画像形成装置及び冷却装置
【課題】ダクト82の一端82aの位置を変更して、吸排気の方向を変更し、機器の開口部83から漏れ出す騒音自体が低減した画像形成装置、冷却装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置又は冷却装置は、装置の外装カバー1bに設けられる開口部83と、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファン81と、一端82aが開口部83に面して配され、他端82bがファン81に接続され、その長さ及び形状が可変であるダクト82と、開口部83から漏れ出す騒音を変化させるため、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置を移動させる移動機構を有する。
【解決手段】画像形成装置又は冷却装置は、装置の外装カバー1bに設けられる開口部83と、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファン81と、一端82aが開口部83に面して配され、他端82bがファン81に接続され、その長さ及び形状が可変であるダクト82と、開口部83から漏れ出す騒音を変化させるため、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置を移動させる移動機構を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器内部で生ずる熱を吸気又は排気して冷却を行う画像形成装置、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、複合機、プリンタ、FAX装置等の画像形成装置や、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等、各種の電気・電子機器は、内部にCPU、抵抗、トランジスタ等の発熱する多数の電子部品を実装する配線基板や、各種ヒータ等、発熱部材を備えることがある。そして、発熱部材の影響で機器内の温度が上昇すると、機器の誤動作、短命化、機器内の素子・部材の特性変化等を引き起こすことがある。これらの温度上昇による弊害を防止、軽減するため、一般に、機器の外装に開口部を設け、ファンやファンに接続されるダクトにより吸気又は排気を行って機器内の冷却する冷却装置が設けられる。
【0003】
そして、この排気等を行う際、従来、排気方向の変更が行われることがあり、そのような発明が特許文献1に記載されている。具体的に特許文献1には、画像形成装置本体に排気ファンと、排気ダクトを有し、排気ダクトは、複数の方向の異なる排気口と、排気方向を変えるための整流板が有り、整流板は回転中心を持ち、整流板には外装面から突出したつまみ部が有り、外装面にはつまみが回動する軌跡上にスリットがあり、整流板のつまみ部を持ってユーザが整流板の回転中心を回動させることが可能である画像形成装置が記載されている。この構成により、特許文献1記載の発明は、排気方向を変更して、冷却効率を低減せずに排気口の近くのユーザが排気風による不快感を低減しようとする(特許文献1:請求項1、段落0010〜0012、図1等参照)。
【特許文献1】特開2005−338572
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、排気等のため、ファンを用いる場合、その風切音やファンを回転させるモータの駆動音や、更には、機器内部で動作に伴って生ずる音が排気口又は吸気口となる開口部から騒音として漏れ出すという問題がある。特に、冷却能力向上のためファンの回転数が高い場合や、複数のファンを設ける場合などに、騒音が大きくなるという問題がある。
【0005】
この騒音の点について、確かに特許文献1記載の発明によれば、排気方向の変化でユーザの不快感を低減可能ではあるが、騒音が低減されるものではない。現に、特許文献1記載の発明は、整流板を回動させて排気方向を変更するが、排気口から漏れ出す騒音の量自体は変わらず、上記の問題を解決することはできない。
【0006】
又、機器が適切に動作するには、機器内の温度が一定以下であればよい(仕様温度)とすると、常に冷却効率の高い状態を維持し、排気口(開口部)から漏れ出す騒音を大きい状態としておく必要性はない。又、通常、機器内の発熱量は、機器が行っている動作、処理の量によって変動し、機器内で常に発熱の高い状態が維持されるわけではない。そうすると、冷却の効率を低下させ、むしろ騒音を低減するほうが、騒音防止という観点から見て有利な場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ダクトの一端の位置を変更して、吸排気の方向を変更することで、機器の開口部から漏れ出す騒音自体を低減させる画像形成装置、冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1に係る画像形成装置は、装置の外面に設けられる開口部と、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、前記開口部から漏れ出す騒音を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することとした。
【0009】
この構成によれば、開口部に面して配されるダクトの一端の位置を、移動機構により移動可能とし、通風路となるダクトの形状を変化させるので、ファンが生ずる騒音や装置内部の動作音等、開口部から漏れ出す騒音の量を変化させることができる。言い換えると、ダクトの形状をファンと開口部を最短距離で一直線状につなぐ形状とすると最も冷却効率は高いが、開口部から直線的に騒音も漏れ出し、騒音レベルも高くなるところ、その状態からダクトの形状を変化させつつ、ダクトの一端の位置を移動させることで、騒音の一部はダクト内で反射するから、その結果、騒音を低減することができる。
【0010】
又、請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記ダクトは、蛇腹形状であることとした。
【0011】
この構成によれば、ダクトを蛇腹形状とすることで、容易にダクトの形状を変化させることができる。尚、好適な実施形態の1つを示す。
【0012】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記移動機構は、前記ダクトの一端を斜め方向に移動させることとした。
【0013】
この構成によれば、ダクトの一端の移動方向が斜め方向にも移動可能であれば、機器の設計の自由度を高めることができる。言い換えると、機器の設計上、ダクトの一端の移動方向を斜め方向でしか確保できない場合にも、対応することができる。
【0014】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3記載の画像形成装置において、前記移動機構は、前記ダクトの一端と連結されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータと、前記ラックの移動をガイドするガイドレールを有して構成されることとした。
【0015】
この構成によれば、ダクトの一端を移動させる移動機構は、これらの部材で構成されるので、移動機構が複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができる。又、移動機構を構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0016】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至3に記載の画像形成装置において、前記ダクトの一端は、通風口を有し前記開口部を覆うカバーに取り付けられ、前記移動機構は、前記カバーの移動をガイドするガイドレールと、前記カバーに固着されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータを有して構成されることとした。
【0017】
この構成も請求項4と同様に、移動機構は、複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができ、構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0018】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5に記載の画像形成装置において、前記ダクトの一端の位置を指示・入力するための操作入力部と、前記操作入力部の指示・入力に基づき、前記移動機構の動作を制御して前記ダクトの一端の位置を移動させる位置制御部を有することとした。
【0019】
この構成によれば、使用者は、操作入力部を操作することで、画像形成装置の開口部から漏れ出す騒音をコントロールすることができる。
【0020】
又、請求項7に係る発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記ファンと前記開口部を最短距離でつなぎ、前記ファンと前記開口部の間における前記ファンの吸気方向又は排気方向が一直線状となるように前記ダクトの一端を配置する通常モードと、前記通常モードにおける前記ダクトの一端の位置を前記移動機構により移動させて実現する静音モードを有し、前記操作入力部は、前記通常モードと前記静音モードの選択を受け付けることとした。
【0021】
この構成によれば、操作入力部に静音モードへの移行を指示する入力を行うだけで、画像形成装置の発する騒音を低減させることができる。又、通常モードを選択するだけで、前記ダクトの形状をファンと前記開口部を最短距離でつないで、冷却能力が高い状態を維持させることもできる。従って、画像形成装置を低騒音状態又は高冷却効率状態とするコントロールの容易な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
又、請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の画像形成装置において、前記操作入力部は、前記ダクトの一端の移動を段階的に行う旨の指示・入力を受け付けることとした。
【0023】
この構成によれば、使用者は、ダクトの一端の位置設定を段階的に行うことができ、静音モードにおいて、細かな入力(例えば、詳細な移動量の入力)を行うことなく、使用者がダクトの一端の位置を容易に調節し、操作入力部への入力を簡易化することができる。
【0024】
又、請求項9に係る発明は、請求項7又は8に記載の画像形成装置において、装置内部の温度を検知するための温度検知体を備え、前記温度検知体が、装置内部の温度が所定温度を超えたことを検知した場合、前記位置制御部は、前記ダクトの一端の位置を通常モードの位置に移動させることとした。
【0025】
この構成によれば、静音モードでは、冷却効率が若干低下するので、装置内の温度が適切な画像形成を行い難くなる温度まで上昇し得るものの、機内温度が所定温度よりも上昇した場合、通常モードに自動的に移行するので、機内温度の過上昇を防ぐことができる。
【0026】
又、請求項10に係る発明は、冷却装置において、装置が取り付けられる機器の外面に設けられる開口部と、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、前記開口部から漏れ出す騒音状態を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することとした。
【0027】
この構成によれば、開口部に面して配されるダクトの位置を、移動機構により移動可能とし、通風路となるダクトの形状を変化させることができるので、ファンが生ずる騒音や装置内部の動作音等、開口部から漏れ出す騒音の量を変化させることができる。
【発明の効果】
【0028】
上述したように、本発明によれば、ダクトの形状を変化させることで、画像形成装置から漏れ出す騒音を低減させる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜11を参照しつつ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。尚、本発明に係る冷却装置8は、各種装置に適用可能であるが画像形成装置としての複合機1に適用した場合を一例として説明する。
【0030】
まず、図1及び2に基づき、複合機1の構成の概略を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の概略構造を示す模型的正面断面図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る操作パネル2の一例をしめす正面図であり、(b)は、操作パネル2の液晶表示部23の表示の一例を示す正面図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の複合機1は、上部に原稿カバー1aが設けられ、その下部は、外装カバー1bに覆われ、その内部に原稿読取部3、シート供給部4、シート搬送路5、画像形成部6、定着装置7、温度センサS等を備える。又、複合機1の正面上部に操作パネル2(操作入力部に相当)が備えられる(図2及び図3参照)。
【0032】
前記原稿カバー1aは、コンタクトガラス31に載置された原稿を上方から押さえる。そして、この原稿カバー1aは、図1の紙面奥に支点が設けられ、持ち上げ可能である。原稿カバー1aの下方に位置する原稿読取部3は、その内部に、露光ランプ、反射板、ミラー、レンズ、イメージセンサとしてのCCDセンサ等が設けられ(不図示)、これらの光学系部材を駆使して光学的に原稿を走査して画像データを生成する。又、原稿読取部3の上面にはコンタクトガラス31が設けられ、原稿読取部3は、このコンタクトガラス31上に載置される原稿を読み取る。
【0033】
前記シート供給部4は、画像形成部6に向けてシートを供給する。シート供給部4は、各サイズの用紙等のシートが収納されるカセット41と、カセット41からシートを1枚ずつシート搬送路5に送り出すピックアップローラ42等を備える。例えば、使用者が、スタートキー22(図2参照)を使用者が押すと、ピックアップローラ42が回転駆動し、シートが1枚ずつシート搬送路5に送り出される。
【0034】
前記シート搬送路5は、シート供給部4から供給されたシートを、画像形成部6、定着装置7を経て排出トレイ51まで搬送する。そのため、シート搬送路5には、シートを案内するガイド、及びモータ等(不図示)により回転駆動する搬送ローラ対52が適宜設けられる。又、画像形成部6の手前には、シートを待機させ、トナー像の転写タイミングに合わせてシートを送り出すレジストローラ53等が設けられる。尚、図1では、シート搬送方向を破線で図示している。
【0035】
