説明

画像形成装置及びシステム

【課題】ジョブを発行する情報処理装置と、ジョブを処理する画像形成装置と、ジョブを管理するサーバとを備えたシステムにおいて、少なくともジョブを受信できない状態までサーバがダウンした時にも、情報処理装置からジョブを発行して実行することを可能にする。
【解決手段】サーバ20は、情報処理装置(PC10−1〜10−nで例示)から発行され画像形成装置(印刷装置30−1で例示)で処理されるジョブを管理する。印刷装置30−1は、サーバ20がダウンしたことを検知する検知部32と、ダウンしたことを検知した場合に、印刷装置30−1で処理する対象のジョブをPC10−1〜10−nから直接受信する直接受信部33と、ダウンしたことを検知した場合に、PC10−1〜10−n又はそれらのユーザに、ダウンした旨を示す情報を含むメッセージ又は電子メールを配信する配信部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、その画像形成装置と情報処理装置と画像形成装置で実行されるジョブを管理するサーバとを備えたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバで複数の画像形成装置を集中的に管理するシステムでは、サーバが故障等の理由でダウンした場合、クライアント装置である、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置から送信されるジョブの実行が不可能になる。
【0003】
これに対し、特許文献1に記載のシステムでは、サーバの記憶装置の故障時、代替手段により印刷継続できるようにしている。また、特許文献2に記載のシステムでは、画像形成装置の故障をサーバがユーザに電子メールで連絡するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−318108号公報
【特許文献2】特開2005−128966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、サーバの記憶装置の故障だけでなく完全にダウンしてしまった場合は印刷データを他に転送できず、印刷が停止してしまう。なお、特許文献2には、画像形成装置の故障についての処理が記載されているだけで、サーバが故障した場合のリカバー方法については記載されていない。
【0006】
従って、特許文献1,2に記載の技術では、サーバが完全にダウンしたり通信インターフェースが故障するなど、サーバにおいて少なくとも印刷データの受信ができなくなった場合、印刷ジョブが発行できないか、発行できても通信エラーとなってしまい、結果として印刷が実行できなくなってしまう。特に、緊急を要する印刷ジョブを発行したい場合に非常に不便である。
【0007】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジョブを発行する情報処理装置と、ジョブを処理する画像形成装置と、画像形成装置で処理されるジョブを管理するサーバとを備えたシステムにおいて、少なくともジョブを受信できない状態までサーバがダウンした時にも、情報処理装置からジョブを発行して実行することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、情報処理装置とサーバとがネットワークを介して接続された画像形成装置であって、前記サーバは、前記情報処理装置から発行され前記画像形成装置で処理されるジョブを管理し、前記画像形成装置は、前記サーバがダウンしたことを検知する検知部と、該検知部で前記サーバがダウンしたことを検知した場合に、前記画像形成装置で処理する対象のジョブを前記情報処理装置から直接受信する直接受信部と、前記検知部で前記サーバがダウンしたことを検知した場合に、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに、ダウンした旨を示す情報を含むメッセージ又は電子メールを配信する配信部とを備えたことを特徴としたものである。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記ジョブを送信してきた前記情報処理装置のユーザを示すユーザ情報と前記ジョブの処理内容とを、少なくとも前記サーバが復帰するまで保持する保持部を、さらに備えたことを特徴としたものである。
【0010】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記検知部により前記サーバが復帰したことを検知したときに、前記保持部で保持したユーザ情報と前記処理内容とを前記サーバへ通知する通知部を、さらに備えたことを特徴としたものである。
