説明

画像形成装置

【課題】簡単な構造で、シワを発生することなくシートを反転搬送することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送ガイド2により複数の排紙コロ5を、搬送ガイド2に対し、搬送ガイド2の幅方向の中央を中心に、排紙コロ5の中央側をシート排出方向に向かって対称的に傾斜した状態で保持する。そして、複数の排紙コロ5を、排紙ローラ3の正逆転に伴って軸方向に所定距離移動するように保持し、排紙ローラ3が逆回転する際には、複数の排紙コロ5を中央から側端側に向かう移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にトナー像が形成されたシートを排出する正逆転可能なシート排出ローラを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びそれらの複合機等の画像形成装置において、画像形成部により形成されたトナー像をシートに定着させた後、シートを排紙ローラと排紙コロとにより構成される排紙ローラ対により排出するようにしたものがある。さらに、トナー像が定着されたシートを再度、画像形成部に搬送してシートの両面に画像形成するようにしたものがある。
【0003】
このような画像形成装置では、シートに画像を形成する場合は、まず画像形成部に設けられた感光体ドラムの表面に静電潜像を形成した後、静電潜像をトナーによって現像することにより、感光体ドラム表面にトナー画像を形成する。次に、トナー画像をシート上に転写し、この後、シートを定着部において加熱及び加圧することによりトナー画像をシートに定着し、トナー像が定着されたシートを排紙ローラ対によってシート積載部に排出する。また、シートの両面に画像形成する場合は、排紙ローラ対を正回転させることにより、シートの一部を装置本体外に排出した後、排紙ローラ対を逆回転させることにより、シートを再搬送通路に搬送するようにしている。
【0004】
ところで、近年、画像形成装置は、高速化、カラー化及び装置の小型化が進められてきており、このような従来の画像形成装置の一例として、カラープリンタがある。ここで、このようなカラープリンタにおいて、排紙ローラ対が、定着部において加熱及び加圧され、非常に高温となっているシートを挟持すると、排紙コロ表面に高温のトナーが付着してしまう。そして、このようにトナーが付着すると、付着したトナーが次に排出されるシートにコロ痕として付着し、次のシートの画像品位が著しく低下する場合がある。
【0005】
なお、従来は、このようなコロ痕が生じないように、トナー像表面と圧接する排紙コロの材質として、フッ素樹脂などの耐トナー融着性の材質を採用している。しかし、画像形成装置の小型化と高速化がさらに進むと、排紙コロの表面の耐トナー融着性を高めるというだけでは、コロ痕の発生を抑えることができない。そこで、コロ痕の発生を抑える対策として、排紙ローラに圧接する複数の排紙コロを、シートのシート搬送方向と直交する幅方向の中央を中心として、対称的にシートの搬送方向に対して傾斜させるようにしたものがある。そして、このように排紙コロを傾斜させることにより、排紙コロ表面にシートの先端部分のトナーが付着した場合でも、この排紙コロ表面に付着したトナーをシートの後端部分により削り取ることができる。
【0006】
ところが、このように排紙コロを傾斜させた場合、シートの両面に画像形成する際、シートを再搬送通路に搬送するように排紙ローラ対を逆回転させてシートを反転させると、シートを中央に寄せる力が作用する。このため、ニップを抜けたシートは波打ち形状となり、結果として再搬送通路へ到ったシートにシワが寄ってしまうという問題が生じていた。そこで、従来は、排紙コロを保持する軸受部材を本体側に揺動自在に取り付けるようにしている。そして、傾斜した排紙コロにより、シート搬送方向に対して傾斜する方向の搬送力をシートに加えると共に、軸受部材の揺動により排紙コロの傾斜方向を、正転搬送時と反転搬送時ではシート搬送方向に対して逆向きにするように構成にしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−232443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような従来の画像形成装置において、排紙コロは、ばね等の付勢部材により排紙ローラに圧接しているが、排紙コロの傾斜方向を変更する際には、排紙コロを排紙ローラに圧接した状態で移動させる必要がある。このため、既述したように排紙コロを保持する軸受部材を本体側に揺動自在に取り付けるようにしている。しかし、この場合、排紙コロの傾斜角度は複数部品の組み合わせにより決められるため、構造が複雑になると共に、傾斜角度の精度を確保するのが困難であり、結果として反転搬送時にシートが斜行し易く、シワが発生し易いという問題がある。
