説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】長期にわたって像担持体の帯電を安定して行うことができるようにする。
【解決手段】感光体2と、感光体2に潜像を書き込む露光装置6と、感光体2の潜像を所定の極性に帯電されたトナーで現像する現像装置7と、感光体2のトナー像を転写媒体9に転写する転写装置8と、転写後に感光体2をトナーの極性と同極性で所定の電位に帯電する第1のブラシローラ3aと、第1帯電部材で帯電された感光体2の表面電位を絶対値で小さく帯電させるバイアスを印加されることで、第1のブラシローラ3aで帯電された感光体2を帯電する第2のブラシローラ4aと、第2のブラシローラ4a通過後の感光体2の表面電位を絶対値で小さく帯電させるバイアスを印加されることで、第2のブラシローラ4aを通過した感光体2を帯電するコロナ帯電器3aとを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写後に像担持体を長期にわたって安定して帯電する、静電複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置からなる画像形成装置および画像形成方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、感光体の帯電時でのオゾンの発生を抑制するとともに、放電生成生物による感光体の劣化を防止した画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の画像形成装置では、転写後に感光体をブラシローラで大きく負極性に帯電させるとともに、スコロトロン帯電器で正極性のコロナ帯電を行って、感光体を所定の負帯電電位に調整している。感光体の帯電にこのような帯電方式を用いることで、オゾン等の環境汚染物質の発生を抑制するができるとともに、感光体を均一に帯電することができる。
【特許文献1】特開平4−275569号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、転写後にクリーニング部をすり抜けたトナーや外添剤により、ブラシローラが汚れたり、温度変化等の環境によりブラシの電気抵抗が変化したりすると、ブラシローラの感光体帯電能力が低下してしまう。このため、ブラシローラによって帯電された感光体の電位も変化(低下)する。感光体の電位の変化が比較的小さい場合には、スコロトロン帯電器で感光体の電位を所定の負帯電電位に調整可能であるが、感光体の電位の変化が大きくなった場合には、スコロトロン帯電器によっても感光体の電位を所定の負帯電電位に調整することが困難になる。このため、長期にわたって感光体の帯電を安定して行うことができないという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、長期にわたって像担持体の帯電を安定して行うことのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法では、第1帯電部材により像担持体を使用するトナーと同極性に大きく帯電させた後、第2帯電部材により像担持体電位を所定の電位まで放電させ、その後第3帯電部材により像担持体電位を絶対値で小さく調整している。したがって、画像形成回数の増大や使用環境等により第1帯電部材による帯電電位が大きく変化しても、この第1帯電部材による帯電電位の変化が第3帯電部材以降の像担持体の表面電位に反映するのを防止することが可能となる。これにより、第3帯電部材以降の像担持体の表面を、帯電ムラを生じることなく画像形成動作時に設定される所定の電位に安定して帯電させることができる。このように、画像形成動作時に感光体が安定して帯電されることで、長期にわたって安定した良好な高画質を得ることができる。
【0006】
また、第1帯電部材および第2帯電部材の少なくとも1つにブラシローラに用いることで、像担持体の周速が増大しても、第1帯電部材および第2帯電部材による像担持体の帯電能力をほとんど変化させないようにすることが可能となる。更に、第3帯電部材で像担持体の帯電能力に応じて帯電位を変化させる量を小さくしているので、像担持体を所定の
電位に確実に帯電することが可能となる。したがって、画像形成装置の高速化に柔軟にかつ十分に対応可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
この例の画像形成装置1においては、負帯電トナーを用いて画像形成が行われる。もちろん、正帯電トナーを用いて画像形成を行うこともできる。以下の説明では、画像形成装置1は負帯電トナーを用いるものとして説明するが、正帯電トナーを用いる場合には、以下の説明の各部材の帯電の電位を逆極性とすればよい。また、トナーは、トナー母粒子とこのトナー母粒子に外添される外添剤とを有しているが、以下の説明では、トナー母粒子を単にトナーという。
