画像形成装置
【課題】これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができない。
【解決手段】インクカートリッジ76と記録ヘッド10との間に流路抵抗可変ユニット83とを有し、流路抵抗可変ユニット83にインクを送るポンプ78を有し、流路抵抗可変ユニット83は、第1の流路71を流れるインク流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、液滴を吐出するときには、圧力調整ユニット83を介して記録ヘッド10とインクカートリッジ76が連通している状態で、ポンプ78によりインクをインクカートリッジ76から記録ヘッド10に送液し、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の流路60aの流体抵抗が分岐部63とインクカートリッジ76の間の流路60bの流体抵抗よりも大きい。
【解決手段】インクカートリッジ76と記録ヘッド10との間に流路抵抗可変ユニット83とを有し、流路抵抗可変ユニット83にインクを送るポンプ78を有し、流路抵抗可変ユニット83は、第1の流路71を流れるインク流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、液滴を吐出するときには、圧力調整ユニット83を介して記録ヘッド10とインクカートリッジ76が連通している状態で、ポンプ78によりインクをインクカートリッジ76から記録ヘッド10に送液し、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の流路60aの流体抵抗が分岐部63とインクカートリッジ76の間の流路60bの流体抵抗よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置(単なる液体吐出装置を含む)を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を媒体に着弾させる、即ち液滴吐出装置ないし液体吐出装置と称されるものを含む)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、DNA試料、パターニング材料などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。
【0004】
記録ヘッドとして用いる液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)としては、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ液室内の体積を変化させて圧力を高め液滴を吐出させる圧電型ヘッドや、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる気泡によって液室内の圧力を高め、液滴を吐出させるサーマル型ヘッドが知られている。
【0005】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、特に画像形成スループットの向上、すなわち画像形成速度の高速化が望まれており、本体据え置きの大容量のインクカートリッジ(メインタンク)からチューブを介して記録ヘッド上部のサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクと称されるものを含む。)にインクを供給する方式が行なわれている。このようなチューブを用いてインクを供給する方式(チューブ供給方式)とすることで、キャリッジ部を軽量小型化でき、構造系、駆動系も含めて装置を大幅に小型化できる。
【0006】
ところで、チューブ供給方式では、画像形成で記録ヘッドから消費されるインクがインクカートリッジからチューブを通って記録ヘッドに供給されることになるが、例えば、柔軟性に富む細いチューブを使うと、チューブをインクが流れる際の流体抵抗が大きいため、インク供給がインク吐出に間に合わず吐出不良となる。特に、広幅の記録媒体に印字する大型マシンでは必然的にチューブが長くなりチューブの流体抵抗が大きくなる。また、高速印字する場合や高粘度のインクを吐出する場合も流体抵抗が増大し、記録ヘッドに対するインク供給不足が課題となる。
【0007】
そこで、従来、特許文献1に開示されているように、インクカートリッジのインクを加圧状態に保持すると共に、ヘッドのインク供給上流側に差圧弁を設けて、サブタンク内の負圧が所定の圧力より大きい時にインクを供給するようにすることが知られている。
【0008】
また、特許文献2に開示されているように、ヘッドの上流にばねによって負圧を得る負圧室にポンプでインクを送液して積極的にインク供給圧を制御するもの、特許文献3に開示されているように、負圧室を有していないが、同様にポンプによって積極的に圧力を制御する方式のものも知られている。
【0009】
一方、簡単な構成で負圧を得る方式としては、大気に連通したインクカートリッジと記録ヘッドをチューブで接続し、単にインクカートリッジを記録ヘッドよりも下方に配置することで、水頭差で負圧を得る方式がある。
【0010】
この方式では、負圧連動弁を用いて常時加圧する方式や負圧室を設けてポンプで送液する方式よりも圧倒的に簡易な構成でありながらもより安定な負圧を得ることができるものの、この水頭方式では前述したチューブ抵抗による圧力損失の問題がある。
【0011】
この水頭差によって負圧を得るインク供給システムでこの圧力損失を解決する技術としては、例えば、特許文献4に開示されているように、ヘッドとインクカートリッジを繋ぐチューブにポンプを設け、さらにポンプの上流側と下流側を繋ぐバイパス経路を設けて、このバイパス経路に弁を設けた構成とし、バイパス経路に設けた弁の開度を印字によって適宜制御して所望の圧力を保つものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3606282号公報