【0009】
なお、既述した特許文献1の構成の場合、反転搬送時のシート斜行を、揺動しない構成の2個の排紙コロを追加して設けた上で、この2個の追加された排紙コロのシートに対する押圧力を、搬送するために必要な力を大きく超えるものにして解決している。しかしながら、このように構成した場合、部品点数が増加すると共に、シートに対する押圧力が大きくなり、シートに排紙コロの痕を残り、画質が低下する。
【0010】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、シワを発生することなくシートを反転搬送することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、トナー像を形成する画像形成部と、前記トナー像が形成されたシートを排出する正逆転可能なシート排出ローラを有するシート排出部と、を備えた画像形成装置において、前記シート排出ローラに圧接する複数の回転体と、前記複数の回転体を、シート排出方向と直交する幅方向の中央を中心に、前記複数の回転体の中央側をシート排出方向に向かって対称的に傾斜させて軸支する軸支部と、を備え、前記複数の回転体を、前記シート排出ローラの正逆転に伴って軸方向に所定距離移動するように保持し、前記シート排出ローラが逆回転する際には、前記複数の回転体を中央から側端側に向かう方向に移動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、傾斜した複数の回転体を軸方向に所定距離移動するように保持し、シート排出ローラが逆回転する際には、中央から側端側に向かう方向に移動させることにより、簡単な構造で、シワを発生することなくシートを反転搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記カラーレーザプリンタの定着排出部の構成を説明する図。
【図3】上記定着排出部の排紙ローラに圧接する排紙コロの構成を説明する図。
【図4】上記排紙コロのシート排出時の状態を説明する図。
【図5】上記排紙コロの反転搬送時の状態を説明する図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の定着排出部に設けられた排紙コロの構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図である。図1において、20はカラーレーザプリンタ、21はカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。そして、この装置本体であるプリンタ本体21の内部には、画像を形成する画像形成部22、シート給送部23、シート排出部である定着排出部24等が設けられている。
【0015】
画像形成部22は、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色分、並設された4つの画像形成ユニットであるプリンタ本体21に対して着脱自在なプロセスカートリッジ25(25Y,25M,25C,25K)を備えている。また、プロセスカートリッジ25の上方に配されたスキャナ部28、プロセスカートリッジ25の下方に配され、矢印方向に走行する無端状の中間転写体である中間転写ベルト27aを備えた中間転写ベルトユニット27等を備えている。なお、各プロセスカートリッジ25は、それぞれ感光体ドラム26(26Y,26M,26C,26K)と、不図示の帯電ローラ、現像ユニット等を備えている。ここで、像担持体である感光体ドラム26は、不図示の駆動モータにより画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転するようになっており、スキャナ部28による露光により表面に静電潜像が形成されるようになっている。
【0016】
