説明

画像形成装置

【課題】 用紙に対する水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及びランニングコストが嵩むことのない画像形成装置を提供する。
【解決手段】 定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板5と外側に位置する第2の湾曲状反転板6とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板5,6の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラ7が配設され、第1の湾曲状反転板5は板金部材により形成され、第2の湾曲状反転板6はモールド部材により形成され、定着装置2を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙の反転搬送速度をV2としたときに、V1>V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複写機等の画像形成装置に関し、特に用紙の表裏両面に画像を形成する両面コピー機能を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の画像形成装置を、本発明を示す図1を参照して簡単に説明する。すなわち、画像形成装置1は定着装置2と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路3と両面トレイ4とを備え、用紙反転搬送経路3は第1の湾曲状反転板5と第2の湾曲状反転板6とを有し、このうち通常第1の湾曲状反転板5は板金部材により形成され、第2の湾曲状反転板6はモールド部材により形成されている。また、第1,2の湾曲状反転板5,6の所定位置には複数の搬送ローラ7,7が配設され、これら搬送ローラ7には用紙を搬送するための複数の搬送コロ8,8(図3参照)が設けられている。9は搬送経路を切り換えるための分岐爪で、この分岐爪9が2点鎖線の位置では、用紙は定着装置2の通過後に排紙され、分岐爪9が実線の位置(両面コピーモード設定時)では、表面に画像が形成された用紙が第1,2の湾曲状反転板5,6を経由して搬送ローラ7,7により両面トレイ4内に搬送される。そして、両面トレイ4から再搬送経路(図示せず)を経由して用紙の裏面に対しての画像形成が行われ再び定着装置2に搬送され両面コピーとして排紙される。
【0003】
ところで、用紙の定着直後にはこの用紙から発生する水蒸気が用紙反転搬送経路3付近に入り込み蓄積した場合には、図8に示すように、第1の湾曲状反転板5の湾曲面5a(内側面)に水滴が生じてしまうことがある。これは、第1の湾曲状反転板5が冷却しやすい板金部材により形成されていることに起因し、板金部材の表面温度が極端に低下(約、12℃)するのに対して用紙の温度が上昇する(約、100℃)ことから、その温度差(約、90℃)によって水蒸気が発生すると考えられる。特に、このような水滴が生じる結露現象は寒冷期(冬期)等の低温時や低湿放置中には顕著に現われる。そして、この結露による水滴が搬送中の用紙(裏面)に付着した場合には、湿気や水分による用紙の波打ちや転写不良による「白抜け」等の画像不良が発生する恐れがある。
【0004】
すなわち、図8に示すように、定着装置2から搬送された用紙は、特に定着装置2のニップ部と搬送ローラ7間とを経由する経路内において、第2の湾曲状反転板6よりも板金部材である第1の湾曲状反転板5側に接触する可能性が高く、これによって湾曲面5aに生じた結露による水滴が用紙の裏面に付着してしまうこととなる。これを解決するために、従来では機内に熱ヒータ(熱保温)を利用した結露防止ヒータが設けられることがあるが、メインスイッチON時に、結露防止ヒータはOFFしているため、低温環境が継続すると熱保温作用は低下する(ほぼ3時間以内で、飽和状態)ことから結露防止対策としては必ずしも効果的な対策とはいえず、しかも、この結露防止ヒータの場合にはメインスイッチOFF時にも、結露防止ヒータに対する通電が行われているため、余分な電力の消費及びランニングコストが嵩む原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこでこの発明の目的は、前記のような従来の画像形成装置のもつ問題を解消し、用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力消費とランニングコストが嵩むことのない画像形成装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記のような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、第1の湾曲状反転板は板金部材により形成され、第2の湾曲状反転板はモールド部材により形成され、定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙の反転搬送速度をV2としたときに、V1>V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、第1の湾曲状反転板はモールド部材により形成され、第2の湾曲状反転板は板金部材により形成され、定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙反転搬送速度をV2としたときに、V1<V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、第2の湾曲状反転板との対向面である第1の湾曲状反転板の内側面には、この内側面に沿って複数の縦長状の水分付着防止シートが貼着されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、第1の湾曲状反転板の所定位置であって、水分付着防止シートの貼着位置の両側には縦長状の切欠き孔がそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、この第2の湾曲状反転板との対向面である第1の湾曲状反転板の内側面には、この内側面に沿って複数の縦長状の水分付着防止シートが貼着され、第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、前記のような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、第1の湾曲状反転板は板金部材により形成され、第2の湾曲状反転板はモールド部材により形成され、定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙の反転搬送速度をV2としたときに、V1>V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されるので、用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【0014】
