説明

画像形成装置

【課題】部品点数が増加するのを抑制しながら、支持軸にがたつきが発生するのを抑制することが可能な画像形成装置および支持軸の取付構造を提供する。
【解決手段】この昇華型プリンタ60(画像形成装置)は、側板14とモータブラケット15との間に配置され、中間ギア22を回転可能に支持する支持軸30を備え、支持軸30の一方端は、モータブラケット15に固定的に取り付けられ、支持軸30の他方端は、側板14の軸受部14aに対して線接触するように当接される側端面部(面取り部30b)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支持軸の取付構造および画像形成装置に関し、特に、軸受部を含む支持軸の取付構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持軸を支持するための軸受部を含む支持軸の取付構造および画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1〜6参照)。
【0003】
上記特許文献1には、軸(支持軸)と、軸受本体(軸受部)と、軸受本体を覆うように配置された下部軸受保持体と、軸受本体と下部軸受保持体とを覆うように配置されるとともに、下部軸受保持体と螺合するように形成された上部軸受保持体とを備えた軸受装置が開示されている。この特許文献1に記載の軸受装置では、上部軸受保持体を下部軸受保持体に螺合させた状態で回転させて軸側に締めていくことによって下部軸受保持体が締め付けられるとともに、軸受本体が下部軸受保持体によって締め付けられて軸が固定されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、テーパ面(面取り部)を含む回転軸(支持軸)と、リング状のアウターブロック(軸受部)と、ベアリングボールとを備えた軸支持構造が開示されている。この特許文献2に記載の軸支持構造では、ベアリングボールが回転軸のテーパ面とアウターブロックの内側面とに当接されるように配置されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、端部に凸形状の駆動力伝達部を含む回転軸(支持軸)と、端部に凹形状のカット部(軸受部)を含む回転軸支持装置とを備えた回転軸支持機構が開示されている。この特許文献3に記載の回転軸支持機構では、回転軸の凸形状の駆動力伝達部が回転軸支持装置の凹形状のカット部に挿入されるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、テーパ面(面取り部)が形成された回転軸(支持軸)と、挿入部材(軸受部)と、プッシュナットとを備えた部材位置規制装置が開示されている。この特許文献4に記載の部材位置規制装置では、プッシュナットが挿入部材(軸受部)と回転軸のテーパ面とに当接されていることによって、回転軸および挿入部材のがたつきを抑制するように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献5には、現像ローラと、現像ローラの両端を支持する2本のセンタ軸(支持軸)と、2つのアタッチメントとを備えた現像装置(画像形成装置)が開示されている。この特許文献5に記載の現像装置では、センタ軸の先端部が三角錐形状に形成されている一方、現像ローラの両端にはセンタ軸を挿入するための開口部が形成されているとともに、開口部の内側にテーパ面(当接部)が形成されている。そして、2つのセンタ軸の先端部により現像ローラの開口部のテーパ面を支持することによって現像ローラが支持されるとともに、2つのアタッチメントを現像ローラの両側軸部分に押圧させることによって現像ローラのがたつきが抑制されるように構成されている。
【0008】
また、上記特許文献6には、両端に軸を含む搬送従動ローラと、軸受部とを備えた搬送従動ローラ取付装置が開示されている。この特許文献6に記載の搬送従動ローラでは、搬送従動ローラの軸が軸受部によって支持されている。
【0009】
【特許文献1】特開平05−168191号公報
【特許文献2】実用新案登録第2529981号公報
【特許文献3】特開2000−346043号公報
【特許文献4】特開平08−042537号公報
【特許文献5】特開平05−281848号公報
【特許文献6】特許第3812643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載の軸受装置では、軸を固定するために、軸受本体(軸受部)とは別に、上部軸受保持体および下部軸受保持体を設けているので、その分、部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献2に記載の軸支持構造では、回転軸を支持するために、リング状のアウターブロック(軸受部)とは別に、ベアリングボールを設けているので、その分、部品点数が増加するという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献3に記載の回転軸支持機構では、回転軸の駆動力伝達部を回転軸支持装置のカット部に挿入するために、カット部を駆動力伝達部の大きさよりも大きく形成していると考えられるので、駆動力伝達部とカット部との間に隙間ができる。したがって、回転軸にがたつきが発生するという問題点がある。
