説明

画像形成装置

【課題】原稿をコンタクトガラス上へ迅速、かつ、適正に載置することができるとともに、作業中に眩しくないようにする。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置10は、原稿P1の画像情報を読み取る原稿読取部20と、原稿読取部20の下部に連設され、かつ、当該原稿読取部20が読み取った画像情報に基づき所定の画像形成処理を施す画像形成部30とが備えられ、原稿読取部20は、上面に原稿面を下にして原稿P1が載置されるコンタクトガラス24を備えた画像読取部筐体12と、コンタクトガラス24上に載置された原稿P1を押さえる開閉可能な原稿押さえ部材13と、コンタクトガラス24上に載置された原稿P1の原稿面を光学的にスキャンし原稿画像として読み取る光学系ユニット23とを有しているとともに、画像読取部本体は、コンタクトガラスを嵌め込む開口を備えた天板122を有している。そして、この天板122は、表面が濃色に彩色されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像情報を読み取るべく、当該原稿が載置されたり原稿面が移動されたりするコンタクトガラスを備えた画像読取部筐体を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ装置等の画像形成装置は、通常、装置本体の頂部に原稿の画像を読み取る原稿読取部が設けられている。この原稿読取部で読み取られた原稿の画像情報は、当該原稿読取部の下部に連設された画像形成部での所定の画像形成処理に供される。画像形成処理の結果得られたトナー像は、給紙部から給紙された用紙に対する印刷処理に供される。印刷処理後の用紙は、トナー像の定着処理が施された後、外部へ排出される。
【0003】
原稿読取部は、扁平な箱形を呈する読取部本体の天板に装着された原稿が載置されたり、通過されたりするコンタクトガラス(原稿が載置されるコンタクトガラスを原稿載置用ガラスといい、原稿が通過されるコンタクトガラスを自動読取用ガラスという)と、コンタクトガラス上の原稿を押さえる原稿押さえ部材と、光源からの光をコンタクトガラス上の原稿面に照射してその反射光で原稿画像を読み取る光学系機器とを有している。
【0004】
そして、原稿が載置用原稿である場合、原稿押さえ部材を開放してコンタクトガラスを露出させ、載置原稿用ガラスの上に原稿を載置したのち原稿押さえ部材を閉止し押さえた状態でスタートボタンを押釦する。これによって光学系機器が駆動され、当該光学系機器によって原稿面の原稿画像が読み取られる。
【0005】
原稿画像を光学的に読み取るために、光源からの光がコンタクトガラスを介して原稿面に照射され、その反射光がCCD(charge coupled device)を備えたイメージセンサに入力される。そして、イメージセンサでアナログの画像情報がディジタルの電気信号に変換される。この場合、外乱に惑わされることなく反射光が適正にCCDに入力されることが必要であるため、例えば特許文献1においては、CCDの回りの基板の表面に黒色塗料を塗布し、ここで反射光が発生しないようになされている。
【特許文献1】実願平1−7363号(実開平2−98554号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、原稿読取部本体の天板は、通常、白色や薄い灰色等の明色に彩色されているのが一般的である。従って、コンタクトガラス上に原稿を載置したとき、当該原稿の白色と天板の彩色との区別がつき難く、これによって原稿を迅速、かつ、正確にコンタクトガラス上の所定の位置に載置するのが難しいという問題点を有していた。
【0007】
また、天板が明色であると、原稿押さえ部材を閉止するときに発光する光源の光が原稿押さえ部材の裏面で反射し、その反射光が天板を照らすことから天板が異常に明るく輝き、眩しくなるという不都合も生じる。
【0008】
