説明

画像形成装置

【課題】跳ね音防止を行いつつ、レーザプリンタの低背化を可能にする。
【解決手段】本発明のレーザプリンタ1は、定着器21の下流側に設けられ用紙3を湾曲させて進入方向と異なる方向にガイドする案内面91を有する湾曲ガイド90と、湾曲ガイド90と定着器21との間に配され用紙3に接してそれを湾曲ガイド90の入口に案内するための案内ローラ60と、この案内ローラ60を、用紙3が湾曲ガイド90の入口の案内面91から浮いた状態となるように用紙3を案内する離間位置と、用紙3が離間位置よりは湾曲ガイド90の入口の案内面91に接近した状態となるように用紙3を案内する接近位置との間で移動可能とするローラ支持部62と、案内ローラ60を、用紙3の前端が湾曲ガイド90の入口に進入する前に離間位置に移動させ、用紙3の後端が前記案内ローラを通過する前に接近位置に移動させるソレノイド部80とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一般的構造としては、用紙を搬送するための搬送経路を備え、搬送経路の途上には、湾曲状の案内面を有し用紙の搬送方向を反転させる湾曲ガイドが設けられている。搬送経路の上流側から湾曲ガイドの入口に搬送された用紙の前端は、湾曲ガイドの入口の案内面から浮かせた位置となるように設定されている。これは、用紙の先端が湾曲ガイドの入口で引っ掛かることを防ぐためである。しかしながら、用紙の後端が湾曲ガイドの入口に到達すると、用紙の後端が弾性反力により湾曲ガイドの入口の案内面を叩打し、跳ね音が発生してしまう。一方、画像形成装置の市場では、より低背化した商品が求められ、画像形成装置の低背化に伴って湾曲ガイドも低背化し、湾曲ガイドの曲率半径が従来よりも小さくなることで跳ね音が増大し、低背化に対する障害となっている。
【0003】
従来、跳ね音を防止するためのガイド部材を設けた画像形成装置として、下記特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、用紙を給紙する給紙カセットと、この給紙カセットの下流側に配された湾曲ガイドとの間にガイド部材を設けて、用紙の後端がガイド部材によって湾曲ガイドの案内面に案内されるようにしたものである。
【特許文献1】特開平5−116800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この画像形成装置は、湾曲ガイドとは別にガイド部材を設けているため、湾曲ガイドを低背化すると、ガイド部材を設置するスペースを確保することができなくなり、画像形成装置を低背化することが困難になってしまう。このように、跳ね音を防止するという課題と画像形成装置の低背化という課題とは相容れない事情があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、跳ね音防止を行いつつ、画像形成装置の低背化を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、搬送経路に沿って被記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記搬送経路の途中に設けられ前記被記録媒体を湾曲させて進入方向と異なる方向にガイドする案内面を有する湾曲ガイドと、前記搬送経路において前記湾曲ガイドの入口より上流側に配され前記被記録媒体に接してそれを前記湾曲ガイドの入口に案内するための案内ローラと、この案内ローラを、前記被記録媒体が前記湾曲ガイドの入口の前記案内面から浮いた状態となるように前記被記録媒体を案内する離間位置と、前記被記録媒体が前記湾曲ガイドの入口の前記案内面に接した又は前記離間位置よりは前記湾曲ガイドの入口の前記案内面に接近した状態となるように前記被記録媒体を案内する接近位置との間で移動可能とするローラ支持機構と、前記案内ローラを、前記被記録媒体の前端が前記湾曲ガイドの入口に進入する前に前記離間位置に移動させ、前記被記録媒体の後端が前記案内ローラを通過する前に前記接近位置に移動させるローラ駆動手段とを備える構成としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ローラ駆動手段は、前記被記録媒体が前記湾曲ガイドに接近していることを検出するセンサと、前記センサからの信号に基づいて前記案内ローラを移動させるソレノイド機構とを備えているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記センサは、前記湾曲ガイドの入口より上流側であって前記被記録媒体の前端が前記湾曲ガイドの入口に進入したときにおける前記被記録媒体の後端より下流側に配置され、前記ソレノイド機構は、前記センサが前記被記録媒体を検出したことを条件に前記案内ローラを前記離間位置に移動させるところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記搬送手段は、前記湾曲ガイドの入口において、前記案内ローラとの間に前記被記録媒体の搬送経路を挟んで対向する駆動ローラを備えるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記湾曲ガイドには、前記案内面と対応する湾曲形状を有するガイド部材が対向配置されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によると、被記録媒体の前端が湾曲ガイドの入口に進入する前にローラ駆動手段によって案内ローラを離間位置に移動させることができる。