【0013】
また、上記特許文献4に記載の部材位置規制装置では、回転軸および挿入部分のがたつきを抑制するために、挿入部材(軸受部)とは別に、プッシュナットを設けているので、その分、部品点数が増加するという問題点がある。
【0014】
また、上記特許文献5に記載の現像装置では、現像ローラの回転によるがたつきを抑制するために、2つのセンタ軸とは別に、2つのアタッチメントを設けているので、その分、部品点数が増加するという問題点がある。
【0015】
また、上記特許文献6に記載の搬送従動ローラでは、搬送従動ローラの軸を軸受部によって支持するための構造については開示も示唆もされていないと考えられるので、搬送従動ローラにがたつきが発生する場合があるという問題点がある。
【0016】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数が増加するのを抑制しながら、支持軸にがたつきが発生するのを抑制することが可能な画像形成装置および支持軸の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0017】
この発明の第1の局面による画像形成装置は、印画部が設置されるシャーシの一方側面に取り付けられ、軸受部を一体的に含む側板と、側板に取り付けられるブラケット部材とを備えた画像形成装置において、側板とブラケット部材との間に配置され、ギア部材を回転可能に支持する支持軸をさらに備え、支持軸の一方端は、ブラケット部材に固定的に取り付けられ、支持軸の他方端は、側板の軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含み、支持軸の他方端の側端面部は、面取り部を有し、支持軸の他方端は、所定の外径を有する軸受挿入部をさらに含むとともに、軸受挿入部の先端に面取り部が形成され、側板の軸受部は、支持軸の面取り部に線接触可能な当接部と、軸受挿入部の外径よりも大きい内径を有する第1開口部と、軸受挿入部の外径よりも小さい内径を有する第2開口部とを含み、第2開口部の第1開口部側の端部により、面取り部と線接触可能な当接部が構成され、第2開口部の深さは、支持軸の面取り部の軸方向の長さよりも大きくなるように形成されている。
【0018】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、ギア部材を回転可能に支持する支持軸の一方端を、ブラケット部材に固定的に取り付けるとともに、支持軸の他方端を、側板の軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含むように構成することによって、支持軸の他方端の側端面部と軸受部とが、隙間なく線接触するように当接するので、支持軸にがたつきが発生することを抑制することができる。これにより、支持軸に支持されたギア部材のがたつきを抑制することができるので、ギア部材のがたつきに起因して発生する印刷画像のみだれを抑制することができる。また、支持軸の他方端においては、側端面部と軸受部とを当接させて固定していることによって、圧入などとは異なり支持軸を容易に取り外すことができる。また、支持軸に発生するがたつきを抑制するための部材を別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0019】
また、第1の局面による画像形成装置では、支持軸の他方端の側端面部は、面取り部を有し、側板の軸受部は、支持軸の面取り部に線接触可能な当接部を含むように構成することによって、軸受部の当接部に対して支持軸の面取り部を線接触させるので、支持軸に発生するがたつきを確実に抑制することができる。また、支持軸の他方端は、所定の外径を有する軸受挿入部を含むとともに、軸受挿入部の先端に面取り部を形成し、かつ、側板の軸受部は、軸受挿入部の外径よりも大きい内径を有する第1開口部と、軸受挿入部の外径よりも小さい内径を有する第2開口部とを含み、第2開口部の第1開口部側の端部により、面取り部と線接触可能な当接部を構成することによって、軸受挿入部が第1開口部を介して第2開口部に挿入されることにより、軸受挿入部の面取り部は、第2開口部の端部により構成される当接部と当接するので、支持軸の位置決めを容易に行うことができる。また、第2開口部の深さを、支持軸の面取り部の軸方向の長さよりも大きくなるように形成することによって、支持軸を軸受部の第1開口部を介して第2開口部に挿入した際に、支持軸の先端部分が第2開口部の底面と接触することなく、支持軸の面取り部を第2開口部の開口端部に位置する当接部に当接させることができるので、さらに容易に支持軸の位置決めを行うことができる。
【0020】
この発明の第2の局面による画像形成装置は、印画部が設置されるシャーシの一方側面に取り付けられ、軸受部を一体的に含む側板と、側板に取り付けられるブラケット部材と、側板とブラケット部材との間に配置され、ギア部材を回転可能に支持する支持軸とを備え、支持軸の一方端は、ブラケット部材に固定的に取り付けられ、支持軸の他方端は、側板の軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含む。
