説明

画像形成装置

【課題】プリントパケットのデータを簡単に入手できるとともに、入手したデータの解析、入手データによるシミュレーションを容易に行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ユーザ側のデジタル複合機1でキャプチャーされたプリントパケットをホスト端末2にエクスポートした後、プリントパケットが収納されたファイルをホスト端末2からサービス拠点側のホスト端末42に電子メールにより送付する。そして、ホスト端末42からデジタル複合機41にプリントパケットをインポートした後、解析を指示すると、ホスト端末42に文字列に置き換えられたプリントパケットが表示される。また、シミュレーションを指示すると、受信パケットについて、自装置(デジタル複合機41)がプリントパケットの送信元になるようにアドレスを書き換え、そのときの宛先アドレスがデジタル複合機43となるように書き換えてデジタル複合機43に送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、ネットワーク経由のプリント機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機等の画像形成装置は、本来のコピー機能、ファクシミリ機能に加えて、イーサネット(登録商標、Ethernet)等の構内網を介して接続されたパソコン等のホスト端末から送られる画像情報を他のファクシミリ装置へ送信する機能を備えている。また、このような画像形成装置は、上記の機能に加えて、ホスト端末等から送られる画像情報をプリントアウトするネットワークプリント機能も備えている。
【0003】
ホスト端末でアプリケーションソフトウェアを用いて作成されたデータをデジタル複合機でプリントする場合、ホスト端末にインストールされているプリンタドライバによってデータをデジタル複合機に送信する。すなわち、プリンタドライバは、プリントするデータをページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたプリントデータに変換し、この変換したプリントデータをデジタル複合機に送信する。そして、デジタル複合機では、受信した印刷データを解析して画像データ(ビットマップデータ)に展開し、展開された画像データに応じた画像をプリントするようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−31974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ネットワーク環境の普及によってホスト端末でのプリントはネットワーク経由で行うことが一般的となってきている。このネットワーク経由のプリントで使用されるプロトコルとしては、LPR、Port9100、IPP、NetBIOS over TCP/IP、FTPと様々なプロトコルが存在し、ユーザの環境によって使用されるプロトコルも様々となっている。
【0005】
上記の様々なネットワークプロトコルは、一般的にRFCなどの規格書に定義されているが、ホスト端末の設計または上記プロトコルを用いてプリントを行うアプリケーションの設計時の規格解釈の相違によって種々のパケットが送出される。このため、デジタル複合機側のネットワークサーバあるいはネットワークインターフェースカード(NIC)が想定していないパケットが送出されてくるケースがある。
【0006】
このようなケースでは、当然ながら正しくネットワークプロトコルを制御できないので、プリントできない問題、あるいは、プリントはできたが、ホスト端末側のプリントキューから当該プリントジョブが自動的に削除されないなどの様々な問題が発生している。
【0007】
このような問題を解決するため、ネットワークプロトコルの状況を入手して解析する必要があるが、従来は、ネットワークに接続されたパソコンにインストールされているパケットキャプチャーソフトを使用していた。すなわち、パケットキャプチャーソフトを起動することにより、ホスト端末とNIC間で送受信されるネットワークプロトコルの状況を入手し、そのデータをデジタル複合機のサービス拠点に送付して解析するという手法が取られてきた。
【0008】
このような方法は、一般的なユーザに依頼することができず、専門知識を持っている担当者がユーザの所まで出向く必要があったので、コストがかかるとともに、対応するまでに時間を要するという問題があった。
