画像形成装置及び画像形成方法
【課題】属性に応じた適切なスクリーン処理を行うとともに、解像度の違いによって発生する疑似輪郭等の不具合を軽減する。
【解決手段】属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置する網点配置手段111と、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する境界抽出手段112と、前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択する網点選択手段113と、選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる網点移動手段114と、移動した網点からなる画像を出力する出力手段と出力部17とを備える構成としてある。
【解決手段】属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置する網点配置手段111と、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する境界抽出手段112と、前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択する網点選択手段113と、選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる網点移動手段114と、移動した網点からなる画像を出力する出力手段と出力部17とを備える構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる属性の境界に発生する疑似輪郭の影響を低減する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドット画像にもとづき印刷を行うプリンター等の画像形成装置においては、網目スクリーン、ハーフトーンスクリーン、万線スクリーン等の種々のスクリーンを用い、画像データを周期的な配列の網点に変換して、元の画像の階調性を再現する画像処理(以下、スクリーン処理という)が多く採用されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
スクリーン処理では、再現する画像の属性(例えば、文字、図形、写真など)に応じ所定の線数にもとづき規則的に網点が配置されたスクリーンが適宜選択される。
すなわち、スクリーン処理によれば、属性ごとに異なる画像の階調性を、ドットの大きさや配列を変化させることで再現するようにしている。
【0003】
ところで、グラフィック(ラスターオブジェクト)90の領域上に描画される文字(テキストオブジェクト)91を視認できないようにしたり、一体化したように表示させたい場合には、図11に示すように、各々の色値が同一であることを前提としつつ、文字91の属性をグラフィック90の属性に変更する画像処理が行われる(特許文献1参照)。
このような描画方法によれば、同じ色からなる文字91とグラフィック90の各々に対し同様のスクリーン処理が行われるため、グラフィック90の領域内で文字91が浮き出る不具合を防止することができる。
また、図12に示すように、上記不具合を防止する別の方法として、オブジェクトの描画順序を変更し、グラフィック90の下に文字91を描画する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−129342号公報
【特許文献2】特開2003−87566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている描画方法によれば、グラフィック90の領域の内部と外部にまたがって文字91を描画して印刷するような場合には、グラフィック90の領域からはみ出た文字部分に対してもグラフィック90として取り扱われるため、文字91としては不適切なスクリーン処理が施されることになる。
また、属性が異なるオブジェクトの色値を同一にしても、線数(解像度)が異なるため、網点の間隔が空いてできる白抜きや網点同士が重なることに起因する疑似輪郭が生じて、図11に示すように、重複するオブジェクト部分が浮き出してしまうことがある。
また、図12に示すように、オブジェクトの描画順序を変更したとしても、境界線が現れ一体的に印刷されないことがある。
また、特許文献2に開示されている画像形成装置によれば、境界部付近の濃度むらを防ぐことができたとしても、このような境界を軽減することはできない。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、スクリーン処理に係る網点を適切に配置することによって、疑似輪郭等の不具合を軽減する画像形成装置及び画像処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置する網点配置手段と、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する境界抽出手段と、前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択する網点選択手段と、選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる網点移動手段と、移動した網点からなる画像を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
また、本発明の画像形成方法は、属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置するステップと、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出するステップと、前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択するステップと、選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させるステップと、移動した網点からなる画像を出力するステップと、移動した網点からなる画像を出力するステップと、を有する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、疑似輪郭等の不具合を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】境界部を説明するための図である。
【図3】ボロノイ図を説明するための図である。
【図4】本実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
【図5】スクリーンパターンを説明するための図である。
【図6】本実施形態に係る画像処理の効果を説明するための図である。
【図7】画像形成処理の全体の工程を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第二実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
【図10】本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
【図11】従来の問題点を説明するための第一の図である。
【図12】従来の問題点を説明するための第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第一実施形態)
[画像形成装置の構成]
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、制御部11、画像入力部12、CPU13、メモリ14、色変換部15、スクリーン処理部16及び出力部17を備えるプリンター装置やコピー機等が相当する。
以下、構成部ごとに各機能を説明する。
【0013】
画像入力部12は、スキャナ、USBインタフェースなどの入力ポート、ネットワーク等を介して画像データを入力する。
CPU(Central Processing Unit)13は、画像形成装置10の動作を制御するためのコンピュータ装置である。メモリ14に記録されたプログラムがCPU13により読み込まれることによって、画像形成装置10の各機能(後述する制御部11の各機能を含む)を実現する。
メモリ14は、半導体記憶装置からなる一次記憶装置と磁気回転ディスク等からなる二次記憶装置とから構成され、画像形成装置10の動作に必要なプログラムやデータを記録保存する。
色変換部15は、所定の色変換テーブル等を用いて、入力した画像データの色値(RGB)を出力用の画像データの色値(CMYK)に色変換する。
スクリーン処理部16は、色変換後の画像データに含まれるオブジェクトに対し、その属性に応じたスクリーンパターンを用いて通常のスクリーン処理を行う。
本実施形態に係るスクリーン処理部16は、かかるスクリーンパターンを制御部11に出力し、制御部11が、そのスクリーンパターンにもとづく固有の画像処理(スクリーン処理)を行う。
【0014】
ここで、制御部11は、上記画像処理を行うため、図1に示すように、機能ブロックとして、網点配置手段111、境界抽出手段112、網点選択手段113、及び、網点移動手段114を備える。これら各機能ブロックは、メモリ14上に記録されたプログラムがCPU13により読み込まれることで実行される。以下、各機能ブロックについて説明する。
【0015】
網点配置手段111は、ページ領域に含まれる各画像(オブジェクト)に対し、その属性に応じた規定の配列にしたがって網点の配置を行う。
具体的には、画像の属性に応じた規定の配列(スクリーンパターン)にしたがって網点を配置する。スクリーンパターンは、その網点の大きさや間隔が属性によって異なる。例えば、文字用のスクリーンパターンにおける網点の大きさは、写真用のスクリーンパターンの網点よりも小さく、網点の間隔も文字用のスクリーンパターンの方が小さい(図5参照)。
このため、網点配置手段114は、言い換えれば、画像の属性に応じた線数(解像度)にもとづく規定の配列にしたがって網点を配置する。
例えば、網点配置手段111は、オブジェクトごとに属性を解析し、あるオブジェクトが文字である場合には、文字用のスクリーンパターンにしたがって網点を配置する。また、網点配置手段111は、あるオブジェクトが写真である場合には、写真用のスクリーンパターンにもとづき網点を配置する。
【0016】
境界抽出手段112は、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する。
色値は、完全に同一の色値に限定するものではなく、実質的に同一と認めた一定の範囲に含まれる色値であればこれを同一の色値とみなすことができる。例えば、RGB(255,0,0)とRGB(254,0,0)はR値が異なるが、いずれも同一色値(Red)と判断することができる。
また、属性とは、各オブジェクトが有する属性であり、テキスト属性、ラスター属性、ベクター属性等がある。
【0017】