一方、中間転写ベルト27aは、上方に並設されたプロセスカートリッジ25の各感光体ドラム26に接触すると共に駆動ローラ27b、テンションローラ27c等により張設されている。そして、カラー画像形成時には、駆動ローラ27bの時計周り方向への回転に伴って回転し、感光体ドラム26に形成されている各色トナー像が転写されるようになっている。さらに、この中間転写ベルト27a上の各色トナー像は、駆動ローラ27b及び2次転写ローラ28により構成される2次転写部によってシートPが挟持搬送される際、シートPに転写されるようになっている。
【0017】
定着排出部24は、定着部7と、排紙ローラ3及び排紙ローラ3に圧接する排紙コロ5を備えた排紙部13とを備えている。ここで、定着部7は、2次転写部において転写されたトナー像をシートPに定着させるものであり、転写されたトナー像を保持したシートPに、熱及び圧力が加えることにより、トナー像をシート表面に定着させる。また、シート給送部23は、シートPを収納する給紙カセット23aと、給紙カセット23aに収納されたシートPを送り出す給紙ローラ23bとを備えている。なお、本カラーレーザプリンタ20は、トナー像が定着されたシートを再度、画像形成部22に搬送してシートの表裏両面に画像を形成する機能を有している。このため、トナー像が定着されたシートを再度、画像形成部22に搬送するための再搬送通路8を備えている。
【0018】
ここで、このように構成されたカラーレーザプリンタ20において、シートPにカラー画像を形成する場合は、まずスキャナ部28により感光体ドラム26に対して露光を行い、感光体ドラム表面に静電潜像を形成する。次に、この静電潜像を不図示の現像ユニットにより、マゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの各色トナーによって現像して感光体ドラム上にトナー像を形成する。この後、トナー像が感光体ドラム26の回転に伴って感光体ドラム26と中間転写ベルト27aとが当接する転写部位に到来すると、不図示の1次転写ローラに1次転写バイアスを印加する。これにより、感光体ドラム上のトナー像が時計周り方向に回転している中間転写ベルト27aへ1次転写される。なお、感光体ドラム上のトナー像は、中間転写ベルト27aの回転に伴いマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの順で順次中間転写ベルト27a上に転写され、これにより中間転写ベルト27a上にカラー可視画像が形成される。
【0019】
また、このようなカラー可視画像形成動作に伴い、給紙ローラ23bにより給紙カセット23aからシートPが送り出され、シートPはレジストローラ29に搬送される。そして、この後、レジストローラ29は、所定距離だけシートPを搬送した後、一旦停止すると共に中間転写ベルト27a上に形成されたカラー画像の画像に合わせて回転を始める。これにより、一旦停止したシートPは斜行が補正された後、2次転写部に達し、2次転写ローラ28に印加される転写バイアスによってカラー可視画像が2次転写される。
【0020】
次に、カラー可視画像が2次転写された後、シートPは2次転写部から定着排出部24の定着部7に搬送され、この定着部7を通過する際、加熱及び加圧されることによってカラー可視画像が定着される。さらに、トナー像が定着されたシートPは、この後、排出部13に設けられた正逆転可能な排紙ローラ3により排紙トレイ30に排出される。なお、シートPの両面に画像を形成する場合には、まず排紙ローラ3を正回転させることにより、シートPの一部をプリンタ本体外に排出させる。この後、シートPが定着部7を抜け、シート後端がフラッパ6を抜けたところで、図2に示すようにフラッパ6を、矢印A方向に移動させると共に、排紙ローラ3を逆回転させる。
【0021】
これにより、片面に画像が形成されたシートPは、2点鎖線で示す再搬送通路8に進入し、やがて再搬送通路8に設けられた再搬送ローラ対9,31,32、レジストローラ29を経て、2次転写部へ搬送され、2次転写部において裏面に画像が転写される。なお、このように裏面に画像が転写された後、シートPは定着排出部24へと搬送されて定着を受け、排出部13により排出トレイ30上に排出積載される。
【0022】
