説明

画像形成装置及び制御システム並びに画面表示方法

【課題】画像形成装置本来の性能を損なうことなく、操作画面を表示させることができる画像形成装置及び制御システム並びに画面表示方法の提供。
【解決手段】制御部と操作表示部とがシステムバスで接続され、制御部がCPUと画面データを記憶するメモリとを含み、操作表示部がLCD等の表示装置とLCDを制御するLCDコントローラ等の表示制御部と画面データを一時的に記憶するVRAM等の画面データ記憶部とを含む画像形成装置において、CPUは、画像形成装置の電源投入後、該画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になる前に、メモリに予め記憶した画面データをパーツに分割したパーツデータとしてVRAMに送信し、LCDコントローラではVRAMに記憶されたパーツデータからレイヤ毎のレイヤデータを作成し、レイヤデータを合成して操作画面を表示装置に表示させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種操作画面を表示する表示部を備える画像形成装置及び該画像形成装置を含む制御システム並びに操作画面の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能やファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能などを備える複写機や複合機(以下、これらを総称して画像形成装置と呼ぶ。)が普及している。この画像形成装置は、通信ネットワークに接続するためのネットワーク接続部、ネットワーク接続部を介して入力されたデータから印刷可能な画像データを作成する画像処理部、作成した画像データやスキャナで読み取った画像データを画像メモリに記憶したり、画像メモリから画像データを読み出してプリンタに出力させるなどの制御を行う画像メモリ制御部、スキャナやプリンタなどの各種機能の設定操作を行うための操作画面を表示する操作表示部、装置全体を制御する制御部などで構成され、これらはシステムバスを介して接続されている。
【0003】
上記各種機能を備えた画像形成装置では、ユーザが設定する項目が多いことから、各種設定操作や設定状態の確認を容易にするために操作表示部に様々な画面が表示されるようになっており、操作画面の表示制御に関して、様々な提案がなされている(例えば、下記特許文献1など)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−202840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、画像形成装置の操作表示部は、画像形成装置の機能性能の充実に伴う設定項目の増加、LCDなどの部品の低価格化などにより、大画面化される傾向にあり、また、画像形成装置の操作性を向上させるために、操作表示部にイメージやアニメーションなども表示されることから、操作表示部の制御が複雑になってきている。そのため、画像形成装置の動作を制御するCPUの画面制御に掛かる負担が増大している。
【0006】
そこで、画像形成装置本体のCPUとは別に、操作表示部を制御するための制御部(例えば、LCDコントローラ)を設けて処理を分散する方法が用いられているが、操作表示部の大画面化や表示内容の複雑化に伴って操作画面を表示させるための画面データのサイズも大きくなっていることから、システムバスにおいては、印刷のための画像データと操作画面形成のための画面データの競合による、データ転送パフォーマンスの低下などが生じ、画像形成装置の動作や画面表示切替え速度に影響を与えている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、画像形成装置本来の性能を損なうことなく、操作画面を表示させることができる画像形成装置及び制御システム並びに画面表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、表示部が制御部のシステムバス上に接続され、前記制御部は、演算処理部と、操作画面の画面データを記憶する記憶部と、を含み、前記表示部は、表示装置と、前記画面データを一時的に記憶する画面データ記憶部と、前記画面データに基づいて前記表示装置に前記操作画面を表示させる表示制御部と、を含む画像形成装置において、前記演算処理部は、前記画像形成装置の電源が投入された後、前記画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になる前に、前記システムバスを介して、前記記憶部に予め記憶された該機能に関する操作画面の画面データを前記画面データ記憶部に転送し、前記機能が動作可能な状態になった後は、前記表示制御部を制御して、前記画面データ記憶部に記憶された画面データに基づいて、前記表示装置に前記操作画面を表示させるものである。
【0009】
