説明

画像形成装置

【課題】“プレ転写”、“プレ放電”、“トナー跳ね”及び“微粒子の再転写”を抑制し、“転写飛び散り”の無い画像形成装置を提供すること。
【解決手段】トナー像を担持する複数の像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体の前記複数の像担持体が設置されている上面側に対して前記中間転写体を挟み反対側の下面側に前記複数の像担持体上に形成されたトナー像を前記中間転写体に転写する複数の転写部材と、を有する画像形成装置において、弾性体により付勢された前記複数の転写部材が、前記像担持体に対して相対的に中間転写体の移動方向下流側に位置し、前記中間転写体は、表面に前記トナーよりも軽量な無色透明な球形の微粒子がほぼ一様に付着されており、前記複数の像担持体上のトナー像は、前記微粒子の上に転写される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体に転写して画像形成をする画像形成装置に係り、特にトナーより軽量の無色透明な球形の微粒子を用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、像担持体上のトナー像を1次転写部で中間転写体に転写し、中間転写体上のトナー像を2次転写部で記録媒体上に転写する画像形成装置は数多く実用化されている。従来の画像形成装置には2次転写部での転写効率向上を目的として、中間転写体上に前記トナーより小粒径の球形な微粒子をほぼ一様に付着させる画像形成装置がある (例えば、特許文献1参照) 。
【0003】
【特許文献1】特開2002−162767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1(特開2002−162767号公報)においては、2次転写部の転写効率向上のために、中間転写体上に微粒子の層を形成している。
【0005】
しかしながら、2次転写部での転写効率向上のみを目的としており、1次転写部で発生する場合がある“転写飛び散り”という現象について考慮されていない。“転写飛び散り" とは、細線や文字や小さいドットで構成される画像パターンを印字した際に、画像が著しく劣化する問題である。前述した特許文献1では、“転写飛び散り”の発生を考慮した1次転写構成となっていない。
【0006】
“転写飛び散り”という現象の発生メカニズムを、従来の画像形成装置の1次転写プロセスを例に取りり説明する。
【0007】
図3は図12に示す従来の画像形成装置における1次転写部の拡大断面図である。図3に示す1次転写部において、W1は像担持体22と中間転写体28で形成される接触ニップの幅、W2は中間転写体28と1次転写ローラ27で形成される接触ニップの幅を示す。
【0008】
W3は、接触ニップW2が、接触ニップW1に対して相対的に中間転写体28の移動方向上流側にはみ出している領域(以下、上流側空隙ニップ)の幅を示す。通常、像担持体22上に形成されたトナー像は、接触ニップW1と接触ニップW2のオーバーラップ領域(以下、オーバーラップニップW)において、中間転写体28に転写される。従来の画像形成装置においては、上流側空隙ニップW3が存在するため、上流側空隙ニップW3部に電界が作用し、オーバーラップニップWよりも中間転写体の移動方向上流側で像担持体22上に形成されたトナー像が中間転写体28上に飛翔してしまう現象、所謂“プレ転写”が発生する。“プレ転写”により飛翔したトナーが、中間転写体28に衝突した後に跳ね返ること(以下、トナー跳ね)で、細線や文字や小さいドットで構成される画像パターンを印字した際に画像劣化をもたらす“転写飛び散り”を発生させている。
【0009】
又、転写効率向上を目的として形成した微粒子の層が、“プレ転写”が発生している上流側空隙ニップW3において発生する放電(以下、プレ放電)により、像担持体上のトナーと逆電荷に帯電し、中間転写体上から像担持体上に転写する“再転写”が発生する可能性がある。“微粒子の再転写”により、ポジゴーストやネガゴーストの問題が発生し、画像劣化をもたらす可能性がある。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、“プレ転写”、“プレ放電”、“トナー跳ね”及び“微粒子の再転写”を抑制し、“転写飛び散り”の無い画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、トナー像を担持する複数の像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体の前記複数の像担持体が設置されている上面側に対して前記中間転写体を挟み反対側の下面側に前記複数の像担持体上に形成されたトナー像を前記中間転写体に転写する複数の転写部材と、を有する画像形成装置において、弾性体により付勢された前記複数の転写部材が、前記像担持体に対して相対的に中間転写体の移動方向下流側に位置し、前記中間転写体は、表面に前記トナーよりも軽量な無色透明な球形の微粒子がほぼ一様に付着されており、前記複数の像担持体上のトナー像は、前記微粒子の上に転写されることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記微粒子がトナーよりも軽量で、形状係数SF1が100〜140、好ましくは100〜120であり、形状係数SF2が100〜120の球形であり、無色透明であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
