説明

画像形成装置、記録媒体の搬送制御方法及びプログラム

【課題】 画像形成過程(転写、定着及び排出)で行う記録用紙の一連の搬送動作を、安定した排出につながるように行うこと。
【解決手段】 用紙が転写・定着動作を経て、定着ローラを通過した後(S210)では、用紙と転写・定着動作との間に動作関係が無くなるので、このタイミングで転写時における搬送速度に合わせていた排出ローラの回転速度を上げ(S211)、記録用紙を安定して排出する動作を、転写・定着動作に影響させることなく、行わせる。連続印刷で後続する用紙に対し、用紙が排出ローラの作用を受ける前に、定着ローラの転写動作時の速度に合わせるように、上げた速度を元に戻す動作を行わせ(S215)、速度の不整合による不具合を起こさないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体(用紙)にトナー像を形成するプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に関し、より詳細には、転写、定着及び排出の過程で行われる記録媒体の一連の搬送動作を安定した排出につながるように制御することが可能な画像形成装置、記録媒体の搬送制御方法及び記録媒体の搬送制御を行うためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置では、高速性能の比較的大型の装置は、電子写真プロセスを経て記録媒体(以下「用紙」という)にトナー像を形成するものが主流である。
この種の画像形成装置は、感光体面を主・副走査方向に2次元の走査露光を行い、生成した静電潜像にトナーを付着・現像させ、形成したトナー像を用紙に転写し、用紙に転写されたトナー像の加熱・定着を経て出力する、という流れで印刷を行う(下記特許文献1、参照)。
この流れでは、2次元の走査露光における副走査が、感光体の移動(感光体ドラムの回転)により行われるので、感光体面に形成したトナー像の転写は、感光体の移動に同期した速度で用紙を搬送しながら行う。
また、転写の後段で行う定着及び排紙においても、前段からの一連の動作として、転写時の搬送速度で用紙搬送を行う方法が、通常採られている。これは、転写、定着、排出いずれの工程でも搬送は、搬送用のローラ間に用紙を挟んで送るので、例えば、1枚の用紙に前後の搬送用のローラが同時に作用する場合に搬送速度が前後のローラで異なると、用紙に無理な力が掛かる等の異常が生じることを避けるためである。
【特許文献1】特開2002−145507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のように、定着、排出に至る用紙の搬送速度を、感光体を副走査させる移動速度に同期した速度とし、この速度で排出ローラを駆動し、排出動作を行うと、用紙を積載場所に排出する力が足りずに、安定して積載場所に排出することができず、最悪の場合、排出ローラに用紙を挟んだ状態で停止してしまう、という不具合が起きる。
この不具合が起きる要因は、用紙の種類によって、例えば、厚みや重さ、吸湿性、ローラと用紙の力の伝わり具合等が異なり、温度・湿度などの装置の使用環境によっても用紙の性質が変化すること、或いは、排出ローラに掛かる負荷の変動による影響を受けることが考えられる。なお、排出ローラに掛かる負荷の変動は、用紙自体の違いのほか、上記した特許文献1のように、排紙装置に用紙のカールを矯正する手段を備えた場合に、こうした手段によって負荷が増す場合も考えられる。
【0004】
しかしながら、上記した排出動作の不具合を解消する方法が現状では無く、有効な解決方法が提案されることが期待されている。
本発明は、当該画像形成装置の上記した現状に鑑みなされたもので、その目的は、画像形成過程で行う記録媒体の一連の搬送動作を、安定した排出につながるように行うことにある。
また、上記の課題を解決するために、排出時に排出ローラの回転を上げる制御を行うが、このために、連続印刷時の画像形成過程の動作に新たに生じる不整合を解決することを更なる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、記録媒体を搬送し、かつ該記録媒体に像担持体に形成されたトナー像を転写する転写ローラを有する転写手段と、前記転写手段によってトナー像が転写された記録媒体を搬送し、かつ該記録媒体に転写されたトナー像の加熱・定着を行う定着ローラを有する定着手段と、前記定着手段によってトナー像が定着された記録媒体を搬送する排出ローラを有する排出手段と、前記排出ローラ、前記定着ローラ及び前記転写ローラを駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、記録媒体が転写ローラを通過した後に、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせていた前記排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせることを特徴とする。
請求項2の発明は、搬送される前記記録媒体の通過を検出する通過検出手段を有し、前記駆動手段が、前記排出ローラ及び前記定着ローラを駆動する第1の駆動手段と前記転写ローラを駆動する第2の駆動手段よりなる請求項1に記載された画像形成装置において、前記通過検出手段は、記録媒体が前記転写ローラを通過したことを検出する手段であり、前記制御手段は、前記通過検出手段によって通過が検出されたタイミングで前記第1の駆動手段を制御し、前記排出ローラ及び前記定着ローラの回転速度を上げる動作を行わせることを特徴とする。
請求項3の発明は、搬送される前記記録媒体の到来を検出する到来検出手段を有する請求項2に記載された画像形成装置において、前記到来検出手段は、記録媒体が前記定着ローラに到来したことを検出する手段であり、前記制御手段は、連続印刷時に前記到来検出手段によって後続する記録媒体の到来が検出されたタイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせることを特徴とする。
