説明

画像形成装置

【課題】組立性の向上とコストダウンを図りつつ、十分な消音効果を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】アクチュエータ12の揺動によって通紙を光学的に検知するセンサ10と、用紙を搬送する搬送ローラ及び用紙の搬送をガイドする搬送ガイドと、該搬送ローラ又は搬送ガイドを接地する接地部材を備えた画像形成装置において、前記接地部材を板バネ14を含んで構成するとともに、前記アクチュエータ12が非動作状態にあるときに該アクチュエータ12を前記板バネ14で受けるよう構成する。又、前記板バネ14に円孔14cを形成し、該円孔14cに前記搬送ローラ側又は搬送ガイド側に一端が係止されたコイルバネ9の他端を係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータの揺動によって通紙を光学的に検知するセンサを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、給紙部から用紙が搬送ガイドに沿ってレジストローラへと搬送されるが、この通紙状況はセンサによって光学的に検知される。ここで、図7にセンサの一例を示すが、図示のセンサ10は、軸11を中心として揺動するアクチュエータ12と該アクチュエータ12の揺動によってON/OFFするフォトセンサ13によって構成されている。尚、図7において、3はレジストローラ対である。
【0003】
上記アクチュエータ12は、検知レバー12Aとこれに結着された遮光板12Bとで構成されている。又、前記フォトセンサ13は、発光部13aと受光部13bを有しており、通紙がなされていないためにアクチュエータ12の検知レバー12Aが図7に示すイニシャル位置にあるときには、遮光板12Bは図示のようにフォトセンサ13の発光部13aと受光部13b間から外れているために発光部13aから出射される光を遮らない。この状態では、光は受光部13bに達するためにセンサ10はOFF状態となり、通紙がなされていないことが検知される。尚、センサ10のアクチュエータ12は、捩りバネ等の不図示の付勢手段によってイニシャル側(OFF側)に常時付勢されている。
【0004】
他方、通紙がなされたためにセンサ10の検知レバー12Aに用紙が当接し、アクチュエータ12が軸11を中心として揺動すると、該アクチュエータ12の遮光板12Bがフォトセンサ13の発光部13aから出射される光を遮る。この状態では、光は受光部13bに達しないためにセンサ10はON状態となり、通紙がなされていることが検知される。
【0005】
従って、用紙がセンサ10を通過する度に該センサ10のアクチュエータ12は揺動を繰り返し、該アクチュエータ12がイニシャル位置に戻されるときにハウジング1に当接してカチカチと耳障りな音が発生していた。このため、従来はハウジング1のアクチュエータ12が当接する箇所にスポンジ等の消音部材15を貼着し、該消音部材15によって耳障りな音の発生を防ぐようにしていた。
【0006】
ところで、画像形成装置における消音対策として、特許文献1には、用紙搬送路を開閉するゲート部材に対して振幅増大部材を介して緩衝部材を配置し、ゲート部材の動作に伴う騒音の発生を防ぐ提案がなされ、特許文献2には、用紙搬送路の用紙が通過する部分にマイラを配置し、該マイラの裏側部分にスポンジを貼着する提案がなされている。
【0007】
又、特許文献3には、転写装置の揺動カムとカムレバーとの衝撃音の発生を防ぐために、カムレバーから揺動カムに作用する負荷を押圧レバー彼の負荷によって相殺する提案がなされ、特許文献4には、原稿搬送装置の圧力解除フレームに、消音部材としてのスポンジをシャフトに接触するように配置する構成が提案されている。
【特許文献1】特開平8−119498号公報
【特許文献2】特開平11−043238号公報
【特許文献3】特開2002−014549号公報
【特許文献4】特開2000−029252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、消音対策として、図7に示すようにハウジング1のアクチュエータ12が当接する箇所にスポンジ等の消音部材15を貼着する構成を採用すると、部品点数が増え、貼付作業も必要であることから組立性が悪く、コストアップを招くという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、組立性の向上とコストダウンを図りつつ、十分な消音効果を得ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、アクチュエータの揺動によって通紙を光学的に検知するセンサと、用紙を搬送する搬送ローラ及び用紙の搬送をガイドする搬送ガイドと、該搬送ローラ又は搬送ガイドを接地する接地部材を備えた画像形成装置において、前記接地部材を板バネを含んで構成するとともに、前記アクチュエータが非動作状態にあるときに該アクチュエータを前記板バネで受けるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記板バネに孔を形成し、該孔に前記搬送ローラ側又は搬送ガイド側に一端が係止されたコイルバネの他端を係止したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、既設部品である接地部材の板バネを消音部材として兼用するため、部品点数が削減されてコストダウンが図られるとともに、従来必要であった消音部材の貼付作業が不要となるために組立性が高められる。