説明

画像形成装置および色ずれ補正制御方法

【課題】不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させトナー消費量を低減させる。
【解決手段】光書込ユニット(K/C)を冷却する冷却ファン(K/C)および温度検知センサ(K/C)と、光書込ユニット(M/Y)を冷却する冷却ファン(M/Y)および温度検知センサ(M/Y)と、光書込ユニット(K/C)の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分Δf_kcと、光書込ユニット(M/Y)の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分Δf_myとを算出し、Δf_kcとΔf_myとの差分|Δf_kc−Δf_my|がΔF1未満になるように冷却ファン(K/C)と冷却ファン(M/Y)の駆動および停止を制御する冷却制御部203と、|Δf_kc−Δf_my|がΔF1未満である場合、色ずれ補正制御を行わない色ずれ補正制御部202とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および色ずれ補正制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光書込ユニットから照射される光ビームにより、複数の感光体の表面を露光走査し、それぞれ異なる色のトナーで顕像化して各色のトナー像を形成し、当該各色のトナー像を転写体の転写面に重ね合わせて転写することによりカラー画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、各トナー像の転写体への転写位置の相対的な位置ずれ量を検出し、色ずれを補正する色ずれ補正制御が行われている。
【0003】
この転写位置の相対的な位置ずれは、光書込ユニット内のポリゴンミラーの高速回転に伴うポリゴンミラー駆動モータが発熱することによって、樹脂部品を用いた結像光学素子が熱変形することが原因となる場合がある。このため、光書込ユニットの温度を検出し、ある所定以上の温度変化があった場合には、色ずれ補正制御を実行する技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、露光部の現在温度T2と2次転写部の現在温度t2とを検出し、露光部の現在温度T2が前回の色ずれ補正実行時の温度T1から所定値△T以上変化しているか、もしくは2次転写部の現在温度t2が前回の色ずれ補正実行時の温度t1から所定値△t以上変化している場合に、画像形成ジョブよりも色ずれ補正制御を優先して実行させる画像形成装置、制御方法、および制御プログラムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、2つの光書込ユニット(M/Y、K/C)の温度を検出し、2つの光書込ユニット間で所定以上の温度変化があった場合に色ずれ補正制御を実行している。従って、例えばモノクロ印刷からカラー印刷に切り替わると、今まで使用していなかった光書込ユニット(M/Y)が駆動し始めるため、2つの光書込ユニットの温度差が所定以上になり色ずれ補正が実行されてしまう。このようにして画像形成装置において色ずれ補正制御が実行されてしまうと、ダウンタイムが長くなるとともに、色ずれ補正制御によるトナー消費量が増加してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させるとともにトナー消費量を低減させる画像形成装置および色ずれ補正制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像データに応じた光ビームを複数の像担持体上に走査させて形成された潜像を、異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する第1光書込部および第2光書込部と、前記複数の像担持体それぞれに形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わせられた画像に対して色ずれ補正制御を行う色ずれ補正制御手段と、前記第1光書込部を冷却する第1冷却部と、前記第2光書込部を冷却する第2冷却部と、前記第1光書込部および前記第2光書込部の温度を検知する温度検知手段と、前記第1光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第1差分と、前記第2光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第2差分とを算出し、前記第1差分と前記第2差分との差分である第3差分が第1基準値未満になるように前記第1冷却部と前記第2冷却部の駆動および停止を制御する冷却制御手段と、を備え、前記色ずれ補正制御手段は、前記第3差分が前記第1基準値未満である場合、前記色ずれ補正制御を行わないことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、画像形