“トナー跳ね”は、上流側空隙ニップW3において、“プレ転写”により像担持体22上から中間転写体28上にトナーが飛翔し、中間転写体28との物理的衝突により発生する。このため、中間転写体28上に、物理的衝突を緩和する層(以下、衝撃緩和層)を形成することで、“トナー跳ね”を抑制することが考えられる。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、中間転写体上に付着させたトナーよりも軽量の無色透明な球形な微粒子にて衝撃吸収層が形成されることにより“トナー跳ね”を抑制し、更に弾性体により付勢された転写部材を像担持体に対して相対的に中間転写体の移動方向下流に配置することで、上流側空隙ニップW3部での“プレ放電”の発生を抑制し、前記微粒子の“再転写”を防止し、又、“プレ転写”の発生も抑制し、“転写飛び散り”を改善させることが可能となる。
【0015】
又、請求項2記載の発明によれば、“プレ転写”により像担持体から中間転写体に飛翔してきたトナーの衝突エネルギーを分散させ、“トナー跳ね”を抑制させることが可能となり、“転写飛び散り”を改善することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
<実施の形態1>
図1はカラー画像形成装置の断面図である。この装置は、図示のように、電子写真方式のカラー画像形成装置の一例である中間転写体28を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置である。
【0018】
図2は実施の形態1のカラー画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。本カラー画像形成装置は、画像処理部と画像形成部により構成する。
【0019】
最初に画像処理部10における処理について説明する。
【0020】
カラーマッチングテーブル101で、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像の色を表すRGB信号をカラー画像形成装置の色再現域に合わせたデバイスRGB信号(以下、DevRGBと言う)へ変換する。次に、変換したDevRGB信号を、色分解テーブル102で、カラー画像形成装置のトナー色材色であるCMYK信号へ変換する。キャリブレーションテーブル103は、各々のカラー画像形成装置に固有の濃度−階調特性を補正するテーブルであり、前記CMYK信号を濃度−階調特性の補正を加えたC’M’Y’K’信号へ変換する。ディザテーブル104は、ディザ処理を行い、C”M”Y”K”信号に変換する。更に、PWM(Pulse Width Modulation)テーブル105で、前記C”M”Y”K”信号を対応する図1に示すスキャナ部24C,24M,24Y,24Kの露光時間Tc,Tm,Ty,Tkへ変換する。
【0021】
次に、画像形成部11について説明する。
【0022】
画像形成に関わる主な手段は、帯電手段112、露光手段113、現像手段114、転写手段115、定着手段116である。それらをCPU111により制御している。
【0023】
図1を用いて、電子写真方式のカラー画像形成装置における画像形成部の動作を説明する。
【0024】
画像形成部は、画像処理部が変換した露光時間に基づいて点灯させる露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成し、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体12へ転写し、その記録媒体上の多色トナー像を定着させる。
【0025】
帯電手段112として、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のステーション毎に、感光体22を帯電させるための4個の帯電器23Y,23M,23C,23Kを備える構成で、各帯電器には帯電ローラ23YR,23MR,23CR,23KRを備えている。
【0026】
感光体22Y,22M,22C,22Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光体22Y,22M,22C,22Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
【0027】
露光手段113は、感光体22Y,22M,22C,22Kへスキャナ部24Y,24M,24C,24Kより露光光を照射し、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像を形成するように構成している。
【0028】
現像手段114は、前記静電潜像を可視化するために、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う4個の現像器26Y,26M,26C,26Kを備える構成で、各現像器には、スリーブ26YS,26MS,26CS,26KSが設けられている。
【0029】
