説明

画像形成装置及び方法

【課題】吐出面を曲面形状に形成することなく液滴の着弾位置のずれを抑制する画像形成装置を提供する。
【解決手段】基準位置に配置されたヘッドを、ノズル座標Y−5のノズルから吐出されたインク滴の着弾位置のずれ量とノズル座標Yのノズルから吐出されたインク滴の着弾位置のずれ量とが揃う所定位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び方法に係り、特に湾曲面上に搬送された記録媒体に液滴を吐出する画像形成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラムで搬送された記録媒体に液滴を吐出する画像形成装置では、ドラム面が曲面となっているため、液滴吐出ヘッドから吐出された液滴の着弾位置に誤差が生じ、その結果、画質として現れる直線画像の直線性(ラジッドネス)が損なわれることがある。
【0003】
そこで、特許文献1には、2次元マトリックス状に配列された液体吐出ヘッドにおいて、吐出口プレートを円筒状に形成する技術が開示されている。さらに、吐出圧力を発生させる圧電素子が形成される基板、圧電素子に駆動信号を供給するための駆動配線が形成される基板についても、円筒状に形成する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、液滴を吐出する吐出口が設けられた吐出面を曲面形状に形成することは、ヘッド製造上非常に困難であり、またコスト高につながるという問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、吐出面を曲面形状に形成することなく液滴の着弾位置のずれを抑制することができる画像形成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、記録媒体を湾曲面に密着させて搬送する搬送手段と、前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールであって、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの該搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に配置されたヘッドモジュールと、を含んで構成されている。これにより、吐出面を曲面形状に形成することなく液滴の着弾位置のずれを抑制することができる。
【0008】
一方、上記目的を達成するために、請求項2に記載の画像形成装置は、記録媒体を湾曲面に密着させて搬送する搬送手段と、前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールと、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に前記ヘッドモジュールを移動させる移動手段と、を含んで構成されている。これにより、吐出面を曲面形状に形成することなく液滴の着弾位置のずれを抑制することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の発明において、前記搬送手段によって前記記録媒体が搬送されているときに前記複数の吐出口のうちの予め定められた複数の吐出口から同期して前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量を測定する測定手段と、前記ヘッドモジュールの位置と前記所定位置との間の相対的な位置関係を示す位置情報と、前記予め定められた複数の吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量として予め定められたずれ量との予め定められた対応関係に基づいて、前記測定手段によって測定されたずれ量に対応する前記位置情報を導出する導出手段と、を更に含んで構成されるものとしてもよい。これにより、現状に応じた着弾位置のずれを抑制することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の画像形成装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記最上流吐出口と前記最下流吐出口との略中央点が前記所定平面に略平行な前記湾曲面上の接平面の接点に重なるように該湾曲面上に配置された前記ヘッドモジュールと前記所定位置に配置された前記ヘッドモジュールとの所定ずらし量であって、前記液滴の吐出速度、前記記録媒体の搬送速度、前記湾曲面の曲率半径、及び前記最上流吐出口を含む前記交差方向に配列された複数の吐出口からなる最上流吐出口列と前記最下流吐出口を含む前記交差方向に配列された複数の吐出口からなる最下流吐出口列との距離から導出された所定ずらし量を用いて前記ヘッドモジュールを前記所定位置に配置したものである。これにより、ヘッドモジュールが配置される位置を容易に得ることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の画像形成装置は、請求項4に記載の発明において、前記所定ずれ量Sを下記の(1)式により導出するものである。これにより、所定ずれ量を容易に求めることができる。なお、(1)式において、Rは前記曲率半径を示し、vは前記吐出速度を示し、vは前記搬送速度を示し、Wは前記最上流吐出口列と前記最下流吐出口列との距離を示す。
【0012】
【数1】