成装置において実行する色ずれ補正制御方法において、前記画像形成装置は、画像データに応じた光ビームを複数の像担持体上に走査させて形成された潜像を、異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する第1光書込部および第2光書込部と、前記第1光書込部を冷却する第1冷却部と、前記第2光書込部を冷却する第2冷却部と、前記第1光書込部および前記第2光書込部の温度を検知する温度検知手段と、を備え、前記複数の像担持体それぞれに形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わせられた画像に対して色ずれ補正制御を行う色ずれ補正制御ステップと、前記第1光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第1差分と、前記第2光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第2差分とを算出し、前記第1差分と前記第2差分との差分である第3差分が第1基準値未満になるように前記第1冷却部と前記第2冷却部の駆動および停止を制御する冷却制御ステップと、を含み、前記色ずれ補正制御ステップは、前記第3差分が前記第1基準値未満である場合、前記色ずれ補正制御を行わないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させるとともにトナー消費量を低減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図2は、中間転写ユニットの一例を示す構成図である。
【図3】図3は、画像形成装置の制御系の一例を示す構成図である。
【図4】図4は、図3に示した制御系の構成から一部の構成を抜き出した説明図である。
【図5】図5は、転写搬送ベルトに転写されたトナーマークパターンを読み取る際の一例を示す図である。
【図6】図6は、トナーマークパターンの検出中および検出していない時のトナーマークセンサの出力電圧変動を示す波形モデル図である。
【図7】図7は、図3に示した制御系の構成から冷却ファンに関する一部の構成を抜き出した説明図である。
【図8】図8は、図3に示した制御系の構成から温度検知センサに関する一部の構成を抜き出した説明図である。
【図9】図9は、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度の説明図である。
【図10】図10は、色ずれ補正制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置および色ずれ補正制御方法の実施の形態を詳細に説明する。図1は、実施の形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部10Y、10M、10C、10Kが、転写紙Pの移動方向(図中の矢印Aに沿って転写搬送ベルト7が走行する方向)における上流側から順に配置されている。このトナー像形成部10Y、10M、10C、10Kは、像担持体としての感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kと、現像ユニットとをそれぞれ備えている。なお、以下では、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示すものとする。
【0013】
また、画像形成装置100は、上記トナー像形成部10Y、10M、10C、10Kのほか、光書込ユニット(K/C)41、光書込ユニット(M/Y)42、給紙トレイ13a、13b、13c、給紙コロ12a、12b、12c、搬送ローラ11a、11b、11c、レジストローラ対6、転写搬送ベルト7を備えた中間転写ユニット5、ベルト定着方式の定着ユニット3、排紙トレイ2、操作部1等を備えている。操作部1は、この画像形成装置100を操作するための操作ボタンや表示部が設けられる。
【0014】
給紙トレイ13a、13b、13cから給紙コロ12a、12b、12cによって給紙された転写紙Pは、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラ11a、11b、11cで搬送され、レジストローラ対6が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対6により所定のタイミングで送出された転写紙Pは、転写搬送ベルト7に担持され、各トナー像形成部10Y、10M、10C、10Kに向けて搬送され、各転写ニップを通過する。
【0015】
中間転写ユニット5は、ベルト駆動装置であって、転写紙Pを担持して各トナー像形成部10Y、10M、10C、10Kの転写位置を通過するように転写紙搬送部材としての転写搬送ベルト7を駆動させている。
【0016】
