説明

画像形成装置の消耗品交換方法

【課題】手間を要することなく、しかも消耗品自体に、識別コードを記録する記録媒体を有するか否かに関係なく、純正品のみを許可し得る消耗品交換方法を提供する。
【解決手段】トナーカートリッジ(消耗品)32が適合品であるか否かの情報を書き込んだICタグ35付きのカード33を、トナーカートリッジ32と、梱包ケース31に同梱しておき、交換を要するトナーカートリッジ32を新トナーカートリッジ32に交換する際に、画像形成装置のRF−IDリーダ19でICタグ35の情報を読み取り、RAM5に記憶してある過去使用のIDタグの情報と、今回読み取りのIDタグの情報を照合し、今回のIDタグが新しいと、表示部7に「交換が正常に終了しました」と表示し、使用を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フアクシミリ装置、複写装置等の画像形成装置の消耗品交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、トナーカートリッジやドラムユニットなどのプロセスユニット(消耗品)が着脱自在とされ、寿命がくると新品に自由に交換できるようになっている。この消耗品の新品への交換を行う際に、純正品のみ交換を許可し、非純正品への交換を禁止するために、装置内に純正品の識別コードを設定記憶しておくと共に、交換用の純正品にもメモリに同じ識別番号を記憶しておき、交換時に両識別コードを比較して一致の得られたもののみを許可するもの(例えば特許文献1参照)や、消耗品交換時に新しい交換品の識別コードを手動入力し、すでに許可された識別コードと比較し、一致が得られれば使用を許可する画像形成装置(_例えば特許文献2参照)が開示されている。
【特許文献1】特開平7−2055228号公報
【特許文献2】特開2003-195705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来の消耗品交換時のチェックにいずれも非純正品を排除することができる。しかし、特許文献1に記載の技術では、交換品に記憶している識別コードと比較するものであるから、純正品でも識別コードを記憶するメモリを持たないものまでチェックできないという問題がある。また、特許文献2に記載の技術では、手動で識別コードを入力するものであるため、若干操作に手間取るという問題がある。
【0004】
この発明は、上記問題点に着目してなされたものであって、手間を要することなく、しかも消耗品自体に、識別コードを記録する記録媒体を有するか否かに関係なく、純正品のみを許可し得る消耗品交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の画像形成装置の消耗品交換方法は、消耗品が適合品であるか否かの情報を書き込んだICタグを備える物品を交換用消耗品に同梱しておき、交換を要する消耗品を新たな消耗品に交換する際に、画像形成装置に備えるRF−IDリーダで前記新消耗品のICタグの情報を読み取り、この読み取り情報が適合品である旨を示す場合に、当該新交換消耗品の使用を許可する。なお、同梱には、消耗品を収納しているケース(箱)内に入れる場合のほか、ケースの外側にICタグシートを貼り付ける場合も含まれる。
【0006】
この発明において、前記画像形成装置で使用した消耗品のICタグの識別コードを画像形成装置に記憶しておき、今回読み取りのICタグの識別コードと照合し、今回のICタグの識別コードが新しい場合に、当該新交換消耗品の使用を許可することとしても良い。
【0007】
また、この発明において、前記ICタグに、消耗品が適合品であるか否かの情報の、他に当該消耗品の機種、規格に係る情報も記憶することができる。
【0008】
この発明でいう消耗品には、例えばトナーカートリッジ、ドラムユニット、トナーカーリッジとドラムユニットが一体となったプロセスユニットなどがある。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、交換用の消耗品につき、純正品として許可し得るものであれば、その旨を書き込んだICタグ付きカードを、その消耗品に同梱すればよいので、消耗品に識別コード記憶媒体を持たない場合や、リサイクル品にも使用できる。ICタグを備える物品をリーダ部に近づけるのみでよいので、手間を要しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明が実施されるフアクシミリ装置の構成を示すブロック図である。この実施形態フアクシミリ装置は、MPU(Micro Processer Unit)1と、NCU(Network Control Unit)2と、MODEM(Modulator Demodulator)3と、ROM(Read Only Memory)4と、RAM(Random Access Memory)5と、画像メモリ6と、表示部7と、操作部8と、スキャナ9と、CODEC(Coder−Decoder)10と、プリンタ11と、LAN−IF(Local Area Network―Inter Face)12と、時計回路13と、バス14とを、備えている。
【0011】
