説明

画像形成装置及び記録タイミング信号生成方法

【課題】記録媒体の搬送速度の変動に追従して、高精度に記録タイミング信号を出力することができる画像形成装置及び記録タイミング信号生成方法を提供する。
【解決手段】記録ヘッドと記録媒体とが連続的に相対移動することにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度を示すパルス信号を出力するパルス信号発生部と、パルス信号の周波数より高い周波数の基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、基準クロック信号をカウントしてパルス信号の周期を求め、当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて記録タイミング信号の基準値を算出する基準値算出部と、基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドと印画紙等の記録媒体とを相対移動させて、記録ヘッドにより記録媒体に描画する構成を備えた画像形成装置、及び、記録ヘッドに記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ローラや搬送ベルトにより記録媒体を副走査方向に搬送しつつ、記録媒体の幅方向に沿った主走査方向に一括して描画する記録ヘッドを備えた画像形成装置として、写真プリンタやインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
写真プリンタでは、副走査方向に搬送される印画紙に対して主走査方向にライン露光する液晶シャッタ方式の記録ヘッドや蛍光表示管方式の記録ヘッドが設けられ、インクジェットプリンタでは、副走査方向に搬送される記録紙に対して主走査方向にライン印字するインクヘッドを備えている。
【0004】
何れの場合も、記録媒体の搬送速度と記録ヘッドの駆動タイミングを同期させる必要があるが、搬送ローラや搬送ベルト等の部品ばらつき等に起因してプリンタ毎に記録媒体の搬送速度が異なる場合や、搬送ローラや搬送ベルト等の駆動系の影響により記録媒体の搬送速度が変動する場合に画像が乱れる虞がある。
【0005】
特に、高解像度画像を出力する画像形成装置では、記録媒体の搬送速度が僅かに変動しても画像に与える影響が大きい。
【0006】
そこで、特許文献1には、高解像度の印字を行う場合にも、装置に依存する誤差を抑制して精度のよい液滴吐出タイミングを測ることができる液滴吐出型記録装置として、以下の構成を備えた液滴吐出型記録装置が提案されている。
【0007】
即ち、記録用紙を密着保持した搬送ベルトを搬送して、当該搬送ベルトに対峙された記録ヘッドから解像度に応じた間隔で記録用紙に液滴を吐出することで印字を行う液滴吐出型記録装置において、搬送に応じて出力されるパルス信号に基づいて搬送ベルトの搬送状態を検出するパルスエンコーダと、パルスエンコーダが検出した搬送状態に基づいて搬送ベルトの搬送速度の平均値を算出する平均値算出手段と、平均値に基づいて、液滴吐出タイミングの基準となる基準クロックを生成する基準クロック生成手段と、指定される解像度に応じて前記基準クロックを分周して、解像度に応じた印字クロックを生成する印字クロック生成手段と、印字クロックにより記録ヘッドによる液滴吐出を制御する制御手段とを備えた液滴吐出型記録装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−240251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した従来技術では、基準クロック生成手段により、搬送ベルトの搬送速度の平均値に基づいて液滴吐出タイミングの基準となる基準クロックが生成され、搬送ベルトの搬送速度の平均値が搬送ベルトに形成されたスリットをエンコーダセンサで読み取られるように構成されていたため、以下の問題があった。
【0010】
少なくとも搬送ベルトに形成されたスリットの間隔が所定の解像度の印字間隔となるように形成される必要があるが、間隔を高精度に保ってスリットを加工形成するには物理的に制限があり、高解像度に対応できるものではない。また、所定の解像度の印字間隔となるように形成することが不可能な場合もあり、そのような場合には対応できない。
【0011】
基準クロックが搬送速度の平均値、つまり、過去の値に基づいて生成されるため、現在の搬送速度の変動に対応できず、搬送速度が変動すると画像が副走査方向に伸縮する領域が発生する。
【0012】
同様に、スリットの間隔に対応する解像度以上の高解像度で印字する場合には、印字クロック生成手段により、指定される解像度に応じて基準クロックが分周され、解像度に応じた印字クロックが生成されるが、基準クロックが搬送ベルトの搬送速度の平均値に基づいて生成されるため、搬送速度の平均値以上の精度で基準クロックが生成できない。
【0013】
本発明は、上述の従来欠点に鑑み、記録媒体の搬送速度の変動に追従して、高精度に記録タイミング信号を出力することができる画像形成装置及び記録タイミング信号生成方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による画像形成装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、記録ヘッドと記録媒体とが連続的に相対移動することにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度を示すパルス信号を出力するパルス信号発生部と、パルス信号の周波数より高い周波数の基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、基準クロック信号をカウントしてパルス信号の周期を求め、当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて記録タイミング信号の基準値を算出する基準値算出部と、基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成部とを備えている点にある。
【0015】