本発明は、従来のかかる状況に鑑みなされたものであって、コンタクトガラス上に載置された原稿を視認し易くし、これによって原稿をコンタクトガラス上へ迅速、かつ、適正に載置することができるとともに、作業中に眩しくなるような不都合の発生を防止することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、原稿の画像情報を読み取る画像読取部と、前記画像読取部の下部に連設され、当該画像読取部が読み取った画像情報に基づき所定の画像形成処理を施す画像形成部とが備えられ、前記画像読取部は、上面に原稿面を下にして原稿が載置されるコンタクトガラスを備えた画像読取部本体と、前記コンタクトガラス上に載置された原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえ部材と、前記コンタクトガラス上に載置された原稿の原稿面を光学的にスキャンし原稿画像として読み取る光学系部材とを有し、前記画像読取部本体は、前記コンタクトガラスを嵌め込む開口を備えた天板を有し、前記天板は、表面が濃色に彩色されていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成によれば、コンタクトガラスの周りの天板は、濃色に彩色されているため、コンタクトガラス上に原稿を載置した状態で、濃色の天板と淡色の原稿との間で色のコントラストが明確に異なるため、原稿の載置状態が適正であるか否かを迅速に判断することが可能になる。
【0011】
また、コンタクトガラス上に原稿を載置した状態で原稿押さえ部材を閉止するに際し、通常、画像読取部に設けられた光源が発光し、この光が原稿押さえ部材の裏側で反射して天板を照射するが、当該照射光は、天板の濃色により吸収され、天板上での光の反射が起こらないため、原稿押さえ部材を閉止するときに反射光で眩しくなるような不都合の発生が防止される。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記天板の上面に梨地加工が施されていることを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成によれば、天板に届いた光源からの光の反射光は、梨地加工が施された天板上で乱反射して方向が定まらず、その強さも弱められるため、さらに効果的に眩しさが減少される。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記原稿押さえ部材は、その上部に原稿の束を載置する原稿トレイと、前記原稿トレイ上の原稿の束から1枚ずつの原稿を繰り出させて前記自動給紙用ガラスへ供給する原稿自動供給部とを備え、前記コンタクトガラスは、原稿を載置するための載置原稿用ガラスと、前記原稿自動供給部から自動給紙された原稿を対象とした自動給紙用ガラスとを備えることを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成によれば、特に複数枚の原稿が積層された原稿束の各原稿の画像を自動的に読み取るとき、当該用紙束を原稿トレイに載置して原稿自動供給部を駆動させることにより、原稿トレイ上の原稿束から原稿が1枚ずつ自動的に繰り出され、コンタクトガラスの自動給紙用ガラスを通過するときに当該原稿の画像が読み取られるため、原稿の1枚ずつを載置原稿用ガラス上に一々載置して原稿画像を読み取らせる場合に比較し、複数枚の原稿の原稿画像を極めて効率的に読み取ることが可能になる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記画像読取部本体は、前記コンタクトガラスを通して視認し得る内部が濃色に彩色されていることを特徴とするものである。
【0017】
かかる構成によれば、光源から照射された光の各所からの反射光が画像読取部本体の内部におけるコンタクトガラスを介して視認し得る部分の濃色に吸収されるため、当該反射光がコンタクトガラスを通してユーザーの目に入り、ユーザーを眩しく感じさせることが防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像読取部本体の上面におけるコンタクトガラスの周りの天板は、濃色に彩色されているため、コンタクトガラス上に原稿を載置した状態で、濃色の天板とコンタクトガラス上の淡色の原稿との間で色の濃淡が形成され、これによって原稿の載置状態が適正であるか否かを迅速に判断することが可能になり、結果として複写作業の作業性を向上させることができるとともに、排出された用紙上のトナー画像が斜めになるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0019】
また、コンタクトガラス上に原稿を載置した状態で原稿押さえ部材を閉止するに際し、光源からの光の各所での反射光がさらに天板上で反射して眩しくなるような不都合の発生も有効に防止することができる。
【0020】
さらに、コンタクトガラス上にゴミが付着しているような場合、当該ゴミが周りの濃色とのコントラストで目立つため、ゴミを即座に取り除くことが行われ、ゴミの存在に起因した画像不良をなくすことができる。
【0021】