また、パケットキャプチャーソフトを使用して送受信パケットのデータを取得しても、直ちにネットワークプロトコルの状況を理解することができない。さらに、取得した受信パケットによる実機でのシミュレーションを行う場合には、複雑な操作が必要になるという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、問題の発生している機器のプリントパケットのデータを簡単に入手できるとともに、入手したデータの解析、入手データによるシミュレーションを容易に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、端末装置から送信されるプリントパケットを通信ネットワークを介して受信する画像形成装置であって、上記端末装置との間の送受信パケットを送受信するパケット送受信部と、上記パケット送受信部が送受信した送受信パケットまたは外部からインポートされた送受信パケットを記憶する送受信パケット記憶部と、上記送受信パケット記憶部に記憶された受信パケットの送信側アドレスを自装置のアドレスに書き換えるとともに、受信側アドレスを他の画像形成装置のアドレスに書き換えて上記パケット送受信部により送信するシミュレーション部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の画像形成装置は、上記の画像形成装置において、上記送受信パケット記憶部に記憶された送受信パケットの送信側ならびに受信側アドレス、ポート番号情報及びパケット識別情報を文字列化する解析部を備えたことを特徴とする。
さらに、本発明の他の画像形成装置は、上記の画像形成装置において、上記送受信パケット記憶部に、指定された端末装置及び/または指定されたポート番号の送受信パケットが記憶されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の画像形成装置は、上記の画像形成装置において、上記送受信パケット記憶部に記憶された送受信パケットをエクスポートする制御部を備え、上記送受信パケット記憶部が送受信パケットを送信パケットよりなる送信データファイルと受信パケットよりなる受信データファイルに分けて記憶し、上記制御部が、エクスポート時に送信データファイルと受信データファイルに記憶されたパケットを時刻順に並べ替えて出力することを特徴とする。
さらに、本発明の他の画像形成装置は、上記の画像形成装置において、上記送受信パケット記憶部に記憶された送受信パケットをエクスポートする制御部を備え、上記送受信パケット記憶部が送受信パケットよりなる送受信データファイル及び受信パケットよりなる受信データファイルを記憶し、上記制御部が、エクスポート時に上記送受信データファイルと受信データファイルを別々に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置は、受信パケットの送信側アドレスを自装置のアドレスに書き換えるとともに、受信側アドレスを他の画像形成装置のアドレスに書き換えて送信するので、受信パケットによるシミュレーションを容易に実行することができる。
また、本発明の他の画像形成装置は、送受信パケットの送信側ならびに受信側アドレス、ポート番号情報及びパケット識別情報を文字列化することができるので、ネットワークプロトコルの状況を容易に理解することができる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の画像形成装置をデジタル複合機に適用した実施例について、図面を用いて説明する。図1はデジタル複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図であり、図2はデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すネットワーク構成図において、1はデジタル複合機、2、3、4・・・はホスト端末、5は公衆交換電話網(PSTN)、6はイーサネット、7はインターネット網である。
【0016】
デジタル複合機1はコピーモード、プリンタモード、ファクスモードの各機能を備え、PSTN5及びイーサネット6に接続されており、このイーサネット6に端末装置として複数のホスト端末2、3、4・・・が接続されている。また、このイーサネット6はインターネット網7にも接続されており、デジタル複合機1はこのインターネット網7を介してメールの送受信を行うことが可能である。
【0017】
図2はデジタル複合機1の制御系の構成を示す概略ブロック図であり、CPU11はバス25を介してデジタル複合機1のハードウェア各部を制御するとともに、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行する。ROM12はデジタル複合機の動作に必要な種々のプログラム及び操作メッセージ等を予め記憶し、RAM13はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶する。
【0018】