MPU1は、ROM4に格納するプログラムに従い、この装置を構成する各部を制御する機能を有する。NCU2は、電話回線網(PSTN)20との接続を制御するとともに、相手先の電話番号(FAX番号を含む)に対応した選択(ダイヤル)信号を送出する機能、及び呼出信号を検出するための機能を備えている。MODEM3は,ITU(国際電気通信連合)―T勧告T.30に従ったフアクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17、V.27ter、V.29等に従った送信データの変調及び受信データの復調を行う。あるいは、これらに加えてV.34に従った送信データの変調及び受信データの復調を行う。
【0012】
ROM4は、この装置を制御するためのプログラムを記憶する。RAM5はMPU1が処理するデータ等を一時的に記憶する。このRAM5には、後述のICタグ35より読み取ったデータを記憶する。画像メモリ6は、受信した画像データやスキャナ9で読み取った画像データを記憶する。表示部7は、装置からオペレータへの伝達情報等を表示する。操作部8は、テンキー、FAXキー,COPYキー、スタートキー、ワンタッチキーなどの操作スイッチを有する。
【0013】
スキャナ9は、FAX送信するとき、又はコピーするときに、原稿の画像を読み取る。このスキャナ9には、読み取り光学系を駆動するためのモータ15と、このモータ15を駆動制御するスキャナ機構駆動回路16と、原稿を読み取るためのCCDセンサ17と、このCCDセンサ17の読み取り画像信号を画像処理する画像処理回路18を備えるほか、ICタグのデータを読み取るためのRF−IDリーダ19を備えている。RF−IDリーダ19は、スキャナ9の原稿搬送路、あるいは、その他の適所に配置している。このRF−IDリーダ19には、RF−IDリーダ/ライタを使用しても良い。
【0014】
CODEC10は、読み取った画像データを送信するために、MH,MR,MMR方式等により符号化(エンコード)し、受信した画像データを復号する。プリンタ11は、複写時にスキャナ9で読み取られた画像データ、フアクシミリ受信した受信画像データ、外部機器であるPC等から伝送されてきたプリントデータをプリントする。このプリンタ11には、交換自在なトナーカートリッジ32がセットされている。LAN−IF12は,LAN(Local Area Network)を介してPC(Personal Computer)などの外部機器に接続され、ここより外部機器とのデータ授受を行う。時計回路13は、現在の時刻(年月日時分)を出力する。各構成部は、バス14により、それぞれ接続されている。
【0015】
この実施形態フアクシミリ装置において、プリンタ11の、トナーカートリッジ32は、交換可能であり、この装置のRAM5には、これまでに使用を許可されたトナーカートリッジに関する情報が記憶されている。情報は、メーカ名、機種コード、シリアル番号などである。
【0016】
また、交換用に用意されるトナーカートリッジは図3に示すように、梱包ケース31内に、トナーカートリッジ32と、ICタグ付きカード33を、同梱している。このICタグ付きカード33は、図4に示すようにカード34上にICタグ35が添着されている。ICタグ35は表面に粘着剤を塗布したシール状のものである。
【0017】
ICタグ付カード33のICタグ35には、同梱したトナーカートリッジ32についての情報が書き込まれている。情報は、メーカ名、機種コード、シリアル番号、などである。場合によっては、規格例えばトナーの充填量を記憶しておいても良い。このICタグ付カード33のICタグ35は、フアクシミリ装置に備えるRF−IDリーダ19によって、電磁的に読み取り可能である。ICタグ付きカード33のカード34の、ICタグ35の装着面を除く上面34aに同梱トナーカートリッジ32の情報が印刷されていても良い。
【0018】
この実施形態フアクシミリ装置では、トナーカートリッジを交換する際に、梱包ケース31にトナーカートリッジ32と同梱されているICタグ付きカード33を、装置に近づけさせ、RF−IDリーダ19で、ICタグ35の情報を読み取り、RAM5に記憶しているトナーカーリッジに関する情報と比較し、適合品であれば、交換を許可する構成としている。
【0019】
次に、実施形態フアクシミリ装置において、トナーカートリッジ32を交換する場合の処理動作を図2のフロー図を参照して説明する。フクシミリ装置では、ステップST1において、トナー有りか否か判定する。プリンタ11に付設されるトナーセンサで、トナーカートリッジ32のトナーが残存している場合は、そのままリターンする。一方、トナーが無い場合は、ステップST2へ移行する。
【0020】
ステップST2においては、表示部7に「トナーを交換して下さい」を表示する。そして、ステップST3へ移行する。ステップST3においては、トナーカートリッジ32が交換されたか否かを検出する。ステップST2における表示をみて、ユーザがトナーカートリッジ32を交換するために本体から取り外すので、トナーカートリッジの有無を検知している。そして、ステップST4へ移行し、トナーカートリッジが有るか否か判定する。トナーカートリッジ32が取り外されたままで、トナーカートリッジ32が無い場合は、ステプST2へ戻る。一方、トナーカートリッジ32が装着されていると、ステップST5へ移行する。
【0021】
