説明

画像形成装置

【課題】予約された印刷ジョブの実行前に残滓回収ユニットの残滓が満杯になることなく、予約した印刷ジョブを確実に実行できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置では、印刷ジョブの予約を受け付けるジョブ受付部12、後処理により生成された残滓を回収し、残滓の堆積状態を管理する残滓状態管理部13、並びに印刷ジョブが残滓を生成する量を予測する残滓生成量予測部14がシステム制御部11で制御される。残滓状態管理部13は残滓の堆積状態から残滓の回収可能量を算出し、残滓生成量予測部14はジョブ受付部12で受け付ける印刷ジョブでの残滓の生成量を予測する。ジョブ受付部12では、回収可能量と生成量とを比較して印刷ジョブの予約受付可否を判断し、残滓状態管理部13では、ジョブ受付部12が受け付ける印刷ジョブの予約受付を可と判断したときに、生成量の残滓を回収するための残滓回収ユニット(略図)の領域を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予約印刷と印刷及び後処理とを実行できると共に、ネットワークを介して端末装置から指示された印刷ジョブに基づいて印刷及び後処理を実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置に関連する周知技術としては、例えば未来の特定期間に予約印刷を行なう状況でも、インク無し状態になることなく確実に印刷することができるようにした印刷システム(特許文献1参照)、優先的に処理されるジョブがあった場合であっても、実行待ち時間を最小限とすることができ、ジョブが同時期に重なったときでも、その調整を自動的に行なうことができることにより、複数のジョブを効率的に処理することを可能とした画像処理システム及び画像処理装置(特許文献2参照)、予約者のジョブの出力処理にて使用する資源を確保できるようにした画像処理装置および画像処理方法および記憶媒体、情報処理装置および情報処理方法および記憶媒体(特許文献3参照)等が挙げられる。
【0003】
その他、ユーザが予期しないダウンタイムの発生を抑制し、利便性に優れた消耗部材管理システム、印刷制御装置、消耗部材管理装置、消耗部材管理システムの消耗部材管理方法、ドライバプログラムおよびドライバプログラムを記録した記録媒体(特許文献4参照)、予約印刷可能で、予約した用紙がその後の利用によって用紙サイズや種別が変えられたり、用紙が使用されたりして、予約印刷ジョブが実行できなくなってしまうのを防ぐことができる画像形成装置(特許文献5参照)等が挙げられる。
【0004】
要するに、これらの画像形成装置に係る技術は、指定した時刻に印刷を実行させたり、印刷実行中の装置に対して印刷ジョブを送信して、実行中の印刷が終了次第、印刷を実行させたりするような印刷ジョブの予約を行うことができるものとして知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した画像形成装置の利用に際して、プロダクション市場と言われる環境(例えばマニュアルや提案書、調査・報告資料等を印刷する企業内のコピーセンタ、請求書や財務報告書といった基幹業務に伴う各種帳票を印刷するデータセンタ、或いは一般企業や自治体等の大量出力を一括して請け負う複写業者等が挙げられる)では、大量の頁から構成される文書の印刷や大量部数印刷、更にはステープラー処理、パンチ処理、製本等の後処理を行う場合が増えている。
【0006】
このうち、ステープラー処理では、印刷物の綴じ枚数によってステープルをカットする際にステープル切り屑が発生する。また、パンチ処理では、印刷用紙にパンチ穴を開ける際にパンチ屑が発生する。更に、製本処理では、三方仕上げ裁ちや無線綴じのミーリング処理の際に断裁屑が発生する。
【0007】
そこで、画像形成装置では、このようなステープル切り屑、パンチ屑、断裁屑等の残滓を格納するための残滓回収ユニットが備えられるが、残滓回収ユニットに残滓が堆積されて満杯になった際には、これらの残滓が発生する印刷ジョブは実行不可となるため、残滓回収ユニットから残滓を廃棄する満杯処理の作業が必要になる。
【0008】
ところが、上述した特許文献1〜特許文献5に開示された技術では、残滓回収ユニットに堆積された残滓が満杯になって印刷ジョブが実行不可になることによる印刷効率の低下や、予約された印刷ジョブの実行前でも残滓が満杯になっていれば印刷ジョブが実行不可となり、残滓を廃棄する満杯処理が必要になってしまうという使用上の不便さを対策して改善するような提案はなされていない。
【0009】