記録タイミング信号生成部により、パルス信号とは関係なく生成された基準クロック信号がカウントされ、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号が出力される。当該基準値は、記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度を示すパルス信号の周期に基づいて基準値算出部により算出される値であり、パルス信号の周期は基準クロック信号のカウント値として求められる。つまり、記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度の変動が、基準クロック信号生成部によりカウントされる基準クロック信号のカウント値に反映されるため、相対移動速度の変動に対応して基準値が変動し、相対移動速度の変動に追従して記録タイミング信号が生成されるのである。
【0016】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、基準値算出部は記録タイミング信号の各周期内で基準値を更新する点にある。
【0017】
上述の構成によれば、基準値が記録タイミング信号の各周期内で更新されるので、少なくとも記録タイミング信号の一周期毎に適切な基準値が得られるようになる。
【0018】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、基準値を算出するパルス信号の一周期の一部または全てが記録タイミング信号の各周期内に含まれ、基準値が記録タイミング信号の各周期内で更新される点にある。
【0019】
上述の構成によれば、記録タイミング信号の一周期内で同時並行して発生しているパルス信号に基づいてパルス信号の周期が求められ、当該周期に基づいて基準値が更新されるので、少なくとも記録タイミング信号の一周期毎にその時点の記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度に対応した適正な基準値が得られるようになる。
【0020】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、記録タイミング信号の周期がパルス信号の周期より長く設定されている点にある。
【0021】
記録タイミング信号の周期により副走査方向の解像度が決定されるが、記録タイミング信号の周期がパルス信号の周期より長く設定されているため、記録タイミング信号の一周期内での記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度の変動にも追従して基準値が得られるので、副走査方向の解像度の変動が高精度に抑制されるようになる。
【0022】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、基準値算出部はパルス信号のエッジタイミングで直近の所定周期の平均値に基づいて基準値を算出して更新する点にある。
【0023】
基準値が直近のパルス信号の周期に基づいて更新すると、偶発的に発生したノイズの影響等を受ける場合に、却って副走査方向の解像度が変動する虞もあるが、直近の所定周期の平均値に基づいて基準値を算出することにより、偶発的に発生したノイズの影響等を鈍らせることができる。
【0024】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第五の特徴構成に加えて、所定周期が記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい値に設定されている点にある。
【0025】
記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい周期数の平均値によりパルス周期が求められるので、そのような平均値に基づいて算出される基準値は、記録タイミング信号の一周期内での記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度が極めて正確に反映された値となる。
【0026】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第二から第六の何れかの特徴構成に加えて、記録タイミング信号生成部は、基準クロック信号のカウント値が更新された基準値より大きくなると、次周期の記録タイミング信号を出力する点にある。
【0027】
記録タイミング信号生成部は、基準クロック信号のカウント値と基準値とを比較して、両者が一致すると次の記録タイミング信号の周期が始まると判断するのであるが、偶々基準クロック信号のカウント値が基準値より小さい範囲で基準値に近い値となった時点で基準値が更新され、更新後の基準値がそのときの基準クロック信号のカウント値より小さければ、最早記録タイミング信号の周期を切り替えることができなくなる。そこで、基準クロック信号のカウント値が更新された基準値より大きくなると、強制的に次周期の記録タイミング信号を出力することにより、フェールセーフ機能を持たせることができる。
【0028】
同第八の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第二から第六の何れかの特徴構成に加えて、基準クロック信号のカウント値と基準値の差分が更新許容値以下のとき、基準値の更新が禁止される点にある。
【0029】
第七の特徴構成では、基準クロック信号のカウント値が更新された基準値より大きくなると、強制的に次周期の記録タイミング信号を出力することにより、フェールセーフ機能を持たせるのであるが、第八の特徴構成では、そのような事態が発生する虞がある場合に、記録タイミング信号の終期に近づいた領域で、基準値の更新を禁止することにより、確実に次周期の記録タイミング信号が出力されるように担保される。更新許容値は、本発明が適用される画像形成装置に組み込まれる搬送ローラや搬送ベルト等、記録ヘッドと記録媒体との相対速度の想定最大変動値等に基づいて設定されればよく、例えば、現在の基準値の数%小さい値を設定することができる。
【0030】