【0013】
また、請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記ヘッドモジュールを前記交差方向に複数配列したものである。これにより、ヘッドモジュールを交差方向に複数配列した場合であっても吐出面を曲面形状に形成することなく液滴の着弾位置のずれを抑制することができる。
【0014】
一方、上記目的を達成するために、請求項7に記載の画像形成方法は、搬送手段により、記録媒体を湾曲面に密着させて搬送し、前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールを、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの該搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に配置するものである。
【0015】
従って、請求項7に記載の画像形成方法は、請求項1に記載の画像形成装置と同様に作用するので、請求項1に記載の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0016】
一方、上記目的を達成するために、請求項8に記載の画像形成方法は、搬送手段により、記録媒体を湾曲面に密着させて搬送し、前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールを、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの該搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に移動手段により移動させるものである。
【0017】
従って、請求項8に記載の画像形成方法は、請求項2に記載の画像形成装置と同様に作用するので、請求項2に記載の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0018】
また、請求項9に記載の画像形成方法は、請求項8に記載の発明において、前記測定手段により、前記搬送手段によって前記記録媒体が搬送されているときに前記複数の吐出口のうちの予め定められた複数の吐出口から同期して前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量を測定し、導出手段により、前記ヘッドモジュールの位置と前記所定位置との間の相対的な位置関係を示す位置情報と、前記予め定められた複数の吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量として予め定められたずれ量との予め定められた対応関係に基づいて、前記測定手段によって測定されたずれ量に対応する前記位置情報を導出するものである。
【0019】
従って、請求項9に記載の画像形成方法は、請求項3に記載の画像形成装置と同様に作用するので、請求項3に記載の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0020】
また、請求項10に記載の画像形成方法は、請求項7または請求項8に記載の発明において、前記最上流吐出口と前記最下流吐出口との略中央点が前記所定平面に略平行な前記湾曲面上の接平面の接点に重なるように該湾曲面上に配置された前記ヘッドモジュールと前記所定位置に配置された前記ヘッドモジュールとの所定ずらし量を、前記液滴の吐出速度、前記記録媒体の搬送速度、前記湾曲面の曲率半径、及び前記最上流吐出口を含む前記交差方向に配列された複数の吐出口からなる最上流吐出口列と前記最下流吐出口を含む前記交差方向に配列された複数の吐出口からなる最下流吐出口列との距離から導出し、導出した所定ずらし量を用いて前記ヘッドモジュールを前記所定位置に配置するものである。
【0021】
従って、請求項10に記載の画像形成方法は、請求項4に記載の画像形成装置と同様に作用するので、請求項4に記載の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0022】
また、請求項11に記載の画像形成方法は、請求項10に記載の発明において、前記所定ずれ量Sを上記(1)式により導出するものである。従って、請求項11に記載の画像形成方法は、請求項5に記載の画像形成装置と同様に作用するので、請求項5に記載の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【0023】
また、請求項12に記載の画像形成方法は、請求項7〜請求項11の何れか1項に記載の発明において、前記ヘッドモジュールを前記交差方向に複数配列したものである。従って、請求項12に記載の画像形成方法は、請求項6に記載の画像形成装置と同様に作用するので、請求項6に記載の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、吐出面を曲面形状に形成することなく液滴の着弾位置のずれを抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面側面図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るヘッドの外観を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係るヘッドモジュールの底面側の構成を示す底面図である。
【図5】第1の実施形態に係るヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図6】第1の実施形態に係るヘッドのノズル配列の一例を示す概略図である。
【図7】着弾位置のずれを示す図である。
【図8】ヘッドとドラムとの位置関係を示す図である(その1)。
【図9】ヘッドとドラムとの位置関係を示す図である(その2)。
【図10】用紙がドラムによって所定速度で搬送されているときに各ノズルから用紙に吐出されたインク滴の着弾位置のずれ量とノズル座標との対応関係を示す図である。
【図11】実施形態に係るヘッドに含まれる各ヘッドモジュールに供給される波形信号を示す図である。
【図12】第2の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面側面図である。
【図13】第2の実施形態に係るヘッド及びスライド機構の外観を示す斜視図である。
【図14】第2の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図15】第2の実施形態に係る配置調整処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】実施形態に係る画像形成装置の要部構成の変形例を示す模式図である(その1)。
【図17】実施形態に係る画像形成装置の要部構成の変形例を示す模式図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、インク滴により画像を形成する所謂インクジェットプリンタ(以下、「画像形成装置」という。)に適用した場合について説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
【0028】
まず、本第1の実施形態に係る画像形成装置10の全体構成について説明する。
【0029】
[画像形成装置]
【0030】
図1に示すように、本第1の実施形態に係る画像形成装置10には、記録媒体としての枚葉紙(以下、「用紙」という)の搬送方向上流側に、用紙を給紙搬送する給紙搬送部12が設けられている。この給紙搬送部12の下流側には、用紙の搬送方向に沿って、用紙の被画像形成面(画像形成面)に処理液を塗布する処理液塗布部14、用紙の被画像形成面に画像を形成する画像形成部16、被画像形成面に形成された画像を乾燥させるインク乾燥部18、乾燥した画像を用紙に定着させる画像定着部20、画像が定着した用紙を排出する排出部21が設けられている。
【0031】
以下、各処理部について説明する。
【0032】
(給紙搬送部)
【0033】
給紙搬送部12には、用紙が積載される積載部22が設けられており、積載部22の用紙の搬送方向下流側(以下、「用紙の搬送方向」を省略する場合もある)には、該積載部22に積載された用紙を一枚ずつ給紙する給紙部24が設けられている。この給紙部24によって給紙された用紙は、複数のローラ26対で構成された搬送部28を経て、処理液塗布部14へ搬送される。
【0034】
(処理液塗布部)
【0035】
処理液塗布部14では、処理液塗布ドラム30が回転可能に配設されている。この処理液塗布ドラム30には、用紙の先端部を挟持して用紙を保持する保持部材32が設けられており、該保持部材32を介して、処理液塗布ドラム30の表面に用紙を保持した状態で、処理液塗布ドラム30の回転によって該用紙を下流側へ搬送する。
【0036】
なお、後述する中間搬送ドラム34、画像形成ドラム36、インク乾燥ドラム38、および定着ドラム40についても、処理液塗布ドラム30と同様に保持部材32が設けられている。そして、この保持部材32によって、上流側のドラムから下流側のドラムへの用紙の受け渡しが行われる。
【0037】
処理液塗布ドラム30の上部には、処理液塗布ドラム30の周方向に沿って、処理液塗布装置42および処理液乾燥装置44が配設されており、処理液塗布装置42によって、用紙の被画像形成面に処理液が塗布され、処理液乾燥装置44によって、該処理液が乾燥される。
【0038】
ここで、処理液はインクと反応して色材(顔料)を凝集し、色材(顔料)と溶媒を分離促進する効果を有している。処理液塗布装置42には、処理液が貯留している貯留部46が設けられており、グラビアローラ48の一部が処理液に浸されている。
【0039】
このグラビアローラ48にはゴムローラ50が圧接して配置されており、該ゴムローラ50が用紙の被画像形成面(表面)側に接触して処理液が塗布される。また、グラビアローラ48にはスキージ(図示省略)が接触しており、用紙の被画像形成面に塗布する処理液塗布量を制御する。
