説明

画像形成装置、画像形成装置用印刷消耗品、盗難抑止システム、印刷消耗品盗難抑止方法および制御プログラム

【課題】カードリッジなどの印刷消耗品の盗難を抑止することができる画像形成装置、画
像形成装置用印刷消耗品、盗難抑止システム、印刷消耗品盗難抑止方法および制御プログ
ラムを提供すること。
【解決手段】プリンタ識別情報PIDを記憶するROM70と、プリンタグループ識別情
報PGIDを設定するID設定部61と、プリンタ識別情報PIDおよびプリンタグルー
プ識別情報PGIDを登録識別情報RIDとしてカードリッジ21に登録するID登録部
62と、カードリッジ21に登録された登録識別情報RIDを照合するID照合部63と
、照合した結果に応じて、印刷を許可する印刷許可部64と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トナーカードリッジ、感光体などの印刷消耗品を装着し、印刷消耗品を用いて印刷する
画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどのプリンタでは、トナーカードリッジ、感光体、用紙などの部材に
ついてはユーザが交換・補充できるように、プリンタに着脱又は装填可能に構成されてい
ることが多い。これらの部材は着脱・装填自在が可能であるが故に、盗難にあってしまう
ことも想定される。
【0003】
そこで、用紙については、用紙を装填した給紙カセットの脱着を制限してロックするこ
とにより、盗難を防止することがある(特許文献1参照)。また、装填した用紙がなくな
るまで給紙カセットの取り出しを制限することにより盗難を防止することもある(特許文
献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−265172号公報
【特許文献2】特開2003−345191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1又は2に記載の技術は、トナーのカードリッジなど、用紙以
外の部材については想定していない。特許文献1又は2に記載の技術を、カードリッジに
適用してカードリッジの取り出しを制限したとしても、何らかの手段によりカードリッジ
を取り出して盗難されてしまうと、盗難されたカードリッジは他のプリンタで自由に使用
可能になってしまう。盗難したカードリッジが自由に使用可能である以上、盗難をなくす
ることは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、カードリッジなどの印刷消耗品の盗難を抑止することができる画像
形成装置、画像形成装置用印刷消耗品、盗難抑止システム、印刷消耗品盗難抑止方法およ
び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の
画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品の盗難を抑止する画像形成装置であって、印刷消
耗品を着脱自在に装着する装着手段と、装着手段に装着された印刷消耗品について、当該
印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別情報を、装着手段に装
着された印刷消耗品の記憶手段に登録する識別情報登録手段と、装着手段に装着された印
刷消耗品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、読み出した登録識別情報が当該画像形
成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合手段と、照合結果に応じて装着手段
に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許可手段と、を備えることを特徴と
する。
【0008】
この構成によれば、画像形成装置に装着された印刷消耗品の記憶手段には当該印刷消耗
品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別情報として記憶されるので、当
該登録識別情報が画像形成装置に対応しているか否かを照合することにより、当該画像形
成装置による印刷を許可された印刷消耗品を用いた印刷を行うことができる。一方、他の
画像形成装置に装着されていた印刷消耗品を盗難して当該画像形成装置に装着された場合
、当該印刷消耗品は当該画像形成装置による印刷が許可されていないので、印刷に用いる
ことができない。このように、印刷消耗品の記憶手段に記憶された登録識別情報に対応し
た画像形成装置でなければ、当該印刷消耗品を用いた印刷ができないので、印刷消耗品の
盗難を抑止することができる。
【0009】
なお、印刷消耗品としては、レーザプリンタのトナーカードリッジや感光体や廃トナー
の収容体、若しくはインクジェットプリンタのインクカードリッジなどが例として挙げら
れる。
【0010】
ここで、当該画像形成装置に固有の固有識別情報を予め記憶する固有識別情報記憶手段
をさらに備え、識別情報登録手段は、固有識別情報記憶手段から固有識別情報を読み出し
、読み出した固有識別情報を、登録識別情報として記憶部に登録し、識別情報照合手段は
、固有識別情報記憶手段から固有識別情報を読み出し、記憶手段から読み出した登録識別
情報と固有識別情報記憶手段から読み出した固有識別情報とを照合することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、印刷消耗品を装着した画像形成装置に固有の固有識別情報により照
合を行うので、当該印刷消耗品を用いた印刷は、固有識別情報を登録した画像形成装置に
対して許可される。盗難した印刷消耗品を当該画像形成装置に装着されたときには、当該
画像形成装置の固有識別情報が記録されていないので、当該印刷消耗品を用いた印刷が許
可されない。したがって、印刷消耗品の盗難を抑止することができる。
【0012】
ここで、複数の画像形成装置に対して装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を
許可するためのグループ識別情報を設定するグループ識別情報設定部を更に備え、識別情
報登録手段は、グループ識別情報を登録識別情報として記憶部に登録し、識別情報照合手
段は、記憶手段から読み出した登録識別情報とグループ識別情報設定部が設定したグルー
プ識別情報とを照合することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、グループ識別情報を設定された複数の画像形成装置からなる画像形
成装置群に対して当該印刷消耗品を用いた印刷を許可するので、設定された複数の画像形
成装置が当該印刷消耗品を用いた印刷を行うことができる。
【0014】
