説明

画像形成装置

【課題】 認証エラーに伴う正規ジョブの不処理を防ぐとともに、認証エラー発生後の対応を円滑に行う。
【解決手段】 ジョブの正否を正規のユーザ情報が登録されたユーザ情報テーブル22にもとづき認証する認証部20と、所定の順序にもとづき上位ジョブを構成する複数の下位ジョブの読み取りを行う読み取り手段12と、認証部20が、前記読み取りによって取得した各下位ジョブのユーザ情報を、順次、ユーザ情報テーブル22と照合することによって、各下位ジョブについて認証を行う照合認証手段21と、非正規の認証が行われた際、その認証された下位ジョブの読み飛ばしを実行するとともに、次の下位ジョブ以降の読み取り及び認証を順次行う動作を実行させるジョブ処理制御手段42と、正規の認証が行われた下位ジョブの出力を行う出力部30と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証にもとづいてジョブ処理を制御する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタや複合機等の使用上のセキュリティを考慮し、不特定のホストコンピュータから受け取った印刷データに対して認証を行う、いわゆる認証機能を備えた画像形成装置の普及が進んでいる。
このような認証機能を備えた画像形成装置によれば、印刷データ(ジョブ)に含まれるユーザ情報を予め装置本体や外部に登録しているユーザ情報と照合し、照合が適切に一致したジョブについては出力を許可し、照合が不一致のジョブについてはエラーを表示するとともにそのジョブ処理を中断するようにしている。
そして、エラー発生後の所定操作にもとづき、ジョブの消去や、エラー表示の取り消しが行われるようになっている。
【0003】
しかしながら、このような画像形成装置においては、認証処理の弊害として次のような問題が生じていた。
例えば、ジョブ処理の過程で、複数のジョブ(以下、下位ジョブという。)を結合して一つのジョブ(以下、上位ジョブという。)として取り扱う場合がある。これは、複数の下位ジョブを統合し一つのジョブとして取り扱うことでデータ処理上の効率化を図るための内部処理であり、ユーザは通常知り得ない仕組みである。
したがって、このようなジョブを、上述した画像形成装置で処理する場合、下位ジョブの数に応じた複数のユーザ認証を必要とする。
ここで、従来、認証が得られない下位ジョブが一つでも含まれる場合、その下位ジョブを含む上位ジョブが正規なものと認められず、ジョブ全体の処理が中断されていた。
つまり、非正規なユーザのジョブの存在が、正規ユーザの他のジョブの処理に悪影響を及ぼす不合理が生じていた。
【0004】
このような問題に対し、特許文献1には、一つの印刷ジョブ中の特定の部分だけの印刷をキャンセルできるプリンタが開示されている。
また、特許文献2には、1ジョブマルチドキュメントに含まれる特定のドキュメントのキャンセルを容易に行うことができるジョブ処理装置が開示されている。
これらの技術によれば、非正規と認証されたジョブの部分だけをキャンセルすることができるため、上記の問題を解消できるようにも解釈し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−289076号公報
【特許文献2】特開平8−286895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に開示されている技術を利用して上述の問題に対応する場合、認証エラーが生じるキャンセル範囲(即ち、認証が得られなかった下位ジョブ)を人間が特定する必要がある。
このため、認証エラーの発生のたびに煩わしい操作が必要となり、不便、不正確、遅滞等のデメリットが生ずる。特に、タスク数やデータ量が多いジョブについてはこのような傾向が顕著に現れる。
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、正規なジョブが出力されない不合理を解消するとともに、認証エラー発生後の煩雑な処理やジョブ処理の遅滞を効果的に防ぐ画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、正規のユーザ情報が登録されたユーザ情報テーブルを保存し、対象となるジョブの正否をそのユーザ情報テーブルにもとづき認証する認証部と、所定の順序にもとづき、上位ジョブを構成する複数の下位ジョブの読み取りを行う読み取り手段と、前記認証部が、前記読み取りによって取得した各下位ジョブのユーザ情報を、順次、前記ユーザ情報テーブルと照合することによって、各下位ジョブについて正規か非正規かの認証を行う照合認証手