【0040】
処理液膜厚はヘッド打滴のインク滴より十分小さいことが理想である。例えば2plの打滴量の場合、ヘッド打滴のインク滴の平均直径は15.6μmであり、処理液膜厚が厚い場合、インクドットは用紙の被画像形成面と接触することなく処理液内で浮遊する。2plの打滴量で着弾ドット径を30μm以上得るには処理液膜厚を3μm以下にすることが好ましい。
【0041】
一方、処理液乾燥装置44には、熱風ノズル54および赤外線ヒータ56(以下、「IRヒータ56」という)が処理液塗布ドラム30の表面に近接して配設されている。この熱風ノズル54およびIRヒータ56により、処理液中の水などの溶媒を蒸発させ、固体もしくは薄膜処理液層を用紙の被画像形成面側に形成する。処理液乾燥工程で処理液を薄層化することで、画像形成部16でインク打滴したドットが用紙表面と接触して必要なドット径が得られると共に、薄層化した処理液と反応し色材凝集して用紙表面に固定する作用が得られやすい。
【0042】
このようにして、処理液塗布部14で被画像形成面に処理液が塗布、乾燥された用紙は、処理液塗布部14と画像形成部16の間に設けられた中間搬送部58へ搬送される。
【0043】
(中間搬送部)
【0044】
中間搬送部58には、中間搬送ドラム34が回転可能に設けられており、中間搬送ドラム34に設けられた保持部材32を介して、中間搬送ドラム34の表面に用紙を保持し、中間搬送ドラム34の回転によって該用紙を下流側へ搬送する。
【0045】
(画像形成部)
【0046】
画像形成部16には、画像形成ドラム36が回転可能に設けられており、画像形成ドラム36に設けられた保持部材32を介して、画像形成ドラム36の表面に用紙を密着させた状態で保持し、画像形成ドラム36の回転によって該用紙を下流側へ搬送する。
【0047】
画像形成ドラム36の上部には、画像形成ドラム36の表面に近接して、各々インク滴を吐出する複数のノズルが2次元状に設けられたシングルパス方式のインクジェットラインヘッド64(以下、「ヘッド64」という。)を有するヘッドユニット66が配設されている。このヘッドユニット66では、少なくとも基本色であるY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)のヘッド64が画像形成ドラム36の上方において画像形成ドラム36の周方向に沿って配列され、処理液塗布部14で用紙の被画像形成面に形成された処理液層上に各色の画像を形成する。
【0048】
処理液はインク中に分散する色材(顔料)とラテックス粒子を処理液に凝集する効果を持たせ、用紙上で色材流れなど発生しない凝集体を形成する。インクと処理液の反応の一例として、処理液内に酸を含有しPHダウンにより顔料分散を破壊し、凝集するメカニズムを用い色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避する。
【0049】
ヘッド64は、画像形成ドラム36に配置された回転速度を検出するエンコーダ(図示省略)に同期して打滴を行うことで、高精度に着弾位置を決定すると共に、画像形成ドラム36の振れ、回転軸68の精度、ドラム表面速度に依存せず、打滴斑を低減することが可能となる。
【0050】
なお、ヘッドユニット66は画像形成ドラム36の上部から退避可能とされており、ヘッド64のノズル面清掃や増粘インク排出などのメンテナンス動作は、該ヘッドユニット66を画像形成ドラム36の上部から退避させることで実施される。
【0051】
被画像形成面に画像が形成された用紙は、画像形成ドラム36の回転によって、画像形成部16とインク乾燥部18の間に設けられた中間搬送部70へ搬送されるが、中間搬送部70については、中間搬送部58と構成が略同一であるため説明を省略する。
【0052】
(インク乾燥部)
【0053】
インク乾燥部18には、インク乾燥ドラム38が回転可能に設けられており、インク乾燥ドラム38の上部には、インク乾燥ドラム38の表面に近接して、熱風ノズル72およびIRヒータ74が複数配設されている。この熱風ノズル72およびIRヒータ74による温風によって、用紙の画像形成部では、色材凝集作用により分離された溶媒が乾燥され、薄膜の画像層が形成される。
【0054】
温風は用紙の搬送速度によっても異なるが、通常は50℃〜70℃に設定されている。蒸発した溶媒はエアーと共に画像形成装置10の外部へ排出されるが、エアーは回収される。このエアーは、冷却器/ラジエータ等で冷却して液体として回収しても良い。
【0055】
被画像形成面の画像が乾燥した用紙は、インク乾燥ドラム38の回転によって、インク乾燥部18と画像定着部20の間に設けられた中間搬送部76へ搬送されるが、中間搬送部76については、中間搬送部58と構成が略同一であるため説明を省略する。
【0056】
(画像定着部)
【0057】
画像定着部20には、画像定着ドラム40が回転可能に設けられており、画像定着部20では、インク乾燥ドラム38上で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が加熱/加圧されて溶融し、用紙上に固着定着する機能を有する。
【0058】
画像定着ドラム40の上部には、画像定着ドラム40の表面に近接して、加熱ローラ78が配設されている。この加熱ローラ78は熱伝導率の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプが組み込まれており、該加熱ローラ78によって、ラテックスのTg温度以上の熱エネルギーが付与される。これにより、ラテックス粒子を溶融し、用紙上の凹凸に押し込み定着を行うと共に画像表面の凹凸をレベリングし光沢性を得ることを可能とする。
【0059】
加熱ローラ78の下流側には、定着ローラ80が設けられている。この定着ローラ80は画像定着ドラム40の表面に圧接した状態で配置され、画像定着ドラム40との間でニップ力を得るようにしている。このため、定着ローラ80又は画像定着ドラム40のうち、少なくとも一方は表面に弾性層を持ち、用紙に対して均一なニップ幅を持つ構成とする。
【0060】
以上のような工程により、被画像形成面の画像が定着した用紙は、画像定着ドラム40の回転によって、画像定着部20の下流側に設けられた排出部21側へ搬送される。
【0061】
なお、本第1の実施形態では、画像定着部20について説明したが、インク乾燥部18で被画像形成面に形成された画像を乾燥・定着させることができれば良いため、この画像定着部20は必ずしも必要ではない。
【0062】
次に、図2を参照して、本第1の実施形態に係る画像形成装置10のシステム構成を説明する。
【0063】
同図に示されるように、画像形成装置10は、ファン・モータドライバ81、通信インタフェース83、システムコントローラ84、画像メモリ85、ROM86、モータドライバ87、ヒータドライバ88、プリント制御部89、画像バッファメモリ90、画像処理部91、ヘッドドライバ92等を備えている。
【0064】
通信インタフェース83は、ユーザが画像形成装置10に対して画像形成の指示等を行うため等に用いられるホスト装置99とのインタフェース部である。通信インタフェース83にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインタフェースやセントロニクスなどのパラレルインタフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。
【0065】
ホスト装置99から送出された画像情報は通信インタフェース83を介して画像形成装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ85に記憶される。画像メモリ85は、通信インタフェース83を介して入力された画像情報を記憶する記憶手段であり、システムコントローラ84を通じて情報の読み書きが行われる。画像メモリ85は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0066】
システムコントローラ84は、中央演算処理装置(CPU)およびその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従って画像形成装置10の全体を制御する制御装置として機能すると共に、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ84は、ファン・モータドライバ81、通信インタフェース83、画像メモリ85、モータドライバ87、ヒータドライバ88等の各部を制御し、ホスト装置99との間の通信制御、画像メモリ85およびROM86の読み書き制御等を行うと共に、用紙搬送系のモータ93やIRヒータ56,72,74を制御する制御信号を生成する。なお、プリント制御部89に対しては、制御信号の他に、画像メモリ85に記憶された画像情報を送信する。
【0067】
また、ROM86には、システムコントローラ84のCPUが実行するプログラムおよび制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM86は、書き換え不能な記憶手段であってもよいが、各種のデータを必要に応じて更新する場合は、EEPROMのような書き換え可能な記憶手段を用いることが好ましい。
【0068】
画像メモリ85は、画像情報の一時記憶領域として利用されると共に、プログラムの展開領域およびCPUの演算作業領域としても利用される。
【0069】
モータドライバ87は、システムコントローラ84からの指示に従って用紙搬送系のモータ93を駆動するドライバ(駆動回路)である。また、ヒータドライバ88は、システムコントローラ84からの指示に従ってIRヒータ56,72,74を駆動するドライバである。
【0070】
また、ファン・モータドライバ81は、システムコントローラ84からの指示に従って、各ファン・モータおよびファン・モータ結線回路71を駆動するドライバである。
【0071】