特に近年では画像形成装置のネットワーク化の傾向が進み、1台の画像形成装置に複数の端末装置をネットワーク上で接続してシステム化を図り、ユーザが各々端末装置から画像形成装置に対して印刷ジョブを送信し、印刷処理を実行するような機能を構築する機会が少なくないが、このような使用環境では、例えば或るユーザが予約した印刷ジョブの実行待機中に別のユーザから受信した予約した印刷ジョブ以外の印刷ジョブの実行により残滓が発生し、残滓回収ユニットが満杯になってしまうと、予約した印刷ジョブを実行するときになってその予約した印刷ジョブを実行することができないといったトラブルが起こり得るため、残滓満杯時の印刷ジョブの実行不可は機能上で解消(改善)されるべき問題となっている。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題(目的)は、予約された印刷ジョブの実行前に残滓回収ユニットの残滓が満杯になることなく、予約した印刷ジョブを確実に実行できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決したものであり、請求項1に係る発明の画像形成装置は、印刷ジョブの予約を受け付けるジョブ受付手段と、後処理により生成された残滓を回収し、当該残滓の堆積状態を管理する残滓状態管理手段と、印刷ジョブが残滓を生成する量を予測する残滓生成量予測手段と、を備え、残滓状態管理手段は、残滓の堆積状態から当該残滓の回収可能量を算出し、残滓生成量予測手段は、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブでの残滓の生成量を予測し、ジョブ受付手段は、回収可能量と生成量とを比較して印刷ジョブの予約受付可否を判断し、残滓状態管理手段は、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブの予約受付を可と判断したときに、生成量の前記残滓を回収するための領域を確保することを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、上記請求項1の画像形成装置において、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を表示する表示手段を備え、表示手段は、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブの予約受付を否と判断したときに、堆積された残滓の満杯処理を促す旨を表示することを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項1の画像形成装置において、残滓状態管理手段は、残滓について少なくとも1種類以上のものの堆積状態を管理し、回収可能量を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項1の画像形成装置において、残滓生成量予測手段は、残滓について少なくとも1種類以上のものの生成量を予測することを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、上記請求項1の画像形成装置において、ジョブ受付手段は、残滓について少なくとも1種類以上のものを対象とし、残滓状態管理手段により算出された残滓の回収可能量と、残滓生成量予測手段により予測されたジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブでの残滓の生成量とを比較して当該印刷ジョブの予約受付可否を判断することを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明は、上記請求項1の画像形成装置において、残滓状態管理手段は、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブの予約受付を可と判断したときに、残滓について少なくとも1種類以上のものを回収するための領域を確保することを特徴とする。
【0017】
請求項7に係る発明は、上記請求項1の画像形成装置において、ネットワークを介して接続された少なくとも1台以上の端末装置から指示された印刷ジョブを受信すると共に、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を端末装置に通知する通知手段を備え、通知手段は、ジョブ受付手段が受け付ける印刷ジョブの予約受付を否と判断したときに、堆積された残滓の満杯処理を促す旨を端末装置に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の画像形成装置によれば、印刷ジョブの予約を受け付けた際、該当する印刷ジョブで生成される残滓の量を予測し、これと残滓回収ユニットの残滓を回収するための空き領域とを比較して予約可否を判断し、印刷ジョブの予約が可である場合には、該当する印刷ジョブで発生する残滓量に相当する残滓回収ユニットの領域を確保するため、予約された印刷ジョブの実行前に残滓回収ユニットが満杯になることなく、予約した印刷ジョブを確実に実行することができる。
【0019】
