画像形成装置及び画像形成方法
【課題】個人が所有するICカードを用いて認証印刷を行う場合、ICカードの所有者以外の者によるなりすまし印刷ができてしまうことを防止すること。
【解決手段】印刷データD14と、送信元IPアドレスD12と、カード所有者のID情報D13とを含む印刷ジョブDを上位装置1−1より受信するジョブ受信部10と、ICカードからのID情報を受信するICカード情報受信部50と、上位装置1−1の稼働状態を監視する上位装置監視部40と、ICカード情報受信部50によりカード所有者のID情報D13を受信すると、上位装置監視部40の監視の結果、上位装置1−1が非稼働であるとジョブ印刷部に対する印刷データD14の印刷を許可しない印刷許可判定部を有する。
【解決手段】印刷データD14と、送信元IPアドレスD12と、カード所有者のID情報D13とを含む印刷ジョブDを上位装置1−1より受信するジョブ受信部10と、ICカードからのID情報を受信するICカード情報受信部50と、上位装置1−1の稼働状態を監視する上位装置監視部40と、ICカード情報受信部50によりカード所有者のID情報D13を受信すると、上位装置監視部40の監視の結果、上位装置1−1が非稼働であるとジョブ印刷部に対する印刷データD14の印刷を許可しない印刷許可判定部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの所有者が所有するICカードによって認証印刷を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置によって印刷された文書を他人に見られないようにする機能をもった画像形成装置が考えられている。特開2009−220437公報(特許文献1)には、親展印刷機能を持ったプリンタにおいて、施錠機能付き排紙部を効率よく使用する技術が開示されている。特許文献1によれば、受信した複数の親展印刷要求ジョブのそれぞれの枚数の大小により、施錠機能付き排紙部の利用優先度を定め、緊急の親展印刷を要求する場合には、緊急の親展印刷に対応することができる。
【0003】
一方、ICカードを利用して認証印刷を可能にした画像形成装置も考えられている。これによると、ICカードの所有者は所有するICカードによって印刷ジョブを印刷装置に送信し、印刷装置はその送信されたジョブを印刷装置内の記憶装置に保存する。その後、ICカードの所有者は印刷装置のところに行き、所有するICカードによって記憶装置に保存された印刷ジョブに基づき印刷していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−220437公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、個人が所有するICカードを用いて認証印刷を行っているが、ICカードの盗用やICカードの偽造によって、ICカードの所有者以外の者でもなりすまし印刷ができてしまうおそれがあった。その結果、悪意を持った第三者が不正に他人の印刷データを入手できてしまうという問題があった。ここで、ICカードの所有者が特に勤務時間中、自分のパソコンの付近など印刷物を取得できる場所にいる場合には、上記のような危険性は少ないということができる。しかしながら、ICカードの所有者が、勤務時間外などで印刷物を取得できる場所にいない場合は、放置されたICカードがあるときは盗用され易いこと、或いは既に偽造されたICカードがあるときはそれが利用され易いことから上記の危険性が更に高くなるということができる。
【0006】
本発明の課題は、個人が所有するICカードを用いて認証印刷を行う場合、ICカードの盗用やICカードの偽造によってICカードの所有者以外の者によるなりすまし印刷ができてしまうことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に関する画像形成装置は、印刷データと、上位装置を特定する上位装置特定情報と、前記上位装置に係わる情報記憶媒体所有者の固有情報とを含む印刷ジョブを前記上位装置より受信するジョブ受信部と、前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブを記憶するジョブデータ格納部と、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記印刷データの印刷を行うジョブ印刷部と、情報記憶媒体から前記情報記憶媒体所有者の固有情報を受信する情報記憶媒体情報受信部と、前記上位装置の稼働状態を監視する上位装置監視部と、前記情報記憶媒体情報受信部が受信した前記情報記憶媒体所有者の固有情報から、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記上位装置特定情報を取得し、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置の稼働状態が稼働でなければ前記ジョブ印刷部に対する前記印刷データの印刷を許可しないことを判定する印刷許可判定部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
情報記憶媒体情報受信部が情報記憶媒体から情報記憶媒体所有者の情報を受信したとき、上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置が稼働状態であればジョブ印刷部に対して印刷データの印刷を指示する。しかし、前記上位装置が稼働状態でなければ印刷データの印刷を指示しないようにしたので、情報記憶媒体の盗用や偽造により、情報記憶媒体所有者以外の者によるなりすまし印刷を防止することができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に関するプリンタ100のブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に関するプリンタ100の外観図である。
【図3】ジョブ受信部10の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】ジョブ処理部20のジョブデータ格納処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】ジョブ番号D11とジョブデータDを格納するジョブデータ格納部120の内容を示す説明図である。
【図6】IPアドレス管理テーブル110を示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に関する上位装置監視部40のポーリング処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に関するICカード情報受信部50の動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に関する印刷許可判定部60の動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】ジョブ処理部20の印刷データの印刷動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に関するプリンタ200のブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に関する上位装置監視部240の稼働信号受信処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に関する印刷許可判定部260の動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態に関するプリンタ300のブロック図である。
【図15】第4の実施の形態に関するプリンタ400のブロック図である。
【図16】第4の実施の形態に関する印刷許可判定部460の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に関するプリンタ100のブロック図である。パソコンとしての上位装置1−1〜1−nは、複数の上位装置1−1〜1−nが1台のプリンタ100を共有し、これらはLANにより接続されている。それぞれの上位装置1−1〜1−nは、プリンタ100を用いて印刷を行うとき、プリンタ100に対して、印刷を指令する印刷ジョブを送信する。
【0011】
また、上位装置1−1〜1−nには、情報記憶媒体としてのICカードIC−1〜IC−nの送信元ICカードID情報D13を読み込むため、それぞれ情報記憶媒体情報受信部としてのICカードリーダCR−1〜CR−nが接続されている。なお、以下情報記憶媒体としてICカードIC−1〜IC−nを例に説明するが、この代わりにUSBメモリ、磁気カードなどの他の記憶媒体を用いてもよく、携帯電話機などに内臓されている情報記憶媒体を利用してもよい。ICカードリーダCR−1〜CR−nは、ICカード所有者がICカードIC−1〜IC−nをかざすことにより、ICカードIC−1〜IC−nの送信元ICカードID情報D13を読み込む。更に、上位装置1−1〜1−nは、ICカードリーダCR−1〜CR−nによって読み込まれた送信元ICカードID情報D13をジョブデータDに付与してプリンタ100に送信する。
【0012】
従って、上位装置1−1〜1−nからのジョブデータDは、ICカード所有者がICカードリーダCR−1〜CR−nにICカードIC−1〜IC−nの送信元ICカードID情報D13を読み込ませることにより送信可能となる。そして、上位装置1−1〜1−nが送信するジョブデータDは、後に図5で説明するように上位装置1−1〜1−nを特定する上位装置特定情報としての送信元IPアドレスD12、上位装置1−1〜1−nに係わるカード所有者の固有情報としての送信元ICカードID情報D13及び印刷データD14からなる。
【0013】
プリンタ100は、ジョブ受信部10、ジョブ処理部20、ジョブ印刷部30、上位装置監視部40、ICカード情報受信部50、印刷許可判定部60、ICカードリーダCR−100、IPアドレス管理テーブル110及びジョブデータ格納部120から成る。
【0014】
ジョブ受信部10は、上位装置1−1〜1−nから、送信元IPアドレスD12と、送信元ICカードID情報D13及び印刷データD14からなるジョブデータDを受信する。そして、ジョブ受信部10は、受信したジョブデータDをジョブ処理部20へ渡す。
【0015】
