説明

画像形成装置

【課題】シートに転写する画像の質を低下させることなく、シートに画像を転写した像保持体からのシートの剥離を促進する。
【解決手段】支持部62は、転写補助部材80、剥離補助部材(ベルト支持部材)82及びフレーム84から構成され、帯電された二次転写ロール64に中間転写ベルト54を介して圧接されている。転写補助部材80は、剥離補助部材82よりも硬度が小さくされている。また、転写補助部材80は、二次転写ロール64に対向する面の曲率が剥離補助部材82よりも小さくされ、電気抵抗が剥離補助部材82よりも大きくされている。剥離補助部材82は、導電剤を加えられたABS樹脂などからなり、転写補助部材80よりも用紙の搬送方向下流側に配置されてフレーム84に保持され、中間転写ベルト54の一部を支持(張架)するとともに、用紙を中間転写ベルト54から剥離させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機又はファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、2次転写ロールと、この2次転写ロールに対向する位置に配置された転写対向ロールとによって、中間転写体上に形成されたカラー画像を記録紙上に転写する画像形成装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開2005−3983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シートに転写する画像の質を低下させることなく、シートに画像を転写した像保持体からのシートの剥離を促進することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、トナー像を保持しつつ回転する無端ベルト状の像保持体と、この像保持体が保持するトナー像をシートに転写する転写ロールと、この転写ロールとともに前記像保持体を挟むことにより、前記転写ロールがトナー像を転写することを補助する転写補助部と、この転写補助部よりもシートの搬送方向下流側に設けられ、前記転写補助部よりも曲率が大きな面で前記像保持体を支持することにより、シートを前記像保持体から剥離させる剥離補助部とを有する。
【0006】
好適には、前記転写補助部及び前記剥離補助部は、それぞれ独立した部材である。
【0007】
また、好適には、前記剥離補助部は、前記転写補助部よりも硬度が大きい。
【0008】
また、好適には、前記剥離補助部は、前記転写補助部よりも電気抵抗が小さい。
【0009】
また、好適には、シートに転写されたトナー像に熱と圧力とを加えて、トナー像をシートに定着させる定着手段と、この定着手段がトナー像を定着させたシートを反転させる反転手段とをさらに有し、前記転写ロールは、シートの両面にトナー像を転写する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートに転写する画像の質を低下させることなく、シートに画像を転写した像保持体からのシートの剥離を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12の下部に例えば1段の給紙ユニット14が配置されている。
【0012】
給紙ユニット14は、用紙などのシートが収納される給紙カセット16を有する。給紙カセット16の奥端近傍上部には用紙をピックアップするピックアップロール18が配置され、このピックアップロール18の前方にフィードロール20及びリタードロール22が配置されている。フィードロール20は、用紙を搬送路24に向けて送り出すように回転する。リタードロール22は、フィードロール20に対して圧接され、フィードロール20の回転に従動可能にされており、フィードロール20とともに用紙を1枚ずつ送り出すように回転する。
【0013】
搬送路24は、フィードロール20から排出口26までの用紙通路であり、この搬送路24は、画像形成装置本体12の裏側(図1の左側面)近傍にあって、給紙ユニット14から後述する定着装置68まで略鉛直方向に形成されている。この搬送路24の定着装置68の上流側に後述する二次転写ロール64と支持部62とが配置され、二次転写ロール64と支持部62の上流側にレジストロール28が配置されている。また、搬送路24には、用紙を下方から上方に向けて搬送する搬送ロール30a〜30cが配置され、排出口26の近傍には排出ロール32が配置されている。
【0014】
したがって、給紙ユニット14の給紙カセット16からフィードロール20により送り出された用紙は、リタードロール22により捌かれて最上部の用紙のみ搬送路24に導かれ、レジストロール28により一時停止され、タイミングをとって後述する二次転写ロール64と支持部62との間を通ってトナー像が転写され、この転写されたトナー像が定着装置68により定着され、排出ロール32により排出口26から画像形成装置本体12の上部に設けられた排出部34へ排出される。
【0015】
