画像形成装置及びプログラム
【課題】インク消費量をソフトカウントでカウントするときの検出精度を向上する。
【解決手段】インクカートリッジのエンド状態になったときには、当該インクカートリッジの使用が開始されたときからエンド状態を検出したときまでのドットカウントのカウント値である累積ドットカウント消費量と、予め定めたインクカートリッジの液体収容量とを比較して、液体収容量に対する累積カウント消費量の割合(比)を算出し、累積カウント消費量が液体収容量と同じになる補正係数を決定し、ドットカウント処理では、カウント値に補正係数を乗じたものをドットカウント消費量とする。
【解決手段】インクカートリッジのエンド状態になったときには、当該インクカートリッジの使用が開始されたときからエンド状態を検出したときまでのドットカウントのカウント値である累積ドットカウント消費量と、予め定めたインクカートリッジの液体収容量とを比較して、液体収容量に対する累積カウント消費量の割合(比)を算出し、累積カウント消費量が液体収容量と同じになる補正係数を決定し、ドットカウント処理では、カウント値に補正係数を乗じたものをドットカウント消費量とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプログラムに関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置及び同画像形成装置に適用するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、装置本体側に着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジとも称する)からサブタンクに対してインクを供給する方式のものが知られている。
【0005】
ここで、インク消費量の検出方法として、液体消費量をソフトカウントして間接的に検出する構成(特許文献1)、メインタンクやヘッドタンク自体にエンド検出手段を設けて直接的に検出する構成などが知られている。なお、ソフトカウントとは、記録時に吐出した滴数及び当該滴の滴量をカウントした値や、ヘッドの維持回復動作の内容に応じて予め定めた使用量に当該維持回復動作の回数を乗じた値などを積算して算出することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−052415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ソフトカウントのカウント値として得られる消費量と実際の消費量との間には誤差が生じるという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ソフトカウントによる液体消費量の検出精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出手段と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント手段と、を備え、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの前記消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、
前記消費量カウント手段は、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する
構成とした。
【0010】
ここで、前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動し、所定時間内に前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定する構成とできる。
【0011】
また、前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源の回転数をカウントして、累積回転数が所定回転数に達したときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定する構成とできる。
【0012】
また、前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源を所定回転数だけ駆動しても前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定する構成とできる。
【0013】
また、前記メインタンクを交換する毎に前記補正係数を決定する構成とできる。
【0014】
本発明に係るプログラムは、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、を備える画像形成装置における液体消費量をカウントする処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出処理と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント処理と、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド状態を検出したときまでの前記消費量の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定処理と、を行わせ、
前記消費量カウント処理では、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する処理を行わせる
構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、メインタンクの使用が開始されたときからエンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、累積カウント値と液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、消費量カウント手段は、消費量をカウントするときに、補正係数によりカウント値を補正する構成としたので、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差を低減でき、ソフトカウントによる消費量の検出精度が向上する。
【0016】
本発明に係るプログラムによれば、メインタンクの使用が開始されたときからエンド状態を検出したときまでの消費量の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、累積カウント値と液体収容量とが同じになる補正係数を決定し、消費量をカウントするときに、補正係数によりカウント値を補正する構成としたので、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差を低減でき、ソフトカウントによる消費量の検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】サブタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図4】同じく図3の模式的正面説明図である。
