説明

画像形成装置

【課題】節電効果をより高めること。
【解決手段】画像形成装置(1)は、ハブ(10)にネットワーク(N)接続され、ハブとの間でオートネゴシエーションを行う物理層部(91)と、物理層部からデータや信号を受信するメディアアクセス制御部(92)と、メディアアクセス制御部にシステムバスを介して接続され、画像形成に関する各種演算処理を行う処理部(93)と、処理部のクロックを制御するクロック制御部(94)と、を備え、処理部は、自身のクロックにより定まる処理速度がオートネゴシエーションにより決定されたハブと物理層部との間の通信速度よりも速いか否かを判断し、処理部が、処理速度の方が通信速度より速いと判断した場合に、クロック制御部は、処理速度が通信速度より遅くならないように処理部のクロックを下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー、ファックス等の機能を備えた複合機が知られている。複合機は、主に会社や学校に設置されており、複数のコンピュータにネットワーク接続されている。各コンピュータの使用者は、コンピュータで作成した書面等のデータをネットワーク回線により複合機に送信し、そのデータを受信した複合機は、メモリにデータを格納し、格納されたデータに基づいて紙等の記録媒体にその画像を定着させて出力する。
複合機は、電源がほぼ一日にわたってオンにされているため、消費電力が大きく、地球温暖化が大きな問題となっている今日においては、消費電力を下げることが望まれている。この問題を解決すべく、未使用時には省電力モードに切り替えることができる複合機がある。
また、省電力モード中において、更なる節電を図るため、通信速度がギガビットの機器に対するクロックを停止させたり、サポートしている通信速度のうち、最も遅い通信速度となる周波数のクロックを物理層部に与えたりしているものもある(例えば、特許文献1参照。)。これは、クロックの周波数を低く抑えることにより、通信に必要な電力も低く抑えることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−243533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において、クロックを下げているのは物理層部だけであるため、節電効果が得られるのは、物理層部とメディアアクセス制御部との間であり、大きな節電効果を得ることは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、より大きな節電効果を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、
ハブにネットワーク接続され、前記ハブとの間でオートネゴシエーションを行う物理層部と、
前記物理層部からデータや信号を受信するメディアアクセス制御部と、
前記メディアアクセス制御部にシステムバスを介して接続され、画像形成に関する各種演算処理を行う処理部と、
前記処理部のクロックを制御するクロック制御部と、を備え、
前記処理部は、自身のクロックにより定まる処理速度が前記オートネゴシエーションにより決定された前記ハブと前記物理層部との間の通信速度よりも速いか否かを判断し、
前記処理部が、前記処理速度の方が前記通信速度より速いと判断した場合に、前記クロック制御部は、前記処理速度が前記通信速度より遅くならないように前記処理部のクロックを下げることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記処理部は、前記システムバスのクロックと前記システムバスのバス幅により定まるバス通信速度が前記オートネゴシエーションにより決定された前記ハブと前記物理層部との間の通信速度よりも速いか否かを判断し、
前記処理部が、前記バス通信速度の方が前記通信速度より速いと判断した場合に、前記クロック制御部は、前記バス通信速度が前記通信速度より遅くならないように前記システムバスのクロックを下げることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記クロック制御部は、前記処理部のクロックが前記システムバスのクロックよりも高くなるようにそれぞれのクロックを下げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、オートネゴシエーションにより決定したハブと物理層部との間の通信速度でしかデータを受信できないため、処理部が通信速度以上の処理速度を有していても、実際には通信速度に合わせた処理速度でしかデータを処理することができない。そのため、処理部が、処理速度の方が通信速度より速いと判断した場合には、処理部のクロックを下げることにより、処理部にかかる電力を低減することができ、従来よりも大きな節電効果を得られる。ここで、クロック制御部は、処理速度が通信速度より遅くならないように処理部のクロックを下げるので、処理部によるデータの処理が追いつかないといった問題は発生しない。