行することができず、その間はウォームアップ中であるということになる。
【0049】
以上のような手順で用紙束Pに製本用糊Nが塗布されたら、表紙搬送機構(不図示)により製本用の表紙Fが搬送され、その中央部SFが用紙束P上の製本用糊Nに対して押圧されて固着される。その後、表紙折り機構(不図示)により、用紙束Pをくるむように表紙Fがコ字状に折り曲げられて、くるみ製本処理が完了する。図6のように、用紙束P上の製本用糊Nに固着される表紙Fの中央部SFは、くるみ製本済みの用紙束Pの背表紙を構成する。このようにしてくるみ製本が施された用紙束Pは、図3中の専用トレイ32に排出される。
【0050】
−MFPの処理(図7〜図12)
次に、本実施形態に係る画像形成装置(MFP2)の動作の概要について説明する。図7は、本実施形態に係るMFP2の処理の手順を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部22に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際に制御部21により読み出されて実行される。
【0051】
先ず、MFP2の処理の前提条件として、MFP2には1つ以上の印刷ジョブが受け付けられているものとする。ここで、印刷ジョブとは、MFP2に対する画像データ等の印刷命令の総称であり、PC1等のクライアント装置側で生成され、通信インタフェース27を介して外部から送信された文書データ等に基づく画像データのみならず、画像読取部24によりスキャンされた原稿に基づく画像データの印刷命令をも含みうる。本実施形態において、印刷ジョブは、例えば、ユーザがPC1上で作動するプリンタドライバに対して文書ファイル等の印刷指示を行ったとき、又はユーザが原稿を画像読取部24のADF又は原稿台にセットした状態で操作部23に対して所定の指示を行なったときに受け付けられるものとする。
【0052】
本実施形態に係る印刷ジョブ(以下、単に「ジョブ」ともいう)は、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の4色からなる画像データと、ユーザにより指定された印刷設定等に関する情報を格納する印刷ジョブ情報とから構成される。図8〜図10は、本実施形態に係る印刷ジョブ情報Iの一例を示す図である。各図が示すように、本実施形態に係る印刷ジョブ情報Iは、さらに、印刷対象の全ページに共通する設定情報を格納するジョブ情報と、ページ毎の設定情報を格納するページ情報とから構成される。
【0053】
例えば、図8の印刷ジョブ情報Iによると、当該ジョブ(ID09317)は、ページ数が120ページであり、後処理部30による「くるみ製本」が「オン」にされていることがわかる。また、図9の印刷ジョブ情報Iによると、当該ジョブ(ジョブID09318)は、ページ数が77ページであり、後処理部26による「くるみ製本」は「オフ」であるが「ステープル」として「2点綴じ」が指定されていることがわかる。さらに、図10の印刷ジョブ情報Iによると、当該ジョブ(ジョブID09319)は、ページ数が77ページであり、「くるみ製本」を含む後処理部30の機能はすべて「オフ」にされていることがわかる。
【0054】
MFP2により受け付けられた印刷ジョブは、一時的に記憶部22のRAMに保持され、そこで画像形成部25により処理可能な印刷画像データへと変換される。このとき利用される変換プログラムは、記憶部22のハードディスク(HDD)に格納されており、制御部21により適宜読み出される。なお、以下の説明では、MFP2により受け付けられた印刷ジョブを「登録ジョブ」と称し、さらに、この「登録ジョブ」を、画像形成部25により現在実行されている「実行中ジョブ」と、記憶部22に保持されており画像形成部25による実行待ち状態にある「予約ジョブ」とに分類する。
【0055】
図7のフローチャートを参照すると、先ず、MFP2の制御部21は、画像形成部25のウォームアップが完了するまで待機し(S1のNO)、そのウォームアップが完了したら(S1のYES)、さらに、後処理部30のウォームアップが完了したか否かを判定する(S3)。S1及びS3における判定は、記憶部22のRAM上に保持されているステータス情報を参照することにより行なう。ここで、ステータス情報とは、画像形成部25及び後処理部30を含むMFP2の各部のステータス(作動状態)に関する各種情報を格納するテーブルである。
【0056】
図11はステータス情報Sの一例を示す図である。図中のステータス情報Sは、画像形成部25のウォームアップが完了しているが、後処理部30のウォームアップは完了しておらず、そのウォームアップ完了までの残存時間が10分であることを示す。ステータス情報Sに格納される情報は、各部から送信されたデータや制御部21による計算結果等に基づき適宜更新される。例えば、後処理部30の「ウォームアップ残存時間」は、製本部30内の製本用糊Nの温度測定値に基づき更新される。そして、製本用糊Nの温度測定値がその溶融温度に達したときに製本部30のステータスが「ウォームアップ中」から「使用可能」に切り替えられる。
【0057】
