説明

画像形成装置

【課題】上記帯電手段に付着する汚れのムラを防止する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】クリーニングブレード21と帯電ローラ12との間に設けられ,感光体ドラム11の回転方向下流側に向かって撓みながら上記感光体ドラム11に接触する弾性部材である帯電前クリーニング部材22と,上記帯電ローラ12に接触して回転することにより上記帯電ローラ12に付着したトナー外添材を均一にするブラシローラ13とを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置に関し,特に,像担持体及び帯電手段のクリーニング手段を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では,転写後に像担持体に残存しているトナーは,上記像担持体に備えられているクリーニング手段で回収される。しかしながら,上記クリーニング手段で回収されずに上記クリーニング手段をすり抜けたトナー凝集物や紙粉などの異物は,上記像担持体に接触している帯電手段に付着してしまう。上記帯電手段にトナー凝集物及び紙粉などの異物が付着すると,上記帯電手段が帯電された際,上記トナー凝集物及び紙粉などの異物が付着した部分だけ電位が異なるので,上記帯電手段に接触して帯電される像担持体において,トナー凝集物及び紙粉などの異物が付着した部分と接触した部分は黒点となり,形成される画像に黒点が発生してしまう。
特許文献1に記載の画像形成装置は,像担持体のクリーニングを行う第1のクリーニング部材と帯電手段との間に,上記第1のクリーニング部材とは別の第2のクリーニング部材が設けられている。上記第2のクリーニング部材は,上記第1のクリーニング部材をすり抜けた数十から数百ミクロンのトナー凝集物及び紙粉などの異物を捕獲することができる。これにより,上記帯電手段に上記第1のクリーニング部材をすり抜けた数十から数百ミクロンのトナー凝集物及び紙粉などの異物が付着することを防止することができる。
【特許文献1】特開平7−72709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,像担持体に接触して該像担持体を帯電させる帯電手段に付着する異物は,大きさで分けると2種類ある。サブミクロンのトナー外添材と,数十から数百ミクロンのトナー凝集物及び紙粉である。
特許文献1に記載の画像形成装置に設けられた第2のクリーニング部材では,帯電手段に付着し画像形成に影響を及ぼす2種類の異物のうち,数十から数百ミクロンのトナー凝集物及び紙粉などの異物は取り除くことができるが,サブミクロンのトナー外添材はすり抜けてしまう。
特に,特許文献1に記載の画像形成装置の像担持体として,アモルファスシリコンドラム(以下,a−Siドラムと略す)を使用した場合,上記第2のクリーニング部材の圧接力によって上記a−Siドラム表面が筋状に削れてしまう。これにより,上記第2のクリーニング部材と上記a−Siドラムとの間に間隙が発生し,像担持体として上記a−Siドラム以外を使用した場合と比べて更に多量のトナー外添材がすり抜けてしまう。
そのため,上記第2のクリーニング部材をすり抜けたトナー外添材が,上記帯電手段に付着する。その際,付着の仕方にムラがあると,上記帯電手段が一様に帯電されないので,上記帯電手段に接触して帯電される像担持体が一様に帯電されず,ムラのある画像が形成されてしまうという問題があった。
本発明では,像担持体を傷つけないような第2のクリーニング部材を設けることによって,第1のクリーニング部材をすり抜けた数十から数百ミクロンの異物を取り除き,かつ,上記帯電手段にブラシ状の外添材均一手段を設けることによって,上記帯電手段に付着したサブミクロンの異物であるトナー外添材をならして,上記帯電手段に付着する汚れのムラを防止する画像形成装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来の画像形成装置は,現像剤により現像される像を担持する像担持体と,上記像担持体に接触して回転することにより上記像担持体を帯電させる帯電手段と,上記像担持体に接触して上記像担持体に付着した現像剤を除去するクリーニング手段と,を備えている。
このような画像形成装置では,転写後に像担持体に残存しているトナーは,上記帯電手段より上記像担持体回転方向上流側に設けられた第1のクリーニング手段で回収され,第1のクリーニング部材をすり抜けた数十から数百ミクロンのトナー凝集物や紙粉などの異物は,上記第1のクリーニング手段と上記帯電手段との間に設けられた第2のクリーニング手段によって回収することができた。
しかしながら,第2のクリーニング手段の構造によっては,上記像担持体が傷ついてしまうという問題があった。
この問題を解決するためには,上記像担持体を傷つけないような第2のクリーニング手段を設けなければならない。