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、オートネゴシエーションにより決定したハブと物理層部との間の通信速度でしかデータを受信できないため、システムバスが通信速度以上のバス通信速度を有していても、実際には通信速度に合わせたバス通信速度でしかデータを送信することができない。そのため、処理部が、バス通信速度の方が通信速度より速いと判断した場合には、システムバスのクロックを下げることにより、システムバスにかかる電力を低減することができ、従来よりも大きな節電効果を得られる。ここで、クロック制御部は、バス通信速度が通信速度より遅くならないようにシステムバスのクロックを下げるので、システムバスの送信経路が渋滞するといった問題は発生しない。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、システムバスからのデータ転送速度の方が処理部の処理速度よりも速いことによって処理部がデータを処理しきれないという問題が発生しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の概略構成図。
【図2】画像形成装置の制御系についての概略構成を示すブロック図。
【図3】コントローラ部の制御系についての概略構成を示すブロック図。
【図4】PHYのステータスレジスタへの書き込みを示す図。
【図5】CPU及びシステムバスのクロック制御処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、画像形成装置について説明する。
<全体構成>
図1、図2に示すように、画像形成装置1は、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能を備えた複合機である。画像形成装置1は、本体部2と、本体部2にオプション接続された後処理部3と、を備えている。画像形成装置1は、ハブ(HUB)10を介してネットワークNに接続されている。
図1、図2に示すように、本体部2は、スキャナ部4と、自動原稿給紙部(ADF部:Auto Document Feeder)5と、操作表示部6と、プリンタ部7と、制御部8と、コントローラ部9と、を備えている。
本体部2には、給紙機構を有する3つの給紙トレイFT1〜FT3、及び大容量トレイユニットFT4が設けられており、各給紙トレイFT1〜FT4の近傍には給紙された用紙を検知する給紙センサが設けられている。これらの給紙トレイFT1〜FT4には、記録媒体として、それぞれ普通紙、裏紙、再生紙、上質紙、タブ紙等の種類及びサイズが異なる用紙が収容可能となっている。
本体部2は、ネットワークNを介して複数のユーザ端末Pに接続されている。すなわち、本体部2は、接続されたユーザ端末Pからデータ(画像形成のためのデータ)を受信し、受信したデータによりプリントする画像を形成する。
後処理部3は、本体部2から搬送された用紙に各種後処理を行う、いわゆるフィニッシャーである。例えば、本体部2から搬送された用紙のソート処理を行うソートユニット、パンチ処理を行うパンチユニット、折り処理を行う折りユニット、断裁処理を行う断裁ユニット、カッティング処理行うカッティングユニット等を備える。また、後処理部3には、搬送された用紙が排紙される排紙トレイET1、ET2が設けられている。
各給紙トレイFT1〜FT4に収納された用紙に画像形成する際には、用紙が各給紙トレイFT1〜FT4から引き出され、途中のローラを介してプリンタ部7に搬送される。プリンタ部7においては、本体部2の制御の下、指示された画像が用紙に形成され、その後、ローラを介して排紙トレイET1、ET2に排出される。
【0014】
<スキャナ部>
図2に示すように、スキャナ部4は、CCD等のイメージセンサ41と、スキャナ制御部42とを備えている。スキャナ制御部42は、制御部8からの制御信号に基づいて、スキャナ部4の各部の駆動を制御する。具体的には、コンタクトガラスに載置された原稿面の露光走査を実行させ、反射光をイメージセンサ41において結像させて画像を読み取る。そして、この結像された光信号を光電変換してアナログ画像信号を生成させ、制御部8に送信する。
【0015】
<ADF部>
図2に示すように、ADF部5は、制御部8からの制御信号に基づいて、ADF部5の制御を行うADF制御部51を備えている。ADF部5は、原稿トレイ(図示略)に載置された原稿をスキャナ部4のコンタクトガラス上に1枚ずつ自動給送する。
【0016】
<操作表示部>
図2に示すように、操作表示部6は、表示部61と、操作表示制御部62と、操作部63と、その他図示しない操作キー群とを備えている。
表示部61は、操作表示制御部62からの表示制御信号に従って、画面上に各種設定画面や画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。また、表示部61の画面上には、例えば透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネル等からなる操作部63が構成されており、手指やタッチペン等で操作された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として操作表示制御部62に出力する。
【0017】
<プリンタ部>