図3は、排紙ローラ3に圧接する複数の回転体である排紙コロ5の構成を説明する図であり、図3において、2点鎖線は、排紙コロ5の、シート排出ローラである排紙ローラ3と圧接するニップ線を結ぶ線である。また、図3において、2は排紙コロ5を回転可能に軸支する軸支部である搬送ガイドである。この搬送ガイド2のシート搬送方向と直交する幅方向の両側端部には、それぞれ排紙コロ5を回転可能に軸支する支持部である軸受け部2aが設けられている。
【0023】
ここで、この軸受け部2aは排紙コロ5を、保持した搬送ガイド2に対し、搬送ガイド2の幅方向の中央を中心に、排紙コロ5の中央側をシート排出方向に向かって対称的に傾斜した状態となるように保持している。なお、軸受け部2aには排紙コロ5を排紙ローラ3に圧接させるための不図示のバネが組み込まれており、このバネにより、排紙ローラ3を組み付けた際、排紙コロ5と排紙ローラ3との間に所定の当接圧が発生する構成となっている。さらに、この軸受け部2aには、図4に示すように、排紙コロ5のコロ本体5aが挿入される挿入部2bと、排紙コロ5のコロ軸5bを回転自在に保持すると共に、コロ軸5bが挿入される軸受け溝2cが形成されている。そして、この挿入部2bにコロ本体5aを、軸受け溝2cにコロ軸5bを、それぞれ挿入することにより、排紙コロ5は、回転可能に軸受け部2aを介して搬送ガイド2に支持される。
【0024】
なお、本実施の形態において、軸受け部2aの挿入部2bの軸方向の長さは、コロ本体5aの軸方向の長さWに対し、所定距離Xsだけ長くなっている。また、軸受け溝2cの奥行き寸法もコロ軸5bの先端との間に、少なくともXsより広い隙間を形成する寸法となっている。これにより排紙コロ5は、軸受け部内で軸方向に往復移動可能に保持されるようになる。言い換えれば、排紙コロ5は、軸方向に所定距離であるXsだけ往復移動可能となる。なお、図4において、Yは排紙ローラ3により搬送されるシートPのシート搬送距離、θは排紙コロ5のシート搬送方向(シート排出方向)に対する傾斜角度を示している。
【0025】
ところで、図3及び図4は、シートを排出する場合の排紙コロ5の状態(位置)を示している。シートを排出する場合は、シートが排紙ローラ3に到達する時点では排紙コロ5は、排紙ローラ3の回転に伴いコロ本体5aが挿入部2bの中央側の、排紙コロ5の移動を規制する第1規制部を構成する内側壁10に当接する位置に移動している。これにより、排紙コロ5のシートの側端側からシートの中央に向かう第1の軸方向の移動が規制される。そして、この状態のとき排紙コロ5は第1の軸方向移動することないため、シートに対し、矢印Aで示すシート搬送方向(シート排出方向)に対して傾斜した方向に力を加えるようになる。この結果、排紙コロ5へのトナーの溶着(付着)を抑制することが可能になる。
【0026】
一方、図5は、両面形成時、排紙ローラ3が反転搬送方向に回転(逆回転)したときの排紙コロ5の状態(位置)を示している。排紙ローラ3が反転搬送方向に回転した場合、シートは矢印Bで示す方向に反転搬送され、このとき排紙コロ5には、矢印Cで示すシートの中央からシートの側端側に向かう第2の軸方向に力が加わる。
【0027】
排紙ローラ3が反転搬送方向に回転を開始する前には、図4に示すように排紙コロ5のコロ本体5aと、挿入部2bの外側の、排紙コロ5の第2の軸方向の移動を規制する第2規制部を構成する内側壁11の間にはXsだけの隙間が形成されている。このため、排紙ローラ3が反転搬送方向に回転すると、排紙ローラ3により反転搬送されるシートと共に、排紙コロ5も回転しながら、図5の矢印Cに示す第2の軸方向に移動する。なお、本実施の形態において、排紙コロ5の軸方向の摩擦力よりも、排出ローラ3の正回転時及び逆回転によって排紙コロ5に発生する軸方向の力の方が大きくなっており、これにより排出ローラ3が回転すると、排紙コロ5は第1又は第2の軸方向に移動する。
【0028】
そして、このようにシートを反転搬送する際、シートと共に排紙コロ5が回転しながら第2の軸方向に移動することにより、シートPに対して加わる傾斜方向の力、すなわちシートPを中央に寄せる方向の力が抑制される。これにより、反転時にシートPを中央に寄せる力を抑制することが可能になる。なお、本実施の形態においては、シートを排出する場合は、シートが達する前に、排紙コロ5を図4に示す挿入部2bの外側の内側壁11に当接する位置から、中央側の内側壁10に当接する位置まで移動させるようにしている。そして、この状態でシートPを搬送させるようにしている。また、両面形成時には、シートPと共に、排紙コロ5を中央側の内側壁10から図5に示すように挿入部2bの外側の内側壁11に当接するまで移動させながらシートPを搬送させるようにしている。