請求項2に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、第1の湾曲状反転板はモールド部材により形成され、第2の湾曲状反転板は板金部材により形成され、定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙反転搬送速度をV2としたときに、V1<V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されるので、用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【0015】
請求項3に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられるので、用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられるので、より用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【0017】
請求項5に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、第2の湾曲状反転板との対向面である第1の湾曲状反転板の内側面には、この内側面に沿って複数の縦長状の水分付着防止シートが貼着されているので、用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、第1の湾曲状反転板の所定位置であって、水分付着防止シートの貼着位置の両側には縦長状の切欠き孔がそれぞれ形成されているので、この切欠き孔を通じて用紙から発生する水蒸気は排出され、その蓄積が防止できることから、予め結露を防止することができ、これによって用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【0019】
請求項7に記載の発明は、定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、この第2の湾曲状反転板との対向面である第1の湾曲状反転板の湾曲面には、この湾曲面に沿って複数の縦長状の水分付着防止シートが貼着され、第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられているので、より用紙に対する反転搬送経路内での水分付着防止を図ると共に、画像不良の防止及び余分な電力の消費とランニングコストが嵩むことが防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、この発明の第1実施形態を示している。図1に示すように、画像形成装置1は定着装置2と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路3と両面トレイ4とを備え、用紙反転搬送経路3は互いに僅かな隙間(3mm程度)を保持して対向する第1の湾曲状反転板5と第2の湾曲状反転板6とを有し、このうち第1の湾曲状反転板5は板金部材により形成され、第2の湾曲状反転板6はモールド部材により形成されている。この第2の湾曲状反転板6は排紙カバー(図示せず)と連動して開放可能である。また、第1,2の湾曲状反転板5,6の所定位置には複数の搬送ローラ7,7が配設され、これら搬送ローラ7には用紙を搬送するための3個の搬送コロ8,8(図3参照)がそれぞれ設けられている。また、図2に示すように、第1,2の湾曲状反転板5,6の所定位置には矩形状の複数の貫通孔10,10が形成され、これら貫通孔10,10の形成位置に搬送コロ8がそれぞれ対応して配置されている。そして、両面コピーモード設定時、表面に画像が形成された用紙が第1,2の湾曲状反転板5,6及び中継ガイド板(図示せず)を経由して搬送ローラ7,7により両面トレイ4内に搬送され、両面トレイ4から再搬送経路を経由し、用紙の裏面に対しての画像形成が行われ再び定着装置2に搬送され両面コピーとして排紙される。
【0021】
本発明の特徴は用紙に対する水分の付着防止を図ることにある。このため、この第1実施形態では定着装置2を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路3を通過する用紙の反転搬送速度をV2したときに、V1>V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されている。すなわち、それぞれの搬送速度の関係がV1<V2或いは、ほぼV1=V2の関係の場合には、前述した図8に示すように、定着装置2から搬送された用紙は、第2の湾曲状反転板6よりも第1の湾曲状反転板5側に接触する可能性が高く、これによって湾曲面5aに生じた結露による水滴が用紙の裏面に付着してしまうこととなる。このため、この第1実施形態では定着搬送速度V1を用紙の反転搬送速度V2よりも大きく(速く)することにより、定着装置2を通過直後の用紙を第1の湾曲状反転板5よりも第2の湾曲状反転板6側に向かう方向に誘導するもので、これによって第1の湾曲状反転板5に接触することを回避させることができる。このような、搬送速度を可変する制御方法としては駆動ギヤの歯数(大きさ)及びモータ駆動速度のシーケンス調整などを採用することができる。尚、ここでの定着搬送速度V1は定着装置2における定着ニップの上限値/下限値や用紙種類により多少変異するが定着ニップの下限値(最小値)を一応基準の対象とする。
【0022】
一方、第1の湾曲状反転板5がモールド部材により形成され、第2の湾曲状反転板6は板金部材により形成されている場合には、今度は第2の湾曲状反転板6側に結露による水滴が発生すると推測されることから、用紙を第1の湾曲状反転板5側に向かう方向に誘導させることが必要なため、前記関係式は定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙反転搬送速度をV2したときに、V1<V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されることとなる。
【0023】
図3(a),(b)は本発明の第2実施形態を示している。図3(a)に示すように、この第2実施形態では第1の湾曲状反転板5側に配設されている搬送ローラ7aの両端部には中央部に設けた3個の搬送コロ8,8以外に1対の補助コロ11,11がそれぞれ設けられている。このため、図3(b)に示すように、第1の湾曲状反転板5には補助コロ11の配設位置と対応する貫通孔10a,10aが新たに形成されている。そして、この補助コロ11は、用紙搬送用の搬送コロ8とはその機能が異なり、第1の湾曲状反転板5に対する接触回避機能を有する。すなわち、図3(a)に示すように、この補助コロ11が設けられる位置は用紙(A4縦サイズ)のほぼ両端部を支える位置であり、これによって用紙は破線に示すようにその端部が第1の湾曲状反転板5に接触することなく、ほぼ平行な状態で搬送させることができ、結露によって生じた水滴の付着を効果的に防止することができる。