例えば、図2は、テキスト属性を有するテキストオブジェクト91(「A」「B」「C」)と、ラスター属性を有するラスターオブジェクト90(背景)とが重なる例(a)、近接する例(b)を示したものである。なお、各オブジェクトの色値は、ともにRGB=(128,0,128)である。
図2(a)に示すように、境界抽出手段112は、「ABC」と背景が重なる領域を境界部92として抽出し、また、図2(b)に示すように、境界抽出手段112は、「B」と背景とが近接する領域を境界部92として抽出する。
なお、「近接する領域」とは、例えば、画像同士の距離が所定画素以下(例えば1〜2画素)であって、視認上、疑似輪郭を生じさせ、または、そのおそれがあると判断する程度に近接する領域をいう。
【0018】
網点選択手段113は、境界部92において、相互に隣接する三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合に、一の網点を移動対象として選択する。
【0019】
網点移動手段114は、選択された網点を、当該網点と前記三つの網点のすべてを同一円周上に配置する円の中心との間の所定の位置に移動させる。
具体的には、選択された網点を、当該網点と境界部92において相互に隣接する三つの網点のすべてを円周上に配置する円の中心との間の位置であって、その網点と円の中心との関係にもとづいて求めた数値と、円の中心と他の二つのいずれかの網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる所定の位置に移動させる。
すなわち、選択された網点を、その網点の属性に係る網点同士の間隔が他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも大きい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように所定の位置に移動させ、その網点の属性に係る網点同士の間隔が他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも小さい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように所定の位置に移動させるものである。
また、選択された網点を、その属性に係る網点の線数が他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも多い場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように所定の位置に移動させ、その属性に係る網点の線数が他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも少ない場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように所定の位置に移動させるものである。
【0020】
網点の移動先である前記「所定の位置」は、例えば、万有引力の法則式を用いて求めることができる。
すなわち、網点移動手段114は、選択された網点を「所定の位置」に移動するに当たり、当該網点と前記円の中心との間のエネルギー及び前記円の中心と前記他の二つのいずれかの網点の間のエネルギーを、万有引力の法則式にもとづいて求め、求めたエネルギーが同一になる所定の位置に網点を移動させる。
なお、万有引力の法則式を用いた所定の位置までの移動距離の求め方については、後記「ボロノイ図を用いた画像処理」において詳述する。
【0021】
制御部11は、上述の画像処理が施されて形成された画像のデータを出力部17に出力する。
出力部(出力手段)17は、いわゆる印刷エンジンであり、上述の画像処理が施された画像のデータにもとづいて印刷処理を行う。
【0022】
(ボロノイ図を用いた画像処理)
ここで、ボロノイ図を用いた画像処理、すなわち、網点の移動について説明する。
図3(a)は、境界部に配置された各網点の中心をボロノイ母点とするボロノイ図の一例である。
ボロノイ図は、空間中に存在する点(網点に相当)の中で各点から最も近い空間を線や面などの超平面で区切った図のことをいう。
【0023】
ボロノイ母点の座標は、x1,x2,...,xmとし、ボロノイ点の座標は、P1,P2,...,Pnとした場合、距離空間内の有限部分集合P={p1,p2,...,pn}に対してボロノイ領域の集合{V(p1),V(p2),...,V(pn)}をボロノイ図と呼ぶ。また、ボロノイ領域とは、距離関数dに対して、V(pi)={p|d(p,pi)≦d(p,pj),i≠j}で構成される領域V(pi)のことをいう。
また、ボロノイ領域の境界をボロノイ辺と呼び、各々のボロノイ辺の交点をボロノイ点と呼ぶ。
【0024】
図3(b)に示すように、ボロノイ図は、以下の特徴を有する。
(1)ボロノイ辺は、隣接するボロノイ母点Pの垂直二等分線からなる。
(2)ボロノイ点は、隣接するボロノイ母点Pの3点を通る円の中心に相当する。
このため、隣接する3つのボロノイ母点は、対応するボロノイ点を中心とした一の円の同一円周上に配置されることになる。
【0025】
ここで、網点選択手段113は、このようにして生成されたボロノイ図の境界部92に相当する領域において、所定のボロノイ点を円の中心とした円周上に存在する三つのボロノイ母点のうち、一のボロノイ母点に係る網点の属性が他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性と異なり、かつ、当該他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性が同一である場合に、一のボロノイ母点を移動対象として選択する。
【0026】
ここで、ボロノイ母点に係る網点の移動について図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
図4(a)は、対象となるボロノイ母点の移動前の状態を示した図、図4(b)は、ボロノイ母点の移動先に相当する所定の位置を求めるために用いる万有引力の法則式を説明するための図、図4(c)は、ボロノイ母点を所定の位置に移動した後の状態を示した図である。
【0027】
例えば、図4(a)に示すように、ボロノイ点P’を中心とした円周上に3つのボロノイ母点(P(A1)、P(A2)、P(B1))が配置された状況において、P(A1)とP(A2)がラスター属性を有し、P(B1)がテキスト属性を有する場合には、P(B1)が移動対象として選択される。
【0028】
網点移動手段114は、選択された一のボロノイ母点に係る網点を、ボロノイ点と一のボロノイ母点に係る網点との間の所定の位置に移動させる。
本実施形態では、ボロノイ母点P(B1)を、ボロノイ母点P(B1)とボロノイ点P’との間の「所定の位置」に移動することになる。
すなわち、選択された一のボロノイ母点に係る網点を、ボロノイ点と一のボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値と、前記ボロノイ点と前記他の二つのいずれかのボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる前記所定の位置に移動させる。
具体的には、一のボロノイ母点に係る網点と前記円の中心に相当するボロノイ点との間のエネルギー及びボロノイ点と他の二つのいずれかのボロノイ母点に係る網点の間のエネルギーを、万有引力の法則式にもとづいて求め、求めたエネルギーが同一になる前記所定の位置にボロノイ母点に係る網点を移動させる。
【0029】
ここで、ボロノイ母点を「所定の位置」に移動させるため、「所定の位置」までの移動距離を万有引力の法則式を用いて求める。
各ボロノイ母点に係る網点の質量については、網点の半径に置き換えて適用する。網点の質量は、網点の径(半径)の大きさに比例するからである。網点の半径は、解像度(線数)や色値(濃度)によっても異なる。
このため、網点の半径rは、次式(1)により求めることができる。
r={(1inch/線数)/2}×(色値/255) ・・・・・(1)
例えば、図5(a)に示す線数:175、色値(C,M,Y,K):(0,0,0,200)の網点の半径rは、r={(1/175)/2}×(200/255)≒0.00224(inch)≒0.00569(mm)と算出することができ、また、図5(b)に示す線数:75、色値(C,M,Y,K):(0,0,0,200)の網点の半径はr={(1/75)/2}×(200/255)≒0.00523(inch)≒0.01328(mm)と算出することができる。
【0030】
図4(b)は、ボロノイ点P’とボロノイ母点P(A1)との関係及びボロノイ点P’とボロノイ母点P(B1)との関係を示した図である。
ここで、ボロノイ点P’とボロノイ母点P(A1)との間に働くエネルギーF(P’,A1)と、ボロノイ点P’とボロノイ母点P(B1)との間に働くエネルギーF(P’,B1)とを、万有引力の法則式を用いて算出し、F(P’,A1)とF(P’,B1)とが同一になるところのボロノイ母点P(B1)の位置を求める。
すなわち、網点移動手段114は、次式(2)の関係式が成り立つようにP(B1)の移動距離を求める。
F(P’,A1)=F(P’,B1) ・・・・・(2)
【0031】
万有引力の法則式を以下に示す。
F=G(Mm)/r2 ・・・・・(3)
(F:物体間に働くエネルギー、G:万有引力定数、M,m:物体質量、r:距離r)
このため、F(P’,A1)及びF(P’,B1)は、ボロノイ点P’の半径をRとして、これを質量に置き換えて式(3)に適用すると、
F(P’,A1)=G(R×R(A1))/D(P,A1)2
F(P’,B1)=G(R×R(B1))/D(P,B1)2
となる。
【0032】
上記各式を式(2)に当てはめると、
G(R×R(A1))/D(P,A1)2=G(R×R(B1))/D(P,B1)2
となる。
このため、ボロノイ点P’〜ボロノイ母点P(B1)間の距離D(P’,B1)は、
D(P’,B1)={R(B1)/R(A1)}1/2×D(P,A1)
となる。
したがって、網点移動手段114は、図4(c)に示すように、ボロノイ母点P(B1)を、ボロノイ点P’に近づける方向に、D’=(P’,A1)−D(P’,B1)だけ移動させる。
【0033】
上述した処理を境界部92に存在する全ての網点に対して行う。
この結果、図6に示すように、移動対象の網点が、同じ円に属する他の2つの網点より小さい場合には円の内側に移動し、移動対象の網点が、同じ円に属する他の2つの網点より大きい場合には円の外側に移動することになる。
すなわち、このような網点の移動によって、元々その間隔が大きかったところの網点の間隔が小さくなり、元々その間隔が小さかったところの網点の間隔が大きくなる。
このため、テキストオブジェクト90とラスターオブジェクト91とが重複し又は近接する周辺の境界部92で、これらが互いに同じ色値の場合には、その部分をぼかすことにより目立たなくすることができる。
したがって、異なる属性のオブジェクト間に生ずる疑似輪郭等の不具合を軽減することができる。
【0034】
[画像形成方法]
