説明

画像形成装置

【課題】副走査と排紙を別駆動としたときに搬送ベルトによる用紙の保持力が低下する場合に用紙の位置ずれが生じて画像品質が低下し、両面印刷を行うときに用紙の反りによって確実に保持できなくなる。
【解決手段】用紙5の後端部分5eが搬送ベルト31に静電吸着されるときの搬送ベルト31の帯電電位が相対的に高くなるように帯電ローラ34に電圧を印加する手段を備え、加圧コロ36Aと搬送ベルト31のニップ部と帯電ローラ34との間の距離が、搬送ベルト31に帯電電位が相対的に高くなるように電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙5Aの後端部分5eとこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分5fでは搬送ベルト31に相対的に高い帯電電位が印加される関係に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドと用紙を静電吸着して搬送する搬送ベルトを備える両面印刷可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。
【0004】
このような画像形成装置において、例えば、特許文献1に記載されているように、用紙に液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、用紙を記録ヘッドに対向して搬送する少なくとも2つのローラ間に掛け回された搬送ベルトと、搬送ベルトを掛け回したローラの内の用紙搬送方向上流側のローラに対向して用紙を搬送ベルト側に加圧する加圧部材と、搬送ベルトに従動して回転して搬送ベルトを帯電させる帯電ローラ部材と、画像が形成された用紙を搬送する搬送ベルトの用紙搬送方向下流側で用紙を排紙のために搬送する排紙搬送手段と、記録ヘッドで一面に画像が形成された用紙を反転して再度給紙する両面給紙手段などを備えて構成されるものが知られている。
【特許文献1】特開2007−045596号公報
【特許文献2】特開2007−175979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シリアル型画像形成装置では、用紙を搬送ベルトで間歇的に搬送することから、搬送ベルトの用紙搬送方向下流側に配置された排紙搬送手段についても、搬送ベルトによる用紙の間歇的搬送に同期させて、間歇的に駆動することが好ましい。この場合、搬送ベルトの間歇送り量よりも排紙搬送手段による間歇送り量が少ないか、あるいは、搬送ベルトの間歇送り量よりも排紙搬送手段による間歇送り量が同じであると、搬送ベルトから送り出される用紙に撓みが生じてジャムなどが発生し、あるいは、搬送ベルトか用紙が浮き上がって静電吸着力が消失し、画像形成位置が乱れることから、搬送ベルトの間歇送り量よりも排紙搬送手段による間歇送り量を多くする。
【0006】
ところが、このような構成で搬送ベルトと排紙搬送手段とを駆動した場合、用紙が搬送ローラと加圧部材とのニップ部を抜けて搬送ベルトによる静電吸着力のみで保持される状態になったとき、排紙搬送手段による用紙の引張り力が優ると、記録ヘッドに対して用紙を正確に間歇送りすることができなくなって、画像が乱れ、画質が低下するという課題がある。
【0007】
また、両面印刷を行う場合、一面に画像が形成された用紙は液滴が乾燥することによって反りが発生し、両面給紙時に用紙が搬送ベルトに確実に吸着されないおそれがある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、用紙の搬送ベルトに対する保持力が低下する場合でも搬送ベルトによって用紙を確実に吸着保持して用紙の送り精度を維持し、画像品質の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
用紙に液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、
前記用紙を前記記録ヘッドに対向して搬送する少なくとも2つのローラ間に掛け回された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを掛け回したローラの内の用紙搬送方向上流側のローラに対向して前記用紙を前記搬送ベルト側に加圧する加圧部材と、
前記搬送ベルトに従動して回転して前記搬送ベルトを帯電させる帯電ローラ部材と、
前記搬送ベルトの用紙搬送方向下流側に配置され、前記搬送ベルトとは独立して、かつ同期して間欠的に駆動されて、前記用紙を排紙方向に搬送する排紙搬送手段と、
前記記録ヘッドで一面に画像が形成された前記用紙を反転して再度給紙する両面給紙手段と、
前記用紙の後端部分が前記搬送ベルトに静電吸着されるときの前記搬送ベルトの帯電電位が相対的に高くなるように前記帯電ローラ部材に電圧を印加する手段と、を備え、
前記加圧部材と前記搬送ベルトのニップ部と前記帯電ローラ部材との間の距離が、前記搬送ベルトに帯電電位が相対的に高くなるように電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙の後端部分とこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分では前記搬送ベルトに相対的に高い帯電電位が印加される関係に設定されている
構成とした。
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、
用紙に液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、
