説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】複数のトナー像の重ね合わせではなく、記録媒体に形成された三原色の表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じることがなく高品質のカラー画像を形成でき、またトナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき、さらにトナーの消費量を低減できる省資源性に優れ小型化が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも二色の表示要素12が規則的に繰り返し形成された記録媒体10に、カラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込手段2と、静電潜像を単色のトナーによって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像手段15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用してカラー画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を採用した画像形成装置においては、像担持体としての電子写真感光体を帯電器により帯電し、電子写真感光体に画像情報に応じた光照射を行って静電潜像を形成し、この静電潜像を現像器によって現像して顕像化したトナー像をシート材等に転写して画像を形成することが行われている。
一方、画像のカラー化に伴って、このような一連の画像形成プロセスが展開される像担持体を複数備えておき、シアン像、マゼンダ像、イエロー像、好ましくはブラック像の各トナー像をそれぞれの像担持体に形成し、各像担持体の転写位置にてシート材に各トナー像を重ね合わせて転写することによりフルカラー画像を形成するタンデム式等の画像形成装置が普及している。
【0003】
このように複数の像担持体に形成された各トナー像を転写し重ね合わせてフルカラー画像を形成する画像形成装置では、各トナー像が本来位置すべき転写位置からずれると、各色のトナー像が正しく重ならずに色ずれが発生し、形成されるカラー画像の画像品質が著しく低下するという問題がある。
各色のトナー像の転写位置ずれの原因としては、各トナー像が形成される各像担持体の軸間隔の誤差によるもの、各像担持体の主走査方向の傾きや光学系の傾きによるもの、各像担持体への静電潜像の書き込み位置のずれによるもの、各像担持体から中間転写ベルト等にトナー像を転写する際の摩擦力の違いによるもの等が考えられる。これらが原因となる位置ずれは、シアン像、マゼンダ像、イエロー像、ブラック像のトナー像毎に複数の像担持体を配置したことによって大きくなるものである。
【0004】
そこで、検出した位置ずれ量に基づき補正を行い、位置ずれを低減させる種々の画像形成装置が開発されている。
従来の画像形成装置としては、(特許文献1)に「カラーパターンのセンサ出力から得られる出力変化率と、基準色パターンのセンサ出力とに基づいて位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、を有する画像形成装置」が開示されている。
(特許文献2)には、「静電潜像を可視化する現像手段が、像担持体への1色目の画像書き込みに先立って、少なくとも中間転写ベルトの1周回前に第1色目の現像バイアスを印加するような画像形成装置」が開示されている。
【特許文献1】特開2004−184577号公報
【特許文献2】特開2006−31043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術で算出した位置ずれ量に基づいて行った補正では、各像担持体の主走査方向の傾きや光学系の傾きが原因の位置ずれ、各像担持体から中間転写ベルト等にトナー像を転写する際の摩擦力の違いが原因の位置ずれまでを補正することができず、色ずれを根本的に低減させることができないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、像担持体への1色目の画像書き込みに先立って中間転写ベルトの1周回前に第1色目の現像バイアスを印加することによって、像担持体と中間転写ベルト間の摩擦係数を低下させ、色ずれを生じるような大きな摩擦力が生じるのを防止できるが、各トナー像が形成される各像担持体の軸間隔の誤差、各像担持体の主走査方向の傾きや光学系の傾き、各像担持体への静電潜像の書き込み位置のずれが原因の位置ずれは低減できないという課題を有していた。
(3)以上のように(特許文献1)及び(特許文献2)に開示の技術は、複数の像担持体に形成された各トナー像を転写し重ね合わせてフルカラー画像を形成するものなので、複数の像担持体を配置することに伴う誤差や位置ずれが必ず生じるという課題を有していた。以上の課題は、複数色のトナー像を重ね合わせてカラー画像を形成する方式では、避けられないものである。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、複数のトナー像の重ね合わせではなく、記録媒体に形成された三原色の表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じることがなく高品質のカラー画像を形成でき、またトナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき、さらにトナーの消費量を低減できる省資源性に優れ小型化が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、像担持体への静電潜像の書き込み位置のずれを無くし、色ずれのないカラー画像を確実に形成でき信頼性に優れ、またトナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき生産性に優れ、さらにトナーの消費量を低減できる省資源性に優れた画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために本発明の画像形成装置及び画像形成方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の画像形成装置は、少なくとも二色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体に、カラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込手段と、前記静電潜像を単色のトナーによって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像手段と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)少なくとも二色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体にカラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込手段と、静電潜像を単色のトナーによって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像手段と、を備えているので、多色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体の表示要素の上にネガカラーの単色のトナー像を形成することによって、複数のトナー像の重ね合わせではなく、記録媒体に予め形成された多色の表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じない。
(2)像担持体に複数のトナー像を形成しそのトナー像を記録媒体に転写してカラー画像を形成するのではなく、記録媒体に単色のトナー像を直接形成してポジカラー画像を形成するので、トナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成できる。
(3)ポジカラー画像を記録媒体に形成する際には単色のトナーしか消費しないので、トナーの消費量を著しく低減することができる。
【0008】
ここで、画像書込手段としては、イオンや電子を発生させて記録媒体に静電潜像を形成できるものであればよく、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させるもの等を用いることができる。
なかでも、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させる画像書込手段であって、特開2003−326756号公報やWO2005/056297号公報に示すような、電圧が印加された放電電極への選択的加熱で放電を行わせる加熱放電方式の画像書込手段が好適に用いられる。加熱の制御に5V駆動のような低耐電圧対応のドライバICが使用できるので、放電の制御を容易に行うことができるからである。
【0009】
現像手段としては、記録媒体に形成された静電潜像を黒色や白色等の単色のトナーによって現像し、単色のトナー像として可視化するトナースプレーガン等が用いられる。
【0010】
記録媒体としては、紙,布,不透明な合成樹脂製等のフィルム,シート等の不透明な基材で形成されたもの、透明な合成樹脂製等のフィルム,シート等の透明な基材で形成されたもののいずれも用いることができる。記録媒体に形成される表示要素は二色以上であればよく、色の組み合わせも適宜選択することができる。一つの画素を表示要素の色数に応じて複数のサブ画素に分割して各々の表示要素を縞状等に繰り返し配置することでカラー化に対応できる。なお、表示要素が、少なくとも減法混色法におけるレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)を備えた場合、フルカラー表示を行うことができる。これらの三原色にブラック(K)等の他の色を加えることもできる。ブラック(K)を加えることにより黒色をより鮮明にできる。
表示要素としては、記録媒体の基材に微細な網点状,縞状等に形成されたものが用いられる。
表示要素は、オフセット印刷,グラビア印刷,凸版印刷,インクジェット印刷,レーザ印刷等によって記録媒体に形成することができる。また、記録媒体の記録面側に、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)のカラー反射板を縞状等に配置することもできる。また、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)のカラーフィルタを縞状等に配置することもできる。
【0011】
なお、記録媒体に形成されたトナー像を熱、圧力等によって記録媒体の上に固定するローラ等の定着手段を備えていると、トナー像を記録媒体の上に固定化させポジカラー画像を定着させられるので好ましい。
この画像形成装置は、紙等の基材で形成された記録媒体に画像を形成する以外に、固定或いは着脱自在に配設された記録媒体を表示媒体として広告等の画像を表示する看板等の画像表示装置としても使用することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記記録媒体が、前記表示要素に対応して形成された対向電極を備え、前記画像書込手段が、前記記録媒体に電荷を付与する電荷付与部と、前記対向電極に電気的に接続され前記カラー画像信号に基いて前記対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行う帯電選択部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)記録媒体が、表示要素に対応して形成された対向電極を備え、画像書込手段が、記録媒体に電荷を付与する電荷付与部と、対向電極に電気的に接続されカラー画像信号に基いて対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行う帯電選択部と、を備えているので、選択された対向電極に対応した表示要素に静電潜像を形成することができ、記録媒体への静電潜像の書き込み位置のずれを無くし、記録媒体に形成された表示要素の上に確実にネガカラーの単色のトナー像を形成することができるため、色ずれのないポジカラー画像を形成できる。
(2)選択された対向電極に対応した表示要素の上に静電潜像を形成することができるので、対向電極の配線密度に応じた高精細なカラー画像を形成することができる。
【0013】
ここで、対向電極としては、ITO製、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)製、共役系の導電性ポリアニリンやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸からなる導電性高分子(PEDOT/PSS)製等の透明電極が用いられる。透明電極は、透明な基材で形成された記録媒体、不透明な基材で形成された記録媒体のいずれにも対向電極として用いることができる。この場合の対向電極は、記録媒体の記録面(静電潜像が形成される面)に形成することができ、また記録面の反対側の面に形成することもできる。
