説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、リセット実行時にリセットされる領域を設定変更可能とすること。
【解決手段】 リセットを行う際に設定データを初期値に戻すリセット項目を選択設定可能とし、リセットコマンドの入力により前記選択設定されたリセット項目についてのみ当該設定データを前記初期値に戻して前記リセットを実行するリセット実行部を備えることにより解決した。さらにリセット値診断設定部がリセットの初期値が画像形成装置の装置状態に適合しているかどうかを判断し、適合していなければ適合値に設定しなおす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置におけるリセットモードの選択、及びステータスレポートの出力に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、PDL(ページ記述言語)の仕様として機器の状態を工場出荷時にリセットするコマンドが含まれている。またそのコマンドは用途や公開範囲によりリセットする範囲が異なるものが複数存在する。さらにPDL中のリセットコマンドだけでなく、パネルやWebページなどからのユーザの指示により、上記のリセットコマンドを実行することが可能である。
【0003】
しかし、従来の画像形成装置ではユーザにはどのコマンドでどの領域がリセットされるのかが分からず、また状況によっては、ユーザがリセットする範囲を変更したいとしても同じコマンドでリセットする領域を状況により変化させることはできなかった。
【0004】
従来技術として、エミュレーション機能を切り替えるに際し、初期設定値を設定しなおす必要がなく、かつ個別の印字装置特有の機能も含めて初期設定値の登録ができると共に、エミュレーション毎に初期設定値変更の履歴があって、印字装置のエミュレーションの切り替えを行った後でも、前回使用し、また変更した値が初期設定値として使用できる印字装置がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、他の従来技術として、一括リセットの指令にもかかわらず維持したいモードと、一括リセットの指令によってリセットしたいモードとをモード毎に予め指定しておくことを可能とする画像処理装置がある(特許文献2参照)。
【0006】
しかし、これらの装置でもリセット時のリセット項目をユーザが自由に設定可能ではなかった。
【特許文献1】特開平05−155111号公報
【特許文献2】特開平05−328122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、画像形成装置においてリセット実行時にリセットされる領域を設定変更可能とすることができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、リセットを行う際に設定データを初期値に戻すリセット項目を選択設定可能とし、リセットコマンドの入力により前記選択設定されたリセット項目についてのみ当該設定データを前記初期値に戻して前記リセットを実行するリセット実行部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、前記リセット実行部がリセット時に戻す前記設定データの初期値が装置の状態に合致しているかどうかの判断を行い、合致していない場合には前記装置の状態に合わせて初期値を変更するリセット値診断設定部を有することを特徴としてもよい。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記選択設定されたリセット項目についてのレポートを作成して出力するレポート作成部を有することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明の画像形成装置の前記レポート作成部は、装置内の情報データ項目毎に必要情報であるかどうかを判断し、必要項目についてのみレポートを作成して出力することを特徴としてもよい。
【0012】
また、本発明の画像形成装置の前記レポート作成部は、前記リセット実行部によるリセット実行イベントが発生すると、前記リセット実行前に前記リセット項目についてのレポートを作成して出力することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置は、リセットを行う際に設定データを初期値に戻すリセット項目を選択設定可能とし、リセットコマンドの入力により前記選択設定されたリセット項目についてのみ当該設定データを前記初期値に戻して前記リセットを実行するリセット実行部を有することを特徴とする。
【0014】