光書込ユニット(K/C)41、光書込ユニット(M/Y)42は、光源、ポリゴンミラー、fθレンズ、および反射ミラーなどを備え、画像データに従い各感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kの表面にレーザ光を走査しながら照射して書込みを行い、各感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kに対して静電潜像を形成する。各感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kに形成された静電潜像は、光書込ユニット(K/C)41、光書込ユニット(M/Y)42に含まれる現像器によりそれぞれ現像され、トナー像が形成される。
【0017】
各感光体ドラム9Y、9M、9C、9K上に形成されたY、M、CおよびK各色のトナー像は、図中で反時計回り(矢印A方向)に走行される転写搬送ベルト7上に対し、1次転写点で各色が位置を合わせて重ね合わされて転写される。転写搬送ベルト7は、Y、M、CおよびK各色のトナー像を担持した状態で走行駆動される。
【0018】
転写搬送ベルト7が駆動され、Y、M、CおよびK各色のトナー像が、転写紙Pに対する転写位置に到達するタイミングで、転写紙Pが当該転写位置に到達するように、転写紙Pが搬送駆動される。転写位置において、転写電界が印加され、転写搬送ベルト7上に担持された各色のトナー像が転写紙Pに転写される。この、転写搬送ベルト7上の各色のトナー像が転写紙Pに転写される位置を、2次転写点と呼ぶ。
【0019】
転写紙Pは、このようにして中間転写ユニット5で各色のトナー画像が転写された後、経路Bに従いさらに搬送され、定着ユニット3で加圧加熱される。これにより、各色のトナー画像が転写紙Pに定着され、転写紙P上にはフルカラートナー画像が形成される。そして、フルカラートナー画像が形成された転写紙Pは、排紙口Cから排紙トレイ2に排紙される。
【0020】
また、上記光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42は、それぞれ軸流ファンである冷却ファン(K/C)43、冷却ファン(M/Y)44が搭載されている。この冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44が駆動すると、ポリゴンミラーを高速回転させることによる光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42を冷却して、温度上昇を防止する。
【0021】
また、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42は、それぞれ光書込ユニットの温度を検知する温度検知センサ(K/C)45、温度検知センサ(M/Y)46が備えられている。
【0022】
次に、中間転写ユニット5の詳細について説明する。図2は、中間転写ユニットの一例を示す構成図である。なお、図2において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。中間転写ユニット5は、転写搬送ベルト7と、転写駆動ローラ53と、転写駆動モータ54と、タイミングベルト55と、テンションローラ51と、ローラ56と、トナーマークセンサ52とを主に備えている。
【0023】
転写駆動ローラ53は、タイミングベルト55を介して転写駆動モータ54の駆動ギアと接続され、転写駆動モータ54が回転することで、転写駆動モータ54の回転速度に比例して矢印R1方向に回転される。そして、転写駆動ローラ53が回転することで、転写搬送ベルト7が駆動される。
【0024】
転写紙Pは、ローラ56により転写駆動ローラ53側に所定の圧力を掛けられながら、ローラ56と転写駆動ローラ53との間を通過する。例えば、転写紙Pのローラ56と転写駆動ローラ53との間の通過部分が2次転写点となる。
【0025】
テンションローラ51は、転写搬送ベルト7の、Y、M、C、K各色の1次転写点から2次転写点に至る経路上に配置されている。そして、テンションローラ51は、スプリング51aといった弾性体により、外側(矢印D方向)に向けて、常時、テンションが掛けられている。このテンションローラ51により、装置内の温度や湿度の変化などの影響で転写搬送ベルト7に伸縮が発生した場合であっても、転写搬送ベルト7に弛みが発生しないようにされている。
【0026】
トナーマークセンサ52は、光源と受光部とを備え、転写搬送ベルト7上に形成されたトナーマークパターン像を検出するセンサであって、転写搬送ベルト7の表面に対向して設置されている。また、トナーマークセンサ52は、転写搬送ベルト7の幅方向(主走査方向)の両端および中央部の3箇所に設けられる(詳細は後述)。
【0027】
次に、画像形成装置100の制御系について説明する。図3は、画像形成装置の制御系の一例を示す構成図である。この制御系は、転写駆動モータ54の駆動パルスをデジタル制御するものである。図3に示すように、制御系は、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)21と、ROM(Read Only Memory)22と、IO(IN/OUT)制御部23と、転写駆動モータI/F(インターフェイス)25と、ドライバ27と、検出IO部26と、温度検知センサI/F29と、ドライバ28を主に備えており、これら各部がバス110で互いに通信可能に接続されている。