【特許文献2】特開2005−342960号公報
【特許文献3】特表平5−504308号公報
【特許文献4】特開2004−351845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、前述したリフィル不足の問題は解決されるが、負圧を制御するための機構が複雑であり、しかも負圧連動弁のシール性能を高度に要求されるという課題がある。また、常時加圧する方式であるため、インク供給経路中にある全ての接続部の気密も高度に要求され、万一故障した際には、インクが噴出する不具合が生じるおそれがある。
【0014】
また、特許文献2、3に開示の技術では、ポンプによって積極的に圧力を制御することから、インクの消費量等に応じて正確にポンプの送液量を制御する必要があるため、負圧室の圧力を用いたフィードバック制御等が必要となる。また、例えば色の異なる複数種のインクを用いる画像形成装置に適用する場合には、色種ごとにポンプを制御することが求められ、制御が複雑で、装置が大型化するという課題がある。
【0015】
また、特許文献4に開示の技術でも、色の異なる複数種のインクを用いる画像形成装置に適用する場合には、色種ごとにポンプを制御することが求められ、装置が大型化する課題がある。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
途中に分岐部を有し、前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記分岐部と前記送液手段を連通する第4の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記圧力調整弁と前記分岐部の間の流体抵抗が前記分岐部と前記液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい
構成とした。
【0018】
ここで、前記分岐部にバッファタンクを備えている構成とできる。
【0019】
また、前記圧力調整弁と前記分岐部の間に抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記分岐部への液体の流量が多くなると流体抵抗が増加する構成とできる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路は離間した位置で前記液体タンクに接続される
構成とした。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路のそれぞれの前記液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている
構成とした。
【0022】
ここで、前記第2の流路には流体抵抗が変化する抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量が設定値よりも多くなったとき、又は、前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量に応じて流体抵抗が増加する構成とできる。
【0023】
また、前記抵抗可変弁をバイパスするバイパス流路を備えている構成とできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避して吐出不良を低減することができ、更に、圧力調整弁と分岐部の間の流体抵抗が分岐部と液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい構成としたので、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁から液体を吸い出してアシスト効率を低下させることを抑制して、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避して吐出不良を低減することができ、更に、液体タンクと圧力調整弁に連通する第2の流路と、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路は離間した位置で液体タンクに接続される構成としたので、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができる。
【0026】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避して吐出不良を低減することができ、更に、液体タンクと圧力調整弁に連通する第2の流路と、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路のそれぞれの液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている構成としたので、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を示す概略正面説明図である。
【図2】同じく概略平面説明図である。
【図3】同じく概略側面説明図である。
【図4】同装置の記録ヘッドの説明に供する要部拡大説明図である。
【図5】同装置のインク供給系(インク供給システム)のサブタンクの模式的断面説明図である。
【図6】同じくカートリッジホルダ部分の説明図である。
【図7】同じくポンプユニットの説明図である。
【図8】同じく圧力制御ユニットの説明図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図10】同実施形態における流路抵抗可変ユニットを示す説明図である。
【図11】初期充填動作の説明に供するフロー図である。
【図12】印字動作の説明に供するフロー図である。
【図13】同じくヘッド吐出流量とヘッド圧力損失とアシスト流量の関係の一例を示す説明図である。
【図14】流路抵抗可変ユニット及びインクカートリッジと分岐部との間の流体抵抗の説明に供する模式的説明図である。