ここで、識別情報登録手段は、登録を許可された所定の条件を満たす場合に、登録を行
うことが好ましい。
【0015】
このようにすれば、印刷消耗品を盗難しても登録が許可されていない場合は、登録識別
情報が登録できないので、盗難した印刷消耗品を用いて印刷することができない。したが
って、盗難を抑止することができる。なお、登録を許可する条件としては、例えば、ユー
ザが設定したパスワード、指紋、声紋、虹彩などが予め設定されたものと一致することを
条件とすることが望ましい。
【0016】
また、本発明の画像形成装置用印刷消耗品は、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可され
た画像形成装置を示す情報を記憶するための記憶手段を有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、当該印刷消耗品の登録識別情報により印刷が許可された画像形成装
置以外の画像形成装置では当該印刷消耗品を用いた印刷ができなくなるので、印刷消耗品
の盗難を抑止することができる。
【0018】
また、本発明の盗難抑止システムは、情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の画
像形成装置間で交換可能な印刷消耗品の盗難を抑止する盗難抑止システムであって、印刷
消耗品を着脱自在に装着する装着手段、および装着手段に装着された印刷消耗品について
、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別情報を、装着手
段に装着された印刷消耗品の記憶手段に登録する識別情報登録手段を有する画像形成装置
と、印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段、装着手段に装着された印刷消耗品の記憶
手段から登録識別情報を読み出し、読み出した登録識別情報が当該画像形成装置に対応し
ているか否かを照合する識別情報照合手段、および照合結果に応じて装着手段に装着され
た印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許可手段を有する画像形成装置と、を備えるこ
とを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、識別情報照合手段および印刷許可手段を有する画像形成装置が、識
別情報登録手段を有する画像形成装置で登録された印刷消耗部材を用いて印刷するために
は、登録時の許可が必要であるので、印刷消耗品の盗難を抑止することができる。
【0020】
また、本発明は、複数の画像形成装置に装着可能であり情報を記憶するための記憶手段
を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品の盗難を抑止する画像形成装置で
あって、印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段と、装着手段に装着された印刷消耗品
について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別情報を
、装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段に登録する識別情報登録手段と、を備える
画像形成装置とすることもできる。
【0021】
この構成によれば、印刷消耗品の記憶手段に、当該印刷消耗品を用いた印刷を許可され
た画像形成装置を示す登録識別情報を登録するので、印刷消耗品の盗難を抑止することが
できる。
【0022】
また、本発明は、印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別情報を記憶した記憶手
段を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品の盗難を抑止する画像形成装置
であって、印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段と、装着手段に装着された印刷消耗
品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、当該登録識別情報が画像形成装置に対応して
いるか否かを照合する識別情報照合手段と、照合結果に応じて装着手段に装着された印刷
消耗品を用いた印刷を許可する印刷許可手段と、を備える画像形成装置とすることもでき
る。
【0023】
この構成によれば、当該画像形成装置による使用を許可していない印刷消耗品が装着さ
れても、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可されないので、印刷消耗品の盗難を抑止する
ことができる。
【0024】
また、本発明は方法の発明とすることもできる。すなわち、本発明は、情報を記憶する
ための記憶手段を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品を、着脱自在に装
着する装着手段を備える画像形成装置の印刷消耗品盗難抑止方法であって、装着手段に装
着された印刷消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を
示す登録識別情報を、装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段に登録する識別情報登
録工程と、装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、読
み出した登録識別情報が当該画像形成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合
工程と、照合結果に応じて装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷
許可工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明は、プログラムとすることもできる。すなわち、本発明のプログラムは
、情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品
を着脱自在に装着する装着手段を備える画像形成装置について、印刷消耗品の盗難を抑止
する制御を行うための制御プログラムであって、コンピュータを、装着手段に装着された
印刷消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す登録
識別情報を、装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段に登録する識別情報登録手段、
装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、読み出した登