【0028】
CPU20は、ROM22に予め記憶されるプログラムに従い、RAM21をワークメモリとして用いて、この画像形成装置100の全体を制御する。なお、ROM22は、書き換え可能であるものとする。
【0029】
ドライバ27は、転写駆動モータ54を駆動する。転写駆動モータI/F25は、ドライバ27とCPU20との間のインターフェイスである。
【0030】
検出IO部26は、トナーマークセンサ52の出力が供給される。そして、検出IO部26は、トナーマークセンサ52の出力をCPU20が解釈可能な情報に変換して、CPU20に供給する。
【0031】
IO制御部23は、CPU20の命令により、負荷30の動作を制御する。負荷30とは、例えば各部を駆動するためのモータ、クラッチ・ソレノイド、各センサなどを含む。また、IO制御部23は、CPU20の命令により、データの入出力などの制御も行う(図示しない)。
【0032】
ドライバ28は、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44を駆動する。温度検知センサI/F29は、温度検知センサ(K/C)45および温度検知センサ(M/Y)46とCPU20との間のインターフェイスである。
【0033】
また、バス110には、外部装置24をさらに接続させることができる。外部装置24は、例えばパーソナルコンピュータであり、転写紙Pに対して画像形成を行うための画像データや、この画像形成装置100に対する制御コマンドなどを、この画像形成装置100に対して入力する。外部装置24から入力される画像データの受信処理や、外部装置24との間でなされる制御コマンドなどの送受信処理などは、CPU20により制御される。
【0034】
図4は、図3に示した制御系の構成から一部の構成を抜き出した説明図である。検出IO部26は、センサ制御部261とマーク位置情報入出力部262とを主に備えている。センサ制御部261は、トナーマークセンサ52の制御を行うものである。マーク位置情報入出力部262は、トナーマークセンサ52の出力信号の入力と、当該出力信号をデジタルデータであるマーク位置読取情報に変換してバス110に対して出力するものである。
【0035】
CPU20は、マーク位置情報演算部201と、色ずれ補正制御部202と、冷却制御部203とを主に備えている。また、マーク位置情報演算部201と、色ずれ補正制御部202と、冷却制御部203は、例えば、CPU20上で動作するプログラムのモジュールである。
【0036】
マーク位置情報演算部201は、マーク位置情報入出力部262から供給されたマーク位置読取情報に基づきトナーマークパターン像の位置を割り出す演算を行うものである。
【0037】
RAM21は、マーク位置読取情報保持部211と、マーク位置情報演算結果保持部212とを主に備えている。マーク位置読取情報保持部211は、マーク位置情報入出力部262から出力された、マーク位置読取情報を一時的に保持する。上述したCPU20のマーク位置情報演算部201は、このマーク位置読取情報保持部211からマーク位置読取情報を読み出して演算し、マーク位置情報を出力する。このマーク位置情報は、マーク位置情報演算結果保持部212に保持される。
【0038】
ROM22は、初期マーク位置情報記憶部221を主に備える。初期マーク位置情報記憶部221は、マーク位置情報演算結果保持部212に保持されたマーク位置情報を、トナーマークパターン像の初期位置を示す情報として記憶する。
【0039】
色ずれ補正制御部202は、感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kそれぞれに形成された各色の像が、転写搬送ベルト7の表面に位置を合わせて重ね合わせられて転写された画像(トナーマークパターン)に対して、色ずれ補正制御を行うものである。
【0040】
ここで、トナーマークパターンの詳細について説明する。図5は、転写搬送ベルトに転写されたトナーマークパターンを読み取る際の一例を示す図である。以下では、画像の色ずれ補正を行う場合のトナーマークパターンについて説明するが、トナーマークパターンは、色ずれ補正の他、転写搬送ベルト7の表面の光沢度や汚れを検出するためにも用いられる。
【0041】
図5に示すように、本実施の形態の画像形成装置100では、転写搬送ベルト7に対して、ラダーパターン200、200、…を形成する。各ラダーパターン200は、Y、K、MおよびC各色の線が主走査方向と平行に、等間隔に配置される横線パターンと、各色の線が主走査方向に対して45°の角度を以て等間隔に配置される斜めパターンとが組み合わされてなる。
【0042】
