説明

画像形成装置

【課題】両面印刷を行うに際し、第一面印刷後の用紙の熱が用紙搬送路から現像装置に伝達するのを抑制して、現像装置内のトナーの溶融を防止することができ、像担持体への好適なトナー供給を遂行することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1の現像装置60の近傍であって、そのすぐ下方には、用紙搬送ユニット32内に構成された用紙搬送路35が備えられている。そして、現像装置60と、用紙搬送路35との間であって、用紙搬送路35を構成する上側ガイド部材33aの上面には、断熱部材70が貼付されている。この断熱部材70の作用により、用紙搬送路35から現像装置60に熱が伝達するのを抑制することができる。さらに、この作用は用紙搬送速度の影響を受けることはないので、高速印刷が可能な画像形成装置にも本発明の構成を適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタに代表される電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として感光体ドラムが広く用いられている。感光体ドラムを用いた一般的な画像形成動作は以下のようである。感光体ドラムの表面は帯電装置により所定電位で一様に帯電せしめられ、そこに露光装置のLED光等を照射することにより部分的に電位が光減衰して原稿画像の静電潜像が形成される。そして、この静電潜像を現像装置で現像することによってトナー像が形成される。用紙へのトナー像の転写後、感光体ドラムの表面においては、残留したトナーがクリーニング装置によりクリーニングされ、次回の画像形成動作に備えて除電装置により除電光が照射されて帯電電荷の除去が行われる。
【0003】
上記構成のような画像形成装置では、内部に熱がこもり易いので、これに起因する内部の温度上昇が、装置の運転に支障をきたすとして懸念されている。特に、昨今の画像形成装置においては高速化が推進されており、その内部の温度上昇が著しい。そして、感光体ドラム表面にトナーを供給する現像装置の温度上昇も深刻な問題となっている。現像装置の温度が上昇すると、現像装置内のトナーが溶融して流動性が悪くなり、現像ローラ表面のトナーによる薄層形成に乱れが生じる可能性が高くなる。これにより、感光体ドラム表面のトナー像に悪影響が及び、用紙に形成される画像に不良が発生する恐れがある。このような問題を解決すべく、現像装置の温度上昇を回避する様々な手法が提案され、その例を特許文献1〜3に見ることができる。
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置では、高温を発する定着装置と中間転写体との間にモージュールフレームと呼ばれる部材を設けることにより、定着装置で発生した熱が直接中間転写体や現像装置に伝達されないようにしている。同様に、特許文献2に記載された画像形成装置では、定着装置と現像ユニット(画像形成部)との間にヒートシンクを設けることにより、定着装置で発生した熱が直接現像ユニット(画像形成部)に伝達されないようにしている。
【0005】
特許文献3に記載された画像形成装置は、両面印刷が可能な画像形成装置であって、第一面の印刷が済み定着装置で加熱された用紙が、第二面の印刷のために再度画像形成部へと向かう用紙搬送路において、ヒートパイプによって用紙の熱を奪うことにより、用紙の熱によって現像装置が温度上昇することを防止している。
【特許文献1】特開2004−4574号公報(第5−8頁、図1)
【特許文献2】特開2003−323099号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献3】特開2003−5460号公報(第2−3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、及び2に記載された画像形成装置のように、定着装置で発生した熱が直接伝達されないようにして現像装置の温度上昇を回避する方法は、これらと同様の方法として、適所に冷却ファンや排気ファンを設ける等して画像形成装置内にこもった空気を外部に排出する方法も含めて、従来数多く採用されている。しかしながら、現像装置の温度上昇に関しては、定着装置で発生した熱が直接伝達される場合の他、現像装置近傍を通過する暖かい用紙から伝達される場合に起因することも懸念されている。特許文献1、及び2に記載された方法では、このようにして、両面印刷時に、現像装置近傍を通過する暖かい用紙から現像装置に伝達される熱には、対応することができない。
【0007】