ジョブ処理部20は、ジョブ受信部10から渡されたジョブデータDに一意のジョブ番号D11を付与し、このジョブ番号D11とジョブデータDを関連付けてジョブデータ格納部120に格納する。ジョブデータ格納部120は図5において後述する。また、ジョブ処理部20は、ジョブデータ格納部120に格納された印刷データD14を読み出し、解析し、印刷画像データを生成し、印刷画像データをジョブ印刷部30に送る。ジョブ印刷部30は、ジョブ処理部20から渡された印刷画像データを印刷媒体に印刷する。
【0016】
上位装置監視部40は、所定の時間間隔で上位装置1−1〜1−nに対してポーリングを行い、上位装置1−1〜1−nの稼働状態Rを監視し、その結果、IPアドレス管理テーブル110を更新する。IPアドレス管理テーブル110は図6において後述する。
【0017】
ICカード情報受信部50は、プリンタ100のICカードリーダCR−100にかざされたICカードのカード所有者の固有情報としての送信元ICカードID情報D13を読み取り、印刷許可判定部60に伝達する。図2は第1の実施の形態に関するプリンタ100の外観図である。プリンタ100の上部前面には、各種の設定を行なうためのスイッチ類と各種の情報を表示するための表示部からなる操作表示部31を有する。ICカードリーダCR−100は、操作表示部31の付近に設けられる。これにより、ICカード所有者がICカードをICカードリーダCR−100にかざすという操作のとき、容易に行なうことができる。プリンタ100のジョブ印刷部30によって印刷された印刷媒体は、排紙口32より排出され、スタッカ33に堆積される。ICカード所有者はスタッカ33に堆積された印刷媒体を確認することができる。
【0018】
図1に戻り、印刷許可判定部60は、ICカード情報受信部50から送信元ICカードID情報D13を受け取ると、当該送信元ICカードID情報D13についてジョブデータ格納部120を検索する。これにより、ICカード情報受信部50から伝達された送信元ICカードID情報D13を持つすべてのジョブデータDのジョブ番号D11と送信元IPアドレスD12を得る。そして次に印刷許可判定部60は、IPアドレス管理テーブル110を参照し、該当する送信元IPアドレスD12の上位装置1−1〜1−nが稼動しているかどうか判定する。更に、印刷許可判定部60は、送信元IPアドレスD12の上位装置1−1〜1−nが稼動しているならば、ジョブ処理部20にジョブ番号D11を渡す。ジョブ処理部20は、渡されたジョブ番号D11に基づいて、ジョブデータ格納部120から印刷データD14を読み出し、ジョブ印刷部30に対し印刷を指示する。一方、印刷許可判定部60は、送信元IPアドレスD12の上位装置1−1〜1−nが稼動していなければ、ジョブ印刷部30に対し印刷を指示することはない。
【0019】
次に第1の実施の形態の動作を説明する。第1の実施の形態は、プリンタが定期的にネットワーク内の上位装置をポーリングし、上位装置の稼動状態を監視している場合の実施の形態である。まず、図3は、ジョブ受信部10の動作の流れを示すフローチャートである。
【0020】
まず印刷ジョブの送信者は、上位装置1−1〜1−nに接続されたICカードリーダCR−1〜CR−nに対し、自らが所有するICカードをかざすことにより、送信元ICカードID情報D13を読み込ませる。上位装置1−1〜1−nはICカードリーダCR−1〜CR−nが送信元ICカードID情報D13を読み込むと、送信元ICカードID情報D13をジョブデータDに付与してプリンタ100に送信する。
S100:ジョブ受信部10は、上位装置1−1〜1−nからプリンタ100に送信されたジョブデータDを受信する。
S110:ジョブ受信部10は、受信したジョブデータDをジョブ処理部20に渡す。
【0021】
次に、図4は、ジョブ処理部20のジョブデータ格納処理動作の流れを示すフローチャートである。
S200:ジョブ処理部20は、ジョブ受信部10から渡されたジョブデータDに一意のジョブ番号D11を付与する。
S210:ジョブ処理部20は、付与したジョブ番号D11と渡されたジョブデータDをジョブデータ格納部120に格納する。
【0022】
図5は、ジョブ番号D11とジョブデータDを格納するジョブデータ格納部120の内容を示す説明図である。ジョブデータ格納部120に格納される内容は、ジョブ番号D11とジョブデータDからなる。そしてジョブデータDは、送信元IPアドレスD12、送信元ICカードID情報D13、印刷データD14から構成される。
【0023】
ジョブ番号D11は、ジョブ処理部20が、ジョブ受信部10から渡されたジョブデータDに一意に付与することによって設定される。送信元IPアドレスD12は、当該印刷ジョブを送信したパソコンとしての上位装置1−1〜1−nを特定する上位装置特定情報としてのIPアドレスである。送信元IPアドレスD12は印刷ジョブを送信時に当該上位装置1−1〜1−nによって自動的にジョブデータDに付加される。
【0024】
送信元ICカードID情報D13は、上位装置に係わるカード所有者、即ち当該印刷ジョブを送信したICカード所有者の固有情報としてのICカードID情報である。送信元ICカードID情報D13は、このジョブ送信時に上位装置1−1〜1−nがカードリーダを使用して読み込んだ情報をジョブデータDに付与したものである。印刷データD14は、上位装置が送信したジョブデータDから前記送信元IPアドレスD12と前記送信元ICカードID情報D13を除いた印刷のためのジョブデータである。
【0025】
次に、図6はIPアドレス管理テーブル110を示す説明図である。IPアドレス管理テーブル110は、ネットワーク内の上位装置1−1〜1−nにそれぞれ対応するIPアドレスがすべて記述される。そして、それぞれの送信元IPアドレスD12について、上位装置監視部40が行った上位装置1−1〜1−nの稼働状態R、即ち上位装置1−1〜1−nが稼動か非稼動かを「ON」「OFF」で記憶する。図中IPアドレス192.168.10.1、192.168.10.2及び192.168.10.4の上位装置は「ON」であるので稼動していることを表し、192.168.10.3の上位装置は「OFF」であるので稼動していない(非稼働)ことを表す。
【0026】
次に、図7は、第1の実施の形態に関する上位装置監視部40のポーリング処理動作の流れを示すフローチャートである。
S300:上位装置監視部40は、IPアドレス管理テーブル110に記述されているすべてのIPアドレスD12に対する稼働状態Rを稼動している状態(ON)にする。
S310:続いて、上位装置監視部40は、上位装置1−1〜1−nに対して一斉にポーリング信号を送信する。
【0027】
S320:同時に上位装置監視部40は応答監視のためのタイマーを設定する。
S330:上位装置監視部40は、上位装置1−1〜1−nからの応答を待つ。
S340:応答待ち時間の間は上位装置1−1〜1−nからの応答を待ち続ける。
【0028】
S350:応答待ち時間経過後は、上位装置監視部40は、応答のなかった上位装置1−1〜1−nのIPアドレス管理テーブル110のIPアドレスD12に対する稼働状態Rを稼動していない状態(OFF)に更新する。
S360:続いて、上位装置監視部40は、所定時間の経過を待ち、再びステップ300から繰り返す。よって、上位装置1−1〜1−nが、電源をOFFとしない限り、稼働状態Rは稼動している状態(ON)となっている。
【0029】
次に、図8は、第1の実施の形態に関するICカード情報受信部50の動作の流れを示すフローチャートである。
S400:ICカード情報受信部50は、ICカード所有者がICカードをプリンタ100のICカードリーダCR−100にかざすことによりICカードID情報を読み取る。読み取りは、ジョブ受信部10及び上位装置監視部40の処理とは独立に行われる。
【0030】
S410:ICカード情報受信部50は、読み取ったICカードID情報を印刷許可判定部60に伝達する。なお、ここではICカードをICカードリーダCR−100にかざしたとき、ICカード所有者以外の者がなりすましたとしても、ICカード情報受信部50は、通常通り読み取ったICカードID情報を印刷許可判定部60に伝達することになる。
【0031】
次に、図9は、第1の実施の形態に関する印刷許可判定部60の動作の流れを示すフローチャートである。
S500:印刷許可判定部60は、プリンタ100のICカード情報受信部50から送信元ICカードID情報D13が伝達されると、その送信元ICカードID情報D13を持つジョブデータDがジョブデータ格納部120に格納されているかを検索する。
【0032】
S510:印刷許可判定部60は、ICカード情報受信部50から伝達された送信元ICカードID情報D13を持つジョブデータDがあればステップ520へ移行する。伝達された送信元ICカードID情報D13を持つジョブデータDがジョブデータ格納部120になかった場合は、そのまま処理を終了する。
S520:印刷許可判定部60は、該当する全てのジョブデータDのジョブ番号D11と送信元IPアドレスD12をジョブデータ格納部120から取得する。
【0033】
S530:印刷許可判定部60は、取得した送信元IPアドレスD12がIP管理テーブル110で稼動している状態であるか否かを判定する。稼動している状態(ON)であれば、ステップ540へ移行する。また、稼動していない状態(OFF)ならば、そのまま処理を終了する。ここで、ICカード所有者以外の者によるなりすましがあったとき、正規のICカード所有者の上位装置1−1〜1−nは稼動している状態でないため、IP管理テーブル110の送信元IPアドレスD12は稼動していない状態(OFF)になっている。このように上位装置1−1〜1−nの電源が遮断されている場合には、当該上位装置1−1〜1−nから印刷を指令したICカード所有者が印刷物を取得できる場所にいないと判断する。従って。不正な印刷要求であるとして、そのまま処理を終了する。このことにより、ICカードの所有者以外の者によるなりすまし印刷ができてしまうことを防止することができる。
S540:稼動している状態(ON)であれば、印刷許可判定部60は、ステップ520で取得したすべてのジョブ番号D11をジョブ処理部20に伝達して処理を終了する。
【0034】
次に、図10は、ジョブ処理部20の印刷データの印刷動作の流れを示すフローチャートである。
S600:ジョブ処理部20は、印刷許可判定部60から伝達されたジョブ番号の印刷データD14をジョブデータ格納部120から読み出す。
【0035】
S610:ジョブ処理部20は、読み出した印刷データD14を解析し、印刷画像データを生成する。
S620:ジョブ処理部20は、生成した印刷画像データをジョブ印刷部30に送る。こうしてジョブ印刷部30は、ジョブ処理部20が生成した印刷画像データを印刷する。
【0036】