記録媒体が、紙,布,不透明な合成樹脂製等のフィルム,シート等の不透明な基材で形成されている場合には、対向電極は、銅等の不透明な金属製電極を用いることもできる。この場合の対向電極は、記録媒体の記録面(静電潜像が形成される面)の反対側の面に配置することができる。
【0014】
電荷付与部としては、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させるもの等のように、記録媒体の記録面(静電潜像が形成される面)の全面や一部に電荷を付与するものが用いられる。
なかでも、電子放出部位を有する放電電極と、放電電極を選択的に加熱する加熱手段と、を備えた加熱放電型印字ヘッドが好適に用いられる。放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を帯電選択部で設定して電界を形成し、放電電極を加熱手段で温度制御することにより、帯電選択部で電位差が設定された放電電極と対向電極との間の放電の発生制御を行い、放電電極から放出させた電子やイオンを記録媒体に移動させて選択的に静電潜像を形成することができる。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)帯電選択部により放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成した状態で放電に備えることができ、高電圧となる放電制御電圧を直接制御する必要がなく、加熱手段により放電電極を選択的に加熱することで放電電極と対向電極との間で放電を発生させることができ、電界によって放電電極から放出させた電子やイオンを記録媒体側に移動させ、記録面に電荷を付与して静電潜像を形成することができる。
(2)帯電選択部が、放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成することにより、対向電極側に放電制御電圧の一部を選択的に印加することができるので、加熱放電型印字ヘッドの放電電極に直接印加する電圧を低減することができ、放電電極と加熱手段の間を絶縁する絶縁膜を薄くして熱伝達性を向上させ、効率的に放電を発生させることができ省エネルギー性に優れる。
(3)帯電選択部により放電電極と対向電極との間の電位差が放電制御電圧と等しくなるように放電電極及び対向電極の各々に印加する電圧値を任意に設定することができるので、記録媒体の種類や特性等に応じて対向電極に印加する電圧値を最適に調整することができ汎用性に優れる。
【0015】
ここで、放電制御電圧とは、その電位差だけでは加熱放電型印字ヘッドの放電電極と記録媒体の対向電極との間で放電は起こらないが、放電電極を加熱することにより放電が起こる電圧域を言う。また、ここでの放電とは放電電極から電子が放出されることを言う。放出された電子は、大気中においては酸素や窒素をイオン化し、それらを記録媒体の記録面に到達させる。
帯電選択部で放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成すると共に、加熱手段で放電電極の加熱を行うことにより放電の発生を制御できるので、加熱手段による加熱箇所を選択することで容易に放電電極の任意の加熱位置近傍(電子放出部位)から選択的に電子を放出させて放電を発生させることができる。
【0016】
放電電極は、例えば複数の電子放出部位の一端部を共通電極で接続して櫛型に形成したり、複数の電子放出部位の両端部を共通電極で接続して梯子型等に形成したりできるほか、長方形状や正方形状等の一枚の平板状に形成することができる(例えば、特開2003−326756号、WO2005/056297参照)。
櫛型や梯子型のように電子放出部位近傍に共通電極を設けることで、放電電極の放熱面積の拡大及び、熱容量の増大により、放電電極の冷却効果、加熱停止に対する応答性が向上し、また、抵抗値の低減により常に安定した電圧を印加できるので、放電の安定性等を更に向上させることができる。尚、平板状に形成した放電電極は、電子放出部位以外が共通電極となる。
特に、共通電極の幅を電子放出部位の幅より幅広に形成した場合、一時的に100〜300℃に加熱される放電電極の冷却効果が向上し、熱の籠りを防ぐことができるので、加熱のオフに迅速に応答して放電を停止でき、放電時間間隔を短縮して短時間で放電の有無を切替えることができ、記録速度の高速化を図ることができる。また、共通電極の抵抗値を引き下げることができ、共通電極で接続された各々の電子放出部位の間に生じる電位差を極力抑えることができるので、各々の電子放出部位における電子放出量のばらつきを低減でき、放電の安定性に優れる。
【0017】
放電電極は、基板上に金、銀、銅、アルミニウム等の金属を蒸着、スパッタ、印刷、メッキなどで形成した後、必要に応じてエッチングして電子放出部位や共通電極をパターン形成するもの、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属の少なくとも一部をエッチングや切削等により薄肉化した後、必要に応じてエッチングやレーザ加工等により放電電極をパターン形成するもの等が好適に用いられる。また、その他にカーボン等の導電材料を用いて放電電極を形成してもよい。
基板上に放電電極を形成する場合、基板の材質としては、表面に放電電極を形成することができると共に、加熱手段による加熱に耐える耐熱性を有するものであればよい。また、加熱手段で基板の裏面側から加熱を行う場合、加熱手段が発する熱を放電電極に伝達できる熱伝達性を有するものが好適に用いられる。具体的には、ガラスやポリイミド,アラミド,ポリエーテルイミド等の合成樹脂等が好適に用いられる。
【0018】
放電電極を櫛型に形成する場合、各々の電子放出部位の形状は、略矩形状、台形状、半円形状、砲弾状あるいはこれらを組合せた形状等に形成することができる。また、電子放出部位の一部をさらにスリット等で分割したり、周縁部に凹凸部を形成したりすることで電子放出部位の縁周辺の周長を増加させることができる(例えば、WO2005/056297参照)。放電電極は縁周辺からの電子放出量が多いので、縁周辺の周長を長くすることで、放電電極からの電子放出量を増加させて照射されるイオン量や発光強度を増加させることができ、放電制御電圧や加熱温度を低く設定することができ、省エネルギー性及び放電発生の効率性に優れる。また、放電制御電圧を低く設定できるので、放電電極の長寿命性にも優れる。
放電電極の端部を分割したり周縁部に凹凸部を形成したりする代りに、電子放出部位(加熱位置)の近傍に放電孔部を形成してもよい。これにより、放電孔部の縁周辺から電子を放出させることができ、放電電極の端部を分割するのと同様の作用を得ることができる。放電孔部の形状は、略円形、略楕円形、四角形や六角形等の多角形、星形など様々な形状に形成することができる。また、電子放出部位(加熱位置近傍)の1箇所当たりの放電孔部の数及び大きさは適宜選択して組合せることができる。尚、放電電極の凹凸部や放電孔部は前述のエッチングやレーザ加工等により形成することができる。
【0019】
また、放電電極の内の少なくとも共通電極の表面には導電材層を形成してもよい。これにより、共通電極の抵抗値を更に引き下げることができ、各々の電子放出部位間に生じる電位差を確実に低減でき、放電の安定性に優れる。導電材層は放電電極よりも優れた導電性を有するものであればよく、銀ペーストのスクリーン印刷や銀メッキ等により容易に形成することができる。導電材層の厚みを増すことにより、共通電極の抵抗値を低減でき、放電の安定性を向上させることができる。
放電電極の厚さは材質にもよるが、金で形成する場合の厚さは0.1μm〜100μmが好ましい。放電電極の厚さが0.1μmより薄くなるにつれ摩耗の影響を受け易く放電電極の寿命が短くなる傾向があり、100μmより厚くなるにつれ熱容量が増加し加熱のオン/オフに対する応答性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。放電電極の厚さを100μm以下にすることで、加熱状態から急速に復帰させることができ、印字速度を高速化することができる。
【0020】
放電電極を加熱する加熱手段としては、放電電極の任意の位置を選択的に加熱できるものであればよく、放電電極に密着して加熱するものでもよいし、放電電極から離間して加熱するものでもよい。
放電電極と密着させて加熱する加熱手段としては、従来の感熱式のファクシミリに使用されるサーマルプリントヘッドと同様の構成を好適に用いることができる。具体的には、発熱抵抗体と電気的に接続されたドライバICで発熱抵抗体の発熱を制御するものである。
放電電極と離間して加熱する加熱手段としては、レーザ光を照射する方式や赤外線を照射する方式等を好適に用いることができる。レーザ光を照射する方式としては、レーザ照射部とポリゴンミラーやガルバノミラーを組合せたもの、レーザ照射部をシリアル走査させるもの等が好適に用いられる。
【0021】
帯電選択部としては、対向電極を行単位或いは列単位で接地若しくは電圧印加の有無をスイッチングするものが好適に用いられる。対向電極を行単位或いは列単位で選択可能に形成した場合、電荷付与部では列方向或いは行方向の位置を選択するだけで、両者が交差する位置に電子やイオンを照射させることができるからである。
また、対向電極を各画素の表示要素毎に選択できるようにマトリクス状などに形成した場合、電荷付与部側で選択的な駆動を行わなくても、選択された対向電極に対向する位置から電子やイオンを照射させることができる。従って、電荷付与部の構造や制御方法に応じて対向電極のパターンを選択することにより、カラー画像信号に基いて静電潜像を形成しポジカラー画像を表示させることができる。
加熱放電型印字ヘッドを電荷付与部として用いる場合、帯電選択部は、記録媒体の対向電極に選択的な接地又は電圧印加を行い、加熱放電型印字ヘッドの放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定できるものであればよい。帯電選択部は、放電制御電圧に相当する電圧を全て放電電極のみに印加し、記録媒体の対向電極を選択的に接地するようにしてもよいし、放電制御電圧に相当する電圧の一部を分配して記録媒体の対向電極に選択的に印加するようにしてもよい。尚、放電電極に直接印加する電圧が低電圧の場合、放電電極側でスイッチングを行ってもよい。
【0022】
対向電極への接地や電圧印加を行うタイミングは、電荷付与部の種類によって異なる。電荷付与部で発生した電子やイオンを、電荷付与部と対向電極との電位差により記録媒体に照射して電荷を付与するものは、電荷付与部の駆動と対向電極への接地若しくは電圧印加を同期させて行うか、予め対向電極への接地若しくは電圧印加を行った状態で電荷付与部を駆動することにより、電荷付与部から放出される電子やイオンを記録媒体の所望の位置に照射して静電潜像を形成することができる。また、電荷付与部単体で熱電子を放出させ、それを対向電極に印加した電圧により記録媒体側に移動させて電子やイオンを照射して電荷を付与するものは、予め電荷付与部を駆動して熱電子が放出されている状態で対向電極に正電圧を印加することにより、電子やイオンを記録媒体の所望の位置に照射して静電潜像を形成することができる。
【0023】
画像形成装置は、電荷付与部と記録媒体を相対的に移動させて画像を形成することができる。記録媒体を平板型の記録媒体載置部に載置して電荷付与部又は記録媒体載置部を水平移動させるようにしてもよいし、記録媒体を搬送ローラで搬送してもよい。
【0024】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記帯電選択部が、前記静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極に前記トナーの電荷と同極性の電圧を印加するスイッチを備えた構成を有している。
この構成により、請求項2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)現像手段を用いて静電潜像を単色のトナーによって可視化する際、スイッチで静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極にトナーの電荷と同極性の電圧を印加することで、静電潜像が形成されていない表示要素の上にはトナーが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素の上だけをトナーで可視化できるので、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像を浮き上がらせることができる。
【0025】
ここで、本画像形成装置は、静電潜像をトナーで可視化するときに、静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極にスイッチで選択的に電圧を印加する必要がある。静電潜像だけをトナーで可視化するためである。このため、記録媒体は、表示要素単位及び対向電極がマトリクス状に形成されたものが好適に用いられる。対向電極への選択的な電圧印加を記録媒体の記録面の全面について同時に行うことができるからである。但し、表示要素単位及び対向電極が行単位又は列単位で形成された記録媒体であっても、スイッチによる電圧印加とトナーによる可視化を行単位又は列単位で繰り返すことにより画像を形成することができる。