前記画像形成部6は、画像データにあわせてトナー像を形成し、搬送されてきたシートに転写を行う。画像形成部6は、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム61、感光体ドラム61の周囲に配設された帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラ65、クリーニング部66を備える。
【0036】
前記感光体ドラム61は、画像形成部6の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動される。帯電装置62は、図1において感光体ドラム61の右斜め上方に設けられ、感光体ドラム61の表面を所定電位に均一に帯電させる。露光装置63は、帯電装置62の上方に設けられ、原稿読取部3で取得された画像データやネットワーク等により接続される外部コンピュータ100、相手方FAX装置200(図10参照)から送信された画像データ等に基づき、レーザ光Lを出力し、感光体ドラム61表面を走査露光して画像情報に応じた静電潜像を形成する。現像装置64は、感光体ドラム61の右斜め下方に設けられ、感光体ドラム61上の静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム61の左方に設けられる転写ローラ65と感光体ドラム61との間ではニップが形成され、このニップをシートが通過する際、所定のバイアスが印加され、感光体ドラム61上のトナー像がシートに転写される。クリーニング部66は、転写終了後、感光体ドラム61の表面に残留するトナーを清掃する。
【0037】
前記定着装置7は、シートに転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着装置7は、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ71と加圧ローラ72で構成される。加熱ローラ71と加圧ローラ72は圧接してニップを形成する。そして、トナー像の転写されたシートが、加熱ローラ71と加圧ローラ72とのニップを通過することで、トナーが溶融・加熱され、トナー像がシートに定着する。
【0038】
前記温度センサS(例えば、サーミスタ)は、装置内部の温度を検知するため複合機1内に適宜設けることが可能である。その数は、1つでも良いが、1つとは限らず、例えば、制御基板91、定着装置7、露光装置63、現像装置64のそれぞれに設けても良い。
【0039】
前記操作パネル2は、複合機1の正面上方に設けられ、図2(a)に示すように、テンキー21、スタートキー22等の入力、設定用の各種キーを備える。そして、図2に示すように、操作パネル2は、装置の動作状態や各種メッセージを表示し、又、タッチパネルにより各種設定、モード選択等を行うことができる液晶表示部23を備える。例えば、複合機1の有するコピー、スキャナ、プリンタ、FAX機能の選択、画像の処理に関する拡大縮小機能、濃度調整機能等、多様な機能を駆使するため、使用者は、操作パネル2から複合機1の動作の操作・設定可能である。
【0040】
又、詳細は後述するが、本実施形態における複合機1は、通常の状態(通常モード)よりも、ダクト82の一端82aの位置を移動させ、騒音低減を実現する静音モードを有する。そして、通常モードと静音モードの切替を、操作パネル2に設けられた静音モードキー24を押して行うことができる。即ち、操作パネル2は、通常モードと静音モードの選択を受け付ける。尚、静音モードキー24を設けず、液晶表示部23のタッチパネルへの入力により静音モードと通常モードの切替が行われても良い。更に、図2(b)に示すように、液晶表示部23で、静音モードのレベル設定(強度設定)を行うようにしてもよい。尚、オートボタン23aは、静音モードにおいて、機内温度と騒音の兼ね合いで、ダクト82の一端82aの位置を自動制御で定めるためのボタンである。
【0041】
次に、図1及び3に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1に備えられる冷却装置8の配置について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1に備えられる冷却装置8の配置の一例を示すための模式図であり、(a)は複合機1を正面からみた模式図、(b)は複合機1を背面から見た模式図である。
【0042】
図3に示すように、本実施形態の複合機1には、装置内部の温度を所定温度以下にする構成として、複数の冷却装置8A、8B、8Cが設けられる。この冷却装置8は共通して、ファン81、ダクト82、開口部83、その他、移動機構(詳細は後述)を有する。尚、各冷却装置8A〜Cでのファン81、ダクト82、開口部83、移動機構の形状、大きさ等は異なりうるが、基本的に機能は同様であるので、以下では、冷却装置8A〜Cでのファン81、ダクト82、開口部83、移動機構の各部材に付す符号は、共通させる。
【0043】
基本的に、前記開口部83は、装置内の空気を装置外に排出、又は装置内に吸気するため外装カバー1b(即ち、装置の外面)に設けられる。前記ファン81は、装置内の被冷却物を冷却するため、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行う。前記ダクト82は、一端82aが開口部83に面して配され、他端82bがファン81と接続されその長さ及び形状が可変である(図4参照)。従って、ダクト82は、開口部83とファン81との間で、空気の流れを導く導管として機能する。
【0044】
ここで、本実施形態の複合機1では、冷却装置8が、少なくとも3つ設けられ、具体的には、制御基板91(詳細は後述)を冷却する冷却装置8Aと、現像装置64及び露光装置63を冷却する冷却装置8Bと、定着装置7を冷却する冷却装置8Cを備える。即ち、被冷却物は、制御基板91、定着装置7、露光装置63、現像装置64である。
【0045】
前記冷却装置8Aの、ファン81は、図1及び図3に示すように、複合機1の後壁部分の内部に設けられる制御基板91に近接して設けられる(尚、ファン81の開口部83は、背面側に設けられる。又、ダクト82は図1、図3では不可視)。このファン81は、抵抗、コイル、CPU92、記憶素子、トランジスタ等の多様な電子部品を実装し、通電で発熱する制御基板91に対し、送風を行い、又は吸気を行って冷却する。これにより、複合機1の誤動作を防止し、又、電子部品の破損や制御基板91の寿命の短命化を防ぐ。
【0046】
前記冷却装置8Bのファン81は、複合機1を正面からみて中央右側面部分(図1、図3(a)参照)に設けられ、主として、露光装置63、現像装置64に向けて送風し、又は露光装置63、現像装置64近傍の空気を排出し、実際に画像形成を行う画像形成部6における温度を所定温度以下にする。又、冷却装置8Bのダクト82と開口部83は、複合機1の右側面に設けられる。尚、ファン81には、露光装置63、現像装置64に向けて伸びるダクトが、別途接続される。
【0047】
本実施形態における露光装置63は、レーザ光で、走査・露光を行うが、このレーザ光を照射する半導体レーザ装置は、温度によって特性が変化し、温度が上昇しすぎると、走査・露光に影響が出て、画像品質を損なう畏れがある。又、現像装置64は、例えば、感光体ドラム61に対向させて配される現像ローラ64aが回転し、現像装置64内のトナーを撹拌するための撹拌機構64bも回転動作するので(図1参照)、摩擦熱等によって高熱になる場合がある。そこで、ファン81Bは露光装置63、現像装置64近傍に外気を送風又は吸気することによって、これらの弊害を防止する。
【0048】
前記冷却装置8Cのファン81は、複合機1を正面から見て中央左側面部分に設けられ(図1、図3(a)では不図示、図3(b)では、ダクトは不可視)、定着装置7に対し送風又は吸気を行う。又、そのダクト82及び開口部83は、背面側に設けられる。定着装置7の温度が上昇しすぎると、トナーの溶融が理想的でなくなるので、定着装置7を冷却する。反対に、冬期の複合機1の電源投入時、複合機1が冷えきっていると、機内で結露が生じ画像形成が適切に行えないことがあり、ファン81が内部方向に送風を行って、定着装置7が生ずる熱を機内に送り込むこともできる。
【0049】
ここで、本実施形態では、各冷却装置8A〜8Cにおいて、開口部83に面するダクト82の一端82aを移動させる点に特徴があるので、この点に付き、図4及び図5に基づき説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るダクト82の移動について説明するための説明図であり、(a)は冷却効率が最も高い状態を示し、(b)は、騒音を低減させる場合の状態を示す。図5は、本発明の第1の実施形態に係るダクト82の一例を示す部分拡大図である。
【0050】
図4(a)に示すように、ダクト82の形状をファン81から開口部83のまで距離を最短距離で繋ぐように一直線状にした場合、ファン81の吸気又は排気は、最もスムーズに行われる。即ち、図4(a)に示すように、一直線状に吸排気等行われると冷却効率が最も高い状態となる。尚、通常モードでは、ダクト82の形状はこの形状とされる。
【0051】
しかし、この状態では、開口部83から、ファン81の風切り音やファンを回転させるモータの駆動音、シート搬送におけるガイドとシートの擦れ音や、ドラム、ローラの回転音等、複合機1内で生ずる動作音が最も漏れ出す。即ち、外部に音が直線的に伝搬する。そこで、図4(b)に示すように、本実施形態の複合機1では、開口部83に面するダクト82の一端82aの位置を移動させ、ダクト82の形状を変化させる。これにより、ダクト82の長さや開口部83に対する角度が変わるため、ダクト82内で音の一部が反響し、直線的に開口部83から音が漏れ出さなくなる。
【0052】
そして、ダクト82の形状を可変とするために、本実施形態の複合機1では、図5に示すように、ダクト82が蛇腹形状のものを用いる。図5に示すダクト82の端部は、開口部83に面して配される部分(ダクト82の一端82a)を示したものであり、ファン81の回転方向により、この部分が、外気が導入される吸気口、又は、機内の空気が排気される排気口となる。そして、図5では示していないが、上述したように他端82bがファン81に接続される。
【0053】
次に、図6乃至9に基づき、吸気口又は排気口にあたるダクト82の一端82aを移動させる機構について説明する。尚、本実施形態の複合機1は、複数のファン81、開口部83、ダクト82等からなる冷却装置8A〜8Cを有するが、以下の説明は全ての冷却装置8に同様に適用できる。
【0054】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の開口部83を正面からみた図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1のダクト82の移動機構を右側面からみた模式図であり、図8は、本発明の第1の実施形態に係る移動機構のラック86端部の拡大斜視図であり、図9は、本発明の第1の実施形態に係る移動機構によるダクト82の形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は、通常モード、(b)は、静音モードにおいて最大限移動させた状態を示す。尚、図7や9において、各方向から見た場合、開口部83は、外装カバー1bの存在により見えないが、説明の便宜上見えるものとして図示する(以下、同様)。
【0055】
複合機1の外装カバー1b等で構成される外面には、吸気又は排気を行うための開口部83(図6に2点鎖線で図示)が設けられる。そして、ホコリ等の進入を防止等の観点から、図6に示すように、開口部83を覆うカバー84が設けられる。このカバー84は、例えば、ルーバ(鎧戸)状に形成され、通風口84aが複数設けられる。
【0056】
そして、図6の破線で示すように、複合機1内部(外装カバー1bの内側)には、開口部83の左右幅のほぼ中心位置かつ開口部83の上縁よりも上方に設けられるモータMと、モータMの回転軸Maに取り付けられるギア85と、ギア85に接続され、ギア85と噛み合うように歯面が設けられるラック86が配される。そして、図6において、一点鎖線で示すように、ラック86には、ダクト82の一端82aが連結される(連結の詳細は後述)。即ち、排気口又は吸気口となるダクト82の一端82aが、開口部83(カバー84)に面して配されるようにラック86と連結される。
【0057】
ここで、モータMは、正逆回転自在であり、例えば、モータMが駆動してラック86を図6の右方向に移動させれば、ラック86に連結されるダクト82の一端82aもあわせて移動する。即ち、開口部83の開口面に対して平行な方向に、ダクト82の排気面又は吸気面が移動する。又、モータM、ギア85、ラック86、後述するガイドレール87等は、開口部83から漏れ出す騒音を変化させるため、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置を移動させる移動機構として機能する。
【0058】
そこで、図7に基づき、ダクト82の一端82aを移動させる機構の詳細を説明する。尚、図7では、ダクト82の蛇腹形状は簡略化して示している。
【0059】
まず、図7の左側に示すように、外装カバー1bの一部には開口部83が設けられ、この開口部83を覆うカバー84が取り付けられる。この開口部83の上縁よりも上であって、複合機1内部に、図7の紙面垂直方向(開口部83の開口面と平行な方向)に伸びるガイドレール87が設けられる。このガイドレール87の溝部分87aには、ラック86が嵌め込まれ、ラック86の移動をガイドする。そして、ラック86の上部に設けられる歯面にギア85が接続され、ギア85はモータMの回転軸Maに取り付けられる。これらの構成により、モータMの回転運動が直線運動に変換され、ラック86が外装カバー1bに対し平行な方向で移動する。即ち、移動機構は、ダクト82の一端82aと連結されるラック86と、ラック86に接続されるギア85と、ギア85が回転軸Maに取り付けられるモータMと、ラック86の移動をガイドするガイドレール87を有して構成される。
【0060】
そして、ラック86の左右の端部には、ラック86とダクト82を連結するための連結部材88が設けられ、連結部材88により、ダクト82の一端82aとラック86の動きが連動し、開口部83でのダクト82の位置が移動する(連結部材88の詳細は後述)。
【0061】
そして、図7に示すように、ダクト82の上面には、落下防止部82cが、ラック86の移動方向と平行な方向に延びて設けられる。落下防止部82cは、柱部82dと、柱部82dの上端に設けられる天板部82eとから構成される。
【0062】
この落下防止部82cに対応するモータMの下面にダクトガイド部材89が設けられる。ダクトガイド部材89は、板状の金属等をU字状に折り曲げた部材をモータMの下面に取り付け(例えば、モータMのケースに嵌め込む)、U字の底辺をダクト82の一端82aの移動方向に平行な方向で切った穴89aを有して形成される。そして、この穴89aには、落下防止部82cの柱部82dが差し込まれるとともに、天板部82eがダクトガイド部材89の下面の内側と接して、ダクト82が落下することを防止する。尚。L字状の部材を、穴89aが形成されるように一定の間隔を設けて、モータMに固定してダクトガイド部材89を設けても良い。