録識別情報が当該画像形成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合手段、照合
結果に応じて装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許可手段、と
して機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、第1の実施形態に係るプリンタの構成を示した図である。図1に示すように、
プリンタ1はホストコンピュータ2に接続されており、印刷データ受信部10、カードリ
ッジ21が装着されるカードリッジ装着部20、印刷エンジン40を制御するエンジン制
御部30、および操作パネル50並びに、これらの各構成を制御するためのCPU60、
ROM70およびRAM80を備えている。また、これらの各構成はバスを介して相互に
データ授受可能に接続されている。
【0028】
印刷データ受信部10は、ホストコンピュータ2から送信された印刷データを受信する
インターフェイス部分であり、受信したデータはいったんRAM80に格納する。
【0029】
カードリッジ装着部20は、電子写真印刷においてトナーによる現像を行う現像ユニッ
ト(図示なし)の一部であり、トナーを内部に収納したカードリッジ21が着脱可能に装
着される部分である。装着されるカードリッジ21は、プリンタ1に固有の情報などを記
憶するためのメモリ22を有しており、メモリ22の記憶領域上には、後述する登録識別
情報RIDを記録するための記憶領域であるRID領域23が確保されている。カードリ
ッジ21がカードリッジ装着部20に装着されると、メモリ22とカードリッジ装着部2
0側の端子が電気的に接続されて、プリンタ1からメモリ22に対してデータを読み書き
可能な状態となる。
【0030】
エンジン制御部30は、CPU60からの制御に応じて印刷データに各種の変換処理を
行って印刷エンジン40に対応する形式の信号に変換し、印刷エンジン40に送信する処
理を行う。
【0031】
印刷エンジン40は、用紙などにトナーを定着させることにより実際に印刷を行う部分
であり、印刷エンジン40は、エンジン制御部30より受信した信号に応じて、カードリ
ッジ21に収納されたトナーを消費しながら印刷対象の用紙に印刷を行う。
【0032】
操作パネル50は、ユーザがプリンタ1を操作する部分であり、各種設定画面を表示す
る液晶パネルなどの表示部51およびユーザが入力操作を行うための各種スイッチ(図示
なし)を有している。
【0033】
ROM70は、プリンタ1を制御するための制御プログラムなどを記録している不揮発
性のメモリである。また、ROM70には、当該プリンタ1に固有の情報であるプリンタ
識別情報PIDが予め記憶されている。プリンタ識別情報PIDの例としては、シリアル
ナンバー、ユーザが設定したプリンタの名称、プリンタごとに設定した所定のパスワード
などが挙げられる。
【0034】
RAM80は、プリンタ1が行う処理においてワーキングメモリなどとして用いられる
汎用のメモリである。また、図1に示すように、RAM80のメモリ領域上にはプリンタ
グループ識別情報PGIDを記憶するためのPGID領域81および盗難防止パスワード
PWを記憶するためのPW領域82が確保されている。ここで、プリンタグループ識別情
報PGIDとは、カードリッジ21の使用を複数のプリンタに対して許可するために設定
される識別情報である。盗難防止パスワードPWとは、カードリッジ21の盗難を防止す
るため、カードリッジ21を使用するユーザを認証するためのパスワードである。
【0035】
CPU60は、プリンタ1の各構成を制御して本発明の特徴となる処理を行わせる部分
である。CPU60は、ROM70に記憶された制御プログラムを読み出して実行するこ
とにより、図1に示すように、識別情報設定部(以下、「ID設定部」という)61、識
別情報登録部(以下、「ID登録部」という)62、識別情報照合部(以下、「ID照合
部」という)63および印刷許可部64として機能する。
【0036】
ID設定部61は、プリンタグループ識別情報PGIDを設定する処理を行う。具体的
には、表示部51にプリンタグループ識別情報PGIDの設定画面を表示して、ユーザの
入力により決定したプリンタグループ識別情報PGIDを、RAM80のPGID領域に
書き込むようにして設定を行う。また、ID設定部61は、プリンタグループ識別情報P
GIDと同様にして、盗難防止パスワードPWを設定し、RAM80のPW領域82に書
き込む処理も行う。
【0037】
ID登録部62は、カードリッジ21のメモリ22のRID領域23にプリンタ識別情
報PIDおよび設定したプリンタグループ識別情報PGIDを登録識別情報RIDとして
書き込んで、カードリッジ21に登録識別情報RIDを登録する処理を行う。
【0038】
ID照合部63は、カードリッジ装着部20に装着されたカードリッジ21に登録され
た登録識別情報RIDを読み出して、登録識別情報RIDと当該プリンタ1の固有識別情
報およびプリンタグループ識別情報PGIDとを照合する処理を行う。
【0039】
印刷許可部64は、照合した結果に応じて装着されたカードリッジ21が盗難されたも
のでない場合に、エンジン制御部30に印刷を行ってもよい旨の許可を与える処理を行う

【0040】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1は、装着されたカードリッジ21に、登
録識別情報RIDを登録する処理と、カードリッジ21に登録された登録識別識別情報R
IDとプリンタ1に記録されたプリンタ識別情報PIDおよびプリンタグループ識別情報
PGIDとを照合して、印刷を許可する処理と、を行うものである。
【0041】
次に、本実施形態のプリンタ1が行う処理について詳細に説明する。
【0042】
ここで、プリンタ1が行う処理は、表示部51に表示される設定画面に従う入力操作を
トリガーにして実行するものであるので、設定画面から説明する。図2は、各種設定画面
の一例を示した図である。図2(a)は、設定内容を選択するための設定選択画面であり
、給紙装置、プリンタなど各種設定に加えて、カードリッジ21の盗難を抑止するための
「消耗品ガード設定」のメッセージが表示される。図2(a)の設定選択画面において、
ユーザが「消耗品ガード設定」のメッセージを選択して、操作パネル50の所定のスイッ
チを操作すると図2(b)に示す消耗品ガード設定画面が表示される。消耗品ガード設定
画面では、「盗難防止パスワード設定」、「プリンタ識別情報登録」、「プリンタ識別情
報解除」、「プリンタグループ識別情報登録」のメッセージが表示されて、操作パネル5
0の操作により選択可能になっている。これらのメッセージのうちから実行する処理のメ