請求項4の発明は、搬送される前記記録媒体の通過を検出する通過検出手段を有し、前記駆動手段が、前記排出ローラのみを駆動する排出ローラ専用の駆動手段と前記転写ローラと定着ローラを駆動する他の駆動手段よりなる請求項1に記載された画像形成装置において、前記通過検出手段は、記録媒体が前記定着ローラを通過したことを検出する手段であり、前記制御手段は、前記通過検出手段によって通過が検出されたタイミングで前記排出ローラ専用の駆動手段を制御し、前記排出ローラの回転速度を上げる動作を行わせることを特徴とする。
請求項5の発明は、搬送される前記記録媒体の到来を検出する到来検出手段を有する請求項4に記載された画像形成装置において、前記到来検出手段は、記録媒体が前記排出ローラに到来したことを検出する手段であり、前記制御手段は、連続印刷時に前記到来検出手段によって後続する記録媒体の到来が検出されたタイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、前記通過検出手段及び到来検出手段は、搬送される記録媒体の有無を検出するセンサの出力の変化によって、通過及び到来を検出する手段であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置において、前記排出ローラは、搬送する記録媒体の搬送方向の後方端部に当接する凸部をローラ面に有することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置において、前記排出ローラは、中心部の径に比べ端部を大径としたローラ面に有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載された画像形成装置において、記録媒体の属性と、当該属性に対応して前記排出時動作を適正化するために設定する前記排出ローラの回転速度の関係を定めたデータベースを備え、前記制御手段は、前記排出時動作を行う際に、使用する記録媒体により前記データベースを参照し、得られる回転速度を前記排出ローラの回転速度を上げるときの制御条件として設定することを特徴とする。
請求項10の発明は、コンピュータを請求項1乃至9のいずれかに記載された画像形成装置における前記制御手段として機能させるためのプログラムである。
請求項11の発明は、請求項10に記載されたプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体である。
請求項12の発明は、像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段の有する転写ローラ、記録媒体に転写されたトナー像の加熱・定着を行う定着手段の有する定着ローラ及びトナー像が定着された記録媒体を排出する排出手段の有する排出ローラの駆動手段を制御することにより、記録媒体にトナー像を形成する過程における記録媒体の搬送を制御する搬送制御方法であって、記録媒体が転写ローラを通過した後に、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせていた前記排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせるように、前記駆動手段を制御することを特徴とする。
請求項13の発明は、前記排出ローラ及び前記定着ローラを第1の駆動手段で駆動し、前記転写ローラを第2の駆動手段で駆動する請求項12に記載された搬送制御方法において、前記転写ローラを記録媒体が通過したことを検出し、この検出タイミングで、前記排出ローラ及び前記定着ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせるように、前記第1の駆動手段を制御することを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項13に記載された搬送制御方法において、連続印刷時に前記定着ローラに記録媒体が到来したことを検出し、この検出タイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせるように、前記第1の駆動手段を制御することを特徴とする。
請求項15の発明は、前記排出ローラを排出ローラ専用の駆動手段で駆動し、前記転写ローラと定着ローラを他の駆動手段で駆動する請求項12に記載された搬送制御方法において、前記定着ローラを記録媒体が通過したことを検出し、この検出タイミングで、前記排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせるように、前記排出ローラ専用の駆動手段を制御することを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項15に記載された搬送制御方法において、連続印刷時に前記排出ローラに記録媒体が到来したことを検出し、この検出タイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせるように、前記排出ローラ専用の駆動手段を制御することを特徴とする。
請求項17の発明は、記録媒体の属性と、当該属性に対応して前記排出時動作を適正化するために設定する前記排出ローラの回転速度の関係を定めたデータベースを利用する請求項13乃至15のいずれかに記載された搬送制御方法において、前記排出時動作を行う際に、使用する記録媒体により前記データベースを参照し、得られる回転速度を前記排出ローラの回転速度を上げるときの制御条件として設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、記録媒体が転写ローラを通過した後に、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせていた排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出に必要な速度を与えるように制御することで、積載場所に安定した排出を行うことができる。
また、連続印刷時に、後続の記録媒体の到来を検出し、排出時動作を行わせるために排出ローラもしくは定着ローラで上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせることによって、画像形成過程の転写、定着及び排出の間における一連の記録媒体の搬送動作を正常な状態で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の画像形成装置に係る実施形態を示す。