そのために,本発明の第2のクリーニング手段は,上記像担持体に接触する弾性部材によって構成される。
しかしながら,第2のクリーニング手段を上記のように弾性部材で構成すると,サブミクロンの異物であるトナー外添材がすり抜けてしまい,第2のクリーニング手段をすり抜けたトナー外添材が上記帯電手段にムラになって付着し,上記帯電手段が一様に帯電されないという新たな問題を生じさせかねない。
これを解決するためには,上記帯電手段にトナー外添材がムラになって付着しないように,上記帯電手段に付着したトナー外添材を均一にする必要がある。
そのために,本発明では,上記帯電手段に接触して回転することにより上記帯電手段に付着した現像剤に含まれる外添材を均一にするブラシ状の外添材均一手段を備えている。
上記外添材均一手段を構成するブラシの糸が太すぎたり(単糸繊度が大きすぎたり),密集していると(密度が大きすぎると),上記帯電手段に付着したトナー外添材を均一にすることができず,トナー外添材が上記帯電手段に固着してしまう。
そのため,上記外添材均一手段が,単糸繊度略1デシテックス以上略10デシテックス以下の糸状の繊維で形成されることがのぞましい。
また,上記外添材均一手段が,糸状の繊維が略40kF/inch2以上略300kF/inch2以下の密度で形成されることがのぞましい。
一方,上記第2のクリーニング手段が,圧接力略0.05gf/mm以上略10gf/mm以下で上記像担持体に当接することがのぞましい。
さらに,上記第2のクリーニング手段が,ウレタン又はエステル系ゴム又は発泡ゴムで形成されたシートであることが考えられる。
上記第2のクリーニング手段が,このような弾性素材で上述のような圧接力で当接すれば,上記像担持体を傷つけずに,トナー外添材はすり抜けさせ,数十から数百ミクロンのトナー凝集物や紙粉などの異物は取り除くことができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば,数十から数百ミクロンの異物を取り除き,上記帯電手段に付着したサブミクロンの異物であるトナー外添材をならして,上記帯電手段に付着する汚れのムラを防止する画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1はクリーニング部C及び帯電ローラ12近傍の模式図,図2はブラシローラ13の単糸繊度と感光体ドラム11の表面電位との関係を示すグラフ図,図3はブラシローラ13の密度と感光体ドラム11の表面電位との関係を示すグラフ図である。
【0007】
まず,図1の模式図を用いて,本発明の実施の形態に係る画像形成装置Xに設けられている画像形成部Gの概略構成について説明する。
画像形成部Gは,像を担持する感光体ドラム11と,上記感光体ドラム11の表面を帯電させる帯電ローラ12と,上記帯電ローラ12に付着したトナー外添材をならすブラシローラ13と,上記感光体ドラム11上にレーザービームを照射して静電潜像を形成する不図示の露光部と,上記静電潜像に現像剤に含まれるトナーを付着させてトナー像を上記感光体ドラム11の表面に形成する不図示の現像部と,搬送された記録紙を介して上記感光体ドラム11に圧接される転写ローラ(不図示)と,転写後の上記感光体ドラム11をクリーニングするクリーニング部Cと,転写後の上記感光体ドラム11に残留する電位を除去する除電部14と,上記感光体ドラム11や上記現像部に備えられている現像ローラなどを回転駆動させる不図示のドラムモータとを備えて構成されている。
上記クリーニング部Cには,上記転写ローラよりも上記感光体ドラム11の回転方向(図1におけるP1方向)下流側,かつ,上記帯電ローラ12よりも上記感光体ドラム11の回転方向(図1におけるP1方向)上流側に設けられ,転写後に上記感光体ドラム11の表面上に残留したトナーを除去するクリーニングブレード21と,上記クリーニングブレード21と上記帯電ローラ12との間であり上記除電部14よりも上記感光体ドラム11の回転方向下流側に設けられた帯電前クリーニング部材22と,上記帯電前クリーニング部材22を支持する支持部材23とが備えられている。
ここで,上記クリーニングブレード21は,第1のクリーニング手段の一例である。
上記クリーニングブレード21と上記帯電前クリーニング部材22の詳細については,後記する。
【0008】
上記画像形成部Gにおける画像形成処理について簡単に説明する。
上記帯電ローラ12は,上記感光体ドラム11に接触して反時計方向(図1における矢印P2方向)に回転することにより,上記感光体ドラム11の表面を帯電させる。上記感光体ドラム11は,上記ドラムモータにより時計方向(図1におけるP1方向)に回転されることで,上記帯電ローラ12により帯電される。そして,上記感光体ドラム11の表面に,上記露光部からレーザビームが照射され,静電潜像が書き込まれる。続いて,上記現像部では上記ドラムモータにより上記現像ローラが回転され,上記現像ローラ表面に形成されたトナーの薄層が上記感光体ドラム11表面に接触する。上記感光体ドラム11は上記現像ローラが回転するのと同期して上記ドラムモータにより時計方向に回転される。これにより,上記感光体ドラム11表面上の静電潜像に帯電したトナーが付着されて,トナー画像が形成される。上記感光体ドラム11は上記ドラムモータにより引き続き回転され,上記トナー画像は上記転写ローラにより記録紙に転写される。