ッセージを選択することにより、盗難を抑止するために行う各種の処理が実行される。
【0043】
以下、盗難防止パスワード設定処理、プリンタ識別情報登録処理、プリンタ識別情報解
除処理、プリンタグループ識別情報登録処理について順番に説明する。なお、盗難防止パ
スワード設定処理はID設定部61が行う処理、プリンタ識別情報登録処理およびプリン
タ識別情報解除処理はID登録部62が行う処理、プリンタグループ識別情報登録処理は
ID設定部61およびID登録部62が行う処理である。
【0044】
(盗難防止パスワード設定処理)
まず、盗難防止パスワード設定処理について説明する。消耗品ガード設定画面において
、「盗難防止パスワード設定」が選択されると、ID設定部61としてのCPU60は、
図3のフローチャートに従って盗難防止パスワード設定処理を開始する。盗難防止パスワ
ード設定処理を開始すると、まず、ステップS100において、CPU60は、従来より
設定されている盗難防止パスワード(以下、「従来パスワード」という)の入力をユーザ
に促す画面を表示部51に表示させる。ユーザが、表示された画面に従って操作パネル5
0のスイッチを操作して従来パスワードを入力すると、CPU60は入力された従来パス
ワードを取得する。
【0045】
次に、ステップS101では、CPU60は入力された従来パスワードが正しいか否か
を判断する。ここでは、RAM80の盗難防止パスワード記憶領域に記憶されたパスワー
ドと入力された従来パスワードとを照合して一致していれば、入力したパスワードが正し
いと判断して(Yes)、ステップS102に進む。パスワードが一致していない場合(
No)には、ステップS105に進む。
【0046】
ステップS101からS102に処理が進むと、CPU60は、表示部51に新たに設
定する盗難防止パスワード(以下、「新パスワード」という)を入力させる画面を表示さ
せる。ユーザが、表示された指示に従って操作パネル50を操作して新パスワードを入力
する操作を行うと、CPU60は入力された新パスワードを取得する。
【0047】
次に、ステップS103では、CPU60は、新パスワードを新しい盗難防止パスワー
ドPWとして設定し、RAM80のPW領域82に上書きする。
【0048】
次に、ステップS104では、盗難防止パスワードを正常に設定することができたので
、CPU60は正常終了に対応するフラグ(例えば、「0」)をRAM80の所定の領域
に記録して、盗難防止パスワード設定処理を終了する。
【0049】
また、ステップS101においてパスワードが一致していない場合(No)には、入力
したパスワードが誤っていると判断して、ステップS105に進み、表示部51に入力し
たパスワードが誤っている旨の不正表示を行う。そして、ステップS106において、盗
難防止パスワード設定処理が異常終了したことに対応するフラグ(例えば、「1」)をR
AM80の所定の領域に記録して、盗難防止パスワード設定処理を終了する。
【0050】
図4は、盗難防止パスワード設定処理においてメモリ領域の状態を示した図であり、プ
リンタ側のROM70およびRAM80、並びにカードリッジ側のメモリ22に記録され
たデータを示している。盗難防止パスワード設定処理を行う前については、図4(a)に
示すように、ROM70にプリンタ識別情報を記録され、メモリ22には、登録識別情報
RIDとして初期値である「0x00」が記録されている。盗難防止パスワード設定処理
において、新パスワードが設定されると、RAM80のPW領域82に盗難防止パスワー
ドPWが記録される(図4(b)参照)。一方、入力されたパスワードが従来パスワード
と一致していなかった場合には、新パスワードが設定されないので図4(a)に示す初期
状態のまま処理を終了する。
【0051】
(プリンタ識別情報登録処理)
次に、プリンタ識別情報登録処理について説明する。消耗品ガード設定画面において、
「プリンタ識別情報登録」を選択すると、ID登録部62としてのCPU60は図5のフ
ローチャートに従ってプリンタ識別情報登録処理を開始する。
【0052】
プリンタ識別情報登録処理を開始すると、まず、ステップS200では、CPU60は
、RAM80のPW領域82を参照して、盗難防止パスワードPWが設定されているか否
かを判断する。PW領域82に盗難防止パスワードPWが記録されていれば(Yes)、
CPU60は、ROM70からプリンタ識別情報PIDを読み出し(ステップS201)
、RAM80のPGID領域81からプリンタグループ識別情報PGIDを読み出して取
得してから(ステップS202)、ステップS203に進む。
【0053】
ステップS203では、盗難防止パスワードPWの認証を行う。ここでは、CPU60
は表示部51にパスワード入力画面を表示してユーザに盗難防止パスワードPWの入力操
作を行わせる。CPU60は入力されたパスワードとPW領域82に記録された盗難防止
パスワードPWを照合して一致していれば(Yes)ステップS204に進む。一致して
いなければ(No)、ステップS212に進んで、表示部51に登録が失敗した旨の表示
を行って、登録の失敗をユーザに通知してから、プリンタ識別情報登録処理を終了する。
【0054】
ステップS203においてパスワードの一致が確認されると、ステップS204におい
て、カードリッジ21が装着されているかを判断する。カードリッジ21が装着されてい
れば(Yes)、ステップS207の処理に進む。カードリッジ21が装着されていなけ
れば(No)、プリンタ識別情報PIDを登録することはできないので、ステップS21
2に進んで、登録の失敗をユーザに通知してから、プリンタ識別情報登録処理を終了する

【0055】
また、ステップS200において、盗難防止パスワードPWが記録されていなければ(
No)、ステップS205に進んで盗難防止パスワード設定処理を行ってから、ステップ
S206に進み、盗難防止パスワード設定処理が異常終了したか否かを判断する。盗難防
止パスワード設定処理においてRAM80に記憶したフラグを参照して異常終了していな
ければ(No)ステップS200に戻って再び判断を行う。異常終了していれば(Yes
)、ステップS212に進んで登録失敗の表示を行ってからプリンタ識別情報登録処理を
終了する。
【0056】
カードリッジ21が装着されている場合には、ステップS204からステップS207
に進んで、CPU60は、メモリ22のRID領域23から登録識別情報RIDを読み出
して、取得する。
【0057】
次に、ステップS208〜S210では、プリンタ識別情報PIDと登録識別情報RI
Dとが一致、又は登録識別情報RIDが初期値のままであるカードリッジ21に対して、
登録識別情報を登録する処理を行う。
【0058】
そのため、ステップS208では、CPU60は、プリンタ識別情報PIDとステップ