段と、前記非正規の認証が行われた際、その非正規と認証された下位ジョブの読み飛ばしを実行するとともに、次の下位ジョブ以降の読み取り及び認証を順次行う動作をスキップモードとして実行させるジョブ処理制御手段と、前記正規の認証が行われた下位ジョブの出力を行う出力手段と、とを備えた構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、ジョブの認証エラー後のデータ処理を効率よく行い、迅速で安定したジョブ出力を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置に入力されるジョブの構成例を示したジョブ構成図である。
【図4】本実施形態に係るユーザ情報テーブルの例を示した図である。
【図5】本実施形態に係る操作表示パネルを示した第一の図である。
【図6】本実施形態に係る操作表示パネルを示した第二の図である。
【図7】本実施形態に係る操作表示パネルを示した第三の図である。
【図8】本実施形態に係るジョブ処理の動作手順を示した第一のフローチャートである。
【図9】本実施形態に係るジョブ処理の動作手順を示した第二のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1〜図9を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
また、図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の詳細な構成を示すブロック図である。
図1に示すとおり、本実施形態の画像形成装置1は、データ入力部10、認証部20、出力部30、制御部40、表示部50及び操作部60によって構成される。
【0012】
データ入力部10は、制御ボードを備えており、図2に示すように、入力手段11と読み取り手段12と、データ保持手段13とを有している。
入力手段11は、NIC(Network Interface Card)等の通信インタフェースであり、図示しないホストコンピュータ等から出力対象の印刷データ(ジョブ)を入力するための制御ボードを備える。
なお、本実施形態においては、図3に示すジョブ(上位ジョブ)を入力するものとする。
【0013】
読み取り手段12は、入力したジョブから認証に必要なデータを読み取る。
例えば、図3に示す上位ジョブからは、ジョブの小単位である下位ジョブ(下位ジョブA〜C)を読み取る。
また、読み取り手段12は、各下位ジョブの読み取りを所定の順序にしたがって行い、これに伴って各下位ジョブに付されたユーザ情報の読み取りを行う。
例えば、図3の場合、同図の矢印に示すように、下位ジョブA→下位ジョブB→下位ジョブCといった順で各下位ジョブの読み取りを行い、その後、ユーザ情報A→ユーザ情報B→ユーザ情報Cといった順で各ユーザ情報の読み取りを行う。
【0014】
データ保持手段13は、読み取り手段12が読み取った下位ジョブの実データやその関連データ(ユーザ情報、ジョブID等)を一時的に不揮発メモリ等に記憶する制御ボードを備える。なお、読み取ったユーザ情報は対応する下位ジョブのジョブIDに関連づけて記憶させておくことができる。
【0015】
認証部20は、制御ボードを備えており、図2に示すように、照合認証手段21とユーザ情報テーブル22とを有している。
照合認証手段21は、データ保持手段13からユーザ情報を取り出し、ユーザ情報テーブル22に予め登録されているユーザ情報群と照合を行う。
図3の場合、ユーザ情報の読み取りに応じ、ユーザ情報A→ユーザ情報B→ユーザ情報C、といった順番で照合を行う。
そして、照合認証手段21は、この照合の結果、対応するユーザ情報が、ユーザ情報テーブル22から検出された場合には、そのユーザ情報の下位ジョブは正規のものと認証する。
一方、照合認証手段21は、この照合の結果、対応するユーザ情報が、ユーザ情報テーブル22から検出されなかった場合には、そのユーザ情報の下位ジョブは非正規なものと認証する。
ここで、「対応する情報」とは、「出力が許可されているユーザのユーザ情報」という意味であり、例えば、ユーザ情報の同一性のみならず、出力制限のランクやクラスを認証の判定要素に加えても良い。
【0016】
ユーザ情報テーブル22は、ハードディスクやUSBメモリなどの記憶媒体に保存され、予め出力の許否を判定するためのユーザ情報を登録するための制御ボードを備える。
例えば、図4に示すように、出力を認めるユーザ(端末)のユーザ情報として、ユーザID、ユーザ名、IPアドレス等を登録しておくことができる。