【0011】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記サーバと連動して前記情報処理装置のユーザを前記画像形成装置のユーザとして認証する認証部を有し、前記メッセージ又は電子メールは、ユーザ認証を免除する旨の情報を含むことを特徴としたものである。
【0012】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記メッセージ又は電子メールは、前記ジョブを直接画像形成装置へ送信する旨の情報を含むことを特徴としたものである。
【0013】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記直接受信部及び前記配信部での動作を許可するか否かを、前記情報処理装置のユーザ毎に設定する設定部を、さらに備えたことを特徴としたものである。
【0014】
第7の技術手段は、第6の技術手段において、前記設定部での設定を、前記サーバの管理者に該当する管理者ユーザからのみ受け付けることを特徴としたものである。
【0015】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段における画像形成装置と、該画像形成装置にネットワークを介して接続された情報処理装置及びサーバを備えたシステムであって、該サーバは、前記情報処理装置から発行され前記画像形成装置で処理されるジョブを管理することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ジョブを発行する情報処理装置と、ジョブを処理する画像形成装置と、画像形成装置で処理されるジョブを管理するサーバとを備えたシステムにおいて、少なくともジョブを受信できない状態までサーバがダウンした時にも、情報処理装置からジョブを発行して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るシステムの一構成例を示す概略図である。
【図2】図1の印刷管理サーバで管理されるジョブ情報の一例を示す図である。
【図3】図1のシステムのPCにおいて、印刷装置へ印刷ジョブを送信して印刷指示を行う際に表示させる画面の一例を示す図である。
【図4】図1のシステムにおける印刷装置での処理例を説明するためのフロー図である。
【図5】図4のサーバダウンの検知方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】図4のサーバダウンの検知方法の他の例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係るシステムの一構成例を示す概略図で、図2は、図1の印刷管理サーバで管理されるジョブ情報の一例を示す図である。
図1で例示するシステムは、PC10−1〜10−nで例示する情報処理装置と、印刷管理サーバ20で例示するサーバと、印刷装置30−1〜30−nで例示する画像形成装置とを備える。画像形成装置としては、多機能の複合機であることが他種のジョブに対応できるため好ましいが、単なるプリンタであってもよい。本発明に係る画像形成装置は、このように1又は複数の情報処理装置がネットワークを介して接続されており、且つサーバがネットワークを介して接続されている。また、このシステムにおいて、画像形成装置は1台のみ接続されていてもよい。以下、各PC10−1〜10−nのいずれかをPC10として、また印刷装置30−1〜30−nのいずれかを印刷装置30として、しばしば説明する。
【0019】
印刷管理サーバ20は、PC10から発行され印刷装置30で処理されるジョブを管理する。つまり、印刷管理サーバ20は、複数の印刷装置30で処理されるジョブを集中的に管理する。但し、本発明に係るシステムは、印刷ジョブに限らず、スキャンしたファイルを画像形成装置内に記憶するジョブ、既存ファイル又はスキャンしたファイルを添付した電子メール送信ジョブ、既存ファイル又はスキャンしたファイルをFTP(File Transfer Protocol)で送信するジョブなど、様々なジョブについて、1又は複数種類のジョブの管理を行うことが可能なサーバを備えればよい。以下、このサーバの一例として上記印刷管理サーバ20を挙げて説明するが、印刷ジョブ以外のジョブについても基本的に以下の説明は同様に援用できる。
【0020】