以上のように、第1の実施の形態によれば、プリンタ100が、プリンタ100に印刷を指令するPCなどの上位装置1−1〜1−nの電源が投入されていることを監視する。そして、電源が遮断されている場合には、当該上位装置1−1〜1−nから印刷を指令したICカード所有者が印刷物を取得できる場所にいないと判断する。これにより、仮に第三者が上位装置1−1〜1−nからプリンタ100に対し印刷を指令した場合、当該第三者が、ICカードの盗用や偽造により他人のICカードを使用して、このICカード所有者になりすまし、プリンタに蓄積された印刷データを不正に取得するという問題を防止できる。
【0037】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の構成を説明する。図11は、第2の実施の形態に関するプリンタ200のブロック図である。前記第1の実施の形態の上位装置監視部40は、所定の時間間隔で上位装置1−1〜1−nにポーリングを行い、上位装置1−1〜1−nの稼働状態Rが稼働であるときは、その上位装置1−1〜1−nに付与されている送信元IPアドレスD12に基づいてIPアドレス管理テーブル110を更新することだけであった。
【0038】
これに対して、第2の実施の形態の上位装置監視部240は、これに加え、上位装置1−1〜1−nが起動完了したときに稼働信号を受信し、その上位装置1−1〜1−nに付与されている送信元IPアドレスD12に基づいたIPアドレス管理テーブル210を更新することにより直ちに印刷を行うものである。その他の構成については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0039】
次に、第2の実施の形態の動作を説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、プリンタ100が定期的にネットワーク内の上位装置1−1〜1−nをポーリングし、上位装置1−1〜1−nの稼動状態を監視している。仮に、前記ステップ530において、上位装置1−1〜1−nが稼動していない状態(OFF)であった場合、当該上位装置1−1〜1−nから印刷を指令したICカード所有者が印刷物を取得できる場所にいないと判断する。これに対し、第2の実施の形態は、上位装置1−1〜1−nが稼動していない状態(OFF)から電源投入が行われ、稼動している状態(ON)に変化するのを把握することを可能とする。即ち、第2の実施の形態においては、上位装置1−1〜1−nの電源投入時に上位装置1−1〜1−nからプリンタ100に対して、稼動している状態(ON)の信号を送信するものである。
【0040】
なお、ジョブ受信部10の動作(図3参照)、ジョブ処理部20のジョブデータ格納処理動作(図4参照)、上位装置監視部240のポーリング処理動作(図7参照)及びICカード情報受信部50の動作(図8参照)については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0041】
図12は、第2の実施の形態に関する上位装置監視部240の稼働信号受信処理動作の流れを示すフローチャートである。なお、IPアドレス管理テーブル210において、上位装置1−1〜1−nのうちのある上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rは、稼動していない状態(OFF)となっていたとする。
【0042】
S700:上位装置1−nは、電源投入時に起動が完了すると、上位装置監視部240に対して起動が完了したことを知らせる信号、即ち、上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と稼動している状態(ON)の信号をプリンタ200に送信する。上位装置監視部240は、この上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と稼動している状態(ON)の信号を受信する。
【0043】
S710:上位装置監視部240は、IPアドレス管理テーブル210の上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対して稼働状態Rを稼動している状態(ON)に更新する。この更新タイミングは、図7で説明した上位装置監視部240のポーリングによるIPアドレス管理テーブル210の更新タイミングとは独立して行われる。
【0044】
S720:上位装置監視部240は、上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と、IPアドレス管理テーブル210における当該送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rが稼働していない状態(OFF)から稼働している状態(ON)に更新したことを印刷許可判定部60に伝達する。
【0045】
次に、図13は、第2の実施の形態に関する印刷許可判定部260の動作の流れを示すフローチャートである。
S800:印刷許可判定部260は、上位装置監視部240から上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と、IPアドレス管理テーブル210における当該IPアドレスに対する稼働状態Rが更新されたことを受信すると、その送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220に格納されているかを検索する。
【0046】
S810:印刷許可判定部260は、上位装置監視部240から伝達された上位装置1−nの送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあるかどうか判定する。伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあればステップ820へ移行する。ジョブデータDがなかった場合は、そのまま処理を終了する。
【0047】
S820:伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあれば、印刷許可判定部260は、該当する全てのジョブデータDのジョブ番号D11をジョブデータ格納部120から取得する。
S830:印刷許可判定部260は、ステップ820で取得したすべてのジョブ番号D11をジョブ処理部20に伝達して処理を終了する。
【0048】
最後にジョブ処理部20の印刷データの印刷動作(図10参照)については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。この場合、IPアドレス管理テーブル210の上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rが稼動している状態(ON)に更新されることにより、送信元ICカードID情報D13を読み取らせることなく直ちに印刷されることになる。
【0049】
以上のように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態での効果に加え、上位装置1−nが、上位装置1−nの起動が完了したことを能動的にプリンタに通知する。これにより、プリンタ側からの所定の時間間隔によるポーリングの周期を待たずに、上位装置1−nの起動完了、即ち稼働状態Rを認識できる。そのため、当該上位装置1−nからの印刷を指令したICカードの所有者が印刷物を取得できる場所にいる場合には、即座に印刷を実行できる。
【0050】
第2の実施の形態では、前記ステップ400において、ICカード所有者がICカードをICカードリーダCR−100にかざすことにより送信元ICカードID情報D13を読み取らせているので、再度、ICカードをICカードリーダCR−100にかざす必要はない。
【0051】
更に、第2の実施の形態では、前記ステップ530において、上位装置1−1〜1−nの送信元IPアドレスD12が稼動していない状態(OFF)ならばそのまま処理を終了する。その場合、ジョブデータ格納部220の内容はそのままであるので、再度、起動を完了した上位装置1−nから改めてジョブデータDをプリンタ100に送信する必要はない。
【0052】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の構成を説明する。前記第2の実施の形態は、上位装置1−nが起動完了したときに稼働信号を受信し、IPアドレス管理テーブル210を更新することにより直ちに印刷を行うものである。これに対し第3の実施の形態は、これにより印刷を実行した場合、印刷実行したことを該当する上位装置1−nに伝達することにある。第3の実施の形態によれば、起動完了した上位装置1−nに印刷の実行を知らせることができる。
【0053】
図14は、第3の実施の形態に関するプリンタ300のブロック図である。プリンタ300のジョブ処理部320は、印刷許可判定部360からの印刷許可に基づいて、印刷画像データをジョブ印刷部30に送った後、ジョブ送受信部310に対して、該当する上位装置1−nに印刷の実行を通知する。その際、ジョブ処理部320は、ジョブ番号D11に基づいて計算した印刷実行件数と、送信元IPアドレスD12を通知する。更に、望ましくは送信元ICカードID情報D13に基づく印刷であることの情報を通知する。
【0054】
通知を受けたジョブ送受信部310は、送信元IPアドレスD12に基づき、該当する送信元IPアドレスD12の上位装置1−nに印刷の実行を通知する。その際、ジョブ送受信部310は、上位装置1−nに対し、印刷実行件数と、更に望ましくは送信元ICカードID情報D13に基づく印刷であることの情報を通知する。
【0055】
以上第3の実施の形態によれば、上位装置1−nを起動したICカード所有者にとって、実際に印刷したことが明らかになるので、身に覚えのない印刷実行であれば、なりすまし印刷の実行が判明することになる。
【0056】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態の構成を説明する。前記第2の実施の形態は、上位装置1−nが起動完了したときに稼働信号を受信し、IPアドレス管理テーブル210を更新することにより直ちに自動的に印刷を行うものである。これに対し第4の実施の形態は、直ちに印刷するのではなく、該当する上位装置1−nに対し、本当に印刷してよいか問い合わせを行い、改めて上位装置1−nから指示を受けて印刷を行うものである。第4の実施の形態によれば、改めて印刷可否の確認をするので、ICカード所有者以外の者によるなりすまし印刷を防止することができる。
【0057】