【図5】インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。
【図6】同装置の制御部を説明する概略ブロック説明図である。
【図7】ソフトカウントで使用する滴体積テーブルの説明に供する説明図である。
【図8】インクカートリッジのエンド検出処理の一例を示すフロー図である。
【図9】インクカートリッジのエンド検出処理の他の例を示すフロー図である。
【図10】インクカートリッジのエンド検出処理の更に他の例を示すフロー図である。
【図11】補正係数決定処理の説明に供するフロー図である。
【図12】ドットカウント処理の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0019】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0020】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0021】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0022】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0023】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0024】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0025】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0026】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0027】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0028】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0030】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0031】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0032】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0033】
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的上面説明図、図4は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的正面説明図である。
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は可撓性フィルム203で密閉し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてのバネ204によってフィルム203を常時外方へ付勢している。これにより、タンクケース201のフィルム203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンクケース201内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0034】
また、タンクケース201の外側には、一端部を支軸202で揺動可能に支持され、タンクケース201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(満タン検知フィラともいう。)205がフィルム203に接着などで固定され、フィルム203の動きに連動して変位部材205が変位するので、装置本体側に配置された光学センサからなる満タン検知センサ301によって変位部材205の変位量を検知することによりヘッドタンク35内のインク残量などを検知することができる。
【0035】
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0036】
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になった、或いは、ヘッドタンク35の液体残量が所定量以下になったことを検出することができる。
【0037】
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系について図5を参照して説明する。
まず、インクカートリッジ(メインタンク)10からヘッドタンク35に対するインク供給は、供給ユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。なお、供給ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆ポンプであり、インクカートリッジ10からヘッドタンク35にインクを供給する動作と、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10にインクを戻す動作とを行なえるようにしている。
【0038】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク813に排出される。
【0039】
また、装置本体側にはヘッドタンク35の大気解放機構207を開閉する押圧部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気解放機構207を開放することができる。さらに、装置本体側にはヘッドタンク35の変位部材205を検知する光学センサからなるセンサ301が設けられている。
【0040】
ここで、メインタンク10のエンド状態の検出の異なる例について説明する。なお、エンド検出手段は制御部500によって構成される。
まず、メインタンク10からヘッドタンク35に対して送液ポンプ241を正転駆動して送液するとき、送液ポンプ241を所定時間駆動してもヘッドタンク35側で所定量のインク補充が検知されないときに、メインタンク10がエンド状態になったと判定する。なお、ヘッドタンク35側でのインク補充検知は、例えば、ヘッドタンク35を所定位置(所定量供給されたときに変位部材205がセンサ301で検知される位置)に移動させ、送液ポンプ241を所定時間駆動したとき、センサ301で変位部材205が検知されないときにエンド状態として検出する。あるいは、ヘッドタンク35の電極ピン208aと208bを用いて、メインタンク10からヘッドタンク35に送液するときに、所定時間経過しても電極ピン208aと208bがインク液面を検知しないときにエンド状態として検出する。また、所定量のインク補充検知は満タン検知とすることができる。
