説明

画像形成装置

【課題】画像データの断片化の発生の調査に、実際に記憶しようとする実データとは容量が異なる固定の測定用データの書込み時間を使用する画像形成装置を提供する。
【解決手段】主記憶手段2及び従記憶手段3のそれぞれに対して画像データの読み出し及び書き込みを行なう読み書き手段101を備える画像形成装置であって、あらかじめ測定用データを保管している測定用データ保管手段4と、書込み基準時間を記憶している基準時間保管手段5と、読み書き手段101が測定用データを測定用データ保管手段4から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを従記憶手段3に書込むまでに要した時間である書込み時間を測定する時間測定手段6と、書込み時間が書込み基準時間を超えていることを検知する断片化検知手段7と、主記憶手段2における画像データの再配置を行うデータ再配置手段10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル複写機、ファクシミリ、スキャナ及びこれらの複数の機能を有するデジタル複合機等の画像形成装置における、画像データの保存の管理・制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な画像形成装置において、画像メモリを使用した画像データの加工、編集が盛んとなってきている。そして、そのような加工、編集のための複数枚の画像データを保持するには、画像データの枚数分のデータ量に相当するメモリが必要になり、そのためメモリコストが膨大になってしまう。そこで、画像メモリとして一時記憶用メモリと蓄積用メモリを組み合わせて使用し、蓄積用メモリとして半導体メモリより安価で容量が大きい磁気記憶装置(ハードディスク)等の記憶装置を使用している。
【0003】
また、デジタル複写機等において一時記憶メモリに入力した画像データをハードディスクに対して保存、削除を繰り返すことが行われる。しかし、保存、削除の回数が増大するにつれてハードディスク内でのデータの配置が不連続になり、連続した空き領域が少なくなるため、どの空きスペースにも入りきらないデータが増え、データを分割して2つ以上の空き領域に分けて保存するようになり、ハードディスクにデータが散在することになる。これをデータの断片化(フラグメンテーション)と呼び、画像データの記憶装置においても、このようなデータの断片化が発生する。
【0004】
さらに、このようなデータの断片化が発生すると、連続領域にデータが保存されている状態に比較してデータの読み出しに要する時間が長くなったり、データを保存する場合でも連続した記憶領域確保ができなくなり、複数の領域(アドレス)にデータを保存しなければならなくなるため、複数のデータ転送(保存)操作が必要になり転送時間が長くなったりするなどデータアクセスの時間が長くなり、また、OSの処理量の増大やドライブヘッドの移動量の増大を招き、画像データの保存や読み出しの効率が低下するという問題がある。そこで、かかるデータの断片化を改善するため、1つのデータを連続したアドレスに並べ替えるデータの再配置(デフラグ)により記憶手段の連続領域を増やすことが行なわれてきた。ただし、データの再配置は画像形成装置の動作に非常に負荷をかけるものであるので、断片化が少ない状態で頻繁にデータの再配置を行なうことはせず、断片化がある程度多くなった状態でデータの再配置を行なうことが好ましい。
【0005】
この点、データの断片化の状況を判断するための手法として、HDD等記録媒体の使用状況を管理するデータ(アロケーションテーブル(FAT)データ)を逐次参照する手法が考えられるが、HDDの容量が増大するに連れてFATデータの量も増大し、データの断片化の状況を判断するのに必要な時間が長くなる。
【0006】
そこで従来、1次記憶手段から2次記憶手段への転送時に予想転送時間と実際の転送時間を比較し、所定時間を超えたときデータの再配置を実施する画像形成装置(例えば、特許文献1参照。)、2次記憶手段において連続領域を再設定することで、画像データが離散して記憶されることを防ぐ画像形成装置(例えば、特許文献2参照。)、又は、データの断片化の発生を抑えるように、ハードディスクを分割して使用する画像形成装置(例えば、特許文献3参照。)などが提案され、これらの手段を有する画像形成装置によりデータの断片化の改善がなされていた。
【0007】
【特許文献1】特開2003−250032号公報
【特許文献2】特開2003−186713号公報
