説明

画像形成装置および露光ヘッド

【課題】 露光ヘッドの光射出面に対する清掃を容易に行うことができ、光射出面の汚れによる画像ムラの発生を抑制することのできる画像形成装置および露光ヘッドを提供する。
【解決手段】 LEDプリントヘッド30は、ヘッド本体31に、清掃機構80が装着されて構成されている。清掃機構80は、操作ロッド80Aの先端にクリーニング部材としてのクリーニングパッド80Bを備えており、ヘッド本体31の側面に形成されたガイド溝37に沿って移動し、クリーニングパッド80Bがロッドレンズアレイ33の上面の光射出面38に当接してクリーニングするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置およびその感光体を露光する露光ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、たとえばドラム状に構成された感光体を一様に帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された露光手段によって露光して感光体上に静電潜像を形成する。そしてこの静電潜像を現像器でトナー現像してトナー像とし、このトナー像を記録用紙に転写した後、定着することによって画像を得る。
このような画像形成装置における露光手段の一つとして、多数の発光ダイオード(LED)を直線状に配設して成るLEDアレイを用いるLEDプリントヘッド等の露光ヘッドが知られている。LEDは、機械的な駆動機構を必要とせず、また液晶素子のようにバックライトを必要としないことから、画像形成装置の小型化および省電力化を図ることができる。
【0003】
ところで、画像形成装置の露光手段は帯電器と現像器の間で感光体を露光するため、LEDプリントヘッド等の露光ヘッドを用いる画像形成装置では、露光ヘッドは必然的に現像器の近傍に配置される。その結果、露光ヘッドの光射出面が現像器から漏れ出すトナーによって汚染され易いという問題があった。光射出面が汚れると照射光の光量低下を招き、画像ムラを生ずる。そこで、このような画像ムラの原因となる汚れを防ぐ構成(特許文献1参照)や、光射出面を清掃する構成(特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
特許文献1に開示の構成は、露光ヘッドの前後両側(感光体の移動方向に対する前後)に遮蔽板を配設し、露光装置の光射出面と感光体との間に高圧保持部を形成したものである。これにより、感光体の回転によって惹起された気流によって高圧保持部が周囲よりも高圧に保たれ、内部へのトナークラウドの進入を防止しようとするものである。
また、特許文献2に開示の構成は、露光ヘッドに隣接して配置される帯電器に、露光ヘッドの光出射面に摺接可能な清掃部材を設け、帯電器の引き出し時および収納時に、清掃部材によって光出射面を清掃しようとするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−45795号公報
【特許文献2】特開平5−286206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、特に感光体の下側に露光ヘッドを配置すると、露光ヘッドは照射光を上向きに射出するためにその光射出面が上向きとなる。その結果、遮蔽板に付着したトナーが装置稼働時の振動等によって光射出面上に落下する虞が生ずる。万一、光射出面上にトナーが落下すると光射出面が大きく汚れてしまう。光照射面は感光体ドラムに近接していることから清掃が難しく、遮蔽板はかえって清掃の障害となる。また、遮蔽板の先端を感光体に近接させて配置する必要があるため、感光体を交換する際等に遮蔽板が接触して感光体を傷付けてしまう虞がある。
また、特許文献2に開示の構成は、コロナ帯電器等の非接触型の帯電器を用いるものにしか適用できない。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、露光ヘッドの光射出面に対する清掃を容易に行うことができ、光射出面の汚れによる画像ムラの発生を抑制することのできる画像形成装置および露光ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明の画像形成装置は、感光体と、感光体に対向して配設された光射出面から感光体を露光する照射光を射出する露光手段と、光射出面をクリーニングするクリーニング部材と、クリーニング部材を支持する支持操作部材と、支持操作部材を移動案内する案内手段と、を備え、案内手段に案内された支持操作部材の移動によって、クリーニング部材が光射出面の一方の端の外側で、且つ、光射出面から高さ方向に離間した退避位置から移動して光射出面に当接し、光射出面に沿って移動するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、支持操作部材は、クリーニング部材を支持する部位から、光射出面の上側を光射出面に沿って延設されており、光射出面と対応する開口部と、開口部を囲んで立設された遮蔽壁と、を備えることを特徴とする。