本発明においては、前記画面データは、前記操作画面を分割したパーツ毎のデータであり、前記表示制御部は、前記パーツ毎のデータに基づいてレイヤ毎のデータを作成し、前記レイヤ毎のデータを合成して、前記表示装置に前記操作画面を表示させる構成とすることができる。
【0010】
また、本発明の制御システムは、上記記載の画像形成装置とコンピュータ端末とが通信ネットワークで接続されてなる制御システムにおいて、前記画像形成装置の前記演算処理部は、前記コンピュータ端末から前記操作画面の画面データの送信が要求された場合に、前記画面データ記憶部に記憶された前記レイヤ毎のデータを前記コンピュータ端末に転送するものである。
【0011】
また、本発明は、表示部が制御部のシステムバス上に接続されてなる画像形成装置を用いた画面表示方法であって、前記画像形成装置の電源を投入する第1のステップと、前記画像形成装置の電源投入後、前記画像形成装置に予め設けられた機能が動作可能な状態になる前に、前記システムバスを介して、前記制御部の記憶部に予め記憶された該機能に関する操作画面の画面データを前記表示部の画面データ記憶部に転送する第2のステップと、前記機能が動作可能な状態になった後に、前記画面データ記憶部に記憶された前記画面データに基づいて、前記表示部の表示装置に前記操作画面を表示する第3のステップと、を少なくとも有するものである。
【0012】
本発明においては、前記画面データを、前記操作画面を分割したパーツ毎のデータとして構成し、前記第2のステップでは、前記パーツ毎のデータを、前記記憶部から前記画面データ記憶部に転送し、前記第3のステップでは、前記パーツ毎のデータに基づいてレイヤ毎のデータを作成し、前記レイヤ毎のデータを合成して、前記表示装置に前記操作画面を表示する構成とすることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記制御部は、通信ネットワークを介して前記画像形成装置に接続されているコンピュータ端末から前記操作画面の画面データの送信が要求された場合に、前記画面データ記憶部に記憶された前記レイヤ毎のデータを前記コンピュータ端末に転送する構成とすることができる。
【0014】
このように、本発明では、演算処理部は、画像形成装置の電源投入後、画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になる前に、記憶部に記憶した画面データを、パーツ毎のデータとして操作表示部の画面データ記憶部に転送し、画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になった後は、表示制御部を制御して、画面データ記憶部に記憶されたパーツ毎のデータからレイヤ毎のデータを作成し、レイヤ毎のデータを合成して表示装置に操作画面を表示させる制御を行うため、データの競合によるデータ転送パフォーマンスの低下を抑制することができ、画像形成装置本来の性能を損なうことなく、操作画面を表示させることができる。
【0015】
また、画像形成装置とコンピュータ端末とが通信ネットワークで接続される制御システムにおいて、コンピュータ端末から操作画面の画面データの送信が要求された場合に、演算処理部は、画面データ記憶部に記憶されたレイヤ毎のデータをコンピュータ端末に送信する制御を行うため、演算処理部で画面合成などのハンドリングを行う必要が無くなり、画像形成装置本来の性能を損なうことなく、コンピュータ端末に操作画面を表示することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置及び制御システム並びに画面表示方法によれば、画像形成装置本来の性能を損なうことなく、操作画面を表示させることができる。
【0017】
その理由は、操作表示部が制御部のシステムバス上に接続され、制御部がCPUと画面データを記憶するメモリとを含み、操作表示部がLCD等の表示装置とLCDを制御するLCDコントローラ等の表示制御部と画面データを一時的に記憶するVRAM等の画面データ記憶部とを含む画像形成装置において、CPUは、画像形成装置の電源投入後、画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になる前に、メモリに予め記憶された画面データをパーツに分割したパーツデータとしてVRAMに送信し、画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になった後は、LCDコントローラを制御して、VRAMに記憶されたパーツデータからレイヤレイヤデータを作成させ、レイヤデータを合成して表示装置に操作画面を表示させる制御を行うため、データの競合によるデータ転送パフォーマンスの低下を抑制することができるからである。
【0018】