本発明による記録タイミング信号生成方法の第一の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、記録ヘッドと記録媒体とが連続的に相対移動することにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置の記録タイミング信号生成方法であって、パルス信号発生部から出力された記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度を示すパルス信号の周期を、パルス信号より周波数が高い基準クロック信号をカウントして求めるパルス信号周期算出ステップと、当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて記録タイミング信号の基準値を算出する基準値算出ステップと、基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成ステップと、からなる点にある。
【0031】
同第十の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の記録タイミング信号生成方法の第一の特徴構成に加えて、基準値算出ステップは、パルス信号のエッジタイミングで、記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい直近の所定周期の平均値に基づいて基準値を算出して更新する点にある。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した通り、本発明によれば、記録媒体の搬送速度の変動に追従して、高精度に記録タイミング信号を出力することができる画像形成装置及び記録タイミング信号生成方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】画像形成装置としての写真プリンタのブロック構成図
【図2】記録ヘッドとしての露光ヘッド部の構成を示す説明図
【図3】露光ヘッド部の要部の構成を示す説明図
【図4】露光制御部の構成を示す説明図
【図5】露光制御部の機能ブロック構成図
【図6】露光制御部の詳細な機能ブロック構成図
【図7】記録タイミング信号を生成するための各種の信号やカウンタの値の変遷を説明するタイミングチャート
【図8】基準値算出処理のフローチャート
【図9】記録タイミング信号生成処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明による画像形成装置及び記録タイミング信号生成方法を、写真プリンタを例に説明する。
【0035】
図1に示すように、写真プリンタ1は、写真フィルムから画像を読み取ってメモリに記憶する画像データ取込部10と、画像データ取込部10で取り込まれた画像データに対してデータ処理や画像編集等の所定の編集処理を行う画像データ処理部20と、編集処理された画像データを光信号に変換して、ロール状に巻回された状態から引き出された記録媒体である印画紙31に露光する画像露光ヘッドを含む画像露光部30と、露光された印画紙を現像して顕像化する現像処理部40と、現像された印画紙を画像サイズに応じた所定のサイズにカットする印画紙カット部50と、システム全体の動作を制御するシステムコントローラ60とを備えている。
【0036】
画像データ取込部10は、写真フィルム11を読取位置に搬送するフィルム搬送部12と、写真フィルム11の各コマの画像を読み取る画像読取部13とを備えている。
【0037】
フィルム搬送部12は、巻取ローラと、巻取ローラを回転駆動する駆動モータと、駆動モータを駆動制御するフィルム搬送制御部121と、フィルム11の下部に配設された光源用のランプと、ランプの発光量を制御するランプ制御部122等を備え、フィルム搬送制御部121からの制御信号に基づき駆動モータを回転させ、巻取ローラによりフィルム11をコマ寸法分毎に間歇的に搬送し、フィルム11の各コマとランプとを順次対向させる。
【0038】
画像読取部13は、マトリクス状に配列されたCCD等からなる撮像素子131と、撮像素子131による画像の読み取りを制御する読取制御部132と、フィルム11の各コマの画像を撮像素子131の受光面に結像させるレンズ133と、フィルム11の画像をR、G、Bの3つの色成分に分離する光学フィルタ134と、光学フィルタ134の位置を移動させるフィルタ駆動モータと、フィルタ駆動モータを駆動制御するフィルタ移動制御部135と、撮像素子131で読み取った画像信号を記憶する画像データ記憶部136等を備えている。
【0039】
画像読取部13は、フィルタ移動制御部135からの制御信号に基づき光学フィルタ134を移動させ、光学フィルタ134及びレンズ133を介して撮像素子131の受光面に結像された画像を読取制御部132により読み取り、読み取った画像信号を画像データ記憶部136に記憶する。
【0040】
画像データ記憶部136は、読取制御部132で読み取られたアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/D変換器137と、A/D変換器137から出力されるデジタル画像データを記憶するRAM等からなる画像メモリ138とを備えている。各コマの画像のR、G、Bの各色成分に対応するデジタル画像データは、それぞれ識別して画像メモリ138に記憶される。
【0041】
画像データ処理部20は、露光する画像のレイアウトや、プリントサイズ等の編集情報が記憶されたテーブルメモリ21と、テーブルメモリ21に記憶された編集情報に基づいて、画像メモリ138に記憶された画像データに対して、例えば画像データの拡大及び縮小等の所定の編集処理を施す編集処理部22と、編集処理部22により編集処理された画像データをR、G、Bの各色成分を識別して記憶する処理画像メモリ23と、露光する画像の1ライン分の画像データを、各色成分を識別して一時的に記憶するラインバッファ24等から構成されている。
【0042】
画像露光部30は、ラインバッファ24から送出されたR、G、Bの各色成分に対応する1ライン分の画像データを主走査方向に一括して印画紙31に露光する記録ヘッドとしての露光ヘッド33と、上述した露光ヘッド33による露光処理を制御する露光ヘッド制御部34と、ローラに巻回されている長尺状の印画紙31を露光ヘッド33に搬送する印画紙搬送部35と、印画紙31を副走査方向に搬送して、各コマの画像が色成分毎に正確に露光されるように印画紙搬送部35と露光ヘッド制御部34とを同期制御する露光制御部32と、を備えて構成されている。