一方、プリント制御部89は、CPUおよびその周辺回路等から構成され、システムコントローラ84の制御に従い、画像処理部91と協働して画像メモリ85内の画像情報から吐出制御用の信号を生成するための各種加工、補正等の処理を行うと共に、生成した吐出データをヘッドドライバ92に供給してヘッドユニット66の吐出駆動を制御する。
【0072】
プリント制御部89には、プリント制御部89のCPUが実行するプログラムおよび制御に必要な各種データなどが格納されているROM94が接続されている。ROM94もまた書き換え不能な記憶手段であってもよいが、各種のデータを必要に応じて更新する場合は、EEPROMのような書き換え可能な記憶手段を用いることが好ましい。
【0073】
画像処理部91は、入力された画像情報からインク色別のドット配置データを生成するものであり、入力画像情報に対してハーフトーニング処理(中間階調処理)を行って高品質のドット位置を決定する。
【0074】
なお、図2において、画像処理部91は、システムコントローラ84やプリント制御部89とは別個のものとして図示しているが、例えば、画像処理部91は、システムコントローラ84或いはプリント制御部89に含まれて、その一部を構成するようにしてもよい。
【0075】
また、プリント制御部89は、画像処理部91で生成されたドット配置データに基づいてインクの吐出データ(ヘッド64のノズルに対応するアクチュエータの制御信号)を生成する吐出データ生成機能と、駆動波形生成機能とを有している。従って、プリント制御部89は、ヘッド64からインク滴を吐出させる際に用いる駆動波形を示す波形信号を生成する手段である。なお、この波形信号の生成であるが、外部で生成された波形信号がこの画像形成装置10に入力される場合には、その外部で生成された波形信号を、記憶又は保持し、記憶又は保持された波形信号を用いるようにしても良い。
【0076】
吐出データ生成機能にて生成された吐出データはヘッドドライバ92に与えられ、ヘッドユニット66のインク吐出動作が制御される。
【0077】
駆動波形生成機能は、ヘッド64の各ノズルに対応したアクチュエータを駆動するための駆動信号波形を生成する機能であり、当該駆動波形生成機能にて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ92に供給される。なお、駆動波形生成機能にて生成される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。ヘッドドライバ92は、発生された波形信号をヘッド64に供給してインク滴を吐出させる手段である。
【0078】
プリント制御部89には画像バッファメモリ90が備えられており、プリント制御部89における画像情報処理時に画像情報やパラメータ等のデータが画像バッファメモリ90に一時的に格納される。なお、図2において画像バッファメモリ90はプリント制御部89に付随する態様で示されているが、画像メモリ85と兼用することも可能である。
【0079】
なお、プリント制御部89とシステムコントローラ84とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0080】
図3には、本第1の実施形態に係るヘッド64の外観を示す斜視図が示されている。なお、Y,M,C,Kの各ヘッド64は、吐出するインク滴に含まれる色材が異なるだけで何れも同様の構成をしているので、以下では、Kのヘッド64を例に挙げて説明する。
【0081】
同図に示されるように、ヘッド64は、紙送り方向Yと略直交する紙幅方向(交差方向X)に配列された複数のヘッドモジュール100を備えており、これらのヘッドモジュール100は、交差方向Xに用紙Pの全幅(画像記録可能範囲の全幅)にわたりライン状に配列されるように長尺状のプレート102に固定されている。なお、同図では、複数のヘッドモジュール100が交差方向Xに配列されている様子を見易くするために隣接するヘッドモジュール100間に隙間が設けられて図示されているが、実際は隙間なくヘッドモジュール100が密接して交差方向Xに配列されている。
【0082】
図4には、本第1の実施形態に係るヘッドモジュール100の底面視構成を示す模式図が示されている。同図に示されるように、ヘッドモジュール100は、略平坦面に形成されたインク吐出面100Aを備えている。ヘッドモジュール100における画像形成ドラム36の外周面に対向するインク吐出面100Aには各々インク滴を吐出する複数のノズル152が紙送り方向Y及び交差方向Xの各方向に所定の間隔で並べて形成されており、ノズル151を交差方向Xにライン状に配列して構成したノズル列151Aが紙送り方向Yに隣接する列間でノズル151が重ならないように2次元状に配置されている。
【0083】
図5はヘッド64の構造例を示す平面透視図である。用紙上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド64におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド64は、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0084】
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0085】
各圧力室152は供給口154を介して共通流路と連通されている。共通流路はインク供給源たるインクタンク(図示省略)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路を介して各圧力室152に分配供給される。
【0086】
圧力室152の一部の面を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)には個別電極を備えたアクチュエータが接合されている。個別電極と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータが変形して圧力室の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータには、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。
【0087】
インク吐出後、アクチュエータの変位が元に戻る際に、共通流路から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
【0088】
画像情報から生成さるドット配置データに応じて各ノズル151に対応したアクチュエータの駆動を制御することにより、ノズル151からインク滴を吐出させることができる。
【0089】
上述した構造を有するインク室ユニット153を図6に示す如く搬送方向に交差する交差方向に沿う行方向及び交差方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0090】
すなわち、交差方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、交差方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、交差方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、交差方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり1200個(1200ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0091】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示した例に限定されない。また、本第1の実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータの変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0092】
次に、着弾位置のずれについて説明する。交差方向Xの直線を描くために平坦な搬送路で搬送される用紙に対するタイミング(用紙上の打滴予定位置が、インク滴を吐出させる対象とされたノズル151の直下に位置するタイミング)でノズル列151A毎にノズル151からインク滴を吐出した場合、画像形成ドラム36(以下の説明では単にドラム36と表現する)がヘッド64に対して湾曲しているため、一例として図7に示されるように搬送方向の着弾位置にずれが生じる。
【0093】
このずれに関して詳細な説明をする。図8及び図9はヘッド64とドラム36との位置関係を示す図である。特に、図9は、分かりやすくするためにヘッド64の幅を大きくした図となっている。
【0094】
図8において、ドラム36の胴頂点(ドラム36の上半分の外周面の頂点)をOとし、このOに最も近いヘッド64上のノズル151を基準ノズルNとする。この基準ノズルNと胴頂点Oとの距離をTDとする。なお、用紙の厚さは無視するものとする。
【0095】
そして、ヘッド64上のノズル151の座標を搬送方向の1次元座標Yで表現し、上記基準ノズルNの座標を0、基準ノズルNから搬送方向の最下流に位置するノズル151を最下流ノズルN、最上流に位置するノズル151を最上流ノズルNとする。特に、基準ノズルNの下流側に位置する最下流ノズルNの距離をLとし、最下流ノズルNの座標をYとしている。
【0096】
次に用紙における座標について説明する。用紙の座標も搬送方向の1次元座標yで表現し、原点y=0は、時刻t=0の時に胴頂点Oに位置するとする。用紙は反時計回りに搬送され、搬送速度をvとしている。更にインク滴の吐出速度(以下、滴速と表現する)をvとしている。また、ドラム36の半径である胴半径をRとしている。
【0097】
以上を踏まえ、まず基準ノズルNから吐出されたインク滴Dの着弾位置yについて説明する。インク滴の飛翔時間Tは、数2に示される値となる。
【0098】
【数2】