図15は、第4の実施の形態に関するプリンタ400のブロック図である。プリンタ400の印刷許可判定部460は、起動が完了した上位装置1−nの送信元IPアドレスD12について、ジョブデータDがジョブデータ格納部220にあれば、ジョブ送受信部410を介して、該当する上位装置1−nに対し印刷可否の問い合わせを行う。
【0058】
ジョブ送受信部410は、該当する上位装置1−nから印刷可の回答があると、印刷許可判定部460に対し、印刷可の回答があったことを伝達する。印刷許可判定部460はジョブ送受信部410からの印刷可の伝達があると、ジョブ処理部20に対しジョブ番号を伝達する。そして、ジョブ処理部20は、ジョブ印刷部30に対し印刷実行を指示する。
【0059】
次に図16は、第4の実施の形態に関する印刷許可判定部460の動作の流れを示すフローチャートである。
S900:印刷許可判定部460は、上位装置監視部240から上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と、IPアドレス管理テーブル210における当該送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rが更新されたことを受信すると、その送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220に格納されているかを検索する。
【0060】
S910:印刷許可判定部460は、上位装置監視部240から伝達された上位装置1−nの送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあるかどうか判定する。伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあればステップ920へ移行する。ジョブデータDがなかった場合は、そのまま処理を終了する。
【0061】
S920:伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあれば、印刷許可判定部460は、該当する全てのジョブデータDのジョブ番号D11をジョブデータ格納部120から取得する。
【0062】
S930:印刷許可判定部460は、ステップ920で取得したすべてのジョブ番号D11と、送信元IPアドレスD12をジョブ送受信部410に送信し、該当する上位装置1−nに対し印刷許可信号を送信するよう指示する。ジョブ送受信部410はこれを受けて、該当する上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対し、印刷許可を求める信号を送信する。
【0063】
S940:印刷許可判定部460は、ジョブ送受信部410を介して、該当する上位装置1−nから印刷許可の回答があるかどうか判定する。回答があればステップ950へ移行する。ここで、ICカード所有者以外の者によるなりすましがあったとき、上位装置1−nが稼動していない状態(OFF)から稼働している状態に変化したということは、正規のICカード所有者が上位装置1−nの近くにおり、印刷物を取得できる場所にいると判断する。また、印刷許可の回答がなければそのまま処理を終了する。
【0064】
S950:ジョブ送受信部410を介して、該当する上位装置1−nから印刷許可の回答があるとき、印刷許可判定部460は、ステップ920で取得したすべてのジョブ番号D11をジョブ処理部20に伝達して処理を終了する。最後にジョブ処理部20の印刷データの印刷動作(図10参照)については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0065】
以上第4の実施の形態によれば、改めて印刷可否の確認をするので、上位装置1−nを起動したICカード所有者にとって、印刷を希望しない場合は許可信号をプリンタ400に送信しないようにすれば、ICカードの盗用や偽造により、ICカード所有者以外の者によるなりすまし印刷を防止することができる。
【0066】
第1乃至第4の実施の形態において、プリンタに適用した例を説明したが、これに限らず同様の機能をファクシミリ装置、複写装置、MFP装置においても適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1−1 上位装置
10 ジョブ受信部
20 ジョブ処理部
30 ジョブ印刷部
40 上位装置監視部
50 ICカード情報受信部
60 印刷許可判定部
100 プリンタ
110 IPアドレス管理テーブル
120 ジョブデータ格納部
310、410 ジョブ送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの所有者が所有するICカードによって認証印刷を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置によって印刷された文書を他人に見られないようにする機能をもった画像形成装置が考えられている。特開2009−220437公報(特許文献1)には、親展印刷機能を持ったプリンタにおいて、施錠機能付き排紙部を効率よく使用する技術が開示されている。特許文献1によれば、受信した複数の親展印刷要求ジョブのそれぞれの枚数の大小により、施錠機能付き排紙部の利用優先度を定め、緊急の親展印刷を要求する場合には、緊急の親展印刷に対応することができる。
【0003】
一方、ICカードを利用して認証印刷を可能にした画像形成装置も考えられている。これによると、ICカードの所有者は所有するICカードによって印刷ジョブを印刷装置に送信し、印刷装置はその送信されたジョブを印刷装置内の記憶装置に保存する。その後、ICカードの所有者は印刷装置のところに行き、所有するICカードによって記憶装置に保存された印刷ジョブに基づき印刷していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−220437公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、個人が所有するICカードを用いて認証印刷を行っているが、ICカードの盗用やICカードの偽造によって、ICカードの所有者以外の者でもなりすまし印刷ができてしまうおそれがあった。その結果、悪意を持った第三者が不正に他人の印刷データを入手できてしまうという問題があった。ここで、ICカードの所有者が特に勤務時間中、自分のパソコンの付近など印刷物を取得できる場所にいる場合には、上記のような危険性は少ないということができる。しかしながら、ICカードの所有者が、勤務時間外などで印刷物を取得できる場所にいない場合は、放置されたICカードがあるときは盗用され易いこと、或いは既に偽造されたICカードがあるときはそれが利用され易いことから上記の危険性が更に高くなるということができる。
【0006】
本発明の課題は、個人が所有するICカードを用いて認証印刷を行う場合、ICカードの盗用やICカードの偽造によってICカードの所有者以外の者によるなりすまし印刷ができてしまうことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に関する画像形成装置は、印刷データと、上位装置を特定する上位装置特定情報と、前記上位装置に係わる情報記憶媒体所有者の固有情報とを含む印刷ジョブを前記上位装置より受信するジョブ受信部と、前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブを記憶するジョブデータ格納部と、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記印刷データの印刷を行うジョブ印刷部と、情報記憶媒体から前記情報記憶媒体所有者の固有情報を受信する情報記憶媒体情報受信部と、前記上位装置の稼働状態を監視する上位装置監視部と、前記情報記憶媒体情報受信部が受信した前記情報記憶媒体所有者の固有情報から、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記上位装置特定情報を取得し、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置の稼働状態が稼働でなければ前記ジョブ印刷部に対する前記印刷データの印刷を許可しないことを判定する印刷許可判定部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
情報記憶媒体情報受信部が情報記憶媒体から情報記憶媒体所有者の情報を受信したとき、上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置が稼働状態であればジョブ印刷部に対して印刷データの印刷を指示する。しかし、前記上位装置が稼働状態でなければ印刷データの印刷を指示しないようにしたので、情報記憶媒体の盗用や偽造により、情報記憶媒体所有者以外の者によるなりすまし印刷を防止することができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に関するプリンタ100のブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に関するプリンタ100の外観図である。
【図3】ジョブ受信部10の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】ジョブ処理部20のジョブデータ格納処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】ジョブ番号D11とジョブデータDを格納するジョブデータ格納部120の内容を示す説明図である。
【図6】IPアドレス管理テーブル110を示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に関する上位装置監視部40のポーリング処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に関するICカード情報受信部50の動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に関する印刷許可判定部60の動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】ジョブ処理部20の印刷データの印刷動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に関するプリンタ200のブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に関する上位装置監視部240の稼働信号受信処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に関する印刷許可判定部260の動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態に関するプリンタ300のブロック図である。