【0043】
図2及び図3に例示するように、露光ヘッド33は、R、G、Bの各色成分の光源としての発光ダイオード332R,332G,332Bと、印画紙31の幅方向に沿って配設され、光信号を出力させる液晶シャッタ(LCS:Liquid Crystal Shutter)からなるシャッタアレイ331R,331G,331Bと、発光ダイオード332から出力される各色成分の光をシャッタアレイ331に送出する光ファイバを多数本束ねた光ファイバ束334と、シャッタアレイ331と印画紙31との間に設けられ、印画紙31に画像を結像させるセルフォックレンズアレイからなる画像結像部335R,335G,335Bとを備えている。
【0044】
図1及び図2に示すように、印画紙搬送部35には、収容部に収容された印画紙31を引き出すピックアップ機構と、露光ヘッド33の上流側及び下流側にそれぞれ配置された搬送ローラ対R1,R2と、当該搬送ローラ対R1,R2を回転駆動する搬送モータMと、露光ヘッド33の上流側に設けられ、印画紙31が露光ヘッド33まで搬送されたことを検出するペーパセンサPSと、露光制御部32からの制御信号に基づいて搬送モータMを駆動制御する印画紙搬送制御部36と、ローラ対R2の一方の回転軸に設けられ、ローラ対R2の回転に応じて位相が90度ずれたA相とB相の2相のパルス信号を生成して露光制御部32に出力するエンコーダ351とを備えている。
【0045】
現像処理部40は、現像液が充填された液槽41を備え、露光ヘッド33で露光された印画紙31が液槽41内の現像液に浸漬されることにより、印画紙31への露光により形成された潜像を顕像化させる。
【0046】
印画紙カット部50は、印画紙31の上下に設けられた楔形状の上切断刃と下切断刃から構成されるカッター51と、カッター51を構成する上切断刃と下切断刃を上下に駆動する切断刃駆動モータと、切断刃駆動モータを駆動制御するカッター制御部52を備えている。
【0047】
印画紙カット部50は、カッター制御部52からの制御信号に基づき切断刃駆動モータを駆動して、カッター51の上切断刃と下切断刃を上下駆動して挟みこむことにより、現像処理部40で現像され、その後乾燥された印画紙31を幅方向にカットする。
【0048】
システムコントローラ60は、CPUや制御プログラムが記憶されたROMやワーキング領域としてのRAM等のメモリを備え、当該制御プログラムに基づいて、上述した各制御部に制御指令を与え、各制御部の動作を統括制御するように構成されている。
【0049】
システムコントローラ60の制御下で、露光制御部32、露光ヘッド制御部34、印画紙搬送制御部35等の各制御ブロックが作動することにより、印画紙31に画像が露光され、現像され、所定サイズにカットされた後に写真プリントが排出される。
【0050】
印画紙搬送制御部36は、エンコーダ351から出力されるパルス信号の周期に基づいて印画紙31の搬送速度をモニタして、印画紙31が所定の搬送速度で搬送されるように搬送モータMを制御する。つまり、エンコーダ351は、印画紙31の搬送速度を示すパルス信号を出力するパルス信号発生部として構成されている。
【0051】
露光制御部32は、搬送ローラ対R1により搬送される印画紙31の先端をペーパセンサPSにより検知すると、画像先端を規定する所定のタイミングで印画紙31への露光を開始すべく、露光ヘッド制御部34に記録タイミング信号を出力する。その後、印画紙の搬送量に基づいて二枚目以降の露光開始位置を求め、対応するタイミングで二枚目以降の印画紙31への露光を開始する。
【0052】
記録タイミング信号とは、副走査方向の露光タイミングを規定する信号で、解像度に応じて設定される周期で繰返し出力される信号である。
【0053】
露光制御部32は、エンコーダ351から出力されたパルス信号に基づいて、画紙の搬送状態と副走査方向の露光タイミングが同期するように、記録タイミング信号を生成する。
【0054】
図4に示すように、露光制御部32は、CPU321と、CPU321により実行される制御プログラムが格納されたROM322と、ワーキング領域として使用されるRAM323と、入出力回路324とが内部バスで接続されたマイクロコンピュータを備えている。
【0055】
露光制御部32は、入出力回路324を介してペーパセンサPSから出力される印画紙31の検出信号や、エンコーダ351から出力されるパルス信号を入力し、露光ヘッド33による副走査方向の露光タイミングを規定する記録タイミング信号等を露光ヘッド制御部34に出力する。
【0056】
図5に示すように、露光制御部32は、エンコーダ(パルス信号発生部)351から出力されるパルス信号より周波数が高い基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部326と、基準クロック信号をカウントしてエンコーダ351から出力されたパルス信号の周期を求め、当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて、記録タイミング信号の周期を規定する基準値を算出する基準値算出部327と、基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を入出力回路324を介して露光ヘッド制御部34に出力する記録タイミング信号生成部327を備えている。
【0057】
基準クロック信号生成部326は、マイクロコンピュータに内蔵されたクロック回路で生成されるシステムクロックを分周する分周回路で構成され、制御プログラムによって所定の分周比に設定され、パルス信号より高い周波数の基準クロック信号が出力される。尚、エンコーダ351から出力されるパルス信号の周波数よりも1000倍程度高い周波数であれば、0.1%の分解能が確保できる点で好ましい。
【0058】
基準値算出部325は、基準クロック信号生成部326から出力される基準クロック信号をカウントして、エンコーダ351から入力されるパルス信号の周期を基準クロック信号のカウント値として求め、当該カウント値を予め設定された線形演算式に基づいて、記録タイミング信号の周期を示す基準値を算出する。例えば、当該カウント値に予め設定された実数値を乗ずることにより記録タイミング信号の周期を算出する。