【0008】
図1に示すように、この例の画像形成装置1は静電潜像およびトナー像が形成される像担持体である感光体2を備えている。この感光体2は感光体ドラムからなり、従来公知の感光体ドラムと同様に円筒状の金属素管の外周面に所定膜厚の感光層が形成されている。この感光体2における金属素管には、例えばアルミニウム等の導電性の管が用いられるとともに、感光層には、従来公知の有機感光体が使用される。
【0009】
感光体2の周囲には、第1帯電器3、第2帯電器4、第3帯電器5(本発明の第3帯電部材に相当)、露光装置6、現像装置7、および転写装置8が、それぞれこれらの順に感光体2の回転方向A(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0010】
第1帯電器3は、回転可能に設けられた第1ブラシローラ3a(本発明の第1帯電部材に相当)を有している。この第1ブラシローラ3aは多数のブラシ毛3bを有しており、これらのブラシ毛3bが感光体2の表面に近接または当接して配設されている。第1ブラシローラ3aは、感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛3bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛3bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)または感光体2の回転と逆回転(感光体2の前述の速度の向きとブラシ毛3bの前述の速度の向きとが逆向き)で回転するようにされている。
【0011】
第1ブラシローラ3aは従来から用いられている公知の帯電ブラシローラを用いることができる。第1ブラシローラ3aの一例として、ブラシ毛3bは、材料が6ナイロン、繊度が220T/96F、密度240kf/inch2、原糸抵抗が7.1LogΩ、パイル長が5mmであり、また、帯電ブラシローラ3aの感光体2の軸方向に沿う長さが300mmある。この第1ブラシローラ3aには東英産業株式会社製のブラシローラを用いることができる。
【0012】
第1ブラシローラ3aには、比較的強い負極性(つまり、現像で使用されるトナーと同極性)の直流(DC)の第1帯電バイアスV1(V)が印加される。これにより、転写工程終了後の感光体2の表面が比較的強い負電位に帯電される。また、感光体2の表面に残留する転写残りトナーと外添剤は、それらの帯電極性が正負不揃いであるが、これらの転写残りトナーおよび外添剤も、感光体2の負帯電と同時に負帯電される。このとき、転写残りトナーと外添剤は正極性に帯電されていても、それらの電位の絶対値が小さいため確実に負帯電される。
【0013】
なお、第1帯電器3は、感光体2を比較的強く負帯電できる帯電器であれば、必ずしも回転しなくてもよい。すなわち、この第1帯電器3には、ブラシローラ3a以外に、単なる帯電ブラシデッキ、帯電ゴム、コロナ帯電器、帯電フィルム等を用いることができる。
【0014】
第2帯電器4は、回転可能に設けられた第2ブラシローラ4a(本発明の第2帯電部材に相当)を有している。この第2ブラシローラ4aは多数のブラシ毛4bを有しており、これらのブラシ毛4bが感光体2の表面に当接するようにして配設されている。第2ブラシローラ4aは、感光体2の回転と順回転(感光体2とブラシ毛4bとの当接部で感光体2の回転の接線方向の速度の向きとブラシ毛4bの回転の接線方向の速度の向きとが同じ向き)または感光体2の回転と逆回転(感光体2の前述の速度の向きとブラシ毛4bの前述の速度の向きとが逆向き)で回転するようにされている。この第2ブラシローラ4aにも、前述の第1ブラシローラ3aと同様のブラシローラを用いることができる。
【0015】
この第2ブラシローラ4aには、第1帯電器3で帯電された感光体2の表面電位に対して放電開始電圧Vth(V)を超えかつこの感光体2の表面電位を絶対値で小さく帯電させる第2帯電バイアスVbc(V)が印加される。これにより、第2ブラシローラ4aは、感光体2を帯電し、感光体2の表面電位は絶対値で所定量低下する。
また、この第2ブラシローラ4aに第2帯電バイアスVbc(V)が印加されることにより、転写工程終了後に感光体2の表面に残留しかつ第1帯電器3で帯電された転写残りトナーと外添剤が静電気的に第2ブラシローラ4aの方へ引き寄せられる。そして、引き寄せられたトナーと外添剤はブラシ毛4bに付着する。なお、第2帯電器4には、ブラシローラ以外にゴムローラ等を用いることができる。
【0016】
また、第2帯電器4は、回転可能に設けられた回収ローラ4cを有している。この回収ローラ4cは、第2ブラシローラ4aのブラシ毛4bに当接して配設されている。回収ローラ4cは、第2ブラシローラ4aの回転と順回転(前述と同様の意味)で回転するようにされている。
【0017】