一方、特許文献3に記載された画像形成装置では、両面印刷を行うに際し、第一面の印刷が済み定着装置で加熱された用紙が、第二面の印刷のために再度画像形成部へ近づく前にヒートパイプによって用紙の熱を奪うようにしている。しかしながら、用紙には様々なサイズや材質の種類があり、各々その張り(腰)の強さが異なる等の理由で、用紙搬送過程において用紙が必ずヒートパイプに接触するようにして搬送するのは困難である。また、昨今製品化が進んでいる高速印刷が可能な画像形成装置においては、ヒートパイプの箇所を一瞬で用紙が通過してしまい、用紙に対して高い冷却効果を得ることは期待し難い。したがって、第一面の印刷が済んだ用紙が、熱をもって暖かいまま、第二面の印刷のために画像形成部に近づく可能性が高くなり、現像装置の温度上昇を回避できない恐れがある。そして、このような用紙がもつ熱の影響を回避するために、ヒートパイプを効果的に作用させるべく用紙の搬送速度を遅くすると、画像形成装置の高速化を阻害してしまうという問題が生じる。
【0008】
また、用紙から発せられる熱が用紙搬送路の外部に伝達されないようにするために、用紙搬送路を構成するガイド部材を合成樹脂で形成して、断熱作用を高めることも考えられている。しかしながら、合成樹脂製のガイド部材は、用紙の熱の影響で湾曲したり、静電気が発生したりし易い。用紙搬送路で静電気が発生すると、この静電気が、搬送路上に備えられた搬送ローラを回転させるモータに悪影響を与え、例えばステッピングモータの脱調といった不具合が生じる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、両面印刷を行うに際し、第一面の印刷後、第二面の印刷のために再度画像形成部に用紙を送り込むための用紙搬送路が、現像装置近傍に備えられた画像形成装置において、画像形成装置の高速化を阻害することなく、用紙の熱が前記用紙搬送路から現像装置に伝達するのを抑制して、現像装置内のトナーの溶融を防止することができ、像担持体への好適なトナー供給を遂行することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、用紙に印刷するトナー像を形成する画像形成部と、用紙の第一面を印刷した後に、続けて第二面の印刷を可能にする両面印刷装置とを備えるとともに、第二面の印刷のために前記画像形成部に用紙を送り込むための用紙搬送路が、画像形成部の現像装置近傍に備えられた画像形成装置において、前記現像装置とその近傍に備えられた前記用紙搬送路との間に、断熱部材を備えることとした。
【0011】
また、上記構成の画像形成装置において、前記断熱部材は、前記用紙搬送路を構成するガイド部材に貼付されていることとした。
【0012】
また、上記構成の画像形成装置において、前記用紙搬送路は、前記現像装置の下方に備えられていることとした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、用紙の第一面を印刷した後に、続けて第二面の印刷を可能にする両面印刷装置とを備えるとともに、第二面の印刷のために画像形成部に用紙を送り込むための用紙搬送路が、現像装置近傍に備えられた画像形成装置において、現像装置とその近傍に備えられた用紙搬送路との間に、断熱部材を備えることとしたので、用紙搬送路から現像装置に熱が伝達するのを抑制することができる。そして、この作用は用紙搬送速度の影響を受けることはないので、高速印刷が可能な画像形成装置にも本発明の構成を適用することができる。このようにして、用紙がもつ熱の影響による現像装置の温度上昇を回避して、現像装置内のトナーの溶融を防止することができ、像担持体への好適なトナー供給を遂行することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0014】
また、断熱部材は、用紙搬送路を構成するガイド部材に貼付されていることとしたので、現像装置と用紙搬送路との間に空間が設けられている場合に、この空間に存在する空気に用紙の熱が伝達するのを抑制することができる。これにより、その空間の空気を介して、現像装置の温度が上昇するのを防止することが可能である。したがって、用紙搬送路を通過する用紙から発せられる熱に起因する現像装置内のトナーの溶融を防止する作用を、一層高めることができる。
【0015】
また、用紙搬送路は、現像装置の下方に備えられていることとしたので、熱をもった空気が上昇し易いことに鑑みて、現像装置と用紙搬送路との間に断熱部材を備えることは、用紙がもつ熱が現像装置に伝達しないようにすることに対して一層効果的である。したがって、両面印刷を行うに際し、第二面の印刷のために画像形成部に用紙を送り込むための用紙搬送路が、現像装置の下方に備えられている画像形成装置において、現像装置内のトナーの溶融を防止することができ、像担持体への好適なトナー供給を遂行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1〜図3に基づき説明する。
【0017】