また、同図に示すように、ユーザ情報テーブル22には、出力制限のランクを登録することができる。例えば、ランクAは、カラー出力やドキュメントボックス等、すべての機能の使用を許可し、ランクBは、モノクロ出力のみ許可し、ランクCは、出力を許可しない、といった設定をユーザ(端末)ごと、グループ(組織)ごとに登録することができる。このため、セキュリティポリシーに応じた柔軟な設定も可能である。
なお、ユーザ情報テーブル22は、画像形成装置1の内部の記憶媒体に格納しても良く(ローカル認証方式の場合)、また、ネットワークを介して接続される認証サーバの記憶装置に格納(ネットワーク認証方式の場合)しても良い。
【0017】
出力部30(本発明の出力手段)は、データ保持手段13から受け取ったジョブを所定形式にもとづいて画像出力処理を行う制御ボードを備える。具体的には、この制御ボードは、対象となるジョブに含まれる画像データをビットマップ化してイメージデータに変換する。また、出力部30は、ビットマップ化された画像をプリンタヘッドや感光ドラム上に現像し、さらに、給紙機構から提供されるプリンタ用紙等にトナー転写・定着させる処理を行う印刷エンジンを備える。
【0018】
制御部40は、制御ボードを備えており、図2に示すように、エラー処理設定手段41とジョブ処理制御手段42と、を有している。
エラー処理設定手段41は、予め、認証エラーが発生した場合の処理動作(モード)を予め設定しておくものである。
具体的には、操作部60を介したユーザ操作によって、「スキップモード」か「キャンセルモード」のいずれかを設定することができる。
【0019】
ジョブ処理制御手段42は、操作部60を介したモード設定に応じたデータ処理の制御を行う。
具体的には、ジョブ処理制御手段42は、「スキップモード」が設定されている状態において、ある下位ジョブについて認証エラーが発生すると、自動的にその下位ジョブの読み飛ばしを行い、その後の下位ジョブの読み取りと認証を順次行うよう、読み取り手段12及び照合認証手段21に命令を行う。
そして、ジョブ処理制御手段42は、「スキップモード」の動作中に、ある時点で読み取った下位ジョブが正規なものと認証された場合には、その下位ジョブの出力を出力部30に行わせる。
【0020】
ここで、ジョブ処理制御手段42は、係る認証エラー(表示)が取り消されるまで、正規の下位ジョブが検出されたとしても、その出力(印字処理)は行わないようにする。
これにより、ユーザに認証エラーを認識させつつ、正規なジョブを円滑に出力することができる。
また、認証エラー(表示)が取り消されていない状況においても、ジョブ処理制御手段42は、当該正規の下位ジョブ以降の下位ジョブについての読み取りや認証は行うようにする。すなわち、出力の準備段階で行われる一定の処理については前倒しで行うようにする。
このような制御を行うことにより、出力の前処理を予め実行させておくことができ、認証エラーの解除に応じ、迅速に出力することができる。
【0021】
一方、ジョブ処理制御手段42は、「キャンセルモード」が設定されている状態において、ある下位ジョブについて認証エラーが発生すると、それ以降、すべての下位ジョブの読み取り、認証及び出力を中止するよう、読み取り手段12に命令を行う。
そして、ジョブ処理制御手段42は、操作部60によってキャンセルが確定される操作(本発明のキャンセル操作)が行われるとデータ保持手段13からその下位ジョブを取り消す。
【0022】
表示部50は、液晶パネル等の表示デバイスを介してユーザに対し種々の情報提供を行う制御ボードを備える。
表示部50は、図2に示すように、エラー表示手段51を有している。
例えば、認証エラーが発生した場合には、図6や図7に示すようなエラー表示を行う。
これらの図に示すように、エラー表示には、その認証エラーの元となった下位ジョブのジョブIDを含めることができる。これにより、どのジョブが原因でエラーが発生したかをユーザは認識することができる。
【0023】
操作部60は、操作パネル等によって構成され、タッチキーやポインティングデバイス等の操作を行うことによって種々の情報を入力する制御ボードを備える。
例えば、認証エラー時のジョブ処理動作として2種類のモード選択操作が可能であり、図5に示す操作画面上で「Cancel」キーを選択すると「キャンセルモード」が設定され、また、「Skip」キーを選択すると「スキップモード」が設定される。
また、図6に示すように、キャンセルモードが設定されている状況において、認証エラーが発生した後に「Cancel」キーを選択することで、ジョブを消去し、キャンセル処理を確定することができる。