また、画像形成装置とコンピュータ端末とが通信ネットワークで接続される制御システムにおいて、コンピュータ端末から操作画面の画面データの送信が要求された場合に、CPUは、画面データ記憶部に記憶されたレイヤデータを順次読み出してコンピュータ端末に送信する制御を行うため、CPUで画面合成などのハンドリングを行う必要がないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
従来技術で示したように、デジタル複写機などの画像形成装置における操作画面は大画面化する一方であり、また、操作表示部にはグラフィカルな表示がされることから、CPUの画面制御に掛かる負担を軽減するために、画像形成装置本体のCPUとは別に、操作表示部を制御するための表示制御部(例えば、LCDコントローラ)を設けて処理を分散する方法が用いられているが、CPUとLCDコントローラとを繋ぐシステムバスにおいては、操作画面を形成するための画面データのサイズの増大に伴って、画像データと画面データの競合による、データ転送パフォーマンスの低下などが生じ、画像形成装置の動作や画面表示切替え速度に影響を与えている。
【0020】
上記問題に対して、図13に示すように、操作表示部の画面データ記憶部(VRAM)の容量を大きくして、現在表示している画面用バンクと空きバンクの複数の領域で構成し、図14に示すように、バンクの切り替えを行うことにより、画面表示切替え速度を改善する方法も用いられている。
【0021】
しかしながら、この方法でも、画像形成装置に設けられた機能を動作させている時に画面表示の切替えを行うと、印刷のための画像データと画面表示のための画面データの競合が生じ、データ転送パフォーマンスが低下してしまう。また、画面データは画面毎に作成されているため、サイズの大きい画面データを転送すると、やはりデータ転送パフォーマンスが低下してしまう。また、画像形成装置を制御するコンピュータ端末で、画像形成装置の画面を表示する場合には、CPUで画面データを生成するとCPUの画面制御に掛かる負担が増大してしまう。
【0022】
そこで、本発明では、まず第1に、画像形成装置の画面制御において、画像形成装置の状態にかかわらず画面データを転送するのではなく、システム初期化時以外は、システムバスに画面データを流さないようにする。すなわち、CPUのワークメモリやROM(もしくはフラッシュメモリ)上に格納した画面データを、画像形成装置の電源投入後、画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になる前にVRAMに転送する。
【0023】
また、第2に、VRAMに画面毎のデータを転送するのではなく、各々の画面をパーツに分割したパーツデータを転送し、データ転送パフォーマンスの低下を抑制する。具体的には、CPUからVRAMにパーツデータを転送して記憶し、LCDコントローラは、パーツデータからレイヤデータを生成し、レイヤデータを合成してLCDなどの表示装置に操作画面を表示させる。すなわち、画面の制御は、LCDコントローラのレジスタ制御で行う。
【0024】
また、第3に、ネットワーク経由でコンピュータ端末から操作画面の画面データの送信が要求された場合に、CPU上での画面データの加工は行わず、VRAM上のレイヤデータをコンピュータ端末に転送する。
【0025】
これらにより、画像形成装置本来の性能を低下させることなく、LCD表示(画面切り替え)を迅速に行うことが可能となる。
【実施例1】
【0026】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像形成装置及び画面表示方法について、図1乃至図10を参照して説明する。図1は、本実施例の画像形成装置の構成を示すブロック図であり、図2は、画像形成装置の他の構成を示すブロック図である。また、図3は、VRAMのエリア構成の例を示す図であり、図4は、本実施例の画面表示方法を示す概念図である。また、図5は、本実施例の画像形成装置の動作及び画面データの転送手順を示すフローチャート図であり、図6は、画面表示の例を示す図である。また、図7及び図10は、表示部に表示される画面の構成例を示す図であり、図8は、テンプレートの例を示す図、図9は、パーツの例を示す図である。
【0027】
図1に示すように、本実施例の画像形成装置10は、制御部11と、ネットワーク接続部12と、記憶部13と、画像処理部14と、画像メモリ制御部15と、画像メモリ16と、スキャナ部17と、プリンタ部18と、操作表示部19などで構成され、これらはシステムバスを介して接続されている。
【0028】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11aとRAM(Random Access Memory)11bとROM(Read Only Memory)11cなどで構成される。ROM11cは、画像形成装置30全体の動作を制御するためのプログラムや操作表示部19に表示する操作画面の元となるデータ(以下、画面データと呼ぶ。)等を記憶する。RAM11bは、CPU11aによる制御に必要なデータ及び制御動作時に一時記憶が必要なデータ等を記憶する。そして、CPU11aはROM11c、RAM11bと協働して画像形成装置全体の動作を制御する制御部11として機能する。