この実施形態の画像形成装置は、いわゆる電子写真法によって記録媒体(以下「記録用紙」或いは単に「用紙」という)に画像を形成する装置である。
この実施形態の電子写真法による画像形成装置では、感光体面を主・副走査方向に2次元で走査露光を行い、生成した静電潜像にトナーを付着・現像させ、形成したトナー像を記録用紙に転写し、記録用紙に転写されたトナー像の加熱・定着を行う、という基本的な画像形成過程を経て記録用紙に画像を形成する。
なお、上記した基本過程に従って、記録用紙に画像を形成するための装置構成は、本発明の課題と直接関係がなく、公知技術を用いることにより実施することができるので、以下の説明では詳細な説明は省き、本発明の課題と直接関係する記録用紙の搬送に係る部分の構成を中心に説明をする。
【0008】
ここで課題とする記録用紙の搬送は、転写過程以降に行われる用紙搬送である。
つまり、感光体ドラムに生成されたトナー像が、該ドラムの回転により転写位置に来るタイミングに合わせて、給紙部から供給された記録用紙を転写部に送り込み、転写ローラに挟持させてから、転写及び定着を経て、該用紙が排出されるまでの搬送過程である。
この搬送過程では、3つのローラが搬送に係る。1つは、感光体ドラムの回転に同期した搬送速度でモータにより駆動され、転写位置で該ドラムとの間で記録用紙を挟持し、搬送を行う転写ローラである。
なお、転写ローラに給紙される記録用紙は、一旦転写部の手前のレジスト位置で停止させた後、感光体ドラム上のトナー像が転写位置に来るタイミングに合わせて送りが掛けられ、転写部の感光体ドラムと転写ローラの間に挿入される。また、記録用紙へのトナー像の転写は、感光体ドラムから直接ではなく、中間転写ベルト等の中間転写体を介して行ってもよい。
【0009】
2つ目のローラは、転写部でトナー像が転写された記録用紙を受取る定着部の定着ローラである。定着ローラは、転写されたトナーを記録用紙に定着させるために、対をなすローラ間で該用紙を挟持し、加熱しながら圧力を加えるとともに、搬送手段としては、転写部から受取った記録用紙を後段の排紙部の排出ローラに渡す。排出ローラは、搬送速度を制御できるモータにより駆動される。なお、この搬送制御については、本実施形態の主要部になるので、後記で詳述する。
3つ目のローラは、定着部でトナー像が定着された記録用紙を受取る排紙部の排出ローラである。排出ローラは、定着により画像形成の済んだ記録用紙を排出するために、対をなすローラ間で記録用紙を挟持し、用紙の積載位置に排出する。排出ローラは、搬送速度を制御できるモータにより駆動される。なお、この搬送制御については、本実施形態の主要部になるので、後記で詳述する。
【0010】
従来から、転写ローラ、定着ローラ及び排出ローラを用いる転写過程以降の用紙搬送は、行われている。ただ、感光体ドラム面から記録用紙へのトナー像の転写は、感光体の移動に同期した速度で用紙を搬送しながら行い、また、転写の後段で行う定着及び排出においても、前段からの一連の動作として、転写時の搬送速度で用紙の搬送・排出を行う方法が、通常採られている。
これは、転写、定着及び排出のどの過程でも搬送は、搬送用のローラとして働く転写ローラ、定着ローラ及び排出ローラに用紙を挟んで送るので、例えば、1枚の用紙に前後のローラが同時に作用する場合に、搬送速度が前後のローラで異なると、用紙に無理な力が掛かる等の異常が生じることを避けるためである。
このため、最終段の排出ローラで排出動作に必要な搬送速度が足りなくなり、不安定な排出となる不具合が起きかねない。
【0011】
そこで、この実施形態では、転写動作に影響が及ばない状態で排出ローラの搬送速度を上げる制御を行うことで、上記の不具合が起きること無く、安定した用紙の排出を行える用紙搬送の制御系を構成する。
以下の実施形態では、転写ローラ、定着ローラ及び排出ローラを駆動するモータとして、転写ローラについては、独自に1台のモータをあてるが、定着ローラと排出ローラについては、モータ1台で両方のローラを駆動する形態(実施形態1)と、定着ローラと排出ローラにもそれぞれ1台のモータをあてる形態(実施形態2)を示す。
【0012】
「実施形態1」
図1は、この実施形態の画像形成装置における記録用紙の搬送手段及びその制御系に係る構成を示したブロック図である。
図1の構成において、転写部1の転写ローラ1rと、定着部2の定着ローラ2rと、排紙部3の排出ローラ3rが、転写、定着を経て排出される記録用紙を搬送するローラである。なお、転写、定着を経て、用紙積載部4に排出される記録用紙に対する転写ローラ1r、定着ローラ2r及び排出ローラ3r、それぞれの画像形成過程における役割は、上記で説明した通りである。
この実施形態では、転写ローラ1rは、独自に1台のモータII6によって駆動され、定着ローラ2rと排出ローラ3rは、モータI5の1台で両方のローラを駆動する。
モータII6及びモータI5は、それぞれモータドライバ(回路)7によって駆動される。
【0013】
また、モータドライバ7は、CPU(Central Processing Unit)8とROM(Read Only Memory)9よりなる制御部よって制御される。この制御部は、本画像形成装置全体を制御するシステム制御部、或いは該システム制御部の制御下で動作するモータII6及びモータI5に専用の制御部として構成する。
制御部のCPU8は、ROM9に記憶したプログラムに基づき、モータドライバ7を介して、モータII6及びモータI5を駆動するタイミングや回転速度を制御する。なお、ROM9に記憶したデータには、後記する記録用紙の搬送制御(図2のフローチャート)を実行するプログラムが含まれる。
【0014】
本実施形態における記録用紙の搬送制御では、転写動作に影響が及ばない状態で排出ローラ3rの搬送速度を上げる制御を基本動作として行う。この動作は、記録用紙が転写ローラ1rを通過した後では、記録用紙と転写部1との間に動作関係が無くなり、転写動作に影響が及ばない状態となるので、このタイミングで、転写時における記録用紙の搬送速度に合わせていた排出ローラ3rの回転速度を上げ、記録用紙の排出時動作を行わせる。