これにより、被記録媒体の前端が湾曲ガイドの入口で引っ掛かることを防ぐことができる。その後、被記録媒体の後端が案内ローラを通過する前にローラ駆動手段によって案内ローラを接近位置に移動させることができる。これにより、被記録媒体の後端が跳ね返りによって湾曲ガイドの入口の案内面を叩打して跳ね音が発生するおそれがない。したがって、本来的に必要な案内ローラを用いて跳ね音防止を行うことで、画像形成装置の低背化に対応することが可能である。
【0012】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によると、被記録媒体が湾曲ガイドに接近していることをセンサが検出して信号を発信し、この信号に基づいてソレノイド機構で駆動力を発生させて案内ローラを移動させることができる。
【0013】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によると、被記録媒体の前端が湾曲ガイドの入口に進入する前に案内ローラを離間位置に移動させることができる。これにより、被記録媒体を案内ローラで確実に案内することができる。そして、被記録媒体の前端が湾曲ガイドの入口に進入した後に案内ローラを接近位置に移動させることができる。これにより、被記録媒体が湾曲ガイドの入口部分で引っ掛かることを確実に防ぐことができる。
【0014】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によると、離間位置にある案内ローラと駆動ローラとの間で被記録媒体を挟んで湾曲ガイドに搬送することができる。すなわち、案内ローラを駆動ローラに対する従動ローラとして機能させることができる。したがって、案内ローラとは別に従動ローラを設けなくてもよい。
【0015】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によると、被記録媒体が湾曲ガイドに進入すると案内面とガイド部材との間で被記録媒体を搬送することができる。したがって、被記録媒体を湾曲ガイド内で案内面に沿って安定して搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。
[レーザプリンタの全体構成]
図1は、レーザプリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)1の一実施形態を示す要部側断面図である。図1において、このレーザプリンタ1は、本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内において用紙(本発明の「被記録媒体」の一例)3を給紙するための給紙機構部4と、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部(本発明の「画像形成手段」の一例)5と、画像形成された用紙3を排紙するための排紙機構部(本発明の「搬送手段」の一例)6とを備えている。なお、以下の説明においては、図1における右側を前方とする。
【0017】
本体ケーシング2の前側の側壁には、後述するプロセスカートリッジ20を着脱するための着脱口7が形成されており、その着脱口7を開閉するためのフロントカバー(図示しない)が設けられている。フロントカバーを開くと着脱口7が開放され、この着脱口7を介して、プロセスカートリッジ20を本体ケーシング2に対して着脱させることができる。また、本体ケーシング2の下部には、画像を形成するための用紙3が積載される給紙トレイ9が前方へ引き出し可能に装着されている。
【0018】
給紙トレイ9は、用紙3を積層状に収容し得る上面が開放されたボックス形状をなし、その下部には、用紙押圧板15が設けられている。用紙押圧板15は、用紙3を積層状に載置可能とされ、その後端部において揺動可能に支持されることによって、その前端部が用紙3の積層量に応じて上下方向に移動可能とされる。
【0019】