【0026】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の画像形成装置であって、前記記録媒体の基材が透明である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)記録媒体の基材が透明なので、表示要素としてシアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)のカラー反射板やレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)のカラーフィルタを配置した記録媒体を用いることができ、発色の良い画像を表示できる看板等の画像表示装置として使用することができる。
【0027】
ここで、記録媒体の透明な基材としては、合成樹脂製等のフィルム,シート等のうち透明なものを用いることができる。また、記録媒体に形成される表示要素としては、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)のカラー反射板、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)のカラーフィルタ等を用いることができる。また、記録媒体に形成される対向電極としては、ITO製、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)製、共役系の導電性ポリアニリンやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸からなる導電性高分子(PEDOT/PSS)製等の透明電極を用いることができる。
記録媒体の輝度を上げるため、記録媒体の背面側にバックライトを配設することもできる。
【0028】
本発明の請求項5に記載の画像形成方法は、少なくとも二色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体に、カラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込工程と、前記静電潜像を単色のトナーによって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体の表示要素の上にネガカラーの静電潜像を形成する画像書込工程と、静電潜像を単色のトナーによって可視化したトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像工程と、を備えているので、複数のトナー像の重ね合わせではなく、予め記録媒体に形成された表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じない。
(2)像担持体に複数のトナー像を形成して像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写してカラー画像を形成するのではなく、記録媒体に単色のトナー像を直接形成してポジカラー画像を形成するので、トナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき生産性に優れる。
(3)ポジカラー画像を記録媒体に形成する際には単色のトナーしか消費しないので、トナーの消費量を著しく低減することができ省資源性に優れる。
【0029】
ここで、記録媒体としては、請求項1で説明したものと同様なので、説明を省略する。
画像書込工程としては、記録媒体に電荷を付与してカラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する工程である。記録媒体に電荷を付与する手段としては、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させるもの等のように、記録媒体の記録面(静電潜像が形成される面)の全面や一部に電荷を付与するものが用いられ、具体的には請求項1で説明した画像書込手段、請求項2で説明した電荷付与部と同様のものが用いられる。
【0030】
なお、画像書込工程の前工程として、記録媒体の記録面の電荷を除去若しくは一様に帯電して初期化する初期化工程を備えているのが好ましい。これにより、カラー画像信号どおりの静電潜像を記録媒体に確実に形成することができ画像品質の信頼性に優れる。初期化手段としては、記録媒体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電ローラや帯電ブラシ、イオナイザー等を用いることができる。
【0031】
現像工程としては、記録媒体の静電潜像に黒色や白色等の単色のトナーを付着させてトナー像を形成し静電潜像を可視化させ、カラー画像信号に応じたポジカラー画像を浮かび上がらせる工程が用いられる。
【0032】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成方法であって、前記画像書込工程において、前記表示要素に対応した対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行いながら前記記録媒体に電荷を付与する構成を備えている。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)表示要素に対応した対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行いながら記録媒体に電荷を付与することにより、選択された対向電極に対応した表示要素に静電潜像を形成でき、色ずれのない鮮明なポジカラー画像を浮かび上がらせることができる。
【0033】
ここで、画像書込工程では、記録媒体に付与する電荷の極性に応じて、種々の静電潜像の形成方法を選択することができる。例えば、表示要素に対応した対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行いながら記録媒体にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、接地若しくは電圧印加を行った対向電極の位置に、トナーと逆極性の静電潜像を形成することができる。また、表示要素に対応した対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行いながら記録媒体の全面にトナーと同極性の電荷を付与することにより、接地若しくは電圧印加を行った対向電極以外の記録媒体にトナーと同極性の電荷を付与することもでき、選択した対向電極の位置に静電潜像を形成することができる。また、記録媒体を一様に帯電させた後、画像書込工程において、表示要素に対応した対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行いながら帯電させた記録媒体と逆極性の電荷を記録媒体に付与することで、記録媒体の電荷を選択的に消去させて静電潜像を形成させることもできる。
【0034】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成方法であって、前記画像書込工程において、(a)前記対向電極と、電子放出部位を有する放電電極と前記放電電極を選択的に加熱する加熱手段とを有する加熱放電型印字ヘッドと、の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定工程と、(b)前記カラー画像信号に基いて前記加熱手段で前記放電電極を選択的に加熱する放電電極加熱工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項6で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)放電電極加熱工程と、カラー画像信号に基く選択的な対向電極の接地又は電圧印加とを同期させて行うことで、放電電極の温度、放電電極と対向電極の電位差の両方の条件によって放電を発生させることができるので、加熱された放電電極の温度が低下せずに放電が持続してしまう等の誤作動を防止でき画像の高品質性に優れる。
【0035】
ここで、加熱放電型印字ヘッドは請求項2で説明しているので、ここでの説明は省略する。
加熱放電型印字ヘッドでは、電位差設定工程において放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成した状態で、放電電極加熱工程においてカラー画像信号に基いて加熱手段で放電電極を選択的に加熱することにより放電を発生させることができる。そのため、加熱放電型印字ヘッドでは、放電電極に印加する電圧を放電制御電圧と同等か、放電制御電圧よりやや低めに設定しておけば、画像書込工程では対向電極を接地するか、放電制御電圧の不足分を補うだけの比較的、低電圧の電圧を制御して印加するだけで、選択的に放電制御電圧に相当する電位差を設定することができ、放電電極加熱工程において放電電極を加熱制御することにより、記録媒体の記録面上に確実に電子やイオンを照射して電荷を付与することができる。
なお、加熱放電型印字ヘッドは、放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定しただけでは放電は発生しないので、対向電極を選択した後に放電電極加熱工程を行ってもよいし、対向電極の選択と放電電極加熱工程を同時に行ってもよい。
【0036】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成方法であって、前記電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程において前記放電電極に前記放電制御電圧以下の駆動用電圧を印加するタイミングと、前記放電電極加熱工程のタイミングを同期させる構成を有している。
この構成により、請求項7で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッド側電圧印加工程において放電電極に駆動用電圧を印加するタイミングと、放電電極加熱工程において放電電極を選択的に加熱するタイミングを同期させることにより、確実に放電を発生させて記録媒体に付与する電荷量のばらつきを低減することができ、画像品質の信頼性に優れるとともに高品質な階調記録ができ、さらに放電電極に不必要な電圧を印加することがなく省エネルギー性に優れる。
【0037】
ここで、加熱放電型印字ヘッドでは、電位差設定工程において放電電極と対向電極との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成した状態で、放電電極加熱工程において画像情報に基づいて加熱手段で放電電極を選択的に加熱することにより放電を発生させるが、放電電極に印加する駆動用電圧としては様々な波形を選択することができ、三角波、矩形波、台形波、sin波等を単独で或いは組合せて用いたり、さらにこれらに直流電圧や交流電圧を重畳したりできる。例えば、電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程において、放電電極に駆動用電圧として交流電圧のみを印加すると正負のイオンが生成される。そこで、負のイオンのみを選別するには交流電圧に負の直流電圧を重畳し、正のイオンのみを選別するには交流電圧に正の直流電圧を重畳したものを駆動用電圧として放電電極に印加する。
このとき、加熱手段による加熱量を一定に制御しても、加熱時に放電電極に印加されている駆動用電圧の電圧値が異なれば、イオンの発生量が異なるので、特に駆動用電圧のピーク値がサイン波や三角波等のように時間と共に変化する場合には、ヘッド側電圧印加工程において駆動用電圧を印加するタイミングと、放電電極加熱工程において放電電極を加熱するタイミングを同期させる必要がある。時間と共に周期的に変化する駆動用電圧に対し、常に同じタイミングで放電電極の加熱を行うことにより、イオンの発生量のばらつきを低減することができるためである。
【0038】
尚、駆動用電圧の電圧値がピークになった時点で放電電極の温度もピークになっていれば、放電の発生効率は最大となり、それに伴って生成されるイオンの発生量も最大となる。駆動用電圧の電圧値のピーク時に放電電極の温度がピークになっていない場合、放電の発生効率は低下することになるが、駆動用電圧が印加されている間に放電電極が所定の温度以上に加熱されていれば、イオンを発生させることができる。尚、加熱手段による加熱時間に幅を持たせて、加熱時間中に駆動用電圧の電圧値がピークになるようにすれば、イオンの発生量のばらつきを大幅に低減することができ、駆動用電圧の電圧値のピークと放電電極の温度のピークのタイミングが必ずしも一致する必要はない。
また、ヘッド側電圧印加工程と放電電極加熱工程の同期を取る際には、どちらを基準としても構わない。
【0039】
また、ヘッド側電圧印加工程における駆動用電圧の印加を一印字周期内で複数回繰返す構成を有していると、さらに以下のような作用が得られるため好ましい。
(1)ヘッド側電圧印加工程における駆動用電圧の印加を一印字周期内で複数回繰返すことにより、それに同期させて加熱手段による加熱を複数回に分割して繰返すことができ、放電量が多くなる加熱の立ち上がりの回数を増加させることができるので、全体としてのイオン発生量を増加させることができ、放電発生の効率性に優れる。