S2での判定の結果、後処理部30のウォームアップが完了している場合は(S2のYES)、制御部21は登録ジョブが存在するか否かを判定する(S3)。その判定の結果、登録ジョブが存在しない場合は(S3のNO)そのままS1へ戻る。他方、登録ジョブが存在する場合は(S3のYES)、画像形成部25に登録ジョブの実行を指示してからS1へ戻る(S4)。このとき、既に後処理部30のウォームアップが完了しており、MFP2は全ての登録ジョブを実行可能な状態にあるので、登録ジョブは受け付けられた順番通りに実行されることになる。なお、後処理部30のウォームアップが完了していない場合も(S2のNO)、制御部21は登録ジョブが存在するか否かを判定する(S5)。
【0058】
ここで、登録ジョブが存在するか否かの判定は、記憶部22のRAM上に保持されたジョブリストを参照することにより行なう。ここで、ジョブリストとは、MFP2により受け付けられた個々の印刷ジョブ(登録ジョブ)に関する各種情報を格納するテーブルである。
【0059】
図12はジョブリストLの一例を示す図である。図中のジョブリストLは、登録ジョブごとに「処理優先度」、「受け付け順番」、「ジョブID」、「状態」及び「詳細」に関する情報を格納する。ここで、「処理優先度」は、各々の登録ジョブの最新の処理順番を表しており、ジョブリスト内の登録ジョブはこの順番に従って並べられる。なお、「処理優先度」は初期段階では「受け付け順番」と一致しているが、種々の判定処理の結果に応じて入れ替えられる。この点についてはさらに後述する。「受け付け順番」は、文字通り、各々の登録ジョブがMFP2に受け付けられた順番であり、「ジョブID」は、各々の登録ジョブの識別番号である。つまり、図12のジョブリストは、「ジョブID」が「09317」〜「09320」である4つの登録ジョブがこの順番で受け付けられたことを意味する。
【0060】
また、「状態」は、各々の登録ジョブが実行中ジョブと予約ジョブのどちらであるかを表す。「詳細」は、各々の登録ジョブの印刷可否や分割可否等を表す。ここで、印刷可否とは、画像形成部25のウォームアップが完了したか否かを表す情報(「印刷可能」/「印刷不可能」)であり、これは、前述のステータス情報等に基づき適宜更新される。また、分割可否とは、各々の登録ジョブが分割可能であるか否かを表す情報(「分割可能」/「分割不可能」)、後述するS8の判定結果等に基づき適宜更新される。この点についてはさらに後述する。さらに、「状態」は、対応する登録ジョブが後処理部30のウォームアップ完了後でないと実行できないジョブであるにもかかわらずそのウォームアップが完了していない場合には、その旨を表示する「後処理ウォームアップ待ち」等のメッセージに書き換えられる。
【0061】
S5での判定の結果、登録ジョブが存在しない場合は(S5のNO)そのままS2に戻る。他方、登録ジョブが存在する場合は(S5のYES)、制御部21は現時点で処理優先度が最も高い予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とするか否かを判定する(S6)。ここで、「後処理部30のウォームアップを必要とするジョブ」とは、後処理部30のウォームアップ完了前は実行できないジョブのことであり、本例においては、製本部300によるくるみ製本機能を利用するジョブのことである。同様に、後処理部30のウォームアップを必要としないジョブとは、ウォームアップ完了前でも実行できるジョブであり、くるみ製本機能を利用しないジョブのことである。本実施形態において、各々の登録ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とするジョブであるか否かの判定は、各々の登録ジョブに対応する印刷ジョブ情報I(図8〜図10)を参照することにより行なう。例えば、図12(a)のジョブリストL中で処理優先度が最も高い予約ジョブである「09317」は、「くるみ製本」が「オン」にされているので(図8参照)、ウォームアップを必要とするジョブということになる。このように、ジョブリストL内の予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とするジョブであるにもかかわらずそのウォームアップが完了していない場合は、「詳細」に関する情報が「後処理ウォームアップ待ち」のメッセージに書き換えられる。
【0062】
S6での判定の結果、処理優先度が最も高い予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要としない場合(S6のNO)、つまり、ジョブリストの最上位にある予約ジョブがくるみ製本機能を利用しないジョブである場合、当該ジョブは現在実行可能なので、制御部21は画像形成部25に当該ジョブの実行を指示する(S4)。
【0063】
他方、処理優先度が最も高い予約ジョブが後処理部30のウォームアップを必要とする場合(S6のYES)、つまり、ジョブリストの最上位にある予約ジョブがくるみ製本機能を利用するジョブである場合、当該ジョブは現在実行可能ではないので、残りの予約ジョブの中にウォームアップを必要としないジョブが含まれているか否かをさらに判定する(S7)。このときの判定方法はS6と同様である。なお、S6でウォームアップを必要とするものと判定されたジョブは、ウォームアップが完了するまで保留されることになる。この点についてはさらに後述する。
【0064】