請求項2の画像形成装置によれば、印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を表示する手段を備えることで、要求した印刷ジョブの予約が受け付けられたか否かをユーザーに通知でき、しかも印刷ジョブの予約受付が不可のときに、残滓の満杯処理を促す旨を表示することで、ユーザーは印刷ジョブの予約が受け付けられなかった理由を知ることができるため、適切に残滓の満杯処理を実施できる。
【0020】
請求項3の画像形成装置によれば、複数種類の残滓について堆積状態を管理し、ジョブを受け付けた時点での残滓の回収可能量を算出することができる。請求項4の画像形成装置によれば、1つのジョブで複数種類の残滓が生成される場合においても、生成量を予測することができる。請求項5の画像形成装置によれば、1つのジョブで複数種類の残滓が生成される場合においても、残滓の回収可能量と予測された生成量とを比較して印刷ジョブの予約受付可否を判断することができる。請求項6の画像形成装置によれば、1つのジョブで複数種類の残滓が生成される場合においても、ジョブを実行するために残滓を回収するための領域を確保することができる。
【0021】
請求項7の画像形成装置によれば、ネットワークを介して接続された端末装置から指示された印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を端末装置に通知することができ、しかも受信した印刷ジョブの予約受付が不可のときに、端末装置に残滓の満杯処理を促す旨を通知するため、端末装置から印刷ジョブを送信したユーザーは印刷ジョブの予約が受け付けられなかった理由を知ることができ、適切に残滓の満杯処理を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の外観構成を示した概略図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の機能構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置が管理する残滓に関する情報テーブルのデータを例示したものである。
【図4】図1に示す画像形成装置の動作処理の一形態を示したフローチャートである。
【図5】図1に示す画像形成装置の動作処理の他形態を示したフローチャートである。
【図6】図1に示す画像形成装置に対して端末装置をネットワークを介して接続してシステム化した構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の画像形成装置について、実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置の外観構成を示した概略図である。この画像形成装置は、プロッタ装置1と、シート格納装置2、3と、シート後処理装置4〜6とによる各ユニットを組み合わせて構成されている。
【0025】
このうち、プロッタ装置1は、例えば電子写真式記録装置やインクジェット式記録装置等で構成されるもので、画像情報を用紙へ印刷すると共に、印刷された用紙をシート後処理装置4〜6に搬送する。
【0026】
シート格納装置2、3は、画像を転写するための用紙を格納する装置であり、ここではシート格納装置2がプロッタ装置1の下側に接続される比較的小容量の格納装置となっており、シート格納装置3がプロッタ装置1と並んで接続される大容量の格納装置となっている。これらの格納装置は、異なるサイズの用紙を格納した複数の給紙段(各給紙段にはそれぞれ同一サイズの用紙が格納される)を備えており、プロッタ装置1へ用紙を搬送する。
【0027】
シート後処理装置4〜6は、プロッタ装置1から排出された用紙に対して後処理を施す装置であり、複数台を接続することができるものである。ここではシート後処理装置4が製本用の表紙や合紙を挿入するための挿入装置となっており、シート後処理装置5がパンチ処理をするためのパンチ装置であると共に、製本するために用紙を折るための折り装置となっており、シート後処理装置6が用紙に対してステープル処理をするためのステープル装置であると共に、テープ製本やリング製本、シュア製本をするための製本装置であって、且つ製本された用紙を最終的なサイズに断裁するための断裁装置となっている。
【0028】
その他、ステープラー処理用のステープル、無線綴じ製本のための接着剤、テープ製本のためのテープ、リング製本のためのリング、シュア製本のためのバインドストリップ等の各消耗品を格納するための図示しない消耗品格納ユニットを備えている。
【0029】
また、ステープラー処理において印刷物の綴じ枚数によってステープルをカットする際に発生するステープル切り屑、パンチ処理において印刷用紙にパンチ穴を開ける際に発生するパンチ屑、製本処理において三方仕上げ裁ちや無線綴じのミーリング処理の際に発生する断裁屑のような残滓を格納するための図示しない残滓回収ユニットを備えている。
