説明

画像形成装置

【課題】使用時に装置内で発生する騒音の装置外への漏れを抑制することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、記録媒体Pを排出する排出口11を有するケーシング10と、記録媒体Pを排出口11へ向けて搬送する排出手段80と、排出口11を覆うように設けられ、排出口11からの騒音の漏れを抑制する弾性変形可能な1対の遮音部材91、92とを備え、遮音部材91、92は、排出手段80によって搬送された記録媒体Pに押圧されて弾性変形しながら排出口11を記録媒体Pが通過することを許容するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ等の画像形成装置の使用時において、プリンタから発生する騒音を抑える手段を有する画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の画像形成装置は、画像形成装置本体の周囲を覆う外層カバーと、外装カバーに形成された記録媒体を排出するための開口と、開口を開閉するカバー部材とを備えている。このような画像形成装置は、カバー部材を機械的に変位させて開口の開閉状態を切り換えている。そして、記録媒体が開口から排出されていないときに開口を閉状態とすることで、外層カバー内部で発生した騒音が開口から漏れてしまうことを抑制している。
しかし、特許文献1の画像形成装置は、記録媒体が排出されている間は、開口が開状態となってしまう。そのため、定着処理が行われている間、すなわち、画像形成装置の使用時のほとんどの間、外層カバー内部で発生した騒音の開口からの漏れを抑制することができない。
【0003】
【特許文献1】特開平10−104902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、使用時に装置内で発生する騒音の装置外への漏れを効果的に抑制することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の画像形成装置は、記録媒体を排出する排出口を有するケーシングと、
前記記録媒体を前記排出口へ向けて搬送する排出手段と、
前記排出口を覆うように設けられ、前記排出口からの騒音の漏れを抑制する弾性変形可能な遮音部材とを備え、
前記遮音部材は、前記排出手段によって搬送された前記記録媒体に押圧されて弾性変形しながら前記排出口を前記記録媒体が通過することを許容するように構成されていることを特徴とする。
これにより、使用時に前記ケーシング内で発生する騒音が、前記排出口から前記ケーシング外部へ漏れてしまうことを抑制することができる。すなわち、使用時に発生する騒音を抑制した画像形成装置を提供することができる。
【0006】
本発明の画像形成装置では、前記遮音部材は、シート状をなしており、前記記録媒体の厚さ方向における前記遮音部材の一端が前記ケーシングの前記排出口縁部付近に固定された固定端をなすとともに、他端が自由端をなしていることが好ましい。
これにより、より簡単に、前記遮音部材を前記記録媒体の搬送方向へ弾性変形させることができる。
【0007】
本発明の画像形成装置では、前記遮音部材は、前記記録媒体の搬送経路を両側から挟むように1対設けられ、前記各遮音部材の自由端同士が接触していることが好ましい。
これにより、前記記録媒体の一方の面と前記1対の遮音部材のうちの一方の遮音部材とを摺動させるとともに、前記記録媒体の他方の面と他方の遮音部材とを摺動させることができる。そのため、前記記録媒体が前記排出口を通過している時における、前記ケーシング内で発生する騒音が前記排出口から前記ケーシング外へ漏れてしまうことを極めて効果的に抑制することができる。
【0008】
本発明の画像形成装置では、前記1対の遮音部材は、互いの自由端同士が重なり合う重なり領域を有していることが好ましい。
これにより、前記記録媒体が湾曲変形していたり、前記記録媒体と前記遮音部材との接触位置が所定位置に対してずれてしまったりした場合でも、より確実に、前記1対の遮音部材のうちの一方の遮音部材と前記記録媒体の一方の面とを摺動させるとともに、他方の遮音部材と前記記録媒体の他方の面とを摺動させることができる。
【0009】
本発明の画像形成装置では、前記遮音部材の自由端の縁部は、丸み付けされていることが好ましい。
これにより、前記遮音部材の先端と前記記録媒体とを円滑に摺動させることができる。
本発明の画像形成装置では、前記遮音部材には、前記自由端に到達するとともに、前記記録媒体の幅方向に沿って並設された複数の切れ目が形成されていることが好ましい。
これにより、前記切れ目によって形成された複数の先端部のそれぞれを前記記録媒体の面と接触(摺動)させることができる。その結果、前記記録媒体の面と前記遮音部材との間に隙間が形成されてしまうことを効果的に抑制することができる。その結果、騒音が前記排出口から前記ケーシング外部へ漏れてしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置では、前記遮音部材は、その内面に、外面に対して摩擦係数の低い低摩擦部を備えていることが好ましい。
これにより、前記記録媒体と前記遮音部材とを円滑に摺動させることができる。
本発明の画像形成装置では、前記遮音部材は、前記記録媒体と接触する部位に導電性を有する導電性部を備え、前記記録媒体の排出の際に、前記記録媒体と前記導電性部とを接触させることで前記記録媒体を除電するように構成されていることが好ましい。
これにより、極めて簡単な構成で前記記録媒体を除電することができる。また、前記遮音部材の他に、別途、前記記録媒体を除電する手段を設けなくてもよいため、画像形性装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0011】
本発明の画像形成装置では、前記排出手段は、前記記録媒体を狭持搬送する1対の回転体を備えていることが好ましい。
これにより、より確実に、前記記録媒体を前記排出口に向けて搬送することができる。
本発明の画像形成装置では、前記排出手段は、1対の回転体によって搬送される前記記録媒体を前記排出口に案内する案内部材を備えていることが好ましい。
これにより、より確実に、前記記録媒体を前記排出口に導くことができる。
【0012】
本発明の画像形成装置では、前記排出手段は、前記記録媒体の搬送方向下流側から見たときに、前記記録媒体をその厚さ方向へ湾曲変形させる変形部材を備えていることが好ましい。