【0029】
ここで、シートを排出する際、斜行させることなくシートを排出するためには、シートが排紙ローラ3に達する前に、排紙コロ5を中央側の内側壁10に当接する位置まで移動させるようにすることが好ましい。また、両面形成時には、シートを反転方向下流側の再搬送ローラ9(図1参照)に達するまでは、シートPを中央に寄せる方向の力を抑制することができるように、排紙コロ5が第2の軸方向に移動するようにすることが好ましい。
【0030】
このため、本実施の形態においては、排紙コロ5を往復移動させる所定距離を、下記の式(1)及び(2)で表される距離Xsの少なくとも一方としている。
Xs=2Yrsinθ・・・・(1)
【0031】
なお、この式(1)は、シートが達する前に排紙ローラ3が、所定回数正回転例えば、2回転したとき、排紙コロ5が内側の内側壁10に当接することができる距離Xsを示している。また、この式(1)において、Yrは排出ローラ3が1回転することによりシートが搬送される距離を示している。
Xs=Ydsinθ・・・・・(2)
【0032】
また、この式(2)は、反転方向下流側の再搬送ローラ9にシートが到達するまでは、排紙コロ5が第2の軸方向へ移動し続けることができる距離Xsを示している。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態においては、傾斜した複数の排紙コロ5を軸方向に所定距離移動可能に保持し、シートを排出する際には第1の軸方向に移動させ、シートを再搬送通路8に搬送する際には、第2の軸方向に移動させるようにしている。これにより、シートを反転搬送する際、斜行を規制するための排紙コロを追加することなくシートPに加わるシートPを中央に寄せる傾斜方向の力を抑制することができ、簡単な構造で、シワを発生させることなくシートを反転搬送することができる。この結果、低コストで、シワを発生させることなくシートを反転搬送することができ、またコロ痕のない高画質のシートを形成できるカラーレーザプリンタ(画像形成装置)を提供することができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態に係る画像形成装置の定着排出部に設けられた排紙コロの構成を説明する図である。なお、図6において、既述した図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0035】
図6において、16、17は第1及び第2排紙コロであり、対称的に配された第1及び第2排紙コロ16,17のうちの中央を境にして一方の側の第1排紙コロ16の軸方向の移動量は、他方側の第2排紙コロ17の軸方向の移動量に比べて短くなっている。つまり、本実施の形態においては、2つの排紙コロ16,17の軸方向への移動距離(所定距離)Xl、Xrを左右個別に設定している。また、14は、移動距離が長い方の第2排紙コロ17の側方に設けられ、排出されるシートの側端に当接してシートの斜行を補正する斜行補正板側である基準ガイドである。そして、本実施の形態において、シートPを反転搬送する場合、この基準ガイド14に押し付けることにより、シートを斜行することなく、再搬送通路8に搬送することができるようにしている。
【0036】
ここで、このように移動距離Xl、Xrを左右個別に設定した場合、シートPを反転搬送する場合、第2排紙コロ17はシートPが下流側の搬送ローラ対13に突入するまで内側壁11には突き当たらない。また、第1排紙コロ16は、第2排紙コロ17より軸方向への移動可能距離が少なく設定されているため、シート先端が下流側の搬送ローラ対13に突入する前に内側壁11に突き当たる。
【0037】
このように、シート先端が下流側の搬送ローラ対13に突入する前に第1排紙コロ16だけが、内側壁11に突き当たることにより、再搬送通路8に突入したシートPは第1排紙コロ16による傾斜方向の力により斜送される。これにより、この後、シートPの側端が基準ガイド14に突き当たるようになり、この結果、シートPの搬送方向に垂直な方向の位置が正しく決まり、この状態でシートPは、搬送ローラ対13により搬送される。このように正転、反転を行う排紙ローラ3を使用した排紙構成において、排紙ローラ3による反転搬送時、基準ガイド14にシートPを突き当てることにより、より安定した両面搬送が可能になる。
