画像形成装置
【課題】部品点数が増加するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この昇華型プリンタ100(画像形成装置)は、用紙50に印刷を行うための印字ヘッド12と、印字ヘッド12が収納され、印刷時に、給紙された用紙50を挿通可能な開口部10cを含む装置本体10と、装置本体10の内部に配置されているとともに、給紙された用紙50の印刷面50cに対向するように配置されている送風ダクト33と、送風ダクト33に一体的に設けられ、用紙50を装置本体10の開口部10cに案内するガイド部33fとを備える。
【解決手段】この昇華型プリンタ100(画像形成装置)は、用紙50に印刷を行うための印字ヘッド12と、印字ヘッド12が収納され、印刷時に、給紙された用紙50を挿通可能な開口部10cを含む装置本体10と、装置本体10の内部に配置されているとともに、給紙された用紙50の印刷面50cに対向するように配置されている送風ダクト33と、送風ダクト33に一体的に設けられ、用紙50を装置本体10の開口部10cに案内するガイド部33fとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置などが知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ヒータが内蔵された加熱ローラおよび加熱ローラに圧接された加圧ローラを含む用紙にトナーを定着させる定着器と、定着器の加熱ローラに付着する用紙を剥離するための剥離爪と、定着器によりトナーが定着された用紙を搬送する2つの搬送案内板とを備えた用紙湾曲矯正装置が開示されている。この特許文献1に記載の用紙湾曲矯正装置は、トナーが定着された用紙が、剥離爪により加熱ローラから剥離されるように案内された後、2つの搬送案内板の内部を案内されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、ヒータが内蔵された加熱ローラおよび加熱ローラに圧接された加圧ローラを含む用紙にトナーを定着させる定着装置と、定着装置の加熱ローラに付着する用紙を剥離するための4つの剥離爪と、定着装置によりトナーが定着された用紙を搬送する上下2つの搬送案内板とを備えた定着装置の用紙ガイド装置が開示されている。この特許文献2に記載の定着装置の用紙ガイド装置は、トナーが定着された用紙が、4つの各剥離爪により加熱ローラから剥離されるように案内された後、上下2つの搬送案内板の間を案内されるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、給紙方向に連続するように複数回巻きつけられ、印刷時に給紙方向とは異なる方向にカールする記録媒体(用紙)を吸着させるプラテンを備えた記録装置(画像形成装置)が開示されている。この特許文献3に記載の記録装置(画像形成装置)のプラテンには、負圧室と、負圧室から空気を排出させることにより負圧室を負圧状態にするファンとが取り付けられている。また、プラテンには、負圧室に連通する複数の空気流路が形成されており、カールしている記録媒体は、負圧室に連通する複数の空気流路が形成されているプラテンに吸着されることにより、平面性を確保した状態で案内されるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、プラテンに記録紙(用紙)を押し付けるための空気吹き出しヘッドと、空気吹き出しヘッドに取り付けられたエアーチューブと、空気吹き出しヘッドに風を供給するためのブロワーとを備えたプリンタ(画像形成装置)が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−69507号公報
【特許文献2】特開平5−210328号公報
【特許文献3】特開2002−137466号公報
【特許文献4】特開2000−109240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1による用紙湾曲矯正装置では、用紙を案内するための搬送案内板が2つの搬送案内板により構成されているとともに、2つの搬送案内板以外に加熱ローラから用紙を剥離するための剥離爪を別途設ける必要があるため、用紙を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献2による定着装置の用紙ガイド装置では、用紙を案内するための搬送案内板が上下2つの搬送案内板により構成されているとともに、上下2つの搬送案内板以外に加熱ローラから用紙を剥離するための4つの剥離爪を別途設ける必要があるため、用紙を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献3による記録装置(画像形成装置)では、記録媒体(用紙)を案内するために、記録媒体をプラテンに吸着させるための負圧室および負圧室を負圧状態にするためのファンが設けられているため、記録媒体を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献4によるプリンタ(画像形成装置)では、記録紙(用紙)を案内するために、記録紙をプラテンに押し付けるための空気吹き出しヘッド、エアーチューブおよびブロワーが設けられているため、記録紙を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数が増加するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
この発明の一の局面における画像形成装置は、用紙に印刷を行うための印字ヘッドと、印字ヘッドが収納され、印刷時に、給紙された用紙を挿通可能な開口部を含む装置本体と、装置本体の内部に配置されているとともに、給紙された用紙の印刷面に対向するように配置されている送風ダクトと、送風ダクトに一体的に設けられ、用紙を装置本体の開口部に案内するガイド部とを備える。
【0014】
この発明の一の局面による画像形成装置では、上記のように、送風ダクトに一体的にガイド部を設けることによって、ガイド部を設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、送風ダクトから下方に突出するように形成されているとともに、給紙された用紙が装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、用紙の上面に当接されるように構成されている。このように構成すれば、給紙された用紙の上面をガイド部により下方に案内することができるので、用紙を装置本体の開口部に案内することができる。
【0016】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されており、給紙された用紙が装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、ガイド部が延びる方向の両端部が用紙に当接されるように構成されている。このように構成すれば、通常、用紙の印刷領域を構成しない用紙の給紙方向と実質的に直交する方向の両端部分にガイド部を当接させることができるので、用紙の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されているとともに、送風ダクトから下方に突出するように形成されており、ガイド部が延びる方向の両端部は、ガイド部が延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成されている。このように構成すれば、容易に、ガイド部が延びる方向の両端部を、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向の両端部分に当接させることができるので、容易に、用紙の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、給紙された用紙の端部に当接された際に、用紙の端部を下方に案内する曲面部を含む。このように構成すれば、曲面状に形成されたガイド部の曲面部により、容易に、用紙の端部を下方に案内することができる。
【0019】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、印刷時に、印字ヘッドと給紙された用紙の印刷面とに対して送風を行うことにより、印字ヘッドの冷却、および、送風ダクトを介して用紙の印刷面に付着する埃の除去を行うように構成されたファンをさらに備え、ファンには、送風ダクトが直接的に取り付けられている。このように構成すれば、印刷面に付着する埃の除去を行うことが可能な送風ダクトに一体的に設けられたガイド部を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1および図2は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタを示した斜視図である。図3および図4は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した斜視図である。図5〜図12は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を詳細に説明するための図である。まず、図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の構成について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の装置本体10には、図1および図2に示すように、用紙50(図1参照)を収納するための給紙カセット60と、20枚の用紙50を印刷可能なインクシート71(図5参照)が収納されたインクシートカートリッジ70(図1参照)とが着脱可能に装着されている。
【0023】