次に、本実施形態に係る画像形成方法について図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係る画像形成処理の全体の工程を示すフローチャートである。
図7に示すように、ここでは、ボロノイ図を作成する(A01)。具体的には、網点配置手段111その他制御部11の一機能として、網点の中心点をボロノイ母点とするボロノイ図を作成する。
なお、ここでは、同一の色値で解像度(線数)が異なるオブジェクト同士が重複し、又は、近接する部分の周辺の境界部92におけるボロノイ図を作成する。境界部92に発生する疑似境界等の不具合を軽減するためである。
「境界部92において網点移動」の工程を経て、出力が行われる。
すなわち、網点移動手段114が、対象となる網点(ボロノイ母点)を移動し(A02)、その移動後の網点によって形成された画像について、出力部17が出力を行う(A03)。
【0035】
ここで、「境界部において網点移動(A02)」の工程について、図8を参照しながら詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
図8に示すように、ここでは、作成したボロノイ図において、ボロノイ点P’kを順次抽出し、それぞれのボロノイ点P’kを中心とする空円を作成してその空円情報を保存する(B01)。具体的には、境界部92に存在するボロノイ点P’k(但し、k=1〜n)の座標(P’1,P’2,...,P’n)と、境界部92に存在するボロノイ母点P(x)(但し、x=1〜m)の座標を、空円情報としてメモリ14に保存する。
【0036】
なお、ボロノイ点P’kの座標と、このボロノイ点P’kを中心とする空円の円周上に存在するボロノイ母点P(x)の座標とを対応付けた情報を空円情報としてメモリ14に保存することができる。また、網点の半径を、ボロノイ母点P(x)の空円情報に対応付けて保存することができる。
例えば、あるボロノイ点P’kの空円の円周上に、3点のボロノイ母点P(1)、P(2)、P(3)が抽出された場合には、下記(i)〜(iii)の情報を空円情報として保持することができる。
(i)各ボロノイ母点の座標:P(1)、P(2)、P(3)
(ii)各ボロノイ母点に係る網点の半径:R(1)、R(2)、R(3)
(iii)各ボロノイ母点からボロノイ点P’kまでの距離:D(P’k,1)、D(P’k,2)、D(P’k,3)
【0037】
ここで、制御部11は、ボロノイ点P’kのk(添え字)を初期化(k=0)する(B02)。
次に、制御部11は、ボロノイ点P’1を中心とする空円の円周上の3点のボロノイ母点に係る網点の半径をRとし(B03)、これら3点のボロノイ母点のうち1点のボロノイ母点に係る網点の属性が他の2点のボロノイ母点に係る網点の属性と異なり、かつ、他の2点のボロノイ母点に係る網点の属性が同じである場合には、この1点のボロノイ母点に係る網点を移動対象として選択し、万有引力の法則式を用いてその移動距離を求める(B04)。移動距離の算出方法は、前述の通りである。また、移動対象として選択されたボロノイ母点については、移動対象であることを示す識別子を付してメモリ14に保存するようにしてもよい。
【0038】
一方、B04において、移動対象として該当するボロノイ母点がなければ、B05の工程を経ずに次の工程(B06)に進む。
次いで、制御部11は、k=k+1としつつ(B06)、k=nになるまでB03〜B05の処理を繰り返す。つまり、kのカウント数を1増やして次のボロノイ点P’kの空円情報を取り出し、この空円情報にもとづき移動対象の網点がある場合には移動距離を求める演算を繰り返し、P’k=P’nについての処理が終われば次の工程(B07)に進む。
【0039】
ここで、制御部11は、ボロノイ母点P(x)のx(括弧付き数字)をリセット(x=0)する(B07)。
次に、制御部11は、ボロノイ母点P(1)が移動対象か否かを判別し、移動対象であればその座標を、B05で求めた距離分移動させる(B08)。
次いで、制御部11は、x=x+1としつつ(B09)、x=mとなるまでB08の処理を繰り返す。つまり、xのカウント数を1増やして次のボロノイ母点の空円情報を取り出し、この空円情報にもとづき移動対象と判断されたボロノイ母点に係る網点を移動させる。
【0040】
このように、本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法によれば、属性が異なるオブジェクト同士が重複し又は近接する周辺の境界部92であって、色値が同じ部分については、元々その間隔が大きかったところの網点の間隔を小さくするとともに、元々その間隔が小さかったところの網点の間隔を大きくするようにしている。このため、このような境界部92における境界線(疑似輪郭等)を適切にぼかすことができる。
したがって、属性に応じた適切なスクリーン処理を行いつつ、解像度の違いによって発生する疑似輪郭等の影響を軽減することができる。
【0041】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、画像形成装置の構成については第一実施形態において説明した構成(図1参照)と同様であるが、本実施形態の網点移動手段114は、網点選択手段113によって選択された網点を移動したとすると、その網点、他の一方の網点及び3つの網点を同一円周上に配置する円の中心からなる面積と、その網点、他の他方の網点及び前記円の中心からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた面積と前記他の二つの網点及び前記円の中心からなる面積との面積比にもとづき前記円に係る円周上の所定位置を求め、選択された網点を求めた前記円周上の所定位置に移動させた後に当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる点において第一実施形態と異なる。
他の構成については第一実施形態と共通する。このため共通する構成、関連する処理、方法等については詳細な説明を割愛する。
【0042】
本実施形態に係る網点の移動についてボロノイ図を用いて説明する。
図9は、本発明の第二実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
図9(a)は、対象となるボロノイ母点の移動前の状態を示した図、図9(b)は、対象となるボロノイ母点を円周上の所定位置に移動(移動1)させた後の状態を説明するための図、図9(c)は、移動1によって移動したボロノイ母点を最終移動先に相当する所定の位置に移動した後の状態を示した図である。
例えば、図9(a)に示すように、ボロノイ点P’を中心とした円周上に3つのボロノイ母点(P(A1)、P(B1)、P(B2))が配置された状況において、P(B1)とP(B2)がラスター属性を有し、P(A1)がテキスト属性を有する場合には、P(A1)が移動対象として選択される。
【0043】
網点移動手段114は、選択された一のボロノイ母点を移動したとすると、そのボロノイ母点、他の一方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積と、そのボロノイ母点、他の他方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた前記面積と前記他の二つのボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積との面積比にもとづいて前記円に係る「円周上の所定位置」を求め、選択されたボロノイ母点に係る網点を求めた「円周上の所定位置」に移動させた後にそのボロノイ母点とボロノイ点との間の所定の位置に移動させる。
つまり、本実施形態の場合、ボロノイ母点P(A1)を、3つのボロノイ母点(P(A1)、P(B1)、P(B2))がともに配置されている「円周上の所定位置」に移動する処理(移動1)を行った後(図9(b)参照)、移動後のボロノイ母点P(A2)を、ボロノイ母点Pとボロノイ点P’との間の「所定の位置」P(A3)に移動する(図9(c)参照)。
【0044】
まず、ボロノイ母点を「円周上の所定位置」に移動するため、その移動先を、面積比を用いて求める。
図9(a)に示すように、角度α、β、γは、それぞれα=∠P(B1)P’P(B2)、β=∠P(A1)P’P(B1)、γ=∠P(A1)P’P(B2)であり、0≦α<π、0≦β<π、0≦γ<π、α+β+γ=2πという条件が成立する。
P(A1)、P(B1)、P(B2)の半径をそれぞれR(A1)、R(B1)、R(B2)とすると、P(B1)とP(B2)は同じ属性の網点なので、R(B1)=R(B2)という関係が成り立つ。
【0045】
ボロノイ点P’は、P(A1)、P(B1)、P(B2)を同一円周上に有する円の中心なので、各ボロノイ母点とボロノイ点との間の距離Dに関し、D(P’,A1)=D(P’,B1)=D(P’,B2)=rという関係が成り立つ(rは、P’を中心とする円の半径)。
このため、△P(B1)P’P(B2)の面積S(A1)は、S(A1)=(1/2)×r2×sinα、△P(A1)P’P(B2)の面積S(B1)は、S(B1)=(1/2)×r2×sinγ、△P(A1)P’P(B1)の面積S(B2)は、S(B2)=(1/2)×r2×sinβ、と表すことができる。
【0046】
ここで、図9(b)に示すように、P(A1)を円周上の所定位置に移動する。すなわち、「円周上の所定位置」とは、∠P(A2)P’P(B1)=∠P(A2)P’P(B2)=β’となるように、P(A1)を移動したP(A2)の位置をいう。
この場合、S(A2)とS(B1)とS(B2)の面積比は以下のように表すことができる。
S(A2):S(B1):S(B2)=s:t:t
つまり、S(B1)とS(B2)の面積を等しくするものである。なお、簡単のため、S(B1)=S(B2)=S(B)とする。
【0047】
このため、(1/2)×r2×sinγ=(1/2)×r2×sinβとなり、結果、sinγ=sinβの関係が成り立つ。
ところで、sinθ=sin(π−θ)となることも考えられるが、仮に、γ=π―βとすると、α+β+γ=2πからα=πとなり、前述の条件である0≦α<πに反する。
このため、γ=βとなり、△P(A2)P(B1)P(B2)は頂点をP(A2)とし、線分P(B1)P(B2)を底辺とする二等辺三角形になり、D(A2,B1)=D(A2,B2)の関係が成り立つ。
また、角度α、βの関係式は、β=(2π−α)/2と表すことができる。
ここで、前述した面積比S(A2):S(B)=s:tから以下のように展開することができる。
【0048】
t×S(A2)=s×S(B)
t×{(1/2)×r2×sinα}=s×{(1/2)×r2×sinβ}
t×sinα=s×sinβ
t×sinα=s×sin{π−(α/2)}
t×sinα=s×sin(α/2)
t×sin(α/2)×cos(α/2)=s×sin(α/2)
2t×cos(α/2)=s
cos(α/2)=s/2t
α=2cos-1(s/2t)
β=π−(α/2)
=(π/2)−(1/2)×2cos-1(s/2t)
=(π/2)−cos-1(s/2)
【0049】