図2に示すように、プリンタ部7は、LD部(Laser Diode)71と、プリンタ制御部72とを備えている。プリンタ部7は、制御部8から入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する。ここで、ユーザ端末Pから画像データが画像形成装置1に送信されてきた場合には、後述するコントローラ部9から受信したデータに基づいて画像を形成する。すなわち、プリンタ部7は、画像形成手段として機能する。
LD部71は、LD、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部、及び定着部等を備えている。また、LD部71は、内部の搬送経路に従って用紙を搬送するための給紙ローラ、レジストローラ、排紙ローラをはじめとする各種ローラ、搬送路切換板、及び反転部等を備えている。LD部71の搬送部は、プリンタ制御部72からの制御に基づいて、当該ジョブで指定された用紙を給紙トレイFT1〜FT4の何れかから給紙して、給紙された用紙を搬送経路上に搬送する。LD部71の搬送経路上には、複数のセンサが設けられている。これらのセンサは、用紙が通過する際に検出信号を発生し、これをプリンタ制御部72に出力する。
プリンタ制御部72は、制御部8からの制御信号を受信して、LD部71の各部の動作を制御する。また、プリンタ制御部72は、搬送経路上に設けられたセンサからの検出信号に基づいて、ジョブ毎に給紙した用紙の枚数をカウントし、制御部8に出力する。
プリンタ部7では、プリンタ制御部72からの指示に基づいて、感光体ドラム表面を帯電部により帯電させ、制御部8から入力されたPWM信号に基づいてLDにより感光体ドラム表面にレーザ光を照射することにより静電潜像を形成する。そして、現像部において感光体ドラム表面の静電潜像を含む領域にトナーを付着させ、転写部により用紙にトナーを転写して画像を形成する。そして、転写された画像を定着部で定着させた後、画像形成済みの用紙を排紙ローラにより後処理部3へ搬送する。
【0018】
<制御部>
図2に示すように、制御部8は、CPU81、ROM82、RAM83、記憶部84等を備えている。制御部8は、ROM82に記憶されているシステムプログラムや画像形成処理プログラム、排紙処理プログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAM83に展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置1の各部の動作を集中制御する。記憶部84は、スキャナ部4又はコントローラ部9から入力された画像データを含むジョブのデータを一時的に記憶する。また、記憶部84は、操作表示部6を介するユーザの操作入力により設定される各種設定情報の表示に用いるために生成されるプレビュー画像に関する情報等を記憶する。
例えば、CPU81は、スキャナ部4又はコントローラ部9から入力されたデータ(画像情報)と、操作表示部6を介して入力された設定情報とに基づいてジョブを生成する。そして、このジョブを実行することで用紙に画像を形成する。
ここで、ジョブとは、画像形成に関する一連の動作を指し、例えば、複数枚の原稿をコピーする場合には、複数枚の原稿をコピーに関する一連の動作が1ジョブである。また、複数部数のコピーを行なう場合は、複数部数のコピーに関する一連の動作が1ジョブである。
他にも、CPU81は、画像データの圧縮処理や伸長処理を行い、画像データの送信等に関する処理を行う。
【0019】
<コントローラ部>
図3に示すように、コントローラ部9は、ネットワークNに接続されたユーザ端末Pからプリントするためのデータ(画像情報)を受信すると共に、そのデータを制御部8に送信する。
コントローラ部9は、物理層部としてのPHY91と、メディアアクセス制御部としてのMAC92と、処理部としてのCPU93と、クロック制御部94と、メモリ95等を備えている。
【0020】
(PHY)
PHY91は、ハブ10にネットワーク接続され、ハブ10との間でオートネゴシエーションを行う。オートネゴシエーションは、PHY91とハブ10との間における通信速度(10Mbps、100Mbps、1Gbps等)及び通信モード(全二重、半二重)を決定することであり、PHY91とハブ10の双方に対応する最も条件の良いものが決定される。通信速度であれば、1Gbpsが最も高速であるため最も条件が良く、10Mbpsが最も条件が悪いこととなる。通信モードであれば、全二重の方が半二重よりも条件が良い。
このように、PHY91がオートネゴシエーションを行うことにより、PHY91とハブ10との間の通信条件(具体的には、通信速度及び通信モード)が決まる。すなわち、コントローラ部9は、オートネゴシエーションで決まった通信条件でハブ10からデータを受信する。
【0021】
図3に示すように、PHY91の内部には、レジスタ部91aが備えられている。図3に示すように、レジスタ部91aには、フラグビットが集合したステータスレジスタ91bがあり、ここには、PHY91の通信に関する性能情報が格納されている。具体的には、図4に示すように、ステータスレジスタ91bには、PHY91が対応可能な通信の性能情報(例えば、(1)100BASE−T4、(2)100BASE−TX FULL Duplex、(3)100BASE−TX、(4)10BASE−T FULL Duplex、(5)10BASE−Tの5種類)に関する情報を書き込むビットを有している。ここで、「FULL Duplex」は、全二重を指し、これが記載されていないものは半二重である。