【0099】
従って、着弾位置座標yは、この時間で用紙が進む距離であるので、数3に示される値となる。
【0100】
【数3】

【0101】
次に、最下流ノズルNから吐出されたインク滴Dの着弾位置yについて説明する。インク滴Dは、基準ノズルNと最下流ノズルNの距離をL(=Y)と搬送速度vで定まる時間t後に吐出される。従って、時間tは数4に示される値となり、その値は一定である。
【0102】
【数4】

【0103】
また、最下流ノズルNから吐出されたインク滴Dがドラム36まで落ちる軌跡の長さから、上記TDを引いた値であるサグをdとしたとき、インク滴Dの飛翔時間Tは、数5に示される値となる。
【0104】
【数5】

【0105】
ここで、サグdは胴半径RとYにより、数6に示される値となる。
【0106】
【数6】

【0107】
上記数4で示した時間t、及び上記数5で示した時間が経過した後、インク滴Dが着弾することから、その間に用紙が移動する距離Sb0は、数7に示される値となる。
【0108】
【数7】

【0109】
一方、インク滴Dの着弾位置とOとの距離Sは、数8に示される値となる。
【0110】
【数8】

【0111】
上記数7、数8により、インク滴Dの着弾位置の用紙上の座標yは、数9に示される値となる。
【0112】
【数9】

【0113】
従って、着弾位置のずれΔy(図7参照)は座標yと座標yとの差となるため、数3、及び数9から、Δyは数10に示される値となる。
【0114】
【数10】

【0115】
この第1項目は、時間tに依存することから、インク滴が吐出されるタイミングに起因することを示している。また、第2項目は、胴半径Rに依存することから、ドラム36の湾曲の度合いに起因することを示している。更に第3項目は、サグの距離と滴速vに依存することから、サグの距離分の飛翔時間に起因することを示している。
【0116】
以上が基準ノズルNの下流側に位置する最下流ノズルNから吐出されたインク滴Dの着弾位置のずれである。次に、基準ノズルNの上流側に位置する最上流ノズルNから吐出されたインク滴Dの着弾位置yのずれについて説明する。
【0117】
インク滴Dは、基準ノズルNと最上流ノズルNの距離をLと搬送速度vで定まる時間前に吐出される。最上流ノズルNが位置する座標はY(<0)であり、このYは−Lに等しい。また、用紙の原点がOに位置する時刻を0としているので、最上流ノズルNからインク滴Dが吐出される時間tは数11に示される値となり、その値は一定である。
【0118】
【数11】

【0119】
また、最上流ノズルNから吐出されたインク滴Dがドラム36まで落ちる軌跡の距離から、上記TDを引いた値であるサグをdとしたとき、インク滴Dの飛翔時間Tは、数12に示される値となる。
【0120】
【数12】

【0121】
ここで、サグdは胴半径RとYにより、数13に示される値となる。
【0122】
【数13】

【0123】
上記数11で示した時間t、及び上記数12で示した時間Tが経過した後、インク滴Dが着弾することから、その間に用紙が移動する距離Sc0は、数14に示される値となる。
【0124】
【数14】

【0125】
一方、インク滴Dの着弾位置とOとの距離Sは、数15に示される値となる。
【0126】
【数15】

【0127】
上記数14、数15により、インク滴Dの着弾位置の用紙上の座標yは、数16に示される値となる。
【0128】
【数16】

【0129】
従って、着弾位置のずれΔy(図7参照)は座標yと座標yの差となるため、数3、及び数16から、Δyは数17に示される値となる。数17は、数10に示した式と形式的に同じものとなる。
【0130】
【数17】