また、案内手段は、たとえば、露光手段に設けられていることを特徴とする。さらに、露光手段は、たとえば、多数の発光素子が直線状に配置されて成る発光アレイと、発光アレイの配列端部の外側に配設された感光体との位置決め部材と、を備え、クリーニング部材の退避位置は、発光アレイの配列端部と位置決め部材との間に設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の露光ヘッドは、感光体を備える画像形成装置に装着され、感光体に対向して配設された光射出面から感光体を露光する照射光を射出する露光ヘッドであって、光射出面をクリーニングするクリーニング部材と、クリーニング部材を支持する支持操作部材と、支持操作部材を移動案内する案内手段と、を備え、案内手段に案内された支持操作部材の移動によって、クリーニング部材が光射出面の一方の端の外側で、且つ、光射出面から高さ方向に離間した退避位置から移動して光射出面に当接し、光射出面に沿って移動するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置および露光ヘッドによれば、クリーニング部材によって露光ヘッドの光射出面を容易に清掃することができ、光射出面の汚れによる画像ムラの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。図に示す画像形成装置1は、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置である。なお、図は操作者が操作する側(手前側)から見た図であり、メンテナンス等は手前側に開閉可能に設けられたカバー(図示しない)を開放することによって行うようになっているものである。また、図2はその画像形成ユニット10の概略構成拡大図である。
【0013】
画像形成装置1は、電子写真方式によって各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)と、各画像形成ユニット10を廻る周回経路で各画像形成ユニット10の図中上側に設けられた中間転写ベルト20とを備えている。また、中間転写ベルト20上のトナー像を被転写材としての記録用紙P上に転写する二次転写部40と、二次転写部40によって記録用紙Pにトナー像を転写した後の中間転写ベルト20の表面をクリーニングするクリーニング装置50と、記録用紙P上にトナー像を定着する定着装置60とを備えている。また、用紙トレイ71に収容された記録用紙Pを二次転写部40に搬送すると共に、二次転写部40から定着装置60に搬送し、さらに定着装置60による定着後の記録用紙Pを排出搬送する記録用紙搬送機構70を備えている。
【0014】
各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ現像器14(図2参照)に収容するトナーの色を除いては全く同様な構成であり、図2では画像形成ユニット10として示してある。以下、画像形成ユニットについてはこの図2に基づいて説明する。
画像形成ユニット10は、図2中矢印A方向に回転する感光体としての感光体ドラム11の周囲に、その回転方向に沿って、感光体ドラム11上を一様に帯電する帯電ロール12と、画像情報に基づいて制御された照射光で感光体ドラム11上を露光して静電潜像を書込む露光手段および露光ヘッドとしてのLEDプリントヘッド30と、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14と、感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ロール15と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ16等の電子写真用デバイスが順次配設されている。なお、LEDプリントヘッド30は感光体ドラム11の下方に位置している。
【0015】
帯電ロール12は、導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとが積層して構成されている。帯電ロール12には電圧が供給され、感光体ドラム11の表面を一定電圧で一様に帯電する。