(2)一印字周期内で繰返す駆動用電圧の印加回数を制御するだけでイオン発生量を簡便に精度よく制御でき、高品質な階調記録を行うことができる。
(3)一印字周期内で駆動用電圧の印加を複数回繰返すことにより、放電回数を増加させて全体としてのイオン発生量を増加させることができるので、駆動用電圧のピーク値を低く設定することや加熱手段による加熱時間及び放電発生時間を全体として短縮することができ、放電電極の長寿命性に優れる。
【0040】
ここで、ヘッド側電圧印加工程において一印字周期内で駆動用電圧の印加を繰返す場合、各々の駆動用電圧の印加のタイミングに同期して放電電極加熱工程が行われる。1回当たりの駆動用電圧の電圧値や印加時間或いは加熱手段による加熱時間を制御したり、一印字周期内での駆動用電圧の印加及び加熱手段による加熱の繰返しの回数を制御したりすることにより、イオン発生量を制御することができる。
【0041】
また、ヘッド側電圧印加工程で放電電極に印加される駆動用電圧のピーク時に、放電電極加熱工程による放電電極の加熱を行う構成を有していると、さらに以下のような作用が得られるため好ましい。
(1)ヘッド側電圧印加工程で放電電極に印加される駆動用電圧のピーク時に、放電電極加熱工程による放電電極の加熱を行うことにより、確実に放電を発生させることができ、特に、駆動用電圧のピークと放電電極加熱工程により加熱された放電電極の温度のピークを略一致させた場合、最大量のイオンを発生させることができ、放電発生の効率性に優れる。
【0042】
ここで、放電電極加熱工程における加熱には時間の幅があるので、その加熱時間中に駆動用電圧の電圧値がピークになるようにタイミングを合わせれば、確実に放電を発生させることができる。
実際に駆動用電圧のピークと放電電極の温度のピークを略一致させる場合には、加熱手段から放電電極へ熱が伝わるまでの時間を考慮し、放電電極加熱工程における加熱手段の加熱ONタイミングを放電電極に印加される駆動用電圧のピークのタイミングよりも早目に設定する必要がある。尚、加熱手段の加熱ONタイミングから放電電極が所定の温度に達するまでの時間(タイムラグ)は、発熱部絶縁膜の厚み、材料の熱伝導性、加熱温度等の違いにより差が出てくるため、それらの条件に応じて適宜、タイミングを調整する。
【0043】
また、ヘッド側電圧印加工程に同期させて対向電極に放電制御電圧の一部を印加する媒体側電圧印加工程を行う構成を有していると、さらに以下のような作用が得られるため好ましい。
(1)ヘッド側電圧印加工程に同期させて対向電極に放電制御電圧の一部を印加する媒体側電圧印加工程を行うことにより、放電電極に直接印加される駆動用電圧を低減することができ、放電電極の長寿命性に優れると共に、記録媒体の種類や特性等に応じて対向電極に印加する電圧値を最適に調整して高品質な画像を形成することができ、汎用性に優れる。
(2)媒体側電圧印加工程をヘッド側電圧印加工程に同期させることにより、非印字状態で対向電極に電圧が印加されないようにすることができ、不具合等により印字が中断或いは停止した際に、安全に記録媒体を取り除くことができメンテナンス性に優れる。
【0044】
ここで、放電電極と対向電極との間の電位差が放電制御電圧の範囲内にあればよいので、その範囲内で放電電極及び対向電極に印加する電圧値を任意に設定することができる。
尚、対向電極に印加する電圧は、放電電極に印加する駆動用電圧と同様に様々な波形を選択することができる。例えば、交流電圧に直流電圧を重畳した放電制御電圧の一部を対向電極に印加する場合、その直流成分の少なくとも一部を対向電極に分配して印加してもよいし、交流成分の一部を対向電極に分配して印加してもよい。
【0045】
また、ヘッド側電圧印加工程において放電電極への駆動用電圧の印加前若しくは印加後の少なくともいずれか一方で駆動用電圧と逆極性の補助電圧を放電電極に印加する構成を有していると、さらに以下のような作用が得られるため好ましい。
(1)ヘッド側電圧印加工程において放電電極への駆動用電圧の印加前に駆動用電圧と逆極性の補助電圧を放電電極に印加することにより、直前の駆動で発生した余分な電子やイオンを駆動前に放電電極に引き寄せて回収することができ、画像の汚れを防止して画像品質を向上させることができる。
(2)ヘッド側電圧印加工程において放電電極への駆動用電圧の印加後に駆動用電圧と逆極性の補助電圧を放電電極に印加することにより、駆動によって発生した余分な電子やイオンをその駆動直後に回収して次の駆動(駆動用電圧の印加)に備えることができ、駆動周期が長い場合でも電子やイオンが浮遊することがなく、信頼性に優れる。
【0046】
ここで、補助電圧は余分な電子やイオンを放電電極に引き寄せることができる程度の小さな電圧でよい。例え補助電圧が印加されている状態で放電電極が加熱されても放電が発生しないようにその電圧値を設定することにより、不要な電子やイオンが発生することがなく信頼性に優れる。
【0047】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項5乃至8の内いずれか1に記載の画像形成方法であって、前記現像工程において、前記静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極に前記トナーの電荷と同極性の電圧を印加する構成を有している。
この構成により、請求項5乃至8の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)現像工程において静電潜像を単色のトナーによって可視化する際、静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極にトナーの電荷と同極性の電圧を印加することで、静電潜像が形成されていない表示要素の上にはトナーが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素の上だけをトナーで可視化することができ、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像を浮き上がらせることができる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)多色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体の表示要素の上にネガカラーの単色のトナー像を形成することによって、複数のトナー像の重ね合わせではなく、記録媒体に形成された多色の表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じることがなく高品質のカラー画像を形成できる画像形成装置を提供できる。
(2)記録媒体に単色のトナー像を直接形成してポジカラー画像を形成するので、トナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成できる高速の画像形成装置を提供できる。
(3)ポジカラー画像を記録媒体に形成する際には単色のトナーしか消費しないので、トナーの消費量を著しく低減することができ省資源性に優れた画像形成装置を提供できる。
【0049】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)選択された対向電極に対応した表示要素に静電潜像を形成することができ、記録媒体への静電潜像の書き込み位置のずれを無くし、記録媒体に形成された表示要素の上に確実にネガカラーの単色のトナー像を転写することができるため、色ずれのないポジカラー画像を確実に形成でき高品質の画像を信頼性よく形成できる画像形成装置を提供できる。
(2)選択された対向電極に対応した表示要素の上に静電潜像を形成することができるので、対向電極の配線密度に応じた高精細なカラー画像が形成できる画像形成装置を提供できる。
【0050】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、
(1)現像手段を用いて静電潜像を単色のトナーによって可視化する際、スイッチで静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極にトナーの電荷と同極性の電圧を印加することで、静電潜像が形成されていない表示要素の上にはトナーが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素の上だけをトナーで可視化できるので、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像が得られる画像形成装置を提供できる。
【0051】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)発色の良い画像を表示できる看板等の画像表示装置として使用することができ応用性に優れた画像形成装置を提供できる。
【0052】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)複数のトナー像の重ね合わせではなく、予め記録媒体に形成された表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じない高品質のカラー画像を形成できる画像形成方法を提供できる。
(2)像担持体に複数のトナー像を形成して像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写してカラー画像を形成するのではなく、記録媒体に単色のトナー像を直接形成してポジカラー画像を形成するので、トナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき生産性に優れた画像形成方法を提供できる。
(3)ポジカラー画像を記録媒体に形成する際には単色のトナーしか消費しないので、トナーの消費量を著しく低減することができ省資源性に優れた画像形成方法を提供できる。
【0053】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)接地若しくは電圧印加を行った対向電極の位置にネガカラーの静電潜像を形成させることができるので、現像工程において静電潜像をトナーで可視化すると、色ずれのない鮮明な高画質のポジカラー画像を浮かび上がらせることができる画像形成方法を提供できる。
【0054】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加え、
(1)放電電極加熱工程と、カラー画像信号に基く選択的な対向電極の接地又は電圧印加とを同期させて行うことで、放電電極の温度、放電電極と対向電極の電位差の両方の条件によって放電を発生させることができるので、加熱された放電電極の温度が低下せずに放電が持続してしまう等の誤作動を防止でき画像の高品質性に優れた画像形成方法を提供できる。
【0055】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、
(1)ヘッド側電圧印加工程において放電電極に駆動用電圧を印加するタイミングと、放電電極加熱工程において放電電極を選択的に加熱するタイミングを同期させることにより、確実に放電を発生させて記録媒体に付与する電荷量のばらつきを低減することができ、画像品質の信頼性に優れるとともに高品質な階調記録ができ、さらに放電電極に不必要な電圧を印加することがなく省エネルギー性に優れた画像形成方法を提供できる。
【0056】
請求項9に記載の発明によれば、請求項5乃至8の内いずれか1の効果に加え、
(1)現像工程において静電潜像を単色のトナーによって可視化する際、静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極にトナーの電荷と同極性の電圧を印加することで、静電潜像が形成されていない表示要素の上にはトナーが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素の上だけをトナーで可視化することができ、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像が得られる画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は画像書込工程における本発明の実施の形態1における画像形成装置の要部模式断面図であり、図1(b)は現像工程における画像形成装置の要部模式断面図である。
図1(a)において、1はコンピュータ等からのカラー画像信号に基いて後述する記録媒体10にカラー画像を形成する本発明の実施の形態1における画像形成装置、2は画像形成装置1の画像書込手段を構成する電荷付与部、3はセラミック等で形成された電荷付与部2の基板、4は基板3の表面にガラスで形成された電荷付与部2のグレーズ層、5はグレーズ層4の表面に形成された電荷付与部2の電極、6は電極5の表面に帯状に形成され発熱により電子を放出する電荷付与部2の発熱抵抗体、10は電荷の作用により静電潜像が形成される記録媒体、11は紙や合成樹脂製等でフィルム状やシート状に形成された基材、12は一つの画素をサブ画素に分割しサブ画素内にシアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)の各々を縞状(短冊状)に繰り返し基材11に列設した表示要素である。このため、記録媒体10の一画素はシアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)の減法混色により黒色に見える。13は表示要素12が形成された基材11の反対面に表示要素12に対応して形成された対向電極、14は対向電極13に接続されカラー画像信号に基いて対向電極13に選択的な電圧印加を行う画像書込手段の帯電選択部である。