【図15】本発明の第2実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図16】同実施形態の分岐部の説明に供する模式的説明図である。
【図17】本発明の第3実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図18】同実施形態の絞り可変弁の一例を示す模式的説明図である。
【図19】同じく絞り可変弁の他の例を示す模式的説明図である。
【図20】本発明の第4実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図21】同実施形態の作用説明に供する絞り可変弁の状態を示す模式的説明図である。
【図22】本発明の第5実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図23】本発明の第6実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図24】本発明の第7実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の概略正面説明図、図2は同じく概略平面説明図、図3は同じく概略側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、本体フレーム1に立設された左右の側板1L、1Rに横架したガイド部材であるガイドロッド2と、本体フレーム1に横架される後フレーム1Bに取付けられたガイドレール3とで、キャリッジ4を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ4を図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド2の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
【0029】
このキャリッジ4には、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク滴を吐出する1又は複数の記録ヘッド10が搭載され、記録ヘッド10は複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0030】
ここで、記録ヘッド10は、図4に示すように発熱体基板12と液室形成部材13から構成され、ベース部材19に形成されたインク供給路を介して共通流路17及び液室(個別流路)16に順次供給されるインクを液滴として吐出する。この記録ヘッド10は、発熱体14の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室16内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル15の開口中心軸とを直角となしたサイドシュータ方式の構成のものである。
【0031】
なお、記録ヘッドとしては、圧電素子を用いて振動板を変形させ、また、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に係る画像形成装置に適用することができる。
【0032】
また、サーマル方式のヘッドの中には、他にも吐出方向が異なるエッジシュータ方式があるが、このエッジシュータ方式においては気泡が消滅する際の衝撃により発熱体14を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。これに対し、上述したサイドシュータ方式においては気泡が成長し、その気泡がノズル15に達すれば気泡が大気に通じることになり温度低下による気泡の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体14からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本インクジェット記録装置においてはサイドシュータ方式の記録ヘッドを採用している。
【0033】
一方、キャリッジ4の下方には、記録ヘッド10によって画像が形成される用紙20が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図3に示すように、用紙20は、搬送ローラ21と押えコロ22で挟持されて、記録ヘッド10による画像形成領域(印字部)に搬送され、印写ガイド部材23上に送られ、排紙ローラ対24で排紙方向に送られる。
【0034】
このとき、主走査方向へのキャリッジ4の走査と記録ヘッド10からのインク吐出を画像データに基づいて適切なタイミングで同調させ、用紙20に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙20を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。
【0035】
一方、記録ヘッド10の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンク)30が一体的に接続される。ここでいう「一体的」とは、記録ヘッド10とサブタンク30がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ4に搭載されているという意味である。
【0036】
このサブタンク30には、装置本体側の主走査方向の一端部側に設けられたカートリッジホルダ77に着脱自在に装着される各色のインクを収容した本発明における液体タンクであるインクカートリッジ(メインタンク)76からインク供給経路の一部を形成するチューブ部材であって第1の流路を形成する液体供給チューブ71を介して、各色のインクが供給される。
【0037】
また、装置本体の主走査方向の他端部側には記録ヘッド10の維持回復を行う維持回復機構51が配置されている。この維持回復機構51は、記録ヘッド10のノズル面をキャッピングするキャップ52と、キャップ52内を吸引する吸引ポンプ53と、吸引ポンプ53で吸引されたインクの廃液を排出する排出経路54などを含み、排出経路54から排出される廃液は本体フレーム1側に配置された廃液タンク56に排出される。