加えて、光源からの光の反射光がイメージセンサのCCD(charge coupled device)に入力されてしまう、いわゆるフレア光の発生が、周りの濃色で有効に抑制されるため、フレア光に起因して誤った画像情報が取り込まれてしまうような不都合の発生を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明に係る画像形成装置10の一実施形態を示す斜視図であり、図1(A)は、原稿押さえ部材13が閉じられた状態、図1(B)は、原稿押さえ部材13が開かれた状態をそれぞれ示している。また、図2は、図1に示す画像形成装置10の断面図であり、図2(A)は、図1(A)のIIA−IIA線断面図、図1(A)のIIB−IIB線断面図である。なお、図1および図2において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0023】
これらの図に示すように、画像形成装置10は、原稿に形成された画像を読み取る原稿読取部20と、この原稿読取部20の下方に設けられた画像形成部30と、前記原稿読取部20の前方位置から前方に向かって突設された部分に設けられた操作部40と、画像形成部30により画像形成処理が施されることによって印刷された用紙Pが排紙される排紙部50とを備えた基本構成を有している。
【0024】
かかる画像形成装置10は、所定の筐体11内に前記各部が内装されることによって形成されている。かかる筐体11は、原稿読取部20の構成要素である後述の光学系ユニット(光学系部材)23を内装するための扁平な直方体状を呈した画像読取部筐体(画像読取部本体)12と、この画像読取部筐体12の上部に開閉可能に積み重ねられる原稿押さえ部材13と、この原稿押さえ部材13上に形成された後述の原稿自動供給部21が内装される原稿自動供給部筐体14と、画像形成部30を内装するべく画像読取部筐体12の下方に形成された画像形成部筐体(画像形成部本体)15とを備えている。原稿自動供給部筐体14は、原稿押さえ部材13の略左半分の位置に設けられている。
【0025】
画像読取部筐体12と、画像形成部筐体15との間には、前方を除いて三方が囲まれた状態の平面視でコ字状を呈する連結部16が設けられている。本実施形態においては、この連結部16は、画像形成部筐体15の前方を除く三方が上方に向けて延設されることによって形成されている。そして、前記排紙部50は、連結部16を介して原稿自動供給部筐体14と画像形成部筐体15との間に形成されている。これにより本実施形態に係る画像形成装置10は、胴内排紙型と称されている。
【0026】
そして、本実施形態においては、原稿読取部20における原稿P1の搬送方向と、画像形成部30における用紙Pの搬送方向とは互いに直交するように方向設定されている。具体的には、図1(A)に二点鎖線の矢印で示すように、原稿P1は左右方向に向けて搬送されるのに対し、用紙Pは、前後方向に向けて搬送される。
【0027】
このようにされるのは、以下の理由による。すなわち、ユーザーが原稿P1を筐体11頂部の原稿トレイ22に載置する際、その載置状態(特に原稿束の先端が確実に装着位置に位置したか否かの状態)を視認するためには、ユーザーから見て原稿P1が横向きになっている方が好都合である。これに対し、胴内排紙型の排紙部50の場合、用紙Pがユーザーに向かって排紙される方が、当該用紙Pの束を排紙部50から引き出すのに都合がよい。これら両条件を満足させるべく、本実施形態においては、用紙Pの搬送方向と、用紙Pの搬送方向とを直交させている。
【0028】
前記原稿読取部20は、原稿を所定の画像読み取り位置へ自動的に供給する原稿自動供給部21と、この原稿自動供給部21へ供給されるべき原稿P1の束を載置する、原稿自動供給部21の右面開口から右方へ向かって斜め上に延設された原稿トレイ22と、原稿自動供給部21によって供給される1枚ずつの原稿から原稿画像を光学的に読み取る光学系ユニット23とを備えている。
【0029】
画像読取部筐体12には、矩形状で大きく開かれた上面開口に原稿の画像形成面を当接させるためのコンタクトガラス24が嵌め込まれている。このコンタクトガラス24は、図1(B)に示すように、画像読取部筐体12の上面中央部を略覆う載置原稿用ガラス241と、この載置原稿用ガラス241の直ぐ左側に配設された前後方向に細長く延びる自動給紙原稿用ガラス242とを有している。
【0030】
一方、前記原稿押さえ部材13は、その後縁部が左右方向一対の蝶番部材131を介して画像読取部筐体12の後縁部上面に連結され、各蝶番軸132回りに正逆回動操作することにより、コンタクトガラス24を塞いだ閉止姿勢(図1(A)参照)と、コンタクトガラス24を開放した開放姿勢(図1(B)参照)との間で姿勢変更することができる。