S207で取得した登録識別情報RIDとが一致するか否かを判断して、一致していれば
(Yes)ステップS209に進んで登録識別情報RIDの登録を行う。一致していなけ
れば(No)ステップS210に進んで、登録識別情報RIDが初期値となっているかを
判断して、初期値になっていれば(Yes)ステップS209に進んで登録識別情報RI
Dの登録を行う。初期値になっていなければ(No)ステップS212に進んで、登録失
敗の表示を行ってからプリンタ識別情報登録処理を終了する。
【0059】
ステップS208またはS210からステップS209に処理が進むと、CPU60は
、ID登録部62を制御して、プリンタ識別情報PIDを登録識別情報RIDとして、メ
モリ22のRID領域23に書き込むことにより、登録識別情報RIDを登録する。なお
、登録識別情報RIDをメモリ22に書き込む際には情報を暗号化して書き込むようにし
ている。
【0060】
登録を終えると、次に、ステップS211において、CPU60は図6に例として示す
登録成功の画面を表示部51に表示させてから、プリンタ識別情報登録処理を終了する。
【0061】
なお、図5のフローチャートに示したプリンタ識別情報登録処理は、ID登録部62が
行う処理であり、識別情報登録工程に相当する。
【0062】
図7は、プリンタ識別情報登録処理におけるメモリ領域の状態を示した図である。図7
に示すように、プリンタ識別情報登録処理ではROM70に記録されたプリンタ識別情報
PIDを読み出してメモリ22に書き込むことにより、プリンタ識別情報PIDが登録識
別情報RIDとしてメモリ22に記録される。すなわち、プリンタ識別情報登録処理では
、プリンタ側とカードリッジ側で、同一のプリンタ識別情報PIDを共有させる処理を行
っている。
【0063】
(プリンタ識別情報解除処理)
次に、プリンタ識別情報解除処理について説明する。消耗品ガード設定画面において、
「プリンタ識別情報解除」を選択すると、ID登録部62としてのCPU60はプリンタ
識別情報解除処理を開始する。
【0064】
プリンタ識別情報解除処理では、図5のフローチャートにて示したプリンタ識別情報登
録処理に対して、ステップS209の処理において、メモリ22のRID領域に初期値(
本実施形態では「0x00」)を登録する点が異なる。ステップS209以外の処理はプ
リンタ識別情報登録処理と同様である。したがって、プリンタ識別情報解除処理は、装着
されたカードリッジ21が当該プリンタ1で登録されたもの、あるいは初期設定状態のも
のである場合に限り、プリンタ識別情報PIDの登録を解除して、初期状態に戻す処理を
行う。
【0065】
(プリンタグループ識別情報登録処理)
次に、プリンタグループ識別情報登録処理について説明する。消耗品ガード設定画面に
おいて、「プリンタグループ識別情報登録」を選択すると、プリンタグループ識別情報登
録処理が開始される。以下、図8に示したフローチャートに従って説明する。なお、プリ
ンタ識別情報登録処理と同様の処理を含んでいるので、プリンタ識別情報登録処理と異な
る処理を中心に説明する。
【0066】
プリンタグループ識別情報登録処理を開始すると、CPU60は、プリンタ識別情報登
録処理と同様にして盗難防止パスワードが設定されていることを判断して(ステップS3
00)、設定されている場合(Yes)には、盗難防止パスワードPWをユーザに入力さ
せて、パスワードの照合を行う(ステップS301)。パスワードが一致していれば(Y
es)、ステップS302に進む。一致していなければ(No)、ステップS312に進
んで登録失敗の表示を行ってプリンタグループ識別情報登録処理を終了する。
【0067】
パスワードが一致していると、CPU60はROM70からプリンタ識別情報PIDを
読み出して取得する(ステップS302)。次に、CPU60は、プリンタグループ識別
情報PGIDの入力を促す画面を表示部51に表示させ、ユーザの入力操作に従って入力
されたプリンタグループ識別情報PGIDをRAM80のPGID領域に格納して、設定
を行う(ステップS303)。
【0068】
次に、ステップS304において、CPU60は、カードリッジ21を装着しているか
の判断を行う。カードリッジ21が装着されていなければ(No)、ステップS312に
進んで登録失敗の表示を行ってからプリンタグループ識別情報登録処理を終了する。
【0069】
カードリッジ21が装着されていれば(Yes)、カードリッジ21のメモリ22より
登録識別情報RIDを読み出して取得してから(ステップS307)、取得したプリンタ
識別情報PIDと登録識別情報RIDとが一致しているかの照合を行う(ステップS30
8)。照合した結果、一致していればステップS309に進み、一致していなければステ
ップS310に進む。
【0070】
ステップS310では、登録識別情報RIDが初期値となっているか否かを判断する。
初期値になっていれば(Yes)、ステップS309に進む。初期値になっていなければ
(No)、ステップS312に進んで登録失敗の表示を行ってからプリンタグループ識別
情報登録処理を終了する。
【0071】
ステップS308またはステップS310からステップS309に処理が進むと、CP
U60はプリンタ識別情報PIDおよびプリンタグループ識別情報PGIDを、登録識別
情報RIDとしてメモリ22のRID領域23に格納して、登録する。登録を終えると、
ステップS311において登録成功の画面を表示部51に表示してから、プリンタグルー
プ識別情報登録処理を終了する。
【0072】
なお、ステップS301〜S303はCPU60がID設定部61として行う処理であ
りグループ識別情報設定工程に相当する。ステップS304、S307〜S311はID
登録部62として行う処理であり識別情報登録工程に相当する。
【0073】
図9は、プリンタグループ識別情報登録処理におけるメモリ領域の状態を示した図であ
る。プリンタグループ識別情報登録処理では、まず、図9(a)に示すように、RAM8
0にプリンタグループ識別情報PGIDを記録するようにして設定する。そして、図9(
b)に示すように、プリンタ識別情報PIDおよびプリンタグループ識別情報PGIDを
メモリ22に書き込むことにより、登録識別情報RIDがメモリ22に記録される。した
がって、プリンタグループ識別情報登録処理では、プリンタ識別情報PIDおよびプリン
タグループ識別情報PGIDについて、プリンタ側とカードリッジ側で同一の情報を共有
する処理を行っている。
【0074】
以上に説明した、盗難防止パスワード設定処理、プリンタ識別情報登録処理、プリンタ
識別情報解除処理、プリンタグループ識別情報登録処理を行うことにより、カードリッジ
21のメモリ22に登録された登録識別情報RIDと、プリンタ1側のプリンタグループ
識別情報PIDおよびプリンタグループ識別情報PGIDとが対応した状態となる。
【0075】