【0041】
また、送液ポンプ241の正転駆動の回転数の累積値(逆転駆動したときには減算する)をカウントし、予め定めたメインタンク10のインク収容量に対応するカウント値を達したときに、エンド状態として検出する。
【0042】
さらに、メインタンク10からヘッドタンク35に対して送液ポンプ241を正転駆動して送液するとき、送液ポンプ241を所定回転数駆動してもヘッドタンク35側で所定量のインク補充が検知されないときに、メインタンク10がエンド状態になったと判定する。なお、ヘッドタンク35側のインク補充検知は上述したように変位部材205の検知や電極ピン208を用いた検知で行うことができる。
【0043】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司る、本発明に係るエンド検出手段、消費量カウント手段、補正係数決定手段などを兼ねるCPU501と、CPU501が実行する本発明における検出、カウント、算出などの処理を行うプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0044】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する大気開放ソレノイド302を駆動するソレノイド駆動部512と、送液ポンプ241を駆動するポンプ駆動部516と、メインタンク10に設けられて不揮発性メモリ(ここでは、EEPROM)521に対するデータの読み出し及び書き込みのための通信を行うカートリッジ通信部522などを備えている。
【0045】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0046】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0047】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0048】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0049】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0050】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。このI/O部513に入力されるセンサ群515には、前述したヘッドタンク35の変位部材205を検知するセンサ301、検知電極ピン208a、208bなどの信号も入力される。
【0051】
この制御部500のCPU501は、前述したように、メインタンク10がエンド状態になったことを検出するエンド検出手段と、記録ヘッド34から吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント手段と、メインタンク10の使用が開始されたときからエンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を、カウント値を補正する補正係数として算出する補正係数決定手段などを兼ねている。
【0052】
次に、インク消費量のソフトカウントの概要について図7も参照して説明する。
インク消費量のソフトカウント(以下、「ドットカウント」といい、ドットカウントで得られたインク消費量を「ドットカウント消費量」という。)は、記録ヘッド34から画像形成動作や空吐出動作で吐出する液滴と当該液滴の滴量、維持回復機構81で維持回復を行うときに記録ヘッド34から吸引排出させる吸引量、吸引回数から算出する。例えば、「予め設定した一滴の滴体積×吐出滴数×ノズル数+予め設定した1回の吸引量×吸引回」で算出することができる。このインク消費量のドットカウントは、各色ごと(各色のインクカートリッジ毎)に行う。
【0053】
このドットカウントは、インクカートリッジ10の使用が開始されたときから逐次更新されて現在までに消費した量がEEPROM505やカートリッジEEPROM521に記憶保持される。
【0054】
ここで、ドットカウントに使用する滴体積テーブルは、例えば図7に示すように、印刷モード(用紙種類や速度、画質に応じて選択するもの)、滴サイズ(大滴、中滴、小滴)、温度により構成され、ドットカウント消費量は、選択された印刷モードの滴サイズがある温度で何滴吐出されたかを上記テーブルをもとに計算している。維持回復機構81にてインクをヘッド34から吸引して排出した場合は、ドットカウント消費量に吸引した量(1回当たりの吸引量に吸引回数乗じたもの)を加算する。温度毎に吸引量を設定してもよい。
【0055】
次に、インクカートリッジのエンド検出処理の異なる例について図8ないし図10のフロー図を参照して説明する。
図8に示す例は、送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液を開始し、所定時間経過したか否かを判別し、所定時間経過していなければ、ヘッドタンク35への所定量の供給(充填)が完了したか否かを判別し、所定時間内に充填が完了すれば送液ポンプ241を停止し、所定時間内に充填が完了しなければ、インクカートリッジ10がエンド状態になったと判定する。
【0056】
図9に示す例は、送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液を開始し、送液ポンプ241を所定回転数だけ回転させた(回転数>閾値)か否かを判別し、所定回転数駆動していなければ、ヘッドタンク35への所定量の供給(充填)が完了したか否かを判別し、所定回転数内の駆動で充填が完了すれば送液ポンプ241を停止し、所定回転数の駆動で充填が完了しなければ、インクカートリッジ10がエンド状態になったと判定する。
【0057】
図10に示す例は、送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液を開始し、送液ポンプ241の累積回転数が閾値を越えたか否かを判別し、累積回転数が閾値を越えていなければ、ヘッドタンク35への所定量の供給(充填)が完了したか否かを判別し、累積回転数が閾値を超えるまでに充填が完了すれば送液ポンプ241を停止し、累積回転数が閾値を越えるまでに充填が完了しなければ、インクカートリッジ10がエンド状態になったと判定する。なお、累積回転数は、当該インクカートリッジ10の使用開始からの送液ポンプ241の送液方向(正転方向)の回転数の累積である。