【0059】
図6には、記録タイミング信号生成部327による記録タイミング信号の生成アルゴリズムを説明するための機能ブロックが例示され、図7には、記録タイミング信号が生成されるタイミングチャートが示されている。
【0060】
以下、図6及び図7に基づいて、露光制御部32で実行される記録タイミング信号の生成方法を説明する。
【0061】
記録タイミング信号生成部327は、基準クロック信号をカウントする記録タイミング信号周期カウンタ327aと、記録タイミング信号周期カウンタ327aでカウントされたカウント値を記憶する基準クロックカウント値レジスタ327bと、基準値算出部325で算出された基準値を記憶する基準値レジスタ327c、及び当該基準値の半分の値を記憶する半基準値レジスタ327eを備えている。
【0062】
さらに、記録タイミング信号生成部327は、基準クロックカウント値レジスタ327bと基準値レジスタ327cに記憶された値を比較する基準値比較部327fと、基準クロックカウント値レジスタ327bと半基準値レジスタ327eに記憶された値を比較する半基準値比較部327gと、基準値比較部327f及び半基準値比較部327gによる比較結果に基づいて、記録タイミング信号のハイレベル及びローレベルを切り替えて出力する記録タイミング信号出力部327hとを備えている。
【0063】
図7に示すように、基準値算出部325により、エンコーダ351から出力されるA相及びB相の二相のパルス信号の各エッジを起点に、繰返し基準クロック信号がカウントされ、各相の1/4周期(以下、「遷移周期」と記す。)がパルス信号周期カウント値として求められる。
【0064】
つまり、エンコーダ(パルス信号発生部)351から出力された記録ヘッド33と印画紙31の相対移動速度を示すパルス信号の周期を、パルス信号の周波数より高い周波数の基準クロック信号をカウントして求めるパルス信号周期算出ステップが実行される。
【0065】
基準値算出部325により、パルス信号のエッジタイミングで直近の所定周期(この例では4遷移周期)の平均値に基づいて基準値が算出され、算出された基準値に基準値レジスタ327cの値が更新される。このとき、同時に基準値に1/2乗じた値で半基準値レジスタ327eの値も更新される。
【0066】
基準値は、記録タイミング信号の周期を規定する値で、4遷移周期の平均値である1遷移周期に所定の実数値(この例では3.6倍)を乗ずることにより算出される。
【0067】
即ち、当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて記録タイミング信号の基準値を算出する基準値算出ステップが実行される。
【0068】
一方、基準値算出部325による基準クロック信号のカウントと並行して、記録タイミング信号生成部327では、記録タイミング信号周期カウンタ327aによって、基準クロック信号がカウントされ、その値が基準クロックカウント値レジスタ327bに順次更新記憶される。
【0069】
半基準値比較部327gにより、基準クロックカウント値レジスタ327bの値と半基準値レジスタ327eの値が比較され、両者が一致すると記録タイミング信号出力部327hに判定信号が出力され、そのタイミングで記録タイミング信号出力部327hからローレベルの記録タイミング信号が出力される。
【0070】
さらに、基準値比較部327fにより、基準クロックカウント値レジスタ327bの値と基準値レジスタ327cの値が比較され、両者が一致すると記録タイミング信号出力部327hに判定信号が出力され、そのタイミングで記録タイミング信号出力部327hからハイレベルの記録タイミング信号が出力される。
【0071】
つまり、基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成ステップが実行される。
【0072】
上述の例では、基準値算出ステップにより、パルス信号のエッジタイミングで、記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい直近の所定周期の平均値に基づいて基準値が算出され、基準値レジスタ327c及び半基準値レジスタ327eの値が更新される。この場合では、平均値が算出される所定周期が4遷移周期に設定されているが3遷移周期であってもよい。
【0073】
つまり、記録ヘッドと印画紙の相対移動速度の変動が、基準クロック信号生成部によりカウントされる基準クロック信号のカウント値に反映され、相対移動速度の変動に対応して基準値が変動し、相対移動速度の変動に追従して記録タイミング信号が生成されるため、副走査方向の解像度の変動が回避されるようになる。
【0074】
例えば、副走査方向の解像度が640DPI(約25.2本/mm)、印画紙の搬送速度が10mm/sec.に設定される場合、記録タイミング信号の周波数は約252Hz(周期は約4msec.)となり、エンコーダ351から出力されるパルス信号の遷移周波数を907.2Hz(遷移周期は約1.1msec.)に設定すると、記録タイミング信号の周波数がパルス信号の遷移周波数の1/0.28倍(記録タイミング信号の周期はパルス信号の遷移周期の約3.6倍)で算出される。この場合に、基準クロック信号の周波数を907.2kHzに設定すると、0.1%の分解能が確保できる。
【0075】
従って、副走査方向の解像度を切り替える場合には、パルス信号の遷移周期に乗ずる実数値を変更すればよく、320DPIに切り替える場合には、記録タイミング信号の周期はパルス信号の遷移周期の約7.2倍で算出され、1280DPIに切り替える場合には、記録タイミング信号の周期はパルス信号の遷移周期の約1.8倍で算出される。
【0076】
尚、上述の例では、記録タイミング信号を立ち下げるタイミングを、基準クロック信号のカウント値が基準値の1/2の値と等しくなった時点に設定しているが、記録タイミング信号を立ち下げるタイミングはこのような値に制限されるものではなく、少なくとも記録タイミング信号の立ち上がりが露光ヘッド制御部34で認識された後、次周期の記録タイミング信号の立ち上がりタイミングまでの間のいつの時点で立ち下げてもよい。
【0077】