【0022】
PHY91がハブ10とオートネゴシエーションを行うことにより、ステータスレジスタ91bにある性能情報と共通する性能をハブ10が有していた場合、ステータスレジスタ91bのうち、PHY91とハブ10とで共通している性能情報に関するビットにフラグが立てられる。例えば、オートネゴシエーション開始前は、図4(a)に示すように、(1)0、(2)0、(3)0、(4)0、(5)0であり、ハブ10の性能が(5)10BASE−Tであるときは、(5)10BASE−Tに対応するビットのフラグが立てられ、図4(b)に示すように、(1)0、(2)0、(3)0、(4)0、(5)1となる。
【0023】
また、ハブ10の性能が(2)100BASE−TX FULL Duplexであるときは、(2)100BASE−TX FULL Duplexに対応するビットのフラグと、(2)100BASE−TX FULL Duplex以下の性能のビットのフラグが立てられ、図4(c)に示すように、(1)0、(2)1、(3)1、(4)1、(5)1となる。
PHY91は、オートネゴシエーションが終了したときに、終了した旨をCPU93に知らせる割り込み信号をCPU93に送信する。
【0024】
(MAC)
MAC92は、PHY91からデータや信号を受信すると共に、そのデータや信号をCPU93、メモリ95に送信する。MAC92は、システムバス96に接続されている。
MAC92は、PHY91と通信を行うインターフェイス部92aと、インターフェイス部92aに接続され、送受信するデータを格納すると共に、送受信の制御を行う通信制御部92bと、を備えている。
【0025】
インターフェイス部92aは、オートネゴシエーションを終えたPHY91から決定した通信速度を受信する。インターフェイス部92aは、受信した通信速度により定まるハブ10とPHY91間の通信速度がCPU93の処理速度よりも遅い場合に、CPU93に与えられるクロック(クロック周波数)を下げるように指示する信号をクロック制御部94に送信する。インターフェイス部92aは、読み取った通信速度により定まるハブ10とPHY91間の通信速度がシステムバス96の通信速度よりも遅い場合に、システムバス96に与えられるクロック(クロック周波数)を下げるように指示する信号をクロック制御部94に送信する。
インターフェイス部92aは、オートネゴシエーションにより決定される通信速度に応じて、クロック制御部94に対して行う指令信号を作成し、クロック制御部94に送信する。例えば、ハブ10とPHY91との間の通信速度が1Gbpsであれば、CPU93のクロックは200MHz、システムバス96のクロックは100MHzに設定するものとする。また、ハブ10とPHY91との間の通信速度が100Mbpsであれば、CPU93のクロックは100MHz、システムバス96のクロックは50MHzに設定するものとする。また、ハブ10とPHY91との間の通信速度が10Mbpsであれば、CPU93のクロックは50MHz、システムバス96のクロックは25MHzに設定するものとする。従って、指示信号は3通り作成すれば良く、2ビット分準備しておくだけでよい。
【0026】
通信制御部92bは、バッファとなるFIFO92cを備えている。FIFO92cには、PHY91から受信したデータを一定容量まで蓄え、一定容量に達したときに蓄えたデータを一気にメモリ95に送信する。
【0027】
(CPU)
CPU93は、メモリ95に記憶された画像形成に関する各種演算処理やデータ送信等の各制御を担う。CPU93は、システムバス96に接続されており、MAC92との間でデータのやり取りや指示が可能となっている。
CPU93は、自身のクロックにより定まる処理速度がオートネゴシエーションにより決定されたハブ10とPHY91との間の通信速度よりも速いか否かを判断する。具体的には、CPU93のクロックとバス幅により定まるデータ転送レートと、オートネゴシエーションにより決定されたデータ転送レートとを比較し、どちらのデータ転送レートが大きいかを判断する。この判断は、メモリ95に格納されたプログラムをCPU93が実行することにより行われる。
CPU93は、システムバス96のクロックとシステムバス96のバス幅により定まるバス通信速度がオートネゴシエーションにより決定されたハブ10とPHY91との間の通信速度よりも速いか否かを判断する。具体的には、システムバス96のクロックとバス幅から求まるデータ転送レート、オートネゴシエーションにより決定されたデータ転送レートとを比較し、どちらのデータ転送レートが大きいかを判断する。この判断は、メモリ95に格納されたプログラムをCPU93が実行することにより行われる。
【0028】
(クロック制御部)
クロック制御部94は、CPU93及びシステムバス96に接続され、CPU93及びシステムバス96のクロックを増減させることでCPU93及びシステムバス96のクロック周波数を制御する。