これにより、前記記録媒体の、その搬送方向での剛性をより高くすることができる。このため、より強い力で、前記記録媒体によって前記遮音部材を押圧することができる。その結果、より確実に前記遮音部材を弾性変形させるとともに、より確実に前記記録媒体を前記排出口から前記ケーシングの外部へ排出することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置では、前記変形部材は、前記記録媒体の搬送経路に対して一方側に位置するとともに、前記記録媒体の幅方向へ互いに間隔を隔てて設けられ、前記記録媒体を支持する少なくとも1対の第1の支持部材と、前記記録媒体の搬送経路に対して他方側に位置するととともに、前記1対の第1の支持部材の間に位置するように設けられ、前記記録媒体を支持する少なくとも1つの第2の支持部材とを有し、
前記第2の支持部材の前記記録媒体との接触部は、前記各第1の支持部材の前記記録媒体との接触部同士を結ぶ線分よりも、前記1対の第1の支持部材側に位置し、
前記各第1の支持部材と前記第2の支持部材とで前記記録媒体を支持することで、前記記録媒体を前記湾曲変形させるように構成されていることが好ましい。
これにより、簡単な構成で前記記録媒体を前記湾曲変形させることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置では、前記1対の第1の支持部材は、前記記録媒体の幅方向の両端部を支持するように設けられ、前記第2の支持部材は、前記記録媒体の幅方向の中央部を支持するように設けられていることが好ましい。
これにより、前記記録媒体に局所的に応力が加わることを防止し、前記記録媒体を円滑に搬送させつつ湾曲変形させることができる。また、前記記録媒体を支持しやすくすることができる。
本発明の画像形成装置では、前記変形部材は、前記記録媒体を前記排出口に案内する案内部材を兼ねていることが好ましい。
これにより、画像形成装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について説明する。
まず、本実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を簡単に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す模式的横断面図、図2は、図1に示す画像形成装置が備える排出手段の模式的斜視図、図3は、図2に示す排出手段の模式的断面図、図4は、図2に示す排出手段の模式的平面図、図5は、図1に示す画像形成装置が備える遮音部材の模式的斜視図、図6は、図5に示す遮音部材の模式的横断面図、図7は、図5に示す遮音部材の変形を説明する模式的断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1、3〜7中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0016】
図1に示す本実施形態の画像形成装置1は、露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって、紙、フィルム(OHPシートなど)、布等の記録媒体(以下、単に「記録媒体P」と言う)に画像を形成するものである。
図1に示すように、画像形成装置1は、記録媒体Pを排出するための排出口11が形成された本体ケース(ケーシング)10を有している。また、ケーシング10の外壁には、排出口11を覆うように1対の遮音部材91、92が設けられている。このような1対の遮音部材91、92については、後に詳述する。
【0017】
そして、このようなケーシング10の内部には、静電的な潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光体21を配設されているとともに、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット22、露光ユニット23、現像ユニット30、一次転写ローラ42、クリーニングユニット50が配設されている。
また、ケーシング10の内部には、図1にて下部に、記録媒体Pを収容する給紙トレイ61が配設されており、その給紙トレイ61に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、二次転写ローラ60、定着装置70が記録媒体Pの搬送方向に沿って順次配設されている。
【0018】
また、ケーシング10の内部には、定着装置70の記録媒体Pの搬送方向下流側であって排出口11付近に、すなわち、記録媒体Pの搬送経路の定着装置70と排出口11との間に、排出手段80が配設されている。
また、画像形成装置1には、記録媒体Pの両面に画像を形成する場合に、定着装置70によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転させて二次転写ローラ60へ帰還させるための搬送部64が設けられている。
【0019】
以下、前述したような画像形成装置1を構成する各部を順次説明する。
感光体21は、円筒状の導電性基材(図示せず)と、その外周面に形成された感光層(図示せず)とを有し、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。
帯電ユニット22は、コロナ帯電などにより感光体21の表面を一様に帯電するための装置である。
【0020】
露光ユニット23は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体21上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
現像ユニット30は、ブラック現像装置31と、マゼンタ現像装置32と、シアン現像装置33と、イエロー現像装置34との4つの現像装置を有し、これらの現像装置を感光体21上の潜像に対応して選択的に用いて、前記潜像をトナー像として可視化する装置である。ブラック現像装置31はブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置32はマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置33はシアン(C)トナー、イエロー現像装置34はイエロー(Y)トナーを用いて現像を行う。
【0021】