前記用紙を前記記録ヘッドに対向して搬送する少なくとも2つのローラ間に掛け回された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを掛け回したローラの内の用紙搬送方向上流側のローラに対向して前記用紙を前記搬送ベルト側に加圧する加圧部材と、
前記搬送ベルトに従動して回転して前記搬送ベルトを帯電させる帯電ローラ部材と、
前記搬送ベルトの用紙搬送方向下流側に配置され、前記搬送ベルトとは独立して、かつ同期して間欠的に駆動されて、前記用紙を排紙方向に搬送する排紙搬送手段と、
前記記録ヘッドで一面に画像が形成された前記用紙を反転して再度給紙する両面給紙手段と、
前記用紙の後端部分が前記搬送ベルトに静電吸着されるときの前記搬送ベルトの帯電周期長が相対的に長くように前記帯電ローラ部材に交番電圧を印加する手段と、を備え、
前記加圧部材と前記搬送ベルトのニップ部と前記帯電ローラ部材との間の距離が、前記搬送ベルトの帯電周期長が相対的に長くなるように交番電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙の後端部分とこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分では前記搬送ベルトに帯電周期長が相対的に長くなる交番電圧が印加される関係に設定されている
構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像形成装置によれば、加圧部材と搬送ベルトのニップ部と帯電ローラ部材との間の距離が、搬送ベルトに帯電電位が相対的に高くなるように電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙の後端部分とこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分では搬送ベルトに相対的に高い帯電電位が印加される関係に設定されているので、用紙の後端が加圧部材と搬送ベルトのニップ部を抜けたときの搬送ベルトによる吸着保持力が高くなり、しかも、両面印刷時には用紙先端部分を吸着するときの吸着保持力が高くなるので、用紙を確実に吸着保持して用紙の送り精度を維持し、画像品質の低下を防止することができる。
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、加圧部材と搬送ベルトのニップ部と帯電ローラ部材との間の距離が、搬送ベルトの帯電周期長が相対的に長くなるように交番電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙の後端部分とこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分では搬送ベルトに帯電周期長が相対的に長くなる交番電圧が印加される関係に設定されているので、用紙の後端が加圧部材と搬送ベルトのニップ部を抜けたときの搬送ベルトによる吸着保持力が高くなり、しかも、両面印刷時には用紙先端部分を吸着するときの吸着保持力が高くなるので、用紙を確実に吸着保持して用紙の送り精度を維持し、画像品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例の概要について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を示す概略構成図、図2は同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図、図3は同じく一部透過状態で示す側面説明図、図4は両面印刷における搬送ベルトに対する用紙搬送経路の説明に供する模式的説明図である。
【0014】
この画像形成装置は、装置本体1の内部(筺体内)に、用紙を搬送しながら画像を形成するための画像形成部(手段)2及び用紙を搬送するための副走査搬送部(手段)3等を有し、装置本体1の底部に設けた給紙カセットを含む給紙部(手段)4から用紙5を1枚ずつ給紙して、副走査搬送部3によって用紙5を画像形成部2に対向する位置で搬送しながら、画像形成部2によって用紙5に液滴を吐出して所要の画像を形成(記録)した後、片面印刷の場合には排紙搬送部(手段)7を通じて装置本体1の上面に形成した排紙トレイ8上に用紙5を排紙し、両面印刷の場合には、排紙搬送部7の途中から装置本体1の底部に備えた両面ユニット10に送り込み、スイッチバック搬送を行って、再度、副走査搬送部3に給紙して両面に画像を形成した後排紙トレイ8上に排紙する。
【0015】
また、この画像形成装置は、画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、装置本体1の上部で排紙トレイ8の上方には画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)11を備えている。この画像読取部11は、照明光源13とミラー14とを含む走査光学系15と、ミラー16、17を含む走査光学系18とが移動して、コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像の読み取りを行い、走査された原稿画像がレンズ19の後方に配置した画像読み取り素子20で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理され、画像処理した印刷データを印刷することができる。
【0016】