【図15】第4の実施の形態に関するプリンタ400のブロック図である。
【図16】第4の実施の形態に関する印刷許可判定部460の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に関するプリンタ100のブロック図である。パソコンとしての上位装置1−1〜1−nは、複数の上位装置1−1〜1−nが1台のプリンタ100を共有し、これらはLANにより接続されている。それぞれの上位装置1−1〜1−nは、プリンタ100を用いて印刷を行うとき、プリンタ100に対して、印刷を指令する印刷ジョブを送信する。
【0011】
また、上位装置1−1〜1−nには、情報記憶媒体としてのICカードIC−1〜IC−nの送信元ICカードID情報D13を読み込むため、それぞれ情報記憶媒体情報受信部としてのICカードリーダCR−1〜CR−nが接続されている。なお、以下情報記憶媒体としてICカードIC−1〜IC−nを例に説明するが、この代わりにUSBメモリ、磁気カードなどの他の記憶媒体を用いてもよく、携帯電話機などに内臓されている情報記憶媒体を利用してもよい。ICカードリーダCR−1〜CR−nは、ICカード所有者がICカードIC−1〜IC−nをかざすことにより、ICカードIC−1〜IC−nの送信元ICカードID情報D13を読み込む。更に、上位装置1−1〜1−nは、ICカードリーダCR−1〜CR−nによって読み込まれた送信元ICカードID情報D13をジョブデータDに付与してプリンタ100に送信する。
【0012】
従って、上位装置1−1〜1−nからのジョブデータDは、ICカード所有者がICカードリーダCR−1〜CR−nにICカードIC−1〜IC−nの送信元ICカードID情報D13を読み込ませることにより送信可能となる。そして、上位装置1−1〜1−nが送信するジョブデータDは、後に図5で説明するように上位装置1−1〜1−nを特定する上位装置特定情報としての送信元IPアドレスD12、上位装置1−1〜1−nに係わるカード所有者の固有情報としての送信元ICカードID情報D13及び印刷データD14からなる。
【0013】
プリンタ100は、ジョブ受信部10、ジョブ処理部20、ジョブ印刷部30、上位装置監視部40、ICカード情報受信部50、印刷許可判定部60、ICカードリーダCR−100、IPアドレス管理テーブル110及びジョブデータ格納部120から成る。
【0014】
ジョブ受信部10は、上位装置1−1〜1−nから、送信元IPアドレスD12と、送信元ICカードID情報D13及び印刷データD14からなるジョブデータDを受信する。そして、ジョブ受信部10は、受信したジョブデータDをジョブ処理部20へ渡す。
【0015】
ジョブ処理部20は、ジョブ受信部10から渡されたジョブデータDに一意のジョブ番号D11を付与し、このジョブ番号D11とジョブデータDを関連付けてジョブデータ格納部120に格納する。ジョブデータ格納部120は図5において後述する。また、ジョブ処理部20は、ジョブデータ格納部120に格納された印刷データD14を読み出し、解析し、印刷画像データを生成し、印刷画像データをジョブ印刷部30に送る。ジョブ印刷部30は、ジョブ処理部20から渡された印刷画像データを印刷媒体に印刷する。
【0016】
上位装置監視部40は、所定の時間間隔で上位装置1−1〜1−nに対してポーリングを行い、上位装置1−1〜1−nの稼働状態Rを監視し、その結果、IPアドレス管理テーブル110を更新する。IPアドレス管理テーブル110は図6において後述する。
【0017】
ICカード情報受信部50は、プリンタ100のICカードリーダCR−100にかざされたICカードのカード所有者の固有情報としての送信元ICカードID情報D13を読み取り、印刷許可判定部60に伝達する。図2は第1の実施の形態に関するプリンタ100の外観図である。プリンタ100の上部前面には、各種の設定を行なうためのスイッチ類と各種の情報を表示するための表示部からなる操作表示部31を有する。ICカードリーダCR−100は、操作表示部31の付近に設けられる。これにより、ICカード所有者がICカードをICカードリーダCR−100にかざすという操作のとき、容易に行なうことができる。プリンタ100のジョブ印刷部30によって印刷された印刷媒体は、排紙口32より排出され、スタッカ33に堆積される。ICカード所有者はスタッカ33に堆積された印刷媒体を確認することができる。
【0018】
図1に戻り、印刷許可判定部60は、ICカード情報受信部50から送信元ICカードID情報D13を受け取ると、当該送信元ICカードID情報D13についてジョブデータ格納部120を検索する。これにより、ICカード情報受信部50から伝達された送信元ICカードID情報D13を持つすべてのジョブデータDのジョブ番号D11と送信元IPアドレスD12を得る。そして次に印刷許可判定部60は、IPアドレス管理テーブル110を参照し、該当する送信元IPアドレスD12の上位装置1−1〜1−nが稼動しているかどうか判定する。更に、印刷許可判定部60は、送信元IPアドレスD12の上位装置1−1〜1−nが稼動しているならば、ジョブ処理部20にジョブ番号D11を渡す。ジョブ処理部20は、渡されたジョブ番号D11に基づいて、ジョブデータ格納部120から印刷データD14を読み出し、ジョブ印刷部30に対し印刷を指示する。一方、印刷許可判定部60は、送信元IPアドレスD12の上位装置1−1〜1−nが稼動していなければ、ジョブ印刷部30に対し印刷を指示することはない。
【0019】
次に第1の実施の形態の動作を説明する。第1の実施の形態は、プリンタが定期的にネットワーク内の上位装置をポーリングし、上位装置の稼動状態を監視している場合の実施の形態である。まず、図3は、ジョブ受信部10の動作の流れを示すフローチャートである。
【0020】
まず印刷ジョブの送信者は、上位装置1−1〜1−nに接続されたICカードリーダCR−1〜CR−nに対し、自らが所有するICカードをかざすことにより、送信元ICカードID情報D13を読み込ませる。上位装置1−1〜1−nはICカードリーダCR−1〜CR−nが送信元ICカードID情報D13を読み込むと、送信元ICカードID情報D13をジョブデータDに付与してプリンタ100に送信する。
S100:ジョブ受信部10は、上位装置1−1〜1−nからプリンタ100に送信されたジョブデータDを受信する。
S110:ジョブ受信部10は、受信したジョブデータDをジョブ処理部20に渡す。
【0021】
次に、図4は、ジョブ処理部20のジョブデータ格納処理動作の流れを示すフローチャートである。
S200:ジョブ処理部20は、ジョブ受信部10から渡されたジョブデータDに一意のジョブ番号D11を付与する。
S210:ジョブ処理部20は、付与したジョブ番号D11と渡されたジョブデータDをジョブデータ格納部120に格納する。
【0022】
図5は、ジョブ番号D11とジョブデータDを格納するジョブデータ格納部120の内容を示す説明図である。ジョブデータ格納部120に格納される内容は、ジョブ番号D11とジョブデータDからなる。そしてジョブデータDは、送信元IPアドレスD12、送信元ICカードID情報D13、印刷データD14から構成される。
【0023】
ジョブ番号D11は、ジョブ処理部20が、ジョブ受信部10から渡されたジョブデータDに一意に付与することによって設定される。送信元IPアドレスD12は、当該印刷ジョブを送信したパソコンとしての上位装置1−1〜1−nを特定する上位装置特定情報としてのIPアドレスである。送信元IPアドレスD12は印刷ジョブを送信時に当該上位装置1−1〜1−nによって自動的にジョブデータDに付加される。
【0024】
送信元ICカードID情報D13は、上位装置に係わるカード所有者、即ち当該印刷ジョブを送信したICカード所有者の固有情報としてのICカードID情報である。送信元ICカードID情報D13は、このジョブ送信時に上位装置1−1〜1−nがカードリーダを使用して読み込んだ情報をジョブデータDに付与したものである。印刷データD14は、上位装置が送信したジョブデータDから前記送信元IPアドレスD12と前記送信元ICカードID情報D13を除いた印刷のためのジョブデータである。
【0025】
次に、図6はIPアドレス管理テーブル110を示す説明図である。IPアドレス管理テーブル110は、ネットワーク内の上位装置1−1〜1−nにそれぞれ対応するIPアドレスがすべて記述される。そして、それぞれの送信元IPアドレスD12について、上位装置監視部40が行った上位装置1−1〜1−nの稼働状態R、即ち上位装置1−1〜1−nが稼動か非稼動かを「ON」「OFF」で記憶する。図中IPアドレス192.168.10.1、192.168.10.2及び192.168.10.4の上位装置は「ON」であるので稼動していることを表し、192.168.10.3の上位装置は「OFF」であるので稼動していない(非稼働)ことを表す。
【0026】
次に、図7は、第1の実施の形態に関する上位装置監視部40のポーリング処理動作の流れを示すフローチャートである。
S300:上位装置監視部40は、IPアドレス管理テーブル110に記述されているすべてのIPアドレスD12に対する稼働状態Rを稼動している状態(ON)にする。
S310:続いて、上位装置監視部40は、上位装置1−1〜1−nに対して一斉にポーリング信号を送信する。
【0027】
S320:同時に上位装置監視部40は応答監視のためのタイマーを設定する。
S330:上位装置監視部40は、上位装置1−1〜1−nからの応答を待つ。
S340:応答待ち時間の間は上位装置1−1〜1−nからの応答を待ち続ける。
【0028】
S350:応答待ち時間経過後は、上位装置監視部40は、応答のなかった上位装置1−1〜1−nのIPアドレス管理テーブル110のIPアドレスD12に対する稼働状態Rを稼動していない状態(OFF)に更新する。
S360:続いて、上位装置監視部40は、所定時間の経過を待ち、再びステップ300から繰り返す。よって、上位装置1−1〜1−nが、電源をOFFとしない限り、稼働状態Rは稼動している状態(ON)となっている。
【0029】
次に、図8は、第1の実施の形態に関するICカード情報受信部50の動作の流れを示すフローチャートである。