【0038】
次に、このインクジェット記録装置に適用した本発明の第1実施形態におけるインク供給系(インク供給システム)について図5ないし図10をも参照して説明する。なお、図5は同インク供給システムのサブタンクの模式的断面説明図、図6は同じくカートリッジホルダ部分の説明図、図7は同じくポンプユニットの説明図、図8は同じく圧力制御ユニットの説明図、図9はインク供給システムの説明図、図10は流路抵抗可変ユニットの一例を示す説明図である。
【0039】
まず、サブタンク30は、インク室103を形成するタンクケース101の一部の開口に外側に向かって凸状に形成された可撓性を有するゴム部材102が設けられ、インク室103の内部には記録ヘッド10との接続部の近傍にフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクを記録ヘッド10に供給する構成となっている。
【0040】
このサブタンク30には、インク供給チューブ71の一端部が接続される。インク供給チューブ71の他端部は、図1及び図2に示すように本体据え置きのカートリッジホルダ77に接続される。
【0041】
カートリッジホルダ77には、インクカートリッジ76と、送液手段であるポンプユニット80と、圧力制御ユニット81が接続されている。
【0042】
カートリッジホルダ77の内部には、図6に示すように、各色のインクに対応して内部流路70,74、79が形成され、ポンプユニット80に連通するポンプ接続ポート73a、73bと、圧力制御ユニット81に連通する圧力制御ポート72a、72b、72cを備えている。また、ポンプ接続ポート73aと圧力制御ポート72cとは内部流路70で連通している。
【0043】
ポンプユニット80は、図7に示すように、カートリッジホルダ77のポンプ接続ポート73a、73bとそれぞれ連通するポート85a、85bと、これらのポート85a、85bに連通するポンプ78を備えている。ポンプ78としては、チュービングポンプやダイヤフラムポンプ、ギアーポンプなど様々なポンプを適用することができる。図7のポンプユニット80においては、4色のインクに対応して4つのポンプ78K、78C、78M、78Yを備えているが、これらの4つのポンプは1つのモータ82で連動して駆動する構成としている。
【0044】
圧力制御ユニット81は、図8に示すように、カートリッジホルダ77の圧力制御ポート72a、72b、72cとそれぞれ連通するポート86a、86b、86cと、これらのポート86a、86b、86cに連通する圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を備えている。
【0045】
次に、インク供給システムの全体構成及び動作について図9に示す概略構成図を参照して説明する。なお、図9ではインク供給システムの動作、作用の理解をしやすいように1つの液体吐出ヘッド(記録ヘッド)10に接続する主要構成要素のみを表している。
このインク供給システムは、記録ヘッド10に供給するインクを貯留するインクカートリッジ76と、記録ヘッド10にインクを供給する第1の流路である液体供給チューブ(以下「第1の流路」ともいう。)71と、途中に分岐部63を有し、インクカートリッジ76に連通する第2の流路60と、第1の流路71と第2の流路60を連通させる圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を含む圧力制御ユニット81と、圧力調整弁(流路抵抗可変ユニット83)にインクを送る送液手段であるポンプ78を含むポンプユニット80と、圧力調整弁(流路抵抗可変ユニット83)とポンプ78を連通する第3の流路61と、分岐部63とポンプ78を連通する第4の流路62とを有している。
【0046】
ここで、流路抵抗可変ユニット83は、内部を流れる液体の流れ方向や流量によって流路抵抗が変化する特性を有するものである。この流路抵抗可変ユニット83は、例えば図10に示すように、流路形成部材である管部材87と、管部材87内に自由状態で移動可能に収容された可動部材である弁体88とを有している。
【0047】
管部材87は、第1の流路(液体供給チューブ)71を接続するポート86aと、第2の流路60の分岐部63で分岐した流路60aを接続するポート86bと、第3の流路61を接続するポート86cとを有している。弁体88は、液体の流れの方向において径の異なる段部を有する段付き軸形状部材であり、上部88t、中央部88m、下部88bの少なくとも3つの段部要素を有し、中央部88mの径が下部88bよりも小径に形成されている。この弁体88は、管部材87の内部で移動可能とされ、内部の流れの状態等に応じて、図10(a)の位置、図10(b)の位置、あるいはその中間の位置をとる。
【0048】
ここで、この弁体88の上部88tと管部材87の流路部分87aとの間で第1の流路側の第1の絞り部181が形成され、弁体88の下部88bと管部材87の流路部分87bとの間で第2の絞り部182が形成され、弁体88が上述したように内部の流れの状態等に応じて移動することにより、第2の絞り部182の絞り量が変化する。
【0049】
そして、管部材87には、弁体88の中央部88mの位置、すなわち、第1の絞り部181と第2の絞り部182との間に第3の流路43の一部となる横穴(ポート)86cが形成されている。
【0050】
図9に戻って、インクカートリッジ76には大気連通部90が設けられており、インクカートリッジ76内の液面が記録ヘッド10のノズル面よりも低い位置になるように配置されている。これにより、インクがインク供給全経路に満たされている状態では、記録ヘッド10とインクカートリッジ76の液面の水頭差hにより、記録ヘッド10は負圧に保持されるので、安定して記録ヘッド10からインク滴吐出を行うことができる。
【0051】