表示部14は、デジタル複合機の動作状態の表示、及び、種々の機能の操作画面の表示を行う表示器よりなり、操作部15は、デジタル複合機を操作するための多数の操作キーから構成されている。
読取部16はCCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、カラーまたはモノクロのドットイメージデータを出力する。また、画像メモリ17は、DRAM等を用いて構成され、送信すべきイメージデータまたは受信したイメージデータあるいは読取部16で読み取ったイメージデータを記憶する。
【0019】
記録部18は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したイメージデータ、コピー原稿データあるいはホスト端末2、3、4・・・から送信されたプリントデータをプリントアウトする。プリンタコントローラ19は、例えばPDLにより記述されたプリントデータに基づく画像を、記録部18によってプリントアウトさせるためのコントローラである。
【0020】
コーデック20は所定のプロトコルに対応して符号化及び復号するものであり、読み取った原稿のイメージデータを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信したイメージデータを復号する。また、このコーデック20は、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化及び復号する。
【0021】
モデム21はバス25に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファックスモデムとしての機能を有し、このモデム21は同様にバス25に接続されたNCU22と接続されている。NCU22はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム21をPSTN5に接続する。
【0022】
また、ネットワークボード23はホスト端末のWWW(World Wide Web)ブラウザからの要求等を処理するものであり、図3はこのネットワークボード23の機能を示す機能ブロック図である。
TCP/IPプロトコル制御部31はTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)を制御する。HTTPD制御部32は、TCP/IPプロトコル制御部31によるデータストリーム転送機能を用いてHTTPD(Hyper Text Transfer Protocol Daemon)機能に対する処理を実行する。
なお、HTTPDはHTTPサーバの機能を提供するデーモンで、UNIX(登録商標)オペレーティング・システム上でウェブサーバを運用する際に使われるものである。
【0023】
また、HTTPクライアント制御部33は、HTTPD制御部32からの要求に対応してイーサネット6あるいはインターネット網7に接続された機器との接続等のセッションを実行する。パケット送受信制御部34は、プリント実行時等の送受信パケットを送受信するとともに、プリントデータをプリンタコントローラ19に送出する。パケットキャプチャー条件記憶部35は、ホスト端末等から設定された送受信パケットのキャプチャー条件を記憶し、送受信パケット記憶部36は、ホスト端末とネットワークボード間の送受信パケットを記憶する。
【0024】
また、送受信パケット解析部37は、送受信パケット記憶部36に記憶された送受信パケットの送信側ならびに受信側アドレス、ポート番号情報及びパケット識別情報を文字列化する。シミュレーション実行部38は、送受信パケット記憶部に記憶された受信パケットを書き換えることにより、他のデジタル複合機でシミュレーションを行うための送信パケットを生成する。
これらの各部は、CPU、ROM、RAM等のメモリ、コンパクトフラッシュメモリ(登録商標)等により構成され、ソフトウエアにより各機能が実行される。
【0025】
ネットワークインターフェース24(I/F)はイーサネット6に接続され、ホスト端末2、3、4・・からのデータあるいはインターネット網7からのデータをイーサネット6を介して受信する。また、このLANインターフェース24は、イーサネット6に対してデータの送信も行うものであり、信号変換あるいはプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0026】
デジタル複合機1は上記のように構成されており、ファクシミリ送信時には、原稿の画像データが読取部16で読み取られ、コーデック20で圧縮されて画像メモリ17に蓄積される。この圧縮された画像データが画像メモリ17から読み出されてモデム21で変調され、NCU22からPSTN5を通して通信相手先に送信される。また、ファクシミリ受信時には、受信した画像データがモデム21で復調され、画像メモリ17に蓄積された後、コーデック20で復号されて記録部18により印刷される。