給紙トレイ9の前端部には、用紙押圧板15の前端部を上方に持ち上げるためのレバー17が設けられている。このレバー17は、用紙押圧板15の前側から下側へ回り込むように断面略L字状に形成されており、その上端部が、給紙トレイ9の前端部に設けられたレバー軸18に取り付けられ、その後端部が、用紙押圧板15の前端部の下面に当接している。これによって、レバー軸18が図中時計回りに回転駆動されると、レバー17がレバー軸18を支点として回転し、レバー17の後端部が用紙押圧板15の前端部を持ち上げる。なお、給紙トレイ9を本体ケーシング2から離脱させると、用紙押圧板15は、その自重によって下向きに移動する。
【0020】
給紙機構部4は、給紙トレイ9の前端上方に位置する給紙ローラ10と、給紙ローラ10の後方にあって給紙トレイ9の最上位の用紙3に接するピックアップローラ12とを備えている。給紙ローラ10の外周面のうち前半分と対向する位置には、用紙3の搬送方向を反転させてガイドするガイド面16を有する反転ガイド37が設けられており、給紙ローラ10の外周面とガイド面16との間を用紙3が通過する。反転ガイド37の入口部分には、バネの付勢力により給紙ローラ10に圧接する分離パッド11が設けられている。さらに、反転ガイド37の搬送途上には、分離パッド11の下流側に位置するピンチローラ13と、ピンチローラ13の下流側に位置する紙粉取りローラ8とがそれぞれ給紙ローラ10と対向配置されている。
【0021】
給紙トレイ9の最上位の用紙3は、用紙押圧板15によってピックアップローラ12に向かって押圧され、ピックアップローラ12の回転によって反転ガイド37の入口へ送り出され、給紙ローラ10と分離パッド11との間に挟まれたときに1枚ごとに分離される。そして、ピックアップローラ12及び分離バッド11の間から送り出された用紙3は、給紙ローラ10とピンチローラ13との間及び給紙ローラ10と紙粉取りローラ8との間に挟まれて反転ガイド37の出口から排出され、給紙ローラ10の斜め後上方に配されたレジストローラ14へ搬送される。
【0022】
レジストローラ14は、一対のローラから構成されており、用紙3の斜行を矯正して、この用紙3を画像形成位置(後述する感光ドラム29と転写ローラ32との接触部分)へと送り出す。
画像形成部5は、スキャナ部19、プロセスカートリッジ20、定着器21などを備えている。
【0023】
スキャナ部19は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ光源(図示しない)、回転駆動されるポリゴンミラー22、fθレンズ23、反射鏡24、レンズ25、及び反射鏡26などを備えている。レーザ光源から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー22で偏向されて、fθレンズ23を通過した後、反射鏡24によって光路が下方に屈曲されることにより、プロセスカートリッジ20の後述する感光ドラム29のドラム本体34の表面上に照射される。
【0024】
プロセスカートリッジ20は、スキャナ部19の下方に配され、筐体として、上フレーム27と、上フレーム27と別体に形成されて、上フレーム27と組み合わされる下フレーム28とを備えている。また、プロセスカートリッジ20は、筐体内に、感光ドラム29、帯電器としてのスコロトロン型帯電器30(以下、単に帯電器30ともいう)、現像カートリッジ31、転写ローラ32、及びクリーニングブラシ33を備えている。
【0025】
感光ドラム29は、円筒形状をなし、最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成されるドラム本体34と、このドラム本体34の軸心において、ドラム本体34の長手方向に沿って延びる金属性のドラム軸35とを備えている。ドラム軸35が上フレーム27に支持され、このドラム軸35に対してドラム本体34が回転自在に支持されることにより、感光ドラム29は、上フレーム27において、ドラム軸35を中心に回転自在に設けられている。
【0026】
スコロトロン型帯電器30は、感光ドラム29の後側斜め上方において、感光ドラム29と接触しないように所定間隔を隔てて、感光ドラム29と対向配置されている。このスコロトロン型帯電器30は、タングステン等の帯電用ワイヤ(図示せず)からコロナ放電を発生させることにより、感光ドラム29の表面を一様に正極性に帯電させる。
【0027】
現像カートリッジ31は、後側が開放されたボックス形状をなし、下フレーム28に対して着脱自在に装着されている。この現像カートリッジ31内には、トナー収容室39、供給ローラ40、現像ローラ41及び層厚規制ブレード42が設けられている。
【0028】
トナー収容室39は、仕切板43によって仕切られた現像カートリッジ31の前側の内部空間として形成されている。トナー収容室39内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。このトナーとしては、重合性単量体、例えば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリラート、アルキル(C1〜C4)メタクリラートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などによって共重合させることにより得られる重合トナーが用いられている。このような重合トナーは、略球状をなし、流動性が極めて良好であり、高画質の画像形成を達成することができる。