S7での判定の結果、残りの予約ジョブの中にウォームアップを必要としないジョブが含まれていない場合(S7のNO)、制御部21は後処理部30のウォームアップが完了するまでそのまま待機する。他方、残りの予約ジョブの中にウォームアップを必要としないジョブが含まれている場合(S7のYES)、制御部21は、当該ジョブの中に分割可能なジョブが含まれているか否かをさらに判定する(S8)。
【0065】
ここで、本実施形態において「分割可能」なジョブとは、一旦ジョブを中断して他のジョブを実行した後に再開したとしても、その中断の影響を一切受けることなく所望の出力結果を得ることができるジョブのことである。そのため、本実施形態における「分割」は、1つのジョブから独立した2つのジョブを作り出すことのみならず、処理途中である1つのジョブに他のジョブを割り込ませることをも包含しうる。
【0066】
S8の判定を行なう目的は、分割可能なジョブの処理優先度を繰り上げることで、画像形成部25のダウンタイム発生を防止することができるからである。さらに、処理優先度を繰り上げるジョブをウォームアップ完了時期に合わせて分割することで、保留中のジョブの開始時期の遅延を防止することができる。例えば、図12(a)のジョブリストにおいて、リスト最上位にありウォームアップを必要とする「09317」に対して、ウォームアップを必要としない「09319」の処理優先度を繰り上げることで、画像形成部25のダウンタイム発生を防止することができる。さらに、「09319」の処理途中に後処理部30のウォームアップが完了したとしても、その完了時期に合わせて「09319」を分割することで、保留した「09317」の開始時期の遅延を防止することができる。
【0067】
本実施形態において、各々の登録ジョブが分割可能であるか否かの判定は、例えば、図8〜図10のような印刷ジョブ情報Iを参照し、ステープル又は複数枚の折りがオフにされているか否かを判定することにより行う。これは、一般的な後処理装置において、ステープルや複数枚の折り等の処理は予めスタックされた複数枚の用紙に対して一斉に実施されるため、これらの処理を伴うジョブは分割不可能であると考えられるからである。ただし、MFP2として、ステープルや複数枚の折りを伴うジョブをも分割可能なものを用いる場合はこの限りでない。
【0068】
S8での判定の結果、分割可能なジョブが含まれていない場合は(S8のNO)、現時点で実行可能なジョブは存在しないので、制御部21はS2に戻る。他方、分割可能なジョブが含まれている場合は(S8のYES)、制御部21は、処理優先度が最も高いジョブが保留され、当該ジョブに対して分割可能なジョブの処理優先度が繰り上げられるように、ジョブリストLを更新する(S9)。例えば、図12(a)のジョブリストでは「3」であった「09319」の処理優先度は、S9において「09317」に対して繰り上げられた結果、図12(b)のジョブリストでは「1」にされる。ここで、分割可能なジョブが複数ある場合には、これら複数のジョブの相対的な処理優先度を保持しつつ、これら複数のジョブのウォームアップを必要とするジョブに対する処理優先度を繰り上げることが好ましい。
【0069】
続いて、制御部21は、S9で更新されたジョブリストLに従い、分割可能なジョブの実行を画像形成部25に指示し(S10)、その後は、画像形成部25による当該ジョブの処理、及び後処理部30のウォームアップのいずれかが終了するまで待機する(S11のNO、S12のNO)。そして、制御部21は、後処理部30のウォームアップが完了する前に当該ジョブの処理が終了した場合は(S11のYES)S2に戻り、当該ジョブの処理が終了する前に後処理部30のウォームアップが完了した場合は(S12のYES)以下のS13に進む。
【0070】
S13では、制御部21は、処理途中の分割可能なジョブを中断し、それを処理済み部分と未処理部分とに分割する。この時点では後処理部30のウォームアップが完了しているので、制御部21は、S9で保留されたジョブが即座に実行されるようにジョブリストLを更新する(S14)。例えば、ジョブリストLが図12(b)のような状態にあるときに後処理部30のウォームアップが完了したら、処理途中の「09319」が中断され、「後処理ウォームアップ待ち」の「09317」が実行されるように「09317」の処理優先度が「3」から「1」に戻される。このとき、中断・分割されたジョブの処理優先度は、その受け付け時の処理優先度に戻される。例えば、図12(b)のジョブリストにおける「09319」の処理優先度は、その中断・分割の後、「1」から「3」に戻される。その結果、全てのジョブの処理優先度が受け付け順番と再び一致することになる。ただし、本実施形態はこれに限定されず、中断・分割されたジョブ(すなわち、「09319」)の処理優先度が、保留されたジョブの次に高くなる(すなわち「3」から「2」にされる)ようにジョブリストLを更新してもよい。
【0071】
そして、制御部21は、S14で更新されたジョブリストLに従って、画像形成部25に登録ジョブの実行を指示する。その後、制御部21は全ての登録ジョブが終了したか否かを判定し(S16)、終了していない場合は(S16のNO)S1へ戻り、終了した場合(S16のYES)は一連の処理を終了する。
【0072】