【0030】
更に、単体の画像形成装置としての機能を成すため、セットされた原稿を読み取り位置に搬送する読み取り給紙装置、原稿の画像情報を読み取るスキャナ装置、テンキー、スタートキー、ファンクションキー、ワンタッチキー等の各種操作キーを備えた操作パネル及び液晶ディスプレィ等で構成される操作部等を備える構成としても良い。
【0031】
図2は、上述した実施例1に係る画像形成装置の機能構成を示したブロック図である。この画像形成装置は、機能構成上で各部がバスにより接続されて構成されるもので、具体的にはシステム制御部11、ジョブ受付部12、残滓状態管理部13、残滓生成量予測部14、情報通知部15、及び情報記憶部16を含んで構成される。
【0032】
このうち、システム制御部11は、CPU等を備えており、各部を制御して印刷ジョブや残滓の管理を行う。
【0033】
ジョブ受付部12は、ユーザが画像形成装置を操作することで要求される印刷ジョブや、ネットワークを経由して端末装置から指示されて送られる印刷ジョブを受け付ける。ジョブ受付部12で受け付けたジョブ情報は、ジョブ情報記憶部17に記憶される。
【0034】
残滓状態管理部13は、後処理により生成された残滓を回収し、残滓の堆積状態を管理する。具体的には印刷及び後処理により生成される消耗品の堆積を管理し、残滓の堆積状態からどの程度の残滓を回収することが可能であるかを算出(残滓の回収可能量を算出)する。残滓生成量予測部14は、受け付けた印刷ジョブの実行における残滓の生成量を予測する。
【0035】
ジョブ受付部12は、受け付けた印刷ジョブが予約ジョブの場合には、残滓状態管理部13が算出する残滓の回収可能量と残滓生成量予測部14が予測する残滓の生成量とを比較し、残滓の回収可能量が残滓の生成量を上回る場合には、受け付けた印刷ジョブを予約受付可と判断する。このとき、残滓状態管理部13は、予約受付可と判断された印刷ジョブで生成すると予測された分に相当する残滓の回収領域を予め確保(印刷ジョブで発生する残滓量に相当する残滓回収ユニットの領域を確保)し、残滓の回収可能量が予約ジョブで生成されると予測された量より少なくならないように管理する。
【0036】
情報通知部14は、予約ジョブの受付可否の判断結果や、残滓の処理が必要な場合に、その旨を画像形成装置の操作パネルへの通知を行う。
【0037】
情報記憶部16は、ジョブ情報記憶部17、装置情報記憶部18を含んでいる。ジョブ情報記憶部17は、受け付けたジョブ情報を記憶する。このジョブ情報には、出力サイズや部数、ステープルやパンチ等の仕上げ処理に関するパラメータが含まれている。装置情報記憶部18は、画像形成装置の構成や残滓回収ユニットの情報を記憶する。なお、残滓に関しては、回収可能量の他、回収できる最大量や予約されている量についても記憶されている。情報通知部15は、必要に応じて装置の操作を含む各種情報を通知するもの(表示部に表示する場合を含む)であり、ネットワークを介して端末装置と接続された場合には各種通信情報を端末装置との間で送受する。
【0038】
図3は、上述した画像形成装置が管理する残滓に関する情報テーブルのデータを例示したものである。この情報テーブルは、図2に示した機能構成上で情報記憶部16の装置情報記憶部18に記憶されるもので、装置の印刷及び後処理で生成される残滓の状況が管理されている。具体的に云えば、残滓として管理される項目のステープル切り屑、パンチ屑、断裁屑について、回収最大量、残滓堆積量、回収可能量、予約済み量等を含むものとなっている。なお、情報テーブルに蓄積されるデータは、印刷及び後処理が実行される毎、或いは残滓の処理が実施される毎に更新される。
【0039】
図4は、上述した画像形成装置の動作処理の一形態を示したフローチャートである。この動作処理は、受け付けた印刷ジョブで生成される残滓が1種類であるときに予約受付の可否を判断する場合のものである。
【0040】
この場合、画像形成装置は、予約指定の印刷ジョブを受け付けると、そのジョブ情報を解析(ステップS1)した後、解析したジョブ情報に基づいて受け付けた印刷ジョブの実行における残滓生成量を予測(ステップS2)する。続いて、受け付けた印刷ジョブの予約が可能であるか否かを判断するため、装置の残滓情報を参照し、印刷ジョブを受け付けた時点での残滓回収可能量を算出(ステップS3)した後、予測された残滓の生成量と残滓の回収可能量とを比較し、回収可能量≧生成量であるか否かの判定(ステップS4)を行う。なお、算出される残滓回収可能量は、別の印刷ジョブの予約において確保されている残滓の回収領域(残滓回収ユニットの領域)を考慮しているものとする。
【0041】
先の判定の結果、回収可能量が予測された残滓の生成量以上である場合には、予測された生成量分の残滓の回収領域を確保(ステップS5)し、残滓の回収可能量が受け付けた印刷ジョブの実行で生成されると予測された量より少なくならないようにしてから、印刷ジョブの予約受付可である旨をユーザに通知(ステップS6)する。