【0029】
なお、このようなトナーには、カーボンブラックなどの着色剤やワックスなどが配合され、また、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。トナーの平均粒径は、約6〜10μmである。
【0030】
また、トナー収容室39内には、アジテータ44が設けられている。トナー収容室39内のトナーは、アジテータ44により撹拌されて、仕切板43の下方において前後方向に連通する開口部45から供給ローラ40に向かって放出される。
【0031】
供給ローラ40は、開口部45の後側に配置されて、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。この供給ローラ40は、金属製のローラ軸を、導電性の発泡材料からなるローラで被覆することにより構成されている。この供給ローラ40は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0032】
現像ローラ41は、供給ローラ40の後側において、供給ローラ40と互いに圧縮されるように接触した状態で、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。また、現像ローラ41は、現像カートリッジ31が下フレーム28に装着された状態で、感光ドラム29に対向して接触する。この現像ローラ41は、金属製のローラ軸38を、導電性のゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。ローラ軸38は、現像カートリッジ31の後端部において、その両端部が現像カートリッジ31の側面から前後方向と直交する幅方向外方に突出している。
【0033】
現像ローラ41のローラは、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。現像ローラ41には、現像時に現像バイアスが印加される。また、現像ローラ41は、図示しないモータからの動力の入力により、供給ローラ40と同じ方向に回転駆動される。
【0034】
層厚規制ブレード42は、金属の板ばね材からなるブレード本体46の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部47を備えている。この層厚規制ブレード42は、現像ローラ41の上方において現像カートリッジ31に支持されて、押圧部47がブレード本体46の弾性力によって現像ローラ41上に圧接されている。
【0035】
開口部45から放出されたトナーは、供給ローラ40の回転により、現像ローラ41に供給され、このとき、供給ローラ40と現像ローラ41との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ41上に供給されたトナーは、現像ローラ41の回転に伴って、層厚規制ブレード42の押圧部47と現像ローラ41との間に進入し、ここでさらに帯電されて一定厚さの薄層として現像ローラ41上に担持される。
【0036】
転写ローラ32は、下フレーム28に回転自在に支持されており、上フレーム27と下フレーム28とが組み合わされた状態において、感光ドラム29と上下方向において対向して接触し、感光ドラム29との間にニップを形成するように配置されている。この転写ローラ32は、金属製のローラ軸36を、導電性のゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。転写ローラ32には、転写時に転写バイアスが印加される。また、転写ローラ32は、図示しないモータからの動力の入力により、感光ドラム29と反対方向に回転駆動される。
【0037】
クリーニングブラシ33は、下フレーム28に取り付けられており、上フレーム27と下フレーム28とが組み合わされた状態において、感光ドラム29の後側において、感光ドラム29と対向して接触するように配置されている。
【0038】
感光ドラム29の表面は、その感光ドラム29の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器30により一様に正帯電された後、スキャナ部19からのレーザビームの高速走査により露光され、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0039】