ここで、この画像形成装置の画像形成部2は、図2にも示すように、ガイドロッド21及び図示しないガイドレールでキャリッジ23を片持ちで主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28Aと従動プーリ28B間に架け渡したタイミングベルト29を介して主走査方向に移動走査する。
【0017】
そして、このキャリッジ23上に、それぞれの色の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24を搭載し、キャリッジ23を主走査方向に移動させ、副走査搬送部3によって用紙5を用紙搬送方向(副走査方向)に送りながら画像形成手段である記録ヘッド24から液滴を吐出させて画像形成を行なうシャトル型としている。なお、ライン型ヘッドを用いることもできる。
【0018】
記録ヘッド24は、それぞれブラック(Bk)インクを吐出する2個の液体吐出ヘッド24k1、24k2と、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するそれぞれ1個の液滴吐出ヘッド24c、24m、24yの計5個の液体吐出ヘッド(以下、色を区別しないときは「記録ヘッド24」という。)で構成され、キャリッジ23に搭載した各サブタンク25からそれぞれ各色のインクが供給される。
【0019】
一方、図1に示すように、装置本体1の前面からカートリッジ装着部に、ブラック(Bk)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した記録液カートリッジである各色のインクカートリッジ26を着脱自在に装着でき、各色のインクカートリッジ26から各色のサブタンク25にインクを供給する。なお、ブラックインクは1つのインクカートリッジ26から2つのサブタンク25に供給する構成としている。
【0020】
なお、記録ヘッド24としては、インク流路内(圧力発生室)のインクを加圧する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどを用いることができる。
【0021】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、図2に示すように、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復装置121を配置している。この維持回復装置121は、5個の記録ヘッド24の各ノズル面をキャピングするための5個の保湿用キャップ122k2、122k1、122c、122m、122y(色を区別しないときは「保湿用キャップ122」という。)と、1個の保湿用を兼ねた吸引用キャップ123と、記録ヘッド24のノズル面をワイピングするためのワイパーブレード124と、記録(画像形成)に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行なうための空吐出受け部材125などを備えている。
【0022】
さらに、キャリッジ23の走査方向他方側の非印字領域には、図2に示すように、5個の記録ヘッド24から記録(画像形成)に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行なうための空吐出受け部材126を備えている。この空吐出受け部材126には、記録ヘッド24に対応して5個の開口127k2、127k1、127c、127m、127y(色を区別しないときは「開口127」という。)を形成している。
【0023】
副走査搬送部3は、図3にも示すように、下方から給紙された用紙5を略90度搬送方向を転換させて画像形成部2に対向させて搬送するための、駆動ローラである搬送ローラ32とテンションローラである従動ローラ33間に架け渡した無端状の搬送ベルト31と、この搬送ベルト31の表面を帯電させるために高圧電源から交番電圧である高電圧が印加される帯電手段である帯電ローラ34と、搬送ベルト31を画像形成部2の対向する領域でガイドするプラテンガイド部材35と、保持部材136に回転自在に保持されて、用紙5を搬送ローラ32に対向する位置で搬送ベルト31に押し付ける加圧コロ36A、及び、記録ヘッド24の手前で用紙5を搬送ベルト31に押し付ける先端加圧コロ36Bと、画像形成部2によって画像が形成された用紙5の上面側を押えるガイド板37と、画像が形成された用紙5を搬送ベルト31から分離するための分離爪38とを備えている。
【0024】
この副走査搬送部3の搬送ベルト31は、DCブラシレスモータを用いた副走査モータ131によって、タイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ32が回転されることで、図2の用紙搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト31は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)との2層構造としているが、これに限るものではなく、1層構造あるいは3層以上の構造でも良い。
【0025】
また、従動ローラ33と帯電ローラ34との間に、図示しないが、搬送ベルト31の表面に付着した紙粉等を除去するためのクリーニング手段(ここではマイラを用いている。)と、搬送ベルト31表面の電荷を除去するための除電ブラシとを備えている。
【0026】
さらに、搬送ローラ32の軸32aには高分解能のコードホール137を取り付け、このコードホイール137に形成したスリット137aを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ138を設けて、これらのコードホイール137とエンコーダセンサ138によってロータリエンコーダを構成している。