【0042】
一方、回収可能量が予測された残滓の生成量未満である場合には、印刷ジョブの予約受付不可である旨をユーザに通知(ステップS7)した後、満杯処理を必要とする旨も合わせて通知(ステップS8)する。
【0043】
図5は、上述した画像形成装置の動作処理の他形態を示したフローチャートである。この動作処理は、受け付けた印刷ジョブで生成される残滓が複数種類であるときに予約受付の可否を判断する場合のものである。
【0044】
この場合、画像形成装置は、予約指定の印刷ジョブを受け付けると、ジョブ情報を解析(ステップS11)する。このジョブ情報の解析において、受け付けた印刷ジョブの実行で何種類の残滓が発生するかを判断することができる。
【0045】
そこで、解析したジョブ情報に基づいて、受け付けた印刷ジョブの実行における残滓生成量を予測(ステップS12)した後、受け付けた印刷ジョブの予約が可能か否かを判断するため、装置の残滓情報を参照し、印刷ジョブを受け付けた時点での残滓回収可能量を算出(ステップS13)してから、予測された残滓の生成量と残滓の回収可能量とを比較し、回収可能量≧生成量であるか否かの判定(ステップS14)を行う。
【0046】
この判定の結果、回収可能量が予測された残滓の生成量以上である場合には、判断した残滓の種類と確保する残滓の回収領域を記憶(ステップS15)する。回収可能量が予測された残滓の生成量未満である場合には、判断した残滓について満杯処理が必要な残滓を記憶(ステップS16)する。何れの場合も、この後は全ての残滓の種類について判断が終了したかの判定(ステップS17)を行う。
【0047】
この判定の結果、確認する残滓が残っている場合には、残滓生成量を予測(ステップS12)する処理の前に戻るが、全ての残滓の種類について判断が終了した場合には、満杯処理が必要な残滓があるか否か、即ち、満杯処理の残滓なしか否かの判定(ステップS18)を行う。
【0048】
この判定の結果、満杯処理が必要な残滓がない場合には、全ての残滓について先の判断した残滓の種類と確保する残滓の回収領域を記憶(ステップS15)する処理で記憶しておいた予測された生成量分の残滓の回収領域を確保(ステップS19)し、残滓の回収可能量が受け付けた印刷ジョブの実行で生成されると予測された量より少なくならないようにしてから、印刷ジョブの予約受付可である旨をユーザに通知(ステップS20)する。
【0049】
一方、満杯処理が必要な残滓がある場合には、印刷ジョブの予約受付不可である旨をユーザに通知(ステップS21)した後、判断した残滓について満杯処理が必要な残滓を記憶(ステップS16)する処理で記憶しておいた全ての残滓について満杯処理を必要とする旨も合わせて通知(ステップS22)する。
【0050】
以上の実施例1に係る画像形成装置は、スタンドアロン形式のものとして説明したが、印刷ジョブを送信する端末装置と係る画像形成装置とをネットワークを介して接続した構成のシステム化された形態としても良い。
【0051】
図6は、上述した画像形成装置P1に対して3台の端末装置T1〜T3をネットワークNを介して接続してシステム化した構成を示す概略図である。ここで、画像形成装置P1は基本的に画像形成を実行するものであるが、これに対してネットワークNを介して接続された各端末装置T1〜T3は、画像形成を指示する機能を有する。なお、ここでネットワークNを介して接続する各装置の数は任意にすることが可能である。また、図6に示すネットワークNはバス型を例示しているが、その形式は限定されず、スター型やリング型、或いはその他の形態を適用しても良い。
【0052】
このシステム化された構成において、画像形成装置P1に備えられる情報通知部15は、装置の操作パネルとして働く他、印刷ジョブの指示を送信した端末装置T1〜T3へネットワークN経由で通知を行う。また、画像形成装置P1に備えられるジョブ情報記憶部17が記憶するジョブ情報には、ネットワークN経由で端末装置T1〜T3から印刷ジョブを受け付けた場合において、印刷ジョブを送信した端末装置T1〜T3の情報も含まれる。
【0053】
具体的に云えば、情報通知部15は、各端末装置T1〜T3から指示された印刷ジョブを受信すると、ジョブ受付部12が受け付ける印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を各端末装置T1〜T3の該当するものに通知する。また、情報通知部15は、ジョブ受付部12が受け付ける印刷ジョブの予約受付を否と判断したときに、堆積された残滓の満杯処理を促す旨を各端末装置T1〜T3の該当するものに通知する。
【0054】