クロック制御部94は、CPU93による処理速度の方がPHY91とハブ10間の通信速度より速いと判断した場合に、CPU93による処理速度がPHY91とハブ10間の通信速度より遅くならないようにCPU93のクロックを下げる。具体的には、CPU93のクロックとバス幅により定まる処理速度と、ハブ10とPHY91との間のクロックとバス幅により定まる通信速度とを比較し、処理速度の方が速い場合には、少なくとも通信速度以上となるように処理速度を下げる。その際、バス幅は変わらないので、クロックを下げることにより処理速度を下げる。この処理は、メモリ95に格納されたプログラムをCPU93が実行することにより行われる。
クロック制御部94は、システムバス96のバス通信速度の方がPHY91とハブ10間の通信速度より速いと判断した場合に、システムバス96によるバス通信速度がPHY91とハブ10間の通信速度より遅くならないようにシステムバス96のクロックを下げる。具体的には、システムバス96のクロックとバス幅により定まるバス通信速度と、ハブ10とPHY91との間のクロックとバス幅により定まる通信速度とを比較し、バス通信速度の方が速い場合には、少なくとも通信速度以上となるようにバス通信速度を下げる。その際、バス幅は変わらないので、クロックを下げることによりバス通信速度を下げる。この処理は、メモリ95に格納されたプログラムをCPU93が実行することにより行われる。
【0029】
(メモリ)
メモリ91は、画像形成に用いるデータが格納される記憶手段として機能する。メモリ91には、CPU93による通信速度の判断に関するプログラム、クロック制御部94によるクロックの制御に関するプログラムが記憶されている。
【0030】
<CPU及びシステムバスのクロック制御方法>
図5を用いて、CPU及びシステムバスのクロック制御方法について説明する。前提として、コントローラ部9は、通信速度が1Gbpsまで対応しているものとする。
【0031】
図5に示すように、PHY91は、画像形成装置1の電源がONの状態であり、かつ、ハブ10と接続されたか否かを判断する(ステップS1)。この二つの条件を満たすならば、その順序は問わず、電源ONの後にハブ10とPHY91を接続しても良いし、ハブ10とPHY91の接続した後に電源をONにしてもよい。
ステップS1の二つの条件を満たすと、PHY91は、ハブ10との間でオートネゴシエーションを行い(ステップS2)、終了すると、通信条件(通信速度、通信モード)をPHY91のステータスレジスタ91bに書き込む(ステップS3)。ステータスレジスタ91bへの書き込みは、上述したように、該当するビットにフラグを立てることにより行う。
PHY91のステータスレジスタ91bへの書き込みが終了すると、PHY91は、CPU93に対して割り込み信号(通信条件が決定した旨の信号)を送信する(ステップS4)。
【0032】
PHY91から割り込み信号を受信したCPU93は、MAC92を介してPHY91のステータスレジスタ91bにアクセスし、通信条件を読み込む(ステップS5)。
次いで、CPU93は、読み込んだ通信速度が1Gbpsであるか否かを判断する(ステップS6)。
ステップS6において、CPU93は、通信速度が1Gbpsであると判断すると(ステップS6:YES)、MAC92のインターフェイス部92aは、通信速度が1GbpsのときのCPU93のクロックを200MHz、システムバス96のクロックを100MHzに設定する指示信号を作成する(ステップS7)。すなわち、MAC92のインターフェイス部92aは、クロックを維持するよう指示する信号を作成する。インターフェイス部92aは、指示信号の作成後、クロック制御部94に指示信号を送信する。
ステップS6において、CPU93は、通信速度が1Gbpsでないと判断すると(ステップS6:NO)、CPU93は、読み込んだ通信速度が100Mbpsであるか否かを判断する(ステップS8)。
【0033】
ステップS8において、CPU93は、通信速度が100Mbpsであると判断すると(ステップS8:YES)、MAC92のインターフェイス部92aは、通信速度が100MbpsのときのCPU93のクロックを100MHz、システムバス96のクロックを50MHzに設定する指示信号を作成する(ステップS9)。すなわち、MAC92のインターフェイス部92aは、クロックを下げるよう指示する信号を作成する。インターフェイス部92aは、指示信号の作成後、クロック制御部94に指示信号を送信する。
ステップS8において、CPU93は、通信速度が100Mbpsでないと判断すると(ステップS8:NO)、MAC92のインターフェイス部92aは、通信速度が10MbpsのときのCPU93のクロックを50MHz、システムバス96のクロックを25MHzに設定する指示信号を作成する(ステップS10)。すなわち、MAC92のインターフェイス部92aは、クロックを下げるよう指示する信号を作成する。インターフェイス部92aは、指示信号の作成後、クロック制御部94に指示信号を送信する。
【0034】