【0031】
そして、例えばブック原稿のように厚手の原稿P1の原稿画像を読み取るときは、原稿押さえ部材13を開いた状態で原稿面が密着するように載置原稿用ガラス241上に当該原稿P1を載置し、その後、原稿押さえ部材13が閉じられた状態で光学系ユニット23により原稿画像が読み取られる。
【0032】
これに対し、枚葉紙からなる原稿P1の束から各原稿P1の原稿画像を読み取るときには、原稿押さえ部材13が閉止姿勢に姿勢設定された状態(図1(A))で当該原稿束が原稿トレイ22上に載置され、この状態でスタートボタン43が押釦される。これにより原稿自動供給部21の所定の動作で原稿トレイ22上の原稿束から原稿P1が一枚ずつ自動給紙原稿用ガラス242へ向けて繰り出され、原稿面が自動給紙原稿用ガラス242上を通過するときに当該原稿画像が光学系ユニット23によって読み取られる。
【0033】
以下、図2(A)を基に光学系ユニット23について説明する。光学系ユニット23は、いわゆるCCD(charge coupled device)移動タイプと称されるものであり、左右方向へ移動する移動枠体230と、この移動枠体230に内装された照射ランプ231、この照射ランプ231から照射された光の原稿面からの反射光をさらに反射させる複数枚の反射ミラー232、これら反射ミラー232からの反射光を集光して焦点距離を調節するレンズユニット234およびレンズユニット234から入光された光による画像情報を電気信号に変換するCCDイメージセンサ235とを備えて構成されている。前記照射ランプ231は、移動枠体230内の左右方向の中央位置より若干右寄りの位置の上部に設けられている。
【0034】
前記反射ミラー232は、移動枠体230内の右半分の位置に設けられ、照射ランプ231が照射した光の原稿P1からの反射光を最初に受けて反射する第1ミラー232aと、この第1ミラー232aの反射光を受けて反射する第2ミラー232bと、この第2ミラー232bからの反射光をさらに反射させてレンズユニット234へ入光させる第3ミラー232cとの3枚が採用されている。第3ミラー232cは、特に凹面鏡によって形成され、その焦点位置にレンズユニット234が位置するようになされている。
【0035】
前記レンズユニット234は、画像読取部筐体12の略中央位置に設けられているとともに、前記CCDイメージセンサ235は、前後方向の略中央位置で、かつ、レンズユニット234の直ぐ左側に設けられ、レンズユニット234で集光された光は、そのままCCDイメージセンサ235に向けて出力される。そして、レンズユニット234からの光が入光されたCCDイメージセンサ235は、当該光をその強弱に応じた電気信号に変換した上でデジタル化し、所定の記憶装置を介して画像形成部30の露光装置315に向けて出力する。
【0036】
かかる光学系ユニット23において、移動枠体230を移動させるための移動機構25が設けられている。この移動機構25は、画像読取部筐体12内の右端部の底板121上に据え付けられた駆動モータ251と、この駆動モータ251の駆動力が減速状態で伝達されるギヤ機構252と、このギヤ機構252を介して前記駆動モータ251の駆動力が伝達される駆動プーリ253と、底板121の左端位置で駆動プーリ253と対向配置された従動プーリ254と、この従動プーリ254および前記駆動プーリ253間に張設されたスキャナベルト255とを備えている。そして、前記スキャナベルト255の一部が光学系ユニット23の移動枠体230の適所に固定されている。
【0037】
かかる移動機構25によれば、駆動モータ251を正逆駆動させることにより、この駆動がギヤ機構252を介して減速状態で駆動プーリ253に伝達され、これによるスキャナベルト255の駆動プーリ253および従動プーリ254間の周回によって当該スキャナベルト255に固定された光学系ユニット23が正逆移動することになる。
【0038】
従って、載置原稿用ガラス241上に載置された原稿P1の原稿面を読み取るときは、駆動モータ251の駆動によるスキャナベルト255の周回で移動枠体230が画像読取部筐体12内の左端部(ホームポジション)からの右方に向けて移動されつつ、照射ランプ231からの光で載置原稿用ガラス241上の原稿P1の画像が走査され、当該走査による反射光を介しCCDイメージセンサ235に入力されて原稿画像が読み取られる。
【0039】