【0029】
ネットワーク接続部12は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどの通信ネットワークに接続するためのインターフェースであり、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークを介してコンピュータ端末等から印刷データなどを受信する。
【0030】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、コンピュータ端末から取得した印刷データなどを保存する。
【0031】
画像処理部14は、印刷データから中間データを作成し、中間データからビットマップ形式の画像データを作成する処理や、画像データの圧縮・伸張や、拡大・縮小・回転などの処理を行う。
【0032】
スキャナ部17は、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサなどの撮像手段を用いて原稿を読み取り、光電変換されたアナログ信号に対し、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行なって画像データを取得する。
【0033】
プリンタ部18は、画像データに基づいて感光体ドラムに半導体レーザの光を照射して潜像を形成し、帯電、露光、現像の処理を行って、感光体ドラム上にトナー像を形成し、紙媒体に転写する。
【0034】
画像メモリ制御部15は、画像処理部14やスキャナ部17から画像データを取得して画像メモリ16に記憶し、画像メモリ16から読み出した画像データをプリンタ部18に送信する。
【0035】
表示操作部19は、表面にタッチパネルを備えた表示装置(ここでは、LCD(Liquid Crystal Display)19aとする)と、LCD19aに表示する操作画面の画面データを一時的に記憶する画面データ記憶部(ここではVRAM19bとする。)と、これらの動作を制御する表示制御部(ここではLCDコントローラ19bとする。)と、異なる方式のバス同士を接続するための変換回路(例えば、ブリッジIC19d)などで構成される。
【0036】
ここで、本実施例では、画像形成装置10の制御部11は、システム初期化時以外は、システムバスに画面データを流さないようにデータ転送を制御する。すなわち、CPU11aのワークメモリ11bやROM11c上に格納した画面データを、画像形成装置10の電源投入後、画像形成装置10に設けられた機能(例えば、スキャナ部17やプリンタ部18)が動作可能な状態になる前に、VRAM19cに転送する制御を行う。
【0037】
また、図3に示すように、VRAM19cを、操作画面を分割した個々のパーツのデータ(以下、パーツデータと呼ぶ。)を格納するパーツデータエリア、パーツデータを用いてレイヤ毎のデータ(以下、レイヤデータと呼ぶ。)を作成し格納するためのレイヤデータエリアと、複数のレイヤデータを合成して画面データを作成するための表示合成エリアと、暫定画面の画面データなどを格納するBANKエリアなどで構成すると共に、制御部11のROM11cにパーツデータを記憶し、CPU11aは、ROM11cからパーツデータを読み出してVRAM19cに転送し、LCDコントローラ19bは、VRAM19cからパーツデータを読み出し、パーツデータを用いて図4に示すようなレイヤデータを作成し、レイヤデータを合成してLCD19aに操作画面を表示させる。
【0038】
これにより、画像データと画面データの競合をなくし、データ転送パフォーマンスの低下を抑制して、画像形成装置10本来の性能を損なうことなく、操作画面を表示させることができる。
【0039】
なお、図1は、本実施例の画像形成装置10の例示であり、少なくとも制御部11と操作表示部19とを備えていればよく、他の要素は適宜変更可能である。また、図1では、操作表示部19を、LCD19aとLCDコントローラ19bとVRAM19cとブリッジIC19dとで構成し、VRAM19cの容量を大きくする場合を示したが、例えば、図2に示すように、LCDコントローラ19bとLCD19aとの間に2次バッファ制御回路19eと2次バッファ19fとを設ける構成とすることもできる。
【0040】
以下、本実施例の画像形成装置10の動作について、図5のフローチャート図を参照して説明する。図5の左側は画像形成装置10全体の動作手順を示し、図の右側は画面表示の手順を示している。
【0041】
まず、画像形成装置10の電源をオンにすると、(1)でBIOS(Basic Input/Output System)が起動して、画像形成装置10の制御部11は、該制御部11に接続されている各構成要素を認識する。次に、(2)で、制御部11のCPU11aは、ROM11c又は記憶部13からOS(Operating System)を読み出し、RAM11bに展開して起動させる。次に、(3)で制御部11のCPU11aは、ROM11c又は記憶部13からアプリケーションソフトを読み出し、RAM11bに展開して起動させる。これにより、(4)で画像形成装置がスタンバイ状態になる。