また、各印刷装置30−1〜30−nにはそれぞれ認証システム31−1〜31−nが接続されている。以下、各認証システム31−1〜31−nのいずれかを認証システム31として、しばしば説明する。認証システム31は、ユーザIDとパスワードのキー入力や、IC(Integrated Circuit)カードの読み取りによる入力などで、ユーザが印刷装置30を使用できるか否かを認証する認証部であり、各印刷装置30内に組み込むか外部接続しておけばよい。ユーザを認証するためのこれらの情報は、PC10から入力するが、印刷装置30の認証部で入力することもできる。そして、この認証部は、印刷管理サーバ20と連動してPC10のユーザを印刷装置30のユーザとして認証する。また、外部接続する代替構成として、認証システム31−1〜31−nをまとめて共通の認証サーバとして構築し、上記ネットワークに接続しておくこともできる。この共通の認証サーバは、PC10や印刷装置30で入力された認証するための情報を受信し、印刷管理サーバ20と連動してユーザ認証処理を実行し、認証OKの場合のみ印刷を許可する。
【0021】
このようなシステムにおいて、PC10からプリントを行う際には、例えば次のような処理がなされる。まず、PC10でユーザがユーザID及びパスワードを入力した上で印刷指示を行い、PC10のプリンタドライバが印刷管理サーバ20に印刷データ及びユーザ情報(ここではユーザID及びパスワード)を含む印刷ジョブを送信する。印刷管理サーバ20は、まずこの印刷ジョブを実行させてよいかを認証するために、印刷指示のあった印刷装置30、若しくは印刷管理サーバ20で実行先として振り分けた印刷装置30の認証システム31に対し、上記ユーザ情報を送信して認証させる。印刷管理サーバ20は、その認証結果を受信し、認証OKであればその印刷装置30に印刷ジョブを送信し、その印刷装置30で印刷が実行される。一方で認証NGであれば、その旨がPC10に伝えられ、印刷は実行されない。なお、PC10がユーザ情報の送信後に、認証OKになってから印刷データを送信するような処理手順を採用してもよい。
【0022】
また、コピーを行う場合には、印刷装置30の認証システム31で認証のための情報を入力し、認証システム31でユーザ認証処理が施され、認証結果が印刷管理サーバ20に送信される。印刷管理サーバ20は、その認証結果が認証OKであった場合に印刷装置30の使用を許可し、印刷装置30へのログインが完了する。そして、ユーザがドキュメントを印刷装置30にセットして実行キーを押下することで、コピーが実行される。一方、認証NGであった場合には印刷装置30の使用を認めず、印刷装置30においてユーザにログインエラーを提示する。
【0023】
そして、このように印刷が実行されたことを、印刷管理サーバ20では管理情報21として管理する。管理情報21には、例えば図2で示すように、印刷したユーザ名、ジョブの種類(コピーなのか、プリントなのか、スキャンなのかなど)、印刷データ名、印刷日時、印刷枚数、印刷用紙サイズ(A4か、B4かなど)、Nup(集約印刷)や両面印刷を示す情報、カラー/モノクロを示す情報などが含まれる。ここで、ファイル名、ユーザ名、日時により、セキュリティ管理を行う。また、印刷枚数、用紙サイズ、カラー/モノクロ等の印刷情報により統計的な管理を行う。この統計的な管理は、節約度合なども管理できるため、エコロジー管理とも呼べる。
【0024】
次に、図3〜図6を併せて参照しながら、本発明の主たる特徴について説明する。図3は、図1のシステムのPCにおいて、印刷装置へ印刷ジョブを送信して印刷指示を行う際に表示させる画面の一例を示す図である。
【0025】
印刷装置30は、このようなシステムの一構成として設置する装置であり、本発明の主たる特徴として、検知部32、直接受信部33、及び配信部34を備える。各部32〜34は、主に、ネットワークインターフェース、印刷装置30の制御部における演算装置、作業用メモリ、制御プログラムを記録したメモリ、並びにその制御プログラムにより、構成される。そして、各部32〜34の機能は、この制御プログラムで印刷装置30が制御されることで実現できる。なお、各部32〜34は、図1において印刷装置30−1にのみ図示しているが、他の印刷装置30−2〜30−nについても同様に各部32〜34が具備されるものとする。
【0026】
検知部32は、印刷管理サーバ20がダウンしたことを検知する。検知の方法についてはその例を後述するが、基本的にネットワーク上の印刷管理サーバ20の存在を監視することで検知を行う。無論、ネットワークの監視ではなく、直接監視を行うような装置を設けてもよい。印刷管理サーバ20のダウンとは、電源が落ちたり、通信インターフェースが故障したり、データ受信機能がオーバーフローするなど、少なくとも印刷ジョブの受信処理ができない状態を指す。
【0027】
直接受信部33は、検知部32で印刷管理サーバ20がダウンしたことを検知した場合に、印刷装置30で処理する対象のジョブをPC10から直接受信する。つまり、直接受信部33は、PC10から直接、印刷ジョブを受信可能な状態にする。例えば、ネットワーク上に配信された印刷ジョブのIPアドレスを見て、自身のIPアドレスが含まれる印刷ジョブであればそれを受信するような状態にする。なお、ダウン検知までは、印刷ジョブについては印刷管理サーバ20からのみ受信するような設定にしておけばよい。
