説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】画像形成装置との間で情報を送受信する端末装置に対して適切に通知を行うことが可能な画像形成システム及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成システムは、複合機1と、複合機1との間で情報の通信を行う端末装置とを備える。複合機1は、時刻の計時を行い、時刻を示す時刻情報を送受信する計時部110と、計時部110から出力された時刻情報を受け付ける時刻情報受付部91と、時刻情報受付部91により受け付けられた時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する時刻判断部92と、時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したと判断された場合に、端末装置との間で通信される情報に基づいて行われる処理が所定の処理であるか否かを判断する処理判断部93と、処理判断部93により情報に基づいて行われる処理が所定の処理であると判断された場合に、端末装置に通知情報を出力させる通知部94とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、その画像形成装置との間で情報を送受信する端末装置とを備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムは、画像形成装置と、この画像形成装置との間で情報を送受信する端末装置とを備える。画像形成システムは、例えば、端末装置から画像形成装置に画像データを送信することにより、画像形成装置において画像データに基づく画像を用紙に形成する(印刷する)。このような画像形成システムにおける画像形成装置のメンテナンスを行う場合、メンテナンスを行う作業者は、端末装置のユーザに対してメンテナンスの日時を予め連絡して、メンテナンスの日時に画像形成装置を使用しないようユーザに要請している。
【0003】
ところで、電子部品の生産設備には、運転時間等に基づいて生産設備のメンテナンス時期に到達したか否かを判断し、メンテナンス時期に到達していると判断した場合には、生産設備の運転を強制的に停止すると共に、生産設備の運転を停止させる情報を作業者に通知するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−56620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した画像形成システムでは、画像形成装置のメンテナンス日時を予め連絡しているが、メンテナンスの直前になっても画像形成装置を使用し続けるユーザに対して直接に連絡を行っているわけではないため、メンテナンス日時を過ぎた場合でも画像形成装置に種々の処理を行うよう要求し続けることがある。この場合には、メンテナンスを行う作業者は、予定していたメンテナンスの日時通りにメンテナンスを開始することができない。
【0006】
また、上述した生産設備では、メンテナンス時期に到達していると判断した場合に、運転を強制的に停止している。しかしながら、このような生産設備において利用される方法を画像形成システムに適用した場合、画像形成装置は、例えば、用紙に画像を形成している途中で強制停止されると、画像を形成するための画像データを消去する可能性がある。この場合には、端末装置のユーザは、画像形成装置のメンテナンスが終了した後に、再度、端末装置から画像形成装置に対して画像データを送信して画像形成を行わせる必要があり、手間がかかる。
【0007】
本発明は、画像形成装置との間で情報を送受信する端末装置に対して適切に通知を行うことが可能な画像形成システム及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像形成装置と、前記画像形成装置に対して処理命令情報を出力可能であると共に前記画像形成装置からの通知情報を受付可能な1又は複数の端末装置とを備える画像形成システムであって、前記画像形成装置は、前記端末装置から出力された前記処理命令情報を受付可能な情報受付部と、前記情報受付部によって受け付けられた処理命令情報に基づいて処理を実行する処理部と、時刻の計時を行うと共に計時した時刻を示す時刻情報を出力する計時部と、前記計時部から出力された前記時刻情報を受け付ける時刻情報受付部と、前記時刻情報受付部によって受け付けられた前記時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する時刻判断部と、前記時刻判断部によって前記時刻情報に基づく時刻が前記所定の時刻に到達したと判断された場合に、前記情報受付部によって受け付けられた前記処理命令情報に基づいて行われる処理が所定の処理であるか否かを判断する処理判断部と、前記端末装置に対して情報を出力可能な情報出力部と、前記処理判断部によって前記処理命令情報に基づいて行われる処理が前記所定の処理であると判断された場合に、前記情報出力部に、該処理命令情報を出力した前記端末装置に対して所定の通知情報を出力させる通知部と、を備える画像形成システムに関する。
【0009】
また、本発明は、画像形成装置と、前記画像形成装置に対して処理命令情報を出力可能であると共に前記画像形成装置からの通知情報を受付可能な1又は複数の端末装置とを備える画像形成システムに用いられる画像形成装置であって、前記端末装置から出力された前記処理命令情報を受付可能な情報受付部と、前記情報受付部によって受け付けられた処理命令情報に基づいて処理を実行する処理部と、時刻の計時を行うと共に計時した時刻を示す時刻情報を出力する計時部と、前記計時部から出力された前記時刻情報を受け付ける時刻情報受付部と、前記時刻情報受付部によって受け付けられた前記時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する時刻判断部と、前記時刻判断部によって前記時刻情報に基づく時刻が前記所定の時刻に到達したと判断された場合に、前記情報受付部によって受け付けられた前記処理命令情報に基づいて行われる処理が所定の処理であるか否かを判断する処理判断部と、前記端末装置に対して情報を出力可能な情報出力部と、前記処理判断部によって前記処理命令情報に基づいて行われる処理が前記所定の処理であると判断された場合に、前記情報出力部に、該処理命令情報を出力した前記端末装置に対して所定の通知情報を出力させる通知部と、を備える画像形成装置に関する。