図1(b)において、15はトナースプレーガン等の現像手段、16は現像手段15から供給される正に帯電した白色のトナーである。
【0058】
ここで、グレーズ層4はガラスを軟化・焼成して形成したり、薄膜形成したりすることができるが、必ずしも設けなくてもよい。電極5は金,銀,銅,アルミニウム等の金属を蒸着,スパッタ,印刷,メッキ等で形成した後、必要に応じてエッチングしてパターン形成することができる。また、発熱抵抗体6はTaSiO,RuO等で形成することができる。
対向電極13は、記録媒体10の表示要素12の各列に合わせて短冊状に形成し、帯電選択部14のスイッチングにより記録媒体10の表示要素12の各列に対応する位置に選択的に正電圧が印加できる。
対向電極13を発熱抵抗体6と直交方向に列単位で選択できるように形成することによって、電荷付与部2の発熱抵抗体6と帯電選択部14によって正電圧が印加された対向電極13が交差する位置に電子やイオンを引き寄せて静電潜像を形成することができる。
【0059】
以上のように構成された実施の形態1における画像形成装置の動作に基いて画像形成方法を説明する。
図1(a)に示す画像書込工程においては、電荷付与部2の電極5(左端)によって発熱抵抗体6に通電して発熱させ、発熱抵抗体6から電子を放出させる。続いて、帯電選択部14では、カラー画像信号に基いてスイッチングし、対向電極13に選択的に正電圧を印加する。この結果、正電圧が印加された対向電極13(左端)に対応するマゼンダ(M)の表示要素12の上に、発熱抵抗体6から放出された電子が引き寄せられることにより、表示要素12の上に負に帯電したネガカラーの静電潜像が形成される。記録媒体10の解像度に応じて、電荷付与部2を走査させるとともに対向電極7に選択的に正電圧を印加することにより、記録媒体10の所望の表示要素12の上に電荷を付与して任意のネガカラーの静電潜像を形成する。
次に、図1(b)に示す現像工程においては、記録媒体10の解像度に応じて、現像手段15を走査させて、負に帯電した静電潜像を正に帯電したトナー16で現像し白色のトナー像を形成する。この結果、図2に示すように、記録媒体10の画素に種々の色が浮かび上がり記録媒体10にポジカラー画像が形成される。
【0060】
図2は記録媒体の表示要素の合成色の一例を説明する図であり、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)の三原色の表示要素12を白色のトナー像が覆い隠した場合に一画素に浮かび上がる合成色を示している。図中、斜線で枠内を塗りつぶすことによって、白色のトナー像が覆い隠した場合を示している。
白色のトナー像でシアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)の表示要素が覆われないときは黒色が現れ、表示要素が全て覆われたときは一画素に白色が現れる。また、イエローの表示要素が覆われたときは青色が現れ、シアンとブラックの表示要素が覆われたときは赤色が現れる。
以上のように、三原色の表示要素12の上にネガカラーの単色のトナー像を形成することによって、表示要素12の組み合わせで一画素に種々の色を浮かび上がらせ、記録媒体10にポジカラー画像を形成することができる。
【0061】
以上のように、本発明の実施の形態1における画像形成装置は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)三原色の表示要素12が規則的に繰り返し形成された記録媒体10にカラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込手段と、静電潜像を単色のトナー16によって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像手段15と、を備えているので、記録媒体10の表示要素12の上にネガカラーの単色のトナー像を形成することによって、複数のトナー像の重ね合わせではなく、記録媒体10に形成された多色の表示要素12の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じない。
(2)記録媒体10に単色のトナー像を直接形成してポジカラー画像を形成するので、トナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成できる。
(3)ポジカラー画像を記録媒体10に形成する際には単色のトナー16しか消費しないので、トナー16の消費量を著しく低減することができる。
(4)記録媒体10が、表示要素12に対応して形成された対向電極13を備え、画像書込手段が、記録媒体10に電荷を付与する電荷付与部2と、対向電極13に電気的に接続されカラー画像信号に基いて対向電極13に選択的な接地若しくは電圧印加を行う帯電選択部14と、を備えているので、選択された対向電極13に対応した表示要素12に静電潜像を形成することができ、記録媒体10への静電潜像の書き込み位置のずれを無くし、記録媒体10に形成された表示要素12の上に確実にネガカラーの単色のトナー像を転写することができるため、色ずれのないポジカラー画像を形成できる。
(5)帯電選択部14で選択された対向電極13に対応した表示要素12の上に静電潜像を形成することができるので、対向電極13の配線密度に応じた高精細なカラー画像を形成することができる。
【0062】
また、本発明の実施の形態1で説明した画像形成方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)表示要素12が規則的に繰り返し形成された記録媒体10の表示要素12の上にネガカラーの静電潜像を形成する画像書込工程と、静電潜像を単色のトナー16によって可視化したトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像工程と、を備えているので、複数のトナー像の重ね合わせではなく、予め記録媒体10に形成された表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じない。
(2)記録媒体10に単色のトナー像を直接形成してポジカラー画像を形成するので、トナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき生産性に優れる。
(3)ポジカラー画像を記録媒体10に形成する際には単色のトナー16しか消費しないので、トナー16の消費量を著しく低減することができ省資源性に優れる。
【0063】
ここで、本実施の形態においては、記録媒体10の三原色の表示要素12として、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)が縞状に形成された場合について説明したが、マトリクス状(碁盤目状)に形成した表示要素を用いる場合もある。また、表示要素をカラー反射板で形成する場合もある。
また、表示要素12の三原色として、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)を用いた場合について説明したが、記録媒体10に透明な合成樹脂製等のフィルム,シート等の透明な基材11を用いて、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の三原色を用いる場合もある。この場合は、三原色のカラーフィルタを縞状等に配置して加法混色のための表示要素を形成する。三原色の表示要素の混色によって記録媒体の基本画素は白色に見えるので、黒色のトナー像を用いて表示要素を覆い潰す。
また、表示要素として、シアン(C),マゼンダ(M),イエロー(Y)の三原色を用いた場合について説明したが、ブラック(K)を加えることもできる。この場合は、黒色を鮮やかにすることができる。
【0064】
(実施の形態2)
図3(a)は画像書込工程における本発明の実施の形態2における画像形成装置の要部模式断面図であり、図3(b)は現像工程における画像形成装置の要部模式断面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図3(a)において、1aはコンピュータ等からのカラー画像信号に基いて後述する記録媒体10aにカラー画像を形成する本発明の実施の形態2における画像形成装置、2aは画像形成装置1aの画像書込手段を構成するコロトロンを用いた電荷付与部、21は電荷付与部2aのケーシング、22は電荷付与部2aのワイヤ電極、23はケーシング21の記録媒体10a側に配設され帯電制御部14で印加される電圧より低い電圧が印加されるイオン制御電極、24はイオン制御電極の間に形成されたスリットである。
記録媒体10aにおいて、11aは透明な合成樹脂製等でフィルム状やシート状に形成された基材、12aはカラーフィルタで形成され一つの画素をサブ画素に分割しサブ画素内にレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の各々を縦横にマトリクス状に繰り返し基材11aに列設した表示要素、13aは表示要素12aの各々に積層形成されたITO製,インジウム亜鉛酸化物(InZnO)製等の透明電極からなる対向電極である。
図3(b)において、16aは現像手段15から供給される正に帯電した黒色のトナーである。
【0065】
以上のように構成された実施の形態2における画像形成装置の動作に基いて画像形成方法を説明する。
図3(a)に示す画像書込工程においては、イオン制御電極23に帯電選択部14よりも低い電圧を印加することにより、帯電選択部14に高電圧が印加された場合のみ、電荷付与部2aで生成されたイオンの一部がスリット24を通過して、帯電選択部14が選択した対向電極13aに対応した表示要素12a(左端のG)の記録媒体10aの基材11aの表面に照射され負に帯電したネガカラーの静電潜像が形成される。
次に、図3(b)に示す現像工程においては、記録媒体10aの解像度に応じて、現像手段15を走査させて、正に帯電したトナー16aで静電潜像を現像し黒色のトナー像を形成する。この結果、透過光を利用することにより、記録媒体10aの画素に種々の色が浮かび上がり記録媒体10aにポジカラー画像が形成される。
【0066】
以上のように、本発明の実施の形態2における画像形成装置は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)記録媒体10aは透過光を利用してカラー表示を行うことができるので、記録媒体10aの裏面にバックライトとなるシート状のELランプやLEDランプ等を配置することで、記録媒体10a単体で高輝度の画像表示を行うことが可能な表示媒体として用いることができる。
(2)記録媒体10aとともにバックライトを組み込んだ画像表示装置は、広告等を表示する看板等として好適に利用できる。
【0067】
なお、カラーフィルタで形成された表示要素12aは光を透過してカラー表示できればよいので、基材11aの電荷付与部2a側の面に配置することもできる。また、対向電極13aと入れ替えて配置することもできる。
【0068】
(実施の形態3)
図4(a)は画像書込工程における本発明の実施の形態3における画像形成装置の要部模式断面図であり、図4(b)は現像工程における画像形成装置の要部模式断面図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図4(a)において、1bはコンピュータ等からのカラー画像信号に基いて後述する記録媒体10bにカラー画像を形成する本発明の実施の形態3における画像形成装置、2bは画像形成装置1bの画像書込手段を構成するコロトロン方式等の電荷付与部、14bは対向電極13に接続されカラー画像信号に基いて対向電極13に選択的な接地を行う画像書込手段の帯電選択部である。
記録媒体10bにおいて、11bは透明な合成樹脂製等でフィルム状やシート状に形成された基材、12bはカラー反射板で形成され一つの画素をサブ画素に分割しサブ画素内にイエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C)の各々を縦横にマトリクス状に繰り返し基材11bに列設した表示要素である。
図4(b)において、16bは現像手段15から供給される負に帯電した白色のトナーである。
【0069】
以上のように構成された実施の形態3における画像形成装置の動作に基いて画像形成方法を説明する。
図4(a)に示す画像書込工程においては、帯電選択部14bで選択して対向電極13の一部を接地した後、電荷付与部2bから記録媒体10bの基材11bの表面全面に電子や負のイオンを照射する。これにより、選択した対向電極13に対応した表示要素12b(左端のM)の記録媒体10bの基材11b以外に負の電荷が付与され、選択した対向電極13に対応した表示要素12b(左端のM)には接地により電荷が付与されないので、記録媒体10bの基材11bに静電潜像が形成される。