【0063】
次に、図8に基づき、ダクト82とラック86の連結について説明する。尚、本実施形態でのダクト82は蛇腹状であるが、図8ではダクト82を簡略化して図示し、又、便宜上、ラック86と連結部材88とダクト82以外の構成は省略している。
【0064】
図8に示すように、ラック86の端部では、開口部83方向から、糸状や線状の連結部材88の一端部88aが貫通される。この連結部材88は、例えば、弾性を有する樹脂や金属(例えば、針金)で形成される。そして、開口部83方向から貫通された連結部材88は、図8におけるラック86の右端部方向に折れ曲げられ、更に、ラック86の右端面に接するようにラック86の角部に当接しつつ折り曲げられる。
【0065】
この2回の折り曲げにより、図8に示すように、連結部材88はU字状となり、機内方向に向き、ラック86に貫通されていない方の端部88bが、ダクト82の突起部82fに設けられた連結部82gに挿し込まれる。この連結部材88による固定をラック86の両端で行うことで、強固に、ラック86とダクト82が連結されることになる。尚、ガイドレール87の端部には、ラック86が、ガイドレール87を超えて移動しないように規制するためのストッパ部材87b(図8で破線で図示)を設けても良い。ストッパ部材87bは、例えば、ガイドレール87の左右端部に延設すればよい。
【0066】
次に、図9により、ダクト82の一端82aの移動について説明する。
【0067】
まず、図9に示すように、ダクト82は移動可能に構成されるので、複合機1の外装カバー1bに設けられる開口部83は、ダクト82の一端82aの移動範囲に合わせて開口される必要がある。従って、開口部83及び開口部83を覆うカバー84の大きさは、従来のダクト82の一端82aを移動させない場合に比べて大きくなる。しかし、この開口部83をカバー84が覆っているので、ホコリ等が機内に入り込むことは防がれ、又、美観上劣ることもない。
【0068】
ここで、上述したように、本実施形態の複合機1は、従来と同様に冷却効率が高くなるようにダクト82の一端82aを図9(a)で示す位置とする通常モードと、複合機1から生ずる騒音を軽減させる静音モードを有する。そして、複合機1から生ずる騒音状態が変化させる静音モードを、ダクト82の一端82aを移動させることで実現する。この静音モードにおいて最大限ダクト82の一端82aを移動させた状態を図9(b)に示している。図9(b)の状態は、図9(a)の状態に比べ、ファン81の風切り音や、ファン81を経由した機内の動作音等の騒音が、直線的に開口部83から漏れ出さないので、騒音が低減される。
【0069】
次に、図10に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の制御部9及びそのハードウェア構成について説明する。図10は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1のブロック図である。
【0070】
制御部9は、制御基板91上に設けられるものであって、複合機1全体の動作を制御し、例えば、CPU92、記憶部93、画像処理部94等から構成される。
【0071】
前記CPU92は、中央演算処理装置であって、記憶部93に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機1の各部動作を制御する。記憶部93は、ROM、RAM、HDD等から構成され、ROMは、複合機1の制御用プログラムや制御用データを格納し、CPU92が制御用プログラム等を読み出す。RAMは、制御用プログラムを一時的に展開する場合や、画像データを一時的に保存しておく場合などに用いられる。HDDは、大容量の記憶装置であって、制御用プログラムや制御用データ、原稿読取部3で読み取った画像データや、FAX通信(送受信)での画像データ等を保存する。尚、本実施形態に係る静音モードにおける制御プログラムも記憶部93に記憶される。前記画像処理部94は、原稿読取部3で読み取られた画像データや、外部コンピュータ100や相手方のFAX装置200と通信の対象となる画像データに対し、各種画像処理を施す部分である。
【0072】
そして、制御部9は、原稿読取部3、画像形成部6等の各部を制御するため信号線により接続され、確実に複合機1が動作するように制御する。更に、制御部9は、インターフェイス(不図示)を介し、ネットワークや公衆回線により、複数の外部コンピュータ100や相手方のFAX装置200と接続される。これにより、原稿読取部3で読み取られた画像データに基づき画像形成を行えばコピー機能が実現され、記憶部93や外部コンピュータ100に画像データを送信すればスキャナ機能が実現され、又、外部コンピュータ100から送信された画像データについて画像形成を行えば、プリンタ機能が実現される。又、相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)と画像データの送受信を行うことでFAX機能が実現される。
【0073】
又、図10に示すように、制御部9は、ラック86及びダクト82の一端82aを移動させるモータMの回転数を制御するための回転制御部10A、10B、10Cと接続され、CPU92は、各回転制御部10に対し、モータMの回転のON/OFFや、その回転数や各モータMの駆動時間を指示する信号を送信する
【0074】
ここで、回転制御部10Aは、冷却装置8Aのダクト82の一端82aを移動させるモータMの制御を行う。回転制御部10Bは、冷却装置8Bのダクト82の一端82aを移動させるモータMの制御を行う。回転制御部10Cは、冷却装置8Cのダクト82の一端82aを移動させるモータMの制御を行う。
【0075】
又、各回転制御部10は、複合機1内に適宜設けられる電源装置11と接続され、回転に必要となる電源装置11から各モータMへの電力供給のON/OFFを行う。即ち、各回転制御部10は、モータMの回転を制御し、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置の制御を行う(位置制御部)。具体的には、各モータMの回転数やラック86の位置を検出するために、例えば、モータMをエンコーダ付きのモータMとする等により、モータMの回転数を把握すれば、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置を自由に制御することが可能となる。即ち、CPU92等により、モータMの回転数からラック86の移動距離や位置を演算すれば、ダクト82の位置制御が可能となる。
【0076】
又、各回転制御部10は、冷却装置8A〜8Cの各ファン81を回転させるためのそれぞれの各ファンモータFMとも接続される。CPU92は、各回転制御部10に対し、ファンモータFMの回転のON/OFFや、その回転数を指示する信号を送信する。そして、各回転制御部10は、各ファン81のそれぞれについて、CPU92からの指令を受けて、複合機1の機内温度を下げる場合など、各ファン81を回転させることが必要な場合、各ファンモータFMに、電力を供給する。即ち、各回転制御部10は、各ファンモータFMを回転させるためのスイッチとしても機能する。又、制御部9からの各ファンモータFMの回転速度を指示する信号を受けて、各回転制御部10は、各ファン81を回転させるために供給する電圧、電流、周波数等を変化させ、回転数を制御する。尚、各回転制御部10が行う制御は、直流、交流の違いや、定格等、各ファンモータFMに採用するモータMによって異なるが、使用する各ファンモータFMにあわせて適宜設定すればよい。
【0077】
そして、操作パネル2(図2参照)に対し、静音モードを選択する旨の入力がなされれば、その入力を制御部9が受け付け、通常モードから静音モードに移行するために、制御部9のCPU92は、各回転制御部10に対し、ダクト82の一端82aを移動させる旨の信号を送信する。この信号を受けて、各回転制御部10は、各モータMを駆動し、ダクト82の一端82aを移動させる。即ち、ダクト82の一端82aの位置を指示・入力するため、使用者による操作パネル2への指示・入力に基づき、移動機構の動作を制御してダクト82の一端82aの位置を移動させる位置制御部9として、制御部9も機能する。
【0078】
具体的には、各モータMの駆動により、ラック86及びラック86に連結されるダクト82の一端82aの位置を、図9(a)に示す通常モードにおける開口部83とファン81と最短距離で結ぶようにダクト82でのファン81の吸気方向又は排気方向を一直線状とする位置から、通常モードにおけるダクト82の一端82aの位置を移動機構により移動させ、ダクト82の形状が斜めとなるように、最大で、図9(b)に示すような位置まで、移動させて静音モードが実現される。即ち、静音モードでは、ダクト82の一端82aを通常モードにおける位置から移動させる。尚、静音モードから通常モードに移行するときは、モータMを逆回転させ、図9(a)に示す位置まで移動させればよい。
【0079】
更に、静音モードの選択により、各回転制御部10は、通常モードにおけるファンの回転速度(例えば、ファンモータFMの定格回転)を100%とし、それに対し、例えば、50%の回転速度に落とすように各ファン81の速度制御を行い、騒音の発生自体を減少させてもよい。尚、50%という数字は例示であり、1%以上〜100%未満の範囲で、目標とする騒音レベルや画像形成装置ごとの排熱効率等を考慮し、適宜設定すればよい。
【0080】
ここで、静音モードのレベル設定と、ダクト82の一端82aの移動について、図11に基づき説明する。図11は、本発明の第1の実施形態に係るダクト82の一端82aの位置を段階的とすることを説明するための模式図である。
【0081】
又、本実施形態の複合機1では、ダクト82の一端82aの位置をモータMの回転数により任意に定めることができる。従って、図2(b)に示した、操作パネル2での静音モードのレベル設定に基づき、図11に示すように、静音モードのレベルを大きくするに従い、通常モードのダクト82の位置からの移動量を段階的に大きくすることもできる。即ち、操作パネル2は、ダクト82の一端82aの移動を段階的に行う旨の指示・入力を受け付け、その指示に基づき制御部9が移動機構の制御を行う。言い換えると、静音モードを選択した場合、通常モードにおけるダクト82の一端82aの位置が、移動可能な範囲で常に最大限移動させられるのではなく、使用者の設定に従いモータMの回転数を制御することで、ダクト82の一端82aの位置を3種以上とすることができる。これにより、冷却効率と騒音を勘案しつつ、ダクト82の一端82aの移動量を使用者が設定し、又は制御部が自動制御することができ、利便性が高い。尚、通常モードからの移動量が大きくなるにつれてファンモータFMの回転数を落とし、騒音の発生自体を低減させても良い。
【0082】
具体的に、図11について説明すると、通常モードにおけるダクト82の一端82aの位置を実線で示し、例えば、破線で示す位置が、最大限ダクト82の一端82aを移動させた位置を示すものとする。そして、上記のように、モータMの回転数を制御することで、ダクト82の一端82aの位置を、2点鎖線で示す位置、1点鎖線で示す位置と、多段階の設定を行うことができる。
【0083】
図10に戻り、説明を続ける。図10に示すように、制御部9には、複合機1内に設けられる温度センサS(図10では、便宜上1つのみ図示、図1参照)が接続される。この温度センサSは、複合機1内の各部の温度を検出する。
【0084】
しかし、本実施形態の複合機1は、ダクト82を移動させ静音モードを実現し、静音モードでも機内冷却のため吸排気を行うが、この静音モードでは、通常モードよりも冷却効率が若干低下する側面を有する。そうすると、例えば、大量に連続して画像形成を行った場合(例えば、100枚程度)、外気温が高い場合など、複合機1内の温度が所定温度以上に上昇してしまう場合がある。
【0085】
ここで、所定温度とは、例えば、制御基板91上の各素子に誤動作や破損がなく、露光装置63の半導体レーザ装置の特性変化が許容範囲に収まる等の複合機1の設計上の仕様温度である。即ち、所定温度とは、適切に複合機1を使用する上で、複合機1内の温度が超えてはいけないとされる目安の温度である。尚、この所定温度は、画像形成装置の種類や形式によって異なるし、制御基板91、露光装置63、定着装置7と装置内部の各構成によっても異なることがある。そして、通常、機内温度が使用環境においてこの所定温度を超えないように、吸排気による排熱設計がなされる。従って、本実施形態でも、通常モードでは、この所定温度を超えないように設計される。
【0086】
そして、静音モード時、連続した画像形成により機内温度が所定温度を超えた場合、そのままでは、画像形成を適切に行うことができないので、冷却効率を高める必要がある。そこで、温度センサSが、機内温度を監視し、所定温度を超えたことを検出した場合、制御部9は、静音モードから通常モードに自動的に移行する。即ち、温度センサSが、装置内部の温度が所定温度を超えたことを検知した場合、制御部9は、ダクト82の一端82aの位置を通常モードの位置に移動させる。言い換えると、ダクト82の一端82aの位置を冷却効率の最も高い位置へと戻し、ファン81の回転数も最大回転数とする。
【0087】
この場合、制御部9は、温度が所定温度を超えた部分を冷却するためのダクト82及びファン81に対してのみ、静音モードから通常モードに移行させてもよい。即ち、制御基板91が所定温度を超えた場合、冷却装置8Aのダクト82について制御を行い、露光装置63や現像装置64が所定温度を超えた場合、冷却装置8Bのダクト82について制御を行い、定着装置7が所定温度を超えた場合、冷却装置8Cのダクト82Cについて制御を行うようにしてもよい。このように、複合機1の機内温度は、所定温度を超えないように維持される。
【0088】
このようにして、本実施形態の構成によれば、開口部83に面して配されるダクト82の位置を、移動機構により移動可能とし、通風路となるダクト82の形状を変化させることができるので、ファン81が生ずる騒音や装置内部の動作音等、開口部83から漏れ出す騒音の量を変化させることができる。言い換えると、ダクト82の形状をファン81と開口部83を最短距離で一直線状につなぐ形状とすると最も冷却効率は高いが、開口部83から直線的に騒音も漏れ出し、騒音が大きくなるところ、その状態からダクト82の形状を変化させつつ、ダクト82の一端82aの位置を移動させることで、騒音の一部はダクト82内で反射するから、その結果、騒音を低減することができる。
【0089】