これに対し、原稿トレイ22上に載置された原稿P1の束から自動的に原稿P1を1枚ずつ繰り出させて各原稿P1の画像を読み取るときには、まず、移動枠体230がホームポジションに停止したままとされる。この状態で原稿自動供給部21が駆動されて原稿束から1枚ずつの原稿P1が繰り出され、当該原稿P1の原稿面が自動給紙原稿用ガラス242に対向するタイミングを見計らって照射ランプ231が点灯される。そして、原稿面が自動給紙原稿用ガラス242を順次通過することにより原稿画像が照射ランプ231からの光の反射光でCCDイメージセンサ235により読み取られることになる。
【0040】
ついで、図2(B)を基に画像形成部30の概要を説明する。前記画像形成部30は、原稿読取部20で読み取られた原稿画像を用紙にトナー画像として転写する転写部31と、この転写部31で転写された用紙のトナー画像を定着する定着部32と、前記転写部31に向けて給紙する用紙を貯留する用紙貯留部33とが箱形を呈した画像形成部筐体15に内装されることによって形成されている。
【0041】
前記転写部31は、周面に静電画像およびトナー画像が順次形成される感光体ドラム311と、この感光体ドラム311の周面にタイミングを見計らって用紙を送り込むレジストローラ対312と、感光体ドラム311の周面にトナーを供給する現像器313とを備えている。
【0042】
そして、軸心回りに回転しつつ帯電器314により一様に帯電された感光体ドラム311の周面には、光学系ユニット23での走査によって読み取られ、記憶装置に記憶されている原稿の画像情報に基づくレーザー光が露光装置315から照射され、これによって感光体ドラム311の周面に静電画像が順次形成されるとともに、走査光照射位置の下流側で静電画像に現像器313からトナーが供給されることにより感光体ドラム311の周面にトナー画像が形成される。この感光体ドラム311周面のトナー画像がレジストローラ対312を介して給紙された用紙Pに転写される。
【0043】
前記定着部32は、転写部31で感光体ドラム311によりトナー画像の転写された用紙Pの転写画像に対し定着処理を施すものである。かかる定着部32は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体が内装された定着ローラ321と、下部でこの定着ローラ321に対向配置された加圧ローラ322とを有している。
【0044】
そして、前記転写部31から感光体ドラム311の駆動回転により搬送された用紙Pは、定着ローラ321および加圧ローラ322間に給紙され、ここで定着ローラ321により加熱されることでトナー画像が用紙Pに定着される。定着部32を通過した用紙Pは、最下流端に設けられた搬出路34を通り、排紙口35から排紙部50へ向けて排紙されることになる。
【0045】
前記用紙貯留部33は、画像形成部筐体15に対して挿脱自在に装着された用紙カセット331と、この用紙カセット331の一方の端部(図2(B)に示す例では前端部)に対応して設けられたピックアップローラ332とを備えている。このピックアップローラ332の駆動回転で用紙カセット331に装填されている用紙Pの束の最上位のものが順次繰り出され、転写部31に向けて給紙される。
【0046】
そして、ピックアップローラ332を介して用紙カセット331から導出された用紙Pは、レジストローラ対312を介して搬送されつつ、感光体ドラム311の周面のトナー画像が転写され、引き続き定着部32で定着ローラ321による熱定着処理が施された後、搬出路34を通って排紙口35から排紙部50の排紙トレイ51に排紙される。
【0047】
また、画像形成部筐体15の前面位置には用紙手差し部60が設けられている。この用紙手差し部60は、開閉可能な手差しトレイ61と、開放状態の手差しトレイ61に載置された用紙Pを取り込んで転写部31へ向けて給紙するピックアップローラ62とを有している。
【0048】
前記操作部40は、図1に示すように、画像読取部筐体12の前縁部分が前方に向かって突設されることにより形成された操作部用筐体41と、この操作部用筐体41の上面に形成された操作パネル42とを備えている。操作パネル42には、スタートボタン43や、各種の操作ボタン44さらには各種の画像形成用の情報を画面表示するLCDための(Liquid crystal display)からなるディスプレー45等の操作用の部材が設けられ、これらの操作用部材を操作したり視認したりすることによって具体的な画像形成処理が実行される。
【0049】
