説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置から排出される、臭気やVOC等の揮発性化学物質を含む排出ガスの影響を抑えかつ室内の空気を浄化する。
【解決手段】画像形成装置の本体上部に、プラスイオンおよびマイナスイオンを発生させるイオン発生装置が外付けされており、このイオン発生装置から発生されるプラスイオンおよびマイナスイオンのバランスが、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて切り換えられ、画像形成装置の動作中、マイナスインの放出割合を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラス・マイナスイオンを発生させるイオン発生装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アレルギー症や、頭痛や目眩などの健康被害が発症するいわゆるシックハウス症候群の原因物質のひとつとして、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)が注目されている。このVOCは、複写機やプリンタなどの画像形成装置や、パソコン等からも放出されることがわかっている。画像形成装置では、VOCのみならず、加熱された記録用紙(記録材)やトナーから発生する特有の臭気も問題となっている。VOCや臭気は、画像形成装置の場合、記録用紙上にトナー像を定着させる定着装置から放出されている。
【0003】
画像形成装置は、必須のOA機器であって、殆どのオフィスに設置され、更には家庭や病院にも普及しつつある。このため、画像形成装置から排出される、VOCや臭気などの揮発性化学物質を含む排出ガスは、多くの利用者に不快感を与える。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、送風ファン、マイナスイオン発生部、及びプラスに帯電されたフィルタ等を画像形成装置内部に設け、装置内部で発生したトナー粉、塵埃をマイナスに帯電させて、マイナス帯電のトナー粉、塵埃をプラス帯電のフィルタに吸着させ、装置外部に放出される有害物質を低減している。同時に、画像形成装置外部から侵入しようとする塵埃、カビ等をマイナスに帯電させて、これらもプラス帯電のフィルタに吸着させ、装置外部からの有害物質の侵入を抑制している。
【0005】
また、本願出願人は、特許文献2において、機器の筐体の内部に、VOCや臭気などの揮発性化学物質(ケミカルエミッション)を雰囲気中から除去するイオン発生部を配置して、揮発性化学物質の放出を抑制するパソコンや複写機、プリンタなどの電子機器を、先に提案している。これにおいては、イオン発生部よりも通気方向上流にフィルタを配設することで、イオン発生部への粉塵などの付着を抑制する構成も提案している。
【0006】
一方、オフィス、家庭、病院等においては、室内の空気を浄化する空気清浄機が普及しつつある。
【0007】
例えば、特許文献3では、正イオン及び負イオンを同時に発生して、正イオン及び負イオンにより空気中の浮遊細菌を効果的に除去している、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−004144号公報(2005年1月6日公開)
【特許文献2】特開2008−251514号公報(2008年10月16日公開)
【特許文献3】特開2002−58731号公報(2002年2月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、画像形成装置の複写に直接係わらないマイナスイオン発生部やプラス帯電のフィルタなどを装置内部に設ける必要があって、これらが装置の大型化やコスト増大の原因となった。
【0010】
特許文献2においても、画像形成装置の筐体の内部にイオン発生部を配置したので、装置の大型化を引き起こす。
【0011】
また、特許文献3では、室内の空気を浄化することはできても、画像形成装置の排出ガスを浄化することができるわけではなかった。
【0012】
更に、特許文献1、2のような高いコストの画像形成装置と、特許文献3のような空気清浄機を共に設けるのは、非常に不経済である。
【0013】
とろこが、本発明の出願人は、特許文献1、2のように画像形成装置内部にマイナスイオン発生部やフィルタ等を設けず、画像形成装置外部でイオンを発生して放出しても、イオンの放出方法によっては排出ガスの影響を抑えることが可能なことを発見した。そして、このような着想の転換により、画像形成装置の排出ガスの影響を抑えかつ室内の空気を浄化することが可能な本発明の画像形成装置を創案するに至った。
【0014】
従って、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像形成装置からの揮発性化学物質を含む排出ガスの影響を抑えかつ室内の空気を浄化することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、画像を記録材に印刷する画像形成装置であって、上記画像形成装置の本体の外側に取り付けられ、プラスイオンおよびマイナスイオンを発生して放出するイオン発生装置と、上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を変更する放出方向変更部と、上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置から放出されるプラスイオンおよびマイナスインの割合を変更し、上記画像形成装置の動作中は、マイナスイオンの放出量を待機中よりも増大させる放出量調整部とを備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、放出方向変更部が、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じてイオン発生装置からのイオンの放出方向を変更している。画像形成装置が動作中であるときには、排出ガスが発生するので、排出ガスの臭気の低減が効果的に行われるようなイオンの放出方向を設定し、また画像形成装置が待機中であるときには、排出ガスが発生しないので、空気中の浮遊細菌の除去が効果的に行われるようなイオンの放出方向を設定するのが好ましい。すなわち、画像形成装置の排出ガスの影響を抑えかつ室内の空気を浄化し、一台で二役を果たす。
【0017】