また、昇華型プリンタ100の装置本体10は、図3および図4に示すように、金属製のシャーシ11と、印字を行うための印字ヘッド12と、印字ヘッド12に対向するように配置されたプラテンローラ13(図5参照)と、金属製の送りローラ14(図5参照)と、送りローラギア15(図4参照)と、送りローラ14(図5参照)に所定の押圧力で接触する金属製の押さえローラ16(図5参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド17a(図4参照)と、樹脂製の上部用紙ガイド17b(図4参照)と、ゴム製の給紙ローラ18(図4参照)と、給紙ローラギア19(図4参照)と、ゴム製の排紙ローラ20(図4参照)と、排紙ローラギア21(図4参照)とを内部に備えている。
【0024】
昇華型プリンタ100の装置本体10は、さらに、インクシート巻取リール22と、板金製のモータブラケット23と、用紙50(図1参照)を搬送するためのステッピングモータ24(図4参照)と、印字ヘッド12を回動させるための駆動源となるステッピングモータ25と、揺動可能な揺動ギア26(図4参照)と、複数の中間ギア27〜30(図6参照)と、インクシートカートリッジ70(図4参照)を支持する樹脂製のカートリッジ支持部31(図3参照)と、印刷時に印字ヘッド12を冷却するためのファン32と、ファン32に取り付けられた樹脂製の送風ダクト33(図3参照)とを内部に備えている。
【0025】
装置本体10は、図1に示すように、樹脂によりその筐体が形成されており、その筐体には、上記した金属性のシャーシ11などが内部に収納可能に構成されている。また、装置本体10の給紙カセット60およびインクシートカートリッジ70が装着される部分には、それぞれ、蓋部材10aおよび10bが取り付けられている。蓋部材10aは、装置本体10の給紙カセット60を装着する部分に対して開閉可能に取り付けられている。また、蓋部材10bは、装置本体10のインクシートカートリッジ70を装着する部分に対して開閉可能に取り付けられている。
【0026】
また、装置本体10は、図2および図5に示すように、給紙された用紙50(図5参照)を挿通可能な開口部10cと、空気取込穴10dとを含んでいる。開口部10cは、後述する印刷過程において、用紙50を一時的に装置本体10の外部に排出するために形成されている。また、装置本体10の開口部10cの内部側の下面には、図5に示すように、用紙50を開口部10cに案内するためのリブ部10eが一体的に形成されている。また、空気取込穴10dは、ファン32が配置される位置に対応するように形成されている。
【0027】
また、金属製のシャーシ11は、図3および図4に示すように、一方側面11aと、他方側面11bと、一方側面11aと他方側面11bとを連結する底面11cとを有している。また、シャーシ11の一方側面11aには、上記した板金製のモータブラケット23が取り付けられている。また、シャーシ11の他方側面11bには、インクシートカートリッジ70を挿入するための挿入孔11dが設けられている。また、シャーシ11の底面11cには、用紙50の前端部50a(図5参照)および後端部50b(図5参照)を検出するための用紙センサ34および35(図5参照)が設けられている。なお、前端部50aは、本発明の「端部」の一例である。
【0028】
また、印字ヘッド12は、図3および図5に示すように、一対の支持軸12aと、一対のアーム部12bと、ヘッド部12cと、放熱部材12dとから構成されているとともに、ヘッド部12cには、樹脂製の給紙ガイド部材12e(図5参照)が取り付けられている。また、印字ヘッド12は、図3に示すように、シャーシ11の両側面(一方側面11aおよび他方側面11b)の内側に、支持軸12aを中心として回動可能に取り付けられている。また、印字ヘッド12のヘッド部12cには、図7に示すように、電圧パルスが印加されて発熱する複数の発熱体12fが、ヘッド部12cの用紙50(図5参照)の幅方向(矢印X方向)に沿って所定の間隔を隔てて一列に設けられている。また、発熱体12fは、印刷時に、1つの発熱体12fが1つのドットを形成するように構成されている。また、図3および図7に示すように、放熱部材12dの内周面には、発熱体12fに接続されるフラットケーブル36が沿うように配置されている。また、放熱部材12dの一方側端部には、図8に示すように、ファン32を取り付けるための一対の取付部12gが一体的に設けられている。
【0029】
ここで、本実施形態では、放熱部材12dの一対の取付部12gには、印字ヘッド12を冷却するためのファン32が固定されている。具体的には、一対の取付部12gのうちの一方側の取付部12gには、ネジ穴12hが形成されている。また、他方側の取付部12gには、ファン32が取り付けられる方向に突出する突起部12iが形成されている。また、ファン32には、4つの貫通穴32a、32b、32cおよび32dが設けられている。そして、突起部12iが貫通穴32aに挿入されるとともに、ネジ80が貫通穴32bを介してネジ穴12hに螺合されることによって、ファン32は、一対の取付部12gに対して固定されている。
【0030】
また、ファン32の吹出側には、樹脂製の送風ダクト33が取り付けられている。具体的には、送風ダクト33のファン取付面33aには、送風ダクト33のファン32の貫通穴32dに対応する部分にネジ穴33bが形成されているとともに、送風ダクト33のファン32の貫通穴32cに対応する部分に突起部33cが形成されている。そして、突起部33cが貫通穴32cに挿入されるとともに、ネジ80が貫通穴32dを介してネジ穴33bに螺合されることによって、送風ダクト33は、送風ダクト33のファン取付面33aとファン32の吹出側とが当接された状態で、ファン32に対して直接的に取り付けられている。
【0031】
また、図5に示すように、送風ダクト33のファン取付面33aが吹出側の下半分を覆うように取り付けられていることにより、送風ダクト33は、ファン32の送風量の実質的に半分の風量が送風ダクト33を経由して用紙50の印刷面50cに吹き付け可能に構成されている。具体的には、ファン32の上側の吹出空気P1は、印字ヘッド12(放熱部材12d)の冷却を行う機能を有する。また、ファン32の下側の吹出空気P2は、後述する送風路33dおよび孔33eを通過した後、用紙50の印刷面50c上に付着した塵埃などの異物を除去する機能を有する。
【0032】
また、送風ダクト33の送風路33dは、図7および図8に示すように、ファン取付面33aのファン32が取り付けられている側とは反対方向側に幅方向(矢印X方向)に延びるように形成されている。また、送風路33dの下面には、図8および図9に示すように、用紙50(図5参照)の印刷面50c(図5参照)と対向する位置に、複数(20個)の孔33eが設けられている。これら複数の孔33eは、図9に示すように、それぞれ、同じ孔径(直径約1mm)を有するように形成されているとともに、送風路33dの下面に沿うように等間隔に形成されている。
【0033】
ここで、本実施形態では、送風ダクト33のファン取付面33aのファン32が取り付けられている側の下部には、図8および図10に示すように、ガイド部33fが送風ダクト33に一体的に形成されている。ガイド部33fは、給紙方向と実質的に直交する方向である幅方向(矢印X方向)に延びるように形成されているとともに、下方に突出するように形成されている。また、ガイド部33fが延びる幅方向(矢印X方向)の両端部は、図10に示すように、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の中央部よりも下方に突出するように構成されている。つまり、ガイド部33fは、図11および図12に示すように、用紙50の印刷面50cがガイド部33fに当接した場合にも、印刷面50cの幅方向(矢印X方向)の両端部だけが当接されるように構成されている。
【0034】
また、本実施形態では、ガイド部33fには、図8および図11に示すように、給紙された用紙50の前端部50aに当接された際に、用紙50の前端部50aを下方に案内する曲面部33gが形成されている。この曲面部33gは、送風路33d側の上方から開口部10c側の下方に向かう円弧状に形成されており、曲面部33gに用紙50の前端部50aが当接された際にも、用紙50の前端部50aを下方に案内可能に構成されている。これにより、用紙50が印刷時に加熱されることによって上方にカールした場合にも、ガイド部33fにより、用紙50を下方に案内することが可能となるので、用紙50を装置本体10の開口部10cに挿通させることが可能となる。
【0035】
また、プラテンローラ13(図7参照)は、シャーシ11の両側面(一方側面11aおよび他方側面11b)の内側に回転可能に配置されている。また、送りローラ14は、図6に示すように、送りローラギア15に挿入される送りローラギア挿入部14aを有している。また、送りローラ14は、シャーシ11に取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回転可能に支持されている。また、押さえローラ16は、図7に示すように、押さえローラ16の両端部が樹脂製の一対の押さえローラ軸受37により回転可能に支持されている。この押さえローラ軸受37は、金属製の軸受支持板38に取り付けられている。また、軸受支持板38は、シャーシ11の両側面(一方側面11aおよび他方側面11b)の内側に、図示しないバネによる付勢力により押さえローラ16を送りローラ14(図5参照)に対して下方向に押圧するように配置されている。
【0036】
また、下部用紙ガイド17aは、図4および図5に示すように、送りローラ14(図4参照)および押さえローラ16(図5参照)の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド17bは、図5に示すように、下部用紙ガイド17aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド17bは、給紙時には、用紙50が下面側を通過するようにして印刷部(印字ヘッド12のヘッド部12cとプラテンローラ13とが対向する位置)への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙50が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有している。