本実施形態におけるYMCK現像ユニット30は、前述の4つの現像装置31、32、33、34を選択的に感光体21に対向するように、回転可能となっている。具体的には、このYMCK現像ユニット30は、軸30aを中心として回転可能な保持体35の4つの保持部35a、35b、35c、35dにそれぞれ4つの現像装置31、32、33、34が保持されており、保持体35の回転により、4つの現像装置31、32、33、34が相対位置関係を維持したまま、感光体21に選択的に対向するようになっている。
【0022】
中間転写体40は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト41を有し、この中間転写ベルト41は、一次転写ローラ42と駆動ローラ43と従動ローラ44とで張架されており、駆動ローラ43の回転により、図1中矢印方向に、感光体21とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
一次転写ローラ42は、感光体21に形成された単色のトナー像を中間転写ベルト41に転写するための装置である。
【0023】
中間転写ベルト41上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。本実施形態では、駆動ローラ44が後述する二次転写ローラ60のバックアップローラとしても機能する。また、一次転写ローラ42、駆動ローラ43、従動ローラ44は、基体45によって支持されている。
【0024】
クリーニングユニット50は、一次転写ローラ42と帯電ユニット22との間で感光体21の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード51を有し、一次転写ローラ42によって中間転写ベルト41上にトナー像が転写された後に、感光体21上に残存するトナーをクリーニングブレード51により掻き落として除去するための装置である。
二次転写ローラ60は、中間転写ベルト41上に形成された単色やフルカラーなどのトナー像を記録媒体Pに転写するための装置である。
【0025】
定着装置70は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。
定着装置70は、互いに圧接回転する1対の定着ローラ71および加圧ローラ72と、定着ローラ71を加熱するための図示しないヒータとを有している。このような定着装置70は、定着ローラ71および加圧ローラ72の圧接により形成されるニップ部Nに対し、図1にて下方から、未定着状態のトナー像(以下、単に「未定着像」とも言う)を担持する記録媒体Pがニップ部Nへ搬送され、記録媒体Pを加熱および加圧することにより、未定着像を記録媒体Pに定着させる。本実施形態では、ニップ部Nに搬送される記録媒体Pは定着ローラ71側に未定着像を担持している。
【0026】
搬送部64は、定着装置70によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対64A、64Bと、搬送ローラ対64A、64Bによって搬送される記録媒体Pを表裏反転しつつレジストローラ63へ向け案内する搬送路64Cとを備えている。これにより、記録媒体の両面に画像形成する場合に、定着装置70によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転して二次転写ローラ60へ帰還させる。
【0027】
排出手段80は、定着装置70に対して記録媒体Pの搬送方向下流側に配設されていて、定着装置70によって定着処理が行われた記録媒体Pを排出口11へ搬送する。
図2に示すように、排出手段80は、回転可能に設けられた1対の排出ローラ(回転体)81、82と、記録媒体Pをその厚さ方向へ湾曲変形させる変形部材83とを備えている。
【0028】
排出ローラ81は、記録媒体Pの搬送経路に対して図2中上側に配設されている。このような排出ローラ81は、軸部材812と、互いに間隔を隔てて軸部材812に固定された複数のローラ部材811とで構成されている。軸部材812は、例えばケーシング10に回転可能に支持されている。
このような排出ローラ81は、例えばモータなどの駆動源(図示せず)と接続されており、前記駆動源の作動によって図2中矢印方向へ回転する。
【0029】
ローラ部材811の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シリコーンゴム、EPDM、フッ素ゴムなどを好適に用いることができる。このような材料で構成することで、適度な弾性を有することができるため、1対の排出ローラ81、82によって記録媒体Pをより確実に狭持搬送することができる。
排出ローラ82は、記録媒体Pの搬送経路に対して図2中下側に配設されている。このような排出ローラ82は、例えばケーシング10に回転不能に支持された軸部材822と、互いに間隔を隔てるとともに、軸部材822に回転可能に設けられた複数のコロ821とで構成されている。
【0030】
複数のコロ821は、それぞれ、ローラ部材811と接触または圧接するように設けられていて、排出ローラ81の回転に従って従動回転する。このようなコロ821の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や、各種樹脂材料などを好適に用いることができる。
以上説明した1対の排出ローラ81、82は、その接触部にて記録媒体Pを狭持し、狭持した記録媒体Pを図2中紙面奥側から手前側に向けて搬送する。このような1対の排出ローラ81、82に対して記録媒体Pの搬送方向下流側に、記録媒体Pの搬送方向下流側から見たときに、記録媒体Pをその厚さ方向へ湾曲変形させる変形部材83が配設されている。
【0031】
変形部材83は、図2〜4の各図に示すように、記録媒体Pの搬送経路に対して上側に設けられた1対の上側変形部材(第1の支持部材)831、832と、記録媒体Pの搬送経路に対して下側に設けられた下側変形部材(第2の支持部材)833とを備えている。
図2に示すように、1対の上側変形部材831、832は、記録媒体Pの幅方向に互いに間隔を隔てて設けられている。
【0032】
以下、上側変形部材831、832について具体的に説明するが、上側変形部材831、832は、互いに同様の構成であるため、上側変形部材831について代表して説明する。
図3に示すように、上側変形部材831は、記録媒体Pの搬送経路に対して傾斜する傾斜部831aを有している。傾斜部831aは、記録媒体Pの搬送経路との離間距離が記録媒体Pの搬送方向へ向けて漸減するように形成されている。また、図4に示すように、記録媒体Pの搬送方向下流側から見たとき、傾斜部831aの縁部が丸み付けされている。