【0131】
ところで、ヘッド64の紙送り方向の最上流に位置するノズル列151A(以下、「最上流ノズル列」という。)を構成しているノズル151のうちの予め定められた最上流ノズルNとヘッド64の紙送り方向の最下流に位置するノズル列151A(以下、「最下流ノズル列」という。)を構成しているノズル151のうちの最上流ノズルNと対極に位置する最下流ノズルNとの略中央点(ここでは、基準ノズルN)がインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面の接点(図8及び図9の例では、ドラム36の胴頂点O)に重なり、かつドラム36の軸方向に対して長手方向が略平行となるようにドラム36の上方にヘッド64が配置されている状態で用紙に所定画像(例えば、交差方向Xの直線)を描く場合、用紙がドラム36によって所定速度(例えば、1000mm/s)で搬送されているときの最上流ノズルNから吐出されたインク滴がドラム36上の用紙に着弾する着弾位置と基準ノズルNから吐出されたインク滴がドラム36上の用紙に着弾する着弾位置とのずれ量(以下、「最上流ずれ量」という。)と、用紙がドラム36によって所定速度で搬送されているときの基準ノズルNから吐出されたインク滴がドラム36上の用紙に着弾する着弾位置と最下流ノズルNから吐出されたインク滴がドラム36上の用紙に着弾する着弾位置とのずれ量(以下、「最下流ずれ量」という。)とが異なることが本発明者らの鋭意検討の結果、知見された。これは、ドラム36の外周面(湾曲面)に保持された用紙に対してインク滴が吐出され、かつ吐出されたインク滴がノズル151からドラム36上の用紙に向かって飛翔している間も用紙が搬送されるために生じる現象である。
【0132】
図10は、上記のようにヘッド64が配置されており、かつ用紙がドラム36によって上記所定速度で搬送されている間に用紙に所定画像を形成した場合の各ノズル列151A単位でノズル151から用紙に吐出されたインク滴の着弾位置と基準ノズルNを含むノズル列151Aを構成しているノズル151から用紙に吐出されたインク滴の着弾位置とのずれ量(縦軸)と座標Y(横軸)との対応関係の一例を示すグラフであり、本発明者らの実験などによって得られた知見に基づくグラフである。なお、同図に示されるグラフは、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの距離が10mm、胴半径Rが100mm、用紙の搬送速度が1000mm/s、滴速が10000mm/sの場合を示している。
【0133】
同図に示すように、ずれ量は、座標Y>0(下流側)及び座標Y<0(上流側)の各々の領域で増加しているが、座標Y>0でのずれ量の増加の度合いよりも座標Y<0でのずれ量の増加の度合いの方が大きい。そのため、同図では、最下流ずれ量が座標Y>0での最大のずれ量として約10μmとなって表れ、最上流ずれ量が座標Y<0での最大のずれ量として約14μmとなって表れる。
【0134】
このような本発明者らの知見の下、本第1の実施形態に係る画像形成装置10では、最下流ずれ量と最上流ずれ量とが揃うようにヘッド64を配置している。例えば、ずれ量が図10に示す態様で表れる場合には、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの略中央点がインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面の接点に重なるようにドラム36の外周面上に配置されたヘッド64を、インク吐出面100A内で紙送り方向Yに約0.5mm略平行移動させた位置に配置する。換言すると、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの略中央点がインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面の接点に重なるようにドラム36の外周面上に配置されたヘッド64を、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの略中央点からドラム36の外周面の接平面に立てた垂線の足における紙送り方向Y(インク吐出面100Aに沿う紙送り方向Y)に約0.5mm略平行移動させた位置に配置する。これにより、上流側及び下流側ともに最大のずれ量が約12μmとなり、結果的に最大のずれ量が約2μm低減される。
【0135】
次に、上記のように最上流ずれ量と最下流ずれ量とを揃えるために、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの略中央点がインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面の接点に重なるようにドラム36の外周面上に配置されたヘッド64を、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの略中央点からドラム36の外周面に立てた垂線の足における紙送り方向Y(以下、「所定移動方向」という。)に移動させる移動量の導出方法について説明する。なお、以下では、最上流ノズルNと最下流ノズルNとの中央点がインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面の接点に重なるようにドラム36の外周面上に配置されたヘッド64の位置を「基準位置P」と称する。
【0136】
先ず、移動量をSとし、最上流ノズル列と最下流ノズル列との距離(ノズル幅)をW(=L+L)とした上で、数10により得られたΔyと数17により得られたΔyとが等しいとして、下記(1)式を得る。
【0137】
【数18】