転写手段115は、感光体22から中間転写体28へ単色トナー像を転写するために、中間転写体28を時計周り方向に回転させ、感光体22Y,22M,22C,22Kとその対向に位置する一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kの回転に伴って、単色トナー像を転写する。一次転写ローラ27に適当なバイアス電圧を印加すると共に感光体22の回転速度と中間転写体28の回転速度に差をつけることにより、効率良く単色トナー像を中間転写体28上に転写する。これを一次転写と言う。
【0030】
中間転写体28上に、ほぼ一様な層を形成する微粒子供給装置50は、転写手段115と同様の構成であり、転写手段115により中間転写体28上にトナーが1次転写される以前に、中間転写体上に微粒子を供給する。
【0031】
更に、転写手段115は、ステーション毎に単色トナー像を中間転写体28上に重ね合わせ、重ね合わせた多色トナー像を中間転写体28の回転に伴い二次転写ローラ29まで搬送し、更に記録媒体12を給紙トレイ21a又は21bから二次転写ローラ29へ狭持搬送し、記録媒体12に中間転写体28上の多色トナー像を転写する。この二次転写ローラ29に適当なバイアス電圧を印加し、静電的にトナー像を転写する。これを二次転写という。二次転写ローラ29は、記録媒体12上に多色トナー像を転写している間、29aの位置で記録媒体12に当接し、印字処理後は29bの位置に離間する。
【0032】
定着手段116は、記録媒体12に転写された多色トナー像を記録媒体12に溶融定着させるために、記録媒体12を加熱する定着ローラ32と記録媒体12を定着ローラ32に圧接させるための加圧ローラ33を備えている。定着ローラ32と加圧ローラ33は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ34,35が内蔵されている。定着装置31は、多色トナー像を保持した記録媒体12を定着ローラ32と加圧ローラ33により搬送するとともに、熱及び圧力を加え、トナーを記録媒体12に定着させる。
【0033】
トナー定着後の記録媒体12は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。
【0034】
以下で中間転写体上に付着させた微粒子が“トナー跳ね”を抑制させるメカニズムを図5にて説明する。
【0035】
図5は図3に示した1次転写部における上流側空隙ニップW3部の拡大図である。
【0036】
中間転写体28上のトナー60aは、像担持体22上のトナー60が“トナー跳ね”を発生させずに中間転写体上に転写された場合のトナーを示す。“トナー跳ね”が発生する場合、トナー60は、中間転写体と物理的に衝突し跳ね返りトナー60aとは位置が異なるトナー60bとなる。このため、中間転写体28上に、物理的衝突を緩和する層(以下、衝撃緩和層)を形成することで、“トナー跳ね”を抑制することが考えられる。図5では、トナー60bがトナー60aよりも下流側に位置しているものの、像担持体22と中間転写体28の相対的な速度差や中間転写体28の蛇行等の条件によっては、必ずしも下流側に位置するとは限らない。
【0037】
次に、“トナー跳ね”が無い場合に“転写転写飛び散り”が良化することを確認するために実施した実験について説明する。
【0038】
実験では、中間転写体上に粘着性を有するシリコンゴム層を形成した。実験により“プレ転写”により像担持体上から飛翔してきたトナーが、シリコンゴム層の粘着性により“トナー跳ね”を発生させなかった場合、“転写飛び散り”による画像劣化がほぼないことを確認した。
【0039】
図6を用いてトナーよりも軽量な前記微粒子が“トナー跳ね”を抑制するメカニズムにて説明する。
【0040】
“プレ転写”により像担持体上から飛翔してきたトナー60aは、中間転写体上に付着した微粒子61( 図6において、ハッチングされている粒子) と衝突する。衝突したトナー60bは、微粒子61との物理的衝突により速度を緩和され、跳ね返らずに中間転写体上に転写される。
【0041】
以下で、トナーが2個の微粒子と同時に衝突した場合を例に、衝突緩和の挙動を説明する。ここでは、微粒子2個との衝突を例として説明するものの、トナーが衝突する微粒子の数は必ずしも2個とは限らない。
【0042】
図7において、トナー60が微粒子61に衝突する直前の速度をV、衝突後の速度をV’、トナーの質量をM、微粒子の質量をm、微粒子との衝突角度をθとする。衝突角度θは、トナーと微粒子の中心間を結んだ線とトナーの速度方向がなす角度とする。
【0043】
衝突角度θは、0〜90度の任意の角度が考えられる。トナーと微粒子との質量比(m/M)と衝突角度θとを変化させた時の衝突前後の速度比(V’/V)の推移のグラフを図8に示す。
【0044】
図8において、速度比が正の場合は、トナーが跳ね返っていることを示しており、速度比が負の場合は、トナーが微粒子の層に埋まっていくことを示している。図8に示すように、質量比が小さい、即ち、微粒子がトナーよりも軽量であった場合、トナー跳ねを防止する効果が大きい。図8では、トナーが2個の微粒子と衝突する場合を例としているものの、微粒子によって形成される衝突緩和層は、図6に示すように複数の微粒子によって形成されている。このため、衝突後の速度比が負である場合、トナーは、更に微粒子との衝突を繰り返し、速度V’が緩和され、跳ね返りが防止される。
【0045】
又、トナーが2個以上の複数の微粒子と衝突する場合や、トナーと衝突した微粒子が他の微粒子と接している場合等、衝突時のトナーと微粒子の位置関係の形態は、ここで記載されたものに限られるものではない。