さらに、図7に示すように、スキップモードが設定されている状況において、認証エラーが発生した後に、「継続」キーを選択することで、エラー表示を取り消すとともに、中断(保留)している正規なジョブ出力を再開し、また、その後のジョブ処理(読み込み、認証及び出力)も継続させることができる。
【0024】
なお、データ入力部10、認証部20、出力部30、制御部40、表示部50及び操作部60にそれぞれ備えられている制御ボードは、CPU(Central Processing Unit)やチップセット等の制御要素、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。各制御ボードは、互いに連携し、画像形成装置1のコンピュータを形成する。CPUは、プログラムに記述された処理を実行する演算処理装置である。また、ROMは、プログラムおよびデータを予め記憶した不揮発性のメモリである。また、RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムおよびデータを一時的に記憶して、作業領域として用いるメモリである。
プログラムが実行されることにより、各制御ボードは、CPU内に上記の各手段を機能ブロックとして構成し、各部のハード要素をデータ入力部10、認証部20、出力部30、制御部40、表示部50及び操作部60として機能させる。
【0025】
次に、本実施形態に係るジョブ処理の動作手順について図面を参照しながら説明を行う。
図8及び図9は、本実施形態に係るジョブ処理の動作手順を示したフローチャートである。
【0026】
図8に示すように、まず、ジョブ処理に先立って、エラー処理設定手段41が、認証エラー時のモード設定を行う(S1)。
具体的には、操作部60を介した入力操作によって「スキップモード」、「キャンセルモード」のいずれかが選択され、エラー処理設定手段41が各モードに応じた設定を行う。
ここで、データ入力部10の入力手段11は、図示しないホストコンピュータ等から印刷データ(ジョブ)を入力する(S2)。
次いで、読み取り手段12は、ジョブ内の下位ジョブの読み取りを順次行う(S3)。
次に、読み取った下位ジョブからユーザ情報を取得する(S4)。取得したユーザ情報は、データ保持部13に記憶される。
【0027】
ここで、認証部20の照合認証部21は、各下位ジョブごとにユーザ情報の認証を行う(S5)。
具体的には、データ保持部13からユーザ情報を取り出し、ユーザ情報テーブル22の登録情報と照合する。そして、照合認証部21は、対応する情報がユーザ情報テーブル22から見つかれば正規なジョブと判定し、それ以外の場合は非正規な下位ジョブと判定する。
この結果、正規な下位ジョブと判定された場合(S5:正)、その下位ジョブの出力を実行する(S6)。
続いて、次の下位ジョブの有無を判定する(S7)。例えば、読み取り手段12が、特定のターミネータやポートにおけるセッションの切断を検知した場合には、次の下位ジョブはないと判定することができる。
ここで、次の下位ジョブがあると判定された場合(S7:有)、S4に戻る。
一方、次の下位ジョブがないと判定された場合(S7:無)、そのジョブ(上位ジョブ)の処理は終了する。
つまり、1の上位ジョブの中に非正規な下位ジョブが含まれていなければ、一連の下位ジョブが続けて出力される。
【0028】
ステップS5において、非正規な下位ジョブと判定された場合(S5:非)、ジョブ処理制御手段42は、エラー発生時の動作モードを確認する(S8)。
具体的には、S1で設定したモードを確認するものであり、スキップモードかキャンセルモードかを確認する。
【0029】
ステップS9において、キャンセルモードの設定が確認された場合(S9:キャンセル)、エラー表示手段51は、図6に示すようなエラー表示を行う(S9)。
次に、制御部40は、操作部60を介したユーザによるキャンセル操作を待つ(S10)。
そして、操作部60からのキャンセル操作を確認すると(S11)、そのジョブの消去を行う(S12)。
【0030】
一方、ステップS9において、スキップモードの設定が確認された場合(S9:スキップ)、図9のステップS13に移行し、エラー表示手段51は、図7に示すようなエラー表示を行う(S13)。
続いて、読み取り手段12は、次の下位ジョブの有無を判定する(S14)。
ここで、次の下位ジョブが有ると判定された場合(S14:有)、ジョブ処理制御手段42は、S5(又は後のS16)で非正規と判定された下位ジョブの読み飛ばしを行い、データ入力部10の読み取り手段12は、次の新たな下位ジョブのユーザ情報を取得する(S15)。取得したユーザ情報は、データ保持部13に記憶する。
【0031】
次に、認証部20の照合認証部21は、取得したユーザ情報の認証を行う(S16)。