LEDプリントヘッド30は、LEDアレイを備えており、そのLEDアレイを感光体ドラム11と平行にして設けられている。そして、図示しない制御部に制御されて画像データに基づいた照射光を射出して、感光体ドラム11の表面の感光体をその軸方向に主走査し、この主走査と感光体ドラム11の回転による副走査とによって感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。このLEDプリントヘッド30の構成については後に詳述する。
【0016】
現像器14は、現像剤を貯蔵する現像ハウジング14A、現像剤を担持搬送する現像ロール14Bを備えている。現像ロール14Bは現像ハウジング14A内に貯蔵されたトナーを担持して、回転しながら感光体ドラム11にトナーを供給し、静電潜像を可視像化したトナー像を形成する。なお、本実施の形態では、負極性に帯電するトナーが使用される。
一次転写ロール15は、中間転写ベルト20を挟んで感光体ドラム11と対峙して設けられている。導電性ゴムまたは導電性スポンジと導電性ゴムとを積層して構成されており、トナーの帯電極性と逆極性(すなわち本実施の形態では正極性)の電圧が印加されるようになっている。そして、その電位差によって感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に転写する。
【0017】
中間転写ベルト20は、ポリイミド等の樹脂に導電剤としてのカーボンブラック等の導電剤を含有させた素材によって、厚さが例えば、0.1mmで所定幅の無端ベルト状に形成されている。その体積抵抗率は、106〜1014Ω・cmに設定されている。
そして、駆動ロール21と、中間転写ベルト20に対して一定の張力を与えると共に経路を規定するテンションロール22と、二次転写部40のバックアップロール42とに掛け回されて、これらのロールによって規定された経路で周回するように設けられている。
駆動ロール21は、図示しないモータに接続されており、このモータよって回転駆動されて中間転写ベルト20を周回駆動する。
中間転写ベルト20の周回経路は、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)と対応する下側では水平となっている。
【0018】
二次転写部40は、バックアップロール42と、中間転写ベルト20を挟んでこのバックアップロール42と対峙する二次転写ロール41とを備えている。二次転写ロール41には、トナーの帯電極性と逆極性(正極性)の電圧が印加され、これによって中間転写ベルト20の担持したトナー像を記録用紙Pに転写する。
定着装置60は、加熱されるヒートロール61と、このヒートロール61に対向して設けられたプレッシャロール62とで構成されている。プレッシャロール62は、加熱されたヒートロール61に記録用紙Pを押圧して、加熱・加圧によって記録用紙P上にトナー像を固定する。
【0019】
記録用紙搬送機構70は、記録用紙Pを収容する用紙トレイ71と、用紙トレイ71に収容された記録用紙Pを取り出して搬送するピックアップロール72と、その記録用紙Pを搬送するいくつかの搬送ロール73とを備えている。そして、ピックアップロール72で用紙トレイ71に収容された記録用紙Pを所定のタイミングで取り出し、搬送ロール73によって二次転写部40へ、また、二次転写部40から定着装置60へと搬送する。
【0020】
そして、画像形成装置1は、下記のごとく作用して記録用紙P上に画像形成する。
すなわち、周回駆動(回動)される中間転写ベルト20上に、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分のトナー像を、それぞれ順次転写(一次転写)する。そして、中間転写ベルト20上に保持された重ね画像を、記録用紙搬送機構70によって搬送される記録用紙Pに、二次転写部40で一括転写(二次転写)する。その後、この記録用紙Pに二次転写された画像を定着装置60で定着させて排紙する。一方、二次転写部40で担持するトナー像を記録用紙用Pに転写した後の中間転写ベルト20の部位は、移動してクリーニング装置50と対応する位置に至り、残存するトナーが除去される。
【0021】
次に、本実施の形態の主要部位であるLEDプリントヘッド30について説明する。
図3はLEDプリントヘッド30の一部中略した斜視図、図4はその拡大断面図である。また、図5は清掃機構80をヘッド本体31から分離すると共に清掃機構80を分解した斜視図である。
LEDプリントヘッド30は、ヘッド本体31に、清掃機構80を備えて構成されている。
ヘッド本体31は、素子収容部31Aの両端に背の低い装着部31Bが延設されて、全体として細長い角軸状の外観を呈している。また、その左右両側面には、清掃機構80の移動を案内する案内手段としてのガイド溝37が形成されている。