最初に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。なお、図中の実線矢印は用紙の搬送経路、及び搬送方向を示す。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の下部には、カセット式給紙部20が配置されている。カセット式給紙部20には、通常の汎用用紙カセット21、及び大容量用紙カセット22が備えられている。大容量用紙カセット22は、同容量のものが水平方向に同じ高さで2個並べられ、上流側大容量用紙カセット22A、及び下流側大容量用紙カセット22Bとされている。これらの用紙カセットには、印刷前のカットペーパー等の用紙Pが積載して収容され、ここから1枚ずつ分離して用紙Pが送り出される。
【0019】
本体2の右側面上部の外部には、手差し給紙部3が備えられている。手差し給紙部3には、カセット式給紙部20に入っていないサイズの用紙Pや、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。
【0020】
画像形成装置1は、その内部に垂直搬送部30を備えている。垂直搬送部30は、カセット式給紙部20に関して言えば、その給紙方向である右方に位置し、手差し給紙部3に関して言えば、その左方に位置する。カセット式給紙部20から送り出された用紙Pは垂直搬送部30により本体2の側面に沿って垂直上方に、手差し給紙部3から送り出された用紙Pは略水平左方に搬送される。2個の大容量用紙カセット22のうち、左側の上流側大容量用紙カセット22Aから送り出された用紙Pは、右側の下流側大容量用紙カセット22Bのすぐ上方を略水平に右方に送られた後、本体2の側面に沿って垂直上方に搬送される。
【0021】
垂直搬送部30の用紙搬送方向下流端であって、転写部50のすぐ上流側には、レジストローラ31が備えられている。レジストローラ31は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部40で形成されるトナー像と同期をとって、転写部50に向けて用紙Pを送り出す。
【0022】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿送り部4が、その下方には光学部5が備えられている。原稿送り部4の前方には、使用者が外部から表示を確認したり、ボタンを押して操作をしたりできる位置に操作パネル6が備えられている。使用者が原稿の複写を行う場合には、原稿送り部4に文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載し、操作パネル6に印刷条件等を入力して印刷を開始する。原稿送り部4では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、光学部5によってその画像データが読み取られる。
【0023】
レジストローラ31の用紙搬送方向下流側であって、光学部5の下方には、画像形成部40、及び転写部50が備えられている。画像形成部40では、光学部5によって読み取られた画像データに基づいて、原稿画像の静電潜像が形成される。この静電潜像からトナー像が現像され、トナー像は、前記レジストローラ31によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部50にて転写される。
【0024】
転写部50の下流側には、定着部7が備えられている。転写部50にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着部7へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0025】
定着部7の下流側であって、本体2の左側面の近傍には、分岐部8が備えられている。定着部7から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合には、分岐部8から機外の用紙排出部である用紙受けトレイ9に排出される。
【0026】
画像形成部40から分岐部8にかけの部分の下方であって、カセット式給紙部20の上方には、両面印刷装置である両面印刷部10が備えられている。両面印刷を行う場合には、第一面の印刷が終了して定着部7から排出された用紙Pが、分岐部8を通って両面印刷部10へと送られる。両面印刷部10へ送られた用紙Pは、続いて第二面の印刷のために搬送方向が切り替えられ、再度垂直搬送部30、レジストローラ31を介して画像形成部40へと送られる。
【0027】
続いて、画像形成装置1の、画像形成部40の上流側周辺の箇所の詳細な構成について、図1に加えて、図2、及び図3を用いて説明する。図2は画像形成部上流側周辺を示す模型的垂直断面正面図、図3は図2に示す用紙搬送ユニットを正面上方から見た斜視図である。
【0028】
図1、及び図2に示すように、画像形成部40には、その中心に像担持体である感光体ドラム41が備えられている。そして、現像装置60が、転写部50の、感光体ドラム41の回転方向上流側に設けられている。