【0042】
ここで、従来の画像形成装置では、画像形成装置の状態にかかわらず、画面データの転送を行っていたが、本実施例の画像形成装置10では、電源が投入された後(正確には、CPU11aが操作表示部19を認識した後)、画像形成装置10がスタンバイ状態になる前に画面データの転送を終了させる。
【0043】
具体的には、ステップS101で、制御部11のCPU11aは、LCDコントローラ19bを初期化し、必要に応じて、ステップS102で、ROM11cから暫定画面のための画面データを読み出し、該暫定画面データをVRAM19cのBANKエリアに転送する。そして、ステップS103で、暫定画面データの転送が完了したら、ステップS104で、LCDコントローラ19bはVRAM19cのBANKエリアから暫定画面データを読み出し、LCD19aに暫定画面を表示させる。
【0044】
この暫定画面は、初期画面を表示する前に表示する画面であり、例えば、図6(a)や図6(b)のような構成とすることができるが、暫定画面の構成は任意であり、暫定画面の表示を省略することもできる。
【0045】
次に、パーツデータをVRAM19cに転送するが、通常画面を作成するためにはスキャナ部17やプリンタ部18を制御するアプリケーションソフトが起動するまで待たなければならないため、本実施例では、アプリケーションソフトを起動しなくても表示可能な項目で構成されるウォームアップ画面となるパーツデータも合わせて転送する。
【0046】
具体的には、ステップS105で、制御部11のCPU11aは、ROM11cからウォームアップ画面及び通常画面となるパーツデータを読み出し、該パーツデータをVRAM19cのパーツデータエリアに転送する。そして、ステップS106で、ウォームアップ画面用のパーツデータの転送が完了したら、ステップS107で、LCDコントローラ19bは、VRAM19cのパーツデータエリアからパーツデータを読み出し、パーツデータに基づいてレイヤデータを作成し、表示合成エリアでレイヤデータを合成してLCD19aにウォームアップ画面を表示させる。
【0047】
このウォームアップ画面は、例えば、図6(c)のように構成され、画像形成装置10がウォームアップ中であることを示すアニメーションなどが表示される。なお、ウォームアップ画面の構成は任意であり、ウォームアップ画面の表示を省略することもできる。
【0048】
次に、ステップS108で、全てのパーツデータの転送が完了し、ステップS109で、画像形成装置10のウォームアップが完了したら、ステップS110で、LCDコントローラ19bはVRAM19cのパーツデータエリアからパーツデータを読み出し、パーツデータに基づいてレイヤデータを作成し、表示合成エリアでレイヤデータを合成してLCD19aに通常画面を表示させる。
【0049】
この通常画面は、例えば、図6(d)のように構成され、画像形成装置10に設けられた機能を設定するための項目などが表示される。具体的には、図8に示すようなテンプレートの各エリアに、図9に示すようなレイヤ1〜5を合成した画面であり、テンプレートのタブエリアにレイヤ1、メインメッセージエリアにレイヤ2、カウンタエリアにレイヤ3、メインエリアにレイヤ4、ファンクションキーエリアにレイヤ5を合成することによって、図7に示すような通常画面が作成される。なお、通常画面には画像形成装置10の各種機能(スキャナ部17やプリンタ部など)に対して設定可能な項目が表示されていればよく、その構成は任意である。また、画面をレイヤで構成することにより、通常画面上に図10に示すようにポップアップ画面を表示する場合には、ポップアップ画面のレイヤを合成するだけでよい。
【0050】
このように、本実施例の画像形成装置10では、VRAM19cを、少なくとも表示合成エリアとレイヤデータエリアとパーツデータエリアで構成し、制御部11のROM11cにはLCD19aに表示する画面データをパーツデータとして記憶し、CPU11aは、画像形成装置10の電源投入後、各機能が動作可能な状態になる前に、パーツデータをVRAM19cに転送し、画像形成装置10の各機能が動作可能な状態になった後は、LCDコントローラ19bを制御して、パーツデータに基づいてレイヤデータを作成し、レイヤデータを合成してLCD19aに操作画面を表示させる制御を行うため、データの競合によるデータ転送パフォーマンスの低下を抑制することができ、画像形成装置10本来の性能を損なうことなく、LCD19aに所望の画面を表示することができる。
【実施例2】