この動作を行わせるためには、記録用紙の転写ローラ1rの通過を何らかの方法で知る必要がある。本実施形態では、この方法として記録用紙の通過を検出する手段を設ける。
記録用紙の通過を検出する手段は、搬送される記録用紙の有無を検出するセンサの出力の変化によって、通過を検出する手段で、センサを置いた位置に記録用紙が有るON状態から、該用紙が搬送されて、無いOFF状態にセンサ出力が変化した場合に、通過を検出する。
この通過検出を行うためのセンサは、転写ローラ1rの近傍で定着部側に紙検出センサ10として設ける。なお、搬送制御動作との関係は、下記の図2のフローチャートに関する説明で述べる。
【0015】
また、本実施形態では、基本動作として行った排出ローラ3rの搬送速度を上げる制御の後、このままの動作状態を続けると、排出ローラ3rと同じ速度で回転する定着ローラ2rと転写ローラ1rとの間に搬送速度の差ができ、連続印刷時において、不具合が起きる。つまり、後続する記録用紙は、1枚の用紙に転写ローラ1rと定着ローラ2rが同時に作用する状態になって、搬送速度差により記録用紙の搬送が正常にできなくなる。この搬送速度の不整合を無くすためには、記録用紙が定着ローラ2rの作用を受ける前に、転写ローラ1rの速度に合わせるように、上げた速度を元に戻す動作を行わせる。
この動作を行わせるためには、記録用紙の定着ローラ2rへの到来を何らかの方法で知る必要がある。本実施形態では、この方法として記録用紙の到来を検出する手段を設ける。
記録用紙の到来を検出する手段は、搬送される記録用紙の有無を検出するセンサの出力の変化によって、通過を検出する手段で、センサを置いた位置に記録用紙が無いOFF状態から、該用紙が搬送されて来て、有るON状態にセンサ出力が変化した場合に、到来を検出する。なお、センサそのものは、上記した通過検出に用いるものと同じである。
この到来を行うためのセンサは、定着ローラ2rの近傍で転写部側に紙検出センサ11として設ける。なお、搬送制御動作との関係は、下記の図2のフローチャートに関する説明で述べる。
【0016】
次に、転写部に給紙された記録用紙が、転写及び定着を経て、排出される間に、排出ローラ3rの回転速度を変更する用紙搬送の制御動作を制御フローに従い説明する。
ここに示す制御フローは、連続印刷時の動作に対応し得るもので、排出ローラの回転速度は、用紙が転写ローラ1rを通過したタイミングで、転写動作時の回転速度から排出動作時の回転速度に変更し、用紙排出を安定して行えるようにし、さらに、後続する用紙が定着ローラ2rに到来したタイミングで変更した回転速度を元の転写動作時に戻し、転写時に不具合が起きないようにする制御を行う。
【0017】
図2は、この実施形態の制御フローを示すフローチャートである。
図2の制御フローは、操作部(不図示)或いは通信手段(不図示)を通して処理を要求するJOBの入力が行われると、これに応じて起動される。
起動後、まず、JOBが連続印刷JOBであることを確認して、この制御フローの次のステップに進む(ステップS101)。連続印刷JOBであることは、JOBがコピーであれば、既に原稿読取が行われているので、その結果によって複数ページであることがわかり、また、JOBがプリント出力であれば、そのコマンドを解読することにより複数ページであることが分かるので、この結果により確認する。
【0018】
連続印刷JOBの開始後、モータII6の駆動を開始し(ステップS102)、モータII6の動力を受ける転写ローラ1rが回転を開始する(ステップS103)。
続いてモータI5の駆動を開始し(ステップS104)、モータI5の動力を受ける排出ローラ3rと定着ローラ2rとが回転を開始する(ステップS105)。このとき、排出ローラ3rと定着ローラ2rの回転速度が転写ローラ1rの回転速度と同じになるように、モータI5を駆動する。
転写ローラ1rの搬送により1枚目の記録用紙の先端が転写ローラ1rを通り抜け、転写ローラ1rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ10に達すると、このセンサがONする(ステップS106)。
さらに、1枚目の記録用紙の先端が定着ローラ2rの近傍で転写部側に設けた紙検出センサ11に達すると、このセンサがONする(ステップS107)。
【0019】
記録用紙が転写ローラ1rと定着ローラ2rの両方のローラの作用を受けた状態を続けた後、記録用紙の後端が転写ローラ1rを通り抜け、転写ローラ1rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ10に達すると、このセンサがOFFする(ステップS108)。
この紙検出センサ10におけるONからOFFへの変化によって、記録用紙の後端が転写ローラ1rを通り抜けたことが認識できるので、ここで、1枚目の記録用紙の排出動作を行わせるために、排出ローラ3rと定着ローラ2rを回転させるモータI5の回転速度を上げる制御を掛ける(ステップS109)。
この後、定着ローラ2rの近傍で転写部側に設けた紙検出センサ11におけるONからOFFへの変化によって、1枚目の記録用紙がこのセンサを通過したことを認識する(ステップS110)。この検出動作は、2枚目の記録用紙へ対応するために行うので、モータI5の制御は、回転速度を上げたままの状態を継続させる。
【0020】
次に、2枚目の記録用紙へ対応するための動作を行う。
先ず、1枚目の記録用紙の通過で、転写ローラ1rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ10がOFFになっているので、このセンサのONへの変化によって、2枚目の記録用紙の先端が到来したことを認識する(ステップS111)。
次いで、2枚目の記録用紙の先端が、定着ローラ2rの近傍で転写部側に設けた紙検出センサ11に達し、1枚目の記録用紙の通過で、OFFになっているこのセンサをONにする(ステップS112)。
この紙検出センサ11のOFFからONへの変化によって、2枚目の記録用紙の先端が到来したことが認識できるので、ここで、2枚目の記録用紙の転写動作に合わせた速度で搬送を行わせるために、上げていた排出ローラ3rと定着ローラ2rを回転させるモータI5の回転速度を元の速度に戻す制御を掛ける(ステップS113)。