【0058】
次に、ドットカウントの補正係数決定処理について図11のフロー図を参照して説明する。
印刷が終了したとき、印刷で使用した分のインクをインクカートリッジ10からヘッドタンク35に供給するインク供給(補充)処理を行う。このとき、前述したようにして、インクカートリッジ10がエンド状態か否かの検出結果をチェックしてインクカートリッジ10がエンド状態になったか否かを判別する。
【0059】
ここで、インクカートリッジ10のエンド状態になったときには、当該インクカートリッジ10の使用が開始されたときからエンド状態を検出したときまでのドットカウントのカウント値である累積ドットカウント消費量と、予め定めたインクカートリッジ10の液体収容量とを比較して、液体収容量に対する累積カウント消費量の割合(比)を算出し、累積カウント消費量が液体収容量と同じになる補正係数を決定する。例えば、累積カウント消費量が「8」で液体収容量が「10」のときの補正係数は、10/8=1.25となり、後述するドットカウント処理では、カウント値に「1.25」を乗じたものドットカウント消費量とすることになる。
【0060】
そして、決定した補正係数としてRAM502などの記憶手段に格納保持する。このとき、既に記憶手段に補正係数が記憶保持されているときには更新される。
【0061】
次に、ドットカウント処理について図12のフロー図を参照して説明する。
この処理は、記録ヘッド34から液滴を吐出する印刷動作や維持回復動作を行うときにエントリイされ、前述したように滴体積テーブルを使用してドットカウントを開始し、カウント値に補正係数を乗じた値をドットカウント消費量としてEEPROM505などに逐次記憶保持する。
【0062】
これにより、インクカートリッジ10が交換されたときには、前回使用されたインクカートリッジ10の実際の使用量に基づく補正係数によってドットカウント消費量が補正されるので、得られるドットカウント消費量は実際のインクカートリッジ10の消費量に近くなり、ソフトカウントによって得られる消費量と実際の消費量の誤差が低減する。
【0063】
このように、メインタンクの使用が開始されたときからエンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、累積カウント値と液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、消費量カウント手段は、消費量をカウントするときに、補正係数によりカウント値を補正する構成とすることで、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差を低減でき、ソフトカウントによる消費量の検出精度が向上する。
【0064】
ここで、ソフトカウントで得られる消費量は、例えば、印刷中におけるインクカートリッジ10からヘッドタンク35に対する送液を行う場合(所定消費量になったときに送液を行う)、廃液タンク813に対する廃液量の検出を行なう場合などにも使用されるので、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差が低減することで、これらの制御精度も向上する。そして、例えば、廃液タンク813に関しては、廃液を収容できる量は決まっているので、ドットカウント消費量と実際の消費量との誤差が大きくても収容できるように、廃液タンク満タン検知を行う閾値に余裕を持たせるか、誤差が一番大きいものを規定の時期まで満タンとさせないために廃液タンク容量を大きくする必要が生じるが、誤差を低減することで、このような不都合も低減できる。
【0065】
以上のエンド検出、補正係数決定処理、ソフトカウントなどの各種の本発明に係る処理は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、上記処理は、情報処理装置(ホスト600)側のプリンタドライバで行う構成とすることもできる。さらに、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
【符号の説明】
【0066】
10 インクカートリッジ
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
241 送液ポンプ
500 制御部
600 ホスト(情報処理装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプログラムに関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置及び同画像形成装置に適用するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、装置本体側に着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジとも称する)からサブタンクに対してインクを供給する方式のものが知られている。
【0005】
ここで、インク消費量の検出方法として、液体消費量をソフトカウントして間接的に検出する構成(特許文献1)、メインタンクやヘッドタンク自体にエンド検出手段を設けて直接的に検出する構成などが知られている。なお、ソフトカウントとは、記録時に吐出した滴数及び当該滴の滴量をカウントした値や、ヘッドの維持回復動作の内容に応じて予め定めた使用量に当該維持回復動作の回数を乗じた値などを積算して算出することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−052415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ソフトカウントのカウント値として得られる消費量と実際の消費量との間には誤差が生じるという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ソフトカウントによる液体消費量の検出精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出手段と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント手段と、を備え、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの前記消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、
前記消費量カウント手段は、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する
構成とした。
【0010】
ここで、前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動し、所定時間内に前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定する構成とできる。