【0033】
本実施形態では、上側変形部材831は、三角形状をなす板状部材で構成されている。そして、上側変形部材831は、3つの辺のうちの最も長い辺が傾斜部831aをなすように配設されている。
このような上側変形部材831と同様に、上側変形部材832は、記録媒体Pの搬送経路に対して傾斜する傾斜部832aを有している。
【0034】
一方、下側変形部材833は、記録媒体Pの幅方向にて、1対の上側変形部材831、832の間に位置するように設けられている。
図3に示すように、下側変形部材833は、記録媒体Pの搬送経路に対して傾斜する傾斜部833aを有している。傾斜部833aは、記録媒体Pの搬送経路との離間距離が記録媒体Pの搬送方向へ向けて漸減するように形成されている。また、図4に示すように、記録媒体Pの搬送方向下流側から見たとき、傾斜部833aの縁部が丸み付けされている。
【0035】
本実施形態では、下側変形部材833は、三角形状をなす板状部材で構成されている。そして、下側変形部材833は、3つの辺のうちの最も長い辺が傾斜部833aをなすように配設されている。
さらに、図4に示すように、下側変形部材833は、傾斜面833aの記録媒体Pの搬送方向下流側の端部(以下、単に「後端」ともいう。傾斜面831a、傾斜面832aについても同様)が、傾斜面831aの後端および傾斜面832aの後端のそれぞれよりも上側に位置するように設けられている。言い換えれば、下側変形部材833の記録媒体Pとの接触部は、各上側変形部材831、832の記録媒体Pとの接触部同士を結ぶ線分よりも、上側変形部材831、832側に位置しているとも言える。
【0036】
なお、説明の便宜上、図4に示すように、傾斜面831aの後端と傾斜面832aの後端とを結ぶ線分と、傾斜面833aの後端との離間距離を「L1」とする。
このような上側変形部材831、832および下側変形部材833の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や、各種熱硬化性樹脂や、各種熱可塑性樹脂などを好適に用いることができる。
【0037】
以上説明したような変形部材83を設けることで、極めて簡単な構成で記録媒体Pの搬送方向下流側から見たときに、記録媒体Pをその厚さ方向へ向けて湾曲変形させることができる。
具体的には、図4に示すように、記録媒体Pの搬送方向下流側から見たとき(すなわち、図4の平面視にて)、記録媒体Pは、その幅方向の中央部が下側変形部材833の傾斜面833aに導かれるようにして搬送されるとともに、一端部が上側変形部材831の傾斜面831aに導かれるようにして搬送され、他端部が上側変形部材832の傾斜面832aに導かれるようにして搬送される。
【0038】
すると、前述したように、傾斜面833aの後端が、傾斜面831a、832aのそれぞれの後端よりも図4中上側に位置しているため、記録媒体Pは、その幅方向の中央部が上側に凸となるように湾曲変形する。これにより、記録媒体Pの搬送方向での剛性を高めることができる(コシを与えることができる)。
ここで、上側変形部材831の傾斜面831aの表面には、傾斜面831aに対して摩擦係数の低い低摩擦層(図示せず)が形成されていることが好ましい。これにより、上側変形部材831と記録媒体Pとの摺動性を優れたものとすることができる。このような低摩擦層の構成材料としては、特に限定されず、例えば、PTFE、PFAなどを好適に用いることができる。上側変形部材832と下側変形部材833についても、前述した上側変形部材831と同様に、低摩擦層が形成されていることが好ましい。
【0039】
本実施形態では、1対の上側変形部材831、832が記録媒体Pの幅方向の両端部を支持するように設けられ、下側変形部材833が記録媒体Pの幅方向の中央部を指示するように設けられている。そのため、記録媒体Pに局所的に応力が加わることを防止し、記録媒体Pを円滑に搬送させつつ湾曲変形させることができる。
また、傾斜面831a、832a、833aが、それぞれ、丸み付けされていることから、記録媒体Pの傾斜面831a、傾斜面832a、傾斜面833aと接触する部分に、筋、しわ、折り目などが付いてしまうことを防止することができる。
【0040】
このような変形部材83は、1対の排出ローラ81、82により搬送されてきた記録媒体Pを排出口11(より具体的には、後述する重なり領域T)に導くための案内部材を兼ねている。これにより、確実に、記録媒体Pを排出口11に導くことができる。また、別途、案内部材を設けなくてもよいため、画像形成装置1の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0041】
以上変形部材83について説明したが、上側変形部材831、832および下側変形部材833のそれぞれの形状としては、記録媒体Pをその厚さ方向に湾曲変形させることができれば、特に限定されない。例えば、三角形状をなしておらず四角形状をなしていてもよいし、傾斜面831a、832a、833aが丸み付けされておらず、角形をなしていてもよい。また、上側変形部材および下側変形部材の数は、それぞれ、特に限定されない。また、変形部材83は、記録媒体Pを排出口11から排出することができれば省略してもよい。
以上のような排出手段80によって、記録媒体Pが排出口11に向けて搬送される。
【0042】
図4、5に示すように、排出口11は、記録媒体Pの幅方向を長手とする長手形状をなしている。そして、ケーシング10の外壁には、このような排出口11を覆うように、弾性変形可能な1対の遮音部材91、92が設けられている。この1対の遮音部材91、92は、排出手段80によって搬送されてきた記録媒体Pに押圧されて弾性変形しながら記録媒体Pが排出口11を通過することを許容する。
【0043】
このような1対の遮音部材91、92を設けることで、画像形成装置1の使用時においてケーシング10内で発生する騒音が排出口11からケーシング10外へ漏れてしまうことを抑制することができる。すなわち、画像形成装置1は、使用時に発生する騒音を効果的に抑制することができる。
図5に示すように、1対の遮音部材91、92は、記録媒体Pの搬送経路を記録媒体Pの厚さ方向の両側から挟むように設けられている。具体的には、記録媒体Pの搬送経路に対して上側に遮音部材91が設けられており、下側に遮音部材92が設けられている。また、このような1対の遮音部材91、92は、記録媒体Pが排出口11を通過していないときは、互いに接触している。