【0022】
素子収容部31Aは、図4に示すように、その内部に発光アレイとしてのLEDアレイ32と、このLEDアレイ32の射出した光を結像させるロッドレンズアレイ33とを備えている。
LEDアレイ32は、多数の発光素子としての発光ダイオード(LED)がLED基板32A上に直線状に配列されて構成されている。そして、このLED基板32Aを介して支持基部34の上面に固定されている。
ロッドレンズアレイ33は、多数のロッドレンズがLEDアレイ32の各LEDと対応するように直線状に配設されて構成されている。そして、支持基部34に固定されたハウジング35によって保持されて、LEDアレイ32の上側に設けられている。その上面は、ハウジング35の上面から所定量突出しており、このLEDアレイ32の上面が、LEDプリントヘッド30から照射光を射出する光射出面38となっている。
【0023】
ハウジング35は、上部に平坦面(上面)を有する三角形状の断面形状で、その底辺部で支持基部34に固定されている。そして、上面部でロッドレンズアレイ33を所定位置に保持すると共に、ロッドレンズアレイ33を覆い、これらロッドレンズアレイ33およびLEDアレイ32の収容空間を形成しているものである。
ヘッド本体31の前後両端の装着部31Bは、支持基部34が素子収容部31Aより前後両側に突出することで形成されている。その上面には、このLEDプリントヘッド30を画像形成装置1(図1参照)に装着する際に位置決めする位置決め部材としての位置決め突起31Cが突設されている。
【0024】
清掃機構80は、支持操作部材としての操作ロッド80Aの先端にクリーニング部材としてのクリーニングパッド80Bを備えて構成されている。そして、ヘッド本体31の上側に、重合して設けられている。
操作ロッド80Aは、ヘッド本体31の平面形状と略対応する平面形状で、その平面中央にヘッド本体31の素子収容部31Aと対応する開口部81が形成されている。また、先端には、ヘッド本体31に係合する係合部82が形成されている。さらに、手前側の基端は、ヘッド本体31の装着部31Bと対応する段状の操作部83となっている。
開口部81の周縁には、遮蔽壁84が立設されている。その高さは、このLEDプリントヘッド30を画像形成装置1(図1参照)に装着した状態で、上縁が感光体ドラム11(図2および後述する図6、図7参照)に狭い隙間(たとえば0.5mm)を有して近接するように設定されている。
【0025】
係合部82は、操作ロッド80Aの左右両側にそれぞれ垂下形成されたアーム部82Aを備え、このアーム部82Aの先端内側に係合突起82Bが突設されている。係合突起82Bは、ヘッド本体31の側面に形成されたガイド溝37に移動可能に嵌合するようになっている。
アーム部82Aの間の操作ロッド80Aの下面に、クリーニングパッド80Bが設けられている。クリーニングパッド80Bは、たとえば不織布によって形成された所定厚さおよび大きさのブロックで、操作ロッド80Aの下面に接着固定されている。
【0026】
上記のごとく構成された操作ロッド80Aは、その係合部82の係合突起82Bがヘッド本体31の側面に形成されたガイド溝37に嵌合して、ヘッド本体31に装着されている。
ここで、ヘッド本体31の側面に形成されたガイド溝37は、図3および図5中に示すように、先端の所定範囲の離接経路部37Aを除いて、素子収容部31Aの上面と所定間隔で平行に、ヘッド本体31の略全長にわたって形成されている。先端部の離接経路部37Aは、最先端が最も高くなるように所定の角度で斜めに形成されている。従って、係合部82の係合突起82Bがこの離接経路部37A内を移動すると、操作ロッド80Aのヘッド本体31に対する間隔が変化する。そして、係合突起82Bが離接経路部37Aの最先端部に位置した状態で、操作ロッド80Aはヘッド本体31から上方に最も離間するようになっている。
【0027】
操作ロッド80Aは、その係合突起82Bがガイド溝37の最先端(つまり離接経路部37Aの最先端)に位置した状態で、図3に示すようにちょうどヘッド本体31の上側に重合する。その開口部81は素子収容部31Aと合致して、素子収容部31Aからの照射光を妨げないようになっている。また、基端側の操作部83が装着部31Bの上側に位置する。この状態が通常状態であり、普段(画像形成時等)はこの状態とされる。
【0028】
図6は、この通常状態におけるLEDプリントヘッド30の先端部位を示し、操作ロッド80Aのみ断面とした図である。また、図7は、図6の状態から操作ロッド80Aをその係合突起82Bがガイド溝37の水平部位に至るまで引き出した状態を示す図である。