また、イオン発生手段を画像形成装置本体の外側に取り付けていることから、本体が大型化することはなく、かつ空気清浄機を別途設ける必要がなく、室内の空間を有効利用することができる。
【0018】
例えば、イオン発生手段からは正イオン及び負イオンが同時に発生されて放出される。このような正イオン及び負イオンは、空気中の浮遊細菌を効果的に除去したり、画像形成装置の排出ガスの臭気を効果的に低減することができ、本発明に好適である。
【0019】
しかも、上記構成では、放出量調整部が、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じてイオン発生装置からのプラスイオンおよびマイナスインの放出割合を変更し、画像形成装置の動作中は、マイナスイオンの放出量を待機中よりも増大させる。画像形成装置が動作中であるときには、VOCや臭気等の揮発性化学物質を含む排出ガスが発生するので、揮発性化学物質の低減が効果的に行われるようなマイナスイオンを多く放出するように制御することで、画像形成装置からの揮発性化学物質をより効果的に除去することができる。
【0020】
また、本発明においては、さらに、上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を変更する放出方向変更部がさらに備えられており、上記放出方向変更部は、上記画像形成装置の動作中に上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を該画像形成装置側の向きに設定し、上記画像形成装置の待機中に上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を該画像形成装置とは逆側の向きに設定する構成とすることもできる。
【0021】
これによれば、放出方向変更部にて、イオン発生装置からのイオンの放出方向が、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて切り換えられ、画像形成装置の動作中は、画像形成装置に向かって集中的に放出し、待機中は、画像形成装置側とは異なる逆側、つまり、室内に向かって放出されるので、より一層効果的に、一台で二役を果たすことができる。
【0022】
また、本発明においては、さらに、上記放出量調整部は、画像形成装置の動作中はマイナスイオンを放出させ、画像形成装置の待機中は、マイナスイオン及びプラスイオンを同時に放出させる構成とすることもできる。
【0023】
上記構成によれば、画像形成装置の動作状態では、画像形成装置に向けてマイナスイオンを放出して、発生される排出ガスに含まれる揮発性化学物質を有効に除去し、画像形成装置の待機状態では、排出ガスが発生しないので、画像形成装置の逆側に向けてマイナス・プラスイオンを室内に広く拡散して、室内に浮遊するカビ菌などを減少する。
【0024】
また、本発明においては、さらに、上記放出量調整部は、コピー開始キーが操作された場合、或いは、印刷要求を受け付けた場合に、イオン発生装置から放出するマイナスイオンの放出量を増大させる構成とすることもできる。
【0025】
コピー開始キーが操作された場合、或いは、印刷要求を受け付けた場合に、画像形成装置は動作状態に入るので、これにより、画像形成装置が動作状況を適切に判断することができる。
【0026】
また、イオン発生装置を、支持部材を介して画像形成装置の上方に取り付けることが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、イオン発生装置が画像形成装置に上向きに突設された支持部材により支持されるので、イオン発生装置が画像形成装置の上方に重ねられ、装置の設置スペースが拡大することはない。また、イオンが画像形成装置側である下方へと放出されると、イオンにより画像形成装置を容易に覆うことができ、イオンによる排出ガスの抑制が確実になされる。
【0028】
また、支持部材は、画像形成装置の背面側の一コーナー部に上向きに突設されて、イオン発生装置の一端部を支持することが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、画像形成装置の上方スペースが開放されて、装置の使い勝手が損なわれずに済む。
【0030】
また、支持部材は、画像形成装置の背面側の中央に上向きに突設されて、イオン発生装置の中央を支持することが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、イオン発生装置が画像形成装置に安定的に支持される。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、画像形成装置の本体の外側に取り付けられ、プラスイオンおよびマイナスイオンを発生して放出するイオン発生装置と、上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を変更する放出方向変更部と、上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置から放出されるプラスイオンおよびマイナスインの割合を変更し、上記画像形成装置の動作中は、マイナスイオンの放出量を待機中よりも増大させる放出量調整部を備えている。
【0033】
これによれば、画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じてイオン発生装置からのイオンの放出方向を変更して、画像形成装置の排出ガスの影響を抑えかつ室内の空気を浄化し、一台で二役を果たすことができる。
【0034】
しかも、画像形成装置が動作中であるときに、マイナスイオンの放出量を増大させるので、排出ガスの影響をより効果的に低減させることができる。
【0035】
これにより、画像形成装置からの揮発性化学物質を含む排出ガスの影響を効果的に抑えながら、室内の空気を浄化することも可能な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示すもので、画像形成装置の動作状況に応じてイオン発生装置の動作を切り換え制御する処理を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)は、図1の画像形成装置におけるイオン発生装置からの2つのイオン放出方向を示す斜視図である。
【図4】図2の画像形成装置におけるイオン発生装置を示す断面図である。
【図5】図4のイオン発生装置におけるイオン発生素子を例示する平面図である。