又、ダクト82を蛇腹形状とすることで、容易にダクト82の形状を変化させることができる。又、ダクト82の一端82aを移動させる移動機構は、複雑なものではなく、本発明を容易に実現することができる。又、移動機構を構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0090】
又、使用者は、操作入力部(操作パネル2)を操作することで、画像形成装置の開口部83から漏れ出す騒音をコントロールすることができる。又、ダクト82の一端82aの位置設定を使用者は、段階的に行うことができるので、細かな入力(例えば、詳細な移動量の入力)を行うことなく、使用者のダクト82の一端82aの位置を容易に調節することができ、操作入力部への入力を簡易化することができる。
【0091】
又、操作入力部に静音モードへの移行を指示する入力を行うだけで、画像形成装置の発する騒音を低減させることができる。又、通常モードを選択するだけで、前記ダクト82の形状をファン81と前記開口部83を最短距離でつないで、冷却能力が高い状態を維持させることもできる。従って、画像形成装置を低騒音状態又は高冷却効率状態とするコントロールの容易な画像形成装置を提供することができる。又、静音モードでは、冷却効率が若干低下するので、装置内の温度が適切な画像形成を行い難くなる温度まで上昇し得るものの、機内温度が所定温度よりも上昇した場合、通常モードに自動的に移行するので、機内温度の過上昇を防ぐことができる。
【0092】
次に、図12及び図13に基づき、本発明の第2の実施形態に係る複合機1について説明する。図12は、本発明の第2の実施形態に係る複合機1のダクト82の移動機構を右側面からみた模式図であり、図13は、本発明の第2の実施形態に係る移動機構によるダクト82の形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は、通常モードでの状態、(b)は、静音モードでのラック86を最大限移動させた状態を示す。
【0093】
尚、本発明の実施形態に係る第2の実施形態は、ダクト82の一端82aを移動させるための構成が異なるのみであり、その他の構成は第1の実施形態同様に適用できるので説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0094】
図12及び13に示すように、複合機1の外装カバー1bに開口部83が設けられ、その開口部83にカバー84が設けられる点は同様であるが、カバー84の上面が複合機1の内部方向に伸びて差し込まれるように形成されている点と、カバー84が開口部83を全て覆っていない点で異なっている。そして、カバー84の上面部には、ラック86が設けられ、このラック86にギア85が噛み合わされ、ギア85はモータMに取り付けられる。
【0095】
そして、図12に示すように、カバー84には、直接ダクト82の一端82aが取り付けられており、カバー84の移動にあわせて、ダクト82の一端82aが移動するようになっている。又、複合機1の外装カバー1bにおいて、機外方向に、カバー84の移動をガイドするためのガイドレール87が設けられる。このガイドレール87は、カバー84の下方が差し込まれ、カバー84の移動をガイドする。このような構成のもと、回転制御部10に制御されつつモータMが回転することで、ガイドレール87に沿ってカバー84が移動し、あわせて、ダクト82の一端82aも開口面と平行な方向に移動する。即ち、ダクト82の一端82aには、通風口84aを有するカバー84が取り付けられ、移動機構は、カバー84の移動をガイドするガイドレール87と、カバー84に固着されるラック86と、ラック86に接続されるギア85と、ギア85が回転軸Maに取り付けられるモータMを有して構成される。
【0096】
その移動の様子を示すのが、図13である。ここで、図13(a)では、通常モードにおける最も冷却効率が高い状態におけるダクト82の形状及びラック86、カバー84の位置を示している。一方、図13(b)は、静音モードでダクト82の一端82aを最大限移動させた状態におけるダクト82の形状及びラック86、カバー84の位置を示している。又、図13(a)から(b)に到るまで、ダクト82の一端82aを段階的に移動させても良く、この実施形態でも、複合機1から漏れ出す騒音を、段階的に低減させることが可能である。
【0097】
尚、カバー84が開口部83よりも小さく形成されているので、このままでは、開口部83から機内が露出してしまうことになる。内部が露出すると、ゴミ、ホコリが機内に入る等の観点から好ましくないので、カバー84の端部と開口部83の端縁を結ぶように、例えば、山折り谷折りが繰り返された伸縮可能なカーテン状部材83aを取り付けてもよい。
【0098】
このようにして、本実施形態の移動機構は、複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができ、構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0099】
次に、図14に基づき、本発明の第3の実施形態に係る複合機1について説明する。図14は、本発明の第3の実施形態に係る移動機構によるダクト82の形状変更を説明するため、上方から見た模式図である。
【0100】
尚、本発明の実施形態に係る第3の実施形態は、ダクト82の一端82aを移動させるため無端状ベルト101用いる点が大きな相違点であり、その他の構成は第1の実施形態と同様に適用できるので説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0101】
図14に示すように、複合機1の外装カバー1bに開口部83が設けられ、その開口部83を覆うようにカバー84が設けられる点は第1実施形態と同様である。しかし、移動機構が、ラック86とギア85ではなく、無端状ベルト101を用いて、ダクト82の一端82aを移動させる点で異なる。
【0102】
図14に示すように、開口部83の左右両縁よりも更に外側かつ、複合機1の外装カバー1bに回転軸102、103が回転可能に支持される。又、回転軸102、103は、開口部83の上縁よりも上方又は下縁よりも下方に設けられる。この2本の回転軸102、103に例えば、樹脂製の無端状ベルト101が張架される。更に回転軸102、103のいずれか一方は、モータMの回転軸Maと接続される。又、無端状ベルト101の外側の面には、ダクト82の一端82aが、種々の方法により取り付けられる。
【0103】
従って、モータMを回転させると、無端状ベルト101が周回し、ダクト82の一端82aもこれに併せて移動し、開口部83に面するダクト82の排気口又は吸気口が移動することになる。ここで、図14では、通常モードにおける最も冷却効率が高い状態におけるダクト82の形状を実線で示し、静音モードでダクト82の一端82aを最大限移動させた状態におけるダクト82の形状を破線で示している。尚、モータMの回転数を制御することで、開口部83に面するダクト82の位置を段階的に移動させることもできる。
【0104】
このようにして、本実施形態の移動機構でも、複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができ、構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0105】
次に、図15に基づき、本発明の第4の実施形態に係る複合機1について説明する。図15(a)は、本発明の第4実施形態に係る複合機1を背面から見た模式図であり、(b)は、カバー84部分の拡大図である。
【0106】
複合機1の背面には、例えば、制御基板91を冷却するための開口部83、ファン81、ダクト82が設けられる。そして、本発明は、開口部83に面するダクト82の一端82aを移動させる点に特徴がある。しかし、常に、水平方向、若しくは、垂直方向にダクト82の一端82aを移動させることができるわけではなく、設計上の理由から、斜め方向にしか開口部83及び移動方向を確保ではない場合がある。
【0107】
そこで、本実施形態では、図15(a)に示すように、例えばルーバ状の通風口84aが複数設けられ、斜めに傾斜した形状のカバー84が、本体背面に取り付けられる。図15(b)に破線で示すように、このカバー84の奥側に、開口部83が設けられる。そして、この開口部83に面して排気口又は吸気口となるダクト82の一端82aが配される(1点鎖線若しくは2点鎖線で図示)。尚、ダクト82の他端82bは、ファン81に接続される。
【0108】
そして、上記実施形態で上げたような移動機構により、ダクト82の一端82aが、1点鎖線又は2点鎖線の位置となるように移動可能とされる。即ち、移動機構は、ダクト82の一端82aを斜め方向に移動させる。
【0109】
このようにして、ダクト82の一端82aの移動方向が斜め方向にも移動可能であれば、機器の設計の自由度を高めることができる。言い換えると、機器の設計上、ダクト82の一端82aの移動方向を斜め方向でしか確保できない場合にも、対応することができる。
【0110】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、複合機1について示したが、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置、パーソナルコンピュータ等に配されるファン81、開口部83、ダクト82を備える冷却装置8に本発明は適用できる。
【0111】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置等及び冷却装置8に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施形態に係る複合機1の概略構造を示す模型的正面断面図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係る操作パネルの一例をしめす正面図であり、(b)は、その液晶表示部の表示の一例を示す正面図である。
【図3】第1の実施形態に係る複合機に備えられる冷却装置8の配置の一例を示す模式図であり、(a)は複合機を正面からみた模式図、(b)は背面から見た模式図である。
【図4】第1の実施形態に係るダクトの移動についての説明図であり、(a)は冷却効率が最も高い状態を示し、(b)は、騒音を低減させる場合の状態を示す。
【図5】第1の実施形態に係るダクトの一例を示す部分拡大図である。
【図6】第1の実施形態に係る複合機の開口部を正面からみた図である。
【図7】第1の実施形態に係るダクトの移動機構を右側面からみた模式図である。
【図8】第1の実施形態に係る移動機構のラック端部の拡大斜視図である。
【図9】第1の実施形態に係る移動機構によるダクトの形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は通常モード、(b)は静音モードにおいて最大限移動させた状態を示す。
【図10】第1の実施形態に係る複合機のブロック図である。
【図11】第1の実施形態に係るダクトの一端の位置を段階的とすることを説明するための模式図である。
【図12】第2の実施形態に係るダクトの移動機構の右側面からの模式図である。
【図13】第2の実施形態に係る移動機構によるダクトの形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は、通常モードでの状態、(b)は、静音モードでのラックを最大限移動させた状態を示す。
【図14】第3の実施形態に係る移動機構によるダクトの形状変更を説明するため、上方から見た模式図である。
【図15】(a)は、本発明の第4の実施形態に係る複合機を背面から見た模式図であり、(b)は、カバー部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0114】
1 複合機(画像形成装置) 85 ギア(移動機構の一部)
1b 外装カバー(外面) 86 ラック(移動機構の一部)
2 操作パネル(操作入力部) 87 ガイドレール(移動機構の一部)
8 冷却装置(8A、8B、8C) 9 制御部(位置制御部)
81 ファン(冷却装置の一部) 10 回転制御部(位置制御部)
82 ダクト(冷却装置の一部) M モータ(移動機構の一部)
83 開口部(冷却装置の一部) Ma 回転軸(モータM)
84 カバー S 温度センサ(温度検知体)
84a 通風口
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器内部で生ずる熱を吸気又は排気して冷却を行う画像形成装置、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、複合機、プリンタ、FAX装置等の画像形成装置や、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等、各種の電気・電子機器は、内部にCPU、抵抗、トランジスタ等の発熱する多数の電子部品を実装する配線基板や、各種ヒータ等、発熱部材を備えることがある。そして、発熱部材の影響で機器内の温度が上昇すると、機器の誤動作、短命化、機器内の素子・部材の特性変化等を引き起こすことがある。これらの温度上昇による弊害を防止、軽減するため、一般に、機器の外装に開口部を設け、ファンやファンに接続されるダクトにより吸気又は排気を行って機器内の冷却する冷却装置が設けられる。
【0003】
そして、この排気等を行う際、従来、排気方向の変更が行われることがあり、そのような発明が特許文献1に記載されている。具体的に特許文献1には、画像形成装置本体に排気ファンと、排気ダクトを有し、排気ダクトは、複数の方向の異なる排気口と、排気方向を変えるための整流板が有り、整流板は回転中心を持ち、整流板には外装面から突出したつまみ部が有り、外装面にはつまみが回動する軌跡上にスリットがあり、整流板のつまみ部を持ってユーザが整流板の回転中心を回動させることが可能である画像形成装置が記載されている。この構成により、特許文献1記載の発明は、排気方向を変更して、冷却効率を低減せずに排気口の近くのユーザが排気風による不快感を低減しようとする(特許文献1:請求項1、段落0010〜0012、図1等参照)。
【特許文献1】特開2005−338572
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、排気等のため、ファンを用いる場合、その風切音やファンを回転させるモータの駆動音や、更には、機器内部で動作に伴って生ずる音が排気口又は吸気口となる開口部から騒音として漏れ出すという問題がある。特に、冷却能力向上のためファンの回転数が高い場合や、複数のファンを設ける場合などに、騒音が大きくなるという問題がある。
【0005】
この騒音の点について、確かに特許文献1記載の発明によれば、排気方向の変化でユーザの不快感を低減可能ではあるが、騒音が低減されるものではない。現に、特許文献1記載の発明は、整流板を回動させて排気方向を変更するが、排気口から漏れ出す騒音の量自体は変わらず、上記の問題を解決することはできない。
【0006】