【0027】
給紙部4は、装置本体1の前面側から抜き差し可能で、多数枚の用紙5を積載して収納する給紙カセット41と、給紙カセット41内の用紙5を1枚ずつ分離して送り出すための給紙コロ42及びフリクションパッド43と、給紙された用紙5をレジストするレジストローラ(対)44を備えている。
【0028】
また、この給紙部4は、多数枚の用紙5を積載して収容するための手差しトレイ46及び手差しトレイ46から1枚ずつ用紙5を給紙するための手差しコロ47と、装置本体1の下側にオプションで装着される給紙カセットや後述する両面ユニット10から給紙される用紙5を搬送するための縦搬送ローラ対48を備えている。給紙コロ42、レジストローラ対44、手差しコロ47、縦搬送ローラ対48などの副走査搬送部3へ用紙5を給送するための部材は図示しない電磁クラッチを介してHB型ステッピングモータからなる給紙モータ(駆動手段)49によって回転駆動される。
【0029】
排紙搬送部7は、副走査搬送部3の分離爪38で分離された用紙5を搬送する3個の搬送ローラ71a、71b、71c(区別しないときは「搬送ローラ71」という。)及びこれに対向する拍車72a、72b、72c(同じく「拍車72」という。)と、排紙ローラ71及び拍車72間で搬送される用紙5をガイドする下ガイド部73及び上ガイド部74と、下ガイド部73及び上ガイド部74の間から送り出される用紙5を、第1の搬送経路である反転排紙経路81を通じて反転してフェイスダウンで排紙トレイ8へ送り出すための反転ローラ対77及び反転排紙ローラ対78とを備えている。なお、下ガイド部73及び上ガイド部74の間で用紙5を搬送する搬送路を搬送路70という。
【0030】
搬送路70の出口側には、排紙トレイ8に反転排紙するための第1排紙経路81、後述するストレート排紙トレイ181に排紙するための第2排紙経路82及び両面ユニット10のいずれかに対する第3搬送経路83に切り替えるための分岐機構60を設けている。また、この第3搬送径路83を挟んで第1面に画像形成が終了した用紙を両面ユニット10に送り込むために、両面中継ローラ対84、85を設けている。
【0031】
両面ユニット10は、送り込まれる用紙5を待機搬送路101a及びスイッチバック搬送路101bを有し、待機搬送路101aには入口側から両面搬送ローラ対91〜96が配置され、スイッチバック搬送路101bには反転ローラ97、98が配置され、スイッチバック搬送路101bから装置本体1に搬送ローラ対48に第2面印刷のために用紙を送り出す両面出口ローラ99を備えるとともに、待機搬送路101aからスイッチバック搬送路101bへの用紙5の搬送経路とスイッチバック搬送路101bから縦搬送ローラ対48への再給紙のための搬送経路とを切り替える分岐板100を揺動可能に設けている。分岐板101は、図1の実線図示のスイッチバック側位置と破線図示の再給紙側位置との間で揺動可能である。
【0032】
この両面ユニット10から送り出された用紙5は、前述した縦搬送ローラ対48に送り込まれてレジストローラ対44に送られる。
【0033】
そして、上述した給紙部4の給紙カセット41、手差し給紙トレイ46、両面ユニット10から給紙された用紙5がレジストローラ対44で搬送されるとき、副走査搬送部3の搬送ローラ32及び押えコロ36間とレジストローラ対44との間で、用紙5にループ(弛み)を形成して用紙5に対するバックテンションなどを防止するため、図1及び図3に示すように、開閉ガイド板110を揺動可能に設けている。
【0034】
この開閉ガイド板110は、レジストローラ44から用紙5を副走査搬送部3に送り出すときには、図示の状態から図1の矢示方向に揺動して用紙5を案内し、用紙5が副走査搬送部3の達したタイミングで図示の状態に復帰してループを形成可能な状態にする。
【0035】
さらに、この画像形成装置においては、1枚手差し給紙を行なうために、図1にも示すように、装置本体1の一側部側に、1枚手差し給紙トレイ141を装置本体1に対して開閉可能(開倒可能)に設け、1枚手差しを行なうときには1枚手差し給紙トレイ141を仮想線図示の位置に開倒する。この1枚手差し給紙トレイ141からの手差し給紙される用紙5は、開閉ガイド板110の上面でガイドされてそのまま副走査搬送部3の搬送ローラ32と加圧コロ36Aとの間に直線的に差し込むことができる。
【0036】
一方、画像形成が行われた用紙5をフェイスアップでストレートに排紙するため、装置本体1の他側部側にストレート排紙トレイ181を開閉可能(開倒可能)に設けている。このストレート排紙トレイ181を開く(開倒)ことで、排紙搬送部7に下ガイド部73及び上ガイド部74から送り出される用紙5を直線的にストレート排紙トレイ181に排紙するための第2の排紙経路であるストレート排紙経路82が形成される。
【0037】
これにより、例えばOHP、厚手の用紙など曲線搬送が難しい用紙を使用するときには1枚手差し給紙トレイ141から1枚手差し給紙を行いストレート排紙トレイ181まで直線的に用紙5を搬送することができるようになる。勿論、普通紙などの通常の用紙であっても1枚手差し給紙トレイ141から給紙し、ストレート排紙トレイ181に直線的に排紙することはできる。
【0038】