【0138】
次に、上記(1)式にYb及びYcを代入して下記(2)式を得る。
【0139】
【数19】

【0140】
そして、このようにして得られた上記(2)式を用いて移動量Sを導出する。すなわち、上記(2)式においてSの値を変化させて“左辺=右辺”となる値を探り出し、その探り出した値を、基準位置Pに配置されたヘッド64を所定移動方向に移動させる移動量として採用する。
【0141】
次に、最下流ずれ量と最上流ずれ量とが揃うようにドラム36の上方に配置されたヘッド64を備えた画像形成装置10の作用を説明する。
【0142】
画像形成装置10では、積載部22から給紙部24によって用紙が搬送され、搬送部28を経て、処理液塗布部14へ搬送される。処理液塗布部14では、用紙の被画像形成面に処理液が塗布され、その処理液を乾燥させる。その後、用紙は、中間搬送部58を経て、画像形成部16へ搬送され、ドラム36の外周面に保持される。
【0143】
そして、画像形成部16では、一例として図11に示すように、ヘッド64にヘッドモジュール100単位でプリント制御部89から波形信号が入力され、ヘッドモジュール100単位で、入力された波形信号に同期して吐出データに基づいてノズル151から用紙の被画像形成面に対してインク滴が吐出される。このとき、最下流ずれ量と最上流ずれ量とが揃う位置(以下、「所定位置」という。)にドラム36の上方にヘッド64が配置されているので、ヘッドモジュール100単位でインク滴の着弾位置の紙送り方向Yにおける最大のずれ量が低減されて良好な画像を形成することができる。
【0144】
画像形成部16において被画像形成面に画像が形成された用紙は、中間搬送部70を経て、インク乾燥部18へ搬送される。インク乾燥部18では、用紙の被画像形成面にインクに含まれる溶媒を乾燥させる。その後、用紙は、中間搬送部76を経て、画像定着部20へ搬送される。画像定着部20では、用紙の被画像形成面に形成された画像の定着処理が行われる。そして、被画像形成面に画像が定着した用紙は、画像定着ドラム40の回転によって排出部21側へ搬送される。
【0145】
[第2の実施形態]
【0146】
上記第1の実施形態では、所定位置にドラム36の上方にヘッド64が予め配置されている場合の形態例を挙げて説明したが、本第2の実施形態では、基準位置Pにヘッド64が配置されている場合について説明する。なお、本第2の実施形態に係る画像形成装置10Bは、上記第1の実施形態で説明した画像形成装置10と比べ、モータ93B、スライド機構104及びカメラ106を更に設けた点のみが異なっているので、本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点のみを説明する。また、本第2の実施形態において、上記第1の実施形態で説明した構成と同一の構成は同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0147】
図12は、本第2の実施形態に係る画像形成装置10Bの構成例を示す断面側面図である。同図に示すように、ドラム36において、ヘッド64よりも下流側には、CCD(Charge Coupled Device)により構成されたカメラ106がヘッド64によって用紙に形成された画像を撮像可能に配置されている。なお、本第2の実施形態に係るカメラ106は、有効な撮像領域が用紙の幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状とされ、フルカラーの画像を読み取り可能となっている。また、本第2の実施形態に係るカメラ106は、撮像画像の解像度がヘッド64による画像形成の解像度に対して4倍程度(ノズル解像度に対して2倍程度)となるものが適用されている。また、本第2の実施形態では、カメラ106としてCCDカメラを適用しているが、これに限らず、CMOSイメージ・センサ等の他の固体撮像素子を適用しても良い。
【0148】
図13は、本第2の実施形態に係るヘッド64及びスライド機構104の配置関係を示す配置図である。同図に示すように、スライド機構104は、長手方向が紙送り方向Yに一致するようにヘッド64の上方に配置されており、インク吐出面100Aに対して略平行に形成されたスライド溝(図示省略)を有している。従って、このスライド溝にヘッド64の一部が嵌め込まれることにより、ヘッド64は、ドラム36の上半分の外周面の頂線における紙送り方向に沿ってスライド可能となる。なお、本第1の実施形態では、ヘッド64は、プレート102の上面に設けられた支柱(図示省略)を介してスライド機構104にスライド自在に取り付けられている。
【0149】
図14は、画像形成装置10Bのシステム構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像形成装置10Bは、ヘッド64を用紙搬送方向に沿って移動させるモータ93Bを備えており、このモータ93Bはモータドライバ87に接続されている。従って、モータドライバ87は、システムコントローラ84からの指示に従って用紙搬送系のモータ93を駆動することができる。
【0150】
また、カメラ106は、システムコントローラ84に接続されている。従って、システムコントローラ84は、カメラ106の作動の制御及びカメラ106によって撮像されて得られた画像の取得を行うことができる。
【0151】
ところで、本第2の実施形態に係る画像形成装置10Bでは、基準位置Pにヘッド64が配置されているため、上記第1の実施形態で説明した画像形成装置10と同様の効果を得るためには、先ず、所定位置にヘッド64が配置されなければならない。そこで、本第2の実施形態に係る画像形成装置10Bでは、ヘッド64の配置を調整する配置調整処理が実行される。
【0152】
次に、図15を参照しながら、配置調整処理を実行しているときの画像形成装置10Bの作用を説明する。なお、図15は、配置調整処理の実行指示が入力された際にシステムコントローラ84により実行される配置調整処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、この配置調整処理プログラムはROM86の予め定められた領域に予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、交差方向Xに延びた線画をテスト画像として描画する場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、カメラ106によって毎秒30フレームの撮像が行われている場合について説明する。
【0153】
同図のステップ200では、用紙の搬送が開始されるようにモータ93の駆動を制御し、次のステップ202では、ドラム36が所定回転速度(一例として1000mm/s)に達するまで待機する。
【0154】
次のステップ204では、最上流ノズルN及び最下流ノズルNからインク滴を吐出させ、次のステップ206にて、カメラ106によって撮像されて得られたインク滴の着弾画像のずれ量を測定し、ステップ208に移行する。
【0155】
ステップ208では、用紙の搬送が停止されるようにモータ93の駆動を制御し、次のステップ210にて、所定移動方向にヘッド64を移動させるようにモータ93Bの駆動を開始させる。これに応じて、スライド機構104に嵌め込まれたヘッド64が所定移動方向に沿ってスライドし始める。
【0156】
次のステップ212では、上記ステップ206の処理で測定された着弾画像のずれ量に対して予め定められた移動量だけヘッド64が移動する(ヘッド64が所定位置に達する)まで待機し、次のステップ214にてモータ93Bの駆動を停止させた後、本配置調整処理プログラムを終了する。
【0157】
なお、上記ステップ214では、最上流ノズルNから吐出されたインク滴の着弾位置と最下流ノズルNから吐出されたインク滴の着弾位置とのずれ量として予め定められたずれ量とヘッド64の移動量とを予め対応付けたテーブルをROM86に予め記憶させておき、そのテーブルを用いて導出されたヘッド64の移動量を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記第1の実施形態で説明した(2)式を用いて移動量Sを事前に求めてROM86に予め記憶させておき、その移動量Sを採用してもよい。また、本第2の実施形態では、最上流ノズルNから吐出されたインク滴の着弾位置と最下流ノズルNから吐出されたインク滴の着弾位置とのずれ量として予め定められたずれ量とヘッド64の移動量との予め定められた対応関係に基づいてヘッド64の移動量を導出しているが、これに限らず、最上流ノズルN及び最下流ノズルN以外の予め定められた複数のノズル151の各々から吐出されたインク滴の着弾位置間のずれ量として予め定められたずれ量とヘッド64の移動量との予め定められた対応関係に基づいてヘッド64の移動量を導出してもよい。
【0158】
また、上記各実施形態では、基準ノズルNを含むノズル列151Aを基準にして搬送方向上流側及び下流側の各々に同数のノズル列151Aが紙送り方向Yに沿って所定間隔毎に配列しているので、基準ノズルNを含むノズル列151Aがインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面と該外周面との接点の列(線)に重なるようにドラム36の外周面上に配置されたヘッド64を所定移動方向に所定量移動させて所定位置に配置する場合の形態例を挙げて説明したが、基準ノズルNを含むノズル列151Aが紙送り方向における最上流ノズル列と最下流ノズル列との略中央に位置していない場合も考えられる。その場合、インク吐出面100Aの紙送り方向における最上流ノズル列と最下流ノズル列との略中央に位置する線がインク吐出面100Aに略平行なドラム36の外周面上の接平面と該外周面との接点の列(線)に重なるようにドラム36の外周面上に配置されたヘッド64を所定移動方向に所定量移動させて所定位置に配置すればよい。
【0159】