【0021】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、ギア部材を回転可能に支持する支持軸の一方端を、ブラケット部材に固定的に取り付けるとともに、支持軸の他方端を、側板の軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含むように構成することによって、支持軸の他方端の側端面部と軸受部とが、隙間なく線接触するように当接するので、支持軸にがたつきが発生することを抑制することができる。これにより、支持軸に支持されたギア部材のがたつきを抑制することができるので、ギア部材のがたつきに起因して発生する印刷画像のみだれを抑制することができる。また、支持軸の他方端においては、側端面部と軸受部とを当接させて固定していることによって、圧入などとは異なり支持軸を容易に取り外すことができる。また、支持軸に発生するがたつきを抑制するための部材を別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0022】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、支持軸の他方端の側端面部は、面取り部を有し、側板の軸受部は、支持軸の面取り部に線接触可能な当接部を含む。このように構成すれば、軸受部の当接部に対して支持軸の面取り部を線接触させるので、支持軸に発生するがたつきを確実に抑制することができる。
【0023】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、支持軸の他方端は、所定の外径を有する軸受挿入部を含むとともに、軸受挿入部の先端に面取り部を形成し、かつ、側板の軸受部は、軸受挿入部の外径よりも大きい内径を有する第1開口部と、軸受挿入部の外径よりも小さい内径を有する第2開口部とを含み、第2開口部の第1開口部側の端部により、面取り部と線接触可能な当接部を構成する。このように構成すれば、軸受挿入部が第1開口部を介して第2開口部に挿入されることにより、軸受挿入部の面取り部は、第2開口部の端部により構成される当接部と当接するので、支持軸の位置決めを容易に行うことができる。
【0024】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、第2開口部の深さを、支持軸の面取り部の軸方向の長さよりも大きくなるように形成する。このように構成すれば、支持軸を軸受部の第1開口部を介して第2開口部に挿入した際に、支持軸の先端部分が第2開口部の底面と接触することなく、支持軸の面取り部を第2開口部の開口端部に位置する当接部に当接させることができるので、支持軸の位置決めを容易に行うことができる。
【0025】
この発明の第3の局面による支持軸の取付構造では、シャーシの一方側面に取り付けられ、軸受部を一体的に含む側板と、側板とブラケット部材との間に配置され、ギア部材を回転可能に支持する支持軸とを備え、支持軸の一方端は、ブラケット部材に固定的に取り付けられ、支持軸の他方端は、側板の軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含む。
【0026】
上記第3の局面による支持軸の取付構造では、上記のように、ギア部材を回転可能に支持する支持軸の一方端を、ブラケット部材に固定的に取り付けるとともに、支持軸の他方端を、側板の軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含むように構成することによって、支持軸の他方端の側端面部と軸受部とが、隙間なく線接触するように当接するので、支持軸にがたつきが発生することを抑制することができる。また、支持軸の他方端においては、側端面部と軸受部とを当接させて固定していることによって、圧入などとは異なり支持軸を容易に取り外すことができる。また、支持軸に発生するがたつきを抑制するための部材を別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示す斜視図である。図2は、図1で示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの分解斜視図である。図3〜図8は、図1で示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの構造を説明するための図である。まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタ60の構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0029】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタ60は、図1に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うための印字ヘッド2と、印字ヘッド2に対向するように配置されたプラテンローラ3(図1および図5参照)と、金属製の送りローラ4(図1および図5参照)と、所定の押圧力で送りローラ4を押圧するための押さえローラ5(図1および図5参照)と、送りローラギア6(図2および図6参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド7(図1および図5参照)と、樹脂製の上部用紙ガイド8(図5参照)と、ゴム製の給紙ローラ9と、給紙ローラギア10(図2および図6参照)とを備えている。