【0010】
また、画像形成装置は、第1時刻を示す第1時刻情報を記憶する第1記憶部をさらに備え、前記時刻判断部は、前記第1記憶部に記憶された前記第1時刻情報に基づく第1時刻を前記所定の時刻として前記時刻情報に基づく時刻が前記第1時刻に到達したか否か判断する、又は、前記第1記憶部に記憶された前記第1時刻情報に基づく第1時刻よりも所定の時間だけ前の第2時刻を所定の時刻として前記時刻情報に基づく時刻が前記第2時刻に到達したか否かを判断することが好ましい。
【0011】
また、画像形成装置は、画像データを記憶する第2記憶部をさらに備え、前記処理判断部は、処理命令情報に基づいて行われる処理が、前記端末装置を利用して前記第2記憶部に記憶される前記画像データに基づく画像の閲覧を要求する処理、前記第2記憶部に記憶される前記画像データに基づく画像を加工する処理、及び、前記端末装置から送信された複数の画像データに基づいて画像を形成する処理のいずれかである場合に前記処理命令情報に基づいて行われる処理を前記所定の処理であると判断することが好ましい。
【0012】
また、前記通知部は、前記情報出力部に、前記通知情報として画像形成装置のメンテナンスが行われる旨を示す情報を出力させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置との間で情報を送受信する端末装置に対して適切に通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成システムの全体構成を説明するための図である。
【図2】画像形成装置の一実施形態に係る複合機の構成を説明するための図である。
【図3】複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図4】画像形成システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成システム及びその画像形成システムに用いられる画像形成装置の一実施形態について説明する。図1は、画像形成システム300の全体構成を説明するための図である。図2は、画像形成装置の一実施形態に係る複合機1の構成を説明するための図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成システム300は、画像形成装置の一例としてプリンタ機能やコピー機能等を備える複合機1と、端末装置200とを備える。
端末装置200は、複合機1に種々の処理を実行させることが可能なものであり、例えば、パーソナルコンピュータ等により構成される。端末装置200は、ローカルエリアネットワークN等の通信ネットワークを介して複合機1との間で情報の通信を行う。すなわち、端末装置200は、複合機1に対して処理命令情報を出力可能であると共に、複合機1からの通知情報を受付可能である。端末装置200は、画像を表示させることが可能な、例えば液晶ディスプレイ等の表示部201を備える。
ここで、複合機1には、図1に示すように2台の端末装置200がローカルエリアネットワークNを介して接続されているが、この例に限定されることはない。すなわち、複合機1には、3台以上の端末装置200がローカルエリアネットワークNを介して接続されてもよく、1台の端末装置200がローカルエリアネットワークNを介して接続されてもよい。
【0017】
複合機1は、画像形成処理に関する複数の機能を実施する。ここで、複数の機能とは、例えば、プリンタ機能やコピー機能等のことである。複合機1は、図2に例示するように、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Auto Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラ12と、ガイド13と、タイミングローラ対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラ12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラ対14に供給する。タイミングローラ対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gを複合機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15における複合機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0018】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図2に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0019】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とを複合機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図2において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0020】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサである。
【0021】