S400:ICカード情報受信部50は、ICカード所有者がICカードをプリンタ100のICカードリーダCR−100にかざすことによりICカードID情報を読み取る。読み取りは、ジョブ受信部10及び上位装置監視部40の処理とは独立に行われる。
【0030】
S410:ICカード情報受信部50は、読み取ったICカードID情報を印刷許可判定部60に伝達する。なお、ここではICカードをICカードリーダCR−100にかざしたとき、ICカード所有者以外の者がなりすましたとしても、ICカード情報受信部50は、通常通り読み取ったICカードID情報を印刷許可判定部60に伝達することになる。
【0031】
次に、図9は、第1の実施の形態に関する印刷許可判定部60の動作の流れを示すフローチャートである。
S500:印刷許可判定部60は、プリンタ100のICカード情報受信部50から送信元ICカードID情報D13が伝達されると、その送信元ICカードID情報D13を持つジョブデータDがジョブデータ格納部120に格納されているかを検索する。
【0032】
S510:印刷許可判定部60は、ICカード情報受信部50から伝達された送信元ICカードID情報D13を持つジョブデータDがあればステップ520へ移行する。伝達された送信元ICカードID情報D13を持つジョブデータDがジョブデータ格納部120になかった場合は、そのまま処理を終了する。
S520:印刷許可判定部60は、該当する全てのジョブデータDのジョブ番号D11と送信元IPアドレスD12をジョブデータ格納部120から取得する。
【0033】
S530:印刷許可判定部60は、取得した送信元IPアドレスD12がIP管理テーブル110で稼動している状態であるか否かを判定する。稼動している状態(ON)であれば、ステップ540へ移行する。また、稼動していない状態(OFF)ならば、そのまま処理を終了する。ここで、ICカード所有者以外の者によるなりすましがあったとき、正規のICカード所有者の上位装置1−1〜1−nは稼動している状態でないため、IP管理テーブル110の送信元IPアドレスD12は稼動していない状態(OFF)になっている。このように上位装置1−1〜1−nの電源が遮断されている場合には、当該上位装置1−1〜1−nから印刷を指令したICカード所有者が印刷物を取得できる場所にいないと判断する。従って。不正な印刷要求であるとして、そのまま処理を終了する。このことにより、ICカードの所有者以外の者によるなりすまし印刷ができてしまうことを防止することができる。
S540:稼動している状態(ON)であれば、印刷許可判定部60は、ステップ520で取得したすべてのジョブ番号D11をジョブ処理部20に伝達して処理を終了する。
【0034】
次に、図10は、ジョブ処理部20の印刷データの印刷動作の流れを示すフローチャートである。
S600:ジョブ処理部20は、印刷許可判定部60から伝達されたジョブ番号の印刷データD14をジョブデータ格納部120から読み出す。
【0035】
S610:ジョブ処理部20は、読み出した印刷データD14を解析し、印刷画像データを生成する。
S620:ジョブ処理部20は、生成した印刷画像データをジョブ印刷部30に送る。こうしてジョブ印刷部30は、ジョブ処理部20が生成した印刷画像データを印刷する。
【0036】
以上のように、第1の実施の形態によれば、プリンタ100が、プリンタ100に印刷を指令するPCなどの上位装置1−1〜1−nの電源が投入されていることを監視する。そして、電源が遮断されている場合には、当該上位装置1−1〜1−nから印刷を指令したICカード所有者が印刷物を取得できる場所にいないと判断する。これにより、仮に第三者が上位装置1−1〜1−nからプリンタ100に対し印刷を指令した場合、当該第三者が、ICカードの盗用や偽造により他人のICカードを使用して、このICカード所有者になりすまし、プリンタに蓄積された印刷データを不正に取得するという問題を防止できる。
【0037】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の構成を説明する。図11は、第2の実施の形態に関するプリンタ200のブロック図である。前記第1の実施の形態の上位装置監視部40は、所定の時間間隔で上位装置1−1〜1−nにポーリングを行い、上位装置1−1〜1−nの稼働状態Rが稼働であるときは、その上位装置1−1〜1−nに付与されている送信元IPアドレスD12に基づいてIPアドレス管理テーブル110を更新することだけであった。
【0038】
これに対して、第2の実施の形態の上位装置監視部240は、これに加え、上位装置1−1〜1−nが起動完了したときに稼働信号を受信し、その上位装置1−1〜1−nに付与されている送信元IPアドレスD12に基づいたIPアドレス管理テーブル210を更新することにより直ちに印刷を行うものである。その他の構成については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0039】
次に、第2の実施の形態の動作を説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、プリンタ100が定期的にネットワーク内の上位装置1−1〜1−nをポーリングし、上位装置1−1〜1−nの稼動状態を監視している。仮に、前記ステップ530において、上位装置1−1〜1−nが稼動していない状態(OFF)であった場合、当該上位装置1−1〜1−nから印刷を指令したICカード所有者が印刷物を取得できる場所にいないと判断する。これに対し、第2の実施の形態は、上位装置1−1〜1−nが稼動していない状態(OFF)から電源投入が行われ、稼動している状態(ON)に変化するのを把握することを可能とする。即ち、第2の実施の形態においては、上位装置1−1〜1−nの電源投入時に上位装置1−1〜1−nからプリンタ100に対して、稼動している状態(ON)の信号を送信するものである。
【0040】
なお、ジョブ受信部10の動作(図3参照)、ジョブ処理部20のジョブデータ格納処理動作(図4参照)、上位装置監視部240のポーリング処理動作(図7参照)及びICカード情報受信部50の動作(図8参照)については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0041】
図12は、第2の実施の形態に関する上位装置監視部240の稼働信号受信処理動作の流れを示すフローチャートである。なお、IPアドレス管理テーブル210において、上位装置1−1〜1−nのうちのある上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rは、稼動していない状態(OFF)となっていたとする。
【0042】
S700:上位装置1−nは、電源投入時に起動が完了すると、上位装置監視部240に対して起動が完了したことを知らせる信号、即ち、上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と稼動している状態(ON)の信号をプリンタ200に送信する。上位装置監視部240は、この上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と稼動している状態(ON)の信号を受信する。
【0043】
S710:上位装置監視部240は、IPアドレス管理テーブル210の上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対して稼働状態Rを稼動している状態(ON)に更新する。この更新タイミングは、図7で説明した上位装置監視部240のポーリングによるIPアドレス管理テーブル210の更新タイミングとは独立して行われる。
【0044】
S720:上位装置監視部240は、上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と、IPアドレス管理テーブル210における当該送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rが稼働していない状態(OFF)から稼働している状態(ON)に更新したことを印刷許可判定部60に伝達する。
【0045】
次に、図13は、第2の実施の形態に関する印刷許可判定部260の動作の流れを示すフローチャートである。
S800:印刷許可判定部260は、上位装置監視部240から上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と、IPアドレス管理テーブル210における当該IPアドレスに対する稼働状態Rが更新されたことを受信すると、その送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220に格納されているかを検索する。
【0046】
S810:印刷許可判定部260は、上位装置監視部240から伝達された上位装置1−nの送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあるかどうか判定する。伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあればステップ820へ移行する。ジョブデータDがなかった場合は、そのまま処理を終了する。
【0047】
S820:伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあれば、印刷許可判定部260は、該当する全てのジョブデータDのジョブ番号D11をジョブデータ格納部120から取得する。
S830:印刷許可判定部260は、ステップ820で取得したすべてのジョブ番号D11をジョブ処理部20に伝達して処理を終了する。
【0048】
最後にジョブ処理部20の印刷データの印刷動作(図10参照)については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。この場合、IPアドレス管理テーブル210の上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rが稼動している状態(ON)に更新されることにより、送信元ICカードID情報D13を読み取らせることなく直ちに印刷されることになる。
【0049】
以上のように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態での効果に加え、上位装置1−nが、上位装置1−nの起動が完了したことを能動的にプリンタに通知する。これにより、プリンタ側からの所定の時間間隔によるポーリングの周期を待たずに、上位装置1−nの起動完了、即ち稼働状態Rを認識できる。そのため、当該上位装置1−nからの印刷を指令したICカードの所有者が印刷物を取得できる場所にいる場合には、即座に印刷を実行できる。