すなわち、P(A2)は、P(B2)をβ=(π/2)−cos-1(s/2)回転させた位置(「円周上の所定位置」に相当)となる。
P(A2)の座標を(A2x,A2y)、P(B2)の座標を(B2x,B2y)、P’の座標を(Px’,Py’)とすると、P(A2)の座標は、以下の行列式で表すことができる。
【数1】
{但し、β=(π/2)−cos-1(s/2)}
【0050】
次に、「円周上の所定位置」に移動したボロノイ母点P(A2)を、ボロノイ母点Pとボロノイ点P’との間の「所定の位置」P(A3)に移動する。
「所定の位置」は、P(A2)からの移動距離を万有引力の法則式を用いて求める。
なお、万有引力の法則式を用いてP(A2)をP(A3)に移動させる具体的手法は、第一実施形態においてP(B1)を移動する手法と同様である。このため、関連する事項については、第一実施形態の該当する箇所を援用してその説明を省略する。
すなわち、この結果、P(A3)は、P(A2)とP’との間であって、P’から距離D(P’,A2)={R(A2)/R(B1)}1/2×|D(P’,B1)|だけ離れた位置として求めることができる(図9(c)参照)。
【0051】
[画像形成方法]
次に、本実施形態に係る画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成処理の全体の工程は第一実施形態と同様である。
図10は、本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
図10に示すように、本実施形態に係る網点移動の工程は、ステップB05’において第一実施形態のステップB05と異なり、他の工程は第一実施形態の係る工程と同様である(図8参照)。
【0052】
本実施形態のステップB05’は、第一実施形態の場合と同様の工程(ステップB01〜ステップB04)を経た後、ステップB04で選択された1点のボロノイ母点に係る網点を、面積比と万有引力の法則式を用いてその移動距離を求める工程である。
すなわち、ステップB05’では、まず、選択されたボロノイ母点を他のボロノイ母点との位置関係にもとづき面積比を用いて求まる「円周上の所定位置」に移動し、その後、万有引力の法則式を用いて求まる移動距離にもとづいてボロノイ母点との間の「所定位置」に移動させる処理を行う。
なお、面積比を用いて「円周上の所定位置」の座標を求める手法、及び、万有引力の法則式を用いて移動距離を求める手法については、前述の通りである。
ステップB03〜ステップB05’の各工程は、kを1ずつ増やしつつ、P’kがP’nになるまで行う。すなわち、ボロノイ図において境界部に相当する領域に存在するすべてのボロノイ点について各処理を行う。
その後、B05’で求めた座標及び移動距離にもとづいて該当するボロノイ母点に相当する網点を移動する(B08,B09)。
【0053】
この結果、第一実施形態と同様、テキストオブジェクト90とラスターオブジェクト91とが重複し又は近接する周辺の境界部92で、これらが互いに同じ色値の場合には、その部分をぼかすことにより目立たなくすることができる。
さらに、本実施形態は、第一実施形態と異なり、移動対象の網点を頂点とし、他の該当する2つの網点の線分を底辺とする二等辺三角形を形成するようにその網点を移動する処理を事前に行うようにしているため、該当する網点が密集することによって疑似輪郭等が強く表れている場合であっても、かかる不具合を適切に解消することができる。
【0054】
したがって、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、網点との間隔が空いてできる白抜きや網点同士が重なることに起因する疑似輪郭等の不具合を解消することができる。
【0055】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、プリンター装置やコピー機に限定するものではなく、ファクシミリ装置、パーソナルコンピュータなど、画像データにもとづいて画像処理を行う種々の画像形成装置に適用することができる。
また、第一実施形態においては、P(A1)との関係にもとづいてP(B1)の移動距離を求めたが、P(A2)との関係にもとづいてP(B1)の移動距離を求めることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、プリンター装置、コピー機などの画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 画像形成装置
11 制御部
111 網点配置手段
112 境界抽出手段
113 網点選択手段
114 網点移動手段
12 画像入力部
13 CPU
14 メモリ
15 色変換部
16 スクリーン処理部
17 出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる属性の境界に発生する疑似輪郭の影響を低減する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドット画像にもとづき印刷を行うプリンター等の画像形成装置においては、網目スクリーン、ハーフトーンスクリーン、万線スクリーン等の種々のスクリーンを用い、画像データを周期的な配列の網点に変換して、元の画像の階調性を再現する画像処理(以下、スクリーン処理という)が多く採用されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
スクリーン処理では、再現する画像の属性(例えば、文字、図形、写真など)に応じ所定の線数にもとづき規則的に網点が配置されたスクリーンが適宜選択される。
すなわち、スクリーン処理によれば、属性ごとに異なる画像の階調性を、ドットの大きさや配列を変化させることで再現するようにしている。
【0003】
ところで、グラフィック(ラスターオブジェクト)90の領域上に描画される文字(テキストオブジェクト)91を視認できないようにしたり、一体化したように表示させたい場合には、図11に示すように、各々の色値が同一であることを前提としつつ、文字91の属性をグラフィック90の属性に変更する画像処理が行われる(特許文献1参照)。
このような描画方法によれば、同じ色からなる文字91とグラフィック90の各々に対し同様のスクリーン処理が行われるため、グラフィック90の領域内で文字91が浮き出る不具合を防止することができる。
また、図12に示すように、上記不具合を防止する別の方法として、オブジェクトの描画順序を変更し、グラフィック90の下に文字91を描画する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−129342号公報
【特許文献2】特開2003−87566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている描画方法によれば、グラフィック90の領域の内部と外部にまたがって文字91を描画して印刷するような場合には、グラフィック90の領域からはみ出た文字部分に対してもグラフィック90として取り扱われるため、文字91としては不適切なスクリーン処理が施されることになる。
また、属性が異なるオブジェクトの色値を同一にしても、線数(解像度)が異なるため、網点の間隔が空いてできる白抜きや網点同士が重なることに起因する疑似輪郭が生じて、図11に示すように、重複するオブジェクト部分が浮き出してしまうことがある。
また、図12に示すように、オブジェクトの描画順序を変更したとしても、境界線が現れ一体的に印刷されないことがある。
また、特許文献2に開示されている画像形成装置によれば、境界部付近の濃度むらを防ぐことができたとしても、このような境界を軽減することはできない。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、スクリーン処理に係る網点を適切に配置することによって、疑似輪郭等の不具合を軽減する画像形成装置及び画像処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置する網点配置手段と、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する境界抽出手段と、前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択する網点選択手段と、選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる網点移動手段と、移動した網点からなる画像を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
また、本発明の画像形成方法は、属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置するステップと、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出するステップと、前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択するステップと、選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させるステップと、移動した網点からなる画像を出力するステップと、移動した網点からなる画像を出力するステップと、を有する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、疑似輪郭等の不具合を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】境界部を説明するための図である。
【図3】ボロノイ図を説明するための図である。
【図4】本実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
【図5】スクリーンパターンを説明するための図である。
【図6】本実施形態に係る画像処理の効果を説明するための図である。
【図7】画像形成処理の全体の工程を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第二実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
【図10】本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
【図11】従来の問題点を説明するための第一の図である。
【図12】従来の問題点を説明するための第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第一実施形態)
[画像形成装置の構成]
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、制御部11、画像入力部12、CPU13、メモリ14、色変換部15、スクリーン処理部16及び出力部17を備えるプリンター装置やコピー機等が相当する。
以下、構成部ごとに各機能を説明する。
【0013】