【0037】
また、図6に示すように、モータブラケット23に取り付けられたステッピングモータ24の軸部には、モータギア39が取り付けられている。また、ステッピングモータ24は、インクシート巻取リール22のギア部22aと、給紙ローラギア19と、排紙ローラギア21と、送りローラギア15とを駆動させるための駆動源としての機能を有する。また、ステッピングモータ25は、印字ヘッド12(図5参照)をプラテンローラ13(図5参照)に対して押圧するように、印字ヘッド12の上面を押圧する図示しない押圧部材などの駆動源としての機能を有している。
【0038】
また、インクシート巻取リール22(図3参照)は、図5に示すように、インクシートカートリッジ70の巻取部70aの内部に回転可能に配置された巻取ボビン70bに係合することによって、インクシート71を巻取ボビン70bに巻き取るように構成されている。また、インクシート巻取リール22のギア部22aは、図6に示すように、揺動ギア26が揺動することによって揺動ギア26と係合可能に配置されている。
【0039】
また、インクシートカートリッジ70には、図5に示すように、インクシート71が巻き付けられた供給ボビン70cが回転可能に内部に配置された供給部70dが設けられている。また、インクシート71は、Y色(イエロー)印字シート、M色(マゼンダ)印字シートおよびC色(シアン)印字シートの3色のインクシートと、印刷された用紙50の印刷面50cを保護するための透明のOP(オーバコート)シートとが順に繋げられて構成されている。また、各色印字シート間、および、C色(シアン)印字シートとOP(オーバコート)シートとの接続部分には、それぞれ、印刷開始時にシート頭出しセンサ(図示せず)によって認識される印字シート頭出し識別部(図示せず)が設けられている。
【0040】
図13〜図15は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図1、図4〜図6および図11〜図15を参照して、本実施形態による昇華型プリンタ100の印刷動作について説明する。
【0041】
まず、印刷動作が開始されると、図1に示すように、給紙カセット60内の用紙50が、ステッピングモータ24(図4参照)により印刷開始位置に向かって搬送(給紙)される。具体的には、図6に示すように、ステッピングモータ24が駆動するのに伴って、ステッピングモータ24に取り付けられたモータギア39がC3方向に回転するとともに、中間ギア27および28を介して、送りローラギア15がC1方向に回転する。そして、送りローラギア15がC1方向に回転するのに伴って、中間ギア29および30を介して、給紙ローラギア19がC4方向に回転する。これにより、図13に示すように、給紙ローラギア19(図6参照)の回転に伴って給紙ローラ18がC4方向に回転するので、給紙ローラ18の下面側に接触する用紙50は給紙方向(矢印T1方向)に搬送される。このとき、用紙センサ34により用紙50の給紙方向の前端部50aが検出されることにより、用紙50の正常な給紙動作が認識される。また、用紙50の給紙方向(矢印T1方向)への搬送に伴い、用紙センサ35によって用紙50の前端部50aが検知される。その後、用紙センサ35の上を通過しながら、さらに給紙ローラ18によって搬送される用紙50は、給紙方向(矢印T1方向)に沿って進行するように下部用紙ガイド17aに案内されて、送りローラ14および押さえローラ16により、図5に示したような印刷開始位置まで搬送される。そして、図5に示すように、用紙50が印刷開始位置まで搬送されることにより、用紙センサ34により用紙50の給紙方向の後端部50bが検出される。この時、揺動可能な揺動ギア26(図6参照)は、インクシート巻取リール22(図6参照)のギア部22a(図6参照)に噛合していないので、インクシート巻取リール22(図6参照)のギア部22a(図6参照)は回転されない。これにより、給紙時には、図13に示すように、巻取ボビン70bおよび供給ボビン70cに巻き付けられたインクシート71は巻取方向(矢印A方向)(図5参照)に搬送されず、インクシート71は巻取ボビン70bに巻き取られない。
【0042】
その後、印字ヘッド12を冷却するためのファン32も用紙50の給紙動作とともに所定方向に回転される。そして、図5に示すように、ファン32の吹出空気P1およびP2のうちの実質的に半分の空気(吹出空気P2に相当する)が、送風路33dおよび複数の孔33eを経由して、用紙50の印刷面50cに吹き付けられる。この際、吹出空気P2は、用紙50の印刷方向(矢印U1方向)とは反対側であり、印字ヘッド12(発熱体12f)から遠ざかる方向に向かって印刷面50cに吹き付けられる。これにより、用紙50の印刷面50c上に付着した塵埃などの異物を除去することが可能とされている。
【0043】
その後、ステッピングモータ25(図6参照)の駆動により図示しない押圧手段を用いて、印字ヘッド12を印刷位置まで下降させる。そして、用紙50を排紙方向(矢印U1方向)に搬送しながら、印字ヘッド12とプラテンローラ13とにより用紙50とインクシート71とが押圧されるとともに、印字ヘッド12のヘッド部12cに設けられた発熱体12fが発熱される。この発熱体12fが発熱することによって、インクシート71のインクが溶融・昇華されるとともに用紙50に転写されて印画処理(印刷動作)が行われる。
【0044】
また、この動作では、図6に示すように、ステッピングモータ24が駆動するのに伴って、ステッピングモータ24に取り付けられたモータギア39がD3方向に回動されるとともに、中間ギア27および28を介して、送りローラギア15が、D1方向に回動される。これにより、図5に示すように、送りローラ14がD1方向に回転する。さらに、図6に示すように、中間ギア29、中間ギア30および給紙ローラギア19を介して、排紙ローラギア21および排紙ローラ20が、D5方向に回転する。これにより、図14に示すように、用紙50が印画方向である排紙方向(矢印U1方向)に搬送される。この時、揺動可能な揺動ギア26は、図6に示すように、インクシート巻取リール22のギア部22aと噛合する方向(D2方向)に揺動される。そして、揺動ギア26が、インクシート巻取リール22のギア部22aに噛合し、インクシート巻取リール22をD4方向に回転させる。これにより、図14に示すように、インクシート巻取リール22(図6参照)に係合する巻取ボビン70bがD4方向(図6参照)に回転されることによって、インクシート71が供給ボビン70c側から印字ヘッド12とプラテンローラ13に挟まれた印画部を経て矢印A方向に搬送されるとともに、巻取ボビン70bから所定の引張力を受けながら巻取ボビン70bに巻き取られる。
【0045】
このように、印刷動作では、用紙50が図5のU1方向に搬送されるとともに、インクシート71が巻取ボビン70bにより巻き取られながら、用紙50にインクシート71(Y色インクシート)のインクが連続して転写されることにより印刷が行われる。また、印刷済みの用紙50の排紙時の動作としては、上記した用紙50の印刷時の搬送動作と同様に、用紙50をさらに図14の矢印U1方向に搬送することにより印刷済みの用紙50が装置本体10の外部に排紙される。
【0046】
次に、Y色(イエロー色)インクシートの印刷が終了されると、図14に示すように、ステッピングモータ25(図2参照)の駆動により図示しない押圧手段を用いて、印字ヘッド12のヘッド部12cがプラテンローラ13に対して離間された位置に移動される。
【0047】
そして、図6に示すように、ステッピングモータ24が駆動するのに伴って、ステッピングモータ24に取り付けられたモータギア39がC3方向に回動されるとともに、中間ギア27および28を介して、送りローラギア15がC1方向に回動される。これにより、送りローラ14は、図14に示すように、送りローラギア15(図6参照)の回動に伴って、C1方向に回動されているので、用紙50は給紙方向(矢印T1方向)に再び搬送されるとともに、用紙センサ34および35によって、用紙50の頭出しが行われる。この際、揺動可能な揺動ギア26は、図6に示すように、インクシート巻取リール22のギア部22aと離間する方向(C2方向)に揺動される。これにより、揺動ギア26とインクシート巻取リール22のギア部22aとの噛合が解除されることによって、供給ボビン70c(図14参照)に巻き付けられたインクシート71(図14参照)がインクシート巻取リール22(図14参照)により巻取ボビン70b(図14参照)に巻き取られることなく、用紙50のみが給紙方向(矢印T1方向)(図14参照)に搬送される。
【0048】
また、この際、ヘッド部12cに設けられた発熱体12fによって印刷面50cが加熱された用紙50は、その前端部50aが上方にカールした状態で搬送される場合がある。ここで、本実施形態では、用紙50の前端部50aが上方にカールした状態で、用紙50が印刷開始位置に搬送される場合の動作を説明する。
【0049】
まず、図15に示すように、用紙50は、前端部50aが上方にカールした状態で、前端部50aがガイド部33fの曲面部33gに当接される。そして、用紙50は、前端部50aが曲面部33gの曲面に沿って下方に誘導されながら矢印T1方向に搬送される。これにより、用紙50の前端部50aは、図11に示すように、上方にカールするのが抑制された状態で装置本体10の開口部10cに案内される。その結果、用紙50を、前端部50aが上方にカールした状態でも、装置本体10の開口部10cの上方に当接するのを抑制することが可能となるので、装置本体10の内部で紙詰まりが発生するのを抑制することが可能となる。なお、この際、開口部10cの下方に形成されているリブ部10eにより、用紙50の前端部50aが開口部10cの下方に案内された場合でも、用紙50は、開口部10cにスムーズに案内される。