【図6】図2の画像形成装置において図4のイオン発生装置からのイオン放出方向を上方に設定した状態を示す側面図である。
【図7】図2の画像形成装置において図4のイオン発生装置からのイオン放出方向を斜め下方に設定した状態を示す側面図である。
【図8】図2の画像形成装置におけるイオン発生装置の他の例を示す断面図である。
【図9】図8のイオン発生装置からのイオン放出方向を斜め下方に設定した状態を示す側面図である。
【図10】図2の画像形成装置において図8のイオン発生装置の支持構造を示す斜視図である。
【図11】図2の画像形成装置において図8のイオン発生装置からのイオン放出方向を上方に設定した状態を示す側面図である。
【図12】図2の画像形成装置において図8のイオン発生装置からのイオン放出方向を斜め下方に設定した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0038】
図2は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。この画像形成装置100は、原稿読取り装置101により読取られた原稿の画像又は外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙(記録材)に記録形成するものである。
【0039】
原稿読取り装置101は、原稿搬送部42により搬送されている原稿画像を読取る。原稿搬送部42では、原稿が原稿セットトレイ41にセットされると、原稿ピックアップローラ44が原稿表面に押し付けられて回転され、原稿が原稿セットトレイ41から引き出され、原稿がサバキローラ45と分離パッド46間を通過して1枚ずつに分離されてから搬送経路47へと搬送される。
【0040】
この搬送経路47では、原稿の先端が原稿レジストローラ49に当接して、原稿の先端が原稿レジストローラ49と平行に揃えられ、この後に原稿が原稿レジストローラ49により搬送されて読取りガイド51と読取りガラス52間を通過する。更に、原稿は、搬送ローラ57により搬送され、排紙ローラ58を介して排紙トレイ59に排出される。
【0041】
原稿読取り装置101では、原稿が読取りガイド51と読取りガラス52間を通過するに際し、第1走査部53の光源の光が読取りガラス52を介して原稿表面に照射され、その反射光が読取りガラス52を介して第1走査部53に入射し、この反射光が第1及び第2走査部53、54のミラーで反射されて結像レンズ55へと導かれ、結像レンズ55によって原稿の画像がCCD(Charge Coupled Device)56上に結像される。CCD56は、原稿の画像を読取り、原稿の画像を示す画像データを出力する。
【0042】
また、原稿台ガラス61上に載置された原稿を読取ることができる。原稿搬送部42は、原稿読取り装置101の背面側で開閉可能に枢支されており、この原稿搬送部42が開かれると、原稿台ガラス61が解放されて、原稿台ガラス61上に原稿を載置することができる。原稿が載置されて、原稿搬送部42が閉じられると、第1及び第2走査部53、54が副走査方向に移動されつつ、第1走査部53によって原稿台ガラス61上の原稿表面が露光され、第1及び第2走査部53、54によって原稿表面からの反射光が結像レンズ55へと導かれ、結像レンズ55によって原稿の画像がCCD56上に結像される。このとき、第1及び第2走査部53、54が相互に所定の速度関係を維持しつつ移動されて、原稿表面→第1及び第2走査部53、54→結像レンズ55→CCD56という反射光の光路の長さが変化しないように第1及び第2走査部53、54の位置関係が常に維持され、これによりCCD56上での原稿の画像のピントが常に正確に維持される。
【0043】
こうして読取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置100のレーザ露光装置1へと送受され、画像形成装置100において画像が記録用紙に記録される。
【0044】
一方、画像形成装置100は、レーザ露光装置1、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナ装置4、中間転写ベルト装置8、定着装置12、用紙搬送経路S、給紙トレイ10、及び用紙排出トレイ15等により構成されている。
【0045】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。従って、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナ装置4は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0046】
感光体ドラム3は、画像形成装置100のほぼ中央に配置されている。
【0047】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器のほか、チャージャー型の帯電器が用いられる。
【0048】
レーザ露光装置1は、レーザダイオード及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された感光体ドラム3表面を画像データに応じて露光して、その表面に画像データに対応する静電潜像を形成する。
【0049】
現像装置2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K、C、M、Y)のトナーにより現像する。クリーナ装置4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3表面に残留したトナーを除去及び回収する。
【0050】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルト装置8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ21、従動ローラ22、中間転写ローラ6、及び中間転写ベルトクリーニング装置9を備えている。
【0051】
中間転写ベルト駆動ローラ21、中間転写ローラ6、従動ローラ22等は、中間転写ベルト7を張架して支持し、中間転写ベルト7を矢印C方向に周回移動させる。
【0052】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルト7近傍に回転可能に支持され、中間転写ベルト7を介して感光体ドラム3に圧接され、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7に転写するための転写バイアスを印加されている。