又、機器が適切に動作するには、機器内の温度が一定以下であればよい(仕様温度)とすると、常に冷却効率の高い状態を維持し、排気口(開口部)から漏れ出す騒音を大きい状態としておく必要性はない。又、通常、機器内の発熱量は、機器が行っている動作、処理の量によって変動し、機器内で常に発熱の高い状態が維持されるわけではない。そうすると、冷却の効率を低下させ、むしろ騒音を低減するほうが、騒音防止という観点から見て有利な場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ダクトの一端の位置を変更して、吸排気の方向を変更することで、機器の開口部から漏れ出す騒音自体を低減させる画像形成装置、冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1に係る画像形成装置は、装置の外面に設けられる開口部と、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、前記開口部から漏れ出す騒音を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することとした。
【0009】
この構成によれば、開口部に面して配されるダクトの一端の位置を、移動機構により移動可能とし、通風路となるダクトの形状を変化させるので、ファンが生ずる騒音や装置内部の動作音等、開口部から漏れ出す騒音の量を変化させることができる。言い換えると、ダクトの形状をファンと開口部を最短距離で一直線状につなぐ形状とすると最も冷却効率は高いが、開口部から直線的に騒音も漏れ出し、騒音レベルも高くなるところ、その状態からダクトの形状を変化させつつ、ダクトの一端の位置を移動させることで、騒音の一部はダクト内で反射するから、その結果、騒音を低減することができる。
【0010】
又、請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記ダクトは、蛇腹形状であることとした。
【0011】
この構成によれば、ダクトを蛇腹形状とすることで、容易にダクトの形状を変化させることができる。尚、好適な実施形態の1つを示す。
【0012】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記移動機構は、前記ダクトの一端を斜め方向に移動させることとした。
【0013】
この構成によれば、ダクトの一端の移動方向が斜め方向にも移動可能であれば、機器の設計の自由度を高めることができる。言い換えると、機器の設計上、ダクトの一端の移動方向を斜め方向でしか確保できない場合にも、対応することができる。
【0014】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3記載の画像形成装置において、前記移動機構は、前記ダクトの一端と連結されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータと、前記ラックの移動をガイドするガイドレールを有して構成されることとした。
【0015】
この構成によれば、ダクトの一端を移動させる移動機構は、これらの部材で構成されるので、移動機構が複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができる。又、移動機構を構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0016】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至3に記載の画像形成装置において、前記ダクトの一端は、通風口を有し前記開口部を覆うカバーに取り付けられ、前記移動機構は、前記カバーの移動をガイドするガイドレールと、前記カバーに固着されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータを有して構成されることとした。
【0017】
この構成も請求項4と同様に、移動機構は、複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができ、構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0018】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5に記載の画像形成装置において、前記ダクトの一端の位置を指示・入力するための操作入力部と、前記操作入力部の指示・入力に基づき、前記移動機構の動作を制御して前記ダクトの一端の位置を移動させる位置制御部を有することとした。
【0019】
この構成によれば、使用者は、操作入力部を操作することで、画像形成装置の開口部から漏れ出す騒音をコントロールすることができる。
【0020】
又、請求項7に係る発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記ファンと前記開口部を最短距離でつなぎ、前記ファンと前記開口部の間における前記ファンの吸気方向又は排気方向が一直線状となるように前記ダクトの一端を配置する通常モードと、前記通常モードにおける前記ダクトの一端の位置を前記移動機構により移動させて実現する静音モードを有し、前記操作入力部は、前記通常モードと前記静音モードの選択を受け付けることとした。
【0021】
この構成によれば、操作入力部に静音モードへの移行を指示する入力を行うだけで、画像形成装置の発する騒音を低減させることができる。又、通常モードを選択するだけで、前記ダクトの形状をファンと前記開口部を最短距離でつないで、冷却能力が高い状態を維持させることもできる。従って、画像形成装置を低騒音状態又は高冷却効率状態とするコントロールの容易な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
又、請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の画像形成装置において、前記操作入力部は、前記ダクトの一端の移動を段階的に行う旨の指示・入力を受け付けることとした。
【0023】
この構成によれば、使用者は、ダクトの一端の位置設定を段階的に行うことができ、静音モードにおいて、細かな入力(例えば、詳細な移動量の入力)を行うことなく、使用者がダクトの一端の位置を容易に調節し、操作入力部への入力を簡易化することができる。
【0024】
又、請求項9に係る発明は、請求項7又は8に記載の画像形成装置において、装置内部の温度を検知するための温度検知体を備え、前記温度検知体が、装置内部の温度が所定温度を超えたことを検知した場合、前記位置制御部は、前記ダクトの一端の位置を通常モードの位置に移動させることとした。
【0025】
この構成によれば、静音モードでは、冷却効率が若干低下するので、装置内の温度が適切な画像形成を行い難くなる温度まで上昇し得るものの、機内温度が所定温度よりも上昇した場合、通常モードに自動的に移行するので、機内温度の過上昇を防ぐことができる。
【0026】
又、請求項10に係る発明は、冷却装置において、装置が取り付けられる機器の外面に設けられる開口部と、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、前記開口部から漏れ出す騒音状態を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することとした。
【0027】
この構成によれば、開口部に面して配されるダクトの位置を、移動機構により移動可能とし、通風路となるダクトの形状を変化させることができるので、ファンが生ずる騒音や装置内部の動作音等、開口部から漏れ出す騒音の量を変化させることができる。
【発明の効果】
【0028】
上述したように、本発明によれば、ダクトの形状を変化させることで、画像形成装置から漏れ出す騒音を低減させる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜11を参照しつつ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。尚、本発明に係る冷却装置8は、各種装置に適用可能であるが画像形成装置としての複合機1に適用した場合を一例として説明する。
【0030】
まず、図1及び2に基づき、複合機1の構成の概略を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の概略構造を示す模型的正面断面図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る操作パネル2の一例をしめす正面図であり、(b)は、操作パネル2の液晶表示部23の表示の一例を示す正面図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の複合機1は、上部に原稿カバー1aが設けられ、その下部は、外装カバー1bに覆われ、その内部に原稿読取部3、シート供給部4、シート搬送路5、画像形成部6、定着装置7、温度センサS等を備える。又、複合機1の正面上部に操作パネル2(操作入力部に相当)が備えられる(図2及び図3参照)。
【0032】
前記原稿カバー1aは、コンタクトガラス31に載置された原稿を上方から押さえる。そして、この原稿カバー1aは、図1の紙面奥に支点が設けられ、持ち上げ可能である。原稿カバー1aの下方に位置する原稿読取部3は、その内部に、露光ランプ、反射板、ミラー、レンズ、イメージセンサとしてのCCDセンサ等が設けられ(不図示)、これらの光学系部材を駆使して光学的に原稿を走査して画像データを生成する。又、原稿読取部3の上面にはコンタクトガラス31が設けられ、原稿読取部3は、このコンタクトガラス31上に載置される原稿を読み取る。
【0033】
前記シート供給部4は、画像形成部6に向けてシートを供給する。シート供給部4は、各サイズの用紙等のシートが収納されるカセット41と、カセット41からシートを1枚ずつシート搬送路5に送り出すピックアップローラ42等を備える。例えば、使用者が、スタートキー22(図2参照)を使用者が押すと、ピックアップローラ42が回転駆動し、シートが1枚ずつシート搬送路5に送り出される。
【0034】
前記シート搬送路5は、シート供給部4から供給されたシートを、画像形成部6、定着装置7を経て排出トレイ51まで搬送する。そのため、シート搬送路5には、シートを案内するガイド、及びモータ等(不図示)により回転駆動する搬送ローラ対52が適宜設けられる。又、画像形成部6の手前には、シートを待機させ、トナー像の転写タイミングに合わせてシートを送り出すレジストローラ53等が設けられる。尚、図1では、シート搬送方向を破線で図示している。
【0035】
前記画像形成部6は、画像データにあわせてトナー像を形成し、搬送されてきたシートに転写を行う。画像形成部6は、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム61、感光体ドラム61の周囲に配設された帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラ65、クリーニング部66を備える。
【0036】
前記感光体ドラム61は、画像形成部6の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動される。帯電装置62は、図1において感光体ドラム61の右斜め上方に設けられ、感光体ドラム61の表面を所定電位に均一に帯電させる。露光装置63は、帯電装置62の上方に設けられ、原稿読取部3で取得された画像データやネットワーク等により接続される外部コンピュータ100、相手方FAX装置200(図10参照)から送信された画像データ等に基づき、レーザ光Lを出力し、感光体ドラム61表面を走査露光して画像情報に応じた静電潜像を形成する。現像装置64は、感光体ドラム61の右斜め下方に設けられ、感光体ドラム61上の静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム61の左方に設けられる転写ローラ65と感光体ドラム61との間ではニップが形成され、このニップをシートが通過する際、所定のバイアスが印加され、感光体ドラム61上のトナー像がシートに転写される。クリーニング部66は、転写終了後、感光体ドラム61の表面に残留するトナーを清掃する。
【0037】
前記定着装置7は、シートに転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着装置7は、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ71と加圧ローラ72で構成される。加熱ローラ71と加圧ローラ72は圧接してニップを形成する。そして、トナー像の転写されたシートが、加熱ローラ71と加圧ローラ72とのニップを通過することで、トナーが溶融・加熱され、トナー像がシートに定着する。
【0038】
前記温度センサS(例えば、サーミスタ)は、装置内部の温度を検知するため複合機1内に適宜設けることが可能である。その数は、1つでも良いが、1つとは限らず、例えば、制御基板91、定着装置7、露光装置63、現像装置64のそれぞれに設けても良い。
【0039】
前記操作パネル2は、複合機1の正面上方に設けられ、図2(a)に示すように、テンキー21、スタートキー22等の入力、設定用の各種キーを備える。そして、図2に示すように、操作パネル2は、装置の動作状態や各種メッセージを表示し、又、タッチパネルにより各種設定、モード選択等を行うことができる液晶表示部23を備える。例えば、複合機1の有するコピー、スキャナ、プリンタ、FAX機能の選択、画像の処理に関する拡大縮小機能、濃度調整機能等、多様な機能を駆使するため、使用者は、操作パネル2から複合機1の動作の操作・設定可能である。
【0040】
又、詳細は後述するが、本実施形態における複合機1は、通常の状態(通常モード)よりも、ダクト82の一端82aの位置を移動させ、騒音低減を実現する静音モードを有する。そして、通常モードと静音モードの切替を、操作パネル2に設けられた静音モードキー24を押して行うことができる。即ち、操作パネル2は、通常モードと静音モードの選択を受け付ける。尚、静音モードキー24を設けず、液晶表示部23のタッチパネルへの入力により静音モードと通常モードの切替が行われても良い。更に、図2(b)に示すように、液晶表示部23で、静音モードのレベル設定(強度設定)を行うようにしてもよい。尚、オートボタン23aは、静音モードにおいて、機内温度と騒音の兼ね合いで、ダクト82の一端82aの位置を自動制御で定めるためのボタンである。
【0041】
次に、図1及び3に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1に備えられる冷却装置8の配置について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1に備えられる冷却装置8の配置の一例を示すための模式図であり、(a)は複合機1を正面からみた模式図、(b)は複合機1を背面から見た模式図である。