ラダーパターン200は、図5に例示されるように、転写搬送ベルト7に対し、主走査方向すなわち幅方向に3列(両端および中央)、形成される。例えば、CPU20によりラダーパターン200を形成するための画像データが生成され、この画像データに基づき光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42を制御し、各感光体ドラム9Y、9M、9C、9Kに対してラダーパターン200の静電潜像を形成する。この静電潜像を現像してトナー像とし、このラダーパターン200のトナー像を、転写搬送ベルト7上に対して転写させる。このとき、各列のラダーパターン200は、副走査方向すなわち転写搬送ベルト7の走行方向に向けて、それぞれ複数が形成される。1のラダーパターン200を1セットとし、例えば各列に8セットずつ、ラダーパターン200が形成される。
【0043】
なお、ラダーパターン200を構成する各色の線のそれぞれがトナーマークである。そして、ラダーパターン200は、複数のトナーマークの集合があるパターンを構成するトナーマークパターンである。
【0044】
トナーマークセンサ52は、上述したように、検出対象に向けて光線を射出する光源と、検出対象からの光を検出する光検出素子(受光部)とを有し、ラダーパターン200(トナーマークパターン)を読み取るセンサである。また、トナーマークセンサ52は、ラダーパターン200の各列に対応し、図5における左端のラダーパターン200と、中央のラダーパターン200と、右端のラダーパターン200とを検出するセンサが3箇所に備えられている。本実施の形態では、例えば、トナーマークセンサ52は、汎用的な駆動反射型フォトインタラプタを用いることができる。
【0045】
ここで、トナーマークセンサ52の詳細について説明する。図6は、トナーマークパターンの検出中および検出していない時のトナーマークセンサの出力電圧変動を示す波形モデル図である。図6(a)がトナーマークパターンの検出の有無を示し、図6(b)がトナーマークセンサ52の出力電圧の例を示す。
【0046】
図6に示すように、トナーマークセンサ52がトナーマークを検出中の出力電圧は、トナーマークセンサ52から射出された光線がトナーマークで拡散され反射光が戻ってこないため、トナーマークセンサ52の出力電圧は、”Low”状態となる。一方、トナーマークセンサ52がトナーマークを検出していない間の出力電圧は、トナーマークセンサ52から射出された光線が転写搬送ベルト7で反射されて戻ってくることで、反射光がトナーマークセンサ52に検出されるため、トナーマークセンサ52の出力電圧は、”High”状態となる。
【0047】
図4に戻り、色ずれ補正制御部202は、トナーマークセンサ52により読み取られ、マーク位置情報演算部201により位置を割り出されたトナーマークパターン(ラダーパターン200)に対して、Y、M、C、K間の色のずれ分を演算、算出して補正を行う。また、色ずれ補正制御部202は、光書込ユニット(K/C)41の所定の温度差(後述のΔf_kc)と光書込ユニット(M/Y)42の所定の温度差(後述のΔf_my)との差である温度差が、所定の基準値(第1基準値:後述のΔF1)以上である場合は、印刷を中止して色ずれ補正制御を行うが、該基準値未満である場合は、色ずれ補正制御を行わない。
【0048】
なお、転写搬送ベルト7の表面検査としてトナーマークセンサ52を使用する際は、CPU20により、ラダーパターン200の書かれていない状態の転写搬送ベルト7上をベルト1周に渡ってトナーマークセンサ52にて読取って演算、算出を行う。この際には、読取った数百点の値の中に異常な値がないかを判定する。
【0049】
冷却制御部203は、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44の駆動および停止を制御して、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42を冷却するものである。
【0050】
ここで、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44について説明する。図7は、図3に示した制御系の構成から冷却ファンに関する一部の構成を抜き出した説明図である。本実施の形態の制御系におけるドライバ28は、図7に示すように、ソースタイプのTrアレイである。そして、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44は、ドライバ28を介してCPU20の出力端子に接続されている。
【0051】
冷却制御部203は、ファン制御信号によってドライバ28をONにして、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44に駆動電源を供給することで、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44を駆動させたり、電源の供給を停止することで駆動を停止させる制御を行っている。本実施の形態では、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44をそれぞれ独立して駆動および停止させることができる。
【0052】