両面印刷の場合は、反転路に戻される。即ち、搬送路24の排出ロール32の手前は二股に分かれ、その分かれた部分に切換装置36が設けられていると共に、分けられた部分からレジストローラ28まで戻る反転路38が形成されている。この反転路38には搬送ロール40a〜40cが設けられており、両面印刷の場合には、切換装置36が反転路38を開く側に切り換えられ、排出ロール32に用紙の後端手前がかかる時点で排出ロール32が反転し、用紙が反転路38に導かれ、レジストローラ28、二次転写ロール64と支持部62との間、及び定着装置68を通って排出部34へ排出されるものである。
【0016】
画像形成装置本体12内には、例えば4つの画像形成モジュール42a〜42dが略水平に並べて配置されている。画像形成モジュール42a〜42dは、画像形成装置本体14の上部に設けられる図示しないトナーボックスに含まれるイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の4色のトナーをそれぞれ受入れるようにされている。また、画像形成モジュール42a〜42dは、感光体44a〜44d、帯電器46a〜46d、光書込み装置(ROS)48a〜48d、現像器50a〜50d、及び一次転写ロール52a〜52dなどがそれぞれ収納されている。
【0017】
帯電器46a〜46dは、感光体44a〜44dを一様に帯電する。光書込み装置48a〜48dは、画像形成モジュール42a〜42dの下部にそれぞれ配置され、帯電された感光体44a〜44dに向けて走査光を発することにより、感光体44a〜44dにそれぞれ潜像を形成する。現像器50a〜50dは、感光体44a〜44dに形成された潜像をイエロー(Yellow)、マゼンタ(Magenta)、シアン(Cyan)及び黒(Black)の4色のトナーによってそれぞれ可視化されたトナー像にする。
【0018】
感光体44a〜44dと一次転写ロール52a〜52dとの間には、中間転写ベルト54が走行するようにされている。中間転写ベルト54は、例えばポリイミド又はポリアミドなどが用いられた無端ベルト状の樹脂フィルムからなり、駆動ロール56、一次転写ロール52a〜52d、支持ロール58、テンションロール60a、60b及び支持部62により、所定のテンションで回転自在に張架(支持)され、駆動ロール56の駆動力によって回転するようにされている。したがって、一次転写ロール52a〜52dが中間転写ベルト54を介して感光体44a〜44dに圧接されることにより、感光体44a〜44dのトナー像は中間転写ベルト54に重ねて転写(保持)される。
【0019】
支持部62は、中間転写ベルト54を介して(挟んで)二次転写ロール64が圧接しており、給紙ユニット14から供給された用紙に中間転写ベルト54上のトナー像を転写するようにしてある。つまり、二次転写ロール64と支持部62との間が二次転写位置となっており、二次転写ロール64は、支持部62の補助により、中間転写ベルト54に一次転写されたトナー像を二次転写位置で用紙に二次転写する。なお、二次転写ロール64と支持部62との間には、所定の電位差が生じるようにされており、例えば二次転写ロール64を高電圧にした場合には、支持部62はグランド(GND)などに接続される。
【0020】
また、駆動ロール56には、中間転写ベルト54を介してクリーニング装置66が圧接されている。クリーニング装置66は、中間転写ベルト54に1次転写されたトナー像を用紙に二次転写した後に、中間転写ベルト54上に残留するトナーをクリーニングする。
【0021】
二次転写位置の上方には、定着装置68が配置されている。定着装置68は、加熱ロール70と加圧ロール72とを有し、二次転写ロール64及び支持部62により用紙に二次転写されたトナー像を熱と圧力とによって用紙に定着させ、排出ロール32に向けて搬送する。
【0022】
次に、支持部62及び二次転写ロール64の構成について詳述する。
図2は、二次転写位置周辺を示す拡大側面図である。二次転写ロール64は、例えばステンレス鋼(SUS)などの金属からなる軸部74と、この軸部74を覆って中間転写ベルト54に接触するロール部76とから構成される。軸部74には、電源78が接続されており、所定の電圧が印加されている。ロール部76は、例えばウレタンゴムなどによって形成されており、直径が例えば21mmにされている。
【0023】
支持部62は、転写補助部材80、剥離補助部材(ベルト支持部材)82及びフレーム(支持部本体)84から構成される。転写補助部材80は、アスカーC硬度が例えば60度〜90度であり、電気抵抗が例えば106.5〜107.5Ωであるウレタンゴム又はエピクロヒドリンゴム(ECO)などからなり、フレーム84に保持され、二次転写ロール64に対向する面が中間転写ベルト54を介して二次転写ロール64に圧接されている。なお、転写補助部材80は、ロール部76よりも硬度が大きくされている。また、転写補助部材80は、二次転写ロール64に対向する面の曲率が例えば直径21mmのロール外面の曲率と同じにされている。
【0024】
剥離補助部材82は、電気抵抗が例えば10Ω以下となるように導電剤を加えられたABS樹脂又はPP(ポリプロピレン)などからなり、転写補助部材80よりも用紙の搬送方向下流側に配置されてフレーム84に保持され、中間転写ベルト54の一部を支持(張架)するとともに、用紙を中間転写ベルト54から剥離させる。また、剥離補助部材82は、中間転写ベルト54に内側から接触している面の曲率が例えば直径18mmのロール外面の曲率と同じにされている。