このため、ユーザの使用形態に応じて画像形成装置をリセットする際のリセット項目を自由に選択して設定可能となる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、前記リセット実行部がリセット時に戻す前記設定データの初期値が装置の状態に合致しているかどうかの判断を行い、合致していない場合には前記装置の状態に合わせて初期値を変更するリセット値診断設定部を有することを特徴としてもよい。
【0016】
このため、画像形成装置で発生したエラーや故障等により、リセット時の設定データが初期値に戻されても装置の状態と合致していないことに起因して、動作続行が不可能になる問題が解消する。
【0017】
また、本発明の画像形成装置は、前記選択設定されたリセット項目についてのレポートを作成して出力するレポート作成部を有することを特徴としてもよい。
【0018】
このため、ユーザは、画像形成装置のリセットの際にどのリセット項目の設定データが初期値に戻されるかを把握可能となる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置の前記レポート作成部は、装置内の情報データ項目毎に必要情報であるかどうかを判断し、必要項目についてのみレポートを作成して出力することを特徴としてもよい。
【0020】
このため、レポート出力に際し不要なデータにより用紙等が消費されるのを抑制する。
【0021】
また、本発明の画像形成装置の前記レポート作成部は、前記リセット実行部によるリセット実行イベントが発生すると、前記リセット実行前に前記リセット項目についてのレポートを作成して出力することを特徴としてもよい。
【0022】
このため、リセット時にはどのリセット項目がリセットされたかについて、出力レポートにより確認可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
画像形成装置においてリセット実行時にリセットされる領域を設定変更可能とすることができないという問題点を、リセットを行う際に設定データを初期値に戻すリセット項目を選択設定可能とし、リセットコマンドの入力により前記選択設定されたリセット項目についてのみ当該設定データを前記初期値に戻して前記リセットを実行するリセット実行部を備えることにより解決した。
【実施例1】
【0024】
[構成]
本発明実施例のプリンタ101(画像形成装置)の機能ブロックについて、図1及び図2を用いて説明する。本実施例の説明においては、印刷部やスキャナ部などの通常のプリンタに備わっている機能部については、発明の本質には関係ないので省略した。
【0025】
まず、図1を用いてPDL(ページ記述言語)を使用したリセットコマンドでのリセットについて説明を行う。
【0026】
プリンタ101(画像形成装置)は、PDL解釈部111、リセット実行部112、NVRAM(不揮発性メモリ)113を有する。
【0027】
PDL解釈部111は、PC201等から送信される印刷データ中のページ記述言語を解釈する。さらに、ページ記述言語中のリセットコマンドを解釈するとリセット動作をリセット実行部112に指示する。
【0028】
リセット実行部112は、PDL解釈部111からの指令、ないしはユーザによるリセット実行指示によりリセット動作を実行する。
【0029】
また、リセット実行部112は、予め設定データを初期値に戻すリセット項目を選択して設定することを可能としている。これにより、リセットコマンドの入力によるリセット実行の際には、前記選択設定されたリセット項目についてのみ当該設定データを前記初期値に戻す。
【0030】
NVRAM113は、不揮発性のメモリであってプリンタ101の設定データを記録しておく。プリンタ101のリセット動作の際には、リセット実行部112がNVRAM113が保持する設定データを取得してリセット後のシステム再開のための設定値とする。
【0031】
リセット値診断設定部114は、リセット実行部112がリセット時に戻す前記設定データの初期値が装置の状態に合致しているかどうかの判断を行い、合致していない場合には前記装置の状態に合わせて初期値を変更する機能を有する。
【0032】
例えば、リセット項目の中のブザーの初期値(図3のリセット項目第1番目;詳細後述)において、ブザー装置が故障等によりブザーの鳴動が不可能であるのに初期値が図3のようにONのままであると、プリンタ101がブザーを鳴らしている状態であっても、ユーザには実際に音が届かないなどの不都合が起きる。リセット値診断設定部114は、これらの不具合がないように、リセット時にブザー装置が鳴動可能であるかのテストを行い、鳴動不可能であれば現在の初期値がONとなっていてもその値をOFFに変更する。
【0033】
[リセット動作]