【0050】
また、本実施形態では、図12に示すように、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部は、ガイド部33fが延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成されているため、ガイド部33fが印刷面50cの印刷される領域に接触するのを抑制することが可能となる。
【0051】
その後、M色(マゼンタ色)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートについて、上記のY色(イエロー色)インクシートを印刷する際の印刷動作と同様の動作が繰り返し行われる。
【0052】
なお、図5に示すように、Y色インクシートが用紙50に熱転写された時と同様に、インクシート71のM色インクシートおよびC色インクシートがそれぞれ用紙50に熱転写されながらが矢印A方向に搬送される際も、インクシート71は、インクシート巻取リール22(図1参照)の回転(D4方向)とともに巻取ボビン70bによって巻き取られていく。
【0053】
そして、全ての色のインクシート71の印刷が終了されると、図14に示すように、用紙50が排紙方向(矢印U1方向)に搬送され、装置本体10の外部に排出される。そして、印字ヘッド12のヘッド部12cが、プラテンローラ13に対して上方に離間された位置まで回動され、用紙50への印刷動作が終了される。
【0054】
本実施形態では、上記のように、送風ダクト33に一体的にガイド部33fを設けることによって、装置本体10の内部にガイド部33fを設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、ガイド部33fを、送風ダクト33から下方に突出するように形成するとともに、給紙された用紙50が装置本体10の開口部10cよりも上方に位置する場合に、用紙50の上面に当接するように構成することによって、給紙された用紙50の上面をガイド部33fにより下方に案内することができるので、用紙50を装置本体10の開口部10cに案内することができる。
【0056】
また、本実施形態では、ガイド部33fを、給紙された用紙50が装置本体10の開口部10cよりも上方に位置する場合に、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部が用紙50に当接されるように構成することによって、用紙50の印刷領域を構成しない用紙50の給紙方向と実質的に直交する方向(矢印X方向)の両端部分にガイド部33fを当接させることができるので、用紙50の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部を、ガイド部33fが延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成することによって、容易に、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部を、用紙50の給紙方向と実質的に直交する方向(矢印X方向)の両端部分に当接させることができるので、用紙50の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、ガイド部33fに、給紙された用紙50の前端部50aに当接された際に、用紙50の前端部50aを下方に案内する曲面部33gを設けることによって、曲面状に形成されたガイド部33fの曲面部33gにより、容易に、用紙50の前端部50aを下方に案内することができる。
【0059】
また、本実施形態では、印刷時に、印字ヘッド12と給紙された用紙50の印刷面50cとに対して送風を行うことにより、印字ヘッド12の冷却、および、送風ダクト33を介して用紙50の印刷面50cに付着する埃の除去を行うように構成されたファン32を設けるとともに、ファン32に、送風ダクト33を直接的に取り付けることによって、印刷面50cに付着する埃の除去を行うことが可能な送風ダクト33に一体的に設けられたガイド部33fを得ることができる。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置の一例として昇華型プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、ガイド部を、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように送風ダクトに一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ガイド部を、送風ダクトの用紙の給紙方向と実質的に直交する方向の両端部分のみに一体的に形成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ガイド部を、送風ダクトの下方に突出するように形成することにより、用紙の前端部を下方に案内するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ガイド部を、給紙方向に延びるように形成することにより、用紙を装置本体の開口部に誘導するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタを示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による昇華型プリンタを示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの装置本体の内部を示した斜視図である。
【図4】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの装置本体の内部を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの内部構造を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのステッピングモータおよび各種ギアの配置構成を示した側面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの装置本体の内部を示した平面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのファンおよび送風ダクトの構成を示した斜視図である。
【図9】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのファンおよび送風ダクトの構成を示した底面図である。
【図10】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのファンおよび送風ダクトの構成を示した背面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの送風ダクトのガイド部の構成を説明するための図である。
【図12】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの送風ダクトのガイド部の構成を説明するための図である。
【図13】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図14】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図15】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
10 装置本体
10c 開口部
12 印字ヘッド
32 ファン
33 送風ダクト
33f ガイド部
33g 曲面部
50 用紙
50a 前端部(端部)
50c 印刷面
100 昇華型プリンタ(画像形成装置)
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置などが知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ヒータが内蔵された加熱ローラおよび加熱ローラに圧接された加圧ローラを含む用紙にトナーを定着させる定着器と、定着器の加熱ローラに付着する用紙を剥離するための剥離爪と、定着器によりトナーが定着された用紙を搬送する2つの搬送案内板とを備えた用紙湾曲矯正装置が開示されている。この特許文献1に記載の用紙湾曲矯正装置は、トナーが定着された用紙が、剥離爪により加熱ローラから剥離されるように案内された後、2つの搬送案内板の内部を案内されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、ヒータが内蔵された加熱ローラおよび加熱ローラに圧接された加圧ローラを含む用紙にトナーを定着させる定着装置と、定着装置の加熱ローラに付着する用紙を剥離するための4つの剥離爪と、定着装置によりトナーが定着された用紙を搬送する上下2つの搬送案内板とを備えた定着装置の用紙ガイド装置が開示されている。この特許文献2に記載の定着装置の用紙ガイド装置は、トナーが定着された用紙が、4つの各剥離爪により加熱ローラから剥離されるように案内された後、上下2つの搬送案内板の間を案内されるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、給紙方向に連続するように複数回巻きつけられ、印刷時に給紙方向とは異なる方向にカールする記録媒体(用紙)を吸着させるプラテンを備えた記録装置(画像形成装置)が開示されている。この特許文献3に記載の記録装置(画像形成装置)のプラテンには、負圧室と、負圧室から空気を排出させることにより負圧室を負圧状態にするファンとが取り付けられている。また、プラテンには、負圧室に連通する複数の空気流路が形成されており、カールしている記録媒体は、負圧室に連通する複数の空気流路が形成されているプラテンに吸着されることにより、平面性を確保した状態で案内されるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、プラテンに記録紙(用紙)を押し付けるための空気吹き出しヘッドと、空気吹き出しヘッドに取り付けられたエアーチューブと、空気吹き出しヘッドに風を供給するためのブロワーとを備えたプリンタ(画像形成装置)が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−69507号公報