【0044】
遮音部材91は、記録媒体Pの幅方向(つまり、排出口11の長手方向)を長手とする長尺状のシート部材である。そして、この遮音部材91は、その上端911がケーシング10の排出口11縁部に固定された固定端(以下、「固定端911」ともいう)をなしており、その下端912が自由端(以下、「自由端912」ともいう)をなしている。
このような遮音部材91の自由端912の縁部は、丸み付けされている。また、遮音部材91には、自由端912に到達するとともに、遮音部材91の長手方向に沿って並設する複数の切れ目913が形成されている。言い換えれば、遮音部材91は、短冊状のシート部材が記録媒体Pの幅方向に複数並設されたような複数の自由端912を有している。このような各切れ目913は、自由端912から固定端911側に向けて延在している。
【0045】
一方、図5に示すように、遮音部材92も、記録媒体Pの幅方向を長手とする長尺状のシート部材である。そして、この遮音部材92は、その下端921がケーシング10の排出口11縁部に固定された固定端(以下、「固定端921」ともいう)をなしており、その上端922が自由端(以下、「自由端922」ともいう)をなしている。
このような遮音部材92の自由端922の縁部は、丸み付けされている。また、遮音部材92には、自由端922に到達するとともに、遮音部材92の長手方向に沿って並設する複数の切れ目923が形成されている。このような各切れ目923は、自由端922から固定端921側に向けて延在するように形成されている。
【0046】
また、図6に示すように、遮音部材91の内面(変形部材83と対向する面)には、外面に対して摩擦係数が低い低摩擦部914が形成されている。同様に、遮音部材92の内面には、外面に対して摩擦係数が低い低摩擦部924が形成されている。このような低摩擦部914、924の構成材料としては、例えば、PTFE、PFAなどを好適に用いることができる。
図5、6に示すように、このような1対の遮音部材91、92は、互いの自由端912、922側の端部同士が重なり合うように設けられている(以下、1対の遮音部材91、92の自由端912、922側の端部同士が互いに重なり合う領域を「重なり領域T」という)。そして、このような重なり領域Tに記録媒体Pを案内するように、変形部材83が配設されている。
【0047】
このような重なり領域Tの、記録媒体Pの厚さ方向における長さ(つまり、図5中L2)は、前述したL1よりも長いことが好ましい。これにより、記録媒体Pの搬送方向下流側から見たとき、重なり領域Tが記録媒体Pの全域を含むことができる。
このような遮音部材91、92としては、記録媒体Pとの接触により弾性変形可能であれば、特に限定されず、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系等の各種エラストマーや、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体等の各種発泡体や、ニトリルゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)等のゴム材料や、アルミ、銅等の金属材料、などをシート状に形成したものを用いることができる。また、遮音部材91、92として、不織布を用いてもよい。また、これらのうちの2種以上を組み合わせてもよい。また、遮音部材91、92として、例えば不織布やフェイルムの一方の面に、前述した発泡体やエラストマーを主材料とする遮音層を設けたものを用いてもよい。
以上のような1対の遮音部材91、92は、次のようにして排出口11からの記録媒体Pの排出を許容する。
まず、図7(a)に示すように、記録媒体Pが排出口11を通過していないときには、1対の遮音部材91、92により、排出口11がほぼ完全に覆われている。
【0048】
次に、図7(b)に示すように、遮音部材91、92は、1対の排出ローラ81、82によって搬送されてきた記録媒体Pに押圧されることで、記録媒体Pの搬送方向へ向けて弾性変形する。そして、遮音部材91の自由端912と遮音部材92の自由端922との間を記録媒体Pが通過し、記録媒体Pがケーシング10の外部へ排出される。このとき、記録媒体Pは、その上面が遮音部材91の自由端912側の端部と摺動しながら、かつ、下面が遮音部材92の自由端922側の端部と摺動しながら、ケーシング10の外部へ排出される。
【0049】
以上の様にして1対の遮音部材91、92は、記録媒体Pが排出口11を通過することを許容する。
特に、本実施形態では、遮音部材91の内面(つまり、記録媒体Pと接触する部位)に低摩擦部914が形成されているため、遮音部材91と記録媒体Pの上面とを円滑に摺動させることができる。同様に、遮音部材92の内面に低摩擦層924が形成されているため、遮音部材92と記録媒体Pの下面とを円滑に摺動させることができる。これにより、遮音部材91、92との摺動によって、記録媒体Pに筋やシワなどが付いてしまうことを防止するとともに、円滑に記録媒体Pをケーシング10の外部へ排出することができる。
【0050】
また、前述したように、遮音部材91の自由端912の縁部が丸み付けさているため、自由端912と記録媒体Pの上面とを円滑に摺動させることができる。同様に、遮音部材92の自由端922の縁部が丸み付けさているため、自由端922と記録媒体Pの下面とを円滑に摺動させることができる。
また、前述したように、記録媒体Pを湾曲変形させて、記録媒体Pの搬送方向での剛性が高められている。これにより、記録媒体Pは、より強い力でより確実に、遮音部材91、92を押圧することができる。その結果、より確実に遮音部材91、92を弾性変形させるとともに、より確実に記録媒体Pを排出口11から画像形成装置1の外部へ排出することができる。
【0051】
以上のような遮音部材91、92によれば、画像形成装置1の使用時にケーシング10内で発生する騒音が、排出口11からケーシング10外へ漏れてしまうことを効果的に抑制することができる。
具体的には、前述したように、記録媒体Pが排出口11を通過していないときには、1対の遮音部材91、92によって排出口11がほぼ完全に覆われている。そのため、画像形成装置1は、ケーシング10内で発生する騒音の排出口11からケーシング10外への漏れを効果的に抑制することができる。
【0052】