この結果、正規な下位ジョブと判定された場合(S16:正)、前のエラーが表示されているか否かを確認する(S17)。
ここで、前のエラー表示が有る場合(S17:有)、続いて、そのエラーの解除の有無を確認する(S18)。
S17において前のエラーの表示が無い場合(S17:無)、又は、S18において前のエラーが解除されている場合(S18:有)、出力部30は、該当する下位ジョブの出力を実行する(S19)。
一方、S18において、前のエラーが解除されていない場合(S18:無)、その出力は一時的に保留される(S20)。
【0032】
S16において、非正規な下位ジョブと判定された場合(S16:非)、前のエラーが表示されているか否かを確認する(S21)。
ここで、前のエラー表示が有る場合(S21:有)、続いて、そのエラーの解除の有無を確認する(S22)。
S22において前のエラーが解除されている場合(S22:有)、エラー表示手段51は、図7にしめすようなエラー表示を行う(S23)。ただし、ここで表示される、エラーの原因とされるジョブIDは前のジョブIDとは異なる。
S21において前のエラー表示が無い場合(S21:無)、又は、S22において前のエラーが解除されていない場合(S22:無)、S14に進む。
【0033】
ステップS14において、次の下位ジョブが無いと判定された場合(S14:無)、前のエラーが表示されているか否かを確認する(S23)。
ここで、前のエラー表示が有る場合(S23:有)、続いて、そのエラーの解除の有無を確認する(S24)。
S24において前のエラーが解除されている場合(S24:有)、出力部30は、該当する下位ジョブの出力を実行する(S25)。
一方、S23において前のエラー表示が無い場合(S23:無)、一連のジョブ処理は終了する。
【0034】
つまり、スキップモードにおいては、認証エラー(表示)が取り消されるまで、正規の下位ジョブが検出されたとしても、その出力(印字処理)は行わないようにしつつも、その正規の下位ジョブ以降の下位ジョブについての読み取りや認証を含めた出力前の一定処理は行うようにする。
【0035】
以上、本実施形態の画像形成装置1によれば、予め設定したスキップモード又はキャンセルモードに応じて、認証エラー発生時のジョブ処理を制御することができる。
スキップモードでは、制御部40のジョブ処理制御手段42は、下位ジョブごとに認証を行い、非正規と認証された下位ジョブの読み飛ばしを行うようにしている。
このため、認証エラーが発生した場合でも、その後のジョブ処理を進めることができる。
【0036】
また、スキップモードでは、非正規と認証された下位ジョブが検出された場合には、エラー表示手段51がエラー表示を行うとともに、その後に検知された正規の下位ジョブを出力するには、そのエラーの取り消しを条件としている。ただし、エラー取り消しが実行されたか否かに拘わらず、以降のジョブの読み取りや認証などの出力前の一定処理については実行するようにしている。
このため、認証エラーに対するユーザの不認識を回避しつつ、ジョブ処理を円滑に進めることができる。
【0037】
また、キャンセルモードでは、制御部40のジョブ処理制御手段42は、下位ジョブごとに認証を行い、非正規と認証された後のジョブ処理を停止するようにしている。
そして、所定のキャンセル操作によってジョブを消去させることができる。
【0038】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1によれば、特に、スキップモードの設定によって、正規なジョブが出力されない不合理を回避しつつ、ユーザに対する認証エラーの認識も確保するようにしている。
また、非正規なジョブの読み飛ばしを効果的にかつ自動的に行うことにより、ジョブ処理の迅速化を図ることができる。
このため、合理的なジョブ処理にもとづく円滑な出力を可能としつつ、利便性、信頼性、操作正、柔軟性に優れた画像形成装置1を実現することができる。
【0039】
ここで、上述したように本実施形態の画像形成装置は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される機能によって実現される。プログラムは、本発明の画像形成装置(コンピュータ)の各構成要素(データ入力部、認証部、出力部、制御部、表示部、操作部)に指令を送り、上記のような所定の処理を行わせる。すなわち、本実施形態の画像形成装置1における各機能は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムが画像形成装置(コンピュータ)にインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0040】