PC201からプリンタ101にリセットコマンドが送られる。リセットコマンドがPDL解釈部111で解釈されると、リセット実行部112は、リセットを実行するために必要なセット項目の情報をNVRAM(不揮発性メモリ)113より取得する。そのリセット項目の情報に従い、NVRAM113のリセットを行う。なお、NVRAM113に記憶されているリセット項目についてはリセットの対象には含まれない。上記リセット動作は、ユーザがプリンタ101本体のパネル115(図2参照)からの入力によって行ってもよい。
【0034】
[リセット項目の開示]
次に、リセット項目開示の処理概要を図2のブロック図で説明する。
【0035】
プリンタ101(画像形成装置)は、さらにパネル115、レポート作成部117の機能部を有する。
【0036】
パネル115は、プリンタの動作状況を表示したり、設定動作を行う際の表示を行ったり、リセット動作(リセット項目の設定等)を実行するための表示を行ったりする。
【0037】
レポート作成部117は、リセット動作の際に行われるリセット項目についてのレポートを作成する。作成されたレポートは、前記パネル115で表示されたり、印刷部(不図示)で印刷されたり、Webページに載せる等の手段がある。ここではレポート印刷について説明する。
【0038】
また、レポート作成部117は、前記リセット実行部112によるリセット実行イベントが発生すると、前記リセット実行前に前記リセット項目についてのレポートを作成して出力することを可能とする。このレポート出力は設定により実行・不実行を選択可能とする。
【0039】
プリンタ101のパネル115からリセット項目の印刷メニューからリセット項目の印刷を実行する。するとレポート作成部117は、NVRAM(不揮発性メモリ)113よりリセット項目を取得しその情報を記載したレポートを作成し印刷部(不図示)にて印刷を実行する。
【0040】
実際に印刷されるレポートの例について図3に示す。リセット項目記載レポートT01にはリセット項目と初期値が書かれている。
【0041】
例えば、リセット項目記載レポートT01においては、リセット時には、ブザーは、ON状態(必要時には音の発生あり)であり、カセット1メディアタイプは、PLAIN(普通紙)であり、カセット2メディアタイプも、PLAIN(普通紙)であり、エミュレーション言語はPCLであり、コピー枚数のデフォルト値は1であるように設定される。
【0042】
[リセット項目の設定]
次に、リセット項目の設定の処理概要を図2のブロック図で説明する。
【0043】
リセット項目の設定はパネル115から、又はWebページから等のどのようなインタフェースでも実施可能であるが、ここではパネル115から設定を行う場合について説明する。
【0044】
パネル115でリセット項目の設定を行うとNVRAM(不揮発性メモリ)113のリセット項目が変更される。
【0045】
また、その際にはリセット項目だけでなく初期値の変更も可能である。
【0046】
[実施例1の効果]
本発明実施例のプリンタ101により以下のことが可能となる。
【0047】
リセットする項目をユーザが自由に設定可能である。
【0048】
ユーザがリセット実行時の効果について、リセットを実際に行わなくとも容易に確認できる。
【0049】
設定によりレポート作成部117は、リセットイベントが発生した際には、リセット項目を出力して、その後リセット実行部112がリセット動作を行うため、どの項目がリセットされたかをレポートにより確認可能となる。
【0050】
これにより、リセットの利便性が向上する。
【実施例2】
【0051】
[レポート出力動作]
通常プリンタ(画像形成装置)には機器の状態等をユーザに知らせるための内部ページが存在するが、その中に機器で発生したイベント(例えば、トナー交換や紙詰まり発生等)をユーザに通知するレポートを出力可能である。このレポートの印刷を実行した場合、たとえ過去にイベントが発生していなかったとしても内容が記載されていないレポートが表示されてしまう。本発明実施例2のプリンタ301(図4参照)(画像形成装置)は、このような意味の無いレポートの印刷を行わないことにより、紙やトナーの節約を可能とする。
【0052】
[構成]
図4に本発明実施例2のプリンタ301(画像形成装置)の機能ブロック図を示す。
【0053】
プリンタ301(画像形成装置)は、実施例1の図1で示したPDL解釈部111、リセット実行部112、NVRAM113、リセット値診断部114にさらに加えて、パネル315、レポート作成部317、マシン情報管理部321を有する。
【0054】
レポート作成部317は、装置内の情報データ項目毎に必要情報であるかどうかを判断し、必要項目についてのみレポートを作成して出力する。
【0055】