以上のように本実施形態に係るMFP2は、後処理部30のウォームアップが完了するまでは、現在実行可能でないジョブを保留するとともに、現在実行可能であり且つ分割可能なジョブを優先的に開始する。さらに、本実施形態に係るMFP2は、優先的に開始されるジョブの処理中に後処理部30のウォームアップが完了する場合には当該ジョブを中断・分割しつつ、保留されたジョブを開始する。その結果、本実施形態に係るMFP2は、後処理部30のウォームアップによるダウンタイムの発生を防止すると同時に、処理対象である各々のジョブの開始時期の遅延を防止することができる。
【0073】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において、種々改変することができる。例えば、上記実施形態において、処理優先度が繰り上げられたジョブは、後処理部30のウォームアップが完了した時点で分割されるが(図7のS13参照)、本発明は必ずしもこれに限定されない。つまり、本発明において、処理優先度が繰り上げられたジョブは、後処理部30のウォームアップが完了する前に分割されてもよい。この場合、MFP2は、後処理装置30のウォームアップに要する時間、及び繰り上げ対象のジョブの処理に要する時間を予め計算しておき、前者よりも後者の方が長い場合のみ、当該ジョブをウォームアップ完了までに終了予定の部分と残りの部分とに分割することになる。これにより、MFP2は、後処理部30のウォームアップ完了後、保留されたジョブに対する処理をより迅速に開始することができる。
【0074】
本発明による画像形成装置は、上記各手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、画像形成装置を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0075】
A 画像形成システム、
1 PC、
2 MFP、
21 制御部、
22 記憶部、
23 操作部、
24 画像読取部、
25 画像形成部、
26 給紙部、
27 通信インタフェース、
30 後処理部
31 排紙トレイ
32 排紙トレイ、
300 製本部、
310 塗布部、
I 印刷ジョブ情報、
L ジョブリスト、
P 用紙束、
N 製本用糊、
F 表紙、
S ステータス情報。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置であって、
受け付けたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する判定部と、
前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記判定部により分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始するジョブ実行部と、
優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割するジョブ分割部と、を有し、
前記ジョブ実行部は、前記ウォームアップ完了時に、前記ジョブ分割部により分割される前記ジョブを中断するとともに、保留される前記ジョブを開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了後に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了前に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、
受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、
前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、
優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を有し、
前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【請求項13】
ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、
前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、
優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を前記画像形成装置に実行させ、
前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項14】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項13に記載の画像形成プログラム。
【請求項15】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項14に記載の画像形成プログラム。
【請求項16】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項15に記載の画像形成プログラム。
【請求項17】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項16に記載の画像形成プログラム。