以上、本発明の画像形成装置1について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置1は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態に係るスキップモードの動作において、正規の下位ジョブを検出した時点で、その下位ジョブをすぐに出力させることによって、出力時間の更なる短縮化を図ることもできる。
また、上記実施形態では、各構成部の制御ボードが互いに連携して画像形成装置のコンピュータを構成するものとしたが、画像形成装置1の例えば制御部40に主制御ボードを備えて、この主制御ボードによりコンピュータを構成し、各ハード要素を制御しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、認証機能を有する画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
10 データ入力部
12 読み取り手段
20 認証部
21 照合認証手段
22 ユーザ情報テーブル
30 出力部
40 制御部
41 エラー処理設定手段
42 ジョブ処理制御手段
50 表示部
51 エラー表示手段
60 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規のユーザ情報が登録されたユーザ情報テーブルを保存し、対象となるジョブの正否をそのユーザ情報テーブルにもとづき認証する認証部と、
所定の順序にもとづき、上位ジョブを構成する複数の下位ジョブの読み取りを行う読み取り手段と、
前記認証部が、前記読み取りによって取得した各下位ジョブのユーザ情報を、順次、前記ユーザ情報テーブルと照合することによって、各下位ジョブについて正規か非正規かの認証を行う照合認証手段と、
前記非正規の認証が行われた際、その非正規と認証された下位ジョブの読み飛ばしを実行するとともに、次の下位ジョブ以降の読み取り及び認証を順次行う動作をスキップモードとして実行させるジョブ処理制御手段と、
前記正規の認証が行われた下位ジョブの出力を行う出力手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項2】
前記非正規の認証が行われた際に、所定のエラー表示を行うエラー表示手段を備え、
前記エラー表示手段は、所定操作に応じ、そのエラー表示を取り消す請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ処理制御手段は、
前記非正規の認証が行われた後の認証において正規の認証が行われた場合には、前記非正規の認証に関するエラー表示が取り消されるまで、前記正規の認証が行われた下位ジョブの出力を保留する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ処理制御手段は、
前記非正規の認証が行われた後の認証において正規の認証が行われた場合には、前記エラー表示が取り消されない場合においても、その正規の認証が行われた当該下位ジョブ以降の読み取り及び認証を実行させる請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブ処理制御手段は、
前記非正規の認証が行われた後のすべての下位ジョブの読み取り、認証及び出力を中止する動作をキャンセルモードとして実行させる請求項1乃至4のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ジョブ処理制御手段は、
所定のキャンセル操作に応じて前記中止された下位ジョブ以降のすべての下位ジョブを消去する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記認証手段によって非正規の認証が行われた際の動作として、前記スキップモード又は前記キャンセルモードの設定を行うエラー処理設定手段を備え、
前記ジョブ処理制御手段は、
前記エラー処理設定手段によって設定された前記いずれかのモードにしたがってジョブ処理の制御を行う請求項1又は6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−253894(P2010−253894A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109691(P2009−109691)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】