【0011】
また、前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源の回転数をカウントして、累積回転数が所定回転数に達したときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定する構成とできる。
【0012】
また、前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源を所定回転数だけ駆動しても前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定する構成とできる。
【0013】
また、前記メインタンクを交換する毎に前記補正係数を決定する構成とできる。
【0014】
本発明に係るプログラムは、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、を備える画像形成装置における液体消費量をカウントする処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出処理と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント処理と、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド状態を検出したときまでの前記消費量の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定処理と、を行わせ、
前記消費量カウント処理では、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する処理を行わせる
構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、メインタンクの使用が開始されたときからエンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、累積カウント値と液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、消費量カウント手段は、消費量をカウントするときに、補正係数によりカウント値を補正する構成としたので、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差を低減でき、ソフトカウントによる消費量の検出精度が向上する。
【0016】
本発明に係るプログラムによれば、メインタンクの使用が開始されたときからエンド状態を検出したときまでの消費量の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、累積カウント値と液体収容量とが同じになる補正係数を決定し、消費量をカウントするときに、補正係数によりカウント値を補正する構成としたので、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差を低減でき、ソフトカウントによる消費量の検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】サブタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図4】同じく図3の模式的正面説明図である。
【図5】インク供給排出系の説明に供する模式的説明図である。
【図6】同装置の制御部を説明する概略ブロック説明図である。
【図7】ソフトカウントで使用する滴体積テーブルの説明に供する説明図である。
【図8】インクカートリッジのエンド検出処理の一例を示すフロー図である。
【図9】インクカートリッジのエンド検出処理の他の例を示すフロー図である。
【図10】インクカートリッジのエンド検出処理の更に他の例を示すフロー図である。
【図11】補正係数決定処理の説明に供するフロー図である。
【図12】ドットカウント処理の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0019】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0020】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0021】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0022】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0023】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0024】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0025】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0026】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0027】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0028】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0030】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0031】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0032】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0033】
次に、ヘッドタンク35の一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的上面説明図、図4は同ヘッドタンクの1つのヘッド分の模式的正面説明図である。
ヘッドタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は可撓性フィルム203で密閉し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてのバネ204によってフィルム203を常時外方へ付勢している。これにより、タンクケース201のフィルム203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンクケース201内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0034】