用紙搬送部30は、第2送りローラ31と、第3送りローラ32と、レジストローラ対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラ31は、給紙カセット36に収容される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。第3送りローラ32は、手差しトレイ37に載置される用紙Tを転写部50に供給する。レジストローラ対33は、転写部50にトナー画像が形成されるタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラ対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tを複合機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34における複合機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0022】
画像形成部40は、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザスキャナユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラ47と、中間転写ベルト48と、対向ローラ49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザスキャナユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザスキャナユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0023】
1次転写ローラ47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラ47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラ49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図2に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラである。
【0024】
転写部50は、2次転写ローラ51を備える。2次転写ローラ51は、中間転写ベルト48における対向ローラ49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラ49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラ51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0025】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0026】
このような複合機1の筐体4には、開閉可能にされた蓋部4aが設けられている(図1参照)。蓋部4aが開状態になる場合には、画像形成部40や転写部50等が外部に露出するため、複合機1のメンテナンスを行う作業者は、画像形成部40や転写部50等のメンテナンスを行うことが可能になる。
【0027】
次に、複合機1の機能構成について説明する。図3は、複合機1の機能構成を示すブロック図である。
複合機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。さらに、複合機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、記憶部80と、制御部90と、インターフェース部100とを備える。なお、図2を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。
【0028】
操作部70は、テンキー(図示せず)、タッチパネル(図示せず)及びスタートキー(図示せず)等を備える。テンキーは、印刷部数等の数字を入力するために操作される。タッチパネルは、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等))が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネルに表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかを複合機1に実行させるために操作される。スタートキーは、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0029】
記憶部80は、第1記憶部81と、第2記憶部82とを備える。第1記憶部81は、例えば、複合機1のメンテナンスを行う日時(第1時刻)等を示す第1時刻情報を記憶する。第2記憶部82は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに基づく画像データや、インターフェース部を介して端末装置200から供給された画像データを記憶する。また、記憶部80は、第1記憶部81及び第2記憶部82以外の部分に複合機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。このような記憶部80は、ハードディスク又は半導体メモリ等により構成される。
【0030】
インターフェース部(通信部)100は、ローカルエリアネットワークNを介して端末装置200と情報の送受信を行うために通信ケーブルが接続される(図1参照)。そのインターフェース部100は、情報受付部101と、情報出力部102とを備える。情報受付部101は、端末装置から出力された種々の情報を受付可能である。例えば、情報受付部101は、端末装置200から出力された処理命令情報を受付可能である。情報出力部102は、端末装置200に対して種々の情報を出力可能である。例えば、情報出力部102は、端末装置200に対して通知情報を出力可能である。
【0031】