この冷却制御部203による冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44の駆動は、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度に基づいて行う。ここで、光書込ユニット(K/C)41の温度を検知する温度検知センサ(K/C)45と、光書込ユニット(M/Y)42の温度を検知する温度検知センサ(M/Y)46について説明する。
【0053】
図8は、図3に示した制御系の構成から温度検知センサに関する一部の構成を抜き出した説明図である。温度検知センサ(K/C)45および温度検知センサ(M/Y)46は、温度検知センサI/F29を介してCPU20のAD入力端子に接続されている。また、本実施の形態の制御系では、温度検知センサ(K/C)45および温度検知センサ(M/Y)46としてサーミスタを使用している。サーミスタは温度によって素子の抵抗値が変化する特性を持っている。
【0054】
温度検知センサI/F29は、5Vでのプルアップの構成としており、このプルアップ抵抗とサーミスタによって5Vを分圧することにより、サーミスタの温度に対応した温度検知サーミスタ信号が生成される。そして、この温度検知サーミスタ信号のアナログ電圧をCPU20のADコンバータでAD変換することで、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度を検知している。
【0055】
図4に戻り、冷却制御部203は、温度検知センサ(K/C)45および温度検知センサ(M/Y)46により検知された光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度に基づいて、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44の駆動および停止を制御する。具体的な冷却ファンの駆動制御および色ずれ補正制御について以下に説明する。
【0056】
図9は、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度の説明図である。図9に示すように、前回行った色ずれ補正制御時の光書込ユニット(K/C)41の温度は、f_kc1とする。また、現在の光書込ユニット(K/C)41の温度は、f_kc2とする。また、前回行った色ずれ補正制御時の光書込ユニット(M/Y)42の温度は、f_my1とする。また、現在の光書込ユニット(M/Y)42の温度は、f_my2とする。
【0057】
まず、冷却制御部203は、光書込ユニット(K/C)41の現在の温度f_kc2と前回の色ずれ補正制御時の温度f_kc1との差分であるΔf_kc(第1差分)を算出する。ここで、光書込ユニット(K/C)41の現在の温度(f_kc2)と前回の色ずれ補正時の温度(f_kc1)との温度の差(Δf_kc)は、以下の(式1)により算出することができる。

Δf_kc=f_kc2−f_kc1・・・(式1)

【0058】
また、冷却制御部203は、光書込ユニット(M/Y)42の現在の温度(f_my2)と前回の色ずれ補正制御時の温度(f_my1)との差分であるΔf_my(第2差分)を算出する。ここで、光書込ユニット(M/Y)42の現在の温度(f_my2)と前回の色ずれ補正時の温度(f_my1)との温度の差(Δf_my)は、以下の(式2)により算出することができる。

Δf_my=f_my2−f_my1・・・(式2)

【0059】
そして、冷却制御部203は、Δf_kcとΔf_myとの差分である|Δf_kc−Δf_my|(第3差分)が、第1基準値であるΔF1(=10℃)未満になるように冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44の駆動および停止を制御する。
【0060】
具体的な処理としては、冷却制御部203は、|Δf_kc−Δf_my|が第1基準値であるΔF1(=10℃)以上である場合には、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度差変化による色ずれが発生していると判断し、色ずれ補正制御部202は、印刷を中止して色ずれ補正制御を実行する。
【0061】
また、冷却制御部203は、|Δf_kc−Δf_my|がΔF1(=10℃)未満である場合で、かつ|Δf_kc−Δf_my|が第1基準値より小さい第2基準値であるΔF2(=5℃)未満である場合、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44を駆動させる。この場合、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の両者を均等に冷却して|Δf_kc−Δf_my|を5℃未満に維持することができる。そうすると、色ずれ補正制御を行わなくてよいため、不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させるとともにトナー消費量を低減させることができる。