上記転写ローラよりも上記感光体ドラム11の回転方向(図1における矢印P1方向)下流側には,上記クリーニング部Cの上記クリーニングブレード21が上記感光体ドラム11に接触して配置されており,上記感光体ドラム11の表面上に残留したトナーが除去される。上記クリーニングブレード21よりも上記感光体ドラム11の回転方向下流側には,上記除電部14が設けられており,上記感光体11に残留する電位が除去される。上記除電部14よりも上記感光体ドラム11の回転方向下流側には,上記クリーニング部Cの上記帯電前クリーニング部材22が設けられている。
上記記録紙に転写されたトナー像は,不図示の定着ローラにより熱を加えられ,記録紙に定着する。
【0009】
上述の様に,転写後に上記感光体ドラム11上に残留したトナーは,上記クリーニングブレード21により除去される。このクリーニングブレード21は,ほとんどのトナーや異物を除去するが,除去できずにすり抜けてしまう異物もある。
上記クリーニングブレード21をすり抜けて,上記感光体ドラム11表面に付着し,さらに上記感光体ドラム11と接触する帯電ローラ12に付着する異物は,大きさで分けると2種類ある。数十から数百ミクロンのトナー凝集物及び紙粉と,サブミクロンのトナー外添材である。
上記2種類の異物のうちの上記トナー凝集物や紙粉などの異物が上記帯電ローラ12に付着すると,上記帯電ローラ12が帯電した際,上記トナー凝集物及び紙粉などの異物が付着した部分だけ電位が異なる。そのため,上記感光体ドラム11上のトナー凝集物及び紙粉などの異物が付着した部分と接触した部分は黒点となり,形成される画像に黒点が発生してしまう。
そこで,本発明では,上記クリーニングブレード21をすり抜けてしまい除去しきれなかった異物のうち,上述のような黒点の原因となるトナー凝集物や紙粉などの数十から数百ミクロンの異物をトラップさせ除去するために,帯電前クリーニング部材22を設ける。
但し,形成される画像の質が低下する原因となるので上記感光体ドラム11表面を筋状に削らないような圧接力で,上記帯電前クリーニング部材22を上記感光体ドラム11に接する構成とする。
以下,上記帯電前クリーニング部材22の詳細を説明する。
【0010】
上記帯電前クリーニング部材22は,図1に示すように,上記クリーニングブレード21で除去しきれなかった異物が上記帯電ローラ12に付着するのを防ぐために,上記クリーニングブレード21よりも上記感光体ドラム11の回転方向(図1における矢印P1方向)下流側であり,上記帯電ローラ12よりも上記感光体ドラム11の回転方向(図1における矢印P1方向)上流側に設けられている。
上記帯電前クリーニング部材22は,シート状であり,上記感光体ドラム11の回転方向に撓んだ状態で上記感光体ドラム11に接触している。
シート状で,上記感光体ドラム11の回転方向に撓んだ状態で接触させると,シート状で撓ませていない状態で接触した場合と比べて,上記感光体ドラム11との間に隙間ができにくく,異物を捕獲し易い。
また,上記除電部14から照射される光が上記帯電ローラ12側へ漏れないよう遮断する効果も期待できる。
上記帯電前クリーニング部材22が,上記感光体ドラム11に強く接触するものであると,上記感光体ドラム11が傷ついて,そこから上記トナー外添材などの異物がすり抜けてしまうことについては,既に述べた。そのため,上記帯電前クリーニング部材22を適切な圧接力で上記感光体ドラム11に接触させなければならない。
表1は,上記帯電前クリーニング部材22を上記感光体ドラム11に圧接する条件と形成される画像の不具合発生状況の実験結果を示す表である。
【表1】

上記帯電前クリーニング部材22の圧接力は,上記帯電前クリーニング部材22先端部におもりをつけ,そのときの撓み量から単位変位量(mm)あたりの荷重を計算し(gf/mm),実際に上記感光体ドラム11に上記帯電前クリーニング部材22を圧接したときの撓み量より算出したものである。なお,この実験で使用した帯電前クリーニング部材22は,ウレタンシートであり,画像形成装置Xは,28ppmのプリンタである。
表1に示すように,上記圧接条件が0.02gf/mmのときは,形成される画像に黒点が発生した。これは,圧接力が弱すぎて,上記帯電前クリーニング部材22と上記感光体ドラム11との間に間隙が発生し,その間隙からトナー凝集物や紙粉などの異物がすり抜けてしまったことを意味する。上記圧接条件が0.05gf/mm,10gf/mmのときは,形成される画像の品質は良好であった。上記圧接条件が,12gf/mmになると,形成される画像に縦の黒い筋が発生した。これは,圧接力が強すぎて,上記帯電前クリーニング部材22によって上記感光体ドラム11が筋状に削れてしまい,そのため,形成される画像に不具合が発生したことを意味する。