なお、図4を参照して各種センサの配置について説明しておく。用紙5を検知するために、レジストローラ対44の上流側には搬送レジストセンサ201を、搬送ローラ32と加圧コロ36Aとの手前側には印字部入口センサ202を、先端加圧コロ36Bの下流側(画像形成部2の入口)には画像書き出し位置をレジストするための画像レジストセンサ203を、画像形成部2の出口(搬送ローラ71aの手前側)には印字部出口センサ204を、排紙搬送部7の出口側には分岐センサ205を、排紙ローラ対78の手前側には排紙センサ206を、両面ユニット10の両面搬送ローラ対91の部分には両面入口縦搬送センサ207を、搬送ローラ対96の手前側に待機センサ208を、分岐板100の部分には反転センサ209を、両面出口ローラ対99の下流側には両面出口縦搬送センサ210を、縦搬送ローラ対48の上流側には電磁クラッチオープンセンサ211を、それぞれ配置している。
【0039】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。
この制御部300は、CPU301と、CPU301が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを含む、この装置全体の制御を司る本発明に係る制御手段を兼ねた主制御部310を備えている。
【0040】
また、この制御部300は、ホスト側と主制御部310との間に介在して、データ、信号の送受を行なうための外部I/F311と、記録ヘッド24を駆動制御するためのヘッドドライバを含む印刷制御部312と、キャリッジ23を移動走査する主走査モータ27を駆動するための主走査駆動部(モータドライバ)313と、副走査モータ131を駆動するための副走査駆動部314と、給紙モータ49を駆動するための給紙駆動部315と、排紙部7の各ローラを駆動する排紙モータ179を駆動するための排紙駆動部316と、両面ユニット10の各ローラを駆動する両面再給紙モータ199を駆動するための両面駆動部317と、維持回復機構121を駆動する維持回復モータ129を駆動するための回復系駆動部318と、帯電ベルト34にACバイアスを供給するACバイアス供給部319とを備えている。
【0041】
さらに、制御部300は、各種のソレノイド(SOL)類321を駆動するソレノイド類駆動部(ドライバ)322と、給紙関係の電磁クラック類323などを駆動するクラッチ駆動部324と、画像読取部11を制御するスキャナ制御部325とを備えている。
【0042】
また、主制御部に310は、搬送ベルト31の周囲の温度及び湿度(環境条件)を検出する温湿度センサ234の検出信号を入力する。なお、主制御部310には、上述した図4で説明したような各種センサの検出信号も入力されるが図示を省略している。また、主制御部310は、装置本体1に設けたテンキー、プリントスタートキーなどの各種キー及び各種表示器を含む操作/表示部327との間で必要なキー入力の取り込み、表示情報の出力を行なう。
【0043】
さらに、この主制御部310には、キャリッジ23の移動量を検出する主走査方向に配置されたエンコーダスケールと、このエンコーダスケールのスリットを検出するフォトセンサ(エンコーダセンサ)とで構成されるリニアエンコーダ401からの出力信号(検出パルス)が入力される。制御部310は、この出力信号に基づいて主走査駆動部313を介して主走査モータ27を駆動制御してキャリッジ23を所定の方向に所定の移動量で移動させる。
【0044】
また、この主制御部310には、前述したコードホイール137とフォトセンサ(エンコーダセンサ)138によって構成されるロータリエンコーダ402からの出力信号(パルス)が入力される。主制御部310は、この出力信号に基づいて副走査駆動部314を介して副走査モータ131を駆動制御することで搬送ローラ32を介して搬送ベルト31を移動させる。
【0045】
次に、この画像形成装置における用紙の間歇送り動作について図6をも参照して説明する。なお、図6は副走査モータ131及び排紙モータ79の駆動タイミングを説明する説明図である。
この画像形成装置においては、図6(a)に示すように、副走査モータ131を間欠的に駆動することによって搬送ベルト31で用紙5を間歇的に搬送し、記録ヘッド24から液滴を吐出して画像を形成する。そして、搬送ベルト31から分離爪39で分離された用紙5は排紙搬送部7に送り込まれる。この排紙搬送部7の排紙モータ79も、同図(b)に示すように、副走査モータ131に同期して間欠的に駆動され、送り込まれた用紙5を排紙のために間欠的に搬送する。
【0046】
ここで、排紙モータ79の1回の駆動期間(ON時間)の駆動終了タイミング、即ち排紙搬送部7によって用紙5を送っている時間の終了タイミングを、副走査モータ131の1回の駆動期間(ON時間)の駆動終了タイミング、即ち搬送ベルト31によって用紙5を送っている時間の終了タイミングに対して遅延時間tだけ遅延させる。これにより、用紙5は排紙搬送部7に引っ張られる状態で副走査搬送部3の搬送ベルト31によって間歇的に搬送され、用紙5の平面性が維持され、また排紙搬送部7との間での用紙5の撓みなどが防止される。
【0047】
次に、この画像形成装置における搬送ベルト31に対する帯電制御の概要について図7ないし9をも参照して説明する。
まず、搬送ベルト31に対する帯電制御に係わる部分について図7を参照して説明する。前述したように搬送ベルト31を駆動する搬送ローラ32の端部に設けたエンコーダホイール137及びエンコーダセンサ138からなるロータリエンコーダ402によって回転量を検出して、この検出した回転量に応じて副走査駆動部314によって副走査モータ131を駆動制御するとともに、帯電ローラ34に高圧(ACバイアス)を印加するACバイアス供給部(高圧電源)319の出力を制御する。
【0048】