図6に示すように、通常状態では、操作ロッド80Aの先端下面に装着されたクリーニングパッド80Bは、素子収容部31Aの光射出面38の先端側の端部と位置決め突起31Cの間に、素子収容部31Aの上面から上側に所定量離間して位置するようになっている。この位置が、クリーニングパッド80Bの退避位置である。
【0029】
このクリーニングパッド80Bの退避位置にある通常状態から、手前側端部の操作部83(図3参照)を支持して操作ロッド80Aを移動操作する(手前側に引っ張る)と、係合部82の係合突起82Bがガイド溝37に沿って移動する。操作ロッド80Aは、はじめ離接経路37Aに沿って斜め下方に移動し、その後、水平に移動する。ここで、ガイド溝37の離接経路37Aの傾斜角度は、離接経路37Aに沿って操作ロッド80Aが移動することで、素子収容部31Aの斜め上方に離間する退避位置にあったクリーニングパッド80Bが、ロッドレンズアレイ33の上面(光射出面38)に当接するように設定されている。これにより、操作ロッド80Aを引き出し操作することにより、クリーニングパッド80Bがロッドレンズアレイ33の上面(光射出面38)に当接し、その後、その状態のまま水平に移動するようになっているものである。
【0030】
上記のごとく構成されたLEDプリントヘッド30は、ヘッド本体31の装着部31Bで画像形成装置1(図1参照)の図示しないシャーシに固定され、感光体ドラム11の下側に隣接して設けられる。そして、LEDアレイ32(図3および4参照)が画像情報に基づいて制御された照射光を出射し、このLEDアレイ32(図3および4参照)が出射した光を、ロッドレンズアレイ33が感光体ドラム11の表面に結像させる。
画像形成時には、清掃機構80は通常状態とされ、その操作ロッド80Aはヘッド本体31の上側に重合し、開口部81が素子収容部31Aと合致して射出光を妨げることはない。また、開口部81の周縁に立設された遮蔽壁84の上縁が感光体ドラム11の周面に近接して位置し、開口部81の内側(すなわち素子収容部31A)へのトナー等の侵入を阻止する。これにより、光射出面38の汚れを抑制することができる。
【0031】
そして、光射出面38がトナー等によって汚れた場合には、清掃機構80の操作部83(図3参照)を支持して操作ロッド80Aを引き出し・差し戻すことで、ロッドレンズアレイ33の上面である光射出面38をクリーニングパッド80Bによって拭って、汚れを除去することができる。
すなわち、操作ロッド80Aを引き出すことにより、通常状態では斜め上方の退避位置にあったクリーニングパッド80Bが、操作ロッド80Aの引き出し操作に伴う降下によって光射出面38に当接し、それ以後の操作ロッド80Aの引き出し操作によって光射出面38を拭って汚れを除去する。さらに、差し戻す際にも、同様に光射出面38を拭って汚れを除去する。この操作ロッド80Aの引き出し・差し戻しによる光射出面38の清掃は、必要に応じて繰り返して行うことができる。
【0032】
また、この清掃作業(操作ロッド80Aの引き出し・差し戻し)の際には、操作ロッド80Aの引き出しに伴う降下によって、開口部81の周縁に立設された遮蔽壁84も感光体ドラム11の周面から離間し、遮蔽壁84の上縁が感光体ドラム11の表面の感光体に接触して傷つける虞が少ない。
つまり、本実施の形態のLEDプリントヘッド30によれば、感光体ドラム11に対して上向きに配置した場合でも、隣接する現像器から生ずるトナークラウド等による光射出面38の汚れを遮蔽壁84によって抑制することができると共に、光射出面38が汚れた場合でも、操作ロッド80Aを引き出し・差し戻すという極めて簡単な作業で、光射出面38をクリーニングパッド80Bで拭って汚れを除去することができる。また、その際、遮蔽壁84は感光体ドラム11から離間するため、その感光体を損傷させることがないものである。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。たとえば、清掃機構80の操作ロッド80Aの移動を案内する部材(本実施の形態においてヘッド本体31に形成されたガイド溝37)を、ヘッド本体31が装着される画像形成装置本体側に設けて構成しても良いものである。
また、上記実施の形態は、本発明をいわゆるタンデム型のカラー画像形成装置に適用したものであるが、たとえば、回転式現像装置を用いたカラーの画像形成装置や、モノクロの複写機等に適用しても良いことは言うまでもない。
さらに、露光手段はLEDアレイを備えるLEDプリントヘッドとして説明したが、これに限るものではなく、液晶シャッターリニアアレイを用いる露光ヘッドに適用しても良い。また、ポリンゴンミラー等によるスキャンによって感光体を露光する光学系の、感光体ドラムに臨んで配置された光射出窓に本発明を適用しても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。