【0028】
また、PC10が印刷ジョブを印刷管理サーバ20に対して送信し、印刷管理サーバ20が印刷装置30に対してその印刷ジョブを転送することを前提として説明しているが、管理情報21として残す印刷設定だけを印刷管理サーバ20に送信し、印刷データ自体は好ましくは印刷管理サーバ20からの許可を得てから、印刷装置30に送信して印刷を実行させるようにしてもよい。そのような処理手順を採用する場合、印刷管理サーバ20の未ダウン時も印刷ジョブは、PC10が直接印刷装置30に送信することになる。つまりこのような処理を採用した場合には、印刷管理サーバ20のダウンの如何に拘わらず直接受信部33がジョブを直接受信すれば済む。
【0029】
配信部34は、検知部32で印刷管理サーバ20がダウンしたことを検知した場合に、PC10又はそれらのユーザに、ダウンした旨を示す情報を含むメッセージ又は電子メールを配信する。
【0030】
配信部34での配信について詳細を説明する。一般的に、PC10に配信する場合にはメッセージで配信され、ユーザに電子的に配信する場合には電子メールで配信されるが、配信部34でもそのような配信を行えばよい。無論、1ユーザにつき1台のPC10が割り当てられている場合にはPC10への配信はそのユーザへの配信を意味し、メッセージであろうと、電子メールであろうと構わない。配信部34がメッセージを送信する構成では、例えば予め格納されているPC10のIPアドレスにメッセージを一斉に配信すればよく、電子メールを送信する構成では、例えば予め格納されている電子メールアドレスに対して一斉に配信すればよい。つまり、電子メール又はメッセージの配信は、印刷装置30内部に登録済みの全てのPC10やそのユーザに対して、ブロードバンド配信で行うとよい。ここで印刷装置30の内部とは、当然、認証システム31の内部でもよく、ユーザの認証時に照合に使用する情報に含めたり、関連付けたりしておいてもよい。このような処理により、少なくともサーバダウン時には手動で印刷装置30を選択する操作をユーザが行うことができる。但し、配信部34は、印刷管理サーバ20がダウンしている間にジョブを発行してきたPC10やそのユーザにのみ、電子メール又はメッセージを配信するようにしてもよい。
【0031】
このような配信により、ユーザは印刷管理サーバ20がダウンしたことを知ることができるため、直接、印刷装置30を選択して印刷指示を出すことができる。例えば、PC10は、このような電子メール又はメッセージを見たユーザの指示により、図3で例示するようなプリンタ選択画面11を表示し、所望のプリンタのアイコン(例えば名称が「SSS MX−000」のプリンタのアイコン12)を選択して印刷指示を行うことができる。若しくは、PC10は、このようなメッセージ又は電子メールを受けた場合に、上記アイコン12が示す印刷装置30に直接送信するように自動的に設定を変更してもよい。ここで、プリンタ選択画面11において、名称「Print System」で示すプリンタのアイコン13は、印刷管理サーバ20に印刷ジョブを送信するドライバのアイコンを指しており、通常はこのアイコン13が選択されて、常に印刷管理サーバ20に印刷ジョブが送信されるようになっている。
【0032】
このように、本発明によれば、少なくともジョブを受信できない状態まで印刷管理サーバ20がダウンした時にも、PC10から印刷ジョブを発行して実行することができる。なお、印刷ジョブの受信さえされていれば、印刷管理サーバ20の復帰後ではあるものの、その印刷ジョブが印刷管理サーバ20からの指示により印刷装置30で実行できる。また、印刷管理サーバ20の予備となる予備サーバを設置する必要もない。
【0033】
次に、このようなシステムにおける印刷処理の流れについて、その一例を図4〜図6を併せて説明する。また、図4は、図1のシステムにおける印刷装置での処理例を説明するためのフロー図、図5は、図4のサーバダウンの検知方法の一例を説明するためのフロー図、図6は、図4のサーバダウンの検知方法の他の例を説明するためのフロー図である。
【0034】
印刷装置30は、まず、印刷管理サーバ20がReadyか否かを検知する(ステップS1)。ステップS1としては、図5で例示する検知方法や図6で例示する検知方法などが採用できる。
【0035】
図5で例示する検知方法では、印刷装置30が、定期的に、つまり一定時間の経過を待って(ステップS11)、印刷管理サーバ20にPINGを発行し(ステップS12)、その応答が正しく帰ってくるか否かを判定する(ステップS13)。印刷装置30は、帰ってこない場合(ステップS13でNOの場合)、サーバダウンと検知し(ステップS15)、ステップS11へ戻る。一方、印刷装置30は、帰ってきた場合(ステップS13でYESの場合)、サーバ未ダウンと検知し(ステップS14)、ステップS11へ戻る。