このような実験結果から,上記帯電前クリーニング部材22を,圧接力略0.05gf/mm以上略10gf/mm以下で上記感光体ドラム11に接触させることが望ましい。
また,上記感光体ドラム11を傷つけないために,上記帯電前クリーニング部材22は,ウレタンシート,エステル系ゴム,発泡ゴムなどの弾性部材で形成されたシートであることが望ましい。
そして,上記帯電前クリーニング部材22の厚さは,略0.1mm以上略0.2mm以下が適切である。
本実施の形態では,上記帯電前クリーニング部材22は,厚さ0.2mmのウレタンシートであり,圧接力2gf/mmで上記感光体ドラム11の回転方向に撓んだ状態で接触している。
一方,上記クリーニングブレード21は,一例として,ポリウレタンで形成された板状の部材であり,圧接力10〜50gf/cm,圧接角20〜30°で上記感光体ドラム11に接している。
このように,上記帯電前クリーニング部材22は,上記クリーニングブレード21とは材質も圧接条件も異なり,上記クリーニングブレード21をすり抜けたトナー凝集物をトラップさせ除去しやすい構成となっている。
ここで,上記クリーニングブレード21と上記帯電ローラ12との間に設けられ,上記感光体ドラム11の回転方向下流側に向かって撓みながら上記感光体ドラム11に接触する弾性部材である上記帯電前クリーニング部材22が,第2のクリーニング手段の一例である。
【0011】
上記のような構成により,上記クリーニングブレード21で除去し切れなかった数十から数百ミクロンのトナー凝集物や紙粉などの異物は,上記帯電前クリーニング部材22により除去される。しかしながら,サブミクロンのトナー外添材は,上記帯電前クリーニング部材22をすり抜けてしまう。そのため,上記帯電前クリーニング部材22をすり抜けたトナー外添材が,上記帯電ローラ12に付着する。その際,上記トナー外添材の上記帯電ローラ12への付着の仕方にムラがあると,上記帯電ローラ12が一様に帯電されないので,上記帯電ローラ12に接触して帯電される感光体ドラム11が一様に帯電されず,ムラのある画像が形成されてしまうという問題があった。
この問題を解決するためには,上記帯電ローラ12を一様に帯電させなければならない。そのためには,上記帯電ローラ12に付着したサブミクロンのトナー外添材を均一にする必要がある。
そこで,本発明では,上記帯電前クリーニング部材22をすり抜けたサブミクロンのトナー外添材をならすために,上記帯電ローラ12にブラシローラ13を設ける。
以下,上記ブラシローラ13の詳細を説明する。
【0012】
上記ブラシローラ13は,図1に示すように,上記クリーニングブレード21及び上記帯電前クリーニング部材22をすり抜けたトナー外添材がムラになって上記帯電ローラ12に付着しないよう上記帯電ローラ12に付着したトナー外添材を均一にするために,上記帯電ローラ12に接触して設けられている。
上記ブラシローラ13は,回転軸となる部材に,導電性ナイロンなどの糸状の部材がブラシ状に備えられたものである。
本実施の形態では,上記ブラシローラ13は,上記帯電ローラ12に対して0.5mm食い込むような接圧で設けられ,上記帯電ローラ12の表面速度に対して85%の表面速度で時計方向(図1における矢印P3方向)に回転する。
図2は,上記ブラシローラ13を形成するブラシの単糸繊度と上記感光体ドラム11の表面電位との関係を調べた実験結果を示す図である。この実験で用いる画像形成装置Xは,28ppmのプリンタである。上記帯電ローラ12に様々な単糸繊度で,密度300kF(フィラメント)/inch2のブラシで形成されたブラシローラ13を接触させる。上記帯電ローラ12に電圧を印加することで上記感光体ドラム11を250〜260Vに帯電させ,10000枚処理を実行した後の上記感光体ドラム11の表面電位を計測する。
図2の実験結果より,単糸繊度が略1デシテックス以上略10デシテックス以下であれば,上記感光体ドラム11の表面電位は変化せず,単糸繊度が略10デシテックスよりも大きければ,上記感光体ドラム11の表面電位は下がることがわかった。これは,上記ブラシローラ13を形成するブラシの単糸繊度が略10デシテックスよりも大きければ,上記帯電ローラ12に付着したトナー外添材を均一にせず上記帯電ローラ12に固着させてしまい,上記帯電ローラ12に固着したトナー外添材が抵抗となって上記感光体ドラム11を充分に帯電させられなかったことを意味する。
このような実験結果から,上記ブラシローラ13が,単糸繊度略1デシテックス以上で且つ略10デシテックス以下の糸状の繊維で形成されることが望ましい。