【特許文献2】特開平5−210328号公報
【特許文献3】特開2002−137466号公報
【特許文献4】特開2000−109240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1による用紙湾曲矯正装置では、用紙を案内するための搬送案内板が2つの搬送案内板により構成されているとともに、2つの搬送案内板以外に加熱ローラから用紙を剥離するための剥離爪を別途設ける必要があるため、用紙を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献2による定着装置の用紙ガイド装置では、用紙を案内するための搬送案内板が上下2つの搬送案内板により構成されているとともに、上下2つの搬送案内板以外に加熱ローラから用紙を剥離するための4つの剥離爪を別途設ける必要があるため、用紙を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献3による記録装置(画像形成装置)では、記録媒体(用紙)を案内するために、記録媒体をプラテンに吸着させるための負圧室および負圧室を負圧状態にするためのファンが設けられているため、記録媒体を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献4によるプリンタ(画像形成装置)では、記録紙(用紙)を案内するために、記録紙をプラテンに押し付けるための空気吹き出しヘッド、エアーチューブおよびブロワーが設けられているため、記録紙を案内するための部品点数が増加するという問題点がある。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品点数が増加するのを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
この発明の一の局面における画像形成装置は、用紙に印刷を行うための印字ヘッドと、印字ヘッドが収納され、印刷時に、給紙された用紙を挿通可能な開口部を含む装置本体と、装置本体の内部に配置されているとともに、給紙された用紙の印刷面に対向するように配置されている送風ダクトと、送風ダクトに一体的に設けられ、用紙を装置本体の開口部に案内するガイド部とを備える。
【0014】
この発明の一の局面による画像形成装置では、上記のように、送風ダクトに一体的にガイド部を設けることによって、ガイド部を設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、送風ダクトから下方に突出するように形成されているとともに、給紙された用紙が装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、用紙の上面に当接されるように構成されている。このように構成すれば、給紙された用紙の上面をガイド部により下方に案内することができるので、用紙を装置本体の開口部に案内することができる。
【0016】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されており、給紙された用紙が装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、ガイド部が延びる方向の両端部が用紙に当接されるように構成されている。このように構成すれば、通常、用紙の印刷領域を構成しない用紙の給紙方向と実質的に直交する方向の両端部分にガイド部を当接させることができるので、用紙の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されているとともに、送風ダクトから下方に突出するように形成されており、ガイド部が延びる方向の両端部は、ガイド部が延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成されている。このように構成すれば、容易に、ガイド部が延びる方向の両端部を、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向の両端部分に当接させることができるので、容易に、用紙の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、ガイド部は、給紙された用紙の端部に当接された際に、用紙の端部を下方に案内する曲面部を含む。このように構成すれば、曲面状に形成されたガイド部の曲面部により、容易に、用紙の端部を下方に案内することができる。
【0019】
上記一の局面による画像形成装置において、好ましくは、印刷時に、印字ヘッドと給紙された用紙の印刷面とに対して送風を行うことにより、印字ヘッドの冷却、および、送風ダクトを介して用紙の印刷面に付着する埃の除去を行うように構成されたファンをさらに備え、ファンには、送風ダクトが直接的に取り付けられている。このように構成すれば、印刷面に付着する埃の除去を行うことが可能な送風ダクトに一体的に設けられたガイド部を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1および図2は、本発明の一実施形態による昇華型プリンタを示した斜視図である。図3および図4は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの全体構成を示した斜視図である。図5〜図12は、図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの構成を詳細に説明するための図である。まず、図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の構成について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である昇華型プリンタ100に本発明を適用した場合について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態による昇華型プリンタ100の装置本体10には、図1および図2に示すように、用紙50(図1参照)を収納するための給紙カセット60と、20枚の用紙50を印刷可能なインクシート71(図5参照)が収納されたインクシートカートリッジ70(図1参照)とが着脱可能に装着されている。
【0023】
また、昇華型プリンタ100の装置本体10は、図3および図4に示すように、金属製のシャーシ11と、印字を行うための印字ヘッド12と、印字ヘッド12に対向するように配置されたプラテンローラ13(図5参照)と、金属製の送りローラ14(図5参照)と、送りローラギア15(図4参照)と、送りローラ14(図5参照)に所定の押圧力で接触する金属製の押さえローラ16(図5参照)と、樹脂製の下部用紙ガイド17a(図4参照)と、樹脂製の上部用紙ガイド17b(図4参照)と、ゴム製の給紙ローラ18(図4参照)と、給紙ローラギア19(図4参照)と、ゴム製の排紙ローラ20(図4参照)と、排紙ローラギア21(図4参照)とを内部に備えている。
【0024】
昇華型プリンタ100の装置本体10は、さらに、インクシート巻取リール22と、板金製のモータブラケット23と、用紙50(図1参照)を搬送するためのステッピングモータ24(図4参照)と、印字ヘッド12を回動させるための駆動源となるステッピングモータ25と、揺動可能な揺動ギア26(図4参照)と、複数の中間ギア27〜30(図6参照)と、インクシートカートリッジ70(図4参照)を支持する樹脂製のカートリッジ支持部31(図3参照)と、印刷時に印字ヘッド12を冷却するためのファン32と、ファン32に取り付けられた樹脂製の送風ダクト33(図3参照)とを内部に備えている。
【0025】
装置本体10は、図1に示すように、樹脂によりその筐体が形成されており、その筐体には、上記した金属性のシャーシ11などが内部に収納可能に構成されている。また、装置本体10の給紙カセット60およびインクシートカートリッジ70が装着される部分には、それぞれ、蓋部材10aおよび10bが取り付けられている。蓋部材10aは、装置本体10の給紙カセット60を装着する部分に対して開閉可能に取り付けられている。また、蓋部材10bは、装置本体10のインクシートカートリッジ70を装着する部分に対して開閉可能に取り付けられている。
【0026】
また、装置本体10は、図2および図5に示すように、給紙された用紙50(図5参照)を挿通可能な開口部10cと、空気取込穴10dとを含んでいる。開口部10cは、後述する印刷過程において、用紙50を一時的に装置本体10の外部に排出するために形成されている。また、装置本体10の開口部10cの内部側の下面には、図5に示すように、用紙50を開口部10cに案内するためのリブ部10eが一体的に形成されている。また、空気取込穴10dは、ファン32が配置される位置に対応するように形成されている。
【0027】
また、金属製のシャーシ11は、図3および図4に示すように、一方側面11aと、他方側面11bと、一方側面11aと他方側面11bとを連結する底面11cとを有している。また、シャーシ11の一方側面11aには、上記した板金製のモータブラケット23が取り付けられている。また、シャーシ11の他方側面11bには、インクシートカートリッジ70を挿入するための挿入孔11dが設けられている。また、シャーシ11の底面11cには、用紙50の前端部50a(図5参照)および後端部50b(図5参照)を検出するための用紙センサ34および35(図5参照)が設けられている。なお、前端部50aは、本発明の「端部」の一例である。