【0021】
この後、2枚目の記録用紙に対する制御動作は、1枚目と同様の制御フローになる。即ち、ステップS108からステップS113までの制御フローをループ動作で繰り返し行う。
このループ動作で、連続印刷の最後の1枚がこの制御フローに従って処理されると、ステップS108において、転写ローラ1rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ10がOFFした後、後続する記録用紙が来ないので、このセンサは、ステップS111でONになるのを待っても、ON状態にならない。
この状態になることは、予め印刷枚数が分かっているので、印刷済みの枚数をカウントする等の方法で管理することによって、認識できる。
従って、予定の枚数の印刷が実行されたことを認識したときには、ステップS110において、定着ローラ2rの近傍で転写部側に設けた紙検出センサ11がOFFしたことを確認した後、ステップS111における、転写ローラ1rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ10がONになるのを待つこと無く、このループ動作を抜け、駆動させた各モータの停止等、連続印刷JOBの終了時に必要な動作を行い(ステップS114)、この制御フローを終える。
【0022】
「実施形態2」
図3は、この実施形態の画像形成装置における記録用紙の搬送手段及びその制御系に係る構成を示したブロック図である。
図3の構成において、転写部1の転写ローラ1r、定着部2の定着ローラ2r及び排紙部3の排出ローラ3rが、転写、定着を経て排出される記録用紙を搬送するローラであり、これらのローラの画像形成過程における役割は、先に説明した通りである。
この実施形態では、転写ローラ1rは、モータII6によって駆動され、上記実施形態1と同様であるが、定着ローラ2rは、モータIII5”によって駆動され、また、排出ローラ3rは、モータI5’によって駆動され、それぞれのローラが専用のモータで駆動される点が、上記実施形態1と異なる。
従って、モータII6、モータI5’及びモータIII5”は、それぞれモータドライバ7’によって駆動される。
【0023】
また、モータドライバ(回路)7’は、CPU(Central Processing Unit)8とROM(Read Only Memory)9よりなる制御部よって制御される。この制御部は、本画像形成装置全体を制御するシステム制御部、或いは該システム制御部の制御下で動作するモータII6、モータI5’及びモータIII5”に専用の制御部として構成する。
制御部のCPU8は、ROM9に記憶したプログラムに基づき、モータドライバ7’を介して、モータII6、モータI5’及びモータIII5”を駆動するタイミングや回転速度を制御する。なお、ROM9に記憶したデータには、後記する記録用紙の搬送制御(図4のフローチャート)を実行するプログラムが含まれる。
【0024】
本実施形態における記録用紙の搬送制御では、転写及び定着動作に影響が及ばない状態で排出ローラ3rの搬送速度を上げる制御を基本動作として行う。この動作は、記録用紙が転写及び定着を経て定着ローラ2rを通過した後では、記録用紙と転写及び定着動作との間に動作関係が無くなり、転写及び定着動作に影響が及ばない状態となるので、このタイミングで、転写時における記録用紙の搬送速度に合わせていた排出ローラ3rの回転速度を上げ、記録用紙の排出時動作を行わせる。このように、排出ローラ3rのみに転写時と排出時の動作を行わせる速度制御を掛けるようにしたことで、上記実施形態1の方法に比べ、速度制御による転写時の動作への副作用を極小化でき、排出時の動作の適正化がし易くなる。
上記の動作を行わせるためには、記録用紙の定着ローラ2rの通過を何らかの方法で知る必要がある。本実施形態では、この方法として記録用紙の通過を検出する手段を設ける。
記録用紙の通過を検出する手段は、搬送される記録用紙の有無を検出するセンサの出力の変化によって、通過を検出する手段で、センサを置いた位置に記録用紙が有るON状態から、該用紙が搬送されて、無いOFF状態にセンサ出力が変化した場合に、通過を検出する。
この通過検出を行うためのセンサは、定着ローラ2rの近傍で排紙部側に紙検出センサ12として設ける。なお、搬送制御動作との関係は、下記の図4のフローチャートに関する説明で述べる。
【0025】
また、本実施形態では、基本動作として行った排出ローラ3rの搬送速度を上げる制御の後、このままの動作状態を続けると、排出ローラ3rと定着ローラ2rとの間に搬送速度の差ができ、連続印刷時において、不具合が起きる。つまり、後続する記録用紙は、1枚の用紙に定着ローラ2rと排出ローラ3rが同時に作用する状態になって、搬送速度差により記録用紙の搬送が正常にできなくなる。この搬送速度の不整合を無くすためには、記録用紙が排出ローラ3rの作用を受ける前に、定着ローラ2rの転写動作時の速度に合わせるように、上げた速度を元に戻す動作を行わせる。このように、排出ローラ3rのみに転写時と排出時の動作を行わせる速度制御を掛けるようにしたことで、上記実施形態1の方法に比べ、速度制御による転写時の動作への副作用を極小化でき、排出時の動作の適正化がし易くなる。
上記の動作を行わせるためには、記録用紙の排出ローラ3rへの到来を何らかの方法で知る必要がある。本実施形態では、この方法として記録用紙の到来を検出する手段を設ける。
記録用紙の到来を検出する手段は、搬送される記録用紙の有無を検出するセンサの出力の変化によって、通過を検出する手段で、センサを置いた位置に記録用紙が無いOFF状態から、該用紙が搬送されて来て、有るON状態にセンサ出力が変化した場合に、到来を検出する。なお、センサそのものは、上記した通過検出に用いるものと同じである。
この到来を行うためのセンサは、排出ローラ3rの近傍で定着部側に紙検出センサ13として設ける。なお、搬送制御動作との関係は、下記の図4のフローチャートに関する説明で述べる。
【0026】
次に、転写部に給紙された記録用紙が、転写及び定着を経て、排出される間に、排出ローラ3rの回転速度を変更する用紙搬送の制御動作を制御フローに従い説明する。