また、記録タイミング信号の周期とパルス信号の周期との関係も、上述の値に制限されるものではなく、適用するシステムに応じて適宜設定すればよい。
【0078】
上述した例のように、基準値算出部325により記録タイミング信号の各周期内で基準値が更新されるようにパルス信号の周期を設定すれば、少なくとも記録タイミング信号の一周期毎に適切な基準値が得られるようになる点で好ましい。
【0079】
しかし、本願発明はこのような構成に限るものではなく、基準値算出部325により記録タイミング信号の複数周期に1回でも基準値が更新されるようにパルス信号の周期を設定するものであってもよい。相対移動速度の変動は、記録タイミング信号の複数周期に及ぶ場合には、少なくとも数周期前の相対移動速度の変動の影響を反映させることができるからである。
【0080】
基準値を算出するパルス信号の一周期の一部または全てが記録タイミング信号の各周期内に含まれ、基準値が記録タイミング信号の各周期内で更新されるように構成すれば、記録タイミング信号の一周期内で同時並行して発生しているパルス信号に基づいてパルス信号の周期が求められ、当該周期に基づいて基準値が更新されるので、少なくとも記録タイミング信号の一周期毎にその時点の記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度に対応した適正な基準値が得られるようになる点で優れている。
【0081】
また、それらに加えて、記録タイミング信号の周期がパルス信号の周期より長く設定されていることが好ましい。記録タイミング信号の周期により副走査方向の解像度が決定されるが、記録タイミング信号の周期がパルス信号の周期より長く設定されているため、記録タイミング信号の一周期内での記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度の変動にも追従して基準値が得られるので、副走査方向の解像度の変動が高精度に抑制されるようになるからである。
【0082】
また、上述したように、基準値算出部325により、パルス信号のエッジタイミングで直近の所定周期の平均値に基づいて基準値が算出され、更新されるように構成することが好ましい。
【0083】
基準値が直近のパルス信号の周期に基づいて更新されると、偶発的に発生したノイズの影響等を受ける場合に、却って副走査方向の解像度が変動する虞もあるが、直近の所定周期の平均値に基づいて基準値を算出することにより、偶発的に発生したノイズの影響等を鈍らせることができるからである。
【0084】
さらに、パルス信号の所定周期が記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい値に設定されていることが好ましい。
【0085】
記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい周期数の平均値によりパルス周期が求められるので、そのような平均値に基づいて算出される基準値は、記録タイミング信号の一周期内での記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度が極めて正確に反映された値となるからである。
【0086】
上述した何れの構成であっても、記録タイミング信号生成部327は、基準クロック信号のカウント値が更新された基準値より大きくなると、次周期の記録タイミング信号を出力するように構成することが好ましい。
【0087】
上述したように、記録タイミング信号生成部327は、基準クロック信号のカウント値と基準値とを比較して、両者が一致すると次の記録タイミング信号の周期が始まると判断するのであるが、偶々基準クロック信号のカウント値が基準値より小さい範囲で基準値に近い値となった時点で基準値が更新され、更新後の基準値がそのときの基準クロック信号のカウント値より小さければ、最早記録タイミング信号の周期を切り替えることができなくなる。
【0088】
そこで、基準クロック信号のカウント値が更新された基準値より大きくなると、強制的に次周期の記録タイミング信号を出力することにより、フェールセーフ機能を持たせることができるのである。
【0089】
逆に、このような事態が発生することを回避するために、基準クロック信号のカウント値と基準値の差分が更新許容値以下のとき、つまり、記録タイミング信号の終期に近づいた領域で、基準値の更新が禁止されるように構成してもよい。
【0090】
更新許容値として、例えば、直近に算出された基準値の5%の値に設定することができる。記録タイミング信号の1周期が経過する直前であるか否かを、基準クロック信号のカウント値から基準値の95%の値を減じた値で判断し、正であれば更新を禁止し、負であれば更新を許容するのである。尚、直近に算出された基準値を判断対象とせずに、現在の基準値を判断対象としてもよい。直近に算出された基準値と現在の基準値が大きく異なるような場合に備えて、現在の記録タイミング信号の周期の判断基準である現在の基準値を採用した方が信頼性が向上する。
【0091】
基準値の更新を禁止することにより、確実に次周期の記録タイミング信号が出力されるように担保される。更新許容値は、本発明が適用される画像形成装置に組み込まれる搬送ローラや搬送ベルト等、記録ヘッドと記録媒体との相対速度の想定最大変動値等に基づいて適宜設定されればよく、例えば、現在の基準値の数%程度の小さな値を設定することができる。
【0092】
図8には、基準値算出部325による基準値算出処理の一例が示されている。当該処理は、露光制御部32に備えたマイクロコンピュータにより実行される例で、基準クロック信号の立上りエッジでCPUに内部割込みが発生し、当該内部割込み処理で基準値が算出される例である。
【0093】
割込みが発生すると、エンコーダのパルス信号の周期をカウントするためのパルス信号周期カウンタをカウントアップし(SA1)、パルス信号のエッジが検知されると(SA2)、RAMにパルス信号周期カウンタの値を格納し(SA3)、RAMに格納されている過去所定周期分のパルス信号周期カウンタの値の平均値を算出する(SA4)。パルス信号のエッジが検知されなければ(SA2)、割込み処理を終了する。
【0094】