また、タンクケース201の外側には、一端部を支軸202で揺動可能に支持され、タンクケース201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(満タン検知フィラともいう。)205がフィルム203に接着などで固定され、フィルム203の動きに連動して変位部材205が変位するので、装置本体側に配置された光学センサからなる満タン検知センサ301によって変位部材205の変位量を検知することによりヘッドタンク35内のインク残量などを検知することができる。
【0035】
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、ヘッドタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、ヘッドタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、ヘッドタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0036】
また、ヘッドタンク35内のインク液面高さを検出するための電極ピン208aと208bが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208bの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さ以下になった、すなわち、ヘッドタンク35の空気量が所定量以上になった、或いは、ヘッドタンク35の液体残量が所定量以下になったことを検出することができる。
【0037】
次に、この画像形成装置におけるインク供給排出系について図5を参照して説明する。
まず、インクカートリッジ(メインタンク)10からヘッドタンク35に対するインク供給は、供給ユニット24の送液手段である送液ポンプ241によって供給チューブ36を介して行なわれる。なお、供給ポンプ241は、チューブポンプなどで構成した可逆ポンプであり、インクカートリッジ10からヘッドタンク35にインクを供給する動作と、ヘッドタンク35からインクカートリッジ10にインクを戻す動作とを行なえるようにしている。
【0038】
また、維持回復機構81は、前述したように記録ヘッド34のノズル面をキャッピングする吸引キャップ82aと、吸引キャップ82aに接続された吸引ポンプ812を有し、キャップ82aでキャッピングした状態で吸引ポンプ812を駆動することで吸引チューブ811を介してノズルからインクを吸引することによってヘッドタンク35内のインクを吸引することができる。なお、吸引された廃インクは廃液タンク813に排出される。
【0039】
また、装置本体側にはヘッドタンク35の大気解放機構207を開閉する押圧部材である大気開放ソレノイド302が配設され、この大気開放ソレノイド302を作動させることで大気解放機構207を開放することができる。さらに、装置本体側にはヘッドタンク35の変位部材205を検知する光学センサからなるセンサ301が設けられている。
【0040】
ここで、メインタンク10のエンド状態の検出の異なる例について説明する。なお、エンド検出手段は制御部500によって構成される。
まず、メインタンク10からヘッドタンク35に対して送液ポンプ241を正転駆動して送液するとき、送液ポンプ241を所定時間駆動してもヘッドタンク35側で所定量のインク補充が検知されないときに、メインタンク10がエンド状態になったと判定する。なお、ヘッドタンク35側でのインク補充検知は、例えば、ヘッドタンク35を所定位置(所定量供給されたときに変位部材205がセンサ301で検知される位置)に移動させ、送液ポンプ241を所定時間駆動したとき、センサ301で変位部材205が検知されないときにエンド状態として検出する。あるいは、ヘッドタンク35の電極ピン208aと208bを用いて、メインタンク10からヘッドタンク35に送液するときに、所定時間経過しても電極ピン208aと208bがインク液面を検知しないときにエンド状態として検出する。また、所定量のインク補充検知は満タン検知とすることができる。
【0041】
また、送液ポンプ241の正転駆動の回転数の累積値(逆転駆動したときには減算する)をカウントし、予め定めたメインタンク10のインク収容量に対応するカウント値を達したときに、エンド状態として検出する。
【0042】
さらに、メインタンク10からヘッドタンク35に対して送液ポンプ241を正転駆動して送液するとき、送液ポンプ241を所定回転数駆動してもヘッドタンク35側で所定量のインク補充が検知されないときに、メインタンク10がエンド状態になったと判定する。なお、ヘッドタンク35側のインク補充検知は上述したように変位部材205の検知や電極ピン208を用いた検知で行うことができる。
【0043】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司る、本発明に係るエンド検出手段、消費量カウント手段、補正係数決定手段などを兼ねるCPU501と、CPU501が実行する本発明における検出、カウント、算出などの処理を行うプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0044】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、ヘッドタンク35の大気開放機構207を開閉する大気開放ソレノイド302を駆動するソレノイド駆動部512と、送液ポンプ241を駆動するポンプ駆動部516と、メインタンク10に設けられて不揮発性メモリ(ここでは、EEPROM)521に対するデータの読み出し及び書き込みのための通信を行うカートリッジ通信部522などを備えている。
【0045】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0046】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0047】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0048】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0049】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0050】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。このI/O部513に入力されるセンサ群515には、前述したヘッドタンク35の変位部材205を検知するセンサ301、検知電極ピン208a、208bなどの信号も入力される。
【0051】