【0030】
また、昇華型プリンタ60は、ゴム製の排紙ローラ11と、排紙ローラギア12(図2および図6参照)と、巻取りリール13(図2および図6参照)と、樹脂製の側板14(図2参照)と、モータブラケット15と、後述する用紙41(図3参照)を搬送するためのステッピングモータ16(図2および図6参照)と、印字ヘッド2を回動させるための駆動源としてのステッピングモータ17と、揺動可能な揺動ギア18(図2および図6参照)と、複数の中間ギア19〜22(図2および図6参照)と、印字ヘッド2を押圧するための押圧部材23(図1および図5参照)と、昇華型プリンタ60の動作を制御する回路部(図示せず)が設けられた配線基板24と、天板25と、シャーシ1を内部に収納する筐体26(図3参照)とを備えている。なお、モータブラケット15は、本発明の「ブラケット部材」の一例である。また、中間ギア22は、本発明の「ギア部材」の一例である。
【0031】
また、図1に示すように、シャーシ1は、互いに対向するように配置された一方側面1aおよび他方側面1bと、底面1cとを有している。また、シャーシ1の一方端部1a(図2参照)には、樹脂製の側板14を取り付けるためのネジ27が螺合されるネジ孔1d(図2参照)が設けられている。また、シャーシ1の他方側面1b(図3参照)には、インクシートカートリッジ50(図3参照)を挿入するための挿入孔1eが設けられている。また、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの上端部には、それぞれ、配線基板24を取り付けるための取付部1fが2つずつ形成されているとともに、4つの取付部1fには、それぞれ配線基板24を固定するためのネジ28が螺合されるネジ孔1gが形成されている。また、シャーシ1の底面1cには、用紙41の前端部および後端部を検出するための用紙センサ29aおよび29b(図5参照)が設けられている。
【0032】
また、2つのプラテンローラ軸受3a(図4参照)は、それぞれシャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bに取り付けられているとともに、この2つのプラテンローラ軸受3aにプラテンローラ3が回転可能に支持されている。また、送りローラ4は、シャーシ1に取り付けられた送りローラ軸受4a(図2参照)に回転可能に支持されているとともに、送りローラ4の一方端部は、シャーシ1の一方側面1aおよび樹脂製の側板14を介して送りローラギア6に取り付けられている。また、押さえローラ5は、押さえローラ軸受5a(図4参照)に回転可能に支持されている。また、図5に示すように、送りローラ4および押さえローラ5は、用紙41を挟んだ状態において回転することにより、後述する用紙41を給紙方向(図5の矢印T1方向)または排紙方向(図5の矢印U1方向)に搬送する機能を有する。
【0033】
また、図2に示すように、給紙ローラギア10は、樹脂製の側板14およびシャーシ1の一方側面1aを介して給紙ローラ9の一方端部に取り付けられている。また、図5に示すように、給紙ローラ9は、給紙カセットケース40(図3参照)に載置された用紙41をシャーシ1の内部に取り込む(図5の矢印T1方向)機能を有する。
【0034】
また、図2に示すように、排紙ローラギア12は、給紙ローラギア10と同様にして樹脂製の側板14およびシャーシ1の一方側面1aを介して排紙ローラ11の一方端部に取り付けられているとともに、図5に示すように、印字ヘッド2によって印刷された用紙41をシャーシ1の外部に排出(図5の矢印U1方向)する機能を有する。
【0035】
また、巻取りリール13(図2および図6参照)は、図3に示すような後述するインクシートカートリッジ50の巻取り部50aの内部に配置された巻取りボビン50cに係合することによって、図5に示すように、巻取りボビン50cに巻きつけられたインクシート51を巻き取るように構成されている。また、図6に示すように、巻取りリール13のギア部13aは、揺動ギア18が揺動することによって噛合するように配置されている。
【0036】
また、図4および図6に示すように、モータブラケット15に取り付けられたステッピングモータ16の軸部分には、モータギア16aが取り付けられている。また、図6に示すように、ステッピングモータ16は、巻取りリール13のギア部13aと、給紙ローラギア10と、排紙ローラギア12と、送りローラギア6とを駆動させるための駆動源としての機能を有する。また、図1に示すように、ステッピングモータ17は、印字ヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧および離間する方向である上下に回動させる機能を有している。具体的には、図5に示すように、ステッピングモータ17を駆動源として押圧部材23が回動する(図5の矢印A方向)とともに、押圧部材23に係合することによって印字ヘッド2が押圧および離間するように構成されている。
【0037】
また、図2に示すように、中間ギア19〜22は、ステッピングモータ16の駆動力を送りローラギア6、給紙ローラギア10および排紙ローラギア12に伝達させるために樹脂製の側板14(図2および図7参照)に取り付けられている。