次に、算出した平均値に予め設定された実数値を乗じて、記録タイミング信号の基準値を算出し(SA5)、基準値の95%の値と、現在カウントされている記録タイミング信号の周期を検知するための記録タイミング信号周期カウンタの値を比較し、基準値の95%の値より記録タイミング信号カウンタの値が小さければ(SA6)、RAMに区画されている基準値格納領域に今回算出した基準値を格納して更新するとともに、その1/2の値を記録タイミング信号を立ち下げるタイミングを規定する半基準値格納領域に格納して(SA7)、基準クロックカウンタをリセットして(SA8)、割込み処理を終了する。
【0095】
前回算出した基準値の95%の値より記録タイミング信号カウンタの値が大きいか等しければ(SA6)、基準値及び半基準値の更新を行なわずに、基準クロックカウンタをリセットして(SA8)、割込み処理を終了する。
【0096】
ステップSA6の処理は、基準クロック信号のカウント値(記録タイミング信号周期カウンタの値)と基準値の差分が更新許容値以下のとき、基準値の更新を禁止するための判定処理である。当該処理は、基準値を更新した時点で更新した基準値より記録タイミング信号周期カウンタのカウント値が大きくなる場合に、記録タイミング信号を立ち上げることができなくなるという事態を回避するために、1周期の終期に基準値の更新を禁止する処理である。そのような場合には、前回の基準値が採用されることになる。
【0097】
図9には、記録タイミング信号生成部327による記録タイミング信号生成処理の一例が示されている。当該処理も、露光制御部32に備えたマイクロコンピュータにより実行される例で、基準クロック信号の立上りエッジでCPUに内部割込みが発生し、当該内部割込み処理で基準値が算出される例である。
【0098】
割込みが発生すると、記録タイミング信号の周期をカウントするための記録タイミング信号周期カウンタの値がリセットされていれば(SB1)、記録タイミング信号をハイレベルにセットする(SB2)。
【0099】
次に、記録タイミング信号周期カウンタをカウントアップし(SB3)、当該記録タイミング信号周期カウンタのカウント値と、ステップSA7で更新された半基準値とを比較し、カウント値が半基準値以上であれば(SB4)、記録タイミング信号をローレベルに切り替え(SB5)、ステップSB6の処理を実行する。カウント値が半基準値未満であれば(SB4)、記録タイミング信号はそのままのレベルを維持し、ステップSB6の処理を実行する。
【0100】
ステップSB6では、当該記録タイミング信号周期カウンタのカウント値と、ステップSA7で更新された基準値とを比較する。カウント値が基準値以上であれば(SB6)、記録タイミング信号をハイレベルに切り替え(SB7)、当該記録タイミング信号周期カウンタをリセットして(SB8)、割込み処理を終了する。また、カウント値が基準値未満であれば(SB6)、そのまま割込み処理を終了する。
【0101】
ステップSB6の処理で、記録タイミング信号周期カウンタのカウント値と基準値とが一致する場合のみならず記録タイミング信号周期カウンタのカウント値が基準値を超えた場合にも、記録タイミング信号をハイレベルに切り替えるのは、基準値が更新された時点で更新された基準値より記録タイミング信号周期カウンタのカウント値が大きくなる場合のフェールセーフである。
【0102】
以上、割込み処理で、パルス信周期カウンタ及び記録タイミング信号周期カウンタの値をカウントアップする例を説明したが、エンコーダのパルス信号の周期を求める手法として、マイクロコンピュータのフリーランタイマを基準クロック信号の周期またはそれより速い周期でカウントアップするように設定し、パルス信号のエッジを検知したときのフリーランタイマの値をRASMに格納し、前回のフリーランタイマの値との差分を演算することにより、基準クロック信号のカウント値を得てエンコーダのパルス信号の周期を求めるように構成してもよい。
【0103】
このようにして生成された記録タイミング信号が露光ヘッド制御部34に入力されると、露光ヘッド制御部34は、記録タイミング信号の立上りエッジに同期して、主走査方向の画像データに基づいてシャッタアレイ331R,331G,331Bを駆動して、各色1ライン単位で印画紙を露光する。
【0104】
以下、別実施形態を説明する。
上述した実施形態では、パルス信号を生成するエンコーダとして、A相、B相の二相のパルス信号を出力するエンコーダを用いた場合を例に説明したが、単相のパルス信号を生成するエンコーダを用いてもよい。何れの場合であっても、記録タイミング信号の1周期を規定する基準値は、パルス信号の任意の周期の実数倍で求められる。例えば、パルス信号の1/4周期に相当する基準クロック数の3.6倍、パルス信号の1周期に相当する基準クロック数の0.9倍等、適宜設定することができる。
【0105】
上述した実施形態では、露光ヘッド33の下流側に配置された搬送ローラ対R2の一方の回転軸にエンコーダ351を取り付けた場合を説明したが、ローラ対が駆動ローラと従動ローラで構成される場合には、駆動側のローラの軸に取り付けることが好ましい。
【0106】
また、露光ヘッド33の下流側に配置された搬送ローラ対R2にエンコーダ351を取り付けると、印画紙の先端部が搬送ローラ対R2に到達するまでの間、正確に印画紙の搬送をモニタできない虞がある。その場合には、露光ヘッド33の上流側に配置された搬送ローラ対R1にエンコーダ351を取り付ければよい。また、両方のローラ対R1,R2にそれぞれエンコーダ351を取り付けて、それぞれのパルス信号の周期に基づいて、一方のエンコーダの異常を他方のエンコーダで検知するように構成し、正常なエンコーダのパルス信号を基準値算出のためのパルス信号に採用する切替回路を備えてもよい。
【0107】
上述した実施形態では、搬送用のローラの回転を検知するようにローラの回転軸にエンコーダを組み込んだ例を説明したが、記録媒体を搬送ベルトで搬送するような構成が採用される場合には、搬送ベルトの周上の一端縁に一定間隔でスリットを形成し、該スリットの移動を検知するフォトインタラプタで構成されるエンコーダを採用することも可能である。
【0108】
上述した実施形態では、記録ヘッドとして、液晶シャッタ方式の露光ヘッド33を備えた写真プリンタ1を例に本発明を説明したが、本発明はライン露光方式の記録ヘッドを用いた写真プリンタであれば、蛍光表示管方式の露光ヘッドを備えた写真プリンタにも適用可能である。