【0025】
フレーム84は、例えばアルミニウムなどの金属からなり、転写補助部材80及び剥離補助部材82に接触して剛性を持たせるとともに、接地(アース)されている。つまり、転写補助部材80及び剥離補助部材82は、フレーム84を介して接地されている。
また、フレーム84は、剥離補助部材82と一体に形成されてもよく、樹脂であってもよい。フレーム84が樹脂で形成される場合には、例えば転写補助部材80とフレーム84との間に金属板を設け、転写補助部材80が金属板を介して接地されるようにされてもよい。
【0026】
したがって、二次転写ロール64と支持部62との間を通る用紙は、ロール部76と転写補助部材80とにより、中間転写ベルト54に対して所定の面積で(ニップ部をもって)接触しつつ下方から上方に向けて搬送され、中間転写ベルト54上のトナー像を転写される。剥離補助部材82の外面の曲率が転写補助部材80の外面の曲率よりも大きくされているので、トナー像を転写された用紙は、用紙自体の腰によって支持部62に張架されている中間転写ベルト54から剥離される。
【0027】
また、両面印刷の場合に、片面(表面)印刷後に定着装置68を通った用紙の電気抵抗が変化し、用紙に電荷が溜まりやすくなっていても、裏面にトナー像を転写された用紙は、転写補助部材80の外面の曲率、及び剥離補助部材82による中間転写ベルト54の除電などにより、中間転写ベルト54から剥離される。
【0028】
次に、画像形成装置10の二次転写に対する比較例について説明する。
図3において、画像形成装置10の二次転写に対する比較例の二次転写位置周辺が示されている。図3に示すように、画像形成装置10の二次転写に対する比較例は、中間転写ベルト1が保持する−帯電したトナー像を、電源2により+極性に帯電された二次転写ロール3と接地された二次転写バックアップロール4とにより、用紙に転写するようにされている。用紙が中間転写ベルト1に沿って剥離した場合、二次転写ロール3と用紙裏面(図3において左側)との間で放電が促進され、用紙が+極性に帯電される。すると、用紙の+電荷が中間転写ベルト1の−電荷に吸着され、用紙の剥離不良の発生、又は用紙上の−帯電したトナーが用紙の非画像部(トナーのない低抵抗部)の+電荷に向かって飛び散ることがある。
また、比較例として、二次転写バックアップロール4の外径を小さくすると、二次転写ロール3と二次転写バックアップロール4との接触面積(ニップ部)が小さくなり、転写特性が悪化したり、電源2の高圧化が必要になる。
【0029】
この比較例に対し、本発明に係る画像形成装置10は、用紙に転写する画像の質を低下させることなく、用紙に画像を転写した中間転写ベルト54からの用紙の剥離を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の二次転写位置周辺を示す拡大側面図である。
【図3】比較例の二次転写位置周辺を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 画像形成装置
38 反転路
42a〜42d 画像形成モジュール
54 中間転写ベルト
62 支持部
64 二次転写ロール
78 電源
80 転写補助部材
82 剥離補助部材
84 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持しつつ回転する無端ベルト状の像保持体と、この像保持体が保持するトナー像をシートに転写する転写ロールと、この転写ロールとともに前記像保持体を挟むことにより、前記転写ロールがトナー像を転写することを補助する転写補助部と、この転写補助部よりもシートの搬送方向下流側に設けられ、前記転写補助部よりも曲率が大きな面で前記像保持体を支持することにより、シートを前記像保持体から剥離させる剥離補助部とを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記転写補助部及び前記剥離補助部は、それぞれ独立した部材である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記剥離補助部は、前記転写補助部よりも硬度が大きい請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記剥離補助部は、前記転写補助部よりも電気抵抗が小さい請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
シートに転写されたトナー像に熱と圧力とを加えて、トナー像をシートに定着させる定着手段と、この定着手段がトナー像を定着させたシートを反転させる反転手段とをさらに有し、前記転写ロールは、シートの両面にトナー像を転写する請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−46382(P2008−46382A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222186(P2006−222186)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】