【0027】
また、ホスト端末2、3、4・・がプリントパケットを送信した場合、ネットワークボード23のパケット送受信制御部34がこのプリントパケットを受信し、プリントデータをプリンタコントローラ19に送出する。そして、プリンタコントローラ19は、ホスト端末からのPDLにより記述されたプリントデータに基づく画像を生成し、当該画像を記録部18に送ってプリントアウトさせる。
【0028】
一方、このデジタル複合機1は、ホスト端末2、3、4等とデジタル複合機1との間で送受信されるプリントパケット、すなわち、プリント用のネットワークパケットをキャプチャーする機能を備えている。このキャプチャー機能はホスト端末から有効にすることができ、以下、キャプチャー機能を有効にする場合の作用について説明する。
【0029】
例えば、ホスト端末2の操作者がWWWブラウザを起動し、ホスト端末2のモニタ画面に表示されたWWWブラウザ画面において、デジタル複合機1のIPアドレスを指定してアクセスを行う。これにより、ホスト端末のモニタ画面にデジタル複合機1の機能選択画面が表示されるので、操作者がこの機能選択画面でパケットキャプチャーを選択して指示すると、モニタ画面に送受信パケットキャプチャーの設定画面が表示される。
【0030】
図4は、上記の送受信パケットキャプチャーの設定画面の一例である。図に示すように、この画面には、プリントパケットの回収対象とするホスト端末のIPアドレス入力欄、回収するキャプチャープロトコルの選択欄、パケットキャプチャーの可否設定欄及び「設定」ボタンが設けられている。
【0031】
図に示すように、キャプチャープロトコルが、LPR(Line Printer daemon protocol)の場合、待受けポート番号として515番が指定され、Port9100の場合は、待受けポート番号として9100番が指定されるが、このポート番号は変更可能である。また、FTP(File Transfer Protocol)の場合、データ(Data)用の待受けポート番号として20番が指定され、制御信号(Control)用の待受けポート番号として21番が指定される。さらに、SMB(Server Message Block)の場合、待受けポート番号として139番が指定され、CIFS(Common Internet File System)の場合、待受けポート番号として445番が指定される。また、IPP(Internet Printing Protocol)の場合、待受けポート番号として80番または631番が指定される。
【0032】
キャプチャー機能を有効にする場合、図4の設定画面で、回収対象のホスト端末、例えば、ホスト端末3のIPアドレスを入力し、回収するキャプチャープロトコルを選択する。この後、パケットキャプチャーの可否設定を「オン」にし、「設定」ボタンをクリックする。これにより、これらの情報がデジタル複合機1に送信されてネットワークボード23のパケットキャプチャー条件記憶部35に記憶され、プリントパケットをキャプチャーする機能が有効になる。
なお、回収対象のホスト端末のIPアドレスは複数個入力することができ、回収するキャプチャープロトコルも複数個選択することが可能である。
【0033】
次に、送受信パケットキャプチャーの機能が有効となっている場合のデジタル複合機1の作用を図5のフローチャートにより説明する。
送受信パケットキャプチャーの機能が有効となっている場合、ネットワークボード23のパケット送受信制御部34は、常時、図5のフローチャートに示す、送受信パケットキャプチャープログラムを実行している。
【0034】
送受信パケットキャプチャープログラムの実行中、パケット送受信制御部34は、パケットの送受信があったか否かを判定する(ステップ101)。そして、パケットの送受信があったと判定すると、パケット送受信制御部34は、送受信したイーサネットレベルのバイナリデータを解析し、相手側のホスト端末のIPアドレスとポート番号を取得する(ステップ102)。
【0035】
次に、パケット送受信制御部34は、上記相手側のホスト端末のIPアドレスに基づいて指定されたホスト端末との間で送受信されたパケットか否かを判定する(ステップ103)。すなわち、パケット送受信制御部34は、パケットキャプチャー条件記憶部35に記憶されているIPアドレスと送受信の相手側ホスト端末のIPアドレスを比較することにより指定されたホスト端末か否かを判定する。
【0036】
指定されたホスト端末との間で送受信されたパケットでないと判定した場合、パケット送受信制御部34は、プログラムを終了する。また、指定されたホスト端末との間で送受信されたパケットであると判定した場合、パケット送受信制御部34は、取得したポート番号に基づいてプリントパケットか否かを判定する(ステップ104)。