【0053】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられており、各感光体ドラム3表面のトナー像を中間転写ベルト7に順次重ねて転写することによって、カラーのトナー像(各色のトナー像)を形成する。この転写ベルトは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端ベルト状に形成されている。
【0054】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7裏面に圧接されている中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、記録用紙に対して均一に高電圧を印加することができる。
【0055】
上述の様に各感光体ドラム3表面のトナー像は、中間転写ベルト7で積層され、画像データによって示されるカラーのトナー像となる。このように積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト7と共に搬送され、中間転写ベルト7と接触する2次転写装置11の転写ローラ11aによって記録用紙上に転写される。
【0056】
中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11aとは相互に圧接されて、ニップ域を形成する。また、2次転写装置11の転写ローラ11aには、中間転写ベルト7上の各色のトナー像を記録用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、そのニップ域を定常的に得るために、2次転写装置11の転写ローラ11aもしくは中間転写ベルト駆動ローラ21の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0057】
また、2次転写装置11によって中間転写ベルト7上のトナー像が記録用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト7上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去及び回収する。中間転写ベルトクリーニング装置9には、例えばクリーニング部材として、中間転写ベルト7に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが接触する部位で、従動ローラ22により中間転写ベルト7裏側が支持されている。
【0058】
給紙トレイ10は、記録用紙を格納しておくためのトレイであり、画像形成装置100の画像形成部の下側に設けられて、トレイ内の記録用紙を供給する。
【0059】
画像形成装置100には、給紙トレイ10から供給された記録用紙を2次転写装置11や定着装置12を経由させて用紙排出トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送経路Sが設けられている。この用紙搬送経路Sに沿って、用紙ピックアップローラ16、用紙レジストローラ14、定着装置12、及び記録用紙を搬送する搬送ローラ等が配置されている。
【0060】
用紙ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に設けられ、給紙トレイ10から記録用紙を1枚ずつ用紙搬送経路Sに供給する呼び込みローラである。搬送ローラは、記録用紙の搬送を促進補助するための小型のローラであり、複数個設けられている。
【0061】
用紙レジストローラ14は、搬送されて来た記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11a間のニップ域で中間転写ベルト7上のカラーのトナー像が記録用紙に転写されるように、感光体ドラム3及び中間転写ベルト7の回転にあわせて、記録用紙をタイミングよく搬送する。
【0062】
例えば、用紙レジストローラ14は、図示しないレジスト前検知スイッチの検出出力に基づき、中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11a間のニップ域で中間転写ベルト7上のカラーのトナー像の先端が記録用紙の画像形成領域の先端に合うように、記録用紙を搬送する。
【0063】
定着装置12は、加熱ローラ31及び加圧ローラ32等を備えている。加熱ローラ31及び加圧ローラ32は、中間転写ベルト7と2次転写装置11の転写ローラ11a間のニップ域を通過して来た記録用紙を挟み込んで搬送する。
【0064】
加熱ローラ31は、図示しない温度検出器の検出出力に基づき、所定の定着温度となるように制御されており、加圧ローラ32とともに記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写されたトナー像を溶融、混合、圧接し、記録用紙に対して熱定着させる機能を有している。
【0065】
各色のトナー像の定着後の記録用紙は、搬送ローラによって用紙排出トレイ15上にフェイスダウンで排出される。
【0066】
さて、このような画像形成装置100においては、先に述べたような電子写真方式により記録用紙の印刷を行うに際し、VOCや臭気などの揮発性化学物質を含む有害な排出ガスが生じることがある。排出ガスの主成分は、記録用紙から発生すると推定されるロンギフォレン等である。
【0067】
このような有害な排出ガスを放置していたのでは、画像形成装置100の利用者に不快感を与えてしまい、好ましくない。
【0068】
そこで、本実施形態の画像形成装置100では、図2及び図3(a)に示すように画像形成装置100の本体の上方にイオン発生装置71を設け、イオン発生装置71によりプラスイオン及びマイナスイオンを発生させる。
【0069】
本実施形態において、イオン発生装置71としてプラズマクラスターイオン発生機を使用し、プラスイオン及びマイナスイオンをプラズマクラスターイオン発生機から矢印Dの斜め下方に放出している。これにより、エアーカーテンのようにプラスイオン及びマイナスイオンが画像形成装置100の本体前側を主に覆って、排出ガスが除去される。このようなプラスイオン及びマイナスイオンにより、画像形成装置100の外部からでも排出ガスの影響を効果的に抑えられることが実験で確認されている。
【0070】