ステップST5においては、表示部7に「ICタグカードを本体に近づけて下さい」を表示する。次にステップST6へ移行する。ステップST6においては、RF−IDリーダ19で,ICタグ付きカード33を読み取り、ICタグ35を検出か否か判定する。ICタグ35が検出できない場合は、ステップST5にもどり、表示部7における「ICタグカードを本体に近づけてください」の表示を継続する。一方,ICタグ35が検出できた場合は、次にステップST7へ移行する。
【0022】
ステップST7においては、RF−IDリーダ19でICタグ35の情報を読み取り、RAM5に記憶する。続いて、ステップST8へ移行する。ステップST8においては、RAM5に記憶した新交換のカートリッジが、それまでに使用を許可したものでない新しいICタグであるか否かを判定する。装置に記憶してある情報と、今回ICタグ35から読み出した情報が一致した場合、つまり新しいICタグでないときは、すでに使用済みのカートリッジ用のICタグ35が、今回適合品でないカートリッジに使用されたおそれもあるので、非純正品であるとし、次にステップST9に移行する。ステップST9においては、表示部7に「このカートリッジは使用できません」を表示する、そして、処理を終了する。この場合、トナーカートリッジの交換は許可されなかったことになる。
【0023】
一方、ステップST8において、情報が一致しない場合は、今回交換しようとしたカートリッジは許可された純正品であるとし、次にステップST10へ移行する。ステップST10においては、表示部7に「交換が正常に終了しました」を表示する。この場合トナーカートリッジの交換が許可されたことになる。
【0024】
なお、上記実施形態において、ICタグ付きカード33のICタグ35に、同梱トナーカートリッジのトナー充填量として例えば印字可能枚数を記憶しておれば、この印字可能枚数をトナーカートリッジ交換時に本体装置に読み込みしておき、この印字可能枚数を用いて本体装置の印字カウンタを制御することができる。
【0025】
また、上記実施形態では,ICタグ35をカード34に付設したICタグ付きカード33を梱包ケース31に同梱しているが、ICタグ35は、カード以外の他の物品(例えば小箱)に付設したものであってもよい。またICタグ付きカード33を梱包ケース31内に入れ、つまり同梱しているが、梱包ケース31の外側に貼付して同梱としてもよい。
【0026】
また、上記実施形態において、トナーカートリッジを消耗品の一例として説明したが、ドラムユニット、トナーカートリッジとドラムユニットが一体となったプロセスユニット等を交換する場合にも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明が、実施されるフアクシミリ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】同フアクシミリ装置のトナーカートリッジ交換時の処理動作を説明するフロー図である。
【図3】上記フアクシミリ装置において使用される、交換用のトナーカートリッジの概略図である。
【図4】トナーカートリッジに同梱されるICタグ付きカードを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 MPU
2 NCU
3 MODEM
4 ROM
5 RAM
6 画像メモリ
7 表示部
8 操作部
9 スキャナ
10 CODEC
11 プリンタ
12 LAN−IF
13 時計回路
14 バス
15 モータ
16 スキャナ機構駆動回路
17 CCDセンサ
18 画像処理回路
19 RF−IDリーダ
31 梱包ケース
32 トナーカートリッジ本体
33 ICタグ付カード
34 カード
35 ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な消耗品を有する画像形成装置の消耗品交換方法であって、
消耗品が適合品であるか否かの情報を書き込んだICタグを備える物品を交換用消耗品に同梱しておき、交換を要する消耗品を新たな消耗品に交換する際に、画像形成装置に備えるRF−IDリーダで前記新消耗品のICタグの情報を読み取り、この読み取り情報が適合品である旨を示す場合に、当該新交換消耗品の使用を許可する画像形成装置の消耗品交換方法。
【請求項2】
前記画像形成装置で使用した消耗品のICタグの識別コードを画像形成装置に記憶しておき、今回読み取りのICタグの識別コードと照合し、今回のICタグの識別コードが新しい場合に、当該新交換消耗品の使用を許可することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の消耗品交換方法。
【請求項3】
前記ICタグに、消耗品が適合品であるか否かの情報の他に当該消耗品の機種、規格に係る情報も記憶していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置の消耗品交換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−215441(P2006−215441A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30273(P2005−30273)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】