さらに、記録媒体Pが排出口11を通過しているときでも、記録媒体Pの上面と遮音部材91の自由端912とが接触し、記録媒体Pの下面と遮音部材92の自由端922とが接触していることから、遮音部材91、92によって排出口11がほぼ完全に覆われている。そのため、画像形成装置1は、ケーシング10内で発生する騒音の排出口11からケーシング10外への漏れを効果的に抑制することができる。
【0053】
したがって、画像形成装置1は、記録媒体Pが排出口11を通過しているか否かにかかわらず、使用時に発生する騒音のケーシング10外への漏れを効果的に抑制することができる。
特に、本実施形態では、前述したように、遮音部材91に複数の切れ目913が形成されている(すまり、複数の自由端912が形成されている)。そのため、記録媒体Pが湾曲変形していても、各自由端912が記録媒体Pと摺動することができるため、記録媒体Pの上面と遮音部材91との間に隙間が形成されてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0054】
同様に、遮音部材92に複数の切れ目923が形成されている(つまり、複数の自由端922が形成されている)。そのため、記録媒体Pが湾曲変形していても、各自由端922が記録媒体Pと摺動することができるため、記録媒体Pの下面と遮音部材92との間に隙間が形成されてしまうことを効果的に抑制することができる。
また、前述したように、記録媒体Pの搬送方向下流側から見たとき、記録媒体Pは、その全域が重なり領域Tに含まれるように、変形部材83によって案内される。そのため、記録媒体Pの上面の幅方向のほぼ全域と遮音部材91の自由端912とを摺動させるとともに、記録媒体Pの下面の幅方向のほぼ全域と遮音部材92の自由端922とを摺動させることができる。そのため、記録媒体Pが排出口11を通過しているときでも、ケーシング10内で発生する騒音の排出口11からケーシング10外への漏れを極めて効果的に抑制することができる。
【0055】
ここで、1対の遮音部材91、92は、導電性を有していることが好ましい。これにより、記録媒体Pの排出口11からの排出の際に、遮音部材91、92に記録媒体Pを接触させることで記録媒体Pを除電することができる。
排出口11に搬送されてきた記録媒体Pは、例えば、電荷を帯びた未定着トナー像を担持したり、搬送経路に設けられた部品(例えば、給紙ローラ62やレジストローラ63など)と接触(摩擦)したりすることで、電荷(静電気)を帯びている。
【0056】
そこで、遮音部材91、92が導電性を有することで、このような電荷を簡単に除去することができる。また、遮音部材91、92のほかに、別途、除電部材を設ける必要がなく、画像形成装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
導電性を有する遮音部材91、92としては、特に限定されず、導電処理を施した(例えば、カーボン、金属粒子などの導電性部材を含有させた)、各種エラストマー、各種発泡体、各種ゴム材料をシート状に形成したものを用いてもよいし、非導電性のシート状部材に導電性を有する金属細線などを埋設したものを用いてもよいし、非導電性のシート状部材の表面に導電性を有する金属薄膜などを配置したものを用いてもよい。
【0057】
以上説明した画像形成装置1は、次のように動作する。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体21、現像ユニット30に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト41が回転を開始する。そして、感光体21は、回転しながら、帯電ユニット22により順次帯電される。
感光体21の帯電された領域は、感光体21の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット23によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
【0058】
感光体21上に形成された潜像は、感光体21の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置34によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体21上にイエロートナー像が形成される。このとき、YMCK現像ユニット30は、イエロー現像装置34が、前記現像位置にて感光体21と対向している。
感光体21上に形成されたイエロートナー像は、感光体21の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光体21と一次転写ローラ42との対向部)に至り、一次転写ローラ42によって、中間転写ベルト41に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ42には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ60は、中間転写ベルト41から離間している。
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト41に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト41上にはフルカラートナー像が形成される。
【0059】
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ61から、給紙ローラ62、レジストローラ63によって二次転写ローラ60へ搬送される。
中間転写ベルト41上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト41の回転に伴って二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ60と駆動ローラ43との対向部)に至り、二次転写ローラ60によって記録媒体Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ60は中間転写ベルト41に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置70によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、記録媒体Pは、排出手段80によって排出口11から画像形成装置1の外部へ排出される。
【0060】