【0050】
第2の実施の形態では、前記ステップ400において、ICカード所有者がICカードをICカードリーダCR−100にかざすことにより送信元ICカードID情報D13を読み取らせているので、再度、ICカードをICカードリーダCR−100にかざす必要はない。
【0051】
更に、第2の実施の形態では、前記ステップ530において、上位装置1−1〜1−nの送信元IPアドレスD12が稼動していない状態(OFF)ならばそのまま処理を終了する。その場合、ジョブデータ格納部220の内容はそのままであるので、再度、起動を完了した上位装置1−nから改めてジョブデータDをプリンタ100に送信する必要はない。
【0052】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の構成を説明する。前記第2の実施の形態は、上位装置1−nが起動完了したときに稼働信号を受信し、IPアドレス管理テーブル210を更新することにより直ちに印刷を行うものである。これに対し第3の実施の形態は、これにより印刷を実行した場合、印刷実行したことを該当する上位装置1−nに伝達することにある。第3の実施の形態によれば、起動完了した上位装置1−nに印刷の実行を知らせることができる。
【0053】
図14は、第3の実施の形態に関するプリンタ300のブロック図である。プリンタ300のジョブ処理部320は、印刷許可判定部360からの印刷許可に基づいて、印刷画像データをジョブ印刷部30に送った後、ジョブ送受信部310に対して、該当する上位装置1−nに印刷の実行を通知する。その際、ジョブ処理部320は、ジョブ番号D11に基づいて計算した印刷実行件数と、送信元IPアドレスD12を通知する。更に、望ましくは送信元ICカードID情報D13に基づく印刷であることの情報を通知する。
【0054】
通知を受けたジョブ送受信部310は、送信元IPアドレスD12に基づき、該当する送信元IPアドレスD12の上位装置1−nに印刷の実行を通知する。その際、ジョブ送受信部310は、上位装置1−nに対し、印刷実行件数と、更に望ましくは送信元ICカードID情報D13に基づく印刷であることの情報を通知する。
【0055】
以上第3の実施の形態によれば、上位装置1−nを起動したICカード所有者にとって、実際に印刷したことが明らかになるので、身に覚えのない印刷実行であれば、なりすまし印刷の実行が判明することになる。
【0056】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態の構成を説明する。前記第2の実施の形態は、上位装置1−nが起動完了したときに稼働信号を受信し、IPアドレス管理テーブル210を更新することにより直ちに自動的に印刷を行うものである。これに対し第4の実施の形態は、直ちに印刷するのではなく、該当する上位装置1−nに対し、本当に印刷してよいか問い合わせを行い、改めて上位装置1−nから指示を受けて印刷を行うものである。第4の実施の形態によれば、改めて印刷可否の確認をするので、ICカード所有者以外の者によるなりすまし印刷を防止することができる。
【0057】
図15は、第4の実施の形態に関するプリンタ400のブロック図である。プリンタ400の印刷許可判定部460は、起動が完了した上位装置1−nの送信元IPアドレスD12について、ジョブデータDがジョブデータ格納部220にあれば、ジョブ送受信部410を介して、該当する上位装置1−nに対し印刷可否の問い合わせを行う。
【0058】
ジョブ送受信部410は、該当する上位装置1−nから印刷可の回答があると、印刷許可判定部460に対し、印刷可の回答があったことを伝達する。印刷許可判定部460はジョブ送受信部410からの印刷可の伝達があると、ジョブ処理部20に対しジョブ番号を伝達する。そして、ジョブ処理部20は、ジョブ印刷部30に対し印刷実行を指示する。
【0059】
次に図16は、第4の実施の形態に関する印刷許可判定部460の動作の流れを示すフローチャートである。
S900:印刷許可判定部460は、上位装置監視部240から上位装置1−nの送信元IPアドレスD12と、IPアドレス管理テーブル210における当該送信元IPアドレスD12に対する稼働状態Rが更新されたことを受信すると、その送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220に格納されているかを検索する。
【0060】
S910:印刷許可判定部460は、上位装置監視部240から伝達された上位装置1−nの送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあるかどうか判定する。伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあればステップ920へ移行する。ジョブデータDがなかった場合は、そのまま処理を終了する。
【0061】
S920:伝達された送信元IPアドレスD12を持つジョブデータDがジョブデータ格納部220にあれば、印刷許可判定部460は、該当する全てのジョブデータDのジョブ番号D11をジョブデータ格納部120から取得する。
【0062】
S930:印刷許可判定部460は、ステップ920で取得したすべてのジョブ番号D11と、送信元IPアドレスD12をジョブ送受信部410に送信し、該当する上位装置1−nに対し印刷許可信号を送信するよう指示する。ジョブ送受信部410はこれを受けて、該当する上位装置1−nの送信元IPアドレスD12に対し、印刷許可を求める信号を送信する。
【0063】
S940:印刷許可判定部460は、ジョブ送受信部410を介して、該当する上位装置1−nから印刷許可の回答があるかどうか判定する。回答があればステップ950へ移行する。ここで、ICカード所有者以外の者によるなりすましがあったとき、上位装置1−nが稼動していない状態(OFF)から稼働している状態に変化したということは、正規のICカード所有者が上位装置1−nの近くにおり、印刷物を取得できる場所にいると判断する。また、印刷許可の回答がなければそのまま処理を終了する。
【0064】
S950:ジョブ送受信部410を介して、該当する上位装置1−nから印刷許可の回答があるとき、印刷許可判定部460は、ステップ920で取得したすべてのジョブ番号D11をジョブ処理部20に伝達して処理を終了する。最後にジョブ処理部20の印刷データの印刷動作(図10参照)については、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0065】
以上第4の実施の形態によれば、改めて印刷可否の確認をするので、上位装置1−nを起動したICカード所有者にとって、印刷を希望しない場合は許可信号をプリンタ400に送信しないようにすれば、ICカードの盗用や偽造により、ICカード所有者以外の者によるなりすまし印刷を防止することができる。
【0066】
第1乃至第4の実施の形態において、プリンタに適用した例を説明したが、これに限らず同様の機能をファクシミリ装置、複写装置、MFP装置においても適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1−1 上位装置
10 ジョブ受信部
20 ジョブ処理部
30 ジョブ印刷部
40 上位装置監視部
50 ICカード情報受信部
60 印刷許可判定部
100 プリンタ
110 IPアドレス管理テーブル
120 ジョブデータ格納部
310、410 ジョブ送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データと、上位装置を特定する上位装置特定情報と、前記上位装置に係わる情報記憶媒体所有者の固有情報とを含む印刷ジョブを前記上位装置より受信するジョブ受信部と、
前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブを記憶するジョブデータ格納部と、
前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記印刷データの印刷を行うジョブ印刷部と、
情報記憶媒体から前記情報記憶媒体所有者の固有情報を受信する情報記憶媒体情報受信部と、
前記上位装置の稼働状態を監視する上位装置監視部と、
前記情報記憶媒体情報受信部が受信した前記情報記憶媒体所有者の固有情報から、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記上位装置特定情報を取得し、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置の稼働状態が稼働でなければ前記ジョブ印刷部に対する前記印刷データの印刷を許可しないことを判定する印刷許可判定部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記上位装置監視部は、所定の時間間隔で前記上位装置に対してポーリングを行い、前記上位装置の稼働状態の監視を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記上位装置監視部が行った前記上位装置の稼働状態を記憶する管理テーブルを有し、
前記印刷許可判定部は、前記管理テーブルに従って、前記印刷データの印刷の許可を判定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記上位装置監視部は、前記上位装置の起動の完了を検出し、前記起動の完了の検出によって、前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態を非稼動から稼働へ更新することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブ印刷部による印刷の実行があったときは、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の実行を送信する送信部を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態が非稼動から稼働へ更新されるとき、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の可否を送信する送信部を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記上位装置特定情報とはIPアドレスであることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ジョブ受信部が受信した印刷ジョブに対し一意のジョブ番号を付与して、前記印刷ジョブと前記ジョブ番号を前記ジョブデータ格納部に記憶させるジョブ処理部を有し、