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3及び操作部70等を制御する。
なお、制御部90、エンジン部3及び記憶部80等は、本発明の処理部を構成する。処理部は、情報受付部101によって受け付けられた処理命令情報に基づいて処理を実行する。例えば、処理部は、処理命令情報に応じて、用紙に画像を形成する処理を行い、第2記憶部82に記憶された画像データに基づく画像を閲覧させる処理を行い、第2記憶部82に記憶された画像データに基づく画像について加工等させる処理を行う。
【0032】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る複合機1の特徴部分の構成について説明する。図3に示すように、複合機1は、計時部110と、時刻情報受付部91と、時刻判断部92と、処理判断部93と、通知部94とをさらに備える。時刻情報受付部91と、時刻判断部92と、処理判断部93と、通知部94とは、制御部90に備えられる。
【0033】
計時部110は、時刻の計時を行うと共に計時した時刻を示す時刻情報を出力する。具体例としては、計時部110は、リアルタイムクロック等から構成され、時刻の計時を連続して行う。さらに、計時部110は、計時した時刻を時刻情報として時刻情報受付部91に所定間隔で連続して出力する。
時刻情報受付部91は、計時部110によって出力された時刻情報の入力を受け付ける。
【0034】
時刻判断部92は、時刻情報受付部91によって受け付けられた時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する。具体的には、時刻判断部92は、第1記憶部81に記憶された第1時刻情報に基づく第1時刻を所定の時刻として時刻情報に基づく時刻が第1時刻に到達したか否か判断する(第1の判断)。又は、時刻判断部92は、第1記憶部81に記憶された第1時刻情報に基づく第1時刻よりも所定の時間だけ前の第2時刻を所定の時刻として時刻情報に基づく時刻が第2時刻に到達したか否かを判断する(第2の判断)。
【0035】
ここで、第1時刻は、例えば、複合機1のメンテナンスを行う時刻等のことである。第1時刻は、例えば、操作部70が操作されることにより設定され、第1時刻情報として第1記憶部81に記憶される。また、所定の時間は、操作部70が操作されることにより設定され、所定の時間情報として記憶部80に記憶される。第2時刻は、第1記憶部81に記憶される第1時刻情報に基づく第1時刻と、記憶部80に記憶される所定の時間情報に基づく所定の時間とに基づいて、時刻判断部92によって求められる。なお、時刻判断部92が第1の判断を行うか又は第2の判断を行うかは、メンテナンス作業者等によって適宜設定される。
【0036】
処理判断部93は、時刻判断部92によって時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したと判断された場合に、情報受付部101によって受け付けられた処理命令情報に基づいて行われる処理が所定の処理であるか否かを判断する。ここで、処理判断部93は、処理命令情報に基づいて行われる処理が、例えば、端末装置200を利用して第2記憶部82に記憶される画像データに基づく画像の閲覧を要求する処理(閲覧処理)、第2記憶部82に記憶される画像データに基づく画像を加工する処理(ワークフロー処理)、及び、端末装置200から送信された複数の画像データに基づいて画像を形成する処理(複数ジョブの画像形成処理)のいずれかである場合に処理命令情報に基づいて行われる処理を所定の処理であると判断する。所定の処理は、処理の開始から終了までに時間がかかる可能性のある処理のことであり、メンテナンス作業者等によって予め設定される。
【0037】
閲覧処理についてより具体的に説明すると、次のようになる。閲覧処理は、第2記憶部82に記憶される画像データに基づく画像を端末装置200の表示部201に表示させる処理である。閲覧処理では、ユーザが端末装置200を操作することにより、表示部201に表示される画像の拡大や縮小等を行うことができる。閲覧処理では、表示部201に画像を表示することにより、端末装置200のユーザが画像を確認等しているため、終了させるまでに時間がかかる可能性がある。
【0038】
また、ワークフロー処理についてより具体的に説明すると、次のようになる。すなわち、ワークフロー処理は、端末装置200の表示部201に選択画面を次々に表示させて、端末装置200のユーザに画像データに対しての加工処理等を順次選択させ、全ての選択が終了した後に選択された加工処理等を画像データに対して実行する処理のことである。ワークフロー処理では、表示部201に選択画面を次々と表示させて、端末装置200のユーザに選択を行わせるため、開始から終了までに時間がかかる可能性がある。
【0039】
複数ジョブの画像形成処理についてより具体的に説明すると、次のようになる。例えば、端末装置200にインストールされている文書作成アプリケーションを利用して作成している文書を用紙に画像形成(印刷)する場合、画像形成を実行させるための操作が行われることに基づいて、画像データが複合機1に送信されて、複合機1において画像が形成される。画像形成を実行させるための操作が1回行われることにより、端末装置200は、1つのジョブ(処理命令情報)を生成する。そして、画像形成を実行させるための操作が複数回行われることにより、端末装置200は、操作回数に応じた複数のジョブ(処理命令情報)を生成する。複合機1では、複数のジョブを端末装置200から受け付けた場合には、全てのジョブに基づく画像形成を終了するまでに時間がかかる可能性がある。
【0040】