一方、感光体21は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット50のクリーニングブレード51によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット50内の残存トナー回収部に回収される。
記録媒体の両面に画像形成する場合には、定着装置70によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦1対の排出ローラ81、82により挟持した後に、排出ローラ81、82を反転駆動するとともに、搬送ローラ対64A、64Bを駆動して、当該記録媒体Pを搬送路64Cを通じて表裏反転して二次転写ローラ60へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0061】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置が備える排出手段の概略構成を示す模式的断面図、図9は、図8に示す遮音部材を説明するための模式的斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、図8、9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0062】
以下、第2実施形態の画像形成装置1Aについて、前述した第1実施形態の画像形成装置1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置1Aは、1対の遮音部材91A、92Aが重なり領域を有しておらず、また、排出手段80Aの構成が異なる以外は、第1実施形態の画像形成装置1とほぼ同様である。
【0063】
図8に示すように、排出手段80Aは、1対の排出ローラ81、82と、1対の排出ローラ81、82によって狭持搬送されてきた記録媒体Pを排出口11に案内する1対の案内部材85A、86Aとを備えている。
案内部材85Aは、記録媒体Pの搬送経路の上側に設けられている。また、案内部材85Aは、長手形状をなしており、記録媒体Pの幅方向を長手とするように設けられている。また、案内部材85Aは、記録媒体Pの搬送経路に対して傾斜する傾斜面851Aを有している。傾斜面851Aは、平坦面をなし、記録媒体Pの搬送経路との離間距離が記録媒体Pの搬送方向へ向けて漸減するように形成されている。このような傾斜面851Aの表面には、例えば、PTFE、PFAなどを構成材料とする低摩擦層が形成されていることが好ましい。
【0064】
一方、案内部材86Aは、記録媒体Pの搬送経路の下側に設けられている。また、案内部材86Aは、長手形状をなしており、記録媒体Pの幅方向を長手とするように設けられている。また、案内部材86Aは、記録媒体Pの搬送経路に対して傾斜する傾斜面861Aを有している。傾斜面861Aは、平坦面をなし、記録媒体Pの搬送経路との離間距離が記録媒体Pの搬送方向へ向けて漸減するように形成されている。このような傾斜面861Aの表面には、例えば、PTFE、PFAなどを構成材料とする低摩擦層が形成されていることが好ましい。
また、傾斜面861Aの後端(つまり、記録媒体Pの搬送方向下流側の端)と傾斜面851Aの後端とは、記録媒体Pが通過できる程度の空隙を隔てて対向している。
記録媒体Pは、傾斜面851Aと傾斜面861Aとの間を通り、傾斜面861Aの後端と傾斜面851Aの後端との間を通過することで排出口11に案内される。
【0065】
図9に示すように、排出口11は、1対の遮音部材91A、92Aによって覆われている。具体的には、記録媒体Pの搬送経路に対して上側に遮音部材91Aが設けられており、下側に遮音部材92Aが設けられている。
遮音部材91Aの下端が自由端912Aをなしており、遮音部材92Aの上端が自由端922Aをなしている。そして、1対の遮音部材91A、92Aは、互いの自由端912A、922Aの先端同士が接触するように設けられている。つまり、1対の遮音部材91A、92Aは、第1実施形態で説明したような重なり領域を有していない。
【0066】
以上のような画像形成装置1Aでは、案内部材85A、86Aによって、記録媒体Pを1対の遮音部材91A、92Aの接触部に案内するように構成されている。これにより、遮音部材91A、92Aを微小に弾性変形させれば、遮音部材91A、92Aの間を記録媒体Pが通過することができる。そのため、遮音部材91A、92Aを弾性変形させるために必要な力を少なくすることができ、ジャムを防止し、より確実に、記録媒体Pを排出口11から排出することができる。
以上のような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0067】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、各遮音部材の自由端の縁部が丸み付けされているものについて説明したが、角形状をなしていてもよい。
【0068】
また、前述した実施形態では、各遮音部材に複数の切れ目が形成されたものについて説明したが、複数の切れ目が形成されていなくてもよい。
また、前述した実施形態では、遮音部材が1対設けられているが、排出口を覆うように設けられていれば、遮音部材としては1つであってもよく、3つ以上の複数であってもよい。
【0069】
また、前述した実施形態では、1対の遮音部材の自由端同士が互いに重なり合っているものについて説明したが、1対の遮音部材が排出口を覆うように設けられていれば、これに限定されない。
また、前述した1対の上側変形部材と、下側変形部材とは、記録媒体の幅や種類などに応じて、移動可能となっていることが好ましい。これにより、記録媒体の幅に影響されることなく、記録媒体をその厚さ方向へ湾曲変形させることが可能となる。また、十分な剛性を有し湾曲変形させる必要の少ない記録媒体(例えば、厚紙など)が搬送されてきた場合には、上側変形部材および下側変形部材を記録媒体と接触しない場所に退避させて、記録媒体を湾曲変形させずに、排紙口に突入させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す模式的横断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置が備える排出手段の模式的斜視図である。
【図3】図2に示す排出手段の模式的断面図である。
【図4】図2に示す排出手段の模式的平面図である。
【図5】図1に示す画像形成装置が備える遮音部材の模式的斜視図である。
【図6】図5に示す遮音部材の模式的横断面図である。