【0046】
上記により、微粒子により“衝撃緩和層”を形成することで“トナー跳ね”が抑制され、“転写飛び散り”を改善することが可能となる。
【0047】
次に、“プレ放電”による“再転写”の対策について図4を用いて説明する。
【0048】
図4は図1に示す本実施の形態1の1次転写部の拡大図である。図4に示すように、微粒子の“再転写”の原因である“プレ放電”が発生している上流側空隙ニップW3を無くすことで、“プレ放電”を抑制し、微粒子の“再転写”を防止することが可能となる。又、“プレ放電”を抑制することで、“プレ転写”の発生を抑制し、“トナー跳ね”を発生させる上流側空隙ニップ部でのトナーの転写を抑制することが可能となる。
【0049】
表1に、衝撃緩和層と上流側空隙ニップの有り無しでのトナー跳ね抑制効果についてまとめた結果を示す。トナー跳ねの抑制効果については、ドラム上のトナー像と中間転写体上に転写されたトナー像の1ドット(600×600dpiの1画素分)の大きさ(面積)を比較し、1次転写前後での面積比をトナー跳ね抑制効果の指標と比較した。
【0050】
又、表2に、上流側空隙ニップの有り無しでの再転写抑制効果についてまとめた結果を示す。再転写の抑制効果については、1次転写後のドラム上の再転写量を測定した。測定は、ドラム上の再転写量をテーピングし光学濃度計での濃度を抑制効果の指標として比較した。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

又、微粒子は2次転写時にトナーとともにその一部が記録媒体上へ転写される可能性があるため、無色透明であることが望まれる。
【0053】
本実施の形態1の構成により、“トナー跳ね”を抑制し、“微粒子の再転写”を防止し、“転写飛び散り”による画像劣化を改善することが可能である。
【0054】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0055】
本実施の形態のカラー画像形成装置の構成は、微粒子の形状係数SF1が100〜140、好ましくは100〜120であり、形状係数SF2が100〜120であること以外は、実施の形態1の構成と同じである。
【0056】
以下にトナーについて詳細に説明する。
【0057】
トナーは、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤及び低軟化物質を含有している非磁性一成分微粒径トナーが好ましく用いられる。
【0058】
先ず、結着樹脂としては、カラートナー用に通常用いられているもので良く、例えば、スチレン−ポリエステル、スチレン−ブチルアクリレート等のスチレン系共重合体;ポリエステル系樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0059】
次に、着色剤は、カラートナー用に通常用いられているもので良く、例えば、イエロートナー用としては、ベンジン系黄色顔料、フォロンイエロー、アセト酢酸アニリド系不溶性アゾ顔料、モノアゾ染料、アゾメチン系色素等が挙げられる。マゼンタトナー用としては、キサンテン系マゼンタ染料のリンタングステンモリブテン酸レーキ顔料、2,9−ジメチルキナクリドン、ナフトール系不溶性アゾ顔料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料と有機カルボン酸とから成る色材、チオインジゴ、ナフトール系不溶性アゾ顔料等が挙げられる。シアントナー用としては、銅フタロシアニン系顔料が挙げられる。
【0060】
荷電制御剤としては、カラートナー用に通常用いられているもので良く、例えば、負電荷制御剤としては、アルキルサリチル酸の金属錯体、ジガルボン酸の金属錯体、多環体サリチル酸金属塩等が挙げられ、正電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩、ベンゾチアゾール誘導体、グアナミン誘導体、ジブチルチンオキサイド、その他の含窒素化合物等が挙げられる。
【0061】
低軟化物質としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックス等のポリメチレンワックス;アミドワックス;高級脂肪酸;長鎖アルコール;エステルワックス;及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられ、トナーに対し、5〜30重量%の含有量が好ましい。又、トナーは、重合性単量体、着色剤、荷電制御剤及び低軟化点物質を含む重合性単量体組成物を重合することによりトナー粒子を製造する重合法によって得られる重合トナーであることが好ましく、より好ましくは、重合性単量体組成物を液媒体中で重合することにより得られる重合トナーが形状を球形にすることができることから良い。特に、重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合することによって得られる懸濁重合トナーの場合には、水系媒体中で重合性単量体組成物中に含まれている材料の極性差を用いることにより、低軟化点物質としてのワックスをトナー粒子中に内包化できることから、好ましく用いられる。
【0062】