この制御部500のCPU501は、前述したように、メインタンク10がエンド状態になったことを検出するエンド検出手段と、記録ヘッド34から吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント手段と、メインタンク10の使用が開始されたときからエンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を、カウント値を補正する補正係数として算出する補正係数決定手段などを兼ねている。
【0052】
次に、インク消費量のソフトカウントの概要について図7も参照して説明する。
インク消費量のソフトカウント(以下、「ドットカウント」といい、ドットカウントで得られたインク消費量を「ドットカウント消費量」という。)は、記録ヘッド34から画像形成動作や空吐出動作で吐出する液滴と当該液滴の滴量、維持回復機構81で維持回復を行うときに記録ヘッド34から吸引排出させる吸引量、吸引回数から算出する。例えば、「予め設定した一滴の滴体積×吐出滴数×ノズル数+予め設定した1回の吸引量×吸引回」で算出することができる。このインク消費量のドットカウントは、各色ごと(各色のインクカートリッジ毎)に行う。
【0053】
このドットカウントは、インクカートリッジ10の使用が開始されたときから逐次更新されて現在までに消費した量がEEPROM505やカートリッジEEPROM521に記憶保持される。
【0054】
ここで、ドットカウントに使用する滴体積テーブルは、例えば図7に示すように、印刷モード(用紙種類や速度、画質に応じて選択するもの)、滴サイズ(大滴、中滴、小滴)、温度により構成され、ドットカウント消費量は、選択された印刷モードの滴サイズがある温度で何滴吐出されたかを上記テーブルをもとに計算している。維持回復機構81にてインクをヘッド34から吸引して排出した場合は、ドットカウント消費量に吸引した量(1回当たりの吸引量に吸引回数乗じたもの)を加算する。温度毎に吸引量を設定してもよい。
【0055】
次に、インクカートリッジのエンド検出処理の異なる例について図8ないし図10のフロー図を参照して説明する。
図8に示す例は、送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液を開始し、所定時間経過したか否かを判別し、所定時間経過していなければ、ヘッドタンク35への所定量の供給(充填)が完了したか否かを判別し、所定時間内に充填が完了すれば送液ポンプ241を停止し、所定時間内に充填が完了しなければ、インクカートリッジ10がエンド状態になったと判定する。
【0056】
図9に示す例は、送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液を開始し、送液ポンプ241を所定回転数だけ回転させた(回転数>閾値)か否かを判別し、所定回転数駆動していなければ、ヘッドタンク35への所定量の供給(充填)が完了したか否かを判別し、所定回転数内の駆動で充填が完了すれば送液ポンプ241を停止し、所定回転数の駆動で充填が完了しなければ、インクカートリッジ10がエンド状態になったと判定する。
【0057】
図10に示す例は、送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からヘッドタンク35への送液を開始し、送液ポンプ241の累積回転数が閾値を越えたか否かを判別し、累積回転数が閾値を越えていなければ、ヘッドタンク35への所定量の供給(充填)が完了したか否かを判別し、累積回転数が閾値を超えるまでに充填が完了すれば送液ポンプ241を停止し、累積回転数が閾値を越えるまでに充填が完了しなければ、インクカートリッジ10がエンド状態になったと判定する。なお、累積回転数は、当該インクカートリッジ10の使用開始からの送液ポンプ241の送液方向(正転方向)の回転数の累積である。
【0058】
次に、ドットカウントの補正係数決定処理について図11のフロー図を参照して説明する。
印刷が終了したとき、印刷で使用した分のインクをインクカートリッジ10からヘッドタンク35に供給するインク供給(補充)処理を行う。このとき、前述したようにして、インクカートリッジ10がエンド状態か否かの検出結果をチェックしてインクカートリッジ10がエンド状態になったか否かを判別する。
【0059】
ここで、インクカートリッジ10のエンド状態になったときには、当該インクカートリッジ10の使用が開始されたときからエンド状態を検出したときまでのドットカウントのカウント値である累積ドットカウント消費量と、予め定めたインクカートリッジ10の液体収容量とを比較して、液体収容量に対する累積カウント消費量の割合(比)を算出し、累積カウント消費量が液体収容量と同じになる補正係数を決定する。例えば、累積カウント消費量が「8」で液体収容量が「10」のときの補正係数は、10/8=1.25となり、後述するドットカウント処理では、カウント値に「1.25」を乗じたものドットカウント消費量とすることになる。
【0060】
そして、決定した補正係数としてRAM502などの記憶手段に格納保持する。このとき、既に記憶手段に補正係数が記憶保持されているときには更新される。
【0061】
次に、ドットカウント処理について図12のフロー図を参照して説明する。
この処理は、記録ヘッド34から液滴を吐出する印刷動作や維持回復動作を行うときにエントリイされ、前述したように滴体積テーブルを使用してドットカウントを開始し、カウント値に補正係数を乗じた値をドットカウント消費量としてEEPROM505などに逐次記憶保持する。
【0062】
これにより、インクカートリッジ10が交換されたときには、前回使用されたインクカートリッジ10の実際の使用量に基づく補正係数によってドットカウント消費量が補正されるので、得られるドットカウント消費量は実際のインクカートリッジ10の消費量に近くなり、ソフトカウントによって得られる消費量と実際の消費量の誤差が低減する。
【0063】
このように、メインタンクの使用が開始されたときからエンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めたメインタンクの液体収容量とに基づいて、液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、累積カウント値と液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、消費量カウント手段は、消費量をカウントするときに、補正係数によりカウント値を補正する構成とすることで、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差を低減でき、ソフトカウントによる消費量の検出精度が向上する。
【0064】