【0038】
また、図2に示すように、樹脂製の側板14は、後述する樹脂製の側板14の2つの挿入孔14eに通された2個のネジ27をシャーシ1の一方端部1aのネジ孔1dに締め付けることによって固定されている。
【0039】
ここで、本実施形態では、図2に示すように、樹脂製の側板14に一体的に設けられた軸受部14aとモータブラケット15との間に、中間ギア22を回転可能に支持する金属製の支持軸30が配置されている。
【0040】
また、本実施形態では、図7および図8に示すように、中間ギア22(図2参照)を回転可能に支持する金属製の支持軸30には、樹脂製の側板14の軸受部14a(図2参照)に挿入される軸受挿入部30aが構成されているとともに、軸受挿入部30aの先端部分の側端面部に面取り部30bが形成されている。また、軸受挿入部30aは、軸受挿入部30aの直径D1を支持軸本体部30cの直径D2よりも小さくなるように形成されている。
【0041】
また、本実施形態では、図8に示すように、金属製の支持軸30を支持するために設けられた樹脂製の側板14の軸受部14aは、第1の内径D3を有する第1開口部14bと、第2の内径D4を有する第2開口部14cと、第2開口部14cの第1開口部14b側の端部に設けられた当接部14dと、側板14をシャーシ1に固定するためのネジ27を通すネジ挿入穴14e(図2参照)とによって構成されている。また、軸受部14aの第1開口部14cの内径D3は、支持軸30の軸受挿入部30aの直径D1よりも大きく形成されているとともに、軸受部14aの第2開口部14cの内径D4は、支持軸30の軸受挿入部30aの直径D1よりも小さく形成されている。
【0042】
また、本実施形態では、図7に示すように、金属製の支持軸30の一方端30dは、モータブラケット15に対してカシメ加工によって固定されているとともに、金属製の支持軸30の他方端側の面取り部30bは、樹脂製の側板14の軸受部14aの当接部14dに対して線接触するように当接されている。具体的には、図8に示すように、軸受挿入部30aの直径D1が、軸受部14aの第1開口部14bの内径D3よりも小さく形成されているとともに第2開口部14cの内径D4よりも大きく形成されていることにより、面取り部30bにおける直径D5が第2開口部14cの内径D4と等しくなる位置(D4=D5の位置)で当接されるように構成されている。すなわち、支持軸30は、「面取り部30bの直径D5」=「第2開口部14cの内径D4」になるまで第2開口部14cに進入する。支持軸30の面取り部30bは、第2開口部14c内に0.1mm〜0.2mm程度(図8のL1)進入して当接部14dに当接するように構成されている。また、図8に示すように、支持軸30の面取り部30bの角度αが約45度に形成されているのに対して、軸受部14aの当接部14d部分の角度βは約90度に形成されている。また、第2開口部14cと軸受挿入部30aとの間には、0.5mm程度の間隔(図8のL2)が設けられるように構成されているとともに、軸受部14aと支持軸30の支持軸本体部30cとの間にも0.5mm程度の間隔(図8のL3)が設けられるように支持軸30の長さL3が調節されている。本実施形態では、このように支持軸30の位置決めがされるように構成されている。
【0043】
また、本実施形態では、図8に示すように、軸受部14aの第2開口部14cの深さL4は、支持軸30の面取り部30bの軸方向の長さL5よりも大きくなるように形成されている。
【0044】
また、図1に示すように、配線基板24は、配線基板24の4つの孔部24aおよび天板25の4つの孔部25aに通された4個のネジ28をシャーシ1の取付部1fのネジ孔1gに締め付けることによって固定されている。
【0045】
また、筐体26は、図3に示すように、蓋部材26aおよび26bを含んでいる。また、筐体26の蓋部材26aは、給紙カセットケース40を昇華型プリンタ60に装着するために設けられている。また、筐体26の蓋部材26bは、インクシートカートリッジ50を昇華型プリンタ60に装着するために設けられている。
【0046】
また、図3に示すように、インクシート51が収納されるインクシートカートリッジ50は、巻取り部50aと、供給部50bとを有している。また、巻取り部50aの内部には、巻取りボビン50cが回転可能に保持されている。また、供給部50bの内部には、供給ボビン50dが回転可能に配置されている。
【0047】
図9は、本発明の一実施形態による画像形成装置の印刷動作を説明するための断面図である。次に、図5、図6および図9を参照して、本実施形態による昇華型プリンタ60の印刷動作について説明する。
【0048】
まず、図6に示すように、ステッピングモータ16が駆動するのに伴って、ステッピングモータ16に取り付けられたモータギア16aが図6の矢印C3方向に回転し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア6が図6の矢印C1方向に回転する。これにより、送りローラ4が、図9の矢印C1方向に回転する。さらに、中間ギア19および20を介して、給紙ローラギア10および給紙ローラ9が、図9のC4方向に回転する。これにより、用紙41が給紙方向(図5の矢印T1)に搬送される。この時、揺動可能な揺動ギア18は、巻取りリール13のギア部13aに噛合しておらず、巻取りリール13のギア部13aは回転しない。これにより、給紙動作時には、巻取りボビン50cおよび供給ボビン50dに巻きつけられたインクシート51は巻き取られない。