通知部94は、処理判断部93によって処理命令情報に基づいて行われる処理が所定の処理であると判断された場合に、情報出力部102に、その処理命令情報を出力した端末装置200に対して所定の通知情報を出力させる。具体的には、通知部94は、情報出力部102に、通知情報として複合機1のメンテナンスが行われる旨を示す情報を出力させる。さらに、通知部94は、時刻判断部92によって上述した第2の判断が行われている場合には、上述した複合機1のメンテナンスが行われる旨と共に、何分後にメンテナンスが開始される旨を表す通知情報を送信することが可能である。ここで、複合機1に複数の端末装置200が接続されることにより、複合機1と各端末装置200とでそれぞれ情報の通信が可能になっている場合には、通知部94は、上述した所定の処理を実行させるための情報を送信した端末装置200に対して通知情報を送信する。
【0041】
なお、通知部94は、複合機1に対して処理の実行を要求するための情報を送信した端末装置200と紐付く通知アドレス又はIPアドレスにより通知情報の送信先を特定することが可能である。このため、通知部94は、例えば、電子メールやチャット等の形式によって端末装置200に通知情報を送信することが可能である。
【0042】
端末装置200は、通知情報を受信した場合に、通知情報に基づく通知内容を表示部201に表示し、又はスピーカ(不図示)から通知内容を出力する。これにより、端末装置200と複合機1との間の通信を終了するように、端末装置200のユーザに対して促すことができる。さらに、端末装置200のユーザが端末装置200と複合機1との間の通信を終了した後には、複合機1の筐体4に設けられた蓋部4aを開けてメンテナンスが開始されることが可能になる。
【0043】
次に、画像形成システム300の動作について説明する。図4は、画像形成システム300の動作について説明するためのフローチャートである。
【0044】
ステップST1において、計時部110は、時刻を計時して、時刻を示す時刻情報を時刻情報受付部91に対して所定間隔で連続して出力する。
【0045】
ステップST2において、上述した処理部は、情報受付部101によって受け付けられた処理命令情報に応じた処理(例えば、画像形成(印刷)処理やワークフロー処理や閲覧処理等)を複合機1において実行する。
【0046】
ステップST3において、時刻判断部92は、時刻情報受付部91に供給された時刻情報に基づく時刻が上述した所定の時刻に到達したか否かを判断する。時刻が所定の時刻に到達した場合(Yes)には、処理は、ステップST4に進む。時刻が所定の時刻に到達していない場合(No)には、処理は、ステップST5に進む。
なお、時刻情報に基づく時刻が上述した所定の時刻に到達した後においては、複合機1は、処理を実行させるために端末装置200から新たに送信される情報の受け付けを停止することが可能である。
【0047】
ステップST4において、処理判断部93は、端末装置200との間で送受信される情報に基づいて行われる処理が上述した所定の処理であるか否かを判断する。情報に基づいて行われる処理が所定の処理ではない場合(No)には、処理は、ステップST5に進む。情報に基づいて行われる処理が所定の処理である場合(Yes)には、処理は、ステップST7に進む。
【0048】
ステップST5において、上述した処理部は、実行されている処理を継続する。
ステップST6において、上述した処理部は、実行していた処理を完了する。
【0049】
ステップST7において、通知部94は、端末装置200に通知情報を送信する。端末装置200は、通知情報を受信した場合に、通知情報に基づく通知内容を出力する(例えば、通知内容を表示部201に表示させる)。これにより、端末装置200のユーザは、例えば、間もなく複合機1のメンテナンスが開始されることを知ることができる。
【0050】
ステップST8において、端末装置200は、ユーザの操作に基づいて、ステップST2において実行されている処理を終了する。
そして、端末装置200のユーザが複合機1に実行させている処理を終了した後には、作業者は、複合機1のメンテナンスを開始することが可能になる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の画像形成システム300及び複合機1によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態の画像形成システム300によれば、時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達し、その時に複合機1において行われている処理が上述した所定の処理の場合には、端末装置200に通知情報を送信するので、端末装置200のユーザは、通知情報に基づく通知内容を知ることができる。その通知内容が複合機1のメンテナンスが行われる旨を表すものであれば、端末装置200のユーザは、間もなく複合機1のメンテナンスが開始されることを知ることができる。さらに、複合機1は、端末装置200のユーザに対して、複合機1に実行させている処理を終了させるよう促すことができる。
【0052】
また、画像形成システム300によれば、時刻情報に基づく時刻が第1時刻又は第2時刻に到達したかを時刻判断部92が判断する。複合機1のメンテナンスを行う作業者に、第1時刻及びこの第1時刻よりも前の第2時刻のうち一方を選択させることができる。
【0053】
また、画像形成システム300によれば、処理命令情報に基づいて行われる処理が、処閲覧処理、ワークフロー処理及び複数ジョブの画像形成処理のいずれかである場合に、処理命令情報に基づいて行われる処理を前記所定の処理であると処理判断部93によって判断するので、第1時刻を経過した後でも実行されている可能性のある処理を判別することができる。そして、複合機1によれば、第1時刻を経過した後でも実行される可能性のある処理を行わせている端末装置200に対して通知情報を送信しているので、その長時間かかる可能性がある処理を終了させるように促すことができる。
【0054】