【図2】画像形成ユニットの概略構成拡大図である。
【図3】LEDプリントヘッドの斜視図である。
【図4】LEDプリントヘッドの拡大断面図である。
【図5】清掃機構をヘッド本体から分離すると共に清掃機構を分解した斜視図である。
【図6】通常状態におけるLEDプリントヘッドの先端部位を示す図である。
【図7】図6の状態から操作ロッドを引き出した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1…画像形成装置、11…感光体ドラム(感光体)、20…中間転写ベルト(像担持体)、30…LEDプリントヘッド(露光手段,露光ヘッド)、31C…位置決め突起(位置決め部材)、32…LEDアレイ(発光アレイ)、37…ガイド溝(案内手段)、38…光射出面、80…清掃機構、80A…操作ロッド(支持操作部材)、80B…クリーニングパッド(クリーニング部材)、81…開口部、84…遮蔽壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体に対向して配設された光射出面から当該感光体を露光する照射光を射出する露光手段と、
前記光射出面をクリーニングするクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を支持する支持操作部材と、
前記支持操作部材を移動案内する案内手段と、を備え、
前記案内手段に案内された前記支持操作部材の移動によって、前記クリーニング部材が前記光射出面の一方の端の外側で、且つ、前記光射出面から高さ方向に離間した退避位置から移動して前記光射出面に当接し、当該光射出面に沿って移動するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持操作部材は、前記クリーニング部材を支持する部位から、前記光射出面の上側を当該光射出面に沿って延設されており、前記光射出面と対応する開口部と、当該開口部を囲んで立設された遮蔽壁と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記露光手段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光手段は、多数の発光素子が直線状に配置されて成る発光アレイと、当該発光アレイの配列端部の外側に配設された前記感光体との位置決め部材と、を備え、
前記クリーニング部材の退避位置は、前記発光アレイの配列端部と前記位置決め部材との間に設定されていることを特徴とする請求項2乃至3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
感光体を備える画像形成装置に装着され、前記感光体に対向して配設された光射出面から当該感光体を露光する照射光を射出する露光ヘッドであって、
前記光射出面をクリーニングするクリーニング部材と、
前記クリーニング部材を支持する支持操作部材と、
前記支持操作部材を移動案内する案内手段と、を備え、
前記案内手段に案内された前記支持操作部材の移動によって、前記クリーニング部材が前記光射出面の一方の端の外側で、且つ、前記光射出面から高さ方向に離間した退避位置から移動して前記光射出面に当接し、当該光射出面に沿って移動するように構成されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項6】
前記支持操作部材は、前記クリーニング部材を支持する部位から、前記光射出面の上側を当該光射出面に沿って延設されており、前記光射出面と対応する開口部と、当該開口部を囲んで立設された遮蔽壁と、を備えること特徴とする請求項5に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
多数の発光素子が直線状に配置されて成る発光アレイと、当該発光アレイの配列端部の外側に配設された前記感光体との位置決め部材と、を備え、
前記クリーニング部材の退避位置は、前記発光アレイの配列端部と前記位置決め部材との間に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の露光ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−72321(P2007−72321A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261264(P2005−261264)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】