【0024】
図4は本発明の第3実施形態を示している。同図に示すように、第1の湾曲状反転板5には、湾曲面5aの縦方向(全域)に沿って複数(図では、4枚)の縦長状の植毛シート12,12が貼着されている。この植毛シート12は水分付着防止機能を有する。また、比較的耐熱性を有するシート部材が好ましく採用される。すなわち、図5(a),(b)に示すように、この植毛シート12は水分が付着することのない植毛部13とその下面に、接着部14を有するもので接着部14によって湾曲面5aに対して強く貼着されると共に、この湾曲面5aの後端部に形成された切欠き部15の内側に折り曲げて固定されている。ここで、植毛シート12の幅寸法tは6mmに選定されている。そして、このように第1の湾曲状反転板5の湾曲面5aに植毛シート12が存在することにより物理的に用紙が湾曲面5aに対して接触することを回避することができる。言い替えると、結露によって湾曲面5aに水分が付着した状態であっても、搬送された用紙は植毛シート12表面に接触するだけで、湾曲面5aに接触することはない。尚、ここでは4枚の植毛シート12のうち内側の2本の植毛シート12がA4サイズ用紙のほぼ両端部に対応する位置に貼着されている(図4参照)。また、この第3実施形態は、前述した補助コロを使用する第2実施形態と組み合わせることにより、用紙に対するより大きな水分付着防止効果を実現することができる。
【0025】
図6,7は本発明の第4実施形態を示している。図6に示すように、第1の湾曲状反転板5の湾曲面5aであって、植毛シート12の貼着位置の両側には湾曲面5aの縦方向に沿って縦長状の切欠き孔16がそれぞれ形成されている。すなわち、このように湾曲面5aに切欠き孔16を形成することにより、用紙反転搬送経路3内(図1参照)に生じた水蒸気は切欠き孔16を通じて流通が促進されるため蓄積されることがなく、これによって結露の発生を予め防止することができる。更に、図7に示すように、植毛シート12の両側に切欠き孔16が位置することから接着部14に対する水分付着が回避され、植毛シート12の剥がれを長期にわたって防止することができる。そして、この第4実施形態では切欠き孔の幅をaとし、植毛シート12と切欠き孔16のそれぞれの端縁との距離をbとすると、a=3mm、b=0.5mmに選定され、切欠き孔16の形成位置は植毛シート12の貼着位置の基準としても利用することができる。この第4実施形態における切欠き孔16の形成と共に、ビード(1mm程度の突起部)を付設した場合には、用紙に対する更に大きな水分付着防止効果を期待することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】第1,2の湾曲状反転板を示す平面図である。
【図3】この発明の第2実施形態を示し、(a)は搬送ローラの側面図を、(b)は第1の湾曲状反転板をそれぞれ示す平面図である。
【図4】この発明の第3実施形態を示す平面図である。
【図5】(a)は植毛シートの要部を、(b)は植毛シートの取り付け部をそれぞれ示す拡大断面図である。
【図6】この発明の第4実施形態を示す平面図である。
【図7】図6のX−X断面図である。
【図8】従来の画像装置における用紙の搬送状態を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0027】
1 画像形成装置
2 定着装置
3 用紙反転搬送経路
4 両面トレイ
5 第1の湾曲状反転板
6 第2の湾曲状反転板
7,7a 搬送ローラ
8 搬送コロ
9 分岐爪
10 貫通孔
11 補助コロ
12 植毛シート
13 植毛部
14 接着部
15 切欠き部
16 切欠き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、第1の湾曲状反転板は板金部材により形成され、第2の湾曲状反転板はモールド部材により形成され、定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙の反転搬送速度をV2としたときに、V1>V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、第1の湾曲状反転板はモールド部材により形成され、第2の湾曲状反転板は板金部材により形成され、定着装置を通過する用紙の定着搬送速度をV1とし、用紙反転搬送経路を通過する用紙反転搬送速度をV2としたときに、V1<V2の関係になるようにそれぞれの用紙搬送速度が制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、これら第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、搬送ローラには複数の搬送コロが設けられ、第2の湾曲状反転板との対向面である第1の湾曲状反転板の内側面には、この内側面に沿って複数の縦長状の水分付着防止シートが貼着されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
第1の湾曲状反転板の所定位置であって、水分付着防止シートの貼着位置の両側には縦長状の切欠き孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
定着装置と用紙の表裏反転を行うための用紙反転搬送経路と両面トレイとを備える画像形成装置において、用紙反転搬送経路は互いに対向すると共に、内側に位置する第1の湾曲状反転板と外側に位置する第2の湾曲状反転板とを有し、この第2の湾曲状反転板との対向面である第1の湾曲状反転板の内側面には、この内側面に沿って複数の縦長状の水分付着防止シートが貼着され、第1,2の湾曲状反転板の所定位置には用紙を搬送する複数の搬送ローラが配設され、この搬送ローラの両端部には用紙搬送用の搬送コロ以外に少なくとも1個以上の補助コロがそれぞれ設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−323411(P2006−323411A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195962(P2006−195962)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【分割の表示】特願平11−33229の分割
【原出願日】平成11年2月10日(1999.2.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】