説明

画像形成装置

【課題】流量を見積もり難く必量動力が不安定なトナー搬送においても駆動力を最適化すると共に安定供給し、搬送精度と信頼性の向上を図り、画像形成装置全体としてのコスト削減を図ること。
【解決手段】像担持体と、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、現像後、前記像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去された廃トナーを搬送する搬送手段と、前記搬送手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段に少なくとも必要電力の一部を供給する発電手段と、前記搬送された廃トナーを収納する収納手段とを備え、前記発電手段は前記トナーの搬送により発電する手段であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によってトナーを使用し画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置では、感光体から記録材や転写ベルトへ転写し切れずに感光体上に残留したトナーが廃トナーとして排出されるが、この廃トナーは、画像形成装置内部に設置された回収容器へと回収する必要があるため、トナー搬送手段としてのトナー搬送装置を備える必要がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
図7は従来のトナー搬送装置を備えるプロセスカートリッジ22の斜視図であり、図示のプロセスカートリッジ22においては、画像形成装置本体内の画像形成プロセス上流に設けられた不図示の感光体等から排出された廃トナーを重力落下させ、この廃トナーを搬送管の入口開口部191上部より受け取り、フレキシブルスクリュー20を内蔵した柔軟性があるチューブ21の内部へと廃トナーを案内する。
【0004】
ここで、フレキシブルスクリュー20は、プロセスカートリッジ22の上部へ向かっており、廃トナーをプロセスカートリッジ22の上部まで搬送してホッパー23の内部に配置された袋24に回収するものである。図示しないが、フレキシブルスクリュー20は、モータ等の駆動源によって回転駆動される駆動軸25と端部で結合され、駆動軸25によって回転駆動される。
【0005】
ところで、従来の廃トナー搬送装置として、現像器から直接廃トナーを廃トナー容器に収容するものや、転写ベルトからの廃トナーと現像器からの廃トナーをそれぞれ別の搬送経路で搬送し、それぞれの廃トナー容器に回収するものもある。又、廃トナーの搬送方向は、滞留等による搬送不良を起こす可能性を極力低く抑えるために、水平或は下方へ向かう方向とし、搬送経路の連結部も重力を利用して下方へ廃トナーを落とす構成が主流となっている。
【0006】
図7に示す例では、各プロセスカートリッジ22で発生した廃トナーをそれぞれ回収するのみであり、プロセスカートリッジ22の寿命まで、つまり、ホッパー23内部のトナーが空になるまで廃トナーを回収できれば良い。このため、搬送手段のトナー搬送量は少量で済み、プロセスカートリッジ22の寿命のみの性能を確保できれば良いため、フレキシブルスクリュー20による構成が実現される。
【特許文献1】特開平9−281866号公報
【特許文献2】特開2002−014587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6に示した方式では、トナーが空になったときにプロセスカートリッジ22ごと交換して使用するため、トナーのみを補給して使用するトナー補給方式と比較して、プロセスカートリッジ22の交換周期が短くなり、ランニングコストが高くなるという問題がある。そのため、ランニングコストを低減するためには、トナー補給方式を採用する必要がある。
【0008】
ところが、トナー補給方式では全ての廃トナーをまとめて回収する必要があり、特にフルカラー機においては現像器を4個設置するために廃トナーの量も大量となり、回収容器も大容量であることが必要である。又、廃トナー回収のための搬送手段による廃トナー搬送量も大きくする必要があり、カートリッジ方式と比較して現像器のみで4倍の搬送量が必要となる。
【0009】
又、転写ベルトを用いる画像形成装置では、1つの廃トナー容器で現像器と転写ベルトそれぞれのユニットで発生する廃トナーを回収する構成とすれば、廃トナー容器のスペースも削減可能となり、画像形成装置全体の小型化が図られる。
【0010】
図5に転写ベルトと現像器の全ての廃トナーをまとめて回収するトナー搬送装置を備えた画像形成装置の断面図を示す。本例ではイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各プロセスカートリッジ10及び中間転写ベルト12から排出される廃トナーの搬送経路として廃トナー搬送パイプ17が水平に配置され、本体右下方に配設された廃トナー容器4へ廃トナーを運んでいる。
【0011】
しかしながら、上記従来の構成においては、廃トナー搬送は紛体搬送であるために流量が一定になりにくく、又、図5のように中間転写ベルトを用いた場合は転写効率が低下し、廃トナーの排出量が増大する。更に、画像の濃度によっても廃トナー排出量が変化するため、廃トナーの搬送駆動に必要な動力は大きな幅を持つことになる。
【0012】
又、ここで、図6に本例における画像形成装置の右側面から見た断面図を示す。
【0013】