画像入力部12は、スキャナ、USBインタフェースなどの入力ポート、ネットワーク等を介して画像データを入力する。
CPU(Central Processing Unit)13は、画像形成装置10の動作を制御するためのコンピュータ装置である。メモリ14に記録されたプログラムがCPU13により読み込まれることによって、画像形成装置10の各機能(後述する制御部11の各機能を含む)を実現する。
メモリ14は、半導体記憶装置からなる一次記憶装置と磁気回転ディスク等からなる二次記憶装置とから構成され、画像形成装置10の動作に必要なプログラムやデータを記録保存する。
色変換部15は、所定の色変換テーブル等を用いて、入力した画像データの色値(RGB)を出力用の画像データの色値(CMYK)に色変換する。
スクリーン処理部16は、色変換後の画像データに含まれるオブジェクトに対し、その属性に応じたスクリーンパターンを用いて通常のスクリーン処理を行う。
本実施形態に係るスクリーン処理部16は、かかるスクリーンパターンを制御部11に出力し、制御部11が、そのスクリーンパターンにもとづく固有の画像処理(スクリーン処理)を行う。
【0014】
ここで、制御部11は、上記画像処理を行うため、図1に示すように、機能ブロックとして、網点配置手段111、境界抽出手段112、網点選択手段113、及び、網点移動手段114を備える。これら各機能ブロックは、メモリ14上に記録されたプログラムがCPU13により読み込まれることで実行される。以下、各機能ブロックについて説明する。
【0015】
網点配置手段111は、ページ領域に含まれる各画像(オブジェクト)に対し、その属性に応じた規定の配列にしたがって網点の配置を行う。
具体的には、画像の属性に応じた規定の配列(スクリーンパターン)にしたがって網点を配置する。スクリーンパターンは、その網点の大きさや間隔が属性によって異なる。例えば、文字用のスクリーンパターンにおける網点の大きさは、写真用のスクリーンパターンの網点よりも小さく、網点の間隔も文字用のスクリーンパターンの方が小さい(図5参照)。
このため、網点配置手段114は、言い換えれば、画像の属性に応じた線数(解像度)にもとづく規定の配列にしたがって網点を配置する。
例えば、網点配置手段111は、オブジェクトごとに属性を解析し、あるオブジェクトが文字である場合には、文字用のスクリーンパターンにしたがって網点を配置する。また、網点配置手段111は、あるオブジェクトが写真である場合には、写真用のスクリーンパターンにもとづき網点を配置する。
【0016】
境界抽出手段112は、色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する。
色値は、完全に同一の色値に限定するものではなく、実質的に同一と認めた一定の範囲に含まれる色値であればこれを同一の色値とみなすことができる。例えば、RGB(255,0,0)とRGB(254,0,0)はR値が異なるが、いずれも同一色値(Red)と判断することができる。
また、属性とは、各オブジェクトが有する属性であり、テキスト属性、ラスター属性、ベクター属性等がある。
【0017】
例えば、図2は、テキスト属性を有するテキストオブジェクト91(「A」「B」「C」)と、ラスター属性を有するラスターオブジェクト90(背景)とが重なる例(a)、近接する例(b)を示したものである。なお、各オブジェクトの色値は、ともにRGB=(128,0,128)である。
図2(a)に示すように、境界抽出手段112は、「ABC」と背景が重なる領域を境界部92として抽出し、また、図2(b)に示すように、境界抽出手段112は、「B」と背景とが近接する領域を境界部92として抽出する。
なお、「近接する領域」とは、例えば、画像同士の距離が所定画素以下(例えば1〜2画素)であって、視認上、疑似輪郭を生じさせ、または、そのおそれがあると判断する程度に近接する領域をいう。
【0018】
網点選択手段113は、境界部92において、相互に隣接する三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合に、一の網点を移動対象として選択する。
【0019】
網点移動手段114は、選択された網点を、当該網点と前記三つの網点のすべてを同一円周上に配置する円の中心との間の所定の位置に移動させる。
具体的には、選択された網点を、当該網点と境界部92において相互に隣接する三つの網点のすべてを円周上に配置する円の中心との間の位置であって、その網点と円の中心との関係にもとづいて求めた数値と、円の中心と他の二つのいずれかの網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる所定の位置に移動させる。
すなわち、選択された網点を、その網点の属性に係る網点同士の間隔が他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも大きい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように所定の位置に移動させ、その網点の属性に係る網点同士の間隔が他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも小さい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように所定の位置に移動させるものである。
また、選択された網点を、その属性に係る網点の線数が他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも多い場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように所定の位置に移動させ、その属性に係る網点の線数が他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも少ない場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように所定の位置に移動させるものである。
【0020】
網点の移動先である前記「所定の位置」は、例えば、万有引力の法則式を用いて求めることができる。
すなわち、網点移動手段114は、選択された網点を「所定の位置」に移動するに当たり、当該網点と前記円の中心との間のエネルギー及び前記円の中心と前記他の二つのいずれかの網点の間のエネルギーを、万有引力の法則式にもとづいて求め、求めたエネルギーが同一になる所定の位置に網点を移動させる。
なお、万有引力の法則式を用いた所定の位置までの移動距離の求め方については、後記「ボロノイ図を用いた画像処理」において詳述する。
【0021】
制御部11は、上述の画像処理が施されて形成された画像のデータを出力部17に出力する。
出力部(出力手段)17は、いわゆる印刷エンジンであり、上述の画像処理が施された画像のデータにもとづいて印刷処理を行う。
【0022】
(ボロノイ図を用いた画像処理)
ここで、ボロノイ図を用いた画像処理、すなわち、網点の移動について説明する。
図3(a)は、境界部に配置された各網点の中心をボロノイ母点とするボロノイ図の一例である。
ボロノイ図は、空間中に存在する点(網点に相当)の中で各点から最も近い空間を線や面などの超平面で区切った図のことをいう。
【0023】
ボロノイ母点の座標は、x1,x2,...,xmとし、ボロノイ点の座標は、P1,P2,...,Pnとした場合、距離空間内の有限部分集合P={p1,p2,...,pn}に対してボロノイ領域の集合{V(p1),V(p2),...,V(pn)}をボロノイ図と呼ぶ。また、ボロノイ領域とは、距離関数dに対して、V(pi)={p|d(p,pi)≦d(p,pj),i≠j}で構成される領域V(pi)のことをいう。
また、ボロノイ領域の境界をボロノイ辺と呼び、各々のボロノイ辺の交点をボロノイ点と呼ぶ。
【0024】
図3(b)に示すように、ボロノイ図は、以下の特徴を有する。
(1)ボロノイ辺は、隣接するボロノイ母点Pの垂直二等分線からなる。
(2)ボロノイ点は、隣接するボロノイ母点Pの3点を通る円の中心に相当する。
このため、隣接する3つのボロノイ母点は、対応するボロノイ点を中心とした一の円の同一円周上に配置されることになる。
【0025】
ここで、網点選択手段113は、このようにして生成されたボロノイ図の境界部92に相当する領域において、所定のボロノイ点を円の中心とした円周上に存在する三つのボロノイ母点のうち、一のボロノイ母点に係る網点の属性が他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性と異なり、かつ、当該他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性が同一である場合に、一のボロノイ母点を移動対象として選択する。
【0026】
ここで、ボロノイ母点に係る網点の移動について図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
図4(a)は、対象となるボロノイ母点の移動前の状態を示した図、図4(b)は、ボロノイ母点の移動先に相当する所定の位置を求めるために用いる万有引力の法則式を説明するための図、図4(c)は、ボロノイ母点を所定の位置に移動した後の状態を示した図である。
【0027】
例えば、図4(a)に示すように、ボロノイ点P’を中心とした円周上に3つのボロノイ母点(P(A1)、P(A2)、P(B1))が配置された状況において、P(A1)とP(A2)がラスター属性を有し、P(B1)がテキスト属性を有する場合には、P(B1)が移動対象として選択される。
【0028】
網点移動手段114は、選択された一のボロノイ母点に係る網点を、ボロノイ点と一のボロノイ母点に係る網点との間の所定の位置に移動させる。
本実施形態では、ボロノイ母点P(B1)を、ボロノイ母点P(B1)とボロノイ点P’との間の「所定の位置」に移動することになる。
すなわち、選択された一のボロノイ母点に係る網点を、ボロノイ点と一のボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値と、前記ボロノイ点と前記他の二つのいずれかのボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる前記所定の位置に移動させる。
具体的には、一のボロノイ母点に係る網点と前記円の中心に相当するボロノイ点との間のエネルギー及びボロノイ点と他の二つのいずれかのボロノイ母点に係る網点の間のエネルギーを、万有引力の法則式にもとづいて求め、求めたエネルギーが同一になる前記所定の位置にボロノイ母点に係る網点を移動させる。
【0029】
ここで、ボロノイ母点を「所定の位置」に移動させるため、「所定の位置」までの移動距離を万有引力の法則式を用いて求める。
各ボロノイ母点に係る網点の質量については、網点の半径に置き換えて適用する。網点の質量は、網点の径(半径)の大きさに比例するからである。網点の半径は、解像度(線数)や色値(濃度)によっても異なる。
このため、網点の半径rは、次式(1)により求めることができる。