ここに示す制御フローは、連続印刷時の動作に対応し得るもので、排出ローラの回転速度は、用紙が定着ローラ2rを通過したタイミングで、転写動作時の回転速度から排出動作時の回転速度に変更し、用紙排出を安定して行えるようにし、さらに、後続する用紙が排出ローラ3rに到来したタイミングで変更した回転速度を元の転写動作時に戻し、転写時に不具合が起きないようにする制御を行う。
【0027】
図4は、この実施形態の制御フローを示すフローチャートである。
図4の制御フローは、操作部(不図示)或いは通信手段(不図示)を通して処理を要求するJOBの入力が行われると、これに応じて起動される。
起動後、まず、JOBが連続印刷JOBであることを確認して、この制御フローの次のステップに進む(ステップS201)。連続印刷JOBであることは、JOBがコピーであれば、既に原稿読取が行われているので、その結果によって複数ページであることがわかり、また、JOBがプリント出力であれば、そのコマンドを解読することにより複数ページであることが分かるので、この結果により確認する。
【0028】
連続印刷JOBの開始後、モータII6の駆動を開始し(ステップS202)、モータII6の動力を受ける転写ローラ1rが回転を開始する(ステップS203)。
続いて、モータIII5”の駆動を開始し(ステップS204)、モータIII5”の動力を受ける定着ローラ2rが回転を開始する(ステップS205)。
この後、さらにモータI5’の駆動を開始し(ステップS206)、モータI5’の動力を受ける排出ローラ3rが回転を開始する(ステップS207)。このとき、定着ローラ2rとの回転速度にずれが生じないように、転写動作時で回転する定着ローラ2rの回転速度と同じになるように、モータI5’を駆動する。
転写ローラ1r及び定着ローラ2rの搬送により1枚目の記録用紙の先端が定着ローラ2rを通り抜け、定着ローラ2rの近傍で排紙部側に設けた紙検出センサ12に達すると、このセンサがONする(ステップS208)。
さらに、1枚目の記録用紙の先端が排出ローラ3rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ13に達すると、このセンサがONする(ステップS209)。
【0029】
記録用紙が定着ローラ2rと排出ローラ3rの両方のローラの作用を受けた状態を続けた後、記録用紙の後端が定着ローラ2rを通り抜け、定着ローラ2rの近傍で排紙部側に設けた紙検出センサ12に達すると、このセンサがOFFする(ステップS210)。
この紙検出センサ12におけるONからOFFへの変化によって、記録用紙の後端が定着ローラ2rを通り抜けたことが認識できるので、ここで、1枚目の記録用紙の排出動作を行わせるために、排出ローラ3rを回転させるモータI5’の回転速度を上げる制御を掛ける(ステップS211)。
この後、排出ローラ3rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ13におけるONからOFFへの変化によって、1枚目の記録用紙がこのセンサを通過したことを認識する(ステップS212)。この検出動作は、2枚目の記録用紙へ対応するために行うので、モータI5’の制御は、回転速度を上げたままの状態を継続させる。
【0030】
次に、2枚目の記録用紙へ対応するための動作を行う。
先ず、1枚目の記録用紙の通過で、定着ローラ2rの近傍で排紙部側に設けた紙検出センサ12がOFFになっているので、このセンサのONへの変化によって、2枚目の記録用紙の先端が到来したことを認識する(ステップS213)。
次いで、2枚目の記録用紙の先端が、排出ローラ3rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ13に達し、1枚目の記録用紙の通過で、OFFになっているこのセンサをONにする(ステップS214)。
この紙検出センサ13のOFFからONへの変化によって、2枚目の記録用紙の先端が到来したことが認識できるので、ここで、2枚目の記録用紙の転写時の動作に合わせた速度(定着ローラ2rと同じ速度)で搬送を行わせるために、上げていた排出ローラ3rを回転させるモータI5’の回転速度を元の速度に戻す制御を掛ける(ステップS215)。
【0031】
この後、2枚目の記録用紙に対する制御動作は、1枚目と同様の制御フローになる。即ち、ステップS210からステップS215までの制御フローをループ動作で繰り返し行う。
このループ動作で、連続印刷の最後の1枚がこの制御フローに従って処理されると、ステップS210において、定着ローラ2rの近傍で排紙部側に設けた紙検出センサ12がOFFした後、後続する記録用紙が来ないので、このセンサは、ステップS213でONになるのを待っても、ON状態にならない。
この状態になることは、予め印刷枚数が分かっているので、印刷済みの枚数をカウントする等の方法で管理することによって、認識できる。
従って、予定の枚数の印刷が実行されたことを認識したときには、ステップS212において、排出ローラ3rの近傍で定着部側に設けた紙検出センサ13がOFFしたことを確認した後、ステップS213における、定着ローラ2rの近傍で排紙部側に設けた紙検出センサ12がONになるのを待つこと無く、このループ動作を抜け、駆動させた各モータの停止等、連続印刷JOBの終了時に必要な動作を行い(ステップS216)、この制御フローを終える。
【0032】
“記録用紙属性への対応”
上記実施形態1或いは実施形態2のいずれにおいても、排出ローラ3rの回転速度を上げ、排出動作を行うが、この時に、排出動作に影響する変動要素があり、排出時の回転速度を固定すると、安定した排出動作が得られない。
上記した各実施形態では、排出ローラ3rの回転を転写時の速度から排出時の速度に変更する動作は、各実施形態の制御フロー(図2並びに図4)で説明したように、転写動作に影響しないタイミングで行うので、基本的には、排出時の回転速度は、自由に選ぶことができる。
そこで、排出動作時に排出ローラ3rに制御条件として設定する回転速度を、変動する要素に対応して選ぶことにより、記録用紙の排出を安定して行え、最適な排出動作を得ることができる。
【0033】
排出の安定性に最も影響する変動要素の一つは、記録用紙の違いである。記録用紙は、サイズ、厚み、重さ、材料の性質(吸湿性やローラからの力の伝わり具合等)等が様々であり、排出性にばらつきが生じる。