【0036】
図6で例示する検知方法では、印刷管理サーバ20が定期的に印刷装置30にPINGを発行し、印刷装置30がそのPINGを監視することで行う。より具体的には、印刷装置30は、定期的に、つまり一定時間の経過を待って(ステップS21)、正しいPINGを受信したか否かを判定し(ステップS22)、受信しない場合(ステップS22でNOの場合)、サーバダウンと検知し(ステップS24)、ステップS21へ戻る。一方、印刷装置30は、受信した場合(ステップS22でYESの場合)、サーバ未ダウンと検知し(ステップS23)、ステップS11へ戻る。このように印刷装置30は、印刷管理サーバ20からのPINGを監視し、一定期間以上、PINGを受信しない場合に、サーバダウンと判定する。
【0037】
ステップS1でNOとなった場合、つまり印刷管理サーバ20がダウンしている場合、印刷装置30は、サーバダウン通知を印刷装置30に登録されている電子メールアドレス又はIPアドレスに電子メール又はメッセージで行う(ステップS2)。なお、電子メールアドレスとしては、スキャン送信機能用に登録されている電子メールアドレスでもよく、これはスキャン送信機能が一般的に自身が閲覧できる電子メールアドレスに対して行うため、問題ない。また、このような通知を行うため、図1のシステムにおいて、配信部34(及び検知部32)は少なくとも1台の印刷装置30に搭載されていれば済み、複数台の印刷装置30に搭載しておく場合には電子メール又はメッセージに送信元の情報を付加しておくか、検知のタイミングをずらして、複数台で監視を行ってもよい。このような監視により印刷装置30のうちの1台がダウンしていても対応可能となる。
【0038】
また、電子メール又はメッセージには、(1)印刷管理サーバ20がダウンしている旨、(2)ユーザ認証を印刷管理サーバ20の復旧まで免除する旨、(3)プリントデータは、印刷管理サーバ20ではなく印刷装置30に直接送信しないと印刷できない旨、を示す情報を含めるようにするとよい。
【0039】
上記(2)で例示したように、メッセージ又は電子メールは、ユーザ認証を免除する旨の情報を含むようにすることが好ましい。但し、印刷装置30が上記認証部を備えた形態に限る。非ダウン時には、認証システム31は、認証結果を印刷管理サーバ20に送信し、それにより印刷ジョブ処理が許可されるが、ダウン時には、印刷管理サーバ20での許可/不許可の判定が結局できないため、その判定に必要な認証結果も送る必要ないため、不要な認証を省略することで処理を少なくすることができる。
【0040】
上記(3)で例示したように、メッセージ又は電子メールは、印刷ジョブを直接印刷装置30へ送信する旨の情報を含むことが好ましい。このメッセージ又は電子メールを読んだユーザは直接送信されることを把握することができる。特に、印刷装置30の機種名や名称などを情報に含ませておくことが好ましい。
【0041】
次に、印刷装置30は、印刷管理サーバ20が復旧したか否かを判定し(ステップS3)、NOであればサーバ未経由モードにし、直接受信部33を機能させる(ステップS4)。ステップS4の処理後はステップS3へ戻る。このように、印刷管理サーバ20がダウン中は、印刷管理サーバ20経由でなく、印刷装置30に直接データを送信し印刷を行う。
【0042】
また、ステップS4では、印刷ジョブを受けた場合には、その印刷情報を保持しておくことが好ましい。そのため、印刷装置30は、印刷ジョブを送信してきたPC10のユーザを示すユーザ情報と印刷ジョブの処理内容とを、少なくとも印刷管理サーバ20が復帰するまで保持する保持部を備えることが好ましい。保持部はメモリを有することになる。また、上記印刷情報は上記ユーザ情報と処理内容とを含む。保持するためのユーザ情報は、ジョブに含まれるか若しくは添付された情報から得ることができ、上記認証部を備えた構成では認証のための情報に含まれるかを確認をとってから保持してもよい。なお、この保持部は、電子メール又はメッセージの通知後に保持可能な状態にしているが、サーバダウン後且つ通知前に保持を可能な状態にしておいてもよい。サーバダウン後の印刷管理を引き続き印刷装置30側で遂行できるので、サーバダウン中のデータ管理が可能になる。
【0043】
ステップS3でYESとなった場合、つまり印刷管理サーバ20が復旧した場合には、印刷装置30はサーバ未経由モード時のジョブを全て処理し(ステップS5)、印刷装置30が保存した印刷情報を印刷管理サーバ20に送信し(ステップS6)、印刷管理サーバ20はその印刷情報を管理情報にマージする。ステップS5は、ステップS3でNOの間に実行しておいてもよい。
【0044】