次に、図4(b)に示す現像工程においては、記録媒体10bの解像度に応じて、現像手段15を走査させて、負に帯電したトナー16bで静電潜像を現像し表示要素12b(左端のM)が形成された記録媒体10bに白色のトナー像を形成する。この結果、記録媒体10bの画素に種々の色が浮かび上がり記録媒体10bにポジカラー画像が形成される。
【0070】
以上のように本発明の実施の形態3で説明した画像形成方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)画像書込工程において、表示要素12bに対応した対向電極13に選択的な接地を行いながら記録媒体10bをトナー16bと同極性の電荷で帯電させることで、接地を行った対向電極を除く記録媒体10bにトナー16bと同極性の電荷が付与され、接地を行った対向電極の表示要素12b(左端のM)の位置にネガカラーの静電潜像を形成させることができ、現像工程において静電潜像をトナー16bで可視化するとポジカラー画像を浮かび上がらせることができる。このように記録媒体10bへの電荷の付与を選択的に行わなくてもよいので操作性に優れるとともに、画像書込時間を大幅に短縮でき、また画像書込に要する消費電力を少なくすることができ省電力性に優れる。
(2)画像書込工程において、記録媒体10bをトナー16bと同極性の電荷で帯電させるので、現像工程において静電潜像を単色のトナーによって可視化する際、静電潜像が形成されていない表示要素12bの上にはトナー16bが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素12bの上だけをトナー16bで可視化することができ、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像を浮き上がらせることができる。
【0071】
ここで、本実施の形態においては、表示要素12bに対応した対向電極13に選択的な接地を行う場合について説明したが、電源を付加した帯電選択部14bを用いることによって、対向電極13に選択的に電圧を印加する場合もある。この場合も、帯電されるのを選択的に防止できるので、同様の作用が得られる。
【0072】
(実施の形態4)
図5(a)は画像書込工程における本発明の実施の形態4における画像形成装置の要部模式断面図であり、図5(b),(c)は現像工程における画像形成装置の要部模式断面図である。なお、実施の形態1又は2と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図5(a)において、1cはコンピュータ等からのカラー画像信号に基いて後述する記録媒体10cにカラー画像を形成する本発明の実施の形態4における画像形成装置、2cは画像形成装置1cの画像書込手段を構成する電荷付与部、4aはグレーズ層4の表面に形成され負電圧が印加される負電圧印加部、4bはスクリーン印刷等で形成され負電圧印加部4aと電極5との間に介設されたガラス製,ポリイミド等の合成樹脂製,SiO等のセラミック製等の絶縁層である。記録媒体10cにおいて、11cは透明な合成樹脂製等でフィルム状やシート状に形成された基材、12cはカラーフィルタで形成され一つの画素をサブ画素に分割しサブ画素内にレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の各々を縞模様状に繰り返し基材11cに列設した表示要素、13cは表示要素12cの各色の配置に対応して色毎に縞模様状に分割され表示要素12cの各々に積層形成されたITO製,インジウム亜鉛酸化物(InZnO)製等の透明電極からなる対向電極、14cは対向電極13cに選択的に電圧印加を行う帯電選択部である。本実施の形態においては、対向電極13cは帯電選択部14cのスイッチS1,S2,S3に接続されており、スイッチS1,S2,S3は電圧印加手段V,V,GNDの接続を切り替えている。16cは現像手段15から供給される正に帯電した黒色のトナーである。
本実施の形態においては、現像手段15から付与されるトナー16cに対しては斥力を作用させるが、電荷付与部2cから付与される電荷に対しては引力を作用させるV、現像手段15から付与されるトナー16cに対しては引力を作用させるが、電荷付与部2cから付与される電荷に対しては斥力を作用させるV、並びにグランドレベル(接地)の3種の電位から選択を行っている。
【0073】
以上のように構成された実施の形態4における画像形成装置の動作に基いて画像形成方法を説明する。
図5(a)に示す画像書込工程においては、電荷付与部2cの負電圧印加部4aに負電圧を印加し、帯電選択部14cのスイッチS2をVに接続することにより、電荷付与部2cの負電圧印加部4aと記録媒体10cの表示要素12c(左端のG)に対応する対向電極13cとの電位差を大きくすることができるので、発熱抵抗体6から放出される電子を記録媒体10cに効率よく移動させ、表示要素12cの行単位又は列単位にネガカラーの静電潜像を形成することができる。
次に、図5(b)に示す現像工程においては、帯電選択部14cのスイッチS1,S3をVに接続するとともに、図5(c)に示すように、トナー16cを記録媒体10cに付与する際にはスイッチS2を接地する。これにより、電荷が付与されていた表示要素12c(左端のG)にはトナー16cが引き寄せられるが、それ以外の表示要素12cではトナー16cに斥力が作用するので、静電潜像が現像され黒色のトナー像が形成される。この結果、透過光を利用することにより、記録媒体10cの画素に種々の色が浮かび上がり記録媒体10cにポジカラー画像が形成される。
以上の画像書込工程と現像工程を、記録媒体10cの表示要素12cの行単位又は列単位毎に繰り返し、記録媒体10cの全面に亘って行うことにより、記録媒体10cの全面にポジカラー画像が形成される。
【0074】
以上のように、本発明の実施の形態4における画像形成装置は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)現像手段を用いて静電潜像を単色のトナー16cによって可視化する際、スイッチS1〜S3で静電潜像が形成されていない表示要素12cに対応した対向電極13cにトナー16cの電荷と同極性の電圧を印加することで、静電潜像が形成されていない表示要素12cの上にはトナー16cが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素12cの上だけをトナー16cで可視化できるので、ポジカラー画像にトナー16cが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像を浮き上がらせることができる。
【0075】
また、本発明の実施の形態4で説明した画像形成方法によれば、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)現像工程において静電潜像を単色のトナー16cによって可視化する際、静電潜像が形成されていない表示要素12cに対応した対向電極13cにトナー16cの電荷と同極性の電圧を印加することで、静電潜像が形成されていない表示要素12cの上にはトナー16cが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素12cの上だけをトナー16cで可視化することができ、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像を浮き上がらせることができる。
【0076】
ここで、本実施の形態においては、表示要素12c及び対向電極13cが縞模様状に繰り返し基材11cに列設された記録媒体10cを用いた場合について説明したが、表示要素及び対向電極が表示要素単位毎にマトリクス状に形成された記録媒体を用いることもできる。この場合は、行単位又は列単位毎に画像書込工程と現像工程を繰り返し行わなくても、画像書込工程において、記録媒体の対向電極毎に接続された全てのスイッチを切り替えた後、現像工程において記録媒体の全面にポジカラー画像を形成できる。
【0077】
(実施の形態5)
図6(a),(b)は画像書込工程における本発明の実施の形態5における画像形成装置の要部模式断面図であり、図6(c)は現像工程における画像形成装置の要部模式断面図である。なお、実施の形態4と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6(a)において、30はコンピュータ等からのカラー画像信号に基いて後述する記録媒体10cにカラー画像を形成する本発明の実施の形態5における画像形成装置、2dは画像形成装置30の記録媒体10bを一様にトナー16cと同じ極性に帯電させるコロトロン方式等の非接触型の帯電装置である。本実施の形態においては、非接触型の帯電装置2dを用いたが、帯電ローラや帯電ブラシ等の接触型の帯電装置を用いることもできる。
図6(b)において、31は画像形成装置30の画像書込手段を構成する加熱放電型印字ヘッドからなる電荷付与部、32はアルミニウム等の材質で形成した電荷付与部31の加熱放電型印字ヘッドの放熱板、33はセラミック,合成樹脂等で形成され後述する加熱手段34や放電電極38が積層され放熱板32に配設された基板、34はドライバIC(図示せず)により後述する発熱抵抗体36の発熱を制御する電荷付与部31の加熱放電型印字ヘッドの加熱手段、35は所定のピッチで並設された加熱手段34の電極、36は電極35に電気的に接続されて形成された加熱手段34の発熱抵抗体、37は基板33に覆設され加熱手段34と後述する放電電極38とを絶縁する絶縁膜、38は略矩形状の平板状に形成された電荷付与部31の加熱放電型印字ヘッドの放電電極、39は発熱抵抗体36で加熱されることにより電子が放出される放電電極38の電子放出部位、40は電荷付与部31に対向して配置された所定の対向電極13cを選択して、選択した対向電極13cと放電電極38との間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する帯電選択部、41はカラー画像信号に基いて対向電極13cに選択的な接地を行う帯電選択部40の媒体側電圧制御部、42は放電電極38に電圧を印加する帯電選択部40のヘッド側電圧印加部である。
【0078】
以上のように構成された実施の形態5における画像形成装置の動作に基いて、以下画像形成方法を説明する。
画像書込工程においては、図6(a)に示すように、媒体側電圧制御部41をオープンにした状態で、始めに帯電装置2dで基材11cをトナー16cと同じ極性に一様に帯電させる。本実施の形態においては、帯電装置2dから正電荷を基材11cに放電し基材11cを正に帯電させる。
次に、図6(b)に示すように、加熱放電型印字ヘッドの電荷付与部31を記録媒体10cに対向させ、電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程において、ヘッド側電圧印加部42により加熱放電型印字ヘッドの放電電極38に放電制御電圧を印加する。続いて、電位差設定工程の媒体側電圧制御工程において、媒体側電圧制御部41により記録媒体10cのカラー表示の表示原色(R,G,B)の色単位で対向電極12cを選択し接地する(図6ではGを選択)。接地する代わりに電圧を印加してもよい。次に、放電電極加熱工程において、選択された色(G)を表示すべき画素(左端)に対応する位置にある発熱抵抗体36を発熱させ放電電極38を選択的に加熱する。これにより、発熱抵抗体36により加熱された放電電極38の電子放出部位39において電子が放出され放電が発生する。このとき、一画素の内の選択された色(G)に対応した対向電極13cのみが接地されているので、放電に伴って発生した電子やイオンを選択された色(G)に対応したサブ画素の位置に確実に照射することができ、その電荷の作用により静電潜像を形成することができる。本実施の形態においては、記録媒体10cに負電荷が付与されることにより、正に帯電した記録媒体10cの選択された色(G)に対応したサブ画素の位置の電荷が消去され、静電潜像が形成される。なお、放電電極38の内、発熱抵抗体36により加熱されていない部分の電子放出部位39からは電子は放出されず放電は発生しない。
画像書込工程においては、以上の動作を記録媒体10cの全面で行うことによって、ネガカラーの静電潜像を形成する。
次に、図6(c)に示す現像工程においては、記録媒体10cの解像度に応じて、現像手段15を走査させて、正に帯電したトナー16cで静電潜像を現像し表示要素12c(左端のG)が形成された記録媒体10cに黒色のトナー像を形成する。この結果、記録媒体10cの画素に種々の色が浮かび上がり記録媒体10cにポジカラー画像が形成される。
【0079】