しかしながら、カードリッジ21は、カードリッジ装着部20に着脱可能になっている
ので、当該プリンタ1で使用していたカードリッジを抜き出して、他のプリンタに装着さ
れたり、他のプリンタで使用していたカードリッジが抜き出されて当該プリンタ1に装着
されるようにして、カードリッジ21が交換されてしまうことがある。したがって、装着
されたカードリッジ21のメモリ22には、当該プリンタ1に対応するプリンタ識別情報
PIDおよびプリンタグループ識別情報PGIDがプリンタ識別情報PIDとして記憶さ
れていたり、又は他のプリンタについてのプリンタ識別情報PIDおよびプリンタグルー
プ識別情報PGIDが登録識別情報RIDとして登録されている状況が生じうる。そこで
、次に説明する印刷処理では、プリンタ1のプリンタ識別情報PIDおよびプリンタグル
ープ識別情報PGIDと、カードリッジ21の登録識別情報RIDとを照合して、当該プ
リンタが登録識別情報RIDを登録したカードリッジ21以外のカードリッジを用いた印
刷については、印刷を許可しないようにしている。以下、印刷処理について図10のフロ
ーチャートに従って説明する。
【0076】
印刷データ受信部10が、ホストコンピュータ2から印刷要求および印刷データを受け
取ると、印刷データをRAM80に格納してから印刷処理を開始する。印刷処理では、ま
ず、ステップS400において、CPU60はROM70からプリンタ識別情報PIDを
読み出して取得する。
【0077】
次に、ステップS401では、CPU60はRAM80のPGID領域81よりプリン
タグループ識別情報PGIDを読み出して取得する。
【0078】
次に、ステップS402では、CPU60はメモリ22のRID領域23より登録識別
情報RIDを読み出して取得する。
【0079】
次に、ステップS403〜S407の処理では、登録識別情報RIDがプリンタ識別情
報PID又はプリンタグループ識別情報PGIDに一致するか、又は登録識別情報RID
が初期値であるかの条件を判断して、条件を満たしている場合に印刷を実行させる処理を
行う。
【0080】
そのため、ステップS403では、CPU60は、登録識別情報RIDとプリンタ識別
情報PIDとが一致するか否かを判断して、一致していれば(Yes)ステップS404
の処理に進み、一致していなければ(No)ステップS405の処理に進む。
【0081】
ステップS405では、CPU60は、登録識別情報RIDが初期値であるか否かを判
断して、初期値であれば(Yes)ステップS404の処理に進み、初期値でなければ(
No)ステップS406の処理に進む。
【0082】
ステップS406では、CPU60は、登録識別情報RIDとプリンタグループ識別情
報PGIDとが一致するか否かを判断して、一致していれば(Yes)ステップS404
の処理に進み、一致していなければ(No)ステップS407の処理に進む。
【0083】
ステップS403、S405又はS406のいずれかの処理において、「Yes」と判
断されると、ステップS404に処理が進んで、CPU60は、エンジン制御部30に対
して受信した印刷データの印刷を許可する信号を送信する。印刷を許可されると、エンジ
ン制御部30はRAM80に格納された印刷データに各種処理を行って生成した画像信号
を印刷エンジン40に送信して印刷を行う。印刷を完了すると、印刷処理を終了する。
【0084】
ステップS403、ステップS405又はステップS406のいずれの処理においても
「No」と判断されるとステップS407に進んで、当該印刷データに対する印刷処理を
中止してから印刷処理を終了する。
【0085】
なお、ステップS400〜ステップS403、ステップS405およびステップS40
6がID照合部63が行う処理であり識別情報照合工程に相当する。ステップS404お
よびステップS407が印刷許可部64が行う処理であり印刷許可工程に相当する。
【0086】
以上に説明したように、印刷処理では、プリンタ側とカードリッジ側とについて、プリ
ンタ識別情報PIDと登録識別情報RIDが一致する場合、登録識別情報RIDが初期値
である場合、およびプリンタグループ識別情報PGIDと登録識別情報RIDが一致する
場合について、印刷の実行を許可するように制御している。
【0087】
以下、第1の実施形態における効果を記載する。
【0088】
(1)プリンタ1に固有のプリンタ識別情報PIDと、カードリッジ21に記録された
登録識別情報RIDとが一致する場合に印刷を許可しているので、当該プリンタでプリン
タ識別情報PIDを登録していないカードリッジ21については、当該カードリッジ21
を用いた印刷ができなくなる。他のプリンタで使用していたカードリッジは、当該プリン
タ1で使用することができないので、カードリッジ21の盗難を抑止することができる。
【0089】
(2)登録識別情報RIDが初期値である場合には印刷を許可しているので、プリンタ
に初めて装着されたカードリッジ21についても適切に対処することができる。
【0090】
(3)カードリッジ21を盗難しても、盗難防止パスワードPWを入力しなければ、登
録識別情報RIDを書き換えることができないので、他のプリンタで使用することがより
確実にできなくなり、カードリッジ21の盗難を抑止することになる。
【0091】
(4)プリンタ識別情報PIDと登録識別情報RIDとが一致しない場合も、ユーザが
設定したプリンタグループ識別情報PGIDが、プリンタ側とカードリッジ側で一致すれ
ば、印刷を許可しているので、ユーザが任意にプリンタグループ識別情報PGID設定し
たプリンタ間については、カードリッジ21を共有して用いることができる。すなわち、
ユーザが設定した任意なプリンタ間では、カードリッジ21を交換した使用が許容される
ので、便利である。
【0092】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、1台のプリンタ
がカードリッジ21への登録および印刷許可の判断を行っていた。第2の実施形態では、
カードリッジ21に登録するプリンタと、印刷許可の判断を行うプリンタと、を別にする
こともできる。すなわち、図11(a)に示すように、CPU60がID照合部63およ
び印刷許可部64として機能することなく、ID設定部61およびID登録部62として
機能するプリンタ100と、図11(b)に示すように、CPU60がID設定部61お
よびID登録部62として機能することなく、ID照合部63および印刷許可部64とし
て機能するプリンタ200と、からなる盗難抑止システム300である。
【0093】
盗難抑止システム300では、プリンタ100が、盗難防止パスワード設定処理、プリ
ンタ識別情報登録処理、プリンタ識別情報解除処理およびプリンタグループ識別情報登録
処理を行い、プリンタ200が印刷処理を行う。
【0094】