そこで、記録用紙の種類によって異なる排出性を実験的に確認し、排出性を用紙の属性情報として管理する。ここでは、用紙の種類によって異なる排出性に対応して、排出する用紙を所定の載積場所に排出するために、制御条件として排出ローラ3rに設定する回転速度を実験的に求める。従って、排出性として管理する記録用紙の属性情報は、所定の排出動作を行わせるために、設定する排出ローラ3rの回転速度となる。
【0034】
この属性情報は、用紙の種類に対応付けて、データベース化し、管理する。
用紙の種類は、印刷JOBに印刷条件として通常、設定されている用紙の種類、例えば、用紙サイズや普通紙、再生紙又は特殊紙(OHP用紙等)の別によって特定する方法でもよいが、用紙の種類をより細分化し、それぞれに応じて排出ローラ3rに適正な回転速度を設定することが求められる場合には、専用の設定入力ができるような方法を採用し、対応する。
記録用紙の属性と、当該属性に対応して排出時動作を適正化するために設定する排出ローラ3rの回転速度の関係を定めたデータベースを備えることで、排出時動作を行う際に、制御部は、使用する用紙の種類により前記データベースを参照し、得られる回転速度を排出ローラ3rの回転速度を上げるときの制御条件として設定することで、目的とする排出動作の安定化を容易に実行することができる。
【0035】
“排出ローラへの付加構成”
上記の各実施形態で示したように、排出ローラ3rの回転速度を上げ、排出動作を行うようにしても、次に示すような状況で、安定した排出動作が得られない場合がある。
その1つは、排出ローラ3rから用紙を送り出す速度が上がらず、載積場所に届かずに失速してしまう、という問題である。これは、用紙が接するローラ面が滑らかであると、用紙の種類によっては、用紙が接するローラ面から排出方向の力が有効に伝わらないことによるものである。
そこで、この問題を解決する方法として、ここでは、排出ローラ3rのローラ面に凸部を形成する。この凸部は、回転する排出ローラ3rが記録用紙を送り出すときに、送り出す用紙の後方端部に当接し、排出方向の力を有効に用紙に伝えるようにする。
排出ローラ3rのローラ面にこうした凸部を形成することで、用紙は、排出時に所定の速度を得ることができ、載積場所に届かずに失速してしまう、といったことなく、安定した排出動作が行える。
【0036】
もう1つは、記録用紙に生じるカールによる問題である。例えば、用紙の排出方向の上又は下に向いて用紙先端がカールするような場合、排出ローラ3rから用紙を送り出す速度が予定通りに得られても、失速等により所定の載積場所に届かない場合や、載積場所から外れてしまう、という問題が起きる。
そこで、この問題を解決する方法として、ここでは、排出ローラ3rのローラ面を中心部の径に比べ端部を大径に形成する。この端部の大径部は、記録用紙を排出ローラ3rが挟持する際に、排出方向と排出ローラの回転軸に直交する方向に用紙の両側端を撓ませ、用紙先端の上記したカールが生じることを抑制する。
このカール抑制作用によって、用紙は、排出時に排出ローラ3rから与えられる速度をカールによって奪われ、載積場所に届かずに失速してしまう、といったことなく、安定した排出動作が行える。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の画像形成装置に係る記録用紙の搬送手段及びその制御系の構成(実施形態1)を示したブロック図である。
【図2】排出ローラの搬送速度を上げる制御及び元の速度に戻す制御を行う記録用紙の搬送制御のフローチャート(実施形態1)である。
【図3】本発明の画像形成装置に係る記録用紙の搬送手段及びその制御系の構成(実施形態2)を示したブロック図である。
【図4】排出ローラの搬送速度を上げる制御及び元の速度に戻す制御を行う記録用紙の搬送制御のフローチャート(実施形態2)である。
【符号の説明】
【0038】
1・・転写部、1r・・転写ローラ、2・・定着部、2r・・定着ローラ、3・・排紙部、4・・用紙積載部、3r・・排出ローラ、5,5’・・モータI、5”・・モータIII、6・・モータII、7,7’・・モータドライバ、8・・CPU(Central Processing Unit)、9・・ROM(Read Only Memory)、10,11,12,13・・紙検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送し、かつ該記録媒体に像担持体に形成されたトナー像を転写する転写ローラを有する転写手段と、
前記転写手段によってトナー像が転写された記録媒体を搬送し、かつ該記録媒体に転写されたトナー像の加熱・定着を行う定着ローラを有する定着手段と、
前記定着手段によってトナー像が定着された記録媒体を搬送する排出ローラを有する排出手段と、
前記排出ローラ、前記定着ローラ及び前記転写ローラを駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、記録媒体が転写ローラを通過した後に、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせていた前記排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
搬送される前記記録媒体の通過を検出する通過検出手段を有し、前記駆動手段が、前記排出ローラ及び前記定着ローラを駆動する第1の駆動手段と前記転写ローラを駆動する第2の駆動手段よりなる請求項1に記載された画像形成装置において、
前記通過検出手段は、記録媒体が前記転写ローラを通過したことを検出する手段であり、
前記制御手段は、前記通過検出手段によって通過が検出されたタイミングで前記第1の駆動手段を制御し、前記排出ローラ及び前記定着ローラの回転速度を上げる動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
搬送される前記記録媒体の到来を検出する到来検出手段を有する請求項2に記載された画像形成装置において、
前記到来検出手段は、記録媒体が前記定着ローラに到来したことを検出する手段であり、
前記制御手段は、連続印刷時に前記到来検出手段によって後続する記録媒体の到来が検出されたタイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