当該ジョブ処理部は、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置が稼働状態であれば前記印刷許可判定部からの許可に従って、前記ジョブ番号に基づき前記印刷データの印刷指示を行うことを特徴とする請求項1乃至7いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷データと、上位装置を特定する上位装置特定情報と、前記上位装置に係わる情報記憶媒体所有者の固有情報とを含む印刷ジョブを前記上位装置よりジョブ受信部で受信するジョブ受信工程と、
前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブをジョブデータ格納部で記憶するジョブデータ格納工程と、
前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記印刷データの印刷をジョブ印刷部で行うジョブ印刷工程と、
情報記憶媒体から前記情報記憶媒体所有者の固有情報を情報記憶媒体情報受信部で受信する情報記憶媒体情報受信工程と、
前記上位装置の稼働状態を上位装置監視部で監視する上位装置監視工程と、
前記情報記憶媒体情報受信部が受信した前記情報記憶媒体所有者の固有情報から、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記上位装置特定情報を取得し、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置の稼働状態が稼働でなければ前記ジョブ印刷部に対する前記印刷データの印刷を許可しないことを判定する印刷許可判定工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記上位装置監視工程は、所定の時間間隔で前記上位装置に対してポーリングを行い、前記上位装置の稼働状態の監視を行うことを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記上位装置監視部が行った前記上位装置の稼働状態を記憶する管理テーブルを有し、
前記印刷許可判定部は、前記管理テーブルに従って、前記印刷データの印刷の許可を判定することを特徴とする請求項10記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記上位装置監視工程は、前記上位装置に対してポーリングとは独立して前記上位装置の起動の完了を検出し、前記起動の完了の検出によって、前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態を非稼動から稼働へ更新することを特徴とする請求項11記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記ジョブ印刷部による印刷の実行があったときは、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の実行を送信部から送信する送信工程を含むことを特徴とする請求項12記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態が非稼動から稼働へ更新されるとき、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の可否を送信部から送信する送信工程を含むことを特徴とする請求項12記載の画像形成方法。
【請求項1】
印刷データと、上位装置を特定する上位装置特定情報と、前記上位装置に係わる情報記憶媒体所有者の固有情報とを含む印刷ジョブを前記上位装置より受信するジョブ受信部と、
前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブを記憶するジョブデータ格納部と、
前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記印刷データの印刷を行うジョブ印刷部と、
情報記憶媒体から前記情報記憶媒体所有者の固有情報を受信する情報記憶媒体情報受信部と、
前記上位装置の稼働状態を監視する上位装置監視部と、
前記情報記憶媒体情報受信部が受信した前記情報記憶媒体所有者の固有情報から、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記上位装置特定情報を取得し、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置の稼働状態が稼働でなければ前記ジョブ印刷部に対する前記印刷データの印刷を許可しないことを判定する印刷許可判定部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記上位装置監視部は、所定の時間間隔で前記上位装置に対してポーリングを行い、前記上位装置の稼働状態の監視を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記上位装置監視部が行った前記上位装置の稼働状態を記憶する管理テーブルを有し、
前記印刷許可判定部は、前記管理テーブルに従って、前記印刷データの印刷の許可を判定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記上位装置監視部は、前記上位装置の起動の完了を検出し、前記起動の完了の検出によって、前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態を非稼動から稼働へ更新することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブ印刷部による印刷の実行があったときは、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の実行を送信する送信部を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態が非稼動から稼働へ更新されるとき、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の可否を送信する送信部を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記上位装置特定情報とはIPアドレスであることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ジョブ受信部が受信した印刷ジョブに対し一意のジョブ番号を付与して、前記印刷ジョブと前記ジョブ番号を前記ジョブデータ格納部に記憶させるジョブ処理部を有し、
当該ジョブ処理部は、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置が稼働状態であれば前記印刷許可判定部からの許可に従って、前記ジョブ番号に基づき前記印刷データの印刷指示を行うことを特徴とする請求項1乃至7いずれか一記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷データと、上位装置を特定する上位装置特定情報と、前記上位装置に係わる情報記憶媒体所有者の固有情報とを含む印刷ジョブを前記上位装置よりジョブ受信部で受信するジョブ受信工程と、
前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブをジョブデータ格納部で記憶するジョブデータ格納工程と、
前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記印刷データの印刷をジョブ印刷部で行うジョブ印刷工程と、
情報記憶媒体から前記情報記憶媒体所有者の固有情報を情報記憶媒体情報受信部で受信する情報記憶媒体情報受信工程と、
前記上位装置の稼働状態を上位装置監視部で監視する上位装置監視工程と、
前記情報記憶媒体情報受信部が受信した前記情報記憶媒体所有者の固有情報から、前記ジョブデータ格納部に格納した前記印刷ジョブの前記上位装置特定情報を取得し、前記上位装置監視部の監視の結果、前記上位装置の稼働状態が稼働でなければ前記ジョブ印刷部に対する前記印刷データの印刷を許可しないことを判定する印刷許可判定工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記上位装置監視工程は、所定の時間間隔で前記上位装置に対してポーリングを行い、前記上位装置の稼働状態の監視を行うことを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記上位装置監視部が行った前記上位装置の稼働状態を記憶する管理テーブルを有し、
前記印刷許可判定部は、前記管理テーブルに従って、前記印刷データの印刷の許可を判定することを特徴とする請求項10記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記上位装置監視工程は、前記上位装置に対してポーリングとは独立して前記上位装置の起動の完了を検出し、前記起動の完了の検出によって、前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態を非稼動から稼働へ更新することを特徴とする請求項11記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記ジョブ印刷部による印刷の実行があったときは、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の実行を送信部から送信する送信工程を含むことを特徴とする請求項12記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記管理テーブルが記憶する前記稼働状態が非稼動から稼働へ更新されるとき、前記起動の完了を検出した前記上位装置へ印刷の可否を送信部から送信する送信工程を含むことを特徴とする請求項12記載の画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−131049(P2012−131049A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282759(P2010−282759)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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