以上の実施の形態5で説明した画像形成方法によれば、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)画像書込工程において、始めに記録媒体10cをトナー16cと同極性の電荷で一様に帯電させ、次いで加熱放電型印字ヘッドからなる電荷付与部31で所定の表示要素12cに対応した電荷を消去して静電潜像を形成するので、現像工程において静電潜像を単色のトナーによって可視化する際、静電潜像が形成されていない表示要素12cの上にはトナー16cが反発して付着しないため、静電潜像が形成された表示要素12cの上だけをトナー16cで可視化することができ、ポジカラー画像にトナーが付着してしまうのを防止して鮮明なカラー画像を浮き上がらせることができる。
(2)電位差設定工程が、放電電極38に電気的に接続されたヘッド側電圧印加部42により放電電極38に電圧を印加するヘッド側電圧印加工程と、対向電極13cに電気的に接続された媒体側電圧制御部41により対向電極13cに接地を行う媒体側電圧制御工程と、を有するので、ヘッド側電圧印加工程において放電電極38全体に放電制御電圧を印加しておき、媒体側電圧制御工程においてカラー画像信号に基いて対向電極13cを接地することにより、放電電極38と対向電極13cとの間に選択的に放電制御電圧に相当する電位差を発生させ放電に備えることができ、放電電極加熱工程において加熱手段34により放電電極38を部分的に加熱し放電させて、記録媒体10cに電荷を付与することができる。
(3)放電電極加熱工程と、カラー画像信号に基く選択的な対向電極38の接地又は電圧印加とを同期させて行うことで、放電電極38の温度、放電電極38と対向電極13cの電位差の両方の条件によって放電を発生させることができるので、加熱された放電電極38の温度が低下せずに放電が持続してしまう等の誤作動を防止でき画像の高品質性に優れる。
(4)対向電極13cが表示要素12cの各色の配置に対応して色毎に縞模様状に分割され表示要素12cの各々に積層形成されているので、加熱放電型印字ヘッド(電荷付与部31)の放電電極38を対向電極13cと直交するように列方向に配置することにより、発熱抵抗体36で選択的に加熱された電子放出部位39と対向電極13cが重なる位置のみに確実に電子やイオンを照射させて静電潜像を形成することができ、画像の高品質性に優れる。
【0080】
ここで、実施の形態5で説明した電荷付与部31としての加熱放電型印字ヘッドは、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態4の電荷付与部に代えて用いることができる。この場合も、実施の形態5と同様の作用が得られる。
【0081】
以上のように、実施の形態5で説明した電荷付与部31としての加熱放電型印字ヘッドでは、電圧が印加された放電電極38に対する加熱の有無を制御することにより放電の発生の有無を制御できるので、放電電極38に印加された電圧と放電電極38の温度によってイオンの発生量が変化することになる。従って、イオンの発生量を制御するために、放電電極38に駆動用電圧を印加するタイミングと加熱手段34によって放電電極38を加熱するタイミングや加熱手段34による加熱量を制御する必要がある。
そこで、次に、放電電極38に放電制御電圧以下の駆動用電圧を印加するタイミングと、放電電極を加熱するタイミングとを同期させる画像形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0082】
(実施の形態6)
図7は実施の形態6の画像形成装置における電荷付与部としての加熱放電型印字ヘッドの構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態における画像形成装置の加熱放電型印字ヘッドは実施の形態5で説明したものと同様なので、実施の形態5で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図7において、43はシフトレジスタ部、ラッチ部、出力ゲート部及び出力トランジスタQ1〜Qnを有し発熱抵抗体36と電気的に接続され発熱抵抗体36の発熱を制御するドライバICであり、44は放電電極38に電気的に接続され電子放出部位39に対して高電圧(放電制御電圧)を供給する高圧基板である。
電荷付与部31としての加熱放電型印字ヘッドの加熱手段34は、n箇所の電子放出部位39に対応した発熱箇所R1〜Rnを有する発熱抵抗体36と、ドライバIC43と、を備えており、ドライバIC43の各部には、図示しないコネクタに接続されたケーブルを介して図示しない制御部から信号が入力される。また、発熱抵抗体36には発熱箇所R1〜Rnに共通に駆動用の直流電源電圧VHDが印加されている。
カラー画像信号(画像情報)はパラレルデータではなく、1ラインのシリアルデータSerial−inとして、クロック信号Clockと同期されたシフトレジスタ部へ入力される。これらの画像データは、ラッチ信号Latchのタイミングでラッチ部へ転送される。出力ゲート部は、ラッチ部の出力レベルがHレベルの発熱箇所R1〜Rnに対して、ストローブ信号StrobeがLレベルの時間だけ、出力トランジスタQ1〜Qnをオンにする。これにより、画像データのHレベルに対応して発熱箇所R1〜Rnが発熱する。このとき、ストローブ信号Strobeに基づいて高圧基板44から放電電極38に駆動用電圧が印加されるので、電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程において放電電極38に放電制御電圧以下の駆動用電圧を印加するタイミングと、加熱手段34で放電電極38を選択的に加熱する放電電極加熱工程のタイミングを同期させることができる。なお、絶縁膜37等の熱伝導性などを考慮して駆動用電圧の印加のタイミングを放電電極38の加熱のタイミングに対してずらす必要がある場合には、高圧基板44内に遅延回路を持たせても良い。
【0083】
ストローブ信号Strobeはデータがある時だけオンになるので、データの数により一印字周期内のオン回数を制御することができる。よって、画像(1ドット)の濃度に応じて一印字周期内での放電電極38への駆動用電圧の印加及び加熱手段34による加熱の回数を変えることができ、イオン発生量を変化させることができるので、記録媒体20における帯電量を制御することができ、簡便に階調記録を行うことができる。
なお、図7で説明したものは、加熱手段34として発熱抵抗体36を用いる場合の構成の一例に過ぎず、ヘッド側電圧印加工程と放電電極加熱工程のタイミングを同期させる手段や加熱手段34はこれに限定されるものではない。
【0084】
図8(a)は実施の形態6における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図であり、図8(b)は実施の形態6における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図である。
まず、電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程について説明する。
放電電極38への駆動用電圧の印加は高圧基板44から行う。放電電極38に印加する駆動用電圧は、色々な組み合わせが考えられるが、本実施の形態では、図8(a)に示すように三角波にDCバイアスを重畳し、ピーク値が放電制御電圧Eとなるようにして一印字周期T内で複数回(図8では3回)繰返し印加した。なお、このとき対向電極13cは接地されている。
【0085】
次に、放電電極加熱工程について説明する。
放電電極加熱工程においては、加熱手段34により放電電極38を選択的に加熱するが、この加熱のタイミングを図8に示すように、ヘッド側電圧印加工程における駆動用電圧の印加のタイミングに同期させて行う。
このとき、ヘッド側電圧印加工程で放電電極38に印加される駆動用電圧のピーク(E)時に、放電電極加熱工程により加熱された放電電極38の温度がピークとなるようにタイミングを合わせた。放電電極38の温度がピークとなっている間に駆動用電圧の電圧値がピーク(E)となるようにタイミングを合わせることにより、効率的に放電を発生させることができるためである。なお、イオン発生量(電荷量)は、図8(b)に示した放電電極38の温度にほぼ比例して変化する。実際には、絶縁膜37の厚みや材料の熱伝導性の違いにより放電電極38への熱の伝わり方に差が出てくるため、放電電極加熱工程における加熱手段34への加熱ONタイミングと駆動用電圧のピーク(E)を熱の伝わりのタイムラグ分ずらして、加熱手段34による加熱を早くすることが好ましい。
また、ヘッド側電圧印加工程において、一印字周期T内で複数回の駆動用電圧の印加を行う場合(図8では3回)は、各々の駆動用電圧の印加のタイミングに同期して加熱手段34による加熱を行う。1回当たりの駆動用電圧の電圧値や印加時間或いは加熱手段34による加熱時間を制御したり、一印字周期T内での駆動用電圧の印加及び加熱手段34による加熱の繰返しの回数を制御したりすることにより、イオン発生量を制御することができ、簡便に階調記録を行うことができる。
【0086】
実施の形態6の画像形成装置における画像形成方法は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)電位差設定工程で放電電極38と対向電極13cとの間に放電制御電圧Eに相当する電位差を設定して電界を形成することにより放電に備えることができ、放電電極加熱工程でカラー画像信号に基いて放電電極38を選択的に加熱するだけで放電を発生させることができるので、高電圧の制御が不要で、容易に放電の発生を制御することができる。
(2)ヘッド側電圧印加工程において放電電極38に駆動用電圧を印加するタイミングと、放電電極加熱工程において放電電極38を選択的に加熱するタイミングを同期させることにより、確実に放電を発生させてイオンの発生量のばらつきを低減することができ画像品質の信頼性に優れると共に、放電電極38に不必要な電圧を印加することがなく省エネルギー性に優れる。
(3)ヘッド側電圧印加工程における駆動用電圧の印加を一印字周期内で複数回繰返すことにより、それに同期させて加熱手段34による加熱を複数回に分割して繰返すことができ、放電量が多くなる加熱の立ち上がりの回数を増加させることができるので、全体としてのイオン発生量を増加させることができ、放電発生の効率性に優れる。
(4)一印字周期T内で繰返す駆動用電圧の印加回数を制御するだけでイオン発生量を簡便に精度よく制御でき、記録面に付与する電荷量を変化させトナー量を調整でき表示要素を覆い潰す量を変えることにより階調記録を行って、高品質な画像を形成することができる。
(5)一印字周期T内で駆動用電圧の印加を複数回繰返すことにより、放電回数を増加させて全体としてのイオン発生量を増加させることができるので、駆動用電圧のピーク値(E)を低く設定することや加熱手段34による加熱時間及び放電発生時間を全体として短縮することができ、放電電極38の長寿命性に優れる。
(6)ヘッド側電圧印加工程で放電電極38に印加される駆動用電圧のピーク時に、放電電極加熱工程による放電電極38の加熱を行うことにより、確実に放電を発生させることができ、特に、駆動用電圧のピークと放電電極加熱工程により加熱された放電電極38の温度のピークを略一致させた場合、最大量のイオンを発生させることができ、放電発生の効率性に優れる。
【0087】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図9(a)は実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図であり、図9(b)は実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法の媒体側電圧印加工程で対向電極に印加する電圧を示す図であり、図9(c)は実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図である。なお、実施の形態5又は6と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
図9において、実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法が実施の形態6と異なるのは、電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程に同期させて対向電極38に放電制御電圧Eの一部を印加する媒体側電圧印加工程を有する点である。
このとき、放電電極38と対向電極13cとの間の電位差のピークは放電制御電圧Eに保たれており、放電電極38に印加される駆動用電圧のピーク値Eと対向電極13cに印加される電圧Eとの間には、E−E=Eの関係が成り立っている。
このように放電電極38と対向電極13cとの間に設定される放電制御電圧Eが、放電電極38と対向電極13cに分配されて印加されている以外は、実施の形態6と同様なので説明を省略する。
なお、本実施の形態では、実施の形態6における駆動用電圧のDCバイアス分に相当する電圧Eを全て対向電極38に印加したが、一部のみを印加してもよい。
【0089】
実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法は以上のように構成されているので、実施の形態6の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)ヘッド側電圧印加工程に同期させて対向電極38に放電制御電圧Eの一部を印加する媒体側電圧印加工程を行うことにより、放電電極38に直接印加される駆動用電圧Eを低減することができ、放電電極38の長寿命性に優れると共に、記録媒体10cの種類や特性等に応じて対向電極13cに印加する電圧値Eを最適に調整して高品質な画像を形成することができ、汎用性に優れる。