また、画像形成装置100の待機状態においては、排出ガスが発生しないため、図3(b)に示すようにイオン発生装置71からのプラスイオン及びマイナスイオンの放出方向を矢印Eの上方向に変更して、プラスイオン及びマイナスイオンを室内全体に流して拡散させ、プラスイオン及びマイナスイオンにより空気中の浮遊細菌を除去して、空気の浄化を広い範囲で行うようにしている。
【0071】
ここでは、図3(a)のように、プラスイオン及びマイナスイオンの放出方向を矢印Dの斜め下方に設定しているが、この矢印Dの方向だけに限らず、プラスイオン及びマイナスイオンが画像形成装置100に向けて放出されれば、プラスイオン及びマイナスイオンの放出方向を変更してもよい。また、図3(b)のように、プラスイオン及びマイナスイオンの放出方向を矢印Eの上方向に設定しているが、この矢印Eの方向だけに限らず、プラスイオン及びマイナスイオンが上側に放出されれば、つまりプラスイオン及びマイナスイオンが図3(b)の一点鎖線で示す上側の範囲Xに放出されれば、プラスイオン及びマイナスイオンの放出方向を変更してもよい。
【0072】
図2及び図3(a)、(b)から明らかなように画像形成装置100の本体の背面片側のコーナー100aには支柱72が突設されており、この支柱72の上端でイオン発生装置71の一端側の軸71aが矢印Fの方向に回転可能に軸支され、イオン発生装置71の軸71aがモータ駆動ユニット73の出力軸に接続されている。モータ駆動ユニット73によりイオン発生装置71の軸71aが往復回転駆動されて、イオン発生装置71が矢印Fの方向に往復回転され、イオン発生装置71からのプラスイオン及びマイナスイオンの放出方向が矢印D及び矢印Eのいずれかの向きに変更される。
【0073】
図2に示すようにモータ駆動ユニット73は、画像形成装置100に内蔵の制御部74(放出量調整部、放出方向変更部)に接続され、制御部74により駆動制御される。制御部74は、モータ駆動ユニット73の制御だけではなく、画像形成装置100全体の制御を司っており、画像形成装置100の動作状態に応じてモータ駆動ユニット73を駆動制御して、イオン発生装置71の回転位置を制御し、イオン発生装置71からのイオンの放出方向を矢印D及び矢印Eのいずれかの向きに設定する。
【0074】
しかも、ここでは、制御部74は、画像形成装置100の動作状態に応じて、イオン発生装置71におけるイオン放出量を変化させる、詳細には、プラスイオンとマイナスイオンの放出量の割合を通常時とは変化させ、マイナスイオンの放出量を増大させるようになっている。つまり、画像形成装置100の定着装置12からは、定着動作に伴い、臭気やVOCを含む排出ガスが放出されるが、これら臭気やVOCの消去、除去には、マイナスイオンがより効果的である。そこで、画像形成装置から排出ガスが放出されている状態では、イオン発生装置71からのイオン放出量を、マイナスイオンの放出量が増大するように切り換え、マイナスイオンをより多く含む空気流を画像形成装置100に向って放出させることで、排出ガスに含まれる臭気やVOCなどの揮発性化学物質を効果的に除去できる。詳細な制御状況は後述する。
【0075】
また、画像形成装置100は、その背面側が壁等に向けて配置されるよう構成されており、かつ、原稿搬送部42は、原稿読取り装置101の背面側、つまり、画像形成装置100の背面側で開閉可能に枢支されている。したがって、イオン発生装置71を画像形成装置100の外部に配置するにあたり、不用意に画像形成装置の正面側の上方等に配置すると、原稿搬送部42の開閉に支障を来たす。
【0076】
そこで、本実施形態においては、図2及び図3(a)、(b)に示すように、支柱72が本体の背面片側のコーナー100aに配置され、支柱72によりイオン発生装置71が水平に片持ちされている。これにより、イオン発生装置71が邪魔になることなく、原稿搬送部42を開いて、原稿台ガラス61を解放することができ、画像形成装置100の使い勝手が損なわれずに済む。また、イオン発生装置71は、画像形成装置100の背面側に、画像形成装置100をその背面を壁面に向けて配置しても、邪魔にならないので、イオン発生装置71を外部に取り付けたことで、画像形成装置100の設置スペースが増大するような不具合もない。
【0077】
図4は、イオン発生装置71を示す断面図である。このイオン発生装置71は、本体筐体81、本体筐体81の下部に配置されたファンユニット82、本体筐体81の下側壁に形成された複数の吸入孔81aとファンユニット82の吸入口82aとの間に配置された吸入ダクト83、本体筐体81の上部に形成された上部吹き出し口81bとファンユニット82の吹き出し口82bとの間に配置された吹き出しダクト84、及びファンユニット82の周囲に配置された複数のイオン発生素子85を備えている。
【0078】
図2及び図3(a)、(b)に示すようにイオン発生装置71が画像形成装置100の幅方向に長いため、本体筐体81、ファンユニット82、各吸入孔81a、吸入ダクト83、放出口82b、及び放出ダクト84も画像形成装置100の幅方向に長く、また複数のイオン発生素子85を画像形成装置100の幅方向に配列している。
【0079】
ファンユニット82のファン82cは、モータ(図示せず)により回転駆動されると、矢印Gに示すような空気流を発生し、空気を各吸入孔81aから吸入ダクト83を通じてファンユニット82内へと吸入し、空気を各イオン発生素子85近傍に流してから、空気を吹き出しダクト84を通じて上部吹き出し口81bから放出する。
【0080】
このファン82cのモータ(図示せず)も、モータ駆動ユニット73と同様に、画像形成装置100に内蔵の制御部74に接続され、制御部74により駆動制御される。
【0081】
各イオン発生素子85は、プラズマクラスラーイオン(登録商標)発生素子(PCI)である。図4の矢印A方向から各イオン発生素子85を見ると、図5に示すように2個のイオン発生素子85が画像形成装置100の幅方向に配列され、イオン発生素子85毎に、プラスイオンを発生する一対のプラスイオン発生部85aと、マイナスイオンを発生する一対のマイナスイオン発生部85bとが配列されている。これらイオン発生素子85も、モータ駆動ユニット73と同様に、画像形成装置100に内蔵の制御部74に接続され、制御部74により駆動が制御され、マイナスイオン、プラスイオンの発生量が制御される。なお、このようなイオン発生素子85は、本願発明の出願人が先に出願した特開2002−58731号に詳しく開示されている。
【0082】
このイオン発生素子85により発生されたプラスイオン及びマイナスイオンは、ファンユニット82のファン82cにより発生された空気流と共に吹き出しダクト84を通じて上部吹き出し口81bから放出される。