図3は,上記ブラシローラ13を形成するブラシの密度と上記感光体ドラム11の表面電位との関係を調べた実験結果を示す図である。この実験で用いる画像形成装置Xもまた,28ppmのプリンターである。単糸繊度10デシテックスの糸状の繊維を使用し様々な密度のブラシで形成されたブラシローラ13を上記帯電ローラ12に接触させる。上記帯電ローラ12に電圧を印加することで上記感光体ドラム11を250〜260Vに帯電させ,10000枚処理を実行した後の上記感光体ドラム11の表面電位を計測する。
図3の実験結果より,密度が略40kF/inch2以上略300kF/inch2以下であれば,上記感光体ドラム11の表面電位は変化せず,密度が略300kF/inch2よりも大きければ,上記感光体ドラム11の表面電位は下がることがわかった。これは,上記ブラシローラ13を形成するブラシの密度が略300kF/inch2よりも大きければ,上記帯電ローラ12に付着したトナー外添材を均一にせず上記帯電ローラ12に固着させてしまい,上記帯電ローラ12に固着したトナー外添材が抵抗となって上記感光体ドラム11を充分に帯電させられなかったことを意味する。
このような実験結果から,上記ブラシローラ13は,糸状の繊維が略40kF/inch2以上で且つ略300kF/inch2以下の密度で形成されることが好ましい。
上記のような構成により,上記クリーニングブレード21及び上記帯電前クリーニング部材22をすり抜け上記帯電ローラ12にムラになって付着したサブミクロンのトナー外添材は,上記ブラシローラ13により均一にされる。
ここで,上記帯電ローラ12に接触して回転することにより上記帯電ローラ12に付着したトナー外添材を均一にするブラシ状の上記ブラシローラ13が,外添材均一手段の一例である。
【0013】
上述のように,上記感光体ドラム11を傷つけないような上記帯電前クリーニング部材22を設けることによって,数十から数百ミクロンの異物を取り除き,かつ,上記帯電ローラ12に上記ブラシローラ13を設けることによって,上記帯電ローラ12にムラになって付着したサブミクロンの異物であるトナー外添材をならして,上記帯電ローラ12に付着する汚れのムラを防止する画像形成装置Xを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】クリーニング部C及び帯電ローラ12近傍の模式図。
【図2】ブラシローラ13の単糸繊度と感光体ドラム11の表面電位との関係を示すグラフ図。
【図3】ブラシローラ13の密度と感光体ドラム11の表面電位との関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
【0015】
11…感光体ドラム
12…帯電ローラ
13…ブラシローラ
14…除電部
21…クリーニングブレード
22…帯電前クリーニング部材
23…支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤により現像される像を担持する像担持体と,上記像担持体に接触して回転することにより上記像担持体を帯電させる帯電手段と,上記像担持体に接触して上記像担持体に付着した現像剤を除去するクリーニング手段と,を備えた画像形成装置であって,
上記クリーニング手段は,上記帯電手段より上記像担持体回転方向上流側に設けられた第1のクリーニング手段と,上記第1のクリーニング手段と上記帯電手段との間に設けられ,上記像担持体の回転方向下流側に向かって撓みながら上記像担持体に接触する弾性部材である第2のクリーニング手段とを有してなり,
上記帯電手段は,上記帯電手段に接触して回転することにより上記帯電手段に付着した現像剤に含まれる外添材を均一にするブラシ状の外添材均一手段を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記外添材均一手段が,単糸繊度略1デシテックス以上略10デシテックス以下の糸状の繊維で形成されてなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記外添材均一手段が,糸状の繊維が略40kF/inch2以上略300kF/inch2以下の密度で形成されてなる請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記第2のクリーニング手段が,圧接力略0.05gf/mm以上略10gf/mm以下で上記像担持体に当接するものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記第2のクリーニング手段が,ウレタン又はエステル系ゴム又は発泡ゴムで形成されたシートである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−248865(P2007−248865A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72926(P2006−72926)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】