【0051】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像形成装置及び制御システム並びに画面表示方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本実施例の制御システムの構成を模式的に示す図であり、図11は、本実施例の画面データの転送手順を示すフローチャート図である。
【0052】
前記した第1の実施例では、画像形成装置10の操作表示部19に操作画面を表示する場合を示したが、図11に示すように、画像形成装置10を操作する1又は複数のパーソナルコンピュータなどのコンピュータ端末21と、1又は複数の画像形成装置10とがLANやWANなどの通信ネットワークを介して接続されている制御システム20において、コンピュータ端末21の表示部に操作画面を表示することもできる。
【0053】
この場合に、画像形成装置10のCPU11aで画面データを生成するとCPU11aの画面制御に掛かる負担が増大してしまう。そこで、本発明では、コンピュータ端末21を使ってネットワーク経由での画面表示を行う場合は、CPU11a上での画面データの加工は行わず、VRAM19c上の画面データをコンピュータ端末21に転送する制御を行う。
【0054】
以下、本実施例の制御システム20の動作(特に、画面データの転送)について、図12のフローチャート図を参照して説明する。
【0055】
画像形成装置10のアイドル状態で、ステップS201で、画像形成装置10の制御部11がコンピュータ端末21からの画面データ送信要求を受信すると、ステップS202で、CPU11aは、LCDコントローラ19bに対して、VRAM19c上のテンポラリ領域(例えば、表示合成エリア)を確保し、全てのレイヤデータをテンポラリ領域にコピーする処理を実行させる。
【0056】
詳細に説明すると、ステップS202aで、LCDコントローラ19bに対して、VRAM19c上のレイヤ0領域にあるレイヤデータをテンポラリ領域にコピーさせ、ステップS202bで、レイヤ0のデータコピーが完了したら、同様に、ステップS202c〜202fで、レイヤ1〜nのレイヤデータを順にテンポラリ領域にコピーさせる。その後、LCDコントローラ19bは、テンポラリ領域にコピーしたレイヤデータを合成して画面データを作成する。
【0057】
次に、ステップS203で、CPU11aは、VRAM19cのカレント領域に対してデータリードを行い、ステップS204で、読み出した画面データをワークメモリ(RAM11b)に保存する。
【0058】
次に、ステップS205で、CPU11aは、保存したレイヤデータがネットワーク転送のためのパケット単位に達したかを判断し、パケット単位に達した場合は、ステップS206で、ネットワーク接続部12を用いて、コンピュータ端末21に画面データを送信する。
【0059】
そして、ステップS207で、CPU11aは、1画面分のデータを送信したかを判断し、1画面分のデータを送信していなければステップS203に戻ってデータリードを行い、1画面分のデータを送信し終わったら、アイドル状態に戻る。
【0060】
このように、コンピュータ端末21を使ってネットワーク経由での画面表示を行う場合は、CPU11a上での画面データの加工は行わず、VRAM19c上で合成した画面データをコンピュータ端末21に転送する制御を行うため、CPU11aの画面制御に掛かる負担を抑制することができる。
【0061】
なお、上記実施例では、画像形成装置10及び該画像形成装置10にネットワーク接続されるコンピュータ端末21における画面表示について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、制御部と表示部とを備え、制御部のメモリに記憶した画面データを表示部に表示させる任意の機器に対して同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、操作表示部を有する画像形成装置及び該画像形成装置を含む制御システム並びに操作画面の表示方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の他の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置のVRAMのエリア構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る画面表示方法を示す概念図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置における画面表示の例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の表示部に表示される画面(通常画面)の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置における通常画面のテンプレートを示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置における通常画面のパーツを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の表示部に表示される画面(通常画面にポップアップ画面を重ね合わせた画面)の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係る制御システムの構成を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係る画面データの転送手順を示すフローチャート図である。