【0037】
プリントパケットでないと判定した場合、パケット送受信制御部34は、プログラムを終了し、プリントパケットであると判定した場合、待受けポート番号が指定されているか否かを判定する(ステップ105)。すなわち、パケットキャプチャー条件記憶部35に待受けポート番号が記憶されているか否かを判定することにより、待受けポート番号が指定されているか否かを判定する。
【0038】
待受けポート番号が指定されていないと判定した場合、パケット送受信制御部34は、対象ポート番号がプリント用プロトコルとしてサポートしているポート番号か否かを判定する(ステップ106)。対象ポート番号がサポートしていないポート番号であると判定した場合、パケット送受信制御部34はプログラムを終了する。
【0039】
また、対象ポート番号がサポートしているポート番号であると判定した場合、パケット送受信制御部34は、送受信パケットを送受信パケット記憶部36に保存する(ステップ107)。すなわち、パケット送受信制御部34は、送受信した時刻情報、送受信したイーサネットレベルのバイナリデータ長、バイナリデータの組み合わせとして送受信パケット記憶部36の受信データファイルまたは送信データファイルに保存する。
【0040】
一方、ステップ105で待受けポート番号が指定されていると判定した場合、パケット送受信制御部34は、送受信したプリントパケットのポート番号が待受けポート番号か否かを判定する(ステップ108)。そして、送受信したプリントパケットのポート番号が待受けポート番号でないと判定した場合、パケット送受信制御部34は、プログラムを終了する。
【0041】
また、送受信したプリントパケットのポート番号が待受けポート番号であると判定した場合、パケット送受信制御部34は、上記と同様に、送受信パケットを送受信パケット記憶部36に保存する(ステップ107)。
これにより、ホスト端末3との間のプリントパケットのイーサネットレベルのバイナリデータを、受信データファイルと送信データファイルとに分けて送受信パケット記憶部36に記憶することができる。
【0042】
次に、送受信パケット記憶部36に記憶されたプリントパケットの入手方法について説明する。
プリントパケットを入手する場合、上記と同様に、ホスト端末2の操作者はWWWブラウザを起動し、ホスト端末2のモニタ画面に表示されたWWWブラウザ画面において、デジタル複合機1のIPアドレスを指定してアクセスを行う。
【0043】
そして、ホスト端末2のモニタ画面に表示されるデジタル複合機1の機能指定画面で操作者が送受信パケットのインポート/エクスポートを選択して指示すると、モニタ画面に送受信パケットのインポート/エクスポート画面が表示される。
図6は、上記の送受信パケットのインポート/エクスポート画面の一例であり、図に示すように、フォルダー指定欄、「エクスポート」ボタン、「インポート」ボタン及び「解析」ボタンが表示されている。
【0044】
この画面において、操作者がフォルダー指定欄で任意のフォルダーを指定した後、「エクスポート」ボタンをクリックすることにより、プリントパケットを入手することができる。すなわち、デジタル複合機1のHTTPD制御部32がこのエクスポート要求コマンドを受けることにより、送受信パケット記憶部36の受信データファイル及び送信データファイルに記憶されたプリントパケットを時刻順に並べ替えてホスト端末2に送信する。これにより、受信データと送信データが交互になるように変換されたプリントパケットがホスト端末2の指定されたフォルダーに格納される。
このプリントパケットが収納されたファイルをデジタル複合機1のサービス拠点等の解析者に送付することにより、サービス拠点の解析者が送受信パケットの解析あるいは受信パケットを用いたシミュレーションを実行することができる。
【0045】
以下、サービス拠点の解析者が送受信パケットの解析あるいは受信パケットを用いたシミュレーションを実行する場合の作用について説明する。
図7はプリントパケットの転送状況を説明するための図であり、上記のように、ユーザ側のデジタル複合機1でキャプチャーされたプリントパケットがホスト端末2にエクスポートされる。そして、プリントパケットが収納されたファイルがホスト端末2からサービス拠点側のホスト端末42に電子メールにより送付される。
【0046】
送受信パケットの解析を行う場合、サービス拠点の解析者はサービス拠点のホスト端末42のWWWブラウザを起動し、ホスト端末42のモニタ画面に表示されたWWWブラウザ画面において、サービス拠点のデジタル複合機41のIPアドレスを指定してアクセスを行う。