搬送される前記記録媒体の通過を検出する通過検出手段を有し、前記駆動手段が、前記排出ローラのみを駆動する排出ローラ専用の駆動手段と前記転写ローラと定着ローラを駆動する他の駆動手段よりなる請求項1に記載された画像形成装置において、
前記通過検出手段は、記録媒体が前記定着ローラを通過したことを検出する手段であり、
前記制御手段は、前記通過検出手段によって通過が検出されたタイミングで前記排出ローラ専用の駆動手段を制御し、前記排出ローラの回転速度を上げる動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
搬送される前記記録媒体の到来を検出する到来検出手段を有する請求項4に記載された画像形成装置において、
前記到来検出手段は、記録媒体が前記排出ローラに到来したことを検出する手段であり、
前記制御手段は、連続印刷時に前記到来検出手段によって後続する記録媒体の到来が検出されたタイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記通過検出手段及び到来検出手段は、搬送される記録媒体の有無を検出するセンサの出力の変化によって、通過及び到来を検出する手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記排出ローラは、搬送する記録媒体の搬送方向の後方端部に当接する凸部をローラ面に有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記排出ローラは、中心部の径に比べ端部を大径としたローラ面に有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載された画像形成装置において、
記録媒体の属性と、当該属性に対応して前記排出時動作を適正化するために設定する前記排出ローラの回転速度の関係を定めたデータベースを備え、
前記制御手段は、前記排出時動作を行う際に、使用する記録媒体により前記データベースを参照し、得られる回転速度を前記排出ローラの回転速度を上げるときの制御条件として設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1乃至9のいずれかに記載された画像形成装置における前記制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載されたプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【請求項12】
像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段の有する転写ローラ、記録媒体に転写されたトナー像の加熱・定着を行う定着手段の有する定着ローラ及びトナー像が定着された記録媒体を排出する排出手段の有する排出ローラの駆動手段を制御することにより、記録媒体にトナー像を形成する過程における記録媒体の搬送を制御する搬送制御方法であって、
記録媒体が転写ローラを通過した後に、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせていた前記排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせるように、前記駆動手段を制御することを特徴とする記録媒体の搬送制御方法。
【請求項13】
前記排出ローラ及び前記定着ローラを第1の駆動手段で駆動し、前記転写ローラを第2の駆動手段で駆動する請求項12に記載された搬送制御方法において、
前記転写ローラを記録媒体が通過したことを検出し、
この検出タイミングで、前記排出ローラ及び前記定着ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせるように、前記第1の駆動手段を制御することを特徴とする記録媒体の搬送制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載された搬送制御方法において、
連続印刷時に前記定着ローラに記録媒体が到来したことを検出し、
この検出タイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせるように、前記第1の駆動手段を制御することを特徴とする記録媒体の搬送制御方法。
【請求項15】
前記排出ローラを排出ローラ専用の駆動手段で駆動し、前記転写ローラと定着ローラを他の駆動手段で駆動する請求項12に記載された搬送制御方法において、
前記定着ローラを記録媒体が通過したことを検出し、
この検出タイミングで、前記排出ローラの回転速度を上げ、記録媒体の排出時動作を行わせるように、前記排出ローラ専用の駆動手段を制御することを特徴とする記録媒体の搬送制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載された搬送制御方法において、
連続印刷時に前記排出ローラに記録媒体が到来したことを検出し、
この検出タイミングで、排出時動作を行わせるために上げた回転速度を、転写時における記録媒体の搬送速度に合わせるために戻す動作を行わせるように、前記排出ローラ専用の駆動手段を制御することを特徴とする記録媒体の搬送制御方法。
【請求項17】
記録媒体の属性と、当該属性に対応して前記排出時動作を適正化するために設定する前記排出ローラの回転速度の関係を定めたデータベースを利用する請求項13乃至15のいずれかに記載された搬送制御方法において、
前記排出時動作を行う際に、使用する記録媒体により前記データベースを参照し、得られる回転速度を前記排出ローラの回転速度を上げるときの制御条件として設定することを特徴とする記録媒体の搬送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−8937(P2009−8937A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170949(P2007−170949)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】