【0083】
このような構成において、図2の制御部74は、先に述べたように画像形成装置100全体の制御を司っており、電源スイッチがオンになると、予め設定された手順で画像形成装置100の各部を駆動制御して、画像形成装置100を待機状態に設定する。
【0084】
この待機状態においては、操作パネル75の入力操作により原稿画像の複写を指示することができる。制御部74は、操作パネル75の入力操作に基づく複写を指示する印刷指示信号を入力すると、この印刷指示信号に応答して画像形成装置100の動作を開始して、画像形成装置100の動作状態を設定し、原稿画像を読取り、読取った原稿画像を記録用紙に複写する。この場合は、画像形成装置100が複写機として機能する。
【0085】
また、画像形成装置100は、ネットワークに接続されたインターフェース76を備えており、ネットワークNを通じてパーソナルコンピュータ等の外部端末装置(図示せず)に接続され、外部端末装置からインターフェース76へと画像及び印刷指示信号を受信する。制御部74は、この受信した画像及び印刷指示信号を入力し、この印刷指示信号に応答して画像形成装置100の動作を開始して、画像形成装置100の動作状態を設定し、この画像を記録用紙に印刷する。この場合、画像形成装置100は、プリンタとして機能する。
【0086】
更に、印刷処理が終了した後、印刷処理が実行されないまま一定時間が経過すると、画像形成装置100が再び待機状態となり、次の印刷指示信号の入力が待機される。
【0087】
尚、待機状態とは、印刷処理が実行されていない状態であって、直ちに印刷処理の実行に移れる状態である。
【0088】
ここで、制御部74は、画像形成装置100を待機状態に設定すると、モータ駆動ユニット73を駆動制御して、イオン発生装置71の回転位置を制御し、図3(b)及び図6に示すようにイオン発生装置71からのイオンの放出方向を矢印Eの上方向に設定する。
【0089】
これにより、プラスイオン及びマイナスイオンが室内全体に流れて拡散し、プラスイオン及びマイナスイオンにより空気中の浮遊細菌が除去されて、空気の浄化が広い範囲で行われる。一般に、画像形成装置100の待機状態の設定時間がその動作状態の設定時間よりも長いため、画像形成装置100の待機状態のときにプラスイオン及びマイナスイオンが室内全体に流れて拡散されれば、空気の浄化が効果的になされる。
【0090】
このとき、制御部74は、モータ駆動ユニット73の駆動制御によりイオン発生装置71を軸71a周りの一定角度範囲で往復回転させてもよい。すなわち、イオン発生装置71をスイング動作させる。これにより、正イオン及び負イオンの放出範囲を広げることができる。
【0091】
あるいは、制御部74は、ファンユニット82のファン82cのモータの駆動制御によりファン82cの回転速度を速くする。これによって、イオン発生装置71からの空気の放出速度及び放出量が増大し、正イオン及び負イオンの放出範囲がより広がる。
【0092】
また、制御部74は、画像形成装置100を動作状態に設定すると、モータ駆動ユニット73を駆動制御して、イオン発生装置71の回転位置を制御し、図3(a)及び図7に示すようにイオン発生装置71からのイオンの放出方向を矢印Dの斜め下方に設定する。
【0093】
これにより、プラスイオン及びマイナスイオンにより画像形成装置100の本体前側が主に覆われて、排出ガスに含まれる揮発性化学物質(VOCや臭気)が除去される。通常、利用者は画像形成装置100の本体前側に立つので、プラスイオン及びマイナスイオンを矢印Dの向きに放出して、プラスイオン及びマイナスイオンにより画像形成装置100の本体前側を主に覆えば、利用者周辺の排出ガスに含まれる揮発性化学物質を効果的に除去することができる。
【0094】
このときにも、制御部74は、モータ駆動ユニット73の駆動制御によりイオン発生装置71を軸71a周りの一定角度範囲で往復回転させ、イオン発生装置71をスイング動作させてもよい。
【0095】
あるいは、制御部74は、ファンユニット82のファン82cのモータの駆動制御によりファン82cの回転速度を遅くする。これによって、イオン発生装置71からは空気が穏やかに放出され、空気の流れが矢印Dのように徐々に下方に曲がる曲線を描き、空気が画像形成装置100の本体前側に立った利用者に強く吹き付けられずに済み、正イオン及び負イオンを穏やかに拡散させて、正イオン及び負イオンにより画像形成装置100の本体前側を確実に覆うことが可能になる。
【0096】
しかも、本実施形態では、制御部74は、画像形成装置100を動作状態に設定すると、イオン発生素子85の駆動を制御して、プラスイオンとマイナスイオンの発生割合を通常時とは変化させ、通常時よりもマイナスイオンが多く発生させる。マイナスイオンの発生量を増大させるにあたり、プラスイオンの発生に必要な電力をマイナスイオンの発生に回し、マイナスイオンのみを発生させる構成が好ましい。また、電力的に余裕があれば、プラスイオンを同時に発生させてもよい。
【0097】
これにより、イオン発生装置71からのマイナスイオンの放出量が増大し、画像形成装置からの排出ガスに含まれる揮発性化学物質(VOCや臭気)が、より一層、効果的に除去される。
【0098】
また、マイナスイオンの発生量を多くすると共に、制御部74は、ファンユニット82のファン82cのモータの駆動制御によりファン82cの回転速度を速くするようにしてもよい。これによって、イオン発生装置71からの空気の放出速度及び放出量をより一層、効果的に増大させることができる。
【0099】
図1に、イオン発生装置71からのイオンの放出方向、及びプラスイオンとマイナスイオンの放出割合を、画像形成装置100の動作状況に応じて切り換える制御フローを示す。
【0100】
制御部74は、画像形成装置100の電源スイッチがオンされると(S1)、待機状態を設定し(S2)、画像形成装置100を待機状態とする。制御部47は、画像形成装置100を待機状態に設定すると、イオン発生装置71からのイオン放出方向を上方とし、室内に向かってプラスイオン及びマイナスイオンを予め定められた所定の割合(通常バランス)で放出させる(S3)。
【0101】
そのあと、制御部74は、操作パネル75から複写指示が入力される、或いは、印刷指示信号を受信すると(S4)、画像形成装置100を動作状態に設定する(S5)。制御部74は、画像形成装置100を動作状態に設定すると、イオン発生装置71からのイオン放出方向を、斜め下方とし、画像形成装置100に向けてイオンを放出させるように切り換えると共に、イオン発生装置71から放出されるプラスイオン及びマイナスイオンのバランスを変更して、マイナスイオンの放出量が増大させる(S6)。