r={(1inch/線数)/2}×(色値/255) ・・・・・(1)
例えば、図5(a)に示す線数:175、色値(C,M,Y,K):(0,0,0,200)の網点の半径rは、r={(1/175)/2}×(200/255)≒0.00224(inch)≒0.00569(mm)と算出することができ、また、図5(b)に示す線数:75、色値(C,M,Y,K):(0,0,0,200)の網点の半径はr={(1/75)/2}×(200/255)≒0.00523(inch)≒0.01328(mm)と算出することができる。
【0030】
図4(b)は、ボロノイ点P’とボロノイ母点P(A1)との関係及びボロノイ点P’とボロノイ母点P(B1)との関係を示した図である。
ここで、ボロノイ点P’とボロノイ母点P(A1)との間に働くエネルギーF(P’,A1)と、ボロノイ点P’とボロノイ母点P(B1)との間に働くエネルギーF(P’,B1)とを、万有引力の法則式を用いて算出し、F(P’,A1)とF(P’,B1)とが同一になるところのボロノイ母点P(B1)の位置を求める。
すなわち、網点移動手段114は、次式(2)の関係式が成り立つようにP(B1)の移動距離を求める。
F(P’,A1)=F(P’,B1) ・・・・・(2)
【0031】
万有引力の法則式を以下に示す。
F=G(Mm)/r2 ・・・・・(3)
(F:物体間に働くエネルギー、G:万有引力定数、M,m:物体質量、r:距離r)
このため、F(P’,A1)及びF(P’,B1)は、ボロノイ点P’の半径をRとして、これを質量に置き換えて式(3)に適用すると、
F(P’,A1)=G(R×R(A1))/D(P,A1)2
F(P’,B1)=G(R×R(B1))/D(P,B1)2
となる。
【0032】
上記各式を式(2)に当てはめると、
G(R×R(A1))/D(P,A1)2=G(R×R(B1))/D(P,B1)2
となる。
このため、ボロノイ点P’〜ボロノイ母点P(B1)間の距離D(P’,B1)は、
D(P’,B1)={R(B1)/R(A1)}1/2×D(P,A1)
となる。
したがって、網点移動手段114は、図4(c)に示すように、ボロノイ母点P(B1)を、ボロノイ点P’に近づける方向に、D’=(P’,A1)−D(P’,B1)だけ移動させる。
【0033】
上述した処理を境界部92に存在する全ての網点に対して行う。
この結果、図6に示すように、移動対象の網点が、同じ円に属する他の2つの網点より小さい場合には円の内側に移動し、移動対象の網点が、同じ円に属する他の2つの網点より大きい場合には円の外側に移動することになる。
すなわち、このような網点の移動によって、元々その間隔が大きかったところの網点の間隔が小さくなり、元々その間隔が小さかったところの網点の間隔が大きくなる。
このため、テキストオブジェクト90とラスターオブジェクト91とが重複し又は近接する周辺の境界部92で、これらが互いに同じ色値の場合には、その部分をぼかすことにより目立たなくすることができる。
したがって、異なる属性のオブジェクト間に生ずる疑似輪郭等の不具合を軽減することができる。
【0034】
[画像形成方法]
次に、本実施形態に係る画像形成方法について図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係る画像形成処理の全体の工程を示すフローチャートである。
図7に示すように、ここでは、ボロノイ図を作成する(A01)。具体的には、網点配置手段111その他制御部11の一機能として、網点の中心点をボロノイ母点とするボロノイ図を作成する。
なお、ここでは、同一の色値で解像度(線数)が異なるオブジェクト同士が重複し、又は、近接する部分の周辺の境界部92におけるボロノイ図を作成する。境界部92に発生する疑似境界等の不具合を軽減するためである。
「境界部92において網点移動」の工程を経て、出力が行われる。
すなわち、網点移動手段114が、対象となる網点(ボロノイ母点)を移動し(A02)、その移動後の網点によって形成された画像について、出力部17が出力を行う(A03)。
【0035】
ここで、「境界部において網点移動(A02)」の工程について、図8を参照しながら詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
図8に示すように、ここでは、作成したボロノイ図において、ボロノイ点P’kを順次抽出し、それぞれのボロノイ点P’kを中心とする空円を作成してその空円情報を保存する(B01)。具体的には、境界部92に存在するボロノイ点P’k(但し、k=1〜n)の座標(P’1,P’2,...,P’n)と、境界部92に存在するボロノイ母点P(x)(但し、x=1〜m)の座標を、空円情報としてメモリ14に保存する。
【0036】
なお、ボロノイ点P’kの座標と、このボロノイ点P’kを中心とする空円の円周上に存在するボロノイ母点P(x)の座標とを対応付けた情報を空円情報としてメモリ14に保存することができる。また、網点の半径を、ボロノイ母点P(x)の空円情報に対応付けて保存することができる。
例えば、あるボロノイ点P’kの空円の円周上に、3点のボロノイ母点P(1)、P(2)、P(3)が抽出された場合には、下記(i)〜(iii)の情報を空円情報として保持することができる。
(i)各ボロノイ母点の座標:P(1)、P(2)、P(3)
(ii)各ボロノイ母点に係る網点の半径:R(1)、R(2)、R(3)
(iii)各ボロノイ母点からボロノイ点P’kまでの距離:D(P’k,1)、D(P’k,2)、D(P’k,3)
【0037】
ここで、制御部11は、ボロノイ点P’kのk(添え字)を初期化(k=0)する(B02)。
次に、制御部11は、ボロノイ点P’1を中心とする空円の円周上の3点のボロノイ母点に係る網点の半径をRとし(B03)、これら3点のボロノイ母点のうち1点のボロノイ母点に係る網点の属性が他の2点のボロノイ母点に係る網点の属性と異なり、かつ、他の2点のボロノイ母点に係る網点の属性が同じである場合には、この1点のボロノイ母点に係る網点を移動対象として選択し、万有引力の法則式を用いてその移動距離を求める(B04)。移動距離の算出方法は、前述の通りである。また、移動対象として選択されたボロノイ母点については、移動対象であることを示す識別子を付してメモリ14に保存するようにしてもよい。
【0038】
一方、B04において、移動対象として該当するボロノイ母点がなければ、B05の工程を経ずに次の工程(B06)に進む。
次いで、制御部11は、k=k+1としつつ(B06)、k=nになるまでB03〜B05の処理を繰り返す。つまり、kのカウント数を1増やして次のボロノイ点P’kの空円情報を取り出し、この空円情報にもとづき移動対象の網点がある場合には移動距離を求める演算を繰り返し、P’k=P’nについての処理が終われば次の工程(B07)に進む。
【0039】
ここで、制御部11は、ボロノイ母点P(x)のx(括弧付き数字)をリセット(x=0)する(B07)。
次に、制御部11は、ボロノイ母点P(1)が移動対象か否かを判別し、移動対象であればその座標を、B05で求めた距離分移動させる(B08)。
次いで、制御部11は、x=x+1としつつ(B09)、x=mとなるまでB08の処理を繰り返す。つまり、xのカウント数を1増やして次のボロノイ母点の空円情報を取り出し、この空円情報にもとづき移動対象と判断されたボロノイ母点に係る網点を移動させる。
【0040】
このように、本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法によれば、属性が異なるオブジェクト同士が重複し又は近接する周辺の境界部92であって、色値が同じ部分については、元々その間隔が大きかったところの網点の間隔を小さくするとともに、元々その間隔が小さかったところの網点の間隔を大きくするようにしている。このため、このような境界部92における境界線(疑似輪郭等)を適切にぼかすことができる。
したがって、属性に応じた適切なスクリーン処理を行いつつ、解像度の違いによって発生する疑似輪郭等の影響を軽減することができる。
【0041】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
なお、画像形成装置の構成については第一実施形態において説明した構成(図1参照)と同様であるが、本実施形態の網点移動手段114は、網点選択手段113によって選択された網点を移動したとすると、その網点、他の一方の網点及び3つの網点を同一円周上に配置する円の中心からなる面積と、その網点、他の他方の網点及び前記円の中心からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた面積と前記他の二つの網点及び前記円の中心からなる面積との面積比にもとづき前記円に係る円周上の所定位置を求め、選択された網点を求めた前記円周上の所定位置に移動させた後に当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる点において第一実施形態と異なる。
他の構成については第一実施形態と共通する。このため共通する構成、関連する処理、方法等については詳細な説明を割愛する。
【0042】
本実施形態に係る網点の移動についてボロノイ図を用いて説明する。
図9は、本発明の第二実施形態に係るボロノイ母点に係る網点の移動を説明するための図である。
図9(a)は、対象となるボロノイ母点の移動前の状態を示した図、図9(b)は、対象となるボロノイ母点を円周上の所定位置に移動(移動1)させた後の状態を説明するための図、図9(c)は、移動1によって移動したボロノイ母点を最終移動先に相当する所定の位置に移動した後の状態を示した図である。
例えば、図9(a)に示すように、ボロノイ点P’を中心とした円周上に3つのボロノイ母点(P(A1)、P(B1)、P(B2))が配置された状況において、P(B1)とP(B2)がラスター属性を有し、P(A1)がテキスト属性を有する場合には、P(A1)が移動対象として選択される。
【0043】
網点移動手段114は、選択された一のボロノイ母点を移動したとすると、そのボロノイ母点、他の一方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積と、そのボロノイ母点、他の他方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた前記面積と前記他の二つのボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積との面積比にもとづいて前記円に係る「円周上の所定位置」を求め、選択されたボロノイ母点に係る網点を求めた「円周上の所定位置」に移動させた後にそのボロノイ母点とボロノイ点との間の所定の位置に移動させる。
つまり、本実施形態の場合、ボロノイ母点P(A1)を、3つのボロノイ母点(P(A1)、P(B1)、P(B2))がともに配置されている「円周上の所定位置」に移動する処理(移動1)を行った後(図9(b)参照)、移動後のボロノイ母点P(A2)を、ボロノイ母点Pとボロノイ点P’との間の「所定の位置」P(A3)に移動する(図9(c)参照)。