次いで、現像ローラ41の回転により、現像ローラ41上に担持されかつ正帯電されているトナーが感光ドラム29に対向して接触するときに、感光ドラム29の表面上に形成されている静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム29の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光ドラム29の静電潜像は、可視像化され、感光ドラム29の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0040】
その後、感光ドラム29の表面上に担持されたトナー像は、レジストローラ14によって搬送されてくる用紙3が、感光ドラム29と転写ローラ32との間の転写位置を通る間に、転写ローラ32に印加される転写バイアスによって、用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、定着器21に搬送される。
なお、転写後に感光ドラム29上に残存する転写残トナーは、現像ローラ41に回収される。また、転写後に感光ドラム29上に付着する用紙3からの紙粉は、クリーニングブラシ33によって回収される。
【0041】
定着器21は、プロセスカートリッジ20の後側に設けられ、定着フレーム48と、加熱ローラ49と、加圧ローラ50と、用紙通過センサ(本発明の「センサ」の一例)51とを備えている。加熱ローラ49と加圧ローラ50は、定着フレーム48内に設けられている。用紙通過センサ51は、加熱ローラ49及び加圧ローラ50の下流側に配されており、定着フレーム48に連結して設けられた支持部材52の途中で回動可能に取り付けられている。
【0042】
加熱ローラ49は、表面がフッ素樹脂によってコーティングされた金属管と、その金属管内に加熱のためのハロゲンランプとを備え、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
加圧ローラ50は、加熱ローラ49の下方において、加熱ローラ49を押圧するように対向配置されている。この加圧ローラ50は、金属製のローラ軸を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されており、加熱ローラ49の回転駆動に従って従動されている。
【0043】
定着器21では、転写位置において用紙3上に転写されたトナーを用紙3が加熱ローラ49と加圧ローラ50との間を通過する間に熱定着させる。トナーが定着した用紙3は、用紙通過センサ51へと送り出される。
【0044】
用紙通過センサ51は、後述する湾曲ガイド90の入口(上流側端部)より上流側であって用紙3の前端が湾曲ガイド90の入口に進入したときにおける用紙3の後端より下流側に配置されている。この用紙通過センサ51は用紙3の通過を検知するアクチュエータであって、支持部材52によって軸支された基端部53を有し、その基端部53を軸心として回動可能に設けられている。さらに用紙通過センサ51は、基端部53から用紙3の搬送経路と交差する方向に突出する接触部56と、基端部53から接触部56が突出する方向とは反対側に突出する遮蔽板54とを備えている。また、遮蔽板54の両側には、発光素子を備えた発光板と受光素子を備えた受光板とが対向配置されたフォトインタラプタ55が設けられている。
【0045】
用紙通過センサ51は、用紙3が通過していないときにはばね(図示しない)のばね力によって接触部56が用紙3の搬送経路と交差する非検出位置に保持されるものの、加熱ローラ49と加圧ローラ50との間から搬送された用紙3の先端が接触部56に接触すると、基端部54を中心として図示反時計回り方向に回動して接触部56が用紙3の下面と摺接する検出位置に至る。そして、用紙3の後端が接触部56を通過すると、用紙通過センサ51はばね力によって図示時計回り方向に回動して非検出位置に復帰する。この用紙通過センサ51は、検出位置にあるときにはフォトインタラプタ55の発光素子から受光素子へ向かう光路を遮らない(交差しない)ように位置してON状態(図1及び図2状態)となり後述するソレノイド部(本発明の「ソレノイド機構」の一例)80へ信号を送出するものの、非検出位置にあるときにはフォトインタラプタ55の前記光路を遮るように位置してOFF状態(図3状態)となり前記信号の送出が停止される。
【0046】
[排紙機構部の構成]
排紙機構部6は、用紙通過センサ51の下流側に配された案内ローラ60と、案内ローラ60の上方において案内ローラ60と対向配置された駆動ローラ70と、案内ローラ60を上下動させるソレノイド部80と、湾曲形状をなし、用紙3の搬送方向を反転させる湾曲ガイド90と、排紙トレイ100へ用紙3を排出する排紙ローラ110とを備えている。
【0047】
案内ローラ60は、ローラ軸61を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。ローラ軸61は、ローラ支持部(本発明の「ローラ支持機構」の一例)62によって回動可能に支持されている。