なお、上記の実施形態では、複合機1のメンテナンスを行う場合において、所定の条件を満たすときに複合機1から端末装置に通知情報を送信することについて説明した。しかしながら、通知情報を送信するのは、複合機1のメンテナンスを行う場合に限られず、他の場合であってもよい。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態の複合機1は、カラー複合機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロ複合機であってもよい。
また、本実施形態の複合機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態の複合機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0056】
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被画像形成媒体は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバヘッドプロジェクタ)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…複合機(画像形成装置)、70…操作部、80…記憶部、81…第1記憶部、82…第2記憶部、90…制御部、91…情報受付部、92…時刻情報受付部、93…時刻判断部、94…処理判断部、95…通知部、101…情報出力部、110…計時部、200…端末装置、300…画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、前記画像形成装置に対して処理命令情報を出力可能であると共に前記画像形成装置からの通知情報を受付可能な1又は複数の端末装置とを備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
前記端末装置から出力された前記処理命令情報を受付可能な情報受付部と、
前記情報受付部によって受け付けられた前記処理命令情報に基づいて処理を実行する処理部と、
時刻の計時を行うと共に計時した時刻を示す時刻情報を出力する計時部と、
前記計時部から出力された前記時刻情報を受け付ける時刻情報受付部と、
前記時刻情報受付部によって受け付けられた前記時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する時刻判断部と、
前記時刻判断部によって前記時刻情報に基づく時刻が前記所定の時刻に到達したと判断された場合に、前記情報受付部によって受け付けられた前記処理命令情報に基づいて行われる処理が所定の処理であるか否かを判断する処理判断部と、
前記端末装置に対して情報を出力可能な情報出力部と、
前記処理判断部によって前記処理命令情報に基づいて行われる処理が前記所定の処理であると判断された場合に、前記情報出力部に、該処理命令情報を出力した前記端末装置に対して所定の通知情報を出力させる通知部と、
を備える画像形成システム。
【請求項2】
画像形成装置と、前記画像形成装置に対して処理命令情報を出力可能であると共に前記画像形成装置からの通知情報を受付可能な1又は複数の端末装置とを備える画像形成システムに用いられる画像形成装置であって、
前記端末装置から出力された前記処理命令情報を受付可能な情報受付部と、
前記情報受付部によって受け付けられた処理命令情報に基づいて処理を実行する処理部と、
時刻の計時を行うと共に計時した時刻を示す時刻情報を出力する計時部と、
前記計時部から出力された前記時刻情報を受け付ける時刻情報受付部と、
前記時刻情報受付部によって受け付けられた前記時刻情報に基づく時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する時刻判断部と、
前記時刻判断部によって前記時刻情報に基づく時刻が前記所定の時刻に到達したと判断された場合に、前記情報受付部によって受け付けられた前記処理命令情報に基づいて行われる処理が所定の処理であるか否かを判断する処理判断部と、
前記端末装置に対して情報を出力可能な情報出力部と、
前記処理判断部によって前記処理命令情報に基づいて行われる処理が前記所定の処理であると判断された場合に、前記情報出力部に、該処理命令情報を出力した前記端末装置に対して所定の通知情報を出力させる通知部と、
を備える画像形成装置。
【請求項3】
第1時刻を示す第1時刻情報を記憶する第1記憶部をさらに備え、
前記時刻判断部は、
前記第1記憶部に記憶された前記第1時刻情報に基づく第1時刻を前記所定の時刻として前記時刻情報に基づく時刻が前記第1時刻に到達したか否か判断する、又は、
前記第1記憶部に記憶された前記第1時刻情報に基づく第1時刻よりも所定の時間だけ前の第2時刻を所定の時刻として前記時刻情報に基づく時刻が前記第2時刻に到達したか否かを判断する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データを記憶する第2記憶部をさらに備え、
前記処理判断部は、処理命令情報に基づいて行われる処理が、前記端末装置を利用して前記第2記憶部に記憶される前記画像データに基づく画像の閲覧を要求する処理、前記第2記憶部に記憶される前記画像データに基づく画像を加工する処理、及び、前記端末装置から送信された複数の画像データに基づいて画像を形成する処理のいずれかである場合に前記処理命令情報に基づいて行われる処理を前記所定の処理であると判断する
請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記情報出力部に、前記通知情報として前記画像形成装置のメンテナンスが行われる旨を示す情報を出力させる
請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−30460(P2012−30460A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171355(P2010−171355)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】