また、上記各実施形態では、Kのヘッド64を所定位置に配置する場合の例に挙げて説明したが、Y,M,Cのヘッド64も各々固有の所定位置を有しているので、Kのヘッド64と同様の手法でヘッド64を所定位置に配置すればよい。この場合、上記第2の実施形態で説明したモータ93B及びスライド機構104と同様のモータ及びスライド機構をY,M,Cのヘッド64の各々に対して設ければよい。
【0160】
また、上記実施形態では、ヘッド64がモータ93Bの駆動力を受けて所定移動方向に所定量スライドする場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘッド64を手動で所定移動方向に所定量スライドさせるようにしてもよい。
【0161】
また、上記各実施形態では、ヘッド64から吐出されたインク滴が、ドラム36の外周面に保持されている用紙に着弾する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図16に示すように、ドラム36に代えて、上方に隆起した湾曲面250を有する台座252を設け、用紙を湾曲面250に摺接させながら搬送し、湾曲面250上で搬送される用紙に対してヘッド64から吐出されたインク滴が着弾されても良い。この場合、上記各実施形態で説明した(2)式で用いた胴半径Rに代えて湾曲面250の曲率半径を適用して移動量Sを導出すればよい。また、図17に示すように、ドラム36に代えて楕円形状の搬送ベルト252を有する搬送機構254を設け、搬送ベルト252によって搬送される用紙に対してヘッド64から吐出されたインク滴が着弾されても良い。この場合、上記各実施形態で説明した(2)式で用いた胴半径Rに代えて搬送ベルト252の外観を示す楕円形の曲率半径を適用して移動量Sを導出すればよい。このように、円の外周面に限らず、湾曲面が用紙の搬送経路とされていても液滴の着弾位置のずれを抑制することができる。
【0162】
また、上記各実施形態では、複数のノズル151がインク吐出面100Aに紙送り方向Y及び交差方向Xの各方向に沿って等間隔で配置されている場合について説明したが、ノズル151は等間隔で配置されていなくても本発明は成立する。
【0163】
また、上記各実施形態では、ノズル151からインク滴を吐出する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インク滴の打滴箇所に重ねて打滴することによりインクに含まれる色材を凝集させる効果をもたらす処理液による液滴やインク滴の打滴箇所に重ねて打滴することにより画像に光沢を持たせることが可能な光沢液による液滴などのインク滴以外の液滴であっても良いことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0164】
10,10B 画像形成装置
16 画像形成部
36 画像形成ドラム
64 ヘッド
84 システムコントローラ
89 プリント制御部
91 画像処理部
92 ヘッドドライバ
93,93B モータ
100 ヘッドモジュール
106 カメラ
151 ノズル
151A ノズル列
250 湾曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を湾曲面に密着させて搬送する搬送手段と、
前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールであって、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの該搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に配置されたヘッドモジュールと、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体を湾曲面に密着させて搬送する搬送手段と、
前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールと、
前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に前記ヘッドモジュールを移動させる移動手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送手段によって前記記録媒体が搬送されているときに前記複数の吐出口のうちの予め定められた複数の吐出口から同期して前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量を測定する測定手段と、
前記ヘッドモジュールの位置と前記所定位置との間の相対的な位置関係を示す位置情報と、前記予め定められた複数の吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量として予め定められたずれ量との予め定められた対応関係に基づいて、前記測定手段によって測定されたずれ量に対応する前記位置情報を導出する導出手段と、を更に含む請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記最上流吐出口と前記最下流吐出口との略中央点が前記所定平面に略平行な前記湾曲面上の接平面の接点に重なるように該湾曲面上に配置された前記ヘッドモジュールと前記所定位置に配置された前記ヘッドモジュールとの所定ずらし量であって、前記液滴の吐出速度、前記記録媒体の搬送速度、前記湾曲面の曲率半径、及び前記最上流吐出口と前記最下流吐出口との距離から導出された所定ずらし量を用いて前記ヘッドモジュールを前記所定位置に配置した請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定ずれ量Sを下記の(1)式により導出する請求項4記載の画像形成装置。
(W/2+S)−R・sin-1((W/2+S)/R)+R・(1−cos(sin-1((W/2+S)/R)))・vp/vj= (-W/2+S)−R・sin-1((-W/2+S)/R)+R・(1−cos(sin-1((-W/2+S)/R)))・vp/vj ・・・・・・・・(1)
R:前記曲率半径
:前記吐出速度
:前記搬送速度
W:前記最上流吐出口列と前記最下流吐出口列との距離
【請求項6】
前記ヘッドモジュールを前記記録媒体の搬送方向と交差する交差方向に複数配列した請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
搬送手段により、記録媒体を湾曲面に密着させて搬送し、
前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールを、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの該搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に配置する
画像形成方法。
【請求項8】
搬送手段により、記録媒体を湾曲面に密着させて搬送し、
前記湾曲面に密着された前記記録媒体に液滴を吐出する複数の吐出口が所定平面に2次元状に配置されたヘッドモジュールを、前記記録媒体が前記湾曲面に沿って搬送されている間に前記搬送手段の搬送動作に同期して前記吐出口から液滴が吐出されることにより所定画像が形成される画像形成装置において、前記複数の吐出口のうちの前記記録媒体の搬送方向の最上流に位置する最上流吐出口と前記複数の吐出口のうちの該搬送方向の最下流に位置する最下流吐出口との略中央点に配置された中央吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最上流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量と、前記中央吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置と前記最下流吐出口から該記録媒体に吐出された液滴の着弾位置とのずれ量とが揃う所定位置に移動手段により移動させる
画像形成方法。
【請求項9】
前記測定手段により、前記搬送手段によって前記記録媒体が搬送されているときに前記複数の吐出口のうちの予め定められた複数の吐出口から同期して前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量を測定し、
導出手段により、前記ヘッドモジュールの位置と前記所定位置との間の相対的な位置関係を示す位置情報と、前記予め定められた複数の吐出口から前記記録媒体に吐出された液滴の着弾位置間のずれ量として予め定められたずれ量との予め定められた対応関係に基づいて、前記測定手段によって測定されたずれ量に対応する前記位置情報を導出する
請求項8記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記最上流吐出口と前記最下流吐出口との略中央点が前記所定平面に略平行な前記湾曲面上の接平面の接点に重なるように該湾曲面上に配置された前記ヘッドモジュールと前記所定位置に配置された前記ヘッドモジュールとの所定ずらし量を、前記液滴の吐出速度、前記記録媒体の搬送速度、前記湾曲面の曲率半径、及び前記最上流吐出口と前記最下流吐出口との距離から導出し、
導出した所定ずらし量を用いて前記ヘッドモジュールを前記所定位置に配置する請求項7または請求項8記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記所定ずれ量Sを上記(1)式により導出する請求項10記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記ヘッドモジュールを前記交差方向に複数配列した請求項7〜請求項11の何れか1項に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−76301(P2012−76301A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221904(P2010−221904)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】