【0042】
図3に示すように、本実施形態の複合機1には、装置内部の温度を所定温度以下にする構成として、複数の冷却装置8A、8B、8Cが設けられる。この冷却装置8は共通して、ファン81、ダクト82、開口部83、その他、移動機構(詳細は後述)を有する。尚、各冷却装置8A〜Cでのファン81、ダクト82、開口部83、移動機構の形状、大きさ等は異なりうるが、基本的に機能は同様であるので、以下では、冷却装置8A〜Cでのファン81、ダクト82、開口部83、移動機構の各部材に付す符号は、共通させる。
【0043】
基本的に、前記開口部83は、装置内の空気を装置外に排出、又は装置内に吸気するため外装カバー1b(即ち、装置の外面)に設けられる。前記ファン81は、装置内の被冷却物を冷却するため、装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行う。前記ダクト82は、一端82aが開口部83に面して配され、他端82bがファン81と接続されその長さ及び形状が可変である(図4参照)。従って、ダクト82は、開口部83とファン81との間で、空気の流れを導く導管として機能する。
【0044】
ここで、本実施形態の複合機1では、冷却装置8が、少なくとも3つ設けられ、具体的には、制御基板91(詳細は後述)を冷却する冷却装置8Aと、現像装置64及び露光装置63を冷却する冷却装置8Bと、定着装置7を冷却する冷却装置8Cを備える。即ち、被冷却物は、制御基板91、定着装置7、露光装置63、現像装置64である。
【0045】
前記冷却装置8Aの、ファン81は、図1及び図3に示すように、複合機1の後壁部分の内部に設けられる制御基板91に近接して設けられる(尚、ファン81の開口部83は、背面側に設けられる。又、ダクト82は図1、図3では不可視)。このファン81は、抵抗、コイル、CPU92、記憶素子、トランジスタ等の多様な電子部品を実装し、通電で発熱する制御基板91に対し、送風を行い、又は吸気を行って冷却する。これにより、複合機1の誤動作を防止し、又、電子部品の破損や制御基板91の寿命の短命化を防ぐ。
【0046】
前記冷却装置8Bのファン81は、複合機1を正面からみて中央右側面部分(図1、図3(a)参照)に設けられ、主として、露光装置63、現像装置64に向けて送風し、又は露光装置63、現像装置64近傍の空気を排出し、実際に画像形成を行う画像形成部6における温度を所定温度以下にする。又、冷却装置8Bのダクト82と開口部83は、複合機1の右側面に設けられる。尚、ファン81には、露光装置63、現像装置64に向けて伸びるダクトが、別途接続される。
【0047】
本実施形態における露光装置63は、レーザ光で、走査・露光を行うが、このレーザ光を照射する半導体レーザ装置は、温度によって特性が変化し、温度が上昇しすぎると、走査・露光に影響が出て、画像品質を損なう畏れがある。又、現像装置64は、例えば、感光体ドラム61に対向させて配される現像ローラ64aが回転し、現像装置64内のトナーを撹拌するための撹拌機構64bも回転動作するので(図1参照)、摩擦熱等によって高熱になる場合がある。そこで、ファン81Bは露光装置63、現像装置64近傍に外気を送風又は吸気することによって、これらの弊害を防止する。
【0048】
前記冷却装置8Cのファン81は、複合機1を正面から見て中央左側面部分に設けられ(図1、図3(a)では不図示、図3(b)では、ダクトは不可視)、定着装置7に対し送風又は吸気を行う。又、そのダクト82及び開口部83は、背面側に設けられる。定着装置7の温度が上昇しすぎると、トナーの溶融が理想的でなくなるので、定着装置7を冷却する。反対に、冬期の複合機1の電源投入時、複合機1が冷えきっていると、機内で結露が生じ画像形成が適切に行えないことがあり、ファン81が内部方向に送風を行って、定着装置7が生ずる熱を機内に送り込むこともできる。
【0049】
ここで、本実施形態では、各冷却装置8A〜8Cにおいて、開口部83に面するダクト82の一端82aを移動させる点に特徴があるので、この点に付き、図4及び図5に基づき説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係るダクト82の移動について説明するための説明図であり、(a)は冷却効率が最も高い状態を示し、(b)は、騒音を低減させる場合の状態を示す。図5は、本発明の第1の実施形態に係るダクト82の一例を示す部分拡大図である。
【0050】
図4(a)に示すように、ダクト82の形状をファン81から開口部83のまで距離を最短距離で繋ぐように一直線状にした場合、ファン81の吸気又は排気は、最もスムーズに行われる。即ち、図4(a)に示すように、一直線状に吸排気等行われると冷却効率が最も高い状態となる。尚、通常モードでは、ダクト82の形状はこの形状とされる。
【0051】
しかし、この状態では、開口部83から、ファン81の風切り音やファンを回転させるモータの駆動音、シート搬送におけるガイドとシートの擦れ音や、ドラム、ローラの回転音等、複合機1内で生ずる動作音が最も漏れ出す。即ち、外部に音が直線的に伝搬する。そこで、図4(b)に示すように、本実施形態の複合機1では、開口部83に面するダクト82の一端82aの位置を移動させ、ダクト82の形状を変化させる。これにより、ダクト82の長さや開口部83に対する角度が変わるため、ダクト82内で音の一部が反響し、直線的に開口部83から音が漏れ出さなくなる。
【0052】
そして、ダクト82の形状を可変とするために、本実施形態の複合機1では、図5に示すように、ダクト82が蛇腹形状のものを用いる。図5に示すダクト82の端部は、開口部83に面して配される部分(ダクト82の一端82a)を示したものであり、ファン81の回転方向により、この部分が、外気が導入される吸気口、又は、機内の空気が排気される排気口となる。そして、図5では示していないが、上述したように他端82bがファン81に接続される。
【0053】
次に、図6乃至9に基づき、吸気口又は排気口にあたるダクト82の一端82aを移動させる機構について説明する。尚、本実施形態の複合機1は、複数のファン81、開口部83、ダクト82等からなる冷却装置8A〜8Cを有するが、以下の説明は全ての冷却装置8に同様に適用できる。
【0054】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の開口部83を正面からみた図であり、図7は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1のダクト82の移動機構を右側面からみた模式図であり、図8は、本発明の第1の実施形態に係る移動機構のラック86端部の拡大斜視図であり、図9は、本発明の第1の実施形態に係る移動機構によるダクト82の形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は、通常モード、(b)は、静音モードにおいて最大限移動させた状態を示す。尚、図7や9において、各方向から見た場合、開口部83は、外装カバー1bの存在により見えないが、説明の便宜上見えるものとして図示する(以下、同様)。
【0055】
複合機1の外装カバー1b等で構成される外面には、吸気又は排気を行うための開口部83(図6に2点鎖線で図示)が設けられる。そして、ホコリ等の進入を防止等の観点から、図6に示すように、開口部83を覆うカバー84が設けられる。このカバー84は、例えば、ルーバ(鎧戸)状に形成され、通風口84aが複数設けられる。
【0056】
そして、図6の破線で示すように、複合機1内部(外装カバー1bの内側)には、開口部83の左右幅のほぼ中心位置かつ開口部83の上縁よりも上方に設けられるモータMと、モータMの回転軸Maに取り付けられるギア85と、ギア85に接続され、ギア85と噛み合うように歯面が設けられるラック86が配される。そして、図6において、一点鎖線で示すように、ラック86には、ダクト82の一端82aが連結される(連結の詳細は後述)。即ち、排気口又は吸気口となるダクト82の一端82aが、開口部83(カバー84)に面して配されるようにラック86と連結される。
【0057】
ここで、モータMは、正逆回転自在であり、例えば、モータMが駆動してラック86を図6の右方向に移動させれば、ラック86に連結されるダクト82の一端82aもあわせて移動する。即ち、開口部83の開口面に対して平行な方向に、ダクト82の排気面又は吸気面が移動する。又、モータM、ギア85、ラック86、後述するガイドレール87等は、開口部83から漏れ出す騒音を変化させるため、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置を移動させる移動機構として機能する。
【0058】
そこで、図7に基づき、ダクト82の一端82aを移動させる機構の詳細を説明する。尚、図7では、ダクト82の蛇腹形状は簡略化して示している。
【0059】
まず、図7の左側に示すように、外装カバー1bの一部には開口部83が設けられ、この開口部83を覆うカバー84が取り付けられる。この開口部83の上縁よりも上であって、複合機1内部に、図7の紙面垂直方向(開口部83の開口面と平行な方向)に伸びるガイドレール87が設けられる。このガイドレール87の溝部分87aには、ラック86が嵌め込まれ、ラック86の移動をガイドする。そして、ラック86の上部に設けられる歯面にギア85が接続され、ギア85はモータMの回転軸Maに取り付けられる。これらの構成により、モータMの回転運動が直線運動に変換され、ラック86が外装カバー1bに対し平行な方向で移動する。即ち、移動機構は、ダクト82の一端82aと連結されるラック86と、ラック86に接続されるギア85と、ギア85が回転軸Maに取り付けられるモータMと、ラック86の移動をガイドするガイドレール87を有して構成される。
【0060】
そして、ラック86の左右の端部には、ラック86とダクト82を連結するための連結部材88が設けられ、連結部材88により、ダクト82の一端82aとラック86の動きが連動し、開口部83でのダクト82の位置が移動する(連結部材88の詳細は後述)。
【0061】
そして、図7に示すように、ダクト82の上面には、落下防止部82cが、ラック86の移動方向と平行な方向に延びて設けられる。落下防止部82cは、柱部82dと、柱部82dの上端に設けられる天板部82eとから構成される。
【0062】
この落下防止部82cに対応するモータMの下面にダクトガイド部材89が設けられる。ダクトガイド部材89は、板状の金属等をU字状に折り曲げた部材をモータMの下面に取り付け(例えば、モータMのケースに嵌め込む)、U字の底辺をダクト82の一端82aの移動方向に平行な方向で切った穴89aを有して形成される。そして、この穴89aには、落下防止部82cの柱部82dが差し込まれるとともに、天板部82eがダクトガイド部材89の下面の内側と接して、ダクト82が落下することを防止する。尚。L字状の部材を、穴89aが形成されるように一定の間隔を設けて、モータMに固定してダクトガイド部材89を設けても良い。
【0063】
次に、図8に基づき、ダクト82とラック86の連結について説明する。尚、本実施形態でのダクト82は蛇腹状であるが、図8ではダクト82を簡略化して図示し、又、便宜上、ラック86と連結部材88とダクト82以外の構成は省略している。
【0064】
図8に示すように、ラック86の端部では、開口部83方向から、糸状や線状の連結部材88の一端部88aが貫通される。この連結部材88は、例えば、弾性を有する樹脂や金属(例えば、針金)で形成される。そして、開口部83方向から貫通された連結部材88は、図8におけるラック86の右端部方向に折れ曲げられ、更に、ラック86の右端面に接するようにラック86の角部に当接しつつ折り曲げられる。
【0065】
この2回の折り曲げにより、図8に示すように、連結部材88はU字状となり、機内方向に向き、ラック86に貫通されていない方の端部88bが、ダクト82の突起部82fに設けられた連結部82gに挿し込まれる。この連結部材88による固定をラック86の両端で行うことで、強固に、ラック86とダクト82が連結されることになる。尚、ガイドレール87の端部には、ラック86が、ガイドレール87を超えて移動しないように規制するためのストッパ部材87b(図8で破線で図示)を設けても良い。ストッパ部材87bは、例えば、ガイドレール87の左右端部に延設すればよい。
【0066】
次に、図9により、ダクト82の一端82aの移動について説明する。
【0067】
まず、図9に示すように、ダクト82は移動可能に構成されるので、複合機1の外装カバー1bに設けられる開口部83は、ダクト82の一端82aの移動範囲に合わせて開口される必要がある。従って、開口部83及び開口部83を覆うカバー84の大きさは、従来のダクト82の一端82aを移動させない場合に比べて大きくなる。しかし、この開口部83をカバー84が覆っているので、ホコリ等が機内に入り込むことは防がれ、又、美観上劣ることもない。
【0068】
ここで、上述したように、本実施形態の複合機1は、従来と同様に冷却効率が高くなるようにダクト82の一端82aを図9(a)で示す位置とする通常モードと、複合機1から生ずる騒音を軽減させる静音モードを有する。そして、複合機1から生ずる騒音状態が変化させる静音モードを、ダクト82の一端82aを移動させることで実現する。この静音モードにおいて最大限ダクト82の一端82aを移動させた状態を図9(b)に示している。図9(b)の状態は、図9(a)の状態に比べ、ファン81の風切り音や、ファン81を経由した機内の動作音等の騒音が、直線的に開口部83から漏れ出さないので、騒音が低減される。
【0069】
次に、図10に基づき、本発明の第1の実施形態に係る複合機1の制御部9及びそのハードウェア構成について説明する。図10は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1のブロック図である。
【0070】
制御部9は、制御基板91上に設けられるものであって、複合機1全体の動作を制御し、例えば、CPU92、記憶部93、画像処理部94等から構成される。
【0071】
前記CPU92は、中央演算処理装置であって、記憶部93に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機1の各部動作を制御する。記憶部93は、ROM、RAM、HDD等から構成され、ROMは、複合機1の制御用プログラムや制御用データを格納し、CPU92が制御用プログラム等を読み出す。RAMは、制御用プログラムを一時的に展開する場合や、画像データを一時的に保存しておく場合などに用いられる。HDDは、大容量の記憶装置であって、制御用プログラムや制御用データ、原稿読取部3で読み取った画像データや、FAX通信(送受信)での画像データ等を保存する。尚、本実施形態に係る静音モードにおける制御プログラムも記憶部93に記憶される。前記画像処理部94は、原稿読取部3で読み取られた画像データや、外部コンピュータ100や相手方のFAX装置200と通信の対象となる画像データに対し、各種画像処理を施す部分である。