なお、以上に説明した画像形成装置における動作処理(動作機能)は、予め用意されたそれらの処理情報を有するプログラムをコンピュータで実行する形態としても実現することができる。このようなプログラムは、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されるものである。また、係るプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 プロッタ装置
2、3 シート格納装置
4〜6 シート後処理装置
11 システム制御部
12 ジョブ受付部
13 残滓状態管理部
14 残滓生成量予測部
15 情報通知部
16 情報記憶部
17 ジョブ情報記憶部
18 装置情報記憶部
N ネットワーク
P1 画像形成装置
T1〜T3 端末装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2007−304651号公報
【特許文献2】特開2006−192810号公報
【特許文献3】特開2007−26455号公報(特許第4194616号)
【特許文献4】特開2008−123166号公報
【特許文献5】特開2008−221469号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブの予約を受け付けるジョブ受付手段と、後処理により生成された残滓を回収し、当該残滓の堆積状態を管理する残滓状態管理手段と、前記印刷ジョブが前記残滓を生成する量を予測する残滓生成量予測手段と、を備え、前記残滓状態管理手段は、前記残滓の堆積状態から当該残滓の回収可能量を算出し、前記残滓生成量予測手段は、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブでの前記残滓の生成量を予測し、前記ジョブ受付手段は、前記回収可能量と前記生成量とを比較して前記印刷ジョブの予約受付可否を判断し、前記残滓状態管理手段は、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブの予約受付を可と判断したときに、前記生成量の前記残滓を回収するための領域を確保することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を表示する表示手段を備え、前記表示手段は、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブの予約受付を否と判断したときに、堆積された前記残滓の満杯処理を促す旨を表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、前記残滓状態管理手段は、前記残滓について少なくとも1種類以上のものの堆積状態を管理し、回収可能量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、前記残滓生成量予測手段は、前記残滓について少なくとも1種類以上のものの生成量を予測することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、前記ジョブ受付手段は、前記残滓について少なくとも1種類以上のものを対象とし、前記残滓状態管理手段により算出された前記残滓の回収可能量と、前記残滓生成量予測手段により予測された前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブでの前記残滓の生成量とを比較して当該印刷ジョブの予約受付可否を判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置において、前記残滓状態管理手段は、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブの予約受付を可と判断したときに、前記残滓について少なくとも1種類以上のものを回収するための領域を確保することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1記載の画像形成装置において、ネットワークを介して接続された少なくとも1台以上の端末装置から指示された印刷ジョブを受信すると共に、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブの予約受付可否の判断結果を前記端末装置に通知する通知手段を備え、前記通知手段は、前記ジョブ受付手段が受け付ける前記印刷ジョブの予約受付を否と判断したときに、堆積された前記残滓の満杯処理を促す旨を前記端末装置に通知することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−214877(P2010−214877A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66543(P2009−66543)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】