【請求項18】
前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1つに記載の画像形成プログラム。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1つに記載の画像形成プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置であって、
受け付けたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する判定部と、
前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記判定部により分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始するジョブ実行部と、
優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割するジョブ分割部と、を有し、
前記ジョブ実行部は、前記ウォームアップ完了時に、前記ジョブ分割部により分割される前記ジョブを中断するとともに、保留される前記ジョブを開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了後に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ分割部は、前記ウォームアップ完了前に、優先的に開始される前記ジョブを、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、
受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、
前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、
優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を有し、
前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の画像形成方法。
【請求項13】
ウォームアップを必要とする後処理装置を備えた画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
受け付けられたジョブの各々が分割可能であるか否かを判定する手順(A)と、
前記ウォームアップ完了前には実行可能でないジョブを前記ウォームアップ完了まで保留するとともに、前記ウォームアップ完了前でも実行可能であり且つ前記手順(A)で分割可能と判定された前記ジョブを優先的に開始する手順(B)と、
優先的に開始される前記ジョブの処理途中で前記ウォームアップが完了する場合に、優先的に開始される前記ジョブを分割する手順(C)と、を前記画像形成装置に実行させ、
前記ウォームアップ完了時に、前記手順(C)で分割される前記ジョブが中断されるとともに、前記手順(B)で保留される前記ジョブが開始されることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項14】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了後に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理済みの部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項13に記載の画像形成プログラム。
【請求項15】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項14に記載の画像形成プログラム。
【請求項16】
前記手順(C)は、前記ウォームアップ完了前に実行され、
前記手順(C)で、優先的に開始される前記ジョブは、前記ウォームアップ完了までに処理予定の部分と、残りの部分とに分割されることを特徴とする請求項15に記載の画像形成プログラム。
【請求項17】
前記残りの部分は、優先的に開始される前の順番で実行されることを特徴とする請求項16に記載の画像形成プログラム。
【請求項18】
前記後処理装置の前記ウォームアップは、製本用糊を溶融させるためのウォームアップであることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1つに記載の画像形成プログラム。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1つに記載の画像形成プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−179528(P2010−179528A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24128(P2009−24128)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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