【特許文献3】特開2005−260805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、画像データを保存するときにデータの断片化の発生を調査していたのでは、制御系に負荷がかかり画像処理装置の作業能力の低下をまねく。また、データの断片化の発生を調査するのに、実際に使用する実データに基づいて算出した転送の予測時間を使用する方法では、実データはその時々で変わるため、正確な比較に基づくデータの断片化の発生の調査が困難である。また、記憶領域の確保や、ハードディスクを分割して使用する方法では、ハードディスクなどの記憶手段を効率よく使用することは困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、画像データの断片化の発生の調査に、実際に記憶しようとする実データとは異なる、容量が固定の測定用データの書込み時間を使用する画像形成装置を提供することを目的としている。
【0010】
さらに、画像データの断片化が発生していると判断された場合、ユーザに警告を表示し画像データの再配置の実行を促す画像形成装置を提供することを目的としている。これにより、効率の良い記憶手段の使用が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、主記憶手段と、従記憶手段と、前記主記憶手段及び前記従記憶手段のそれぞれに対して画像データの読み出し及び書き込みを行なう読み書き手段を備え、前記主記憶手段から前記従記憶手段を介して読み出された画像データを基に画像形成する画像形成装置であって、あらかじめ測定用データを保管している測定用データ保管手段と、書込み基準時間を記憶している基準時間保管手段と、前記読み書き手段が前記測定用データを前記測定用データ保管手段から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを前記従記憶手段に書込むまでに要した時間である書込み時間を測定する時間測定手段と、前記書込み時間が前記書込み基準時間を超えていることを検知する断片化検知手段と、前記主記憶手段における画像データの再配置を行うデータ再配置手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の画像形成装置は、主記憶手段と、従記憶手段と、前記主記憶手段及び前記従記憶手段のそれぞれに対して画像データの読み出し及び書き込みを行なう読み書き手段を備え、前記主記憶手段から前記従記憶手段を介して読み出された画像データを基に画像形成する画像形成装置であって、あらかじめ測定用データを保管している測定用データ保管手段と、書込み基準時間及び読出し基準時間を記憶している基準時間保管手段と、前記読み書き手段が前記測定用データを前記測定用データ保管手段から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを前記従記憶手段に書込むまでに要した時間である書込み時間、及び、前記読み書き手段が前記主記憶手段に書込まれた前記測定用データを前記主記憶手段から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを前記従記憶手段に書き込むまでに要した時間である読出し時間を測定する時間測定手段と、前記書込み時間が前記書込み基準時間を超えていること、及び、前記読出し時間が前記読出し基準時間を超えていることを検知する断片化検知手段と、前記主記憶手段における画像データの再配置を行うデータ再配置手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記基準時間保管手段は、前記主記憶手段に何も書込まれていない状態における、前記書込み時間に基づき算出した時間を前記書込み基準時間として記憶することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の画像形成装置であって、前記検知が行われた場合に、警告を行なう警告手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の画像形成装置であって、前記データ再配置手段は、設定された時刻に前記画像データの再配置を行い、再配置終了後電源を切ることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置であって、前記検知の情報を保存し、前記画像データの再配置が実行された場合に、前記検知の情報を消去する、断片化情報保存手段をさらに備え、前記検知の情報が前記断片化情報保存手段にない場合にのみ、前記時間測定手段が、前記書込み時間を測定し、前記断片化検知手段が、前記検知を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の画像形成装置によると、画像データの断片化の発生の調査において、実際に記憶しようとする実データとは異なる、容量が固定の測定用データの書込み時間を使用するため、常に同一の測定用データの書込み時間という同じ尺度に基づいて断片化の発生調査を行うことが出来る。これにより、正確な比較に基づく画像データの断片化の発生の調査を行なうことが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の画像形成装置によると、画像データの断片化の発生の調査を、書込み時間の超過の判断及び読出し時間の超過の判断の両方を使用して行なうため、読出し時間が超過しない程度の、断片化が多くなく画像データの再配置の必要性がそれほど高くない場合を断片化の発生の判断から除くことが可能となる。