次に、上記インク供給システムを使用したインク初期充填動作について図11のフロー図を参照して説明する、
インクカートリッジ76が装着済であることが確認された後、記録ヘッド10のノズル面を維持ユニット51のキャップ52でキャッピングする。このキャッピング状態で吸引ポンプ53を駆動し、記録ヘッド10のノズルを介してインク供給系路内の空気を吸引する(ノズル吸引開始)。そして、このノズル吸引は、ノズル吸引の開始から所定時間が経過した時まで行う。所定時間吸引を行うことにより、インクカートリッジ76内のインクが第1の流路(液体供給チューブ)71に達する。
【0052】
その後、ノズル吸引開始から所定時間が経過した時((タイマがカウントアップした時))、モータ82を駆動してポンプ(アシストポンプ)78を駆動する。このとき、図9に示すようにインク供給経路が形成されているので、ポンプ78の駆動によって流路抵抗可変ユニット83に矢印Qa側に送液されて、ポンプ78が接続されているバイパス経路である第3の流路61内の空気が流路抵抗可変ユニット83側に押し出され、インクで置換される。
【0053】
その後、所定時間が経過した時(タイマがカウントアップした時)に、吸引ポンプ53とポンプ78を両方とも停止させる。この段階で、インク供給経路内を全てインクで充填することができる。
【0054】
その後、維持ユニット51のキャップ52によるキャッピングを解除し、維持ユニット51に備えられる図示しないワイパー部材で記録ヘッド10のノズル面をワイピングし、記録ヘッド10を駆動して画像形成に寄与しない所定の滴数のインク滴をノズルから吐出させる(ヘッド空吐出)ことで、ノズルに所望のメニスカスを形成できる。
【0055】
このようにして、インクの初期充填が完了する。なお、図11に示すフロー図ではアシストポンプ(ポンプ78)をノズル吸引停止まで継続して駆動しているが、前述したバイパス経路(分岐部63から第4の流路62、第3の流路61及び横穴86cを経路)のインク置換が完了しだい停止しても初期充填を行うことができる。ただし、図11に示す例では、液体供給チューブ71と記録ヘッド10への充填時にもポンプ78を駆動するので、より短時間に初期充填を完了することができる。
【0056】
次に、印字動作について図12に示すフロー図を参照して説明する。
印字ジョブ信号を受信した後、まず温度センサ27で機内(装置内)の温度を検知し、インクの温度を推定する。なお、温度センサ27はキャリッジ4に搭載されている(図2参照)が、インクカートリッジ部や記録ヘッド部等別の場所に設けられていてもよい。また、インク供給経路内に設けてインクの温度を直接検知しても良い。
【0057】
そして、インクの温度に基づいてアシストポンプ78で送液する流量を決定し、ポンプ78を駆動する。その後、記録ヘッド10のノズル面を覆っているキャップ52をノズル面から離間させて(キャッピング解除)、所定の滴数の空吐出を実施した後、印字を開始する。
【0058】
このとき、アシストポンプ78が駆動されているので液体供給チューブ71が長いシステムで高粘度のインクを用いる場合でもインク供給に伴う圧力損失を適切に低減することができ、インクの供給不足を生じさせることなく良好な印字を行うことができる。
【0059】
印字終了後、キャリッジ4を装置の所定の位置(ホームポジション)に停止させ、記録ヘッド10のノズル面をキャップ52でキャッピングする。その後、アシストポンプ78を停止させる。
【0060】
ここで、アシストポンプ78は印字終了後直ちに停止させても良い。また、温度に基づいてアシストポンプ78の送液量を制御しているが、インク供給仕様等の条件によっては、最も低温環境でのインク供給で供給不足を起こさない送液量で、全ての温度条件で送液することも可能である。
【0061】
このような印字動作を行うとき、吐出するインクの粘度が大きい場合や液体供給チューブ71の流体抵抗が大きい場合、例えばチューブが細かったり長かったりする場合、あるいは、インク吐出流量が大きい場合には、インク供給経路の流体抵抗によりインク供給が追いつかなくなる事態が生じる。具体的には、本インク供給システムでインク供給抵抗となる主要な要素としては、液体供給チューブ71、フィルタ109、ジョイント89がある(図9参照)。
【0062】
例えば、液体供給チューブ71の直径が2.8mm、長さが2500mmのロングチューブを備える広幅の画像形成装置において、16cPの高粘度インクを吐出した場合には、液体供給チューブ71の流体抵抗は2.7e10[Pa・s/m3]となる。また、フィルタ109及びジョイント89の流体抵抗は、この実施形態では、それぞれ1e10[Pa・s/m3]、2e9[Pa・s/m3]のものとしている。
【0063】
ここで、記録ヘッド10から安定した吐出ができる圧力損失の限界値を2.5kPaとし、全ノズルから連続してインクを吐出した場合には0.1cc/sの吐出流量となる。その時の圧力損失は、6.9kPaである。圧力制御ユニット81がない場合でも3.94kPaとなるので、単純な水頭差インク供給システムでは自然供給することはできない。
【0064】
このようにインク供給系の抵抗により圧力損失が増大しリフィルが不足するときに、ポンプ78を駆動して第3の流路43からインクを矢印Qa(Qaはアシスト流量、あるいはアシスト用液体の流れであるが、便宜上矢印の符号としても使用する。)の方向に送り出す。このポンプ78の送液によってインクの供給不足量を補う(リフィルアシスト)ことができる。
【0065】
記録ヘッド10の吐出流量とポンプ78の送液量(アシスト流量)と記録ヘッド10の圧力の関係の一例を図13に示している。図13は、アシスト流量を0〜0.2cc/sとしたときのヘッド吐出流量に対するインク供給系の圧力損失の変化を示している。前述したように、アシスト流量が「0」のときは、ヘッドの圧力損失は約7kPaとなり、インクを連続吐出できず、噴射不良となってしまうが、ポンプ78によりアシストすることにより圧力損失が1kPa以下程度となり、連続吐出することができる。
【0066】
ここで、前述した