この回収ローラ4cには、第2ブラシローラ4aのブラシ毛4aに付着するトナーを静電気的に引き寄せる回収バイアスVrc(V)が印加される。そして、回収ローラ4cに回収バイアスVrc(V)が印加されることで、第2ブラシローラ4aのブラシ毛4bに付着するトナーおよび外添剤が静電気的に回収ローラ4cの方へ引き寄せられる。これにより、引き寄せられたトナーおよび外添剤は回収ローラ4cに付着する。回収ローラ4cには、従来周知慣用のクリーニングローラを用いることができる。
【0018】
更に、第2帯電器4は、回収ローラ4cに当接するクリーニングブレード4dを有している。このクリーニングブレード4dは、回収ローラ4cに付着したトナーおよび外添剤を回収ローラ4cから掻き落として回収する。クリーニングブレード4dには、従来周知慣用のクリーニングブレードを用いることができる。
【0019】
第3帯電器5は感光体2の表面に接触しないコロナ帯電器5aを有している。この例のコロナ帯電器5aには、チャージワイヤ5bとグリッド5cとを有するスコロトロン帯電器が用いられている。このスコロトロン帯電器には、従来周知慣用のスコロトロン帯電器を用いることができる。このスコロトロン帯電器のチャージワイヤ5bには正の直流(DC)のワイヤ帯電バイアスVw(V)が印加されるとともに、グリッド5cには負の直流(DC)のグリッド帯電バイアスVg(V)が印加される。すなわち、第3帯電器5は、第2のブラシローラ4a通過後の感光体2の表面電位を絶対値で小さいく帯電させるようにバイアスの印加が制御されたコロナ放電で感光体2を帯電する。これにより、感光体2の表面の電位が下げられて均され、感光体表面電位が画像形成時に設定される電位V0(V)に設定される。
なお、第3帯電器5には、コロナ帯電器5a以外に、感光体2に接触するローラ帯電器等を用いることができる。
【0020】
露光装置6、現像装置7、および転写装置8には、それぞれ、従来周知慣用の露光装置、現像装置、および転写装置を用いることができる。
【0021】
次に、この例の画像形成装置1の動作について説明する。
画像形成装置1の画像形成動作が開始されると、感光体2が回転され、第3帯電器5によって感光体2の表面が一様にかつ画像形成時に設定される負極性電位V0(V)(図2に図示)に帯電される(本発明の第3の帯電工程)。次いで、露光装置6によって感光体2の表面が露光されて像の書込みが行われ、感光体2上に負極性電位が低下した静電潜像が形成される(本発明の露光工程)。この感光体2上の静電潜像が現像装置7からの負帯電トナーによって現像され、感光体2上にトナー像が形成される(本発明の現像工程)。感光体2上のトナー像は、転写装置8による転写工程で紙等の転写材や中間転写媒体等の転写媒体9に転写される(本発明の転写工程)。従来の画像形成装置と同様に、転写媒体9が紙等の転写材である場合には、図示しない定着装置によって定着されて転写材に定着画像が形成される。また、転写媒体9が中間転写媒体である場合には、中間転写媒体上に転写されたトナー像が第2の転写装置(不図示)によって更に転写材に転写された後、前述と同様に定着装置によって定着されて転写材に定着画像が形成される。
【0022】
転写工程終了後、図2に示すように感光体2は図示しない除電器によって除電され、感光体2の表面電位はきわめて小さいV0′(V)となる。そして、第1帯電器3の比較的強いバイアスV1(V)によって、感光体2の表面が現像で使用されるトナーと同じ負極性電位(V1からVthを除いた電位)(V)にほぼ帯電されると同時に、感光体2上の転写残りトナーと外添剤とが負極性に帯電される(本発明の第1の帯電工程)。このとき、転写残りトナーおよび外添剤の極性は正負不揃いとなっているが、いずれも負帯電される。
【0023】
次いで、第2ブラシローラ4aに前述の第2帯電バイアスVbc(V)が印加されることで、第1の帯電工程で帯電された感光体2が帯電される(本発明の第2の帯電工程)。これにより、感光体2の表面電位が絶対値で所定量低下して、ほぼ(VbcからVthを除いた電位)(V)となる。また、第1帯電器3で帯電された転写残りトナーと強帯電外添剤とが、静電気的に第2ブラシローラ4aの方へ引き寄せられる。そして、引き寄せられたトナーと外添剤はブラシ毛4bに付着する。ブラシ毛4bに付着したトナーと外添剤は、トナーと逆の正の電界となる回収バイアスVrc(V)が印加された回収ローラ4cに静電気的に引き寄せられて付着する。更に、回収ローラ4cに付着したトナーと外添剤は、クリーニングブレード4dによって回収ローラ4cから掻き落とされて回収される。
【0024】
次いで、第3帯電器5のスコロトロン帯電器のチャージワイヤ5bに正のワイヤ帯電バイアスVw(V)が印加されかつグリッド5cに負のグリッド帯電バイアスVg(V)が印加されることで、第3帯電器5から感光体2に正のバイアスが印加される(本発明の第3の帯電工程)。これにより、感光体2の表面の電位が絶対値で下げられて均され、感光体表面電位が画像形成時に設定される電位V0(V)に設定される。こうして、次の画像形成動作が可能となる。