【0019】
請求項3に記載の画像形成装置によると、書込みの遅延を検出するためのデータと同一の測定用データを使用して、まったく画像データの断片化がない状態の書込み時間を測定することで、書込みの遅延の検出と同一の尺度に基づく最短時間を計測でき、それを基に基準となる時間を求めるので、正確な比較に基づく画像データの断片化の発生の調査を行うことが可能となる。
【0020】
請求項4に記載の画像形成装置によると、ユーザ又は操作者に画像データの断片化の発生の警告が発せられるため、早期にデータの断片化に対処することができ、効率よく記憶手段を使用することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の画像形成装置によると、画像データの再配置を行なう時間を指定することができるので、画像形成などの作業に影響を与えることなく画像データの再配置を行なうことが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の画像形成装置によると、一度画像データの断片化が発生したと判断されれば、画像データの再配置により断片化が解消されるまでは画像データの断片化の発生の調査を行わないため、データの断片化の発生の調査による画像処理装置への負荷を軽減でき、画像形成など作業の効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置全体の制御を行なう実行制御手段1、ハードディスクなどの容量は大きいが動作速度の遅い記憶手段である主記憶手段2、半導体メモリなどの容量は小さいが動作速度の速い記憶手段である従記憶手段3、測定用データ保管手段4、基準時間保管手段5、時間測定手段6、断片化検知手段7、警告手段8、断片化情報保存手段9、及びデータ再配置手段10で構成されている。さらに、実行制御手段1は、各記憶手段への画像データの書き込み、及び、各記憶手段からの画像データの読み出しを行なう、読み書き手段101を有する。ここで、実行制御手段1、時間測定手段6、断片化検知手段7、及びデータ再配置手段10はCPUで構成されている。また、実際には各手段間の処理は実行制御手段1を通して行われるが、以下では説明の都合上、各手段間で直接処理を行っているように記載する場合がある。
【0025】
まず、本実施形態に係る画像形成装置における、画像の出力、画像データの主記憶手段2への保存、及び主記憶手段2に保存された画像データの読み出しについて説明する。まず、スキャナ部などの画像データ入力手段から入力された画像データを受けて、実行制御手段1はプリンタなどの画像出力手段に画像を出力させる。ここで、画像データの入力は外部のクライアント端末から行なわれる場合もある。そして、ユーザ又は操作者により、入力された画像データを主記憶手段2へ保存する指示がある場合には、読み書き手段101は、まず従記憶手段3に一時的に保存した後、さらに、従記憶手段3から保存した画像データを読み出し、主記憶手段2に書き込む。
【0026】
また、主記憶手段2に記憶されている画像データを使用して、画像形成手段に画像形成させる場合には、読み書き手段101は、まず主記憶手段2から画像データを読み出し一時的に従記憶手段3に書き込んだ後、さらに、従記憶手段3から画像データを読み出して画像形成手段に画像形成させる。
【0027】
このように、読み書き手段101は、主記憶手段2への書き込み、及び、主記憶手段2からの読み出しにおいて、一時的に従記憶手段3に画像データを保存する。これは、ハードディスクなどで構成される蓄積用の記憶手段である主記憶手段2は、CPUに比べ動作速度が非常に遅いため、入力された画像データを主記憶手段2に直接書き込んだり、画像データを主記憶手段2から直接読出し画像出力を行なったりした場合、CPUの処理を遅らせる原因となる。そこで、動作速度の速いRAMなどの半導体メモリである従記憶手段3に一時的に保存することで、CPUの処理との同期をとりスムースな処理が行えるようにしている。
【0028】
次に、本発明の画像出力装置による、主記憶手段2における画像データの断片化の発生の調査について説明する。
【0029】