そして、モニタ画面に表示されるデジタル複合機の機能指定画面で解析者が送受信パケットのインポート/エクスポートを選択して指示すると、上記と同様に、モニタ画面に図6の送受信パケットのインポート/エクスポート画面が表示される。
【0047】
この画面において、解析者はフォルダー指定欄でプリントパケットが収納されたファイルが保存されているホスト端末42のフォルダーを選択した後、「インポート」ボタンをクリックする。これにより、デジタル複合機41のHTTPD制御部32が、指定されたフォルダーに保存されているプリントパケットが収納されたファイルを取り出し、デジタル複合機41の送受信パケット記憶部36に記憶する。
【0048】
次に、解析者が、図6に示す送受信パケットのインポート/エクスポート画面の「解析」ボタンをクリックすると、解析要求コマンドがデジタル複合機41に送信される。この解析要求コマンドを受信すると、デジタル複合機41のHTTPD制御部32は、送受信パケット解析部37に送受信パケット記憶部36に記憶されたプリントパケットを読み出させ、解析を実行させる。すなわち、送受信パケット解析部37は、プリントパケットの送信側ならびに受信側MACアドレス、IPアドレス、ポート番号情報を抽出して書き出すとともに、パケット識別情報を文字列に置き換える。そして、送受信パケット解析部37は、このようにして文字列に書き換えたプリントパケットを解析結果ファイルとして送受信パケット記憶部36に保存する。これと同時に、送受信パケット解析部37は、この解析結果ファイルをホスト端末42に送信するので、解析結果ファイルがホスト端末42の指定されたフォルダーに格納される。
【0049】
そして、解析者がこの解析結果ファイルを表示させることにより、図8に示すように、モニタ画面に文字列に置き換えられたプリントパケットが表示されるので、解析者はプリントパケットのシーケンスを容易に理解することができる。
なお、「SYN」、「ACK」は、TCP/IPの上位層プロトコルTCPがセッションを開始する際に、通信を行う双方のノード間でやり取りされる情報であり、「SYN」は接続要求信号、「ACK」は確認応答信号である。この1〜3行によりハンドシェークが終了し、これ以降にプリントデータ本体等の文字列が表示される。
【0050】
以上のように、デジタル複合機で解析、すなわち、プリントパケットの文字列化を実行することができるので、解析ソフトをホスト端末にインストールする必要がない。また、プリントパケットが文字列化されて表示されるので、ネットワークプロトコルの状況を解析者が容易に理解することができる。
なお、この実施例では文字列化したプリントパケットをホスト端末のモニタ画面に表示したが、デジタル複合機の表示部に表示したり、デジタル複合機の記録部でプリントすることも可能である。
【0051】
次に、サービス拠点の解析者がプリントパケットをデジタル複合機41にインポートした後、受信パケットによるシミュレーションを行う場合の作用について説明する。
シミュレーションを行う場合、サービス拠点の解析者はホスト端末42でWWWブラウザを起動し、ホスト端末のモニタ画面に表示されたWWWブラウザ画面において、サービス拠点のデジタル複合機41のIPアドレスを指定してアクセスを行う。
【0052】
そして、モニタ画面に表示されたデジタル複合機41の機能指定画面で解析者が受信パケットを用いたシミュレーションを選択して指示すると、ホスト端末42のモニタ画面に受信パケットを用いたシミュレーション実行画面が表示される。
図9は、上記の受信パケットを用いたシミュレーション実行画面の一例であり、図に示すように、シミュレーションを実行するデジタル複合機のMACアドレス、IPアドレスの入力欄及び「実行」ボタンが表示されている。
【0053】
図9の受信パケットを用いたシミュレーション画面で、例えば、サービス拠点の他のデジタル複合機43のMACアドレス、IPアドレスを入力し、「実行」ボタンをクリックすると、受信パケットを用いたシミュレーションがデジタル複合機41に要求される。
【0054】
このシミュレーション要求のコマンドを受信すると、HTTPD制御部32は、シミュレーション実行部38に受信パケットによるシミュレーションを実行させる。
シミュレーション実行部38は、まず、送受信パケット記憶部36に記憶されている送受信パケットから受信パケットを抽出し、受信パケットファイルとして送受信パケット記憶部36に記憶する。
【0055】
次に、シミュレーション実行部38は、受信パケットファイルの受信パケットにおいて、以下の書き換えを行う。
Destination :デジタル複合機1のアドレス→デジタル複合機43のアドレス
Source:ホスト端末3のアドレス→デジタル複合機41のアドレス