このように、印刷装置30は、次の通知部を備えることが好ましい。つまり、通知部は、検知部32により印刷管理サーバ20が復帰したことを検知したときに、保持部で保持したユーザ情報と処理内容(印刷枚数等)とを印刷管理サーバ20へ通知する。印刷管理サーバ20がダウンしていた間の印刷管理に関する情報を得ることができるため、印刷管理サーバ20でダウン中も加味して途切れさせることなく印刷管理を行うことができる。
【0045】
そして、印刷装置30又は印刷管理サーバ20が、印刷管理サーバ20の復旧を、PC10又はそのユーザにIPアドレス又は電子メールなどにより通知し(ステップS7)、印刷装置30はサーバ経由モードに戻して、ユーザ認証機能も有効化する(ステップS8)。
【0046】
以上の例では、印刷装置30が配信部34や直接受信部33での動作を常に行うことを前提として説明したが、印刷装置30は次の設定部を備えるようにしてもよい。この設定部は、直接受信部33及び配信部34での動作を許可するか否かを、PC10のユーザ毎に設定する。設定のためには印刷装置30にユーザインターフェースと設定内容を格納するメモリとを設けておき、使用するユーザが確定したときなどに、その設定を読み出すようにしておけばよい。実際、システムを運営する際のセキュリティ上、一部の画像形成装置のみでユーザ認証免除した方が望ましいため、このような設定部を設けておくことは有益である。また、設定部での設定を、印刷管理サーバ20の管理者に該当する管理者ユーザからのみ受け付けることが、管理上好ましい。
【符号の説明】
【0047】
10,10−1,10−2,10−n…PC、11…プリンタ選択画面、20…印刷管理サーバ、21…管理情報、30,30−1,30−2,30−n…印刷装置、31,31−1,31−2,31−n…認証システム、32…検知部、33…直接受信部、34…配信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置とサーバとがネットワークを介して接続された画像形成装置であって、
前記サーバは、前記情報処理装置から発行され前記画像形成装置で処理されるジョブを管理し、
前記画像形成装置は、前記サーバがダウンしたことを検知する検知部と、該検知部で前記サーバがダウンしたことを検知した場合に、前記画像形成装置で処理する対象のジョブを前記情報処理装置から直接受信する直接受信部と、前記検知部で前記サーバがダウンしたことを検知した場合に、前記情報処理装置又は前記情報処理装置のユーザに、ダウンした旨を示す情報を含むメッセージ又は電子メールを配信する配信部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブを送信してきた前記情報処理装置のユーザを示すユーザ情報と前記ジョブの処理内容とを、少なくとも前記サーバが復帰するまで保持する保持部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知部により前記サーバが復帰したことを検知したときに、前記保持部で保持したユーザ情報と前記処理内容とを前記サーバへ通知する通知部を、さらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記サーバと連動して前記情報処理装置のユーザを前記画像形成装置のユーザとして認証する認証部を有し、前記メッセージ又は電子メールは、ユーザ認証を免除する旨の情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記メッセージ又は電子メールは、前記ジョブを直接画像形成装置へ送信する旨の情報を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記直接受信部及び前記配信部での動作を許可するか否かを、前記情報処理装置のユーザ毎に設定する設定部を、さらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定部での設定を、前記サーバの管理者に該当する管理者ユーザからのみ受け付けることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置と、該画像形成装置にネットワークを介して接続された情報処理装置及びサーバを備えたシステムであって、該サーバは、前記情報処理装置から発行され前記画像形成装置で処理されるジョブを管理することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−251513(P2011−251513A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128835(P2010−128835)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】