駆動ローラ70は、ローラ軸71を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されており、図示しないモータからの動力の入力により、時計回り方向に回転駆動される。案内ローラ60は、駆動ローラ70の回転駆動に従って従動されている。加熱ローラ49と加圧ローラ50との間から搬送された用紙3は、案内ローラ60と駆動ローラ70との間に挟まれて下流側へと搬送される。
【0048】
湾曲ガイド90は、その入口が案内ローラ60及び駆動ローラ70の下流側に配されると共に、その出口(下流側端部)が排紙ローラ110に接続されている。この湾曲ガイド90は、案内ローラ60と駆動ローラ70との間から後方に向けて搬送された用紙3に摺接して反転させることで前方へガイドする案内面91を有している。また、湾曲ガイド90には、案内面91と対応する湾曲形状を有するガイド部材92が対向配置されている。
【0049】
排紙トレイ100は、本体ケーシング2の上面を下方に凹設することにより形成されている。排紙トレイ100の底面には、前方に向けて上り勾配をなす載置面101が設けられ、その載置面101の後端には、排紙ローラ110に向けて鉛直方向に切り立った形状をなす用紙後端受け部102が設けられている。用紙3が排紙ローラ110から排紙トレイ100に排紙されると、用紙3が載置面101上に載置されると共に、用紙3の後端が用紙後端受け部102によって支持される。
【0050】
排紙ローラ110は、ローラ軸111を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されており、図示しないモータからの動力の入力により、反時計回り方向に回転駆動される。排紙ローラ110の前方斜め下側には、補助ローラ112が排紙ローラ110に対向配置されている。補助ローラ112は、排紙ローラ110の回転駆動に従って従動されている。湾曲ガイド90の下流側端部から搬送された用紙3は、排紙ローラ110と補助ローラ112との間に挟まれて排紙トレイ100の載置面101へと送り出される。
【0051】
ローラ支持部62は、ソレノイド部80の可動軸81に直結されると共に、可動軸81に連動して上下動可能である。これにより、案内ローラ60は、用紙3が湾曲ガイド90の入口の案内面91から浮いた状態となるように用紙3を案内する離間位置と、用紙3が湾曲ガイド90の入口の案内面91に接した又は離間位置よりは湾曲ガイド90の入口の案内面91に接近した状態となるように用紙3を案内する接近位置との間で移動可能である。
【0052】
ソレノイド部80は、用紙通過センサ51から送出された信号に基づいて軸方向に上下動可能な可動軸81を備えている。具体的には、用紙通過センサ51から信号が送出されていない状態(OFF状態)では可動軸81を下方位置にて待機させて案内ローラ60を接近位置に保持するものの、用紙通過センサ51から信号が送出されている状態(ON状態)では可動軸81を上方へ移動させて案内ローラ60を駆動ローラ70に圧接させると共に、案内ローラ60を離間位置に保持する。すなわち、ソレノイド部80は、用紙通過センサ51が用紙3を検出したことを条件に案内ローラ60を離間位置に移動させるようにしている。
【0053】
なお、案内ローラ60を上下に移動させるソレノイド部80には、ゴム材料からなる衝撃吸収用の緩衝パッド(図示しない)が設けられている。この緩衝パッドは、離間位置にある案内ローラ60が接近位置へ移動したときに案内ローラ60が接近位置に至る直前に可動部分の一部が緩衝パッドに接触することで衝撃を緩和し、例えば、ソレノイド部80の内部で可動軸81の下端部と可動軸81を収容する凹部(図示しない)の底面とが勢い良く当たり合って衝撃音が発生したりすることを規制するためのものである。
【0054】
加熱ローラ49と加圧ローラ50との間から搬送された用紙3の先端は、非検出位置にある用紙通過センサ51の接触部56に接触すると共に、用紙通過センサ51を図示反時計回り方向に回動させて検出位置に至らしめる。これにより、用紙通過センサ51からソレノイド部80に向けて信号が送られ、この信号に基づいて下方位置にある可動軸81を上方位置に移動させると共に、接近位置にある案内ローラ60を離間位置へと移動させる。案内ローラ60は、駆動ローラ70の回転駆動に伴って従動し、用紙3の先端が案内ローラ60と駆動ローラ70との間に挟まれると、用紙3を湾曲ガイド90の入口に向けて搬送する。
【0055】
案内ローラ60と駆動ローラ70との間から搬送された用紙3の先端は、湾曲ガイド90の入口の案内面91から浮いた状態で湾曲ガイド90の内部へと進入し、案内面90に沿って上方へと案内される。用紙3の先端は、案内面90に沿って上方から前方へと次第に向きを変えつつ、案内面91とガイド部材92との間を進んでいくと、排紙ローラ110と補助ローラ112との間に挟まれると共に、排紙トレイ100へと排紙される。
【0056】