【0025】
前述の特許文献1に記載の画像形成装置のように、感光体をブラシローラにより帯電した後、コロナ帯電器のコロナ放電で感光体の表面電位を所定の電位に調整するようにした場合、次のような問題が生じる。すなわち、画像形成回数が多くなってくると(新品→10k枚→50k枚)、トナーおよび外添剤、あるいは環境等によってブラシローラが汚れてくる。このため、図3(a)に示すようにブラシローラの感光体帯電能力が約200〜300Vと大きく変化(低下)してくる。このように、ブラシローラの感光体帯電能力が大きく変化した場合、コロナ帯電器により感光体の電位を所定の電位に調整できなくなる。このため、図3(b)に示すようにコロナ帯電器による調整後の感光体の電位が約20
〜30Vと変化し、ブラシローラの感光体帯電能力の変化が調整後の感光体に反映されてしまう。
【0026】
一方、この例の画像形成装置1においては、第1帯電器3により、感光体2が比較的強いバイアスV1(V)でトナーと同極性の負帯電される。そして、第1帯電器3で帯電された感光体2の表面電位に対して放電開始電圧Vth(V)を超えかつこの感光体2の表面電位を絶対値で小さく帯電させる第2帯電バイアスVbc(V)が第2のブラシローラ4aに印加されることより、感光体2の電位が所定の電位まで放電される。更に、第2のブラシローラ4aで所定の電位にされた感光体2が、第2のブラシローラ4a通過後の感光体2の表面電位を絶対値で小さく帯電させるようにバイアスの印加が制御されたコロナ放電により感光体2が帯電されて感光体表面電位が電位V0(V)に調整される。したがって、図3(c)に示すようにコロナ帯電器5aによる調整後の感光体2の電位がほとんど変化しなく、第1のブラシローラ3aの感光体帯電能力の変化が調整後の感光体2に反映されない。
【0027】
また、図4に示すようにローラ帯電による感光体帯電の場合、感光体2の周速が増大してきても、ローラの感光体帯電能力がほとんと変化しないが、コロナ帯電による感光体帯電の場合、感光体2の周速が増大すると、コロナ帯電の感光体帯電能力が大きく変化することが、従来から知られている。
【0028】
しかし、この例の画像形成装置1においては、第1のブラシローラ3aにより感光体2をトナーと同極性に大きく帯電させた後、第2のブラシローラ4aにより感光体電位を絶対値で所定の電位まで低下させてから、更にコロナ帯電器5aにより感光体電位を絶対値で小さく調整している。したがって、感光体2の周速が増大しても、第1帯電器3および第2帯電器4による感光体帯電能力はほとんど変化することはなく、更に第3帯電器5ではコロナ帯電器5aの感光体帯電能力に応じて帯電位を変化させる量を小さくしているいので、感光体2は所定の電位に確実に帯電される。これにより、この例の画像形成装置1は、ますます強く求められている画像形成装置の高速化に柔軟にかつ十分に対応可能となる。
【0029】
この例の画像形成装置1およびその画像形成方法によれば、第1のブラシローラ3aにより感光体2を帯電させた後、第2のブラシローラ4aにより感光体電位を所定の電位まで放電させ、その後コロナ帯電器5aにより感光体電位を絶対値で小さく調整している。したがって、第1帯電器3による感光体2の帯電電位がばらついても、この第1帯電器3による感光体2の帯電電位のばらつき(変化)が第3帯電器5以降の感光体2の表面電位に反映するのを防止することが可能となる。これにより、第3帯電器5以降の感光体2の表面を、帯電ムラを生じることなく画像形成動作時に設定される電位V0(V)に安定して帯電させることができる。このように、画像形成動作時に感光体が安定して帯電されることで、長期にわたって安定した良好な高画質を得ることができる。
【0030】
また、感光体2の周速が増大しても、第1ないし第3帯電器3,4,5による感光体帯電能力がほとんど変化しないので、画像形成装置の高速化に柔軟にかつ十分に対応可能となる。
【0031】
次に、本発明の画像形成装置1における各バイアスの実施例について説明する。その場合、実施例は、セイコーエプソン株式会社製カラープリンタLP9000C(放電開始電圧Vth(V):−600V)に適用した場合の実施例である。この実施例について表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示すように、この実施例では、転写後、感光体2の表面が除電され、感光体2の部位α(図1に図示)の表面電位は、−30Vとなる。そして、第1帯電器3の第1ブラシローラ3aに、比較的強い−1300Vの第1帯電バイアスV1(V)を印加する。これにより、感光体2が負帯電され、感光体2の部位β(図1に図示)の表面電位は、−700Vとなる。次いで、第2帯電器4の第2ブラシローラ4aに、トナーと逆極性の+100Vの第2帯電バイアスVbc(V)を印加する。