【0072】
そして、制御部9は、原稿読取部3、画像形成部6等の各部を制御するため信号線により接続され、確実に複合機1が動作するように制御する。更に、制御部9は、インターフェイス(不図示)を介し、ネットワークや公衆回線により、複数の外部コンピュータ100や相手方のFAX装置200と接続される。これにより、原稿読取部3で読み取られた画像データに基づき画像形成を行えばコピー機能が実現され、記憶部93や外部コンピュータ100に画像データを送信すればスキャナ機能が実現され、又、外部コンピュータ100から送信された画像データについて画像形成を行えば、プリンタ機能が実現される。又、相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)と画像データの送受信を行うことでFAX機能が実現される。
【0073】
又、図10に示すように、制御部9は、ラック86及びダクト82の一端82aを移動させるモータMの回転数を制御するための回転制御部10A、10B、10Cと接続され、CPU92は、各回転制御部10に対し、モータMの回転のON/OFFや、その回転数や各モータMの駆動時間を指示する信号を送信する
【0074】
ここで、回転制御部10Aは、冷却装置8Aのダクト82の一端82aを移動させるモータMの制御を行う。回転制御部10Bは、冷却装置8Bのダクト82の一端82aを移動させるモータMの制御を行う。回転制御部10Cは、冷却装置8Cのダクト82の一端82aを移動させるモータMの制御を行う。
【0075】
又、各回転制御部10は、複合機1内に適宜設けられる電源装置11と接続され、回転に必要となる電源装置11から各モータMへの電力供給のON/OFFを行う。即ち、各回転制御部10は、モータMの回転を制御し、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置の制御を行う(位置制御部)。具体的には、各モータMの回転数やラック86の位置を検出するために、例えば、モータMをエンコーダ付きのモータMとする等により、モータMの回転数を把握すれば、開口部83におけるダクト82の一端82aの位置を自由に制御することが可能となる。即ち、CPU92等により、モータMの回転数からラック86の移動距離や位置を演算すれば、ダクト82の位置制御が可能となる。
【0076】
又、各回転制御部10は、冷却装置8A〜8Cの各ファン81を回転させるためのそれぞれの各ファンモータFMとも接続される。CPU92は、各回転制御部10に対し、ファンモータFMの回転のON/OFFや、その回転数を指示する信号を送信する。そして、各回転制御部10は、各ファン81のそれぞれについて、CPU92からの指令を受けて、複合機1の機内温度を下げる場合など、各ファン81を回転させることが必要な場合、各ファンモータFMに、電力を供給する。即ち、各回転制御部10は、各ファンモータFMを回転させるためのスイッチとしても機能する。又、制御部9からの各ファンモータFMの回転速度を指示する信号を受けて、各回転制御部10は、各ファン81を回転させるために供給する電圧、電流、周波数等を変化させ、回転数を制御する。尚、各回転制御部10が行う制御は、直流、交流の違いや、定格等、各ファンモータFMに採用するモータMによって異なるが、使用する各ファンモータFMにあわせて適宜設定すればよい。
【0077】
そして、操作パネル2(図2参照)に対し、静音モードを選択する旨の入力がなされれば、その入力を制御部9が受け付け、通常モードから静音モードに移行するために、制御部9のCPU92は、各回転制御部10に対し、ダクト82の一端82aを移動させる旨の信号を送信する。この信号を受けて、各回転制御部10は、各モータMを駆動し、ダクト82の一端82aを移動させる。即ち、ダクト82の一端82aの位置を指示・入力するため、使用者による操作パネル2への指示・入力に基づき、移動機構の動作を制御してダクト82の一端82aの位置を移動させる位置制御部9として、制御部9も機能する。
【0078】
具体的には、各モータMの駆動により、ラック86及びラック86に連結されるダクト82の一端82aの位置を、図9(a)に示す通常モードにおける開口部83とファン81と最短距離で結ぶようにダクト82でのファン81の吸気方向又は排気方向を一直線状とする位置から、通常モードにおけるダクト82の一端82aの位置を移動機構により移動させ、ダクト82の形状が斜めとなるように、最大で、図9(b)に示すような位置まで、移動させて静音モードが実現される。即ち、静音モードでは、ダクト82の一端82aを通常モードにおける位置から移動させる。尚、静音モードから通常モードに移行するときは、モータMを逆回転させ、図9(a)に示す位置まで移動させればよい。
【0079】
更に、静音モードの選択により、各回転制御部10は、通常モードにおけるファンの回転速度(例えば、ファンモータFMの定格回転)を100%とし、それに対し、例えば、50%の回転速度に落とすように各ファン81の速度制御を行い、騒音の発生自体を減少させてもよい。尚、50%という数字は例示であり、1%以上〜100%未満の範囲で、目標とする騒音レベルや画像形成装置ごとの排熱効率等を考慮し、適宜設定すればよい。
【0080】
ここで、静音モードのレベル設定と、ダクト82の一端82aの移動について、図11に基づき説明する。図11は、本発明の第1の実施形態に係るダクト82の一端82aの位置を段階的とすることを説明するための模式図である。
【0081】
又、本実施形態の複合機1では、ダクト82の一端82aの位置をモータMの回転数により任意に定めることができる。従って、図2(b)に示した、操作パネル2での静音モードのレベル設定に基づき、図11に示すように、静音モードのレベルを大きくするに従い、通常モードのダクト82の位置からの移動量を段階的に大きくすることもできる。即ち、操作パネル2は、ダクト82の一端82aの移動を段階的に行う旨の指示・入力を受け付け、その指示に基づき制御部9が移動機構の制御を行う。言い換えると、静音モードを選択した場合、通常モードにおけるダクト82の一端82aの位置が、移動可能な範囲で常に最大限移動させられるのではなく、使用者の設定に従いモータMの回転数を制御することで、ダクト82の一端82aの位置を3種以上とすることができる。これにより、冷却効率と騒音を勘案しつつ、ダクト82の一端82aの移動量を使用者が設定し、又は制御部が自動制御することができ、利便性が高い。尚、通常モードからの移動量が大きくなるにつれてファンモータFMの回転数を落とし、騒音の発生自体を低減させても良い。
【0082】
具体的に、図11について説明すると、通常モードにおけるダクト82の一端82aの位置を実線で示し、例えば、破線で示す位置が、最大限ダクト82の一端82aを移動させた位置を示すものとする。そして、上記のように、モータMの回転数を制御することで、ダクト82の一端82aの位置を、2点鎖線で示す位置、1点鎖線で示す位置と、多段階の設定を行うことができる。
【0083】
図10に戻り、説明を続ける。図10に示すように、制御部9には、複合機1内に設けられる温度センサS(図10では、便宜上1つのみ図示、図1参照)が接続される。この温度センサSは、複合機1内の各部の温度を検出する。
【0084】
しかし、本実施形態の複合機1は、ダクト82を移動させ静音モードを実現し、静音モードでも機内冷却のため吸排気を行うが、この静音モードでは、通常モードよりも冷却効率が若干低下する側面を有する。そうすると、例えば、大量に連続して画像形成を行った場合(例えば、100枚程度)、外気温が高い場合など、複合機1内の温度が所定温度以上に上昇してしまう場合がある。
【0085】
ここで、所定温度とは、例えば、制御基板91上の各素子に誤動作や破損がなく、露光装置63の半導体レーザ装置の特性変化が許容範囲に収まる等の複合機1の設計上の仕様温度である。即ち、所定温度とは、適切に複合機1を使用する上で、複合機1内の温度が超えてはいけないとされる目安の温度である。尚、この所定温度は、画像形成装置の種類や形式によって異なるし、制御基板91、露光装置63、定着装置7と装置内部の各構成によっても異なることがある。そして、通常、機内温度が使用環境においてこの所定温度を超えないように、吸排気による排熱設計がなされる。従って、本実施形態でも、通常モードでは、この所定温度を超えないように設計される。
【0086】
そして、静音モード時、連続した画像形成により機内温度が所定温度を超えた場合、そのままでは、画像形成を適切に行うことができないので、冷却効率を高める必要がある。そこで、温度センサSが、機内温度を監視し、所定温度を超えたことを検出した場合、制御部9は、静音モードから通常モードに自動的に移行する。即ち、温度センサSが、装置内部の温度が所定温度を超えたことを検知した場合、制御部9は、ダクト82の一端82aの位置を通常モードの位置に移動させる。言い換えると、ダクト82の一端82aの位置を冷却効率の最も高い位置へと戻し、ファン81の回転数も最大回転数とする。
【0087】
この場合、制御部9は、温度が所定温度を超えた部分を冷却するためのダクト82及びファン81に対してのみ、静音モードから通常モードに移行させてもよい。即ち、制御基板91が所定温度を超えた場合、冷却装置8Aのダクト82について制御を行い、露光装置63や現像装置64が所定温度を超えた場合、冷却装置8Bのダクト82について制御を行い、定着装置7が所定温度を超えた場合、冷却装置8Cのダクト82Cについて制御を行うようにしてもよい。このように、複合機1の機内温度は、所定温度を超えないように維持される。
【0088】
このようにして、本実施形態の構成によれば、開口部83に面して配されるダクト82の位置を、移動機構により移動可能とし、通風路となるダクト82の形状を変化させることができるので、ファン81が生ずる騒音や装置内部の動作音等、開口部83から漏れ出す騒音の量を変化させることができる。言い換えると、ダクト82の形状をファン81と開口部83を最短距離で一直線状につなぐ形状とすると最も冷却効率は高いが、開口部83から直線的に騒音も漏れ出し、騒音が大きくなるところ、その状態からダクト82の形状を変化させつつ、ダクト82の一端82aの位置を移動させることで、騒音の一部はダクト82内で反射するから、その結果、騒音を低減することができる。
【0089】
又、ダクト82を蛇腹形状とすることで、容易にダクト82の形状を変化させることができる。又、ダクト82の一端82aを移動させる移動機構は、複雑なものではなく、本発明を容易に実現することができる。又、移動機構を構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0090】
又、使用者は、操作入力部(操作パネル2)を操作することで、画像形成装置の開口部83から漏れ出す騒音をコントロールすることができる。又、ダクト82の一端82aの位置設定を使用者は、段階的に行うことができるので、細かな入力(例えば、詳細な移動量の入力)を行うことなく、使用者のダクト82の一端82aの位置を容易に調節することができ、操作入力部への入力を簡易化することができる。
【0091】
又、操作入力部に静音モードへの移行を指示する入力を行うだけで、画像形成装置の発する騒音を低減させることができる。又、通常モードを選択するだけで、前記ダクト82の形状をファン81と前記開口部83を最短距離でつないで、冷却能力が高い状態を維持させることもできる。従って、画像形成装置を低騒音状態又は高冷却効率状態とするコントロールの容易な画像形成装置を提供することができる。又、静音モードでは、冷却効率が若干低下するので、装置内の温度が適切な画像形成を行い難くなる温度まで上昇し得るものの、機内温度が所定温度よりも上昇した場合、通常モードに自動的に移行するので、機内温度の過上昇を防ぐことができる。
【0092】
次に、図12及び図13に基づき、本発明の第2の実施形態に係る複合機1について説明する。図12は、本発明の第2の実施形態に係る複合機1のダクト82の移動機構を右側面からみた模式図であり、図13は、本発明の第2の実施形態に係る移動機構によるダクト82の形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は、通常モードでの状態、(b)は、静音モードでのラック86を最大限移動させた状態を示す。
【0093】
尚、本発明の実施形態に係る第2の実施形態は、ダクト82の一端82aを移動させるための構成が異なるのみであり、その他の構成は第1の実施形態同様に適用できるので説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0094】
図12及び13に示すように、複合機1の外装カバー1bに開口部83が設けられ、その開口部83にカバー84が設けられる点は同様であるが、カバー84の上面が複合機1の内部方向に伸びて差し込まれるように形成されている点と、カバー84が開口部83を全て覆っていない点で異なっている。そして、カバー84の上面部には、ラック86が設けられ、このラック86にギア85が噛み合わされ、ギア85はモータMに取り付けられる。
【0095】
そして、図12に示すように、カバー84には、直接ダクト82の一端82aが取り付けられており、カバー84の移動にあわせて、ダクト82の一端82aが移動するようになっている。又、複合機1の外装カバー1bにおいて、機外方向に、カバー84の移動をガイドするためのガイドレール87が設けられる。このガイドレール87は、カバー84の下方が差し込まれ、カバー84の移動をガイドする。このような構成のもと、回転制御部10に制御されつつモータMが回転することで、ガイドレール87に沿ってカバー84が移動し、あわせて、ダクト82の一端82aも開口面と平行な方向に移動する。即ち、ダクト82の一端82aには、通風口84aを有するカバー84が取り付けられ、移動機構は、カバー84の移動をガイドするガイドレール87と、カバー84に固着されるラック86と、ラック86に接続されるギア85と、ギア85が回転軸Maに取り付けられるモータMを有して構成される。
【0096】
その移動の様子を示すのが、図13である。ここで、図13(a)では、通常モードにおける最も冷却効率が高い状態におけるダクト82の形状及びラック86、カバー84の位置を示している。一方、図13(b)は、静音モードでダクト82の一端82aを最大限移動させた状態におけるダクト82の形状及びラック86、カバー84の位置を示している。又、図13(a)から(b)に到るまで、ダクト82の一端82aを段階的に移動させても良く、この実施形態でも、複合機1から漏れ出す騒音を、段階的に低減させることが可能である。
【0097】