まず、測定用データ保管手段4には、予め5MB程度のデータである測定用データが保管されている。本実施形態では、測定用データとして1ページ50KB程度の画像データ100ページを1組としたデータを使用する。ここで、断片化の調査において、測定用データのサイズに特に制限はないが、データが大きすぎては断片化の発生が起こりやすく、小さすぎては断片化の発生の判断が困難になるため、5MB程度が好適である。また、測定用データ保管手段4は、そこに記憶させた測定用データを読み出すためにのみ使用するものであり、データの断片化の調査において常に同じデータを使用するためには書き込みは禁止されていた方が好ましいため、測定用データ保管手段4はROM(書込み禁止メモリ)で構成されていることが好ましい。
【0030】
次に、実際の読出し時間の基準となる読出し基準時間、及び、実際の書込み時間の基準となる書込み基準時間を、画像データの断片化の調査の前に基準時間保管手段5に保管しておく。そこで、かかる読出し基準時間及び書込み基準時間の算出方法を説明する。
【0031】
主記憶手段2に何も書き込まれていない状態で、読み書き手段101は、測定用データ保管手段4から測定用データを読み出し、その測定用データを主記憶手段2に書き込む。さらに、読み書き手段101は、主記憶手段2に書き込んだ測定用データを主記憶手段2から読み出し、その測定用データを従記憶手段3に書き込む。
【0032】
時間測定手段6は、主記憶手段2に何も書き込まれていない状態における、測定用データが測定用データ保管手段4から読み出され、主記憶手段2に書き込まれるまでにかかった時間である書込み時間、及び、測定用データが主記憶手段2から読み出され、従記憶手段3に書き込まれるまでにかかった時間である読出し時間を測定する。この測定方法としては、例えば書込み時間を測定する場合、測定用データ保管手段4からの読出し処理による実行制御手段1の処理への割込みが発生した時にタイマー(不図示)をリセットし、主記憶手段2への書込み処理が終了するときまでのタイマー値を取得する方法などがある。
【0033】
ここで、主記憶手段2に何も書き込まれていない状態とは、画像データが保存されていない状態であるので書込み時に測定用データの断片化は起こりえない。さらに、主記憶手段2に何も書き込まれていない状態であれば、読み書き手段101は、測定用データを最短の時間で書き込むことが可能であり、その状態で書き込まれた測定用データは最短の時間で読み出すことが可能である。したがって、主記憶手段2に何も書き込まれていない状態における書込み時間及び読出し時間は、書込み時間及び読出し時間の最短時間である。本実施形態では、実際の書込み及び読出しにかかる時間が、書込み時間及び読出し時間の最短時間の2倍を超えている場合に、画像データの断片化が発生していると判断する。そこで、実行制御手段1は、主記憶手段2に何も書き込まれていない状態において時間測定手段6が測定した書込み時間及び読出し時間を2倍したものを書込み基準時間及び読出し基準時間として、基準時間保管手段5に記憶させる。
【0034】
ここで、本実施例では、最短の書込み時間及び読出し時間の2倍で断片化が発生していると判断している。これは、最短時間の2倍以下ということは画像データの断片化がまだ少ない状態であるので、画像データの再配置を行なっても再配置の効果が低い反面、画像形成装置の動作に多くの負荷がかかってしまう。これに対し、最短時間の2倍を超えた場合には、再配置の効果が大きくでるため、早急に画像データの再配置を行う必要があるからである。ただし、この基準は実際には主記憶手段2の性能に依存するものであり、他の値を基準時間として使用してもよい。また、書込み時間及び読出し時間の最短時間のような理想的な時間が事前に分かっている場合(例えば、同じ画像出力装置が複数台あり、そのうちの1台ですでに最短時間の測定がなされている場合。)には、前述した主記憶手段2に何も書き込まれていない状態での時間の測定を行なわずに、その理想的な時間を使用して基準時間を算出してもよい。
【0035】
次に、主記憶手段2に画像データの書き込み及び読み出しが行なわれた後の、画像データの断片化の発生の調査方法を説明する。
【0036】
本実施例では、一日のなるべく早いうちに断片化の発生を発見するために、主記憶手段2に画像データの書き込み及び読出しが行なわれた後の、断片化の発生を調査するタイミングを、一日の最初の朝一番の電源投入時としているが、この断片化の発生調査のタイミングには特に制約はなく、毎日の特定の時間に断片化の発生調査を行うように設定してもよい。
【0037】
朝一番の電源投入時に、読み書き手段101は、測定用データ保管手段4から測定用データを読み出し、その測定用データを主記憶手段2に書き込む。さらに、読み書き手段101は、主記憶手段2に書き込んだ測定用データを主記憶手段2から読み出し、その測定用データを従記憶手段3に書き込む。時間測定手段6は、そのときの書込み時間及び読出し時間を測定する。
【0038】