【0029】
感光体ドラム41は、画像形成装置1内の用紙搬送方向と直角をなす用紙幅方向、すなわち図1及び図2の紙面奥行き方向に延び、その軸線方向を水平にして配置されている。感光体ドラム41は、アルミニウム等により構成される導電性ローラ状基体の外側に、真空蒸着等によって無機光導電性材料であるアモルファスシリコンの感光層を設けた無機感光体のドラムである。感光体ドラム41は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度と同じになるように回転せしめられている。
【0030】
現像装置60は、図2に示すように、現像容器であるハウジング61を備えている。ハウジング61は、感光体ドラム41の軸線方向、すなわち図2の紙面奥行き方向に細長い形状を有し、その長手方向を水平にして配置されている。ハウジング61の内部は、図2において左右2個の区画に仕切られ、左方の区画が現像室62、右方の区画がトナー収容室63であって、各々の区画を仕切る隔壁64がハウジング61の長手方向に延びている。隔壁64の両端には図示しない開口部が設けられ、トナー収容室63と現像室62とがそこで連通する形になっている。ハウジング61の外部であって、その上方には、トナー収容室63にトナーを補給するためのトナー供給容器65が設けられ、そこから新しいトナーが投入される。
【0031】
トナー収容室63には、攪拌スクリュー66が軸線を水平にして設けられている。この攪拌スクリュー66により、トナー供給容器65から投入された新しいトナーを、攪拌しつつ隣接する現像室62へと供給する。現像室62には、搬送スクリュー67が軸線を水平にして、攪拌スクリュー66に併設する形で設けられている。この搬送スクリュー67により、トナー収容室63から供給されたトナーを、現像ローラ68へと搬送する。
【0032】
現像室62は、感光体ドラム41と隣接する箇所の開口部に、現像剤担持体である現像ローラ68を備えている。現像ローラ68の一部は、現像室62の外部に露出して像担持体である感光体ドラム41に向き合っている。現像ローラ68は、図示しない駆動手段により図2において反時計方向に回転せしめられている。この現像ローラ68には、感光体ドラム41の帯電極性と同極性のバイアスが必要に応じて印加され、トナーが帯電せしめられるとともに感光体ドラム41の表面に供給され、静電潜像が現像される。
【0033】
転写部50には、無端状のベルトで構成された転写部材である転写搬送ベルト51が設けられている。転写搬送ベルト51は、複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図2において反時計方向に、その周速度が感光体ドラム41の周速度と同じになるように回転せしめられている。転写搬送ベルト51は、感光体ドラム41に下方から圧接し、用紙Pを挿通させる転写ニップ部を形成する。
【0034】
図1、及び図2に示すように、画像形成部40、及び転写部50の用紙搬送方向上流側であって、現像装置60の下方には、垂直搬送部30の用紙搬送ユニット32が備えられている。
【0035】
用紙搬送ユニット32は、図2に示すように、上側ガイド部材33a〜33cと、下側ガイド部材34a〜34bとの、複数のガイド部材を備えている。これらの上側、及び下側ガイド部材は、互いの間に、用紙搬送空間である用紙搬送路35を形成するように適所に配置され、用紙搬送ユニット32に搬送されてきた用紙Pを転写ニップ部に導いている。このようにして形成された用紙搬送ユニット32の用紙搬送路35の下流部は、現像装置60の近傍であって、そのすぐ下方に位置している。
【0036】
レジストローラ31は、用紙搬送ユニット32の用紙搬送路35の下流端に備えられている。レジストローラ31は、互いに圧接するローラ及びコロのペアにより構成され、そのローラが図示しない駆動手段で回転せしめられている。レジストローラ31は、前述のように、用紙搬送ユニット32に搬送されてきた用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部40で形成されるトナー像と同期をとって、画像形成部40に向けて用紙Pを送り出す。
【0037】
レジストローラ31の上流側の用紙搬送路35上には、搬送ローラ36、37が備えられている。搬送ローラ36、37も、レジストローラ31と同様に、互いに圧接するローラ及びコロのペアにより構成され、そのローラが図示しない駆動手段で回転せしめられている。搬送ローラ36、37は、用紙Pに下流側へと向かう送りを与える。
【0038】
このような構成の用紙搬送ユニット32に対して、カセット式給紙部20から送り出された用紙Pは図2に示す矢印Aの方向から、手差し給紙部3から送り出された用紙Pは矢印Bの方向から進入する。一方、両面印刷を行うに際し、両面印刷装置である両面印刷部10により搬送方向が切り替えられ、第二面の印刷のために再度垂直搬送部30に送り込まれた用紙Pは、矢印Cの方向から用紙搬送ユニット32の用紙搬送路35に進入する。