【0044】
まず、ボロノイ母点を「円周上の所定位置」に移動するため、その移動先を、面積比を用いて求める。
図9(a)に示すように、角度α、β、γは、それぞれα=∠P(B1)P’P(B2)、β=∠P(A1)P’P(B1)、γ=∠P(A1)P’P(B2)であり、0≦α<π、0≦β<π、0≦γ<π、α+β+γ=2πという条件が成立する。
P(A1)、P(B1)、P(B2)の半径をそれぞれR(A1)、R(B1)、R(B2)とすると、P(B1)とP(B2)は同じ属性の網点なので、R(B1)=R(B2)という関係が成り立つ。
【0045】
ボロノイ点P’は、P(A1)、P(B1)、P(B2)を同一円周上に有する円の中心なので、各ボロノイ母点とボロノイ点との間の距離Dに関し、D(P’,A1)=D(P’,B1)=D(P’,B2)=rという関係が成り立つ(rは、P’を中心とする円の半径)。
このため、△P(B1)P’P(B2)の面積S(A1)は、S(A1)=(1/2)×r2×sinα、△P(A1)P’P(B2)の面積S(B1)は、S(B1)=(1/2)×r2×sinγ、△P(A1)P’P(B1)の面積S(B2)は、S(B2)=(1/2)×r2×sinβ、と表すことができる。
【0046】
ここで、図9(b)に示すように、P(A1)を円周上の所定位置に移動する。すなわち、「円周上の所定位置」とは、∠P(A2)P’P(B1)=∠P(A2)P’P(B2)=β’となるように、P(A1)を移動したP(A2)の位置をいう。
この場合、S(A2)とS(B1)とS(B2)の面積比は以下のように表すことができる。
S(A2):S(B1):S(B2)=s:t:t
つまり、S(B1)とS(B2)の面積を等しくするものである。なお、簡単のため、S(B1)=S(B2)=S(B)とする。
【0047】
このため、(1/2)×r2×sinγ=(1/2)×r2×sinβとなり、結果、sinγ=sinβの関係が成り立つ。
ところで、sinθ=sin(π−θ)となることも考えられるが、仮に、γ=π―βとすると、α+β+γ=2πからα=πとなり、前述の条件である0≦α<πに反する。
このため、γ=βとなり、△P(A2)P(B1)P(B2)は頂点をP(A2)とし、線分P(B1)P(B2)を底辺とする二等辺三角形になり、D(A2,B1)=D(A2,B2)の関係が成り立つ。
また、角度α、βの関係式は、β=(2π−α)/2と表すことができる。
ここで、前述した面積比S(A2):S(B)=s:tから以下のように展開することができる。
【0048】
t×S(A2)=s×S(B)
t×{(1/2)×r2×sinα}=s×{(1/2)×r2×sinβ}
t×sinα=s×sinβ
t×sinα=s×sin{π−(α/2)}
t×sinα=s×sin(α/2)
t×sin(α/2)×cos(α/2)=s×sin(α/2)
2t×cos(α/2)=s
cos(α/2)=s/2t
α=2cos-1(s/2t)
β=π−(α/2)
=(π/2)−(1/2)×2cos-1(s/2t)
=(π/2)−cos-1(s/2)
【0049】
すなわち、P(A2)は、P(B2)をβ=(π/2)−cos-1(s/2)回転させた位置(「円周上の所定位置」に相当)となる。
P(A2)の座標を(A2x,A2y)、P(B2)の座標を(B2x,B2y)、P’の座標を(Px’,Py’)とすると、P(A2)の座標は、以下の行列式で表すことができる。
【数1】
{但し、β=(π/2)−cos-1(s/2)}
【0050】
次に、「円周上の所定位置」に移動したボロノイ母点P(A2)を、ボロノイ母点Pとボロノイ点P’との間の「所定の位置」P(A3)に移動する。
「所定の位置」は、P(A2)からの移動距離を万有引力の法則式を用いて求める。
なお、万有引力の法則式を用いてP(A2)をP(A3)に移動させる具体的手法は、第一実施形態においてP(B1)を移動する手法と同様である。このため、関連する事項については、第一実施形態の該当する箇所を援用してその説明を省略する。
すなわち、この結果、P(A3)は、P(A2)とP’との間であって、P’から距離D(P’,A2)={R(A2)/R(B1)}1/2×|D(P’,B1)|だけ離れた位置として求めることができる(図9(c)参照)。
【0051】
[画像形成方法]
次に、本実施形態に係る画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成処理の全体の工程は第一実施形態と同様である。
図10は、本実施形態に係る網点移動の工程を示すフローチャートである。
図10に示すように、本実施形態に係る網点移動の工程は、ステップB05’において第一実施形態のステップB05と異なり、他の工程は第一実施形態の係る工程と同様である(図8参照)。
【0052】
本実施形態のステップB05’は、第一実施形態の場合と同様の工程(ステップB01〜ステップB04)を経た後、ステップB04で選択された1点のボロノイ母点に係る網点を、面積比と万有引力の法則式を用いてその移動距離を求める工程である。
すなわち、ステップB05’では、まず、選択されたボロノイ母点を他のボロノイ母点との位置関係にもとづき面積比を用いて求まる「円周上の所定位置」に移動し、その後、万有引力の法則式を用いて求まる移動距離にもとづいてボロノイ母点との間の「所定位置」に移動させる処理を行う。
なお、面積比を用いて「円周上の所定位置」の座標を求める手法、及び、万有引力の法則式を用いて移動距離を求める手法については、前述の通りである。
ステップB03〜ステップB05’の各工程は、kを1ずつ増やしつつ、P’kがP’nになるまで行う。すなわち、ボロノイ図において境界部に相当する領域に存在するすべてのボロノイ点について各処理を行う。
その後、B05’で求めた座標及び移動距離にもとづいて該当するボロノイ母点に相当する網点を移動する(B08,B09)。
【0053】
この結果、第一実施形態と同様、テキストオブジェクト90とラスターオブジェクト91とが重複し又は近接する周辺の境界部92で、これらが互いに同じ色値の場合には、その部分をぼかすことにより目立たなくすることができる。
さらに、本実施形態は、第一実施形態と異なり、移動対象の網点を頂点とし、他の該当する2つの網点の線分を底辺とする二等辺三角形を形成するようにその網点を移動する処理を事前に行うようにしているため、該当する網点が密集することによって疑似輪郭等が強く表れている場合であっても、かかる不具合を適切に解消することができる。
【0054】
したがって、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、網点との間隔が空いてできる白抜きや網点同士が重なることに起因する疑似輪郭等の不具合を解消することができる。
【0055】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、プリンター装置やコピー機に限定するものではなく、ファクシミリ装置、パーソナルコンピュータなど、画像データにもとづいて画像処理を行う種々の画像形成装置に適用することができる。
また、第一実施形態においては、P(A1)との関係にもとづいてP(B1)の移動距離を求めたが、P(A2)との関係にもとづいてP(B1)の移動距離を求めることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、プリンター装置、コピー機などの画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 画像形成装置
11 制御部
111 網点配置手段
112 境界抽出手段
113 網点選択手段
114 網点移動手段
12 画像入力部
13 CPU
14 メモリ
15 色変換部
16 スクリーン処理部
17 出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置する網点配置手段と、
色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する境界抽出手段と、
前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択する網点選択手段と、
選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる網点移動手段と、
移動した網点からなる画像を出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記網点移動手段は、
選択された網点を、その網点と前記円の中心との関係にもとづいて求めた数値と、前記円の中心と前記他の二つのいずれかの網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる前記所定の位置に移動させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記網点移動手段は、
選択された網点を移動したとすると、その網点、他の一方の網点及び前記円の中心からなる面積と、その網点、他の他方の網点及び前記円の中心からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた前記面積と前記他の二つの網点及び前記円の中心からなる面積との面積比にもとづき前記円に係る円周上の所定位置を求め、選択された網点を求めた前記円周上の所定位置に移動させた後に前記所定の位置に移動させる請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記網点選択手段は、
配置された網点をボロノイ母点として生成されるボロノイ図の前記境界部に相当する領域において、所定のボロノイ点を円の中心とした同一の円周上に存在する三つのボロノイ母点のうち、一のボロノイ母点に係る網点の属性が他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性と異なり、かつ、当該他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性が同一である場合に、前記一のボロノイ母点を選択し、
前記網点移動手段は、
選択された前記一のボロノイ母点に係る網点を、前記ボロノイ点と前記一のボロノイ母点に係る網点との間の所定の位置に移動させる請求項1〜3のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記網点移動手段は、
選択された前記一のボロノイ母点に係る網点を、前記ボロノイ点と前記一のボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値と、前記ボロノイ点と前記他の二つのいずれかのボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる前記所定の位置に移動させる請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記網点移動手段は、