【0028】
また、印字ヘッド12は、図3および図5に示すように、一対の支持軸12aと、一対のアーム部12bと、ヘッド部12cと、放熱部材12dとから構成されているとともに、ヘッド部12cには、樹脂製の給紙ガイド部材12e(図5参照)が取り付けられている。また、印字ヘッド12は、図3に示すように、シャーシ11の両側面(一方側面11aおよび他方側面11b)の内側に、支持軸12aを中心として回動可能に取り付けられている。また、印字ヘッド12のヘッド部12cには、図7に示すように、電圧パルスが印加されて発熱する複数の発熱体12fが、ヘッド部12cの用紙50(図5参照)の幅方向(矢印X方向)に沿って所定の間隔を隔てて一列に設けられている。また、発熱体12fは、印刷時に、1つの発熱体12fが1つのドットを形成するように構成されている。また、図3および図7に示すように、放熱部材12dの内周面には、発熱体12fに接続されるフラットケーブル36が沿うように配置されている。また、放熱部材12dの一方側端部には、図8に示すように、ファン32を取り付けるための一対の取付部12gが一体的に設けられている。
【0029】
ここで、本実施形態では、放熱部材12dの一対の取付部12gには、印字ヘッド12を冷却するためのファン32が固定されている。具体的には、一対の取付部12gのうちの一方側の取付部12gには、ネジ穴12hが形成されている。また、他方側の取付部12gには、ファン32が取り付けられる方向に突出する突起部12iが形成されている。また、ファン32には、4つの貫通穴32a、32b、32cおよび32dが設けられている。そして、突起部12iが貫通穴32aに挿入されるとともに、ネジ80が貫通穴32bを介してネジ穴12hに螺合されることによって、ファン32は、一対の取付部12gに対して固定されている。
【0030】
また、ファン32の吹出側には、樹脂製の送風ダクト33が取り付けられている。具体的には、送風ダクト33のファン取付面33aには、送風ダクト33のファン32の貫通穴32dに対応する部分にネジ穴33bが形成されているとともに、送風ダクト33のファン32の貫通穴32cに対応する部分に突起部33cが形成されている。そして、突起部33cが貫通穴32cに挿入されるとともに、ネジ80が貫通穴32dを介してネジ穴33bに螺合されることによって、送風ダクト33は、送風ダクト33のファン取付面33aとファン32の吹出側とが当接された状態で、ファン32に対して直接的に取り付けられている。
【0031】
また、図5に示すように、送風ダクト33のファン取付面33aが吹出側の下半分を覆うように取り付けられていることにより、送風ダクト33は、ファン32の送風量の実質的に半分の風量が送風ダクト33を経由して用紙50の印刷面50cに吹き付け可能に構成されている。具体的には、ファン32の上側の吹出空気P1は、印字ヘッド12(放熱部材12d)の冷却を行う機能を有する。また、ファン32の下側の吹出空気P2は、後述する送風路33dおよび孔33eを通過した後、用紙50の印刷面50c上に付着した塵埃などの異物を除去する機能を有する。
【0032】
また、送風ダクト33の送風路33dは、図7および図8に示すように、ファン取付面33aのファン32が取り付けられている側とは反対方向側に幅方向(矢印X方向)に延びるように形成されている。また、送風路33dの下面には、図8および図9に示すように、用紙50(図5参照)の印刷面50c(図5参照)と対向する位置に、複数(20個)の孔33eが設けられている。これら複数の孔33eは、図9に示すように、それぞれ、同じ孔径(直径約1mm)を有するように形成されているとともに、送風路33dの下面に沿うように等間隔に形成されている。
【0033】
ここで、本実施形態では、送風ダクト33のファン取付面33aのファン32が取り付けられている側の下部には、図8および図10に示すように、ガイド部33fが送風ダクト33に一体的に形成されている。ガイド部33fは、給紙方向と実質的に直交する方向である幅方向(矢印X方向)に延びるように形成されているとともに、下方に突出するように形成されている。また、ガイド部33fが延びる幅方向(矢印X方向)の両端部は、図10に示すように、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の中央部よりも下方に突出するように構成されている。つまり、ガイド部33fは、図11および図12に示すように、用紙50の印刷面50cがガイド部33fに当接した場合にも、印刷面50cの幅方向(矢印X方向)の両端部だけが当接されるように構成されている。
【0034】
また、本実施形態では、ガイド部33fには、図8および図11に示すように、給紙された用紙50の前端部50aに当接された際に、用紙50の前端部50aを下方に案内する曲面部33gが形成されている。この曲面部33gは、送風路33d側の上方から開口部10c側の下方に向かう円弧状に形成されており、曲面部33gに用紙50の前端部50aが当接された際にも、用紙50の前端部50aを下方に案内可能に構成されている。これにより、用紙50が印刷時に加熱されることによって上方にカールした場合にも、ガイド部33fにより、用紙50を下方に案内することが可能となるので、用紙50を装置本体10の開口部10cに挿通させることが可能となる。
【0035】
また、プラテンローラ13(図7参照)は、シャーシ11の両側面(一方側面11aおよび他方側面11b)の内側に回転可能に配置されている。また、送りローラ14は、図6に示すように、送りローラギア15に挿入される送りローラギア挿入部14aを有している。また、送りローラ14は、シャーシ11に取り付けられた図示しない送りローラ軸受に回転可能に支持されている。また、押さえローラ16は、図7に示すように、押さえローラ16の両端部が樹脂製の一対の押さえローラ軸受37により回転可能に支持されている。この押さえローラ軸受37は、金属製の軸受支持板38に取り付けられている。また、軸受支持板38は、シャーシ11の両側面(一方側面11aおよび他方側面11b)の内側に、図示しないバネによる付勢力により押さえローラ16を送りローラ14(図5参照)に対して下方向に押圧するように配置されている。
【0036】
また、下部用紙ガイド17aは、図4および図5に示すように、送りローラ14(図4参照)および押さえローラ16(図5参照)の近傍に設置されている。また、上部用紙ガイド17bは、図5に示すように、下部用紙ガイド17aの上部に取り付けられている。この上部用紙ガイド17bは、給紙時には、用紙50が下面側を通過するようにして印刷部(印字ヘッド12のヘッド部12cとプラテンローラ13とが対向する位置)への給紙経路に案内するとともに、排紙時には、用紙50が上面側を通過するようにして排紙経路に案内する機能を有している。
【0037】
また、図6に示すように、モータブラケット23に取り付けられたステッピングモータ24の軸部には、モータギア39が取り付けられている。また、ステッピングモータ24は、インクシート巻取リール22のギア部22aと、給紙ローラギア19と、排紙ローラギア21と、送りローラギア15とを駆動させるための駆動源としての機能を有する。また、ステッピングモータ25は、印字ヘッド12(図5参照)をプラテンローラ13(図5参照)に対して押圧するように、印字ヘッド12の上面を押圧する図示しない押圧部材などの駆動源としての機能を有している。
【0038】
また、インクシート巻取リール22(図3参照)は、図5に示すように、インクシートカートリッジ70の巻取部70aの内部に回転可能に配置された巻取ボビン70bに係合することによって、インクシート71を巻取ボビン70bに巻き取るように構成されている。また、インクシート巻取リール22のギア部22aは、図6に示すように、揺動ギア26が揺動することによって揺動ギア26と係合可能に配置されている。
【0039】
また、インクシートカートリッジ70には、図5に示すように、インクシート71が巻き付けられた供給ボビン70cが回転可能に内部に配置された供給部70dが設けられている。また、インクシート71は、Y色(イエロー)印字シート、M色(マゼンダ)印字シートおよびC色(シアン)印字シートの3色のインクシートと、印刷された用紙50の印刷面50cを保護するための透明のOP(オーバコート)シートとが順に繋げられて構成されている。また、各色印字シート間、および、C色(シアン)印字シートとOP(オーバコート)シートとの接続部分には、それぞれ、印刷開始時にシート頭出しセンサ(図示せず)によって認識される印字シート頭出し識別部(図示せず)が設けられている。
【0040】
図13〜図15は、図1に示した本発明の一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。次に、図1、図4〜図6および図11〜図15を参照して、本実施形態による昇華型プリンタ100の印刷動作について説明する。
【0041】