【0102】
その後、制御部74は、最後の記録用紙の排出が終了してから所定時間経過するなどして、複写或いは印刷の完了を確認すると(S7)、S2に戻り、画像形成装置100を再び待機状態に設定し、S3にて、イオン発生装置71からのイオンの放出方向、及びプラスイオン及びマイナスイオンのバランスを基の状態に復帰させ、室内に向かってプラスイオン及びマイナスイオンを予め定められた所定の割合で放出させる。
【0103】
このように本実施形態では、画像形成装置100の待機状態及び動作状態に応じて、イオン発生装置71の向きを制御して、イオン発生装置71からのプラスイオン及びマイナスイオンの放出方向を変更しているので、待機状態のときには空気の浄化を行い、動作状態のときには排出ガスに含まれる臭気やVOC等の揮発性化学物質を除去することができ、1台のイオン発生装置71を二役で用いることができる。
【0104】
しかも、画像形成装置100の動作中は、プラスイオンとマイナスイオンの発生割合を通常時とは変化させ、イオン発生装置から通常時よりもマイナスイオンが多く発生させて、画像形成装置100に向かってより多くのマイナスイオンが放出されるようにしている。したがって、画像形成装置100からの排出ガスに含まれる揮発性化学物質(VOCや臭気)を、より一層効果的に除去できる。なお、本実施形態では、画像形成装置100の動作中に、マイナスイオンの放出量を増大させる構成を、画像形成装置の動作状況に併せてイオンの放出方向を切り換える構成を組み合わせたが、該構成との組み合わせは必須ではない。例えば、画像形成装置100の外部にイオン放出装置が取り付けられており、該イオン放出装置から画像形成装置100の方向に向かってイオンを放出できる構成であれば、イオン放出方向の切り換えが手動で行われる装置であってもよい。
【0105】
また、エアーカーテンのようにイオンが画像形成装置100を覆えば、画像形成装置100の排出ガスの影響を効果的に抑えられることが実験で確認されている。このため、イオン発生装置71を画像形成装置100の外側に配置することができ、画像形成装置100の本体の大型化を避けることができる。また、このイオン発生装置71により室内の空気が浄化されるので、空気清浄機を別途設ける必要がなく、室内の空間を有効利用することができ、また設備費用を節減することができる。
【0106】
図8は、イオン発生装置の他の例を示す断面図である。尚、図8において、図4と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付して、説明を簡略化する。
【0107】
図8に示すようにイオン発生装置71Aでは、図4の本体筐体81及吹き出しダクト84の代わりに、本体筐体81A及び吹き出しダクト84Aを設けている。
【0108】
本体筐体81Aは、図4の本体筐体81と同様に複数の吸入孔81a及び上部吹き出し口81bを有するだけではなく、側部吹き出し口81cを有している。
【0109】
吹き出しダクト84Aは、相互に対向する第1及び第2可動ダクト壁91、92を有している。第1可動ダクト壁91は、その上端の軸91aを枢支されて、この軸91a周りで矢印Hの方向に往復回動することができる。また、第2可動ダクト壁92は、その下端の軸92aを枢支されて、この軸92a周りで矢印Iの方向に往復回動することができる。
【0110】
第1及び第2可動ダクト壁91、92の軸91a、91bは、ダクト用モータ駆動ユニット(図示せず)により同時に回転駆動されて、同時に往復回転される。
【0111】
画像形成装置100内の制御部74は、画像形成装置100の待機状態及び動作状態に応じてそのダクト用モータ駆動ユニットを駆動制御し、第1及び第2可動ダクト壁91、92の軸91a、91bを同時に往復回転させる。これにより、第1及び第2可動ダクト壁91、92が図8又は図9に示すように選択的に位置決めされる。
【0112】
図8に示すように第1及び第2可動ダクト壁91、92が位置決めされた状態では、第1可動ダクト壁91が側部吹き出し口81cを閉じるので、イオン発生装置71Aにおける空気流が矢印Jに示すように発生し、各吸入孔81a→吸入ダクト83→ファンユニット82内の各イオン発生素子85近傍→吹き出し口82b→吹き出しダクト84A→上部吹き出し口81bという経路で空気が流れて上方向に放出される。
【0113】
また、図9に示すように第1及び第2可動ダクト壁91、92が位置決めされた状態では、第1可動ダクト壁91が側部吹き出し口81cを開放し、第2可動ダクト壁92が上部吹き出し口81bを閉じるので、イオン発生装置71Aにおける空気流が矢印Kに示すように発生し、各吸入孔81a→吸入ダクト83→ファンユニット82内の各イオン発生素子85近傍→吹き出し口82b→側部吹き出し口81cという経路で空気が流れて斜め下方向に放出される。
【0114】
図10は、イオン発生装置71Aを画像形成装置100に取り付けた状態を示している。画像形成装置100の本体の背面中央には支柱93が突設されており、この支柱93の上端にイオン発生装置71Aの中央を安定的に支持している。
【0115】
ここで、制御部74は、画像形成装置100を待機状態に設定すると、ダクト用モータ駆動ユニットを駆動制御して、第1及び第2可動ダクト壁91、92の軸91a、91bを同時に回転させ、図8に示すように第1及び第2可動ダクト壁91、92を位置決めする。このため、図11に示すようにイオン発生装置71の上部吹き出し口81bから空気が正イオン及び負イオンと共に矢印Lの上方向に放出される。これにより、正イオン及び負イオンが室内全体に流れて拡散し、空気の浄化が効果的になされる。
【0116】
このとき、ファン82cのモータの駆動制御によりファン82cの回転速度を速くして、イオン発生装置71からの空気の放出速度及び放出量を増大させ、正イオン及び負イオンの放出範囲をより広げてもよい。
【0117】
また、制御部74は、画像形成装置100を動作状態に設定すると、ダクト用モータ駆動ユニットを駆動制御して、第1及び第2可動ダクト壁91、92の軸91a、91bを同時に回転させ、図9に示すように第1及び第2可動ダクト壁91、92を位置決めする。このため、図12に示すようにイオン発生装置71の側部吹き出し口81cから空気が正イオン及び負イオンと共に矢印Mの斜め下方向に放出される。この正イオン及び負イオンにより画像形成装置100の本体前側が主に覆われ、利用者周辺の排出ガスの臭気が効果的に除去される。