【符号の説明】
【0038】
2…搬送ガイド、2a…軸受け部、3…排紙ローラ、5…排紙コロ、5a…コロ本体、7…定着部、10…内側壁、11…内側壁、14…基準ガイド、16…第1排紙コロ、17…第2排紙コロ、20…カラーレーザプリンタ、21…カラーレーザプリンタ本体、22…画像形成部、24…定着排出部、P…シート、Xs…所定距離、Xl、Xr…移動距離(所定距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する画像形成部と、前記トナー像が形成されたシートを排出する正逆転可能なシート排出ローラを有するシート排出部と、を備えた画像形成装置において、
前記シート排出ローラに圧接する複数の回転体と、
前記複数の回転体を、シート排出方向と直交する幅方向の中央を中心に、前記複数の回転体の中央側をシート排出方向に向かって対称的に傾斜させて軸支する軸支部と、を備え、
前記複数の回転体を、前記シート排出ローラの正逆転に伴って軸方向に所定距離移動するように保持し、前記シート排出ローラが逆回転する際には、前記複数の回転体を中央から側端側に向かう方向に移動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記軸支部は、前記複数の回転体を所定距離だけ軸方向に往復移動可能に支持する支持部を備え、
前記支持部は、前記シート排出ローラの正回転により側端側から中央に向かう第1の軸方向に前記所定距離だけ移動した前記複数の回転体と当接して前記複数の回転体の移動を規制する第1規制部と、前記シート排出ローラの逆回転により中央から側端側に向かう第2の軸方向に前記所定距離だけ移動した前記複数の回転体と当接して前記複数の回転体の移動を規制する第2規制部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート排出ローラの逆回転により搬送されたシートを搬送する再搬送ローラを備え、
前記所定距離は、前記シート排出ローラが所定回数正回転するまでに前記複数の回転体が前記支持部の第1規制部に当接することができる距離及び前記シート排出ローラの逆回転により搬送されるシートが前記再搬送ローラに達した後、前記複数の回転体が前記支持部の第2規制部と当接することができる距離の少なくとも一方であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定距離は、前記所定距離をXs、前記シート排出ローラが1回転することによりシートが搬送される距離をYr、前記シート排出ローラから前記再搬送ローラまでの距離をYd、前記複数の回転体のシート排出方向に対する傾斜角度をθとすると、
少なくともXs=2Yrsinθで表される、前記シート排出ローラが2回転するまでに前記複数の回転体が前記支持部の第1規制部に当接することができる距離と、
Xs=Ydsinθで表される、前記再搬送ローラにシートが達した後、前記複数の回転体が前記支持部の第2規制部と当接することができる距離のどちらか一方であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の回転体の軸方向の摩擦力よりも前記シート排出ローラの正回転時及び逆回転によって前記複数の回転体に発生する軸方向の力の方が大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
対称的に配された前記複数の回転体うちの中央を境にして一方の側の前記複数の回転体の前記所定距離と、他方側の前記複数の回転体の前記所定距離とを異なるように設定したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記設定された所定距離が長い方の前記複数の回転体の側方に、排出されるシートの側端に当接してシートの斜行を補正する斜行補正板を設けたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−269865(P2010−269865A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121176(P2009−121176)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】