一方、用紙3の後端は、検出位置にある用紙通過センサ51の接触部56を通過すると、用紙通過センサ51が図示時計回り方向に回動して非検出位置へ至ると共に、ソレノイド部80へ向けた信号の送出が停止される。ソレノイド部80は、用紙通過センサ51からの信号の送出が停止されると、可動軸81を下方位置へ移動させると共に、離間位置にある案内ローラ60を接近位置へ移動させる。このとき用紙3は、その弾性力により案内ローラ60の表面と接触した状態のまま移動し、湾曲ガイド90の入口の案内面91に接した又は案内ローラ60が離間位置にあるときよりは同案内面91に接近した状態となる。したがって、用紙3の後端は、湾曲ガイド90の入口における案内面91を叩打して跳ね音を発生させることなく、同案内面91に沿って湾曲ガイド90内に進入する。そして、用紙3の後端が案内面91に沿って移動し、排紙ローラ110と補助ローラ112との間を通過すると、用紙3が排紙トレイ100の載置面101上に載置される。
【0057】
以上のように本実施形態では、次に示す効果を奏することができる。
1.用紙3の前端が湾曲ガイド90の入口に進入する前に用紙通過センサ51及びソレノイド部80によって案内ローラ60を離間位置に移動させることができる。これにより、用紙3の前端が湾曲ガイド90の入口で引っ掛かることを防ぐことができる。その後、用紙3の後端が案内ローラ60を通過する前に用紙通過センサ51及びソレノイド部80によって案内ローラ60を接近位置に移動させることができる。これにより、用紙3の後端が跳ね返りによって湾曲ガイド90の入口の案内面91を叩打して跳ね音が発生するおそれがない。したがって、本来的に必要な案内ローラ60を用いて跳ね音防止を行うことで、レーザプリンタ1の低背化に対応することが可能である。
【0058】
2.用紙3が湾曲ガイド90に接近していることを用紙通過センサ51が検出して信号を発信し、この信号に基づいてソレノイド部80で駆動力を発生させて案内ローラ60を移動させることができる。
【0059】
3.用紙3の前端が湾曲ガイド90の入口に進入する前に案内ローラ60を離間位置に移動させることができる。これにより、用紙3を案内ローラ60で確実に案内することができる。そして、用紙3の前端が湾曲ガイド90の入口に進入した後に案内ローラ60を接近位置に移動させることができる。これにより、用紙3が湾曲ガイド90の入口部分で引っ掛かることを確実に防ぐことができる。
【0060】
4.離間位置にある案内ローラ60と駆動ローラ70との間で用紙3を挟んで湾曲ガイド90に搬送することができる。すなわち、案内ローラ60を駆動ローラ70に対する従動ローラとして機能させることができる。したがって、案内ローラ60とは別に従動ローラを設けなくてもよい。
【0061】
5.用紙3が湾曲ガイド90に進入すると案内面91とガイド部材92との間で用紙3を搬送することができる。したがって、用紙3を湾曲ガイド90内で案内面91に沿って安定して搬送することができる。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)本実施形態では排紙機構部6に適用したものを例示しているが、本発明によれば、給紙機構部4に適用してもよい。具体的には、ピンチローラ(本発明の「案内ローラ」の一例)13を支持する部材(本発明の「ローラ支持機構」の一例)に、ピンチローラ13を給紙ローラ(本発明の「駆動ローラ」の一例)10に対して接近及び離間させるソレノイド部(本発明の「ソレノイド機構」の一例)を設けると共に、用紙通過センサ(本発明の「センサ」の一例)をソレノイド部の上流側に設けるようにすればよい。
【0064】
(2)本実施形態ではセンサとして接触式の用紙通過センサ51を用いたものを例示したが、本発明によれば、非接触式の透過型光センサを用いた構成としてもよい。例えば、用紙3の搬送経路を横切るようにして発光側センサと受光側センサを配置し、用紙3を検出したことを条件に案内ローラ60を離間位置に移動させるようにしてもよい。
【0065】
(3)本実施形態ではソレノイド機構を用いたものを例示したが、本発明によれば、例えばステッピングモータなどを用いてそのモータの回動軸をピニオン軸とし、ローラ支持部62にラックを設けることで、用紙を検出したことを条件にモータを回動させてローラ支持部62を上下動させる構成としてもよい。
【0066】
(4)本実施形態では用紙3を検出したことを条件に案内ローラ60を離間位置に移動させるものを例示しているが、本発明によれば、排紙ローラ110の下流側に用紙通過センサを設置して、この用紙通過センサが用紙3を検出したことを条件に案内ローラ60を接近位置に移動させるようにしてもよい。このような構成とした場合、用紙3の先端が用紙通過センサを通過したときに用紙3の後端が案内ローラ60と駆動ローラ70との間を通過していないように案内ローラ60と用紙通過センサとの間の搬送距離を設定する必要がある。
【0067】