【0039】
そして、現像装置60の近傍に位置する用紙搬送路35の上側ガイド部材33aの上面には、図2、及び図3に示すように、現像装置60との間に断熱部材70が備えられている。この断熱部材70の作用により、用紙搬送路35から現像装置60に熱が伝達するのを抑制することができる。さらに、この作用は用紙搬送速度の影響を受けることはないので、高速印刷が可能な画像形成装置にも本発明の構成を適用することができる。したがって、用紙Pがもつ熱の影響による現像装置60の温度上昇を回避して、現像装置60内のトナーの溶融を防止することができ、像担持体である感光体ドラム41への好適なトナー供給を遂行することが可能な画像形成装置1を提供することができる。
【0040】
また、断熱部材70は、用紙搬送路35を構成する上側ガイド部材33aの上面に貼付されている。これにより、図2に示すように、現像装置60と用紙搬送路35との間に空間が設けられている場合、この空間に存在する空気に用紙Pの熱が伝達するのを抑制することができる。したがって、その空間の空気を介して、現像装置60の温度が上昇するのを防止することが可能である。その結果、用紙搬送路35を通過する用紙Pから発せられる熱に起因する現像装置60内のトナーの溶融を防止する作用を、一層高めることができる。
【0041】
さらに、上記用紙搬送路35は、現像装置60の下方に備えられているので、熱をもった空気が上昇し易いことに鑑みて、現像装置60と用紙搬送路35との間に断熱部材70を備えることは、用紙Pがもつ熱が現像装置60に伝達しないようにすることに対して一層効果的である。したがって、両面印刷を行うに際し、第二面の印刷のために画像形成部40に用紙Pを送り込むための用紙搬送路35が、現像装置60の下方に備えられている本実施形態で示したような画像形成装置1において、現像装置60内のトナーの溶融を防止することができ、感光体ドラム41への好適なトナー供給を遂行することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0043】
例えば、本発明の実施形態において、断熱部材70は、現像装置60のすぐ下方に位置する用紙搬送路35の上側ガイド部材33aの上面に貼付されていることとしたが、これに限定されるわけではなく、現像装置60の底面に貼付されていることとしても構わない。また、断熱部材70は、現像装置60と、用紙搬送路35の上側ガイド部材33aとの間の空間に、両者に接触しないように配置したり、充填したりするような形で設けても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、両面印刷を行うに際し、第一面の印刷後、第二面の印刷のために再度画像形成部に用紙を送り込むための用紙搬送路が、現像装置近傍に備えられた画像形成装置において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成部上流側周辺を示す模型的垂直断面正面図である。
【図3】図2に示す用紙搬送ユニットを正面上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置
30 垂直搬送部
31 レジストローラ
32 用紙搬送ユニット
33a〜33c 上側ガイド部材
34a〜34b 下側ガイド部材
35 用紙搬送路
40 画像形成部
41 感光体ドラム(像担持体)
50 転写部
60 現像装置
68 現像ローラ
70 断熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印刷するトナー像を形成する画像形成部と、用紙の第一面を印刷した後に、続けて第二面の印刷を可能にする両面印刷装置とを備えるとともに、第二面の印刷のために前記画像形成部に用紙を送り込むための用紙搬送路が、画像形成部の現像装置近傍に備えられた画像形成装置において、
前記現像装置とその近傍に備えられた前記用紙搬送路との間に、断熱部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記断熱部材は、前記用紙搬送路を構成するガイド部材に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙搬送路は、前記現像装置の下方に備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−168977(P2007−168977A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368998(P2005−368998)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】