選択された前記一のボロノイ母点を移動したとすると、そのボロノイ母点、他の一方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積と、そのボロノイ母点、他の他方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた前記面積と前記他の二つのボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積との面積比にもとづいて前記円に係る円周上の所定位置を求め、選択されたボロノイ母点に係る網点を求めた前記円周上の所定位置に移動させた後に前記所定の位置に移動させる請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記網点移動手段は、
該当する網点を前記所定の位置に移動するに当たり、当該網点と前記円の中心との間のエネルギー及び前記円の中心と前記他の二つのいずれかの網点の間のエネルギーを、万有引力の法則式にもとづいて求め、求めたエネルギーが同一になる前記所定の位置に前記網点を移動させる請求項1〜6のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記網点移動手段は、
選択された網点を、その網点の属性に係る網点同士の間隔が前記他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも大きい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように前記所定の位置に移動させ、その網点の属性に係る網点同士の間隔が前記他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも小さい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように前記所定の位置に移動させる請求項1〜7のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記網点配置手段は、
属性に応じた線数にもとづく規定の配列にしたがって網点の配置を行い、
前記網点移動手段は、
選択された網点を、その属性に係る網点の線数が前記他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも多い場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように前記所定の位置に移動させ、その属性に係る網点の線数が前記他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも少ない場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように前記所定の位置に移動させる請求項1〜8のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項10】
属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置するステップと、
色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出するステップと、
前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択するステップと、
選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させるステップと、
移動した網点からなる画像を出力するステップと、を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置する網点配置手段と、
色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出する境界抽出手段と、
前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択する網点選択手段と、
選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させる網点移動手段と、
移動した網点からなる画像を出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記網点移動手段は、
選択された網点を、その網点と前記円の中心との関係にもとづいて求めた数値と、前記円の中心と前記他の二つのいずれかの網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる前記所定の位置に移動させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記網点移動手段は、
選択された網点を移動したとすると、その網点、他の一方の網点及び前記円の中心からなる面積と、その網点、他の他方の網点及び前記円の中心からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた前記面積と前記他の二つの網点及び前記円の中心からなる面積との面積比にもとづき前記円に係る円周上の所定位置を求め、選択された網点を求めた前記円周上の所定位置に移動させた後に前記所定の位置に移動させる請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記網点選択手段は、
配置された網点をボロノイ母点として生成されるボロノイ図の前記境界部に相当する領域において、所定のボロノイ点を円の中心とした同一の円周上に存在する三つのボロノイ母点のうち、一のボロノイ母点に係る網点の属性が他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性と異なり、かつ、当該他の二つのボロノイ母点に係る網点の属性が同一である場合に、前記一のボロノイ母点を選択し、
前記網点移動手段は、
選択された前記一のボロノイ母点に係る網点を、前記ボロノイ点と前記一のボロノイ母点に係る網点との間の所定の位置に移動させる請求項1〜3のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記網点移動手段は、
選択された前記一のボロノイ母点に係る網点を、前記ボロノイ点と前記一のボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値と、前記ボロノイ点と前記他の二つのいずれかのボロノイ母点に係る網点との関係にもとづいて求めた数値とが同一になる前記所定の位置に移動させる請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記網点移動手段は、
選択された前記一のボロノイ母点を移動したとすると、そのボロノイ母点、他の一方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積と、そのボロノイ母点、他の他方のボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積とが同一となるときの当該面積を求め、求めた前記面積と前記他の二つのボロノイ母点及び前記ボロノイ点からなる面積との面積比にもとづいて前記円に係る円周上の所定位置を求め、選択されたボロノイ母点に係る網点を求めた前記円周上の所定位置に移動させた後に前記所定の位置に移動させる請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記網点移動手段は、
該当する網点を前記所定の位置に移動するに当たり、当該網点と前記円の中心との間のエネルギー及び前記円の中心と前記他の二つのいずれかの網点の間のエネルギーを、万有引力の法則式にもとづいて求め、求めたエネルギーが同一になる前記所定の位置に前記網点を移動させる請求項1〜6のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記網点移動手段は、
選択された網点を、その網点の属性に係る網点同士の間隔が前記他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも大きい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように前記所定の位置に移動させ、その網点の属性に係る網点同士の間隔が前記他の二つの網点の属性に係る網点同士の間隔よりも小さい場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように前記所定の位置に移動させる請求項1〜7のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記網点配置手段は、
属性に応じた線数にもとづく規定の配列にしたがって網点の配置を行い、
前記網点移動手段は、
選択された網点を、その属性に係る網点の線数が前記他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも多い場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が小さくなるように前記所定の位置に移動させ、その属性に係る網点の線数が前記他の二つの網点の属性に係る網点の線数よりも少ない場合には、その網点と同一属性に係る網点との間隔が大きくなるように前記所定の位置に移動させる請求項1〜8のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項10】
属性に応じた規定の配列にしたがって網点を配置するステップと、
色値が同一で属性が異なる画像が重複し又は近接する領域の周辺を境界部として抽出するステップと、
前記境界部において、相互に隣接して配置された三つの網点が一の円の同一円周上に配置され、そのうちの一の網点に係る属性が他の二つの網点に係る属性と異なり、かつ、当該他の二つの網点に係る属性が同一である場合における前記一の網点を選択するステップと、
選択された網点を、当該網点と前記円の中心との間の所定の位置に移動させるステップと、
移動した網点からなる画像を出力するステップと、を有することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図6】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図6】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−31148(P2013−31148A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−43723(P2012−43723)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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