図6においては、プロセスカートリッジ10は、前側板300と後側版301間に配置され、カートリッジ内より排出される廃トナーは、前側板300と電装基板類(100,102)に挟まれた空間に置かれていることが分かる。このように、画像形成装置を構成するに当たっては電装基板や駆動部品の配置を優先するため、廃トナーの搬送経路の配置の自由度は狭くなる傾向にあり、その結果として一般に廃トナー搬送経路が長くなることも多く、搬送力のロスも増加し搬送駆動力の安定化を阻害する要因となる。
【0014】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、流量を見積もり難く必量動力が不安定なトナー搬送においても駆動力を最適化すると共に安定供給し、搬送精度と信頼性の向上を図り、画像形成装置全体としてのコスト削減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体と、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、現像後、前記像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去された廃トナーを搬送する搬送手段と、前記搬送手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段に少なくとも必要電力の一部を供給する発電手段と、前記搬送された廃トナーを収納する収納手段とを備え、前記発電手段は前記トナーの搬送により発電する手段であることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記搬送手段と前記収納手段との連結部には前記廃トナーの落下動作により自在に回転する回転手段が配設され、前記発電手段は前記回転手段の回転を圧電素子に伝達し、起電力に変換することにより発電を行う手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送された廃トナーの搬送動作が発電手段により起電力に変換され、その発生電流はモータ等の駆動源にフィードバックされることで駆動源の動力を補填し、必量動力が不安定なトナー搬送において駆動力を最適化することができる。
【0018】
又、駆動源の負荷が重くなる廃トナーの排出量が増加する条件ではフィードバックする電流量も増加するため、電力を安定供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。尚、図5〜図7において説明した部材と対応する部材には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。又、現像器による作像方法やトナーの補給方式は周知であるため、これらについての説明は省略し、以下、本発明の要旨であるトナー搬送機構部の構成についてのみ説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係るトナー搬送装置1の断面図である。
【0021】
前述したように、略一定の間隔をおいて一列に配置された4つのプロセスカートリッジ10に、感光ドラム18を中心として一次帯電器19、現像装置30、転写ローラ200及びドラムクリーナ装置31がそれぞれ周囲に配置されている。
【0022】
又、転写ベルト12は、駆動ローラ95とアイドラローラ94に掛支されており、転写ローラ20と感光ドラム18に挟持される形で転写面が形成され、アイドラローラ94にはベルトクリーナ装置80が対向配置されている。又、4つのプロセスカートリッジ10及び転写ベルト12の下方に、廃トナー搬送パイプ17が略水平に配置されている。
【0023】
ここで、廃トナー搬送パイプ17は、ベルトクリーナ80及び4つのドラムクリーナ31から排出される廃トナーを装置本体右方へ搬送する搬送経路であって、上方の各クリーナから自重により落下してくる廃トナーを受けるよう構成されている。パイプ内部には搬送スクリュー99が回転自在に配されており、駆動モータ71により、減速ギア70を介して図中の矢印X方向に回転駆動される。
【0024】
駆動モータ71は、画像形成装置本体内部の電源基板103により、必要動力に応じた駆動電流を供給されている。廃トナー搬送パイプ17の搬送方向先端には搬送路17aが略鉛直方向に延び、端部が廃トナー回収容器4の内部へと開口している。更に、搬送路17aの途中には、圧電素子60の端部に設けられた振動板60aが自重により落下してきた廃トナーを受けることが可能なよう配置されている。
【0025】
以上の構成により廃トナーの搬送は、先ず、ベルトクリーナ80及び4つのドラムクリーナ31より廃トナーが排出され、それぞれ自重により下方の搬送パイプ17内に落下した後に搬送スクリュー99によりX方向に運ばれ、次に搬送路17a内部を再び自重により落下し、途中で振動板60aの端面をすべり落ちることにより振動板60aを揺動させた後に、廃トナー回収容器内に収納される。
【0026】
ここで、圧電素子60は、2枚の圧電セラミックスを上下に張り合わせた形で形成されており、それぞれのセラミックスに正負の変位差を生じる力が与えられた場合に起電力が発生するようになっている。これにより、廃トナーが振動板60aを揺動させる時は、圧電素子に正負の変位が交互に生じることになるため、廃トナーが一定の割合で落ちてくると仮定すれば、図2に示すような交互に正負の位相を持つ電流波形が得られることになる。
【0027】
得られた電流は電源基板103と廃トナー駆動モータ71間にバイパスされ、位相が同じ電流のみを通す不図示の整流回路を通じて廃トナー駆動モータへとフィードバックされ、駆動電流を補填している。これにより、廃トナーが搬送路17aを通過することで、廃トナーモータ71の駆動電流を補填する作用が得られることが分かる。