ここで、ソフトカウントで得られる消費量は、例えば、印刷中におけるインクカートリッジ10からヘッドタンク35に対する送液を行う場合(所定消費量になったときに送液を行う)、廃液タンク813に対する廃液量の検出を行なう場合などにも使用されるので、ソフトカウントで得られる消費量と実際の消費量との誤差が低減することで、これらの制御精度も向上する。そして、例えば、廃液タンク813に関しては、廃液を収容できる量は決まっているので、ドットカウント消費量と実際の消費量との誤差が大きくても収容できるように、廃液タンク満タン検知を行う閾値に余裕を持たせるか、誤差が一番大きいものを規定の時期まで満タンとさせないために廃液タンク容量を大きくする必要が生じるが、誤差を低減することで、このような不都合も低減できる。
【0065】
以上のエンド検出、補正係数決定処理、ソフトカウントなどの各種の本発明に係る処理は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、上記処理は、情報処理装置(ホスト600)側のプリンタドライバで行う構成とすることもできる。さらに、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
【符号の説明】
【0066】
10 インクカートリッジ
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
241 送液ポンプ
500 制御部
600 ホスト(情報処理装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出手段と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント手段と、を備え、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの前記消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、
前記消費量カウント手段は、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動し、所定時間内に前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源の回転数をカウントして、累積回転数が所定回転数に達したときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源を所定回転数だけ駆動しても前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記メインタンクを交換する毎に前記補正係数を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、を備える画像形成装置における液体消費量をカウントする処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出処理と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント処理と、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド状態を検出したときまでの前記消費量の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定処理と、を行わせ、
前記消費量カウント処理では、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する処理を行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出手段と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント手段と、を備え、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド検出手段がエンド状態を検出したときまでの前記消費量カウント手段の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定手段を有し、
前記消費量カウント手段は、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動し、所定時間内に前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源の回転数をカウントして、累積回転数が所定回転数に達したときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記エンド検出手段は、前記送液手段を駆動する駆動源を所定回転数だけ駆動しても前記ヘッドタンクに前記液体が供給されないときに前記メインタンクがエンド状態になったと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記メインタンクを交換する毎に前記補正係数を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記記録ヘッドに供給する液体を収容する交換可能なメインタンクと、
前記記録ヘッドから液体を吸引及び加圧のいずれかで排出させる手段と、
前記メインタンクから前記ヘッドタンクに前記液体を送液する送液手段と、を備える画像形成装置における液体消費量をカウントする処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記メインタンクがエンド状態になったことを検出するエンド検出処理と、
前記記録ヘッドから吐出及び排出される液体の消費量をカウントする消費量カウント処理と、
前記メインタンクの使用が開始されたときから前記エンド状態を検出したときまでの前記消費量の累積カウント値と、予め定めた前記メインタンクの液体収容量とに基づいて、前記液体収容量に対する累積カウント値の割合を算出し、前記累積カウント値と前記液体収容量とが同じになる補正係数を決定する補正係数決定処理と、を行わせ、
前記消費量カウント処理では、前記消費量をカウントするときに、前記補正係数により前記カウント値を補正する処理を行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−121215(P2012−121215A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273255(P2010−273255)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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