【0109】
尚、上述した実施形態では、画像読取部13としてフィルムに撮影されたコマ画像を読み取る光学系を備えた構成を説明したが、画像読取部13に、可搬性のメディアに記憶されたデジタルカメラによる撮影画像を読み取るメディアドライブを備えるものであってもよい。
【0110】
さらに、本発明は、写真プリンタ以外の画像形成装置にも適用可能であり、記録媒体の幅方向に同時に印字するライン印字ヘッドを備えたインクジェットプリンタにも適用可能である。
【0111】
そして、本発明が適用される画像形成装置は、記録ヘッドに対して記録媒体が搬送装置によって副走査方向に搬送される画像形成装置に限られるものではなく、記録媒体に対して記録ヘッドが副走査方向に走査される構成を備えた画像形成装置にも適用可能である。つまり、記録ヘッドと記録媒体とが連続的に相対移動することにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置に適用されるものである。
【0112】
尚、上述した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成、例えば、基準クロック信号の周波数、エンコーダのパルス信号周期、記録タイミング信号の周期等、及びそれらの信号処理ブロックの構成は、適宜変更設計できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0113】
1:画像形成装置(写真プリンタ)
30:画像露光部
31:記録媒体(印画紙)
32:露光制御部
33:記録ヘッド(露光ヘッド部)
34:露光ヘッド制御部
35:印画紙搬送部
36:印画紙搬送制御部
60:システムコントローラ
323:RAM
325:基準値算出部
326:基準クロック信号生成部
327:記録タイミング信号生成部
331,3321,331G,331B:シャッタアレイ
332, 332R,332G,332B:発光ダイオード
335R,335G,335B:画像結像部
351:パルス信号発生部(エンコーダ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドと記録媒体とが連続的に相対移動することにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度を示すパルス信号を出力するパルス信号発生部と、
パルス信号の周波数より高い周波数の基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成部と、
基準クロック信号をカウントしてパルス信号の周期を求め、当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて、記録タイミング信号の基準値を算出する基準値算出部と、
基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成部とを備えている画像形成装置。
【請求項2】
基準値算出部は記録タイミング信号の各周期内で基準値を更新する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
基準値を算出するパルス信号の一周期の一部または全てが記録タイミング信号の各周期内に含まれ、基準値が記録タイミング信号の各周期内で更新される請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録タイミング信号の周期がパルス信号の周期より長く設定されている請求項1から3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
基準値算出部はパルス信号のエッジタイミングで直近の所定周期の平均値に基づいて基準値を算出して更新する請求項1から4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
所定周期が記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい値に設定されている請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
記録タイミング信号生成部は、基準クロック信号のカウント値が更新された基準値より大きくなると、次周期の記録タイミング信号を出力する請求項2から6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
基準クロック信号のカウント値と基準値の差分が更新許容値以下のとき、基準値の更新が禁止される請求項2から6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
記録ヘッドと記録媒体とが連続的に相対移動することにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置の記録タイミング信号生成方法であって、
パルス信号発生部から出力された記録ヘッドと記録媒体の相対移動速度を示すパルス信号の周期を、パルス信号より周波数が高い基準クロック信号をカウントして求めるパルス信号周期算出ステップと、
当該周期を変数とする所定の演算式に基づいて記録タイミング信号の基準値を算出する基準値算出ステップと、
基準クロック信号をカウントして、当該カウント値が基準値と一致する周期で繰り返し記録タイミング信号を出力する記録タイミング信号生成ステップと、
からなる記録タイミング信号生成方法。
【請求項10】
基準値算出ステップは、パルス信号のエッジタイミングで、記録タイミング信号の一周期に含まれるパルス信号の周期数と略等しい直近の所定周期の平均値に基づいて基準値を算出して更新する請求項9記載の記録タイミング信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−184459(P2010−184459A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30917(P2009−30917)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】