従って、組立性の向上とコストダウンを図りつつ、既設の接地部材によって十分な消音効果を得ることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、板バネに形成された孔に搬送ローラ側又は搬送ガイド側に一端が係止されたコイルバネの他端を係止することによって、接地部材として従来は複数必要であったコイルバネが1つで済み、更なる部品点数の削減とコストダウン及び組立性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る画像形成装置のセンサ部分の斜視図、図2は図1の要部を拡大した部分斜視図、図3は図2のA−A線断面図(センサOFF時)、図4は図2のA−A線断面図(センサON時)、図5は板バネの斜視図、図6はレジストローラの部分斜視図である。
【0016】
図1〜図4において、1は画像形成装置本体の樹脂製のハウジングであって、このハウジング1内には、図3及び図4に示すように、不図示の給紙部に連なる搬送ガイド2が設けられており、該搬送ガイド3は、給紙部から給送される用紙P(図4参照)を上方に配されたレジストローラ対3へとガイドする。
【0017】
上記レジストローラ対3は、図6に示すように、小径ローラ3Aと、該小径ローラ3Aに所定圧で当接する複数の大径ローラ3Bとで構成されており、これらの小径ローラ3Aと大径ローラ3Bの各回転軸4,5の軸方向一端には互いに噛合する駆動ギヤ6,7が結着されている。又、小径ローラ3Aの回転軸4の両端(図6には一端のみ図示)は導電軸受8によって回転可能に支持されており、一方の導電軸受8に形成された円孔8aには接地部材である導電性のコイルバネ9の一端が引っ掛けられて係止されている。尚、図示しないが、大径ローラ3Bの回転軸5もその両端が軸受によって回転可能に支持されている。
【0018】
他方、図1及び図2に示すように、ハウジング1の外面には、不図示の給紙部から前記搬送ガイド2に沿って前記レジストローラ対3へと搬送される用紙P(図4参照)を検知するためのセンサ10が設けられている。
【0019】
上記センサ10は、軸11を中心として揺動するアクチュエータ12と該アクチュエータ12の揺動によってON/OFFするフォトセンサ13によって構成されている。ここで、アクチュエータ12は、検知レバー12Aとこれに結着された遮光板12Bとで構成されており、検知レバー12Aは、アクチュエータ12が図3に示すようにイニシャル位置にあってセンサ10がOFF状態にあるときには、その先端部がハウジング1の縦壁及び搬送ガイド2を貫通して搬送路内へと突出している。
【0020】
又、前記フォトセンサ13は、発光部13aと受光部13bを有しており、通紙がなされていないためにアクチュエータ10の検知レバー12Aが図3に示すイニシャル位置にあるときには、遮光板10Bは図1及び図2に示すようにフォトセンサ13の発光部13aと受光部13b間から外れているために発光部13aから出射される光を遮らない。この状態では、光は受光部13bに達するためにセンサ10はOFF状態となり、通紙がなされていないことが検知される。尚、センサ10のアクチュエータ12は、捩りバネ等の不図示の付勢手段によってイニシャル側(OFF側)に常時付勢されている。
【0021】
他方、通紙がなされたためにセンサ10の検知レバー12Aに用紙Pが当接し、アクチュエータ10が図4に示すように軸11を中心として矢印方向(反時計方向)に揺動すると、該アクチュエータ10の遮光板12Bがフォトセンサ13の発光部13aから出射される光を遮る。この状態では、光は受光部13bに達しないためにセンサ10はON状態となり、通紙がなされていることが検知される。
【0022】
ところで、図1及び図2に示すように、ハウジング1には前記レジストローラ対3のアース取りを行うための接地部材としての板金製の板バネ14が取り付けられている。この板バネ14の詳細は図5に示すが、該板バネ14の平坦な固定部14Aには本体固定用の係止爪14aが切り起こしによって形成されており、該固定部14Aの左右両端にはアクチュエータ接触部14Bと本体接触部14Cとが折曲形成されている。
【0023】
板バネ14の上記アクチュエータ接触部14Bは固定部14Aに対して図示のαだけ折り曲げられ、これには複数のスリット14bが形成されている。このようにアクチュエータ接触部14Bを折り曲げることによって該アクチュエータ接触部14Bのバネ性が高められ、又、アクチュエータ接触部14Bに複数のスリット14bを形成することによって剛性が下げられて該アクチュエータ接触部14Bが撓み変形し易くなる。
【0024】