この第2帯電バイアスVbc(V)は、感光体2の表面電位(−700V)に対して放電開始電圧Vth(−600V)を超えかつ感光体2の表面電位(−700V)を絶対値で小さく帯電させることができるバイアスである。これにより、第2ブラシローラ4aを通過後の感光体2の部位γ(図1に図示)の表面電位は、−500Vとなる。最後に、第3帯電器5のコロナ帯電器5aのチャージワイヤ5bに+3.8kVのワイヤ帯電バイアスVw(V)を印加するとともに、グリッド5cに−450Vのグリッド帯電バイアスVg(V)を印加する。これにより、正極性のコロナで感光体2が帯電され、感光体2の部位δ(図1に図示)の表面電位は絶対値で低下しかつ均一に均されて−450Vとなる。この電位−450Vが画像形成装置1の通常の画像形成時に設定される表面電位である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】感光体電位を示す図である。
【図3】ブラシ帯電およびコロナ帯電による感光体電位の変化を説明する図である。
【図4】感光体周速による感光体電位の変化を説明する図である。
【符号の説明】
【0035】
1…画像形成装置、2…感光体、3…第1帯電器、3a…第1のブラシローラ、4…第2帯電器、4a…第2のブラシローラ、5…第3帯電器、5a…コロナ帯電器、5b…チャージワイヤ、5b…グリッド、6…露光装置、7…現像装置、8…転写装置、9…転写媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられかつ潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に潜像を書き込む露光装置と、
前記像担持体の潜像を、所定の極性に帯電されたトナーで現像する現像装置と、
前記像担持体上の現像されたトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、
転写後に前記像担持体を前記トナーの極性と同極性で所定の電位に帯電する第1帯電部材と、
前記第1帯電部材で帯電された前記像担持体の表面電位に対して放電開始電圧を超えかつ前記像担持体の表面電位を絶対値で小さく帯電させるバイアスを印加されることで、前記第1帯電部材で帯電された像担持体を帯電する第2帯電部材と、
前記第2帯電部材通過後の像担持体の表面電位を絶対値で小さく帯電させるバイアスを印加されることで、前記第2帯電部材を通過した像担持体を帯電する第3帯電部材と、
を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1帯電部材は第1のブラシローラであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2帯電部材は第2のブラシローラであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2のブラシローラから、この第2のブラシローラに付着するトナーを静電気的に引き寄せる回収ローラと、
前記回収ローラからトナーを除去するクリーニングブレードと
を備えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第3帯電部材はコロナ帯電器であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コロナ帯電器はスコロトロン帯電器であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
転写後に像担持体をトナーと同極性に帯電する第1の帯電工程と、
前記像担持体の表面電位に対して放電開始電圧を超えかつ前記像担持体の表面電位を絶対値で小さく帯電させるバイアスを印加されることで、前記第1の帯電工程で帯電された像担持体を帯電する第2の帯電工程と、
前記第2の帯電工程で帯電された像担持体の表面電位を絶対値で小さく帯電させるバイアスを印加されることで、前記第2の帯電工程後に像担持体を帯電して電位調整する第3の帯電工程と、
前記第3の帯電工程で電位調整された前記像担持体に潜像を書き込む露光工程と、
前記像担持体上の潜像を、所定の極性に帯電されたトナーで現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記像担持体上の前記トナー像を転写媒体に転写する転写工程と
を少なくとも備える画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−20202(P2010−20202A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182266(P2008−182266)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】