【図7】図5に示す遮音部材の変形を説明する模式的断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる画像形成装置が備える排出手段の概略構成を示す模式的断面図である。
【図9】図8に示す遮音部材を説明するための模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
1、1A……画像形成装置 10……ケーシング(本体ケース) 11……排出口 21……感光体 22……帯電ユニット 23……露光ユニット 30……現像ユニット 30a……軸 31……ブラック現像装置 32……マゼンタ現像装置 33……シアン現像装置 34……イエロー現像装置 35……保持体 40……中間転写体 41……中間転写ベルト 42……一次転写ローラ 43……駆動ローラ 44……従動ローラ 45……基体 50……クリーニングユニット 51……クリーニングブレード 60……二次転写ローラ 61……給紙トレイ 62……給紙ローラ 63……レジストローラ 64……搬送部 64A、64B……搬送ローラ対 64C……搬送路 70……定着装置 71……定着ローラ 72……加圧ローラ 80、80A……排出手段(排出手段) 81、82……排出ローラ 811……ローラ部材 812……軸部材 821……コロ 822……コロ用軸部材 83……変形部材 831、832……上側変形部材(第1の支持部材) 833……下側変形部材(第2の支持部材) 831a、832a、833a……傾斜面 85A、86A……案内部材 851A、861A……傾斜面 91、91A、92、92A……遮音部材 911、921……固定端 912、912A、922、922A……自由端 913、923……切れ目 914、924……低摩擦部 N……ニップ P……記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を排出する排出口を有するケーシングと、
前記記録媒体を前記排出口へ向けて搬送する排出手段と、
前記排出口を覆うように設けられ、前記排出口からの騒音の漏れを抑制する弾性変形可能な遮音部材とを備え、
前記遮音部材は、前記排出手段によって搬送された前記記録媒体に押圧されて弾性変形しながら前記排出口を前記記録媒体が通過することを許容するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記遮音部材は、シート状をなしており、前記記録媒体の厚さ方向における前記遮音部材の一端が前記ケーシングの前記排出口縁部付近に固定された固定端をなすとともに、他端が自由端をなしている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記遮音部材は、前記記録媒体の搬送経路を両側から挟むように1対設けられ、前記各遮音部材の自由端同士が接触している請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記1対の遮音部材は、互いの自由端同士が重なり合う重なり領域を有している請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遮音部材の自由端の縁部は、丸み付けされている請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記遮音部材には、前記自由端に到達するとともに、前記記録媒体の幅方向に沿って並設された複数の切れ目が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記遮音部材は、その内面に、外面に対して摩擦係数の低い低摩擦部を備えている請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記遮音部材は、前記記録媒体と接触する部位に導電性を有する導電性部を備え、前記記録媒体の排出の際に、前記記録媒体と前記導電性部とを接触させることで前記記録媒体を除電するように構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記排出手段は、前記記録媒体を狭持搬送する1対の回転体を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記排出手段は、1対の回転体によって搬送される前記記録媒体を前記排出口に案内する案内部材を備えている請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記排出手段は、前記記録媒体の搬送方向下流側から見たときに、前記記録媒体をその厚さ方向へ湾曲変形させる変形部材を備えている請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記変形部材は、前記記録媒体の搬送経路に対して一方側に位置するとともに、前記記録媒体の幅方向へ互いに間隔を隔てて設けられ、前記記録媒体を支持する少なくとも1対の第1の支持部材と、前記記録媒体の搬送経路に対して他方側に位置するととともに、前記1対の第1の支持部材の間に位置するように設けられ、前記記録媒体を支持する少なくとも1つの第2の支持部材とを有し、
前記第2の支持部材の前記記録媒体との接触部は、前記各第1の支持部材の前記記録媒体との接触部同士を結ぶ線分よりも、前記1対の第1の支持部材側に位置し、
前記各第1の支持部材と前記第2の支持部材とで前記記録媒体を支持することで、前記記録媒体を前記湾曲変形させるように構成されている請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記1対の第1の支持部材は、前記記録媒体の幅方向の両端部を支持するように設けられ、前記第2の支持部材は、前記記録媒体の幅方向の中央部を支持するように設けられている請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記変形部材は、前記記録媒体を前記排出口に案内する案内部材を兼ねている請求項11ないし13のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−268438(P2008−268438A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109602(P2007−109602)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】