すなわち、受信パケットについて、自装置(デジタル複合機41)がプリントパケットの送信元になるようにアドレスを書き換え、そのときの宛先アドレスがデジタル複合機43となるように書き換える。
【0056】
この後、シミュレーション実行部38が書き換えた受信パケットを、順次、パケット送受信制御部34によりイーサネットに送出するので、デジタル複合機43においてプリントデータがプリントされ、シミュレーションを実行することができる。
【0057】
以上のように、受信パケットの送信側アドレス、受信側アドレスを書き換えて送信することができるので、他のデジタル複合機において受信パケットによるシミュレーションを容易に実行することができる。
【実施例2】
【0058】
上記の実施例では、送受信パケットをデジタル複合機1で受信データファイルと送信データファイルとに分けて送受信パケット記憶部36に記憶したが、送受信データファイル及び受信データファイルとして記憶することもできる。
この場合、パケットの受信時、パケットの送信時に、送受信パケットを時間順に、送受信したイーサネットレベルのバイナリデータ長、バイナリデータの組み合わせとして送受信パケット記憶部36の送受信データファイルに記憶する。また、パケットの受信時には時間順に、受信したイーサネットレベルのバイナリデータ長、バイナリデータの組み合わせとして受信データファイルにも記憶する。
以上のように、送受信パケットを送受信データファイル及び受信データファイルとして記憶することにより、エクスポート時にパケットの並び替えを行うことが不要となる。
【0059】
以下、上記の送受信データファイル及び受信データファイルをホスト端末42に電子メールにより送信した場合の送受信パケットの解析あるいは受信パケットを用いたシミュレーションを実行する場合の作用について説明する。
送受信パケットの解析を行う場合、実施例1と同様に、サービス拠点の解析者はサービス拠点のホスト端末42のWWWブラウザを起動し、ホスト端末42のモニタ画面に表示されたWWWブラウザ画面において、サービス拠点のデジタル複合機41のIPアドレスを指定してアクセスを行う。
【0060】
して、モニタ画面に表示されるデジタル複合機の機能指定画面で操作者が送受信パケットのインポート/エクスポートを選択して指示すると、上記と同様に、モニタ画面に図6の送受信パケットのインポート/エクスポート画面が表示される。
この画面において、解析者はフォルダー指定欄で送受信データファイル及び受信データファイルが保存されているホスト端末42のフォルダーを選択した後、「インポート」ボタンをクリックする。これにより、デジタル複合機41のHTTPD制御部32が、指定されたフォルダーに保存されている送受信データファイル及び受信データファイルを取り出し、送受信パケット記憶部36に記憶する。
【0061】
次に、解析者が、図6に示す送受信パケットのインポート/エクスポート画面の「解析」ボタンをクリックすると、解析要求コマンドがデジタル複合機41に送信される。この解析要求コマンドを受信すると、HTTPD制御部32は、送受信データファイルに格納されるプリントパケットについてパケット解析部37に解析を実行させるが、以下の作用は実施例1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0062】
次に、サービス拠点の解析者が送受信データファイル及び受信データファイルをデジタル複合機41にインポートした後、受信パケットによるシミュレーションを行う場合の作用について説明する。
シミュレーションを行う場合、サービス拠点の解析者はホスト端末42でWWWブラウザを起動し、ホスト端末のモニタ画面に表示されたWWWブラウザ画面において、サービス拠点のデジタル複合機41のIPアドレスを指定してアクセスを行う。
【0063】
そして、モニタ画面に表示されたデジタル複合機41の機能指定画面で解析者が受信パケットを用いたシミュレーションを選択して指示すると、モニタ画面に図9の受信パケットを用いたシミュレーション実行画面が表示される。この画面で、例えば、サービス拠点の他のデジタル複合機43のMACアドレス、IPアドレスを入力し、「実行」ボタンをクリックすると、受信パケットを用いたシミュレーションがデジタル複合機41に要求される。
【0064】
このシミュレーションの要求コマンドを受信すると、HTTPD制御部32は、シミュレーション実行部38にシミュレーションを実行させる。これにより、シミュレーション実行部38が送受信パケット記憶部36に記憶された受信データファイルの受信パケットにおいて、アドレスの書き換えを行うが、以下の作用は実施例1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