【0062】
一方、冷却制御部203は、|Δf_kc−Δf_my|がΔF1(=10℃)未満である場合で、|Δf_kc−Δf_my|がΔF2(=5℃)以上である場合であって、Δf_kcがΔf_myより大きい場合は冷却ファン(M/Y)44を停止させる。これにより、光書込ユニット(M/Y)42の温度が上昇するため、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度差が小さくなり、|Δf_kc−Δf_my|をΔF2(=5℃)未満にすることができる。そうすると、色ずれ補正制御を行わなくてよくなるため、不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させるとともにトナー消費量を低減させることができる。
【0063】
これに対して、冷却制御部203は、|Δf_kc−Δf_my|がΔF1(=10℃)未満である場合で、|Δf_kc−Δf_my|がΔF2(=5℃)以上である場合であって、Δf_kcがΔf_myより小さい場合は冷却ファン(K/C)43を停止させる。これにより、光書込ユニット(K/C)41の温度が上昇するため、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度差が小さくなり、|Δf_kc−Δf_my|をΔF2(=5℃)未満にすることができる。そうすると、上記同様、色ずれ補正制御を行わなくてよくなるため、不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させるとともにトナー消費量を低減させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、第1基準値であるΔF1を10℃、第2基準値であるΔF2を5℃として説明しているが、これに限定されることなく、第1基準値および第2基準値は任意に設定可能とする。
【0065】
次に、本実施の形態の画像形成装置による色ずれ補正制御の流れについて説明する。図10は、色ずれ補正制御の流れを示すフローチャートである。本実施の形態の画像形成装置では、該色ずれ補正制御を印刷実行中に定期的に行うものである。
【0066】
まず、冷却制御部203は、|Δf_kc−Δf_my|がΔF1(=10℃)以上であるか否かを判断する(ステップS11)。|Δf_kc−Δf_my|がΔF1(=10℃)以上である場合(ステップS11:Yes)、色ずれ補正制御部202は、印刷を中止、色ずれ補正制御を実行する(ステップS12)。
【0067】
一方、|Δf_kc−Δf_my|がΔF1(=10℃)未満である場合(ステップS11:No)、|Δf_kc−Δf_my|がΔF2(=5℃)以上であるか否かを判断する(ステップS13)。|Δf_kc−Δf_my|がΔF2(=5℃)未満である場合(ステップS13:No)、冷却制御部203は、冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44を駆動させる(ステップS14)。
【0068】
一方、|Δf_kc−Δf_my|がΔF2(=5℃)以上である場合(ステップS13:Yes)、冷却制御部203は、Δf_kcがΔf_myより大きいかを判断する(ステップS15)。そして、Δf_kcがΔf_myより大きい場合(ステップS15:Yes)、冷却制御部203は、冷却ファン(M/Y)44を停止させる(ステップS16)。一方、Δf_kcがΔf_myより小さい場合(ステップS15:No)、冷却制御部203は、冷却ファン(K/C)43を停止させる(ステップS17)。
【0069】
このように、本実施の形態の画像形成装置は、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42の温度に基づいて、光書込ユニット(K/C)41および光書込ユニット(M/Y)42を冷却する冷却ファン(K/C)43および冷却ファン(M/Y)44の駆動および停止の制御を行う。これにより、|Δf_kc−Δf_my|を小さくすることができる。これにより、画像形成装置は、色ずれ補正制御を行わなくてよいため、不要な色ずれ補正制御の実行を抑制してダウンタイムを短縮させるとともにトナー消費量を低減させることができる。
【0070】
本実施の形態の画像形成装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等であって、複数の光書込ユニットを備えた画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 操作部
2 排紙トレイ
3 定着ユニット
5 中間転写ユニット
6 レジストローラ対
7 転写搬送ベルト
9Y、9M、9C、9K 感光体ドラム
10Y、10M、10C、10K トナー像形成部
11a、11b、11c 搬送ローラ
12a、12b、12c 給紙コロ
13a、13b、13c 給紙トレイ
23 IO制御部
24 外部装置
25 転写駆動モータI/F
26 検出IO部
27 ドライバ
28 ドライバ