【0028】
又、廃トナーの排出量は、画像上のトナーの載り量が増大すれば廃トナーの排出量も増大し、載り量が減少すれば排出量も減少するという関係性がある。従って、廃トナー排出量が増加し、廃トナーモータ71の必要動力が増大する場合は、廃トナーが振動板60aを揺動させる回数も増加し、圧電素子60による廃トナーモータ71の駆動電流補填量も増加することが分かる。
【0029】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図3及び図4に基づいて説明する。図1及び図2において説明した部材と対応する部材には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0030】
図3においては、搬送路17aの途中には回転軸90により、所定のトルクで回動するよう支持された回転体91が、廃トナーの搬送を阻害しないよう配置されている。回転体91には、搬送路17aを自重により落下してくる廃トナーを受ける複数のトナー受け板91aが、周囲に所定の間隔で設けられている。
【0031】
又、トナー受け板91aの回転軌跡上には圧電素子60の端部に設けられ、振動板60bが突出しており、回転体91の回転により、振動板60bがトナー受け板により弾かれるよう配置している。
【0032】
以上の構成により、廃トナーの搬送は、先ずベルトクリーナ80及び4つのドラムクリーナ31より廃トナーが排出され、搬送パイプ17を経由し、それぞれ自重により下方の搬送パイプ17内に落下した後にトナー受け板91a上に堆積し、回転体91に回転トルクを与える所定量を超えた時点で回転体91を回転させ、廃トナー回収容器4内に収納される。
【0033】
図4に実施の形態2における圧電素子60の発生電流を示すが、本形態においては、電流値のピークにインターバルを持つ一方で発生電流量が増大していることが分かる。従って、持続時間よりも瞬時の電流補填量を重視するのであれば、本構成の方が適していることが図2との比較より分かる。
【0034】
以上、上記詳細に説明した構成を採ることにより、必量動力が不安定なトナー搬送において駆動力を安定供給し、搬送精度と信頼性の向上を図ることができることが分かる。
【0035】
尚、本実施の形態では圧電素子にセラミックスを貼り合せたバイモルフ素子を用いているが、これに限定されるものではなく、変位を起電力に変換する素子であれば良い。又、廃トナーモータ71に動力を補填する構成として圧電素子である必要はなく、回転を起電力に変換するアクチュエータを用いても良い。更に、圧電素子により生じた発生電流を蓄電した上で廃トナーモータ71に補填しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電子写真方式によってトナーを使用して画像を形成する画像形成装置におけるトナー搬送に対して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1が適用されたトナー搬送装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1が適用されたトナー搬送装置の発生電流図である。
【図3】本発明の実施の形態2が適用されたトナー搬送装置の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2が適用されたトナー搬送装置の発生電流図である。
【図5】従来の廃トナー搬送装置を備えた画像形成装置の正面図である。
【図6】従来の廃トナー搬送装置を備えた画像形成装置の右側面図である。
【図7】従来の廃トナー搬送装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
4 廃トナー回収容器
10 プロセスカートリッジ
11 露光装置(露光手段)
12 中間転写ベルトユニット
17 廃トナー搬送パイプ
18 感光ドラム
19 一次帯電器
20 転写ローラ
30 現像装置
31 ドラムクリーナ
60 圧電素子
71 廃トナーモータ
80 ベルトクリーナ
91 回転体
103 電源基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、現像後、前記像担持体上の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去された廃トナーを搬送する搬送手段と、前記搬送手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段に少なくとも必要電力の一部を供給する発電手段と、前記搬送された廃トナーを収納する収納手段とを備え、前記発電手段は前記トナーの搬送により発電する手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送手段と前記収納手段との連結部には前記廃トナーの落下動作により自在に回転する回転手段が配設され、前記発電手段は前記回転手段の回転を圧電素子に伝達し、起電力に変換することにより発電を行う手段であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−121416(P2007−121416A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309894(P2005−309894)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】