断片化検知手段7は、該書込み時間が書込み基準時間を超えているか、及び、該読出し時間が読出し基準時間を超えているかを確認し、双方とも基準時間を超えていることを検知した場合には、実行制御手段1に基準時間超過の検知の情報を送る。
【0039】
実行制御手段1は、断片化情報保存手段9に、基準時間超過の検知の情報を保存する。本実施例では、断片化情報保存手段9であるメモリの特定のアドレスの1バイトの領域(以下、「断片化情報領域」という。)に1を書き込む。ここで、この断片化情報領域に0が書き込まれていれば、画像データの断片化が発生していないことを、断片化情報領域に1が書き込まれていれば、画像データの断片化が発生していることを表している。ここで、断片化情報保存手段9は、電源を切っても基準時間超過の検知の情報を保持し続ける必要があるため、不揮発性メモリで構成されていることが好ましい。
【0040】
さらに、断片化検知手段7は、警告手段8に基準時間超過の検知の情報を送る。警告手段8は、モニタなどの表示手段に画像データの断片化発生の情報を表示したり、ポケベルやメールに警告を送信したりする。
【0041】
次に、画像データの断片化の発生調査により、断片化が発生していると判断した後の動作を説明する。
【0042】
実行制御手段1は、断片化情報保存手段9を確認し、断片化情報領域の値が1の場合には、再度の画像データの断片化の発生の調査を行なわない。
【0043】
データ再配置手段10により、主記憶手段2における画像データの再配置が行なわれた場合に、実行制御手段1は、断片化情報保存手段9の断片化情報領域の値を0に書き換えることで、基準時間超過の検知の情報を消去する。ここで、主記憶手段2における画像データの再配置は、自動的に実行制御手段1がデータ再配置手段10に再配置を行なわせてもよいし、ユーザ又は操作者が手動でデータ再配置手段10を起動して再配置を行なってもよい。
【0044】
実行制御手段1は、断片化情報保存手段9を確認し、断片化情報領域の値が0の場合には、画像データの断片化の発生の調査を行なう。
【0045】
次に、図2を参照して、本実施形態における画像データの断片化の発生の調査の流れを説明する。ここで、図2は、画像データの断片化の発生調査のフローチャートである。
【0046】
ステップS001:ユーザ又は操作者による朝一番の電源投入のタイミングで、断片化の発生の調査が開始される。
【0047】
ステップS002:実行制御手段1は、断片化情報保存手段9を確認し、基準時間超過の検知の情報があれば(断片化情報領域=1)、ステップS007に進み、基準時間超過の検知の情報がなければ(断片化情報領域=0)、ステップS002に進む。
【0048】
ステップS003:読み書き手段101は、測定用データ保管手段4から測定用データを読み出し、主記憶手段2に書き込む。時間測定手段6は、書込み時間を測定する。
【0049】
ステップS004:読み書き手段101は、測定用データを主記憶手段2から読み出し、従記憶手段3に書き込む。時間測定手段6は、読み出し時間を測定する。
【0050】
ステップS005:断片化検出手段7は、測定した書込み時間及び読出し時間の双方が基準時間保管手段5に保管されている書込み基準時間及び読出し基準時間を超えているか否かを判断。双方が基準時間を超えていればステップS006に進み、片方でも基準時間を超えていなければ画像データの断片化の発生調査は終了する。
【0051】
ステップS006:実行制御手段1は、断片化検出手段7から基準時間超過の検知の情報を受けて、断片化情報保存手段9に、基準時間超過の検知の情報を保存する(断片化情報領域=1)。
【0052】
ステップS007:断片化検出手段7は、警告手段8に基準時間超過の検知の情報を送り、警告手段8は、モニタなどに画像データの断片化の発生の情報を表示するなどして、ユーザ又は操作者に警告を行なう。
【0053】
ステップS008:実行制御手段1は、データ再配置手段10が主記憶手段2の画像データの再配置を行なったかを確認する。再配置が行なわれている場合には、ステップS009に進み、再配置が行なわれていない場合には、そのまま画像データの断片化の発生の調査を終了する。
【0054】
ステップS009:実行制御手段1は、画像データの再配置の信号を受けて、断片化情報保存手段9の基準時間超過の検知の情報を消去(断片化情報領域=0)した後、画像データの断片化の発生の調査を終了する。
【0055】
以上により、本実施形態における画像形成装置は、常に、実データとは異なる、容量が固定の測定用データを使用し、さらに、その測定用データを用いて最短の書込み時間及び読出し時間を計測し、それを基に算出した基準時間により、書込み時間及び読出し時間の遅延を測定するので、常に同じ尺度に基づいて書込み時間及び読出し時間を計測することができ、正確な比較に基づく画像データの断片化の発生調査を行なうことが可能となる。さらに、既に画像データの断片化が発生していると判断されている場合には、画像データの再配置が行なわれない限り、断片化の調査を行なわないため、画像処理装置への負荷を軽減でき、画像形成など作業の効率を向上させることが可能となる。