クロック制御部94は、MAC92のインターフェイス部92aからクロックの設定に関する指示信号を受信すると、その指示信号に基づいて設定したクロックとなるように、CPU93及びシステムバス96にクロックを出す(ステップS11)。
以上の処理により、ハブ10とPHY91との間で行ったオートネゴシエーションの結果によって、CPU93及びシステムバス96へのクロックを制御することができる。
【0035】
<作用効果>
以上のように、画像形成装置1によれば、オートネゴシエーションにより決定したハブ10とPHY91との間の通信速度でしかデータを受信できないため、CPU93が通信速度以上の処理速度を有していても、実際には通信速度に合わせた処理速度でしかデータを処理することができない。そのため、CPU93が、処理速度の方が通信速度より速いと判断した場合には、クロック制御部94がCPU93のクロックを下げることにより、CPU93にかかる電力を低減することができ、従来よりも大きな節電効果を得られる。ここで、クロック制御部94は、処理速度が通信速度より遅くならないようにCPU93のクロックを下げるので、CPU93によるデータの処理が追いつかないといった問題は発生しない。
【0036】
また、オートネゴシエーションにより決定したハブ10とPHY91との間の通信速度でしかデータを受信できないため、システムバス96が通信速度以上のバス通信速度を有していても、実際には通信速度に合わせたバス通信速度でしかデータを送信することができない。そのため、CPU93が、バス通信速度の方が通信速度より速いと判断した場合には、クロック制御部94がシステムバス96のクロックを下げることにより、システムバス96にかかる電力を低減することができ、従来よりも大きな節電効果を得られる。ここで、クロック制御部94は、バス通信速度が通信速度より遅くならないようにシステムバス96のクロックを下げるので、システムバス96の送信経路が渋滞するといった問題は発生しない。
【0037】
また、クロック制御部94は、CPU93のクロックがシステムバス96のクロックよりも高くなるようにそれぞれのクロックを下げるので、システムバス96からのデータ転送速度の方がCPU93の処理速度よりも速いことによってCPU93がデータを処理しきれないという問題が発生しなくなる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の本質的部分を変更しない範囲内で自由に設計変更が可能である。
クロックを制御する対象は、CPU93だけでもシステムバス96だけでも良い。ただし、CPU93のクロックを下げる場合には、システムバス96のクロックを下回らないようにすることが必要である。
また、クロック制御部94にクロックを下げる旨の信号を送信するのは、MAC92に限らず、CPU93自身でも良いし、PHY91であっても良い。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置
10 ハブ
91 PHY(物理層部)
92 MAC(メディアアクセス制御部)
93 CPU(処理部)
94 クロック制御部
96 システムバス
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブにネットワーク接続され、前記ハブとの間でオートネゴシエーションを行う物理層部と、
前記物理層部からデータや信号を受信するメディアアクセス制御部と、
前記メディアアクセス制御部にシステムバスを介して接続され、画像形成に関する各種演算処理を行う処理部と、
前記処理部のクロックを制御するクロック制御部と、を備え、
前記処理部は、自身のクロックにより定まる処理速度が前記オートネゴシエーションにより決定された前記ハブと前記物理層部との間の通信速度よりも速いか否かを判断し、
前記処理部が、前記処理速度の方が前記通信速度より速いと判断した場合に、前記クロック制御部は、前記処理速度が前記通信速度より遅くならないように前記処理部のクロックを下げることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記システムバスのクロックと前記システムバスのバス幅により定まるバス通信速度が前記オートネゴシエーションにより決定された前記ハブと前記物理層部との間の通信速度よりも速いか否かを判断し、
前記処理部が、前記バス通信速度の方が前記通信速度より速いと判断した場合に、前記クロック制御部は、前記バス通信速度が前記通信速度より遅くならないように前記システムバスのクロックを下げることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クロック制御部は、前記処理部のクロックが前記システムバスのクロックよりも高くなるようにそれぞれのクロックを下げることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−226295(P2010−226295A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69786(P2009−69786)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】