(5)本実施形態では案内ローラ60を駆動ローラ70に対する従動ローラとして機能させたものを例示したが、本発明によれば、駆動ローラ70を設けなくてもよいし、或いは案内ローラ60とは別に駆動ローラ70に対する従動ローラを設けてもよい。
【0068】
(6)本実施形態では加圧ローラ50とは別に案内ローラ60を設けて用紙3を離間位置から接近位置へ移動させるようにしたものを例示したが、本発明によれば、加圧ローラ50を案内ローラとして機能させることも可能である。
【0069】
(7)本実施形態ではガイド部材92を設けたものを例示したが、本発明によれば、必ずしもガイド部材92を設けなくてもよい。
(8)本実施形態では、用紙3の後端が用紙通過センサを通過するタイミングで、駆動ローラ70に対する案内ローラ60の圧接を解除して、湾曲ガイド90の入口の案内面91に接近した位置に移動させ、その後、次の用紙3の先端が用紙通過センサに接触して検出位置に移動されるタイミングで、案内ローラ60を駆動ローラ70に圧接させて、湾曲ガイド90の入口の案内面91から離間した位置に移動させるようにしたものを例示したが、本発明によれば、用紙3の後端が湾曲ガイド90の入口の案内面91に接触するように移行したのちであれば、次の用紙3の先端が用紙通過センサに接触して検出位置に移動される前に、案内ローラ60を駆動ローラ70に圧接させて、湾曲ガイド90の入口の案内面91から離間した位置に移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態におけるレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図
【図2】その案内ローラが離間位置にある状態を示す要部拡大側断面図
【図3】その案内ローラが接近位置にある状態を示す要部拡大側断面図
【符号の説明】
【0071】
1…レーザプリンタ(本発明の「画像形成装置」の一例)
3…用紙(本発明の「被記録媒体」の一例)
4…給紙機構部(本発明の「搬送手段」の一例)
5…画像形成部
6…排紙機構部(本発明の「搬送手段」の一例)
51…用紙通過センサ(本発明の「センサ」の一例)
60…案内ローラ
62…ローラ支持部
70…駆動ローラ
80…ソレノイド部(本発明の「ソレノイド機構」の一例)
90…湾曲ガイド
91…案内面
92…ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記搬送経路の途中に設けられ前記被記録媒体を湾曲させて進入方向と異なる方向にガイドする案内面を有する湾曲ガイドと、
前記搬送経路において前記湾曲ガイドの入口より上流側に配され前記被記録媒体に接してそれを前記湾曲ガイドの入口に案内するための案内ローラと、
この案内ローラを、前記被記録媒体が前記湾曲ガイドの入口の前記案内面から浮いた状態となるように前記被記録媒体を案内する離間位置と、前記被記録媒体が前記湾曲ガイドの入口の前記案内面に接した又は前記離間位置よりは前記湾曲ガイドの入口の前記案内面に接近した状態となるように前記被記録媒体を案内する接近位置との間で移動可能とするローラ支持機構と、
前記案内ローラを、前記被記録媒体の前端が前記湾曲ガイドの入口に進入する前に前記離間位置に移動させ、前記被記録媒体の後端が前記案内ローラを通過する前に前記接近位置に移動させるローラ駆動手段とを備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラ駆動手段は、前記被記録媒体が前記湾曲ガイドに接近していることを検出するセンサと、前記センサからの信号に基づいて前記案内ローラを移動させるソレノイド機構とを備えている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサは、前記湾曲ガイドの入口より上流側であって前記被記録媒体の前端が前記湾曲ガイドの入口に進入したときにおける前記被記録媒体の後端より下流側に配置され、前記ソレノイド機構は、前記センサが前記被記録媒体を検出したことを条件に前記案内ローラを前記離間位置に移動させる請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、前記湾曲ガイドの入口において、前記案内ローラとの間に前記被記録媒体の搬送経路を挟んで対向する駆動ローラを備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記湾曲ガイドには、前記案内面と対応する湾曲形状を有するガイド部材が対向配置されている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−76976(P2008−76976A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258966(P2006−258966)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】