【0056】
ここで、本実施形態では、断片化の発生を受けて行なう画像データの再配置によるCPUへの負荷を減らすために、書込み時間及び読出し時間の双方の遅延を測定して断片化を判断することで、断片化があまり多くない場合を断片化の発生の判断から除いているが、書込み時間だけの遅延を測定して画像データの断片化を判断してもよい。
【0057】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。本実施形態にかかる画像形成装置は、第1の実施形態における画像形成装置に、図1の点線で示す設定時刻入力手段11をさらに備えたものである。
【0058】
以下、本実施形態における画像形成装置の動作を説明する。断片化検知手段7が書込み時間及び読出し時間の双方が基準時間を超えたことを検知し、警告手段8がユーザ又は操作者に警告を通知した場合に、ユーザ又は操作者が、設定時刻入力手段11を使用して、主記憶手段2の画像データの再配置を行なう時刻を設定する。
【0059】
設定時刻入力手段11は、図3に示すような操作画面を有する。図3は、設定時刻入力手段11の概略図である。実行オプションボタン12は画像データの再配置を行なう時刻の設定の種類(以下、「実行オプション」という。)を設定するためのボタンであり、電源切断設定ボタン13は画像データの再配置後に電源を切断する設定を行なうボタンであり、数字入力ボタン14は実行オプションで時刻や時間を入力する際に数値を入力するためのボタンである。
【0060】
ここで、実行オプションボタン12で設定される実行オプションとしては、設定した直後に画像データの再配置を開始する即実行、指定した時刻に画像データの再配置を開始する時刻指定で実行、及び、現在時刻から指定時間が経過した後に画像データの再配置を開始する相対時間で実行などがある。例えば、現在の時刻が18:00として、画像データの再配置を0:00に開始させる場合には、時刻指定で実行では、0:00と指定すればよく、相対時間で実行では、6時間後を指定すればよい。
【0061】
また、設定時刻入力手段11は、画像データの再配置の実行オプションとは別に、画像データの再配置完了後電源を切断するための電源切断設定ボタン13を備えている。ユーザ又は操作者が、電源切断設定ボタン13をONにすることで、画像データの再配置の実行後に自動的に画像形成装置の電源が切断させる。
【0062】
次に、実行制御手段1は、設定時刻入力手段11からの設定の入力を受けて、設定時刻になったときに、データ再配置手段10に主記憶手段2の画像データの再配置を行なわせる。
【0063】
実行制御手段1は、設定時刻入力手段11から電源切断の設定を受けている場合には、データ再配置手段10からの画像データの再配置完了の通知を受けて、画像形成装置の電源を切断する。
【0064】
次に、図4を参照して画像データの再配置の流れを説明する。ここで、図4は本実施形態における画像データの再配置のフローチャートである。
【0065】
ステップS101:実行制御手段1は、設定時刻入力手段11から入力された設定に、指定時刻で実行の設定があるか否かを確認する。指定時刻で実行の設定があれば、ステップS105に進み、指定時刻で実行の設定がなければ、ステップS102に進む。
【0066】
ステップS102:実行制御手段1は、設定時刻入力手段11から入力された設定に、相対時間で実行の設定があるか否かを確認する。相対時間で実行の設定があれば、ステップS104に進み、相対時間で実行の設定がなければ、ステップS103に進む。
【0067】
ステップS103:実行制御手段1は、画像データの再配置の開始時刻を現在時刻に設定する。
【0068】
ステップS104:実行制御手段1は、画像データの再配置の開始時刻を現在時刻に設定された相対時刻を加えた時刻に設定する。
【0069】
ステップS105:実行制御手段1は、画像データの再配置の開始時刻を設定された指定時刻に設定する。
【0070】
ステップS106:実行制御手段1は、実行制御手段1の内部のタイマーを参照し指定された開始時刻になったか否かを判断する。実行制御手段1は、開始時刻になるまでこの判断を繰り返し、開始時刻になった場合にはステップS107に進む。
【0071】
ステップS107:設定した開始時刻になると、実行制御手段1は、データ再配置手段10による主記憶手段2の画像データの再配置を開始させる。
【0072】
ステップS108:データ再配置手段10は、主記憶手段2の画像データの再配置を完了すると、画像データの再配置の完了を実行制御手段1に通知する。
【0073】