まず、印刷動作が開始されると、図1に示すように、給紙カセット60内の用紙50が、ステッピングモータ24(図4参照)により印刷開始位置に向かって搬送(給紙)される。具体的には、図6に示すように、ステッピングモータ24が駆動するのに伴って、ステッピングモータ24に取り付けられたモータギア39がC3方向に回転するとともに、中間ギア27および28を介して、送りローラギア15がC1方向に回転する。そして、送りローラギア15がC1方向に回転するのに伴って、中間ギア29および30を介して、給紙ローラギア19がC4方向に回転する。これにより、図13に示すように、給紙ローラギア19(図6参照)の回転に伴って給紙ローラ18がC4方向に回転するので、給紙ローラ18の下面側に接触する用紙50は給紙方向(矢印T1方向)に搬送される。このとき、用紙センサ34により用紙50の給紙方向の前端部50aが検出されることにより、用紙50の正常な給紙動作が認識される。また、用紙50の給紙方向(矢印T1方向)への搬送に伴い、用紙センサ35によって用紙50の前端部50aが検知される。その後、用紙センサ35の上を通過しながら、さらに給紙ローラ18によって搬送される用紙50は、給紙方向(矢印T1方向)に沿って進行するように下部用紙ガイド17aに案内されて、送りローラ14および押さえローラ16により、図5に示したような印刷開始位置まで搬送される。そして、図5に示すように、用紙50が印刷開始位置まで搬送されることにより、用紙センサ34により用紙50の給紙方向の後端部50bが検出される。この時、揺動可能な揺動ギア26(図6参照)は、インクシート巻取リール22(図6参照)のギア部22a(図6参照)に噛合していないので、インクシート巻取リール22(図6参照)のギア部22a(図6参照)は回転されない。これにより、給紙時には、図13に示すように、巻取ボビン70bおよび供給ボビン70cに巻き付けられたインクシート71は巻取方向(矢印A方向)(図5参照)に搬送されず、インクシート71は巻取ボビン70bに巻き取られない。
【0042】
その後、印字ヘッド12を冷却するためのファン32も用紙50の給紙動作とともに所定方向に回転される。そして、図5に示すように、ファン32の吹出空気P1およびP2のうちの実質的に半分の空気(吹出空気P2に相当する)が、送風路33dおよび複数の孔33eを経由して、用紙50の印刷面50cに吹き付けられる。この際、吹出空気P2は、用紙50の印刷方向(矢印U1方向)とは反対側であり、印字ヘッド12(発熱体12f)から遠ざかる方向に向かって印刷面50cに吹き付けられる。これにより、用紙50の印刷面50c上に付着した塵埃などの異物を除去することが可能とされている。
【0043】
その後、ステッピングモータ25(図6参照)の駆動により図示しない押圧手段を用いて、印字ヘッド12を印刷位置まで下降させる。そして、用紙50を排紙方向(矢印U1方向)に搬送しながら、印字ヘッド12とプラテンローラ13とにより用紙50とインクシート71とが押圧されるとともに、印字ヘッド12のヘッド部12cに設けられた発熱体12fが発熱される。この発熱体12fが発熱することによって、インクシート71のインクが溶融・昇華されるとともに用紙50に転写されて印画処理(印刷動作)が行われる。
【0044】
また、この動作では、図6に示すように、ステッピングモータ24が駆動するのに伴って、ステッピングモータ24に取り付けられたモータギア39がD3方向に回動されるとともに、中間ギア27および28を介して、送りローラギア15が、D1方向に回動される。これにより、図5に示すように、送りローラ14がD1方向に回転する。さらに、図6に示すように、中間ギア29、中間ギア30および給紙ローラギア19を介して、排紙ローラギア21および排紙ローラ20が、D5方向に回転する。これにより、図14に示すように、用紙50が印画方向である排紙方向(矢印U1方向)に搬送される。この時、揺動可能な揺動ギア26は、図6に示すように、インクシート巻取リール22のギア部22aと噛合する方向(D2方向)に揺動される。そして、揺動ギア26が、インクシート巻取リール22のギア部22aに噛合し、インクシート巻取リール22をD4方向に回転させる。これにより、図14に示すように、インクシート巻取リール22(図6参照)に係合する巻取ボビン70bがD4方向(図6参照)に回転されることによって、インクシート71が供給ボビン70c側から印字ヘッド12とプラテンローラ13に挟まれた印画部を経て矢印A方向に搬送されるとともに、巻取ボビン70bから所定の引張力を受けながら巻取ボビン70bに巻き取られる。
【0045】
このように、印刷動作では、用紙50が図5のU1方向に搬送されるとともに、インクシート71が巻取ボビン70bにより巻き取られながら、用紙50にインクシート71(Y色インクシート)のインクが連続して転写されることにより印刷が行われる。また、印刷済みの用紙50の排紙時の動作としては、上記した用紙50の印刷時の搬送動作と同様に、用紙50をさらに図14の矢印U1方向に搬送することにより印刷済みの用紙50が装置本体10の外部に排紙される。
【0046】
次に、Y色(イエロー色)インクシートの印刷が終了されると、図14に示すように、ステッピングモータ25(図2参照)の駆動により図示しない押圧手段を用いて、印字ヘッド12のヘッド部12cがプラテンローラ13に対して離間された位置に移動される。
【0047】
そして、図6に示すように、ステッピングモータ24が駆動するのに伴って、ステッピングモータ24に取り付けられたモータギア39がC3方向に回動されるとともに、中間ギア27および28を介して、送りローラギア15がC1方向に回動される。これにより、送りローラ14は、図14に示すように、送りローラギア15(図6参照)の回動に伴って、C1方向に回動されているので、用紙50は給紙方向(矢印T1方向)に再び搬送されるとともに、用紙センサ34および35によって、用紙50の頭出しが行われる。この際、揺動可能な揺動ギア26は、図6に示すように、インクシート巻取リール22のギア部22aと離間する方向(C2方向)に揺動される。これにより、揺動ギア26とインクシート巻取リール22のギア部22aとの噛合が解除されることによって、供給ボビン70c(図14参照)に巻き付けられたインクシート71(図14参照)がインクシート巻取リール22(図14参照)により巻取ボビン70b(図14参照)に巻き取られることなく、用紙50のみが給紙方向(矢印T1方向)(図14参照)に搬送される。
【0048】
また、この際、ヘッド部12cに設けられた発熱体12fによって印刷面50cが加熱された用紙50は、その前端部50aが上方にカールした状態で搬送される場合がある。ここで、本実施形態では、用紙50の前端部50aが上方にカールした状態で、用紙50が印刷開始位置に搬送される場合の動作を説明する。
【0049】
まず、図15に示すように、用紙50は、前端部50aが上方にカールした状態で、前端部50aがガイド部33fの曲面部33gに当接される。そして、用紙50は、前端部50aが曲面部33gの曲面に沿って下方に誘導されながら矢印T1方向に搬送される。これにより、用紙50の前端部50aは、図11に示すように、上方にカールするのが抑制された状態で装置本体10の開口部10cに案内される。その結果、用紙50を、前端部50aが上方にカールした状態でも、装置本体10の開口部10cの上方に当接するのを抑制することが可能となるので、装置本体10の内部で紙詰まりが発生するのを抑制することが可能となる。なお、この際、開口部10cの下方に形成されているリブ部10eにより、用紙50の前端部50aが開口部10cの下方に案内された場合でも、用紙50は、開口部10cにスムーズに案内される。
【0050】
また、本実施形態では、図12に示すように、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部は、ガイド部33fが延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成されているため、ガイド部33fが印刷面50cの印刷される領域に接触するのを抑制することが可能となる。
【0051】
その後、M色(マゼンタ色)インクシートおよびC色(シアン色)インクシートについて、上記のY色(イエロー色)インクシートを印刷する際の印刷動作と同様の動作が繰り返し行われる。
【0052】
なお、図5に示すように、Y色インクシートが用紙50に熱転写された時と同様に、インクシート71のM色インクシートおよびC色インクシートがそれぞれ用紙50に熱転写されながらが矢印A方向に搬送される際も、インクシート71は、インクシート巻取リール22(図1参照)の回転(D4方向)とともに巻取ボビン70bによって巻き取られていく。
【0053】
そして、全ての色のインクシート71の印刷が終了されると、図14に示すように、用紙50が排紙方向(矢印U1方向)に搬送され、装置本体10の外部に排出される。そして、印字ヘッド12のヘッド部12cが、プラテンローラ13に対して上方に離間された位置まで回動され、用紙50への印刷動作が終了される。
【0054】
本実施形態では、上記のように、送風ダクト33に一体的にガイド部33fを設けることによって、装置本体10の内部にガイド部33fを設けたとしても、部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、ガイド部33fを、送風ダクト33から下方に突出するように形成するとともに、給紙された用紙50が装置本体10の開口部10cよりも上方に位置する場合に、用紙50の上面に当接するように構成することによって、給紙された用紙50の上面をガイド部33fにより下方に案内することができるので、用紙50を装置本体10の開口部10cに案内することができる。
【0056】
また、本実施形態では、ガイド部33fを、給紙された用紙50が装置本体10の開口部10cよりも上方に位置する場合に、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部が用紙50に当接されるように構成することによって、用紙50の印刷領域を構成しない用紙50の給紙方向と実質的に直交する方向(矢印X方向)の両端部分にガイド部33fを当接させることができるので、用紙50の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部を、ガイド部33fが延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成することによって、容易に、ガイド部33fが延びる方向(矢印X方向)の両端部を、用紙50の給紙方向と実質的に直交する方向(矢印X方向)の両端部分に当接させることができるので、用紙50の印刷領域が傷つくのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、ガイド部33fに、給紙された用紙50の前端部50aに当接された際に、用紙50の前端部50aを下方に案内する曲面部33gを設けることによって、曲面状に形成されたガイド部33fの曲面部33gにより、容易に、用紙50の前端部50aを下方に案内することができる。