【0118】
このとき、ファン82cのモータの駆動制御によりファン82cの回転速度を遅くして、正イオン及び負イオンを穏やかに拡散させ、正イオン及び負イオンにより画像形成装置100の本体前側を確実に覆うようにしてもよい。
【0119】
従って、このようなイオン発生装置71Aを用いても、画像形成装置100の待機状態及び動作状態に応じて正イオン及び負イオンの放出方向を変更し、待機状態のときには空気の浄化を行い、動作状態のときには排出ガスの臭気を除去することができる。
【0120】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【0121】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置の動作状態と待機状態を示しているが、画像形成装置の非動作状態が長く続いたときには、待機状態から消費電力の少ない省電力状態へと移り、更に省電力状態からより消費電力の少ないスリープ状態へと移り、印刷指示があったときに動作状態に戻るという節電制御を行うことがある。そのような省電力状態やスリープ状態に際しても、待機状態と同様に、排出ガスが発生しないため、イオン発生装置からのイオンの放出方向を上方に向けて、プラス・マイナスイオンを上方に放出し続けてもよい。特に、夜間等においては、スリープ状態が設定されるので、イオン発生装置からイオンを上方に放出し続ければ、人が居ない間に、室内の空気を十分に浄化することができる。
【0122】
また、イオン発生装置71やモータ駆動ユニット73をオプションで後付けすることができるようにしてもよい。この場合は、イオン発生装置71側にモータ駆動ユニット73等を駆動制御するための制御部を設けておき、この制御部と画像形成装置100の制御部74とをシリアル通信用のケーブル並びにコンセントを介して接続し、両者の制御部間のデータ通信により、画像形成装置100の制御部74からイオン発生装置71側の制御部へと指示を送受して、イオン発生装置71側の制御部によりモータ駆動ユニット73等を制御する。
【0123】
更に、画像形成装置の構造や使用状況等に応じて、イオン発生装置71の取り付け位置を変更してもよい。上記実施形態では、画像形成装置の背面側を壁等に向けて配置することを想定して、支柱を画像形成装置の背面側に突設し、この支柱の上端にイオン発生装置71を水平に支持しているが、画像形成装置の構造や使用状況によっては、画像形成装置の側面を壁等に向けて配置することがある。この場合は、支柱を画像形成装置の側壁に突設し、この支柱の上端にイオン発生装置71を支持すると、イオン発生装置71が壁際に配置されて、イオン発生装置71が邪魔にならずに済む。あるいは、支柱を用いずに、イオン発生装置71を垂直に取り付けたり、画像形成装置本体の外壁に直接取り付けてもよい。更に、複数のイオン発生装置71を分散して取り付けても構わない。
【0124】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
る。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、揮発性化学物質の発生を伴う様々な画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0126】
71,71A イオン発生装置
72、93 支柱(支持部材)
73 モータ駆動ユニット
74 制御部(放出量調整部、放出方向変更部)
81 本体筐体
82 ファンユニット
83 吸入ダクト
84,84A 吹き出しダクト
85 イオン発生素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を記録材に印刷する画像形成装置であって、
上記画像形成装置の本体の外側に取り付けられ、プラスイオンおよびマイナスイオンを発生して放出するイオン発生装置と、
上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を変更する放出方向変更部と、
上記画像形成装置が動作中であるか待機中であるかに応じて、上記イオン発生装置から放出されるプラスイオンおよびマイナスインの割合を変更し、上記画像形成装置の動作中は、マイナスイオンの放出量を待機中よりも増大させる放出量調整部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記放出方向変更部は、上記画像形成装置の動作中に上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を該画像形成装置側の向きに設定し、上記画像形成装置の待機中に上記イオン発生装置からのイオンの放出方向を該画像形成装置とは逆側の向きに設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記放出量調整部は、画像形成装置の動作中はマイナスイオンを放出させ、画像形成装置の待機中は、マイナスイオン及びプラスイオンを同時に放出させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記放出量調整部は、コピー開始キーが操作された場合に、イオン発生装置から放出するマイナスイオンの放出量を増大させることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記放出量調整部は、印刷要求を受け付けた場合に、イオン発生装置から放出するマイナスイオンの放出量を増大させることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記イオン発生装置は、支持部材を介して上記画像形成装置の上方に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
上記支持部材は、上記画像形成装置の背面側の一コーナー部に上向きに突設されて、上記イオン発生装置の一端部を支持することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−185965(P2010−185965A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28830(P2009−28830)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】