尚、カバー84が開口部83よりも小さく形成されているので、このままでは、開口部83から機内が露出してしまうことになる。内部が露出すると、ゴミ、ホコリが機内に入る等の観点から好ましくないので、カバー84の端部と開口部83の端縁を結ぶように、例えば、山折り谷折りが繰り返された伸縮可能なカーテン状部材83aを取り付けてもよい。
【0098】
このようにして、本実施形態の移動機構は、複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができ、構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0099】
次に、図14に基づき、本発明の第3の実施形態に係る複合機1について説明する。図14は、本発明の第3の実施形態に係る移動機構によるダクト82の形状変更を説明するため、上方から見た模式図である。
【0100】
尚、本発明の実施形態に係る第3の実施形態は、ダクト82の一端82aを移動させるため無端状ベルト101用いる点が大きな相違点であり、その他の構成は第1の実施形態と同様に適用できるので説明を省略し、相違点のみについて説明する。
【0101】
図14に示すように、複合機1の外装カバー1bに開口部83が設けられ、その開口部83を覆うようにカバー84が設けられる点は第1実施形態と同様である。しかし、移動機構が、ラック86とギア85ではなく、無端状ベルト101を用いて、ダクト82の一端82aを移動させる点で異なる。
【0102】
図14に示すように、開口部83の左右両縁よりも更に外側かつ、複合機1の外装カバー1bに回転軸102、103が回転可能に支持される。又、回転軸102、103は、開口部83の上縁よりも上方又は下縁よりも下方に設けられる。この2本の回転軸102、103に例えば、樹脂製の無端状ベルト101が張架される。更に回転軸102、103のいずれか一方は、モータMの回転軸Maと接続される。又、無端状ベルト101の外側の面には、ダクト82の一端82aが、種々の方法により取り付けられる。
【0103】
従って、モータMを回転させると、無端状ベルト101が周回し、ダクト82の一端82aもこれに併せて移動し、開口部83に面するダクト82の排気口又は吸気口が移動することになる。ここで、図14では、通常モードにおける最も冷却効率が高い状態におけるダクト82の形状を実線で示し、静音モードでダクト82の一端82aを最大限移動させた状態におけるダクト82の形状を破線で示している。尚、モータMの回転数を制御することで、開口部83に面するダクト82の位置を段階的に移動させることもできる。
【0104】
このようにして、本実施形態の移動機構でも、複雑なものとならず、本発明を容易に実現することができ、構成する部材も比較的安価であり、画像形成装置に要するコストを低く抑えることができる。
【0105】
次に、図15に基づき、本発明の第4の実施形態に係る複合機1について説明する。図15(a)は、本発明の第4実施形態に係る複合機1を背面から見た模式図であり、(b)は、カバー84部分の拡大図である。
【0106】
複合機1の背面には、例えば、制御基板91を冷却するための開口部83、ファン81、ダクト82が設けられる。そして、本発明は、開口部83に面するダクト82の一端82aを移動させる点に特徴がある。しかし、常に、水平方向、若しくは、垂直方向にダクト82の一端82aを移動させることができるわけではなく、設計上の理由から、斜め方向にしか開口部83及び移動方向を確保ではない場合がある。
【0107】
そこで、本実施形態では、図15(a)に示すように、例えばルーバ状の通風口84aが複数設けられ、斜めに傾斜した形状のカバー84が、本体背面に取り付けられる。図15(b)に破線で示すように、このカバー84の奥側に、開口部83が設けられる。そして、この開口部83に面して排気口又は吸気口となるダクト82の一端82aが配される(1点鎖線若しくは2点鎖線で図示)。尚、ダクト82の他端82bは、ファン81に接続される。
【0108】
そして、上記実施形態で上げたような移動機構により、ダクト82の一端82aが、1点鎖線又は2点鎖線の位置となるように移動可能とされる。即ち、移動機構は、ダクト82の一端82aを斜め方向に移動させる。
【0109】
このようにして、ダクト82の一端82aの移動方向が斜め方向にも移動可能であれば、機器の設計の自由度を高めることができる。言い換えると、機器の設計上、ダクト82の一端82aの移動方向を斜め方向でしか確保できない場合にも、対応することができる。
【0110】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、複合機1について示したが、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置、パーソナルコンピュータ等に配されるファン81、開口部83、ダクト82を備える冷却装置8に本発明は適用できる。
【0111】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置等及び冷却装置8に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施形態に係る複合機1の概略構造を示す模型的正面断面図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係る操作パネルの一例をしめす正面図であり、(b)は、その液晶表示部の表示の一例を示す正面図である。
【図3】第1の実施形態に係る複合機に備えられる冷却装置8の配置の一例を示す模式図であり、(a)は複合機を正面からみた模式図、(b)は背面から見た模式図である。
【図4】第1の実施形態に係るダクトの移動についての説明図であり、(a)は冷却効率が最も高い状態を示し、(b)は、騒音を低減させる場合の状態を示す。
【図5】第1の実施形態に係るダクトの一例を示す部分拡大図である。
【図6】第1の実施形態に係る複合機の開口部を正面からみた図である。
【図7】第1の実施形態に係るダクトの移動機構を右側面からみた模式図である。
【図8】第1の実施形態に係る移動機構のラック端部の拡大斜視図である。
【図9】第1の実施形態に係る移動機構によるダクトの形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は通常モード、(b)は静音モードにおいて最大限移動させた状態を示す。
【図10】第1の実施形態に係る複合機のブロック図である。
【図11】第1の実施形態に係るダクトの一端の位置を段階的とすることを説明するための模式図である。
【図12】第2の実施形態に係るダクトの移動機構の右側面からの模式図である。
【図13】第2の実施形態に係る移動機構によるダクトの形状変更を説明するため、上方から見た模式図であり、(a)は、通常モードでの状態、(b)は、静音モードでのラックを最大限移動させた状態を示す。
【図14】第3の実施形態に係る移動機構によるダクトの形状変更を説明するため、上方から見た模式図である。
【図15】(a)は、本発明の第4の実施形態に係る複合機を背面から見た模式図であり、(b)は、カバー部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0114】
1 複合機(画像形成装置) 85 ギア(移動機構の一部)
1b 外装カバー(外面) 86 ラック(移動機構の一部)
2 操作パネル(操作入力部) 87 ガイドレール(移動機構の一部)
8 冷却装置(8A、8B、8C) 9 制御部(位置制御部)
81 ファン(冷却装置の一部) 10 回転制御部(位置制御部)
82 ダクト(冷却装置の一部) M モータ(移動機構の一部)
83 開口部(冷却装置の一部) Ma 回転軸(モータM)
84 カバー S 温度センサ(温度検知体)
84a 通風口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の外面に設けられる開口部と、
装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、
一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、
前記開口部から漏れ出す騒音を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ダクトは、蛇腹形状であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記ダクトの一端を斜め方向に移動させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記ダクトの一端と連結されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータと、前記ラックの移動をガイドするガイドレールを有して構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ダクトの一端は、通風口を有し前記開口部を覆うカバーに取り付けられ、
前記移動機構は、前記カバーの移動をガイドするガイドレールと、前記カバーに固着されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータを有して構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ダクトの一端の位置を指示・入力するための操作入力部と、
前記操作入力部の指示・入力に基づき、前記移動機構の動作を制御して前記ダクトの一端の位置を移動させる位置制御部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ファンと前記開口部を最短距離でつなぎ、前記ファンと前記開口部の間における前記ファンの吸気方向又は排気方向が一直線状となるように前記ダクトの一端を配置する通常モードと、前記通常モードにおける前記ダクトの一端の位置を前記移動機構により移動させて実現する静音モードを有し、
前記操作入力部は、前記通常モードと前記静音モードの選択を受け付けることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作入力部は、前記ダクトの一端の移動を段階的に行う旨の指示・入力を受け付けることを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項9】
装置内部の温度を検知するための温度検知体を備え、
前記温度検知体が、装置内部の温度が所定温度を超えたことを検知した場合、前記位置制御部は、前記ダクトの一端の位置を通常モードの位置に移動させることを特徴とする請求項7又は8記載の画像形成装置。
【請求項10】
装置が取り付けられる機器の外面に設けられる開口部と、
装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、
一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、
前記開口部から漏れ出す騒音状態を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することを特徴とする冷却装置。
【請求項1】
装置の外面に設けられる開口部と、
装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、
一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、
前記開口部から漏れ出す騒音を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ダクトは、蛇腹形状であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記ダクトの一端を斜め方向に移動させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記ダクトの一端と連結されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータと、前記ラックの移動をガイドするガイドレールを有して構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ダクトの一端は、通風口を有し前記開口部を覆うカバーに取り付けられ、
前記移動機構は、前記カバーの移動をガイドするガイドレールと、前記カバーに固着されるラックと、前記ラックに接続されるギアと、前記ギアが回転軸に取り付けられるモータを有して構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ダクトの一端の位置を指示・入力するための操作入力部と、
前記操作入力部の指示・入力に基づき、前記移動機構の動作を制御して前記ダクトの一端の位置を移動させる位置制御部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ファンと前記開口部を最短距離でつなぎ、前記ファンと前記開口部の間における前記ファンの吸気方向又は排気方向が一直線状となるように前記ダクトの一端を配置する通常モードと、前記通常モードにおける前記ダクトの一端の位置を前記移動機構により移動させて実現する静音モードを有し、
前記操作入力部は、前記通常モードと前記静音モードの選択を受け付けることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作入力部は、前記ダクトの一端の移動を段階的に行う旨の指示・入力を受け付けることを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項9】
装置内部の温度を検知するための温度検知体を備え、
前記温度検知体が、装置内部の温度が所定温度を超えたことを検知した場合、前記位置制御部は、前記ダクトの一端の位置を通常モードの位置に移動させることを特徴とする請求項7又は8記載の画像形成装置。
【請求項10】
装置が取り付けられる機器の外面に設けられる開口部と、
装置内部への吸気、又は、装置外部への排気を行うためのファンと、
一端が前記開口部に面して配され、他端が前記ファンに接続され、その長さ及び形状が可変であるダクトと、
前記開口部から漏れ出す騒音状態を変化させるため、前記開口部における前記ダクトの一端の位置を移動させる移動機構を有することを特徴とする冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−86100(P2009−86100A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253320(P2007−253320)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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