以上のように、送受信パケットを送受信データファイル及び受信データファイルとして記憶することにより、受信パケットの抽出処理を必要とすることなく、受信パケットによるシミュレーションを実行することができる。
【0065】
なお、以上の実施例では、他のデジタル複合機がキャプチャーした送受信パケットをこれとは異なるデジタル複合機にインポートして送受信パケットの解析あるいは受信パケットを用いたシミュレーションを実行させた。これに対し、送受信パケットをキャプチャーしたデジタル複合機自体に送受信パケットの解析あるいは受信パケットを用いたシミュレーションを実行させることも可能である。
また、以上の実施例では、送受信パケットの回収、解析及びシミュレーションの指示をネットワークを経由してホスト端末から実行したが、これらの指示をデジタル複合機の操作部で実行することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】デジタル複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置を適用したデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】ネットワークボードの機能を示す機能ブロック図である。
【図4】送受信パケットキャプチャーの設定画面の一例である。
【図5】送受信パケットのキャプチャー時の作用を示すフローチャートである。
【図6】送受信パケットのインポート/エクスポート画面の一例である。
【図7】プリントパケットの転送状況を説明するための図である。
【図8】文字列に置き換えられた解析結果の表示の一例である。
【図9】受信パケットを用いたシミュレーション実行画面の一例である。
【符号の説明】
【0067】
1、41、43 デジタル複合機
2、3、4、42 ホスト端末
5 PSTN
6 イーサネット
7 インターネット網
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 表示部
15 操作部
16 読取部
17 画像メモリ
18 記録部
19 プリンタコントローラ
21 モデム
22 NCU
23 ネットワークボード
24 ネットワーク I/F
25 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から送信されるプリントパケットを通信ネットワークを介して受信する画像形成装置であって、
上記端末装置との間の送受信パケットを送受信するパケット送受信部と、上記パケット送受信部が送受信した送受信パケットまたは外部からインポートされた送受信パケットを記憶する送受信パケット記憶部と、上記送受信パケット記憶部に記憶された受信パケットの送信側アドレスを自装置のアドレスに書き換えるとともに、受信側アドレスを他の画像形成装置のアドレスに書き換えて上記パケット送受信部により送信するシミュレーション部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記送受信パケット記憶部に記憶された送受信パケットの送信側ならびに受信側アドレス、ポート番号情報及びパケット識別情報を文字列化する解析部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
上記送受信パケット記憶部に、指定された端末装置及び/または指定されたポート番号の送受信パケットが記憶されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
上記送受信パケット記憶部に記憶された送受信パケットをエクスポートする制御部を備え、
上記送受信パケット記憶部が送受信パケットを送信パケットよりなる送信データファイルと受信パケットよりなる受信データファイルに分けて記憶し、
上記制御部が、エクスポート時に送信データファイルと受信データファイルに記憶されたパケットを時刻順に並べ替えて出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
上記送受信パケット記憶部に記憶された送受信パケットをエクスポートする制御部を備え、
上記送受信パケット記憶部が送受信パケットよりなる送受信データファイル及び受信パケットよりなる受信データファイルを記憶し、
上記制御部が、エクスポート時に上記送受信データファイルと受信データファイルを別々に出力することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−159196(P2009−159196A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333546(P2007−333546)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】