【0049】
また、図9に示すように、用紙センサ29aおよび29bに用紙41の前端部および後端部が検出されることによって、用紙41が印刷開始位置にまで搬送されたか否かが判断される。そして、用紙41が印刷開始位置にまで到達されると、印字ヘッド2が印刷位置にまで下降するとともに印刷が開始される。
【0050】
また、図9に示すように、ステッピングモータ16(図6参照)が駆動するのに伴って、ステッピングモータ16に取り付けられたモータギア16aが図6の矢印D3方向に回転し、中間ギア21および22を介して、送りローラギア6が図6の矢印D1方向に回転する。これにより、送りローラ4が図9の矢印D1方向に回転するとともに、送りローラ4の動きに伴って、押さえローラ5が図9の矢印B方向に回転する。さらに、中間ギア19、中間ギア20および給紙ローラ10を介して、排紙ローラギア12および排紙ローラ11が、図6および図9のD5方向に回転する。これにより、用紙41が印画方向である排紙方向(図5の矢印U1方向)に搬送される。この時、揺動可能な揺動ギア18(図6参照)は、巻取りリール13のギア部13aに噛合し、巻取りリール13に係合する巻取りボビン50cおよび供給ボビン50dに巻きつけられたインクシート51が巻取りボビン50c方向に巻き取られる。
【0051】
そして、用紙41の印刷後に、印刷済みの用紙41を外部に排紙する。このときの動作としては、用紙41を印画する時の動作と同様に、印刷済みの用紙41は図5のU1方向に搬送される。そして、上部用紙ガイド8の上側を搬送されるとともに、図9の矢印D5方向に回転している排紙ローラ11によって排紙される。
【0052】
本実施形態では、上記のように、中間ギア22を回転可能に支持する支持軸30の一方端を、モータブラケット15に固定的に取り付けるとともに、支持軸30の他方端を、側板14の軸受部14aに対して線接触するように当接される側端面部を含むように構成することによって、支持軸30の他方端の側端面部と軸受部14aとが、隙間なく線接触するように当接するので、支持軸30にがたつきが発生することを抑制することができる。これにより、支持軸30に支持された中間ギア22のがたつきを抑制することができるので、中間ギア22のがたつきに起因して発生する印刷画像のみだれを抑制することができる。また、支持軸30の他方端においては、側端面部と軸受部14aとを当接させて固定していることによって、圧入などとは異なり支持軸30を容易に取り外すことができる。また、支持軸30に発生するがたつきを抑制するための部材を別途設ける必要がないので、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、支持軸30の他方端の側端面部は、面取り部30bを有し、側板14の軸受部14aは、支持軸30の面取り部30bに線接触可能な当接部14dを含むように構成することによって、軸受部14aの当接部14dに対して、支持軸30の面取り部30bを線接触させるので、支持軸30に発生するがたつきを確実に抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、支持軸30の他方端は、外径D1を有する軸受挿入部30aを含むとともに、軸受挿入部30aの先端に面取り部30bを形成し、かつ、側板14の軸受部14aは、軸受挿入部30aの外径D1よりも大きい内径D3を有する第1開口部14bと、軸受挿入部30aの外径D1よりも小さい内径D4を有する第2開口部14cとを含み、第2開口部14cの第1開口部14b側の端部により、面取り部30bと線接触可能な当接部14dを構成することによって、軸受挿入部30aが第1開口部14bを介して第2開口部14cに挿入されることにより、軸受挿入部30aの面取り部30bは、第2開口部14cの端部により構成される当接部14dと当接するので、支持軸30の位置決めを容易に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、第2開口部14cの深さL4を、支持軸30の面取り部30bの軸方向の長さL5よりも大きくなるように形成することによって、支持軸30を軸受部14aの第1開口部14bを介して第2開口部14cに挿入する際に、支持軸30の先端部分が第2開口部14cの底面と接触することなく、支持軸30の面取り部30bを第2開口部14cの開口端部に位置する当接部14dに当接させることができるので、支持軸30の位置決めを容易に行うことができる。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例として昇華型プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、ギア部を回転可能に支持する支持軸を有する画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。