【0059】
また、本実施形態では、印刷時に、印字ヘッド12と給紙された用紙50の印刷面50cとに対して送風を行うことにより、印字ヘッド12の冷却、および、送風ダクト33を介して用紙50の印刷面50cに付着する埃の除去を行うように構成されたファン32を設けるとともに、ファン32に、送風ダクト33を直接的に取り付けることによって、印刷面50cに付着する埃の除去を行うことが可能な送風ダクト33に一体的に設けられたガイド部33fを得ることができる。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記実施形態では、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置の一例として昇華型プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、用紙に印刷を行うための印字ヘッドを備えた画像形成装置であれば、昇華型プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、ガイド部を、用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように送風ダクトに一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ガイド部を、送風ダクトの用紙の給紙方向と実質的に直交する方向の両端部分のみに一体的に形成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ガイド部を、送風ダクトの下方に突出するように形成することにより、用紙の前端部を下方に案内するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ガイド部を、給紙方向に延びるように形成することにより、用紙を装置本体の開口部に誘導するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態による昇華型プリンタを示した斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による昇華型プリンタを示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの装置本体の内部を示した斜視図である。
【図4】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの装置本体の内部を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの内部構造を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのステッピングモータおよび各種ギアの配置構成を示した側面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの装置本体の内部を示した平面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのファンおよび送風ダクトの構成を示した斜視図である。
【図9】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのファンおよび送風ダクトの構成を示した底面図である。
【図10】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタのファンおよび送風ダクトの構成を示した背面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの送風ダクトのガイド部の構成を説明するための図である。
【図12】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの送風ダクトのガイド部の構成を説明するための図である。
【図13】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図14】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図15】図1に示した一実施形態による昇華型プリンタの印刷動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
10 装置本体
10c 開口部
12 印字ヘッド
32 ファン
33 送風ダクト
33f ガイド部
33g 曲面部
50 用紙
50a 前端部(端部)
50c 印刷面
100 昇華型プリンタ(画像形成装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印刷を行うための印字ヘッドと、
前記印字ヘッドが収納され、給紙された前記用紙を挿通可能な開口部を含む装置本体と、
前記装置本体の内部に配置されているとともに、前記給紙された用紙の印刷面に対向するように配置されている送風ダクトと、
前記送風ダクトに一体的に設けられ、印刷時に、前記用紙を前記装置本体の開口部に案内するガイド部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記送風ダクトから下方に突出するように形成されているとともに、前記給紙された用紙が前記装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、前記用紙の上面に当接されるように構成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されており、
前記給紙された用紙が前記装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、前記ガイド部が延びる方向の両端部が前記用紙に当接されるように構成されている、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されているとともに、前記送風ダクトから下方に突出するように形成されており、
前記ガイド部が延びる方向の両端部は、前記ガイド部が延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記給紙された用紙の端部に当接された際に、前記用紙の端部を下方に案内する曲面部を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷時に、前記印字ヘッドと給紙された前記用紙の印刷面とに対して送風を行うことにより、前記印字ヘッドの冷却、および、前記送風ダクトを介して前記用紙の前記印刷面に付着する埃の除去を行うように構成されたファンをさらに備え、
前記ファンには、前記送風ダクトが直接的に取り付けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
用紙に印刷を行うための印字ヘッドと、
前記印字ヘッドが収納され、給紙された前記用紙を挿通可能な開口部を含む装置本体と、
前記装置本体の内部に配置されているとともに、前記給紙された用紙の印刷面に対向するように配置されている送風ダクトと、
前記送風ダクトに一体的に設けられ、印刷時に、前記用紙を前記装置本体の開口部に案内するガイド部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記送風ダクトから下方に突出するように形成されているとともに、前記給紙された用紙が前記装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、前記用紙の上面に当接されるように構成されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されており、
前記給紙された用紙が前記装置本体の開口部よりも上方に位置する場合に、前記ガイド部が延びる方向の両端部が前記用紙に当接されるように構成されている、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記用紙の給紙方向と実質的に直交する方向に延びるように形成されているとともに、前記送風ダクトから下方に突出するように形成されており、
前記ガイド部が延びる方向の両端部は、前記ガイド部が延びる方向の中央部よりも下方に突出するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記給紙された用紙の端部に当接された際に、前記用紙の端部を下方に案内する曲面部を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷時に、前記印字ヘッドと給紙された前記用紙の印刷面とに対して送風を行うことにより、前記印字ヘッドの冷却、および、前記送風ダクトを介して前記用紙の前記印刷面に付着する埃の除去を行うように構成されたファンをさらに備え、
前記ファンには、前記送風ダクトが直接的に取り付けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−34837(P2009−34837A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199024(P2007−199024)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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