マシン情報管理部321は、プリンタ101の装置内部の情報を管理し、レポート作成部317から装置内部の情報の取得依頼があった場合には、当該情報を取得してレポート作成部317に渡す。例えばPC401やプリンタのパネル315からプリンタ301にレポート作成指示を送ると、レポート作成部317に依頼が来る。レポート作成部317はマシン情報管理部321に情報を取得しに行きレポート319を排出する。ここで、マシン情報管理部321から取得した情報により、レポート319を印刷するかどうか、またレポートの項目を表示させるかどうかをレポート作成部317が判断する。
【0056】
図5にプリンタ301の動作のフローチャートを示す。
【0057】
S11:レポート作成部317は、PC401やパネル315からの入力によりレポート印刷命令を受け取る。
【0058】
S13:レポート作成部317は、当該レポートの情報がプリンタ301内に存在するかどうかをマシン情報管理部321に尋ね、マシン情報管理部321がそれに対して応答する。当該情報が存在した場合には動作をS15に移行する。存在しなかった場合は動作をS21に移行する。
【0059】
S15:レポート作成部317は、当該レポート情報の各項目について必要な情報であるかどうかを判断し、全ての情報が必要と判断したときは、動作をS17に移行する。不要な情報がひとつでもある場合には、動作をS19に移行する。
【0060】
S17:レポート作成部317は、通常のレイアウトでレポートの印刷を行う。
【0061】
S19:レポート作成部317は、必要と判断されなかった情報を除いてレポートを作成して印刷を行う。
【0062】
S21;レポート情報がないと判断されたので、レポートを印刷せずにその旨をパネル315やPC401に対して通知する。
【0063】
[実施例2の効果]
レポート印刷において不要な情報の印刷を行わないことにより、紙、トナーの節約が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1のプリンタ101のリセット動作関係の機能ブロック図である。
【図2】実施例1のプリンタ101のリセット項目開示の機能ブロック図である。
【図3】実施例1のリセット項目記載レポートの例である。
【図4】実施例2のプリンタ301の機能ブロック図である。
【図5】実施例2のプリンタ301の動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
101 プリンタ(画像形成装置)(実施例1)
111 PDL(ページ記述言語)解釈部(実施例1)
112 リセット実行部(実施例1)
113 NVRAM(不揮発性メモリ)(実施例1)
114 リセット値診断設定部(実施例1)
115 パネル(実施例1)
117 レポート作成部(実施例1)
119 リセット項目記載レポート(実施例1)
201 PC(Personal Computer)
301 プリンタ(画像形成装置)(実施例2)
315 パネル
317 レポート作成部
319 レポート
321 マシン情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセットを行う際に設定データを初期値に戻すリセット項目を選択設定可能とし、リセットコマンドの入力により前記選択設定されたリセット項目についてのみ当該設定データを前記初期値に戻して前記リセットを実行するリセット実行部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記リセット実行部がリセット時に戻す前記設定データの初期値が装置の状態に合致しているかどうかの判断を行い、合致していない場合には前記装置の状態に合わせて初期値を変更するリセット値診断設定部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置であって、
前記選択設定されたリセット項目についてのレポートを作成して出力するレポート作成部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置であって、
前記レポート作成部は、装置内の情報データ項目毎に必要情報であるかどうかを判断し、必要項目についてのみレポートを作成して出力する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または4の画像形成装置であって、
前記レポート作成部は、前記リセット実行部によるリセット実行イベントが発生すると、前記リセット実行前に前記リセット項目についてのレポートを作成して出力する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−143046(P2010−143046A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322056(P2008−322056)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】