また、画像形成装置以外の支持軸の取付構造にも適用可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、支持軸の一方端をカシメ加工することによってモータブラケットに固定する例を示したが、本発明はこれに限らず、支持軸の一方端をカシメ加工以外の方法により固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの分解斜視図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの斜視図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの平面図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの断面図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタに含まれるギアの配置位置を示した図である。
【図7】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの支持軸が取り付けられている部分の断面図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの支持軸が軸受部に当接されている部分を示した拡大断面図である。
【図9】図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 シャーシ
14 側板
14a 軸受部
14b 第1開口部
14c 第2開口部
14d 当接部
15 モータブラケット(ブラケット部材)
22 中間ギア(ギア部材)
30 支持軸
30a 軸受挿入部
30b 面取り部
60 昇華型プリンタ(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印画部が設置されるシャーシの一方側面に取り付けられ、軸受部を一体的に含む側板と、前記側板に取り付けられるブラケット部材とを備えた画像形成装置において、
前記側板と前記ブラケット部材との間に配置され、ギア部材を回転可能に支持する支持軸をさらに備え、
前記支持軸の一方端は、前記ブラケット部材に固定的に取り付けられ、
前記支持軸の他方端は、前記側板の前記軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含み、
前記支持軸の他方端の前記側端面部は、面取り部を有し、
前記支持軸の他方端は、所定の外径を有する軸受挿入部をさらに含むとともに、前記軸受挿入部の先端に前記面取り部が形成され、
前記側板の前記軸受部は、前記支持軸の前記面取り部に線接触可能な当接部と、
前記軸受挿入部の外径よりも大きい内径を有する第1開口部と、
前記軸受挿入部の外径よりも小さい内径を有する第2開口部とを含み、
前記第2開口部の前記第1開口部側の端部により、前記面取り部と線接触可能な前記当接部が構成され、
前記第2開口部の深さは、前記支持軸の前記面取り部の軸方向の長さよりも大きくなるように形成されている、画像形成装置。
【請求項2】
印画部が設置されるシャーシの一方側面に取り付けられ、軸受部を一体的に含む側板と、
前記側板に取り付けられるブラケット部材と、
前記側板と前記ブラケット部材との間に配置され、ギア部材を回転可能に支持する支持軸とを備え、
前記支持軸の一方端は、前記ブラケット部材に固定的に取り付けられ、
前記支持軸の他方端は、前記側板の前記軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含む、画像形成装置。
【請求項3】
前記支持軸の他方端の前記側端面部は、面取り部を有し、
前記側板の前記軸受部は、前記支持軸の前記面取り部に線接触可能な当接部を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持軸の他方端は、所定の外径を有する軸受挿入部をさらに含むとともに、前記軸受挿入部の先端に前記面取り部が形成され、
前記側板の前記軸受部は、前記軸受挿入部の外径よりも大きい内径を有する第1開口部と、
前記軸受挿入部の外径よりも小さい内径を有する第2開口部とを含み、
前記第2開口部の前記第1開口部側の端部により、前記面取り部と線接触可能な前記当接部が構成されている、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2開口部の深さは、前記支持軸の前記面取り部の軸方向の長さよりも大きくなるように形成されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
シャーシの一方側面に取り付けられ、軸受部を一体的に含む側板と、
前記側板と前記ブラケット部材との間に配置され、ギア部材を回転可能に支持する支持軸とを備え、
前記支持軸の一方端は、前記ブラケット部材に固定的に取り付けられ、
前記支持軸の他方端は、前記側板の前記軸受部に対して線接触するように当接される側端面部を含む、支持軸の取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−170741(P2008−170741A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4004(P2007−4004)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】