このように構成された画像形成装置10において、本実施形態では、画像読取部筐体12の天板122が他の部分の色に比べて濃い色である濃色に彩色されている。本実施形態においては、原稿押さえ部材13、原稿自動供給部筐体14および画像形成部筐体15の外面は、いずれも淡いクリーム色あるいは灰色等の明るい色に彩色されているのに対し、天板122は濃い色である濃色に設定されている。濃色については、その色彩は問わない。例えば、赤色なら濃い赤色であればよく、青色なら濃い青色であればよい。最も好ましい濃色としては黒色を挙げることができる。
【0050】
図3は、かかる濃色に彩色された天板122を説明するための画像読取部筐体12の上面の平面図であり、図3(A)は、原稿P1が載置原稿用ガラス241上に適正に載置された状態、図3(B)は、原稿P1が載置原稿用ガラス241上に斜めに載置された状態をそれぞれ示している。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0051】
図3に示すように、天板122は、その中央部が画像読取部筐体12の平面視の形状と略相似形で大きく矩形状に開口されることによって形成された大開口123と、この大開口123の左隣りに開口された前後方向に細長い小開口124とが設けられている。大開口123の縁部には、1段下がった状態の段差を備えて形成された環状支持縁123aが形成されているとともに、小開口124の縁部にも、1段下がった状態の段差を備えて形成された環状支持縁124aが形成されている。
【0052】
そして、前記載置原稿用ガラス241は、大開口123側の環状支持縁123aに支持された状態で当該大開口123に嵌め込まれているとともに、自動給紙原稿用ガラス242は、小開口124側の環状支持縁124aに支持された状態で当該小開口124に嵌め込まれている。
【0053】
また、載置原稿用ガラス241の後縁部には、左右方向の全長に亘るスケール125が貼着されている。このスケール125には、左上角を起点にした、例えば、A4、B5などの原稿P1の用紙サイズを示す目盛が付されており、ユーザーは、これらの目盛を参照しながら原稿P1を載置原稿用ガラス241上に載置する。
【0054】
また、原稿自動供給部21と、自動給紙原稿用ガラス242との間の細長い部分には、原稿トレイ22(図1、図2)から原稿自動供給部21を介して自動給紙原稿用ガラス242上に供給された原稿P1を、原稿押さえ部材13の上面へ案内するための前後方向に長尺のガイド条126が貼着されている。
【0055】
そして、本実施形態においては、天板122の上面全面が濃色(本実施形態では黒色より若干明る目の濃い灰色)に濃度設定されているとともに、スケール125およびガイド条126も同一の濃色に彩色されている。
【0056】
従って、原稿P1をその原稿面が下を向くように表裏反転させて載置原稿用ガラス241上に載置した状態では、当該原稿P1の裏側の白色と、天板122の濃色とが際だってコントラストを形成するため、当該原稿P1が、図3(B)に示すような斜めに載置されてしまうような不都合の生じることが回避される。
【0057】
さらに、本実施形態においては、天板122の上面には細かい凹凸が形成される、いわゆる梨地処理が施されている。従って、天板122の表面に向けて照射された原稿押さえ部材13の裏面からの反射光は乱反射するため、ユーザーが反射光で眩しく感じるような不都合の発生が有効に防止される。
【0058】
加えて、本実施形態においては、画像読取部筐体12の内部であって、コンタクトガラス24を介して視認することが可能な部分(具体的には、画像読取部筐体12の内壁面、底板121の内面側および光学系ユニット23の移動枠体230の表面側)も濃色に彩色されている。こうすることで、照射ランプ231から照射された光の各所での反射光は、画像読取部筐体12の内壁面等の濃色に吸収され、これによってユーザーが画像読取部筐体12の内部からの反射光で眩しく感じるような不都合の発生が有効に防止される。
【0059】
以上詳述したように、本発明に係る画像形成装置10は、原稿P1の画像情報を読み取る原稿読取部20と、原稿読取部20の下部に連設され、かつ、当該原稿読取部20が読み取った画像情報に基づき所定の画像形成処理を施す画像形成部30とが備えられてなるものである。
【0060】
前記原稿読取部20は、上面に原稿面を下にして原稿P1が載置されるコンタクトガラス24を備えた画像読取部筐体12と、コンタクトガラス24上に載置された原稿P1を押さえる開閉可能な原稿押さえ部材13と、コンタクトガラス24上に載置された原稿P1の原稿面を光学的にスキャンし原稿画像として読み取る光学系ユニット23とを有しているとともに、画像読取部本体は、コンタクトガラスを嵌め込む開口を備えた天板122を有している。そして、この天板122は、表面が濃色に彩色されている。