第2の実施形態に係る盗難抑止システム300によれば、プリンタ100で登録したカ
ードリッジ21は、他のプリンタ200で使用することができないので、プリンタ100
で登録したカードリッジ21の盗難を抑止することができる。
【0095】
以上、本発明の第1および第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施
の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形
態で実施することもできる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0096】
(変形例1)前記実施形態では、印刷消耗品として、トナーカードリッジの例について
説明した。本発明は、感光体、廃トナー収容体などの消耗品に適用可能である。
【0097】
(変形例2)前記実施形態では、印刷要求を受けたときに、カードリッジについて盗難
されたものであるかを判断して、印刷許可を与える処理を行った。印刷許可を与えるタイ
ミングとしては、例えば、カードリッジが装着されたときに判断を行うようにして、盗難
したカードリッジと判断すると、当該カードリッジを用いた印刷ができないようにプリン
タ1を設定することもできる。
【0098】
(変形例3)前記実施形態では、プリンタ識別情報PIDおよびプリンタグループ識別
情報PGIDの両方について判断する場合について説明した。処理の形態としては、勿論
、プリンタ識別情報PID、又はプリンタグループ識別情報PGIDの一方を用いた処理
形態とすることもできる。
【0099】
(変形例4)前記実施形態では、盗難防止パスワードPWによる認証の結果、プリンタ
識別情報PIDまたはプリンタグループ識別情報PGID登録を許可している。認証方法
としては、パスワードの他、ユーザの指紋、声紋、虹彩などが設定された所定の条件を満
たすかを照合することにより行ってもよい。
【0100】
(変形例5)前記実施形態では、ソフトウェアにより処理を実現する構成とした。本発
明は、これに限られることなく、ID設定部61、ID登録部62、ID照合部63、印
刷許可部64が行う処理をハードウェア回路により実現してもよい。
【0101】
(変形例6)前記実施形態では、プリンタ識別情報PIDおよびプリンタグループ識別
情報PGIDを設定する構成とした。本発明は、プリンタ識別情報PIDまたはプリンタ
グループ識別情報PGIDのいずれか一方だけを設定して、照合する構成としてもよい。
【0102】
(変形例7)画像形成装置として、レーザプリンタを例として説明した。本発明は、こ
れに限られることなく、複写機、ファックスなどにも適用することもできる。また、イン
クジェットプリンタなどの他の方式のプリンタであってもよく、この場合は、インクカー
ドリッジが印刷消耗品に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1の実施形態に係るプリンタの構成を示した図。
【図2】設定画面の一例を示した図。(a)は設定選択画面、(b)は消耗品ガード設定画面を示した図。
【図3】盗難防止パスワード設定処理の処理の流れを示したフローチャート図。
【図4】盗難防止パスワード設定処理におけるメモリ領域の状態を示した図。(a)は盗難防止パスワード設定処理前、(b)は盗難防止パスワード設定処理後の状態を示した図。
【図5】プリンタ識別情報登録処理の処理の流れを示したフローチャート図。
【図6】登録成功の画面を示した図。
【図7】プリンタ識別情報登録処理におけるメモリ領域の状態を示した図。
【図8】プリンタグループ識別情報登録処理の処理の流れを示したフローチャート図。
【図9】プリンタグループ識別情報登録処理におけるメモリ領域の状態を示した図、(a)、(b)は処理中のメモリ領域の状態を示した図。
【図10】印刷処理の処理の流れを示したフローチャート図。
【図11】第2の実施形態に係るプリンタを示した図。(a)、(b)はプリンタの構成を示した図。
【符号の説明】
【0104】
1…画像形成装置としてのプリンタ、2…ホストコンピュータ、10…印刷データ受信
部、20…装着手段としてのカードリッジ装着部、21…印刷消耗品としてのカードリッ
ジ、22…記憶手段としてのメモリ、23…RID領域、30…エンジン制御部、40…
印刷エンジン、50…操作パネル、51…表示部、60…コンピュータとしてのCPU、
61…識別情報設定手段としての識別情報設定部、62…識別情報登録手段としての識別
情報登録部、63…識別情報照合手段としての識別情報照合部、64…印刷許可手段とし
ての印刷許可部、70…固有識別情報記憶手段としてのROM、80…RAM、100,
200…第2の実施形態に係るプリンタ、300…盗難抑止システム、PID…固有識別
情報としてのプリンタ識別情報、PGID…グループ識別情報としてのプリンタグループ
識別情報、RID…登録識別情報、PW…盗難防止パスワード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品
の盗難を抑止する画像形成装置であって、
前記印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段と、
前記装着手段に装着された印刷消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可さ
れた画像形成装置を示す登録識別情報を、前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手
段に登録する識別情報登録手段と、
前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、前記読
み出した登録識別情報が当該画像形成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合
手段と、
照合結果に応じて前記装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許
可手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
当該画像形成装置に固有の固有識別情報を予め記憶する固有識別情報記憶手段をさらに
備え、
前記識別情報登録手段は、前記固有識別情報記憶手段から固有識別情報を読み出し、前
記読み出した固有識別情報を、前記登録識別情報として前記記憶部に登録し、
前記識別情報照合手段は、前記固有識別情報記憶手段から固有識別情報を読み出し、前
記記憶手段から読み出した登録識別情報と前記固有識別情報記憶手段から読み出した固有
識別情報とを照合することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