このACバイアス供給部319によって、帯電ローラ34に印加する正負極の印加電圧の周期(印加時間)を制御し、同時に主制御部310によって、搬送ベルト31の駆動を制御することで、搬送ベルト31上に所定の帯電周期長で正負極の電荷を印加することができる。ここで、「帯電周期長」とは、図7にも示すように正負極の印加電圧の1周期当りの搬送方向の幅(距離)であり、帯電幅とは各極性自体の搬送方向の幅(距離)である。
【0049】
ここで、前述したように、印刷を開始するとき、搬送ローラ32を副走査モータ131で回転駆動して搬送ベルト31を図1で反時計周りに回転させ、同時にACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して正負極の方形波を印加する。これによって、帯電ローラ34は搬送ベルト31の絶縁層に当接しているので、搬送ベルト31の絶縁層に、図7に示すように、正極性の電荷と負極性の電荷が搬送ベルト31の搬送方向に対して交互に印加され(帯状の正極性の帯電領域501と負極性の帯電領域502が交互に形成され)、図7に示すように搬送ベルト31上に不平等電界が生成される。
【0050】
そして、用紙5は、その絶縁層に正負極の電荷が形成されることによって不平等電界が発生している搬送ベルト31へと送り込まれる。搬送ベルト31上の不平等電界の上に送られた用紙5は電界の向きに沿って瞬時に分極する。不平等電界により用紙の搬送ベルト面側の搬送ベルトと引力をなす電荷は密となり、その反対側の用紙表面に現れる搬送ベルト31と斥力をなす電荷は疎となる。この電荷の差により用紙5は搬送ベルト31に瞬時に吸着する。また、用紙5は有限な抵抗を持っているので、これと同時に用紙5の吸着面およびその反対側には真電荷が誘起される。
【0051】
この用紙5の吸着面側に誘起された正負の真電荷は搬送ベルト31上に印加された電荷と引き合うことで安定して吸着力をなしている。また、用紙5の吸着面側と反対側の表面に誘起された真電荷は、用紙5は表面抵抗率が10Ω/□〜1013Ω/□という有限な抵抗値を持っているため、電荷が移動でき、時間の経過とともに隣り合う正負極の電荷が引き合い移動することで中和されながら減少する。
【0052】
この結果、搬送ベルト31上の電荷は用紙5の吸着面側に誘起された真電荷とつり合いがとれ電界が閉じられ、用紙5の吸着面と反対側に誘起された真電荷は前述したとおり中和されて電界が閉じられる。また、搬送ベルト31面に印加された電荷と搬送ベルト31の電荷と疎力をなす電荷が用紙5表面上から減少するため用紙5の搬送ベルト31への吸着力は時間とともに増加していく。
【0053】
この吸着力と帯電電圧、帯電周期長とは相関関係があり、帯電電圧が高くなるほど吸着力は高くなり、また、帯電周期長が長くなるほど吸着力が高くなる。
【0054】
そこで、この搬送ベルト31で用紙5を間歇的に搬送しながら、用紙5上に印刷データに応じて記録ヘッド24から記録液の液滴を吐出して画像を形成(印刷)し、画像形成が行なわれた用紙5の先端側を分離爪38で搬送ベルト31から分離して排紙搬送部7によって、適宜、排紙トレイ8、ストレート排紙トレイ181に排紙し、あるいは両面ユニット10に送り込んで他面に画像形成を行なった後排紙する。
【0055】
次に、制御部310が実行する帯電制御の一例について図10に示すフロー図を参照して説明する。
この帯電制御処理では、印刷のための給紙を開始すると、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して予め定めた帯電周期長(例えば12mm)で搬送ベルト31が帯電されるように予め定めた電圧V1の交番電圧を印加する。そして、搬送レジストセンサ201をチェックし、搬送レジストセンサ201がOFF(用紙5の後端がセンサ201による検知位置を通過)したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を電圧V2(V2>V1)に高くする。
【0056】
そして、両面印刷であれば、印字部入口センサ202が用紙先端を検知したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を電圧V1に戻す。
【0057】
ここで、図11に示すように、加圧コロ36Aと搬送ベルト31のニップ部と帯電ローラ34による搬送ベルト31に対する帯電位置との間には距離Lがあり、帯電ローラ34によって電圧V2が印加される搬送ベルト31の位置がニップ部に移動するまでの時間を、用紙5の後端部分がニップ部に移動するまでの時間に合うように、用紙5の送り速度、搬送レジストセンサ201からニップ部までの距離、ニップ部と帯電ローラ34との距離L,搬送ベルト31の周回速度が設定されている。
【0058】
これによって、図12に示すように、一面に画像を形成する用紙5Aの所要の後端部分(後端領域:斜線を施して示す領域)5eが搬送ベルト31に吸着されるとき、搬送ベルト31の吸着力は用紙5Aの先端部分5f及び中間部分5cが搬送ベルト31に吸着されるときよりも相対的に高くなる。
【0059】
そのため、前述したように、用紙5は排紙搬送部7に引っ張られる状態で副走査搬送部3の搬送ベルト31によって間歇的に搬送されているが、用紙5Aの後端が加圧コロ36Aと搬送ベルト31のニップ部を通過して搬送ベルト31に吸着力のみで保持される状態になった場合でも、十分な吸着保持力で搬送ベルト31に保持されることになり、用紙の送り精度が低下して画像が乱れることが防止される。
【0060】
そして、この装置では、加圧コロ36Aと搬送ベルト31のニップ部と帯電ローラ34による搬送ベルト31に対する帯電位置との間には距離Lは、予め定めた用紙、例えば所定の長さを有するサイズの用紙5に対し、搬送ベルト31に帯電電位が相対的に高くなるように電圧を印加したとき、当該用紙5に対して両面印刷を行うときには、図12に示すように、一面に印刷を行う先行用紙5Aの後端部分5eとこれに続く他面に印刷を行う後行用紙5Bの先端部分5fでは搬送ベルト31に中間部分5cより相対的に高い帯電電位が印加される関係に設定されている。
【0061】
これによって、両面印刷を行うときに、一面に画像が形成されることでインクの乾燥によって用紙5に反りが発生していても、当該用紙の先端部分5fを吸着するときには、搬送ベルト31の吸着力は用紙5Bの中間部分5cを吸着されるときよりも相対的に高くなるので、確実に用紙5Bの先端部分を搬送ベルト31に吸着保持することができる。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態における帯電制御の一例を示すフロー図である。
この帯電制御処理では、印刷のための給紙を開始すると、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して帯電周期長T1(例えば8mm)で搬送ベルト31が帯電されるように予め定めた電圧の交番電圧を印加する。そして、搬送レジストセンサ201をチェックし、搬送レジストセンサ201がOFF(用紙5の後端がセンサ201による検知位置を通過)したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を、搬送ベルト31が帯電周期長T2(T2>T1、T2=例えば12mm)で帯電されるように変更する。
【0063】
そして、両面印刷であれば、印字部入口センサ202が用紙先端を検知したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を搬送ベルト31が帯電周期長T1で帯電されるように戻す。なお、ここでは、変更した帯電周期長を元にもどぢているが、変更した帯電周期長に固定するようにしてもよい。
【0064】
つまり、この実施形態では、前述したように、静電吸着力は帯電周期長を変更することによっても変化させることができるので、帯電ローラ34に印加する交番電圧の周期を変更して搬送ベルト31の静電吸着力を用紙後端部分で相対的に高くするようにしている。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態について図14を参照して説明する。なお、図14は同実施形態における帯電制御の一例を示すフロー図である。
この帯電制御処理では、印刷のための給紙を開始すると、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して帯電周期長T3(例えば8mm)で搬送ベルト31が帯電されるように予め定めた電圧V3の交番電圧を印加する。そして、搬送レジストセンサ201をチェックし、搬送レジストセンサ201がOFF(用紙5の後端がセンサ201による検知位置を通過)したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を電圧V4(V4>V3)に高くし、搬送ベルト31が帯電周期長T4(T4>T3、T3=例えば12mm)で帯電されるように変更する。
【0066】
そして、両面印刷であれば、印字部入口センサ202が用紙先端を検知したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を電圧V3に戻し、搬送ベルト31が帯電周期長T3で帯電されるように戻す。
【0067】
つまり、この実施形態では、前述したように、静電吸着力は帯電電位と帯電周期長を変更することによって変化させることができるので、帯電ローラ34に印加する交番電圧の電圧及び周期を変更して搬送ベルト31の静電吸着力を用紙後端部分で相対的に高くするようにしている。なお、上記の電圧V3、V4、帯電周期長T3、T4は前記第1、第2実施形態と同じであっても、異なってもよく、特に限定するものではない。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態について図15を参照して説明する。なお、図15は同実施形態における帯電制御の一例を示すフロー図である。
この帯電制御処理では、印刷のための給紙を開始すると、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して帯電周期長T3(例えば8mm)で搬送ベルト31が帯電されるように予め定めた電圧V3の交番電圧を印加する。そして、搬送レジストセンサ201をチェックし、搬送レジストセンサ201がOFF(用紙5の後端がセンサ201による検知位置を通過)したときに、温湿度センサ234で検出した環境温度及び環境湿度が予め定めた設定値(設定温度、設定湿度)以上か否かを判別し、環境温度及び環境湿度が予め定めた設定値以上であれば、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を電圧V4(V4>V3)に高くし、搬送ベルト31が帯電周期長T4(T4>T3、T3=例えば12mm)で帯電されるように変更し、設定値以上でなければ変更しない。
【0069】
そして、両面印刷であれば、印字部入口センサ202が用紙先端を検知したときに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に対して印加する交番電圧を電圧V3に戻し、搬送ベルト31が帯電周期長T3で帯電されるように戻す(変更しなかった場合にはそのまま初期の状態が維持されている。)。
【0070】
つまり、この実施形態では、搬送ベルトの静電吸着力が低下するのは、高温高湿環境下で顕著であることから、このような環境下の場合にだけ、帯電ローラ34に印加する交番電圧の電圧及び周期を変更して搬送ベルト31の静電吸着力を用紙後端部分で相対的に高くするようにしている。なお、上記の電圧V3、V4、帯電周期長T3、T4は前記第1、第2実施形態と同じであっても、異なってもよく、特に限定するものではない。また、温度及び湿度の両方で判別しているが、いずれか一方で判別してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図である。
【図3】同じく同副走査搬送部の拡大説明図である。
【図4】同じく搬送経路の説明に供する模式的説明図である。
【図5】同じく制御部の概要を説明するブロック図である。
【図6】副走査モータと排紙モータの駆動制御を説明するタイミングチャートである。
【図7】搬送ベルトに対する帯電制御の説明に供する模式的説明図である。
【図8】搬送ベルトを帯電させたときの説明に供する説明図である。
【図9】同搬送ベルトに用紙が接触したときの説明に供する説明図である。
【図10】制御部が行う帯電制御処理の一例の説明に供するフロー図である。
【図11】搬送ベルトと加圧ローラのニップ部と帯電ローラによる帯電位置との距離関係の説明に供する説明図である。
【図12】本発明による帯電制御を行った場合の先行用紙及び後行用紙の帯電領域の説明に供する説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態における帯電制御の一例を示すフロー図である。
【図14】本発明の第3実施形態における帯電制御の一例を示すフロー図である。
【図15】本発明の第4実施形態における帯電制御の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0072】
1…装置本体
2…画像形成部
3…副走査搬送部
4…給紙部
5…用紙(
7…排紙搬送部
8…排紙トレイ
10…両面ユニット
11…画像読取部
23…キャリッジ
24…記録ヘッド
31…搬送ベルト
32…搬送ローラ
34…帯電ローラ
36A…加圧コロ(加圧部材)
41…給紙カセット
44…レジストローラ
301…主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、
前記用紙を前記記録ヘッドに対向して搬送する少なくとも2つのローラ間に掛け回された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを掛け回したローラの内の用紙搬送方向上流側のローラに対向して前記用紙を前記搬送ベルト側に加圧する加圧部材と、
前記搬送ベルトに従動して回転して前記搬送ベルトを帯電させる帯電ローラ部材と、
前記搬送ベルトの用紙搬送方向下流側に配置され、前記搬送ベルトとは独立して、かつ同期して間欠的に駆動されて、前記用紙を排紙方向に搬送する排紙搬送手段と、
前記記録ヘッドで一面に画像が形成された前記用紙を反転して再度給紙する両面給紙手段と、
前記用紙の後端部分が前記搬送ベルトに静電吸着されるときの前記搬送ベルトの帯電電位が相対的に高くなるように前記帯電ローラ部材に電圧を印加する手段と、を備え、
前記加圧部材と前記搬送ベルトのニップ部と前記帯電ローラ部材との間の距離が、前記搬送ベルトに帯電電位が相対的に高くなるように電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙の後端部分とこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分では前記搬送ベルトに相対的に高い帯電電位が印加される関係に設定されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙に液滴を吐出して画像を形成する記録ヘッドと、
前記用紙を前記記録ヘッドに対向して搬送する少なくとも2つのローラ間に掛け回された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを掛け回したローラの内の用紙搬送方向上流側のローラに対向して前記用紙を前記搬送ベルト側に加圧する加圧部材と、
前記搬送ベルトに従動して回転して前記搬送ベルトを帯電させる帯電ローラ部材と、
前記搬送ベルトの用紙搬送方向下流側に配置され、前記搬送ベルトとは独立して、かつ同期して間欠的に駆動されて、前記用紙を排紙方向に搬送する排紙搬送手段と、
前記記録ヘッドで一面に画像が形成された前記用紙を反転して再度給紙する両面給紙手段と、
前記用紙の後端部分が前記搬送ベルトに静電吸着されるときの前記搬送ベルトの帯電周期長が相対的に長くように前記帯電ローラ部材に交番電圧を印加する手段と、を備え、
前記加圧部材と前記搬送ベルトのニップ部と前記帯電ローラ部材との間の距離が、前記搬送ベルトの帯電周期長が相対的に長くなるように交番電圧を印加したとき、予め定めた用紙に対して両面印刷を行うときには、一面に印刷を行う先行用紙の後端部分とこれに続く他面に印刷を行う後行用紙の先端部分では前記搬送ベルトに帯電周期長が相対的に長くなる交番電圧が印加される関係に設定されている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−126691(P2009−126691A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306876(P2007−306876)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】