【図13】従来の画像形成装置のVRAMのエリア構成を示す図である。
【図14】従来の画像形成装置の表示切り替え動作を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0064】
10 画像形成装置
11 制御部
11a CPU
11b RAM(ワークメモリ)
11c ROM
12 ネットワーク接続部
13 記憶部
14 画像処理部
15 画像メモリ制御部
16 画像メモリ
17 スキャナ部
18 プリンタ部
19 操作表示部
19a LCD
19b LCDコントローラ
19c VRAM
19d ブリッジIC
19e 2次バッファ制御回路
19f 2次バッファ
20 制御システム
21 コンピュータ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が制御部のシステムバス上に接続され、
前記制御部は、演算処理部と、操作画面の画面データを記憶する記憶部と、を含み、
前記表示部は、表示装置と、前記画面データを一時的に記憶する画面データ記憶部と、前記画面データに基づいて前記表示装置に前記操作画面を表示させる表示制御部と、を含む画像形成装置において、
前記演算処理部は、
前記画像形成装置の電源が投入された後、前記画像形成装置に設けられた機能が動作可能な状態になる前に、前記システムバスを介して、前記記憶部に予め記憶された該機能に関する操作画面の画面データを前記画面データ記憶部に転送し、
前記機能が動作可能な状態になった後は、前記表示制御部を制御して、前記画面データ記憶部に記憶された画面データに基づいて、前記表示装置に前記操作画面を表示させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画面データは、前記操作画面を分割したパーツ毎のデータであり、
前記表示制御部は、前記パーツ毎のデータに基づいてレイヤ毎のデータを作成し、前記レイヤ毎のデータを合成して、前記表示装置に前記操作画面を表示させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置とコンピュータ端末とが通信ネットワークで接続されてなる制御システムにおいて、
前記画像形成装置の前記演算処理部は、前記コンピュータ端末から前記操作画面の画面データの送信が要求された場合に、前記画面データ記憶部に記憶された前記レイヤ毎のデータを前記コンピュータ端末に転送することを特徴とする制御システム。
【請求項4】
表示部が制御部のシステムバス上に接続されてなる画像形成装置を用いた画面表示方法であって、
前記画像形成装置の電源を投入する第1のステップと、
前記画像形成装置の電源投入後、前記画像形成装置に予め設けられた機能が動作可能な状態になる前に、前記システムバスを介して、前記制御部の記憶部に予め記憶された該機能に関する操作画面の画面データを前記表示部の画面データ記憶部に転送する第2のステップと、
前記機能が動作可能な状態になった後は、前記画面データ記憶部に記憶された前記画面データに基づいて、前記表示部の表示装置に前記操作画面を表示する第3のステップと、を少なくとも有することを特徴とする画面表示方法。
【請求項5】
前記画面データを、前記操作画面を分割したパーツ毎のデータとして構成し、
前記第2のステップでは、前記パーツ毎のデータを、前記記憶部から前記画面データ記憶部に転送し、
前記第3のステップでは、前記パーツ毎のデータに基づいてレイヤ毎のデータを作成し、前記レイヤ毎のデータを合成して、前記表示装置に前記操作画面を表示することを特徴とする請求項4記載の表示制御方法。
【請求項6】
前記制御部は、通信ネットワークを介して前記画像形成装置に接続されているコンピュータ端末から前記操作画面の画面データの送信が要求された場合に、前記画面データ記憶部に記憶された前記レイヤ毎のデータを前記コンピュータ端末に転送することを特徴とする請求項5記載の画面表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−283437(P2008−283437A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125531(P2007−125531)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】