ステップS109:実行制御手段1は、設定時刻入力手段11から入力された設定に、画像データの再配置完了後に電源を切断する設定があるか否かを確認する。電源切断の設定があれば、ステップS110に進み、電源切断の設定がなければ、画像データの再配置を終了する。
【0074】
ステップS110:実行制御手段1は、画像形成装置の電源を切断する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る画像形成装置のブロック図
【図2】本発明に係る画像データの発生調査のフローチャート
【図3】設定時刻入力手段の概略図
【図4】第2の実施形態に係る画像データの再配置のフローチャート
【符号の説明】
【0076】
1 実行制御手段
101 読み書き手段
2 主記憶手段
3 従記憶手段
4 測定用データ保管手段
5 基準時間保管手段
6 時間測定手段
7 断片化検知手段
8 警告手段
9 断片化情報保存手段
10 データ再配置手段
11 設定時刻入力手段
12 実行オプションボタン
13 電源切断設定ボタン
14 数字入力ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主記憶手段と、従記憶手段と、前記主記憶手段及び前記従記憶手段のそれぞれに対して画像データの読み出し及び書き込みを行なう読み書き手段を備え、
前記主記憶手段から前記従記憶手段を介して読み出された画像データを基に画像形成する画像形成装置であって、
あらかじめ測定用データを保管している測定用データ保管手段と、
書込み基準時間を記憶している基準時間保管手段と、
前記読み書き手段が前記測定用データを前記測定用データ保管手段から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを前記従記憶手段に書込むまでに要した時間である書込み時間を測定する時間測定手段と、
前記書込み時間が前記書込み基準時間を超えていることを検知する断片化検知手段と、
前記主記憶手段における画像データの再配置を行うデータ再配置手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
主記憶手段と、従記憶手段と、前記主記憶手段及び前記従記憶手段のそれぞれに対して画像データの読み出し及び書き込みを行なう読み書き手段を備え、
前記主記憶手段から前記従記憶手段を介して読み出された画像データを基に画像形成する画像形成装置であって、
あらかじめ測定用データを保管している測定用データ保管手段と、
書込み基準時間及び読出し基準時間を記憶している基準時間保管手段と、
前記読み書き手段が前記測定用データを前記測定用データ保管手段から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを前記従記憶手段に書込むまでに要した時間である書込み時間、及び、前記読み書き手段が前記主記憶手段に書込まれた前記測定用データを前記主記憶手段から読み出し、かつ、該読み出した測定用データを前記従記憶手段に書き込むまでに要した時間である読出し時間を測定する時間測定手段と、
前記書込み時間が前記書込み基準時間を超えていること、及び、前記読出し時間が前記読出し基準時間を超えていることを検知する断片化検知手段と、
前記主記憶手段における画像データの再配置を行うデータ再配置手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記基準時間保管手段は、前記主記憶手段に何も書込まれていない状態における、前記書込み時間に基づき算出した時間を前記書込み基準時間として記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知が行われた場合に、警告を行なう警告手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記データ再配置手段は、設定された時刻に前記画像データの再配置を行い、再配置終了後電源を切ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知の情報を保存し、前記画像データの再配置が実行された場合に、前記検知の情報を消去する、断片化情報保存手段をさらに備え、
前記検知の情報が前記断片化情報保存手段にない場合にのみ、
前記時間測定手段が、前記書込み時間を測定し、
前記断片化検知手段が、前記検知を行なう
ことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−5105(P2008−5105A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171215(P2006−171215)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】