又、トナーは、形状係数SF1が100〜140、好ましくは100〜120であり、形状係数SF2が100〜120であり、重量平均粒径が5〜7μmの実質的球形である非磁性一成分微粒径重合トナーが好ましく用いられる。ここで言う形状係数SF1とは、図9(a)に示すように、球形物質の形状の丸さの割合を示す値であり、球形物質を2次元平面上に投影してできる楕円状図形の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じたときの値で表される。つまり、形状係数SF1は次式で定義されるものである。
【0063】
SF1={(MXLNG)2 /AREA}×(100π/4)
SF1の値が大きいほど、球形物質の形状は不定形となる。SF1が大き過ぎると、球形状に付随する特性は薄れ、電界クリーニング性能は弱まることがある。形状係数SF2は、図9(b)に示すように、物質の形状の凹凸の割合を示す数値であり、物質を2次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100π/4を乗じたときの値で表される。つまり、形状係数SF2の次式で定義されるものである。SF2の値が大きいほど、物質の表面の凹凸は顕著となる。
【0064】
SF2={(PERI)2 /AREA}×(100/4π)
で定義されるものである。
【0065】
本実施の形態では、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を100回無作為にサンプリングし、その画像情報は、ニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析を行い、上式より算出したものである。
【0066】
次に、微粒子の形状係数SF1とSF2とが、トナーの形状係数SF1とSF2より大きい、即ち、非球形である場合にトナー跳ねが発生するメカニズムについて説明する。
【0067】
図10(a1)に、非球形な微粒子61により形成された衝突緩和層にトナー60が飛翔してきた図を、図10(a2)に、非球形な微粒子61により形成された衝突緩和層にトナー60が衝突した後の図を、図10(b1)に、球形な微粒子61により形成された衝突緩和層にトナー60が飛翔してきた図を、図10(b2)に、非球形な微粒子61により形成された衝突緩和層にトナー60が衝突した後の図を示す。微粒子が非球形の場合、図10(a2)に示すように微粒子がトナーの衝突を緩和する際に微粒子同士の接触点が多くなり、微粒子が滑らかに移動しトナーの衝突を緩和することができない。微粒子が球形の場合、図10(b2)に示すように微粒子が滑らかに移動し、トナーの衝突を緩和することが可能となる。
【0068】
本実施の形態の構成により、“トナー跳ね”を抑制し、“転写飛び散り”による画像劣化を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明を説明するためのカラー画像形成装置の全体構成である。
【図2】本発明を説明するためのカラー画像形成装置の断面図である。
【図3】従来例の詳細説明図(1次転写部の拡大図)である。
【図4】本発明の詳細説明図(1次転写部の拡大図)である。
【図5】トナー跳ねの説明図である。
【図6】トナー跳ねの説明図である。
【図7】トナーと微粒子との衝突の説明図である。
【図8】トナーと微粒子との衝突の説明図である。
【図9】形状係数の説明図である。
【図10】トナーと微粒子との衝突の説明図である。
【図11】従来のカラー画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 画像処理部
11 画像形成部
12 記録媒体
21 給紙トレイ
22 感光体
23 一次帯電手段
24 スキャナ部
25 トナーカートリッジ
26 現像手段
27 一次転写ローラ
28 中間転写体
29 二次転写ローラ
30 クリーニング手段
31 定着装置
41 濃度センサ
50 微粒子供給手段
60 トナー
61 微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する複数の像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体の前記複数の像担持体が設置されている上面側に対して前記中間転写体を挟み反対側の下面側に前記複数の像担持体上に形成されたトナー像を前記中間転写体に転写する複数の転写部材と、を有する画像形成装置において、
弾性体により付勢された前記複数の転写部材が、前記像担持体に対して相対的に中間転写体の移動方向下流側に位置し、前記中間転写体は、表面に前記トナーよりも軽量な無色透明な球形の微粒子がほぼ一様に付着されており、前記複数の像担持体上のトナー像は、前記微粒子の上に転写されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記微粒子がトナーよりも軽量で、形状係数SF1が100〜140、好ましくは100〜120であり、形状係数SF2が100〜120の球形であり、無色透明であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−154056(P2006−154056A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342028(P2004−342028)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】