【0061】
かかる構成によれば、コンタクトガラス24上に原稿P1を載置した状態で、濃色の天板122とコンタクトガラス24上の淡色の原稿P1との間で色の濃淡が形成され、これによって原稿P1の載置状態が適正であるか否かを迅速に判断することが可能になり、結果として複写作業の作業性を向上させることができるとともに、排出された用紙上のトナー画像が斜めになるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0062】
また、コンタクトガラス24上に原稿P1を載置した状態で原稿押さえ部材13を閉止するに際し、通常、原稿読取部20に設けられた光源が発光し、この光が原稿押さえ部材13の裏側で反射して天板122を照射するが、当該照射光は、天板122の濃色により吸収され、天板122上での光の反射が起こらないため、原稿押さえ部材13を閉止するときに反射光で眩しくなるような不都合の発生を防止することができる。
【0063】
また、天板122の上面に梨地加工が施されているため、天板122に届いた光源からの光の反射は、梨地加工が施された天板122上で乱反射して弱められるため、さらに効果的に眩しさを減少させることができる。
【0064】
また、画像読取部本体のコンタクトガラス24を通して視認し得る内部が濃色に彩色されているため、照射ランプ231から照射された光の各所からの反射光が画像読取部筐体12の内部におけるコンタクトガラス24を介して視認し得る部分の濃色に吸収され、これによって当該反射光がコンタクトガラス24を通してユーザーの目に入り、ユーザーを眩しく感じさせることを有効に防止することができる。
【0065】
さらに、原稿押さえ部材13は、その上部に原稿P1の束を載置する原稿トレイ22上の原稿P1の束から1枚ずつの原稿P1を繰り出させる原稿自動供給部21を備えている。そして、コンタクトガラス24は、原稿P1を載置するための載置原稿用ガラス241と、原稿自動供給部21から自動給紙された原稿P1を対象とした自動給紙用ガラス242とを備える。
【0066】
従って、特に複数枚の原稿P1が積層された原稿束の各原稿P1の画像を自動的に読み取るとき、当該用紙束を原稿トレイ22に載置して原稿自動供給部21を駆動させることにより、原稿トレイ22上の原稿束から原稿P1が1枚ずつ自動的に繰り出され、コンタクトガラス24の自動給紙用ガラス242を通過するときに当該原稿P1の画像が読み取られるため、原稿P1の1枚ずつを載置原稿用ガラス241上に一々載置して原稿画像を読み取らせる場合に比較し、複数枚の原稿P1の原稿画像を極めて効率的に読み取ることができる。
【0067】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0068】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。また、画像形成装置10がモノクロ印刷用のものであることに限定されるものではなく、カラー印刷可能なものであってもよい。さらに、画像形成装置が、複写機、プリンタおよびファクシミリ装置の各機能を備えた、いわゆる複合機(MFP)であってもよい。
【0069】
(2)上記の実施形態においては、原稿読取部20における原稿P1の搬送方向と、画像形成部30における用紙Pの搬送方向とは互いに直交するように方向設定されているが、かかる方向設定に限定されるものではなく、原稿読取部20における原稿P1の搬送方向と、画像形成部30における用紙Pの搬送方向とが同一の方向になるように方向設定してもよい。
【0070】
(3)上記の実施形態において、画像読取部筐体12の突出縁部122のみではなく、原稿押さえ部材13および原稿自動供給部筐体14についても画像読取部筐体12の天板122と同色の濃い色にしてもよい。
【0071】
(4)上記の実施形態においては、画像読取部筐体12の横幅寸法が画像形成部筐体15の横幅寸法より大きく設定されているが、画像読取部筐体12の横幅寸法が画像形成部筐体15の横幅寸法と同一であってもよいし、逆に画像読取部筐体12の横幅寸法の方が画像形成部筐体15の横幅寸法より大きくてもよい。
【0072】