【0090】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図10(a)は実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図であり、図10(b)は実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法の媒体側電圧印加工程で対向電極に印加する電圧を示す図であり、図10(c)は実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図である。なお、実施の形態5又は6と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
図10において、実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法が実施の形態7と異なるのは、媒体側電圧印加工程で対向電極38に印加される電圧がDCバイアスではなく、ピーク値がEの三角波である点である。
このとき、放電電極38と対向電極13cとの間の電位差のピークは放電制御電圧Eに保たれており、放電電極38に印加される駆動用電圧のピーク値Eと対向電極13cに印加される電圧Eとの間には、E−E=Eの関係が成り立っている。
このように放電電極38と対向電極13cとの間に設定される放電制御電圧Eが、放電電極38と対向電極13cに分配されて印加されている以外は、実施の形態6及び7と同様なので説明を省略する。
なお、放電電極38に印加される駆動用電圧のピーク値Eと、対向電極13cに印加される電圧Eとの比は、記録媒体10cの種類や特性等に応じて適宜、選択することができる。
【0092】
実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法は以上のように構成されているので、実施の形態7の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)媒体側電圧印加工程をヘッド側電圧印加工程に同期させ、非印字状態では対向電極38に電圧が印加されないようにすることにより、不具合等により印字が中断或いは停止した際に、安全に記録媒体10cを取り除くことができ、メンテナンス性に優れる。
(2)対向電極38に印加される電圧が三角波であることにより、駆動用電圧と同期させてイオン生成量を細かく制御することができ、階調性に優れる。
【0093】
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図11(a)は実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図であり、図11(b)は実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図である。なお、実施の形態6と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
図11において、実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法が実施の形態6と異なるのは、ヘッド側電圧印加工程で放電電極38に印加される駆動用電圧が矩形波である点と、駆動用電圧の印加後に駆動用電圧と逆極性の補助電圧を放電電極38に印加している点である。
このとき、補助電圧は放電によって発生した余分な電子やイオンを放電電極38に引き寄せることができる程度の小さな電圧(E)でよい。例え補助電圧が印加されている状態で放電電極38が加熱されても放電が発生しないようにその電圧値Eを設定することにより、不要な電子やイオンが発生することがなく信頼性に優れる。
このように駆動用電圧の印加後に補助電圧が印加されている以外は、実施の形態6と同様なので説明を省略する。
尚、本実施の形態では、放電電極38への駆動用電圧の印加後に補助電圧を印加したが、駆動用電圧の印加前に補助電圧を印加することもできる。また、放電制御電圧Eに相当する電圧を全て駆動用電圧として放電電極38に印加する代わりに、実施の形態7と同様にその一部を対向電極38に印加してもよい。
【0095】
実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法は以上のように構成されているので、実施の形態6の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)ヘッド側電圧印加工程において放電電極38への駆動用電圧の印加後に駆動用電圧と逆極性の補助電圧を放電電極38に印加することにより、駆動によって発生した余分な電子やイオンをその駆動直後に回収して次の駆動(駆動用電圧の印加)に備えることができ、駆動周期が長い場合でも電子やイオンが浮遊することがなく、信頼性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、電子写真方式を利用して画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関し、複数のトナー像の重ね合わせではなく、記録媒体に形成された三原色の表示要素の組み合わせでポジカラー画像を浮き上がらせるので、トナー像同士の重ね合わせによる色ずれが生じることがなく高品質のカラー画像を形成でき、またトナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき、さらにトナーの消費量を低減できる省資源性に優れた画像形成装置を提供でき、また、像担持体への静電潜像の書き込み位置のずれを無くし、色ずれのないカラー画像を確実に形成でき信頼性に優れ、またトナー像の形成時間を大幅に短縮できポジカラー画像を短時間で形成でき生産性に優れ、さらにトナーの消費量を低減できる省資源性に優れた画像形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】(a)画像書込工程における実施の形態1における画像形成装置の要部模式断面図 (b)現像工程における画像形成装置の要部模式断面図
【図2】記録媒体の表示要素の合成色の一例を説明する図
【図3】(a)画像書込工程における実施の形態2における画像形成装置の要部模式断面図 (b)現像工程における画像形成装置の要部模式断面図
【図4】(a)帯電工程における実施の形態3における画像形成装置の要部模式断面図 (b)画像書込工程における画像形成装置の要部模式断面図 (c)現像工程における画像形成装置の要部模式断面図
【図5】(a)画像書込工程における実施の形態4における画像形成装置の要部模式断面図 (b)(c)現像工程における画像形成装置の要部模式断面図
【図6】(a)(b)画像書込工程における本発明の実施の形態5における画像形成装置の要部模式断面図 (c)現像工程における画像形成装置の要部模式断面図
【図7】実施の形態6の画像形成装置における電荷付与部としての加熱放電型印字ヘッドの構成を示すブロック図
【図8】(a)実施の形態6における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図 (b)実施の形態6における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図
【図9】(a)実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図 (b)実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法の媒体側電圧印加工程で対向電極に印加する電圧を示す図 (c)実施の形態7における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図
【図10】(a)実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図 (b)実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法の媒体側電圧印加工程で対向電極に印加する電圧を示す図 (c)実施の形態8における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図
【図11】(a)実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法のヘッド側電圧印加工程での駆動用電圧を示す図 (b)実施の形態9における画像形成装置の画像形成方法の放電電極加熱工程での放電電極の温度を示す図
【符号の説明】
【0098】
1,1a,1b,1c 画像形成装置
2,2a,2b,2c 電荷付与部
2d 帯電装置
3 基板
4 グレーズ層
4a 負電圧印加部
4b 絶縁層
5 電極
6 発熱抵抗体
10,10a,10b,10c 記録媒体
11,11a,11b,11c 基材
12,12a,12b,12c 表示要素
13,13a,13c 対向電極
14,14b,14c 帯電選択部
15 現像手段
16,16a,16b,16c トナー
21 ケーシング
22 ワイヤ電極
23 イオン制御電極
24 スリット
30 画像形成装置
31 電荷付与部
32 放熱板
33 基板
34 加熱手段
35 電極
36 発熱抵抗体
37 絶縁膜
38 放電電極
39 電子放出部位
40 帯電選択部
41 媒体側電圧制御部
42 ヘッド側電圧印加部
43 ドライバIC
44 高圧基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体に、カラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込手段と、前記静電潜像を単色のトナーによって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体が、前記表示要素に対応して形成された対向電極を備え、
前記画像書込手段が、前記記録媒体に電荷を付与する電荷付与部と、前記対向電極に電気的に接続され前記カラー画像信号に基いて前記対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行う帯電選択部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電選択部が、前記静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極に前記トナーの電荷と同極性の電圧を印加するスイッチを備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体の基材が透明であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも二色の表示要素が規則的に繰り返し形成された記録媒体に、カラー画像信号に応じたネガカラーの静電潜像を形成する画像書込工程と、前記静電潜像を単色のトナーによって可視化するトナー像を形成しポジカラー画像を形成する現像工程と、を備えていることを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
前記画像書込工程において、前記表示要素に対応した対向電極に選択的な接地若しくは電圧印加を行いながら前記記録媒体に電荷を付与することを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記画像書込工程において、(a)前記対向電極と、電子放出部位を有する放電電極と前記放電電極を選択的に加熱する加熱手段とを有する加熱放電型印字ヘッドと、の間に放電制御電圧に相当する電位差を設定して電界を形成する電位差設定工程と、(b)前記カラー画像信号に基いて前記加熱手段で前記放電電極を選択的に加熱する放電電極加熱工程と、を備えていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記電位差設定工程のヘッド側電圧印加工程において前記放電電極に前記放電制御電圧以下の駆動用電圧を印加するタイミングと、前記放電電極加熱工程のタイミングを同期させることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記現像工程において、前記静電潜像が形成されていない表示要素に対応した対向電極に前記トナーの電荷と同極性の電圧を印加することを特徴とする請求項5乃至8の内いずれか1に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−87263(P2008−87263A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269079(P2006−269079)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(302004366)有限会社 福岡テクノ研工業 (16)
【Fターム(参考)】