又、板バネ14の固定部14Aの上縁にはL字状に屈曲した係止部14Dが形成されており、この係止部14Dに形成された円孔14cには接地部材である前記コイルバネ9の他端が引っ掛けられて係止されている。
【0025】
而して、板バネ14は、図2に示すように、ハウジング1に突設された円柱状の係合突起1aを固定部12Aの前記係止爪14aに差し込んで係合せることによってハウジング1に固定されるが、このとき、本体接触部14Cは画像形成装置本体の不図示の導電部材に接触する。従って、レジストローラ対3は接地部材であるコイルバネ9と板バネ14によってアース取りがなされ、該レジストローラ対3に溜まった電荷は、回転軸4から導電軸受8及び接地部材であるコイルバネ9と板バネ14を通って画像系瀬尾装置本体へと流れる。
【0026】
又、板バネ14がハウジング1に固定されると、該板バネ14のアクチュエータ接触部14Bは、センサ10のアクチュエータ12がイニシャル位置に復帰する度に当接する位置にあり、イニシャル位置に復帰するアクチュエータ12を受けて該アクチュエータ12による衝撃を吸収して音の発生を抑える消音部材として機能する。この場合、前述のように板バネ14のアクチュエータ接触部14Bは折り曲げることによってバネ性が高められ、又、複数のスリット14bが形成されることによって剛性が下げられて撓み変形し易くなっているため、該アクチュエータ接触部14Bには高い消音機能が確保される。
【0027】
以上のように、本実施の形態では、既設の接地部材の板バネ14を消音部材として兼用するようにしたため、部品点数が削減されてコストダウンが図られるとともに、従来必要であった消音部材の貼付作業が不要となるために組立性が高められる。従って、組立性の向上とコストダウンを図りつつ、既設の板バネ14によって十分な消音効果を得ることができる。
【0028】
又、本実施の形態では、板バネ14の係止部14Dに形成された円孔14cに、一端がレジストローラ対3の導電軸受8に係止されたコイルバネ9の他端を係止するようにしたため、接地部材として従来は複数必要であったコイルバネが1つで済み、更なる部品点数の削減とコストダウン及び組立性の向上を図ることができる。
【0029】
尚、本実施の形態では、消音部材としてレジストローラ対3の接地部材である板バネ14を兼用したが、搬送ガイド2の接地部材である板バネ(不図示)を消音部材として利用しても良い
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る画像形成装置のセンサ部分の斜視図である。
【図2】図1の要部を拡大した部分斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図(センサOFF時)である。
【図4】図2のA−A線断面図(センサON時)である。
【図5】板バネの斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置のレジストローラの部分斜視図である。
【図7】従来の画像形成装置のセンサ部分の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ハウジング
1a ハウジングの係合突起
2 搬送ガイド
3 レジストローラ対
3A レジストローラの小径ローラ
3B レジストローラの大径ローラ
4,5 回転軸
6,7 駆動ギヤ
8 導電軸受
8a 導電軸受の円孔
9 コイルバネ(接地部材)
10 センサ
11 センサの軸
12 アクチュエータ
12A アクチュエータの検知レバー
12B アクチュエータの遮光板
13 フォトセンサ
13a フォトセンサの発光部
13b フォトセンサの受光部
14 板バネ(接地部材)
14A 板バネの固定部
14B 板バネのアクチュエータ接触部
14C 板バネの本体接触部
14D 板バネの係止部
14a 板バネの係止爪
14b 板バネのスリット
14c 板バネの円孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの揺動によって通紙を光学的に検知するセンサと、用紙を搬送する搬送ローラ及び用紙の搬送をガイドする搬送ガイドと、該搬送ローラ又は搬送ガイドを接地する接地部材を備えた画像形成装置において、
前記接地部材を板バネを含んで構成するとともに、前記アクチュエータが非動作状態にあるときに該アクチュエータを前記板バネで受けるよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記板バネに孔を形成し、該孔に前記搬送ローラ側又は搬送ガイド側に一端が係止されたコイルバネの他端を係止したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−39865(P2009−39865A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204009(P2007−204009)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】