複数の画像形成装置に対して前記装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可
するためのグループ識別情報を設定するグループ識別情報設定部を更に備え、
前記識別情報登録手段は、前記グループ識別情報を登録識別情報として前記記憶部に登
録し、
前記識別情報照合手段は、前記記憶手段から読み出した登録識別情報と前記グループ識
別情報設定部が設定したグループ識別情報とを照合することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置に装着可能な印刷消耗品であって

前記識別情報登録手段は、登録を許可された所定の条件を満たす場合に、登録を行うこ
とを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置に装着可能な印刷消耗品であって

当該印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す情報を記憶するための記
憶手段を有することを特徴とする画像形成装置用印刷消耗品。
【請求項6】
情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品
の盗難を抑止する盗難抑止システムであって、
前記印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段、および前記装着手段に装着された印刷
消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別
情報を、前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段に登録する識別情報登録手段を
有する画像形成装置と、
前記印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段、前記装着手段に装着された印刷消耗品
の記憶手段から登録識別情報を読み出し、前記読み出した登録識別情報が当該画像形成装
置に対応しているか否かを照合する識別情報照合手段、および照合結果に応じて前記装着
手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許可手段を有する画像形成装置
と、を備えることを特徴とする盗難抑止システム。
【請求項7】
複数の画像形成装置に装着可能であり情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の画
像形成装置間で交換可能な印刷消耗品の盗難を抑止する画像形成装置であって、
前記印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段と、
前記装着手段に装着された印刷消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可さ
れた画像形成装置を示す登録識別情報を、前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手
段に登録する識別情報登録手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
印刷が許可された画像形成装置を示す登録識別情報を記憶した記憶手段を有し、複数の
画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品の盗難を抑止する画像形成装置であって、
前記印刷消耗品を着脱自在に装着する装着手段と、
前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段から前記登録識別情報を読み出し、当
該登録識別情報が前記画像形成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合手段と

照合結果に応じて前記装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許
可手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
情報を記憶するための記憶手段を有し、情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の
画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品を、着脱自在に装着する装着手段を備える画像形
成装置の印刷消耗品盗難抑止方法であって、
前記装着手段に装着された印刷消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可さ
れた画像形成装置を示す登録識別情報を、前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手
段に登録する識別情報登録工程と、
前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、前記読
み出した登録識別情報が当該画像形成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合
工程と、
照合結果に応じて前記装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許
可工程と、を備えることを特徴とする印刷消耗品盗難抑止方法。
【請求項10】
情報を記憶するための記憶手段を有し、複数の画像形成装置間で交換可能な印刷消耗品
を着脱自在に装着する装着手段を備える画像形成装置について、前記印刷消耗品の盗難を
抑止する制御を行うための制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記装着手段に装着された印刷消耗品について、当該印刷消耗品を用いた印刷が許可さ
れた画像形成装置を示す登録識別情報を、前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手
段に登録する識別情報登録手段、
前記装着手段に装着された印刷消耗品の記憶手段から登録識別情報を読み出し、前記読
み出した登録識別情報が当該画像形成装置に対応しているか否かを照合する識別情報照合
手段、
照合結果に応じて前記装着手段に装着された印刷消耗品を用いた印刷を許可する印刷許
可手段、として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−133061(P2007−133061A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324378(P2005−324378)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】