29 温度検知センサI/F
30 負荷
51 テンションローラ
51a スプリング
52 トナーマークセンサ
53 転写駆動ローラ
54 転写駆動モータ
55 タイミングベルト
56 ローラ
100 画像形成装置
110 バス
201 マーク位置情報演算部
202 色ずれ補正制御部
203 冷却制御部
211 マーク位置読取情報保持部
212 マーク位置情報演算結果保持部
221 初期マーク位置情報記憶部
261 センサ制御部
262 マーク位置情報入出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2010−102122号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じた光ビームを複数の像担持体上に走査させて形成された潜像を、異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する第1光書込部および第2光書込部と、
前記複数の像担持体それぞれに形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わせられた画像に対して色ずれ補正制御を行う色ずれ補正制御手段と、
前記第1光書込部を冷却する第1冷却部と、
前記第2光書込部を冷却する第2冷却部と、
前記第1光書込部および前記第2光書込部の温度を検知する温度検知手段と、
前記第1光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第1差分と、前記第2光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第2差分とを算出し、前記第1差分と前記第2差分との差分である第3差分が第1基準値未満になるように前記第1冷却部と前記第2冷却部の駆動および停止を制御する冷却制御手段と、を備え、
前記色ずれ補正制御手段は、前記第3差分が前記第1基準値未満である場合、前記色ずれ補正制御を行わないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却制御手段は、前記第3差分が前記第1基準値未満であって、かつ前記第3差分が前記第1基準値より小さい第2基準値以上である場合において、前記第1差分が前記第2差分より大きい場合は前記第2冷却部を停止させ、前記第1差分が前記第2差分より小さい場合は前記第1冷却部を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却制御手段は、前記第3差分が前記第1基準値未満であって、かつ前記第3差分が前記第2基準値未満である場合、前記第1冷却部および前記第2冷却部を駆動させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却制御手段は、印刷実行中に、前記第1冷却部と前記第2冷却部の駆動および停止を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記色ずれ補正制御手段は、前記第3差分が前記第1基準値以上である場合、印刷を中止して色ずれ補正制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置において実行する色ずれ補正制御方法において、
前記画像形成装置は、
画像データに応じた光ビームを複数の像担持体上に走査させて形成された潜像を、異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する第1光書込部および第2光書込部と、
前記第1光書込部を冷却する第1冷却部と、
前記第2光書込部を冷却する第2冷却部と、
前記第1光書込部および前記第2光書込部の温度を検知する温度検知手段と、を備え、
前記複数の像担持体それぞれに形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わせられた画像に対して色ずれ補正制御を行う色ずれ補正制御ステップと、
前記第1光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第1差分と、前記第2光書込部の現在の温度と前回の色ずれ補正制御時の温度との差分である第2差分とを算出し、前記第1差分と前記第2差分との差分である第3差分が第1基準値未満になるように前記第1冷却部と前記第2冷却部の駆動および停止を制御する冷却制御ステップと、を含み、
前記色ずれ補正制御ステップは、前記第3差分が前記第1基準値未満である場合、前記色ずれ補正制御を行わないことを特徴とする色ずれ補正制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114087(P2013−114087A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260944(P2011−260944)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】