(5)上記の実施形態においては、原稿押さえ部材13の上に原稿自動供給部筐体14に内装された原稿自動供給部21が設けられているが、本発明は、原稿押さえ部材13に原稿自動供給部21が設けられることに限定されるものではなく、原稿自動供給部21が設けられないタイプの画像形成装置10であってもよい。この場合、画像読取部筐体12の天板122には、コンタクトガラス24として自動給紙用ガラス242は設けられずに載置原稿用ガラス241のみが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す斜視図であり、図1(A)は、原稿押さえ部材が閉じられた状態、図1(B)は、原稿押さえ部材が開かれた状態をそれぞれ示している。
【図2】図1に示す画像形成装置の断面図であり、図2(A)は、図1(A)のIIA−IIA線断面図であり、図1(A)のIIB−IIB線断面図である。
【図3】濃色に彩色された天板を説明するための画像読取部筐体の上面の平面図であり、(A)は、原稿が載置原稿用ガラス上に適正に載置された状態、(B)は、原稿が載置原稿用ガラス上に斜めに載置された状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0074】
P 用紙 P1 原稿
S 架橋平面 V 余裕空間
10 画像形成装置 11 筐体
12 画像読取部筐体(画像読取部本体)
121 底板 122 突出縁部
123 大開口 123a 環状支持縁
124 小開口 124a 環状支持縁
125 スケール 126 ガイド条
13 原稿押さえ部材 131 蝶番部材
14 原稿自動供給部筐体 15 画像形成部筐体(画像形成部本体)
151 下縁部 152 左フレーム板
153 通気口 154 前方枠フレーム
16 連結部 20 原稿読取部
21 原稿自動供給部 22 原稿トレイ
23 光学系ユニット 230 移動枠体
231 照射ランプ 232 反射ミラー
232a 第1ミラー 232b 第2ミラー
232c 第3ミラー 234 レンズユニット
24 コンタクトガラス 241 載置原稿用ガラス
242 自動給紙原稿用ガラス
25 移動機構 251 駆動モータ
252 ギヤ機構 253 駆動プーリ
254 従動プーリ 255 スキャナベルト
30 画像形成部 31 転写部
311 感光体ドラム 312 レジストローラ対
313 現像器 314 帯電器
315 露光装置 32 定着部
321 定着ローラ 322 加圧ローラ
33 用紙貯留部 331 用紙カセット
332 ピックアップローラ 34 搬出路
35 排紙口 40 操作部
41 操作部用筐体 42 操作パネル
43 スタートボタン 44 操作ボタン
45 ディスプレー 50 排紙部
51 排紙トレイ 60 用紙手差し部
61 手差しトレイ 62 ピックアップローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像情報を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部の下部に連設され、当該画像読取部が読み取った画像情報に基づき所定の画像形成処理を施す画像形成部とが備えられ、
前記画像読取部は、上面に原稿面を下にして原稿が載置されるコンタクトガラスを備えた画像読取部本体と、
前記コンタクトガラス上に載置された原稿を押さえる開閉可能な原稿押さえ部材と、
前記コンタクトガラス上に載置された原稿の原稿面を光学的にスキャンし原稿画像として読み取る光学系部材とを有し、
前記画像読取部本体は、前記コンタクトガラスを嵌め込む開口を備えた天板を有し、
前記天板は、表面が濃色に彩色されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記天板の上面に梨地加工が施されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿押さえ部材は、その上部に原稿の束を載置する原稿トレイと、
前記原稿トレイ上の原稿の束から1枚ずつの原稿を繰り出させて前記自動給紙用ガラスへ供給する原稿自動供給部とを備え、
前記コンタクトガラスは、原稿を載置するための載置原稿用ガラスと、前記原稿自動供給部から自動給紙された原稿を対象とした自動給紙用ガラスとを備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像読取部本体は、前記コンタクトガラスを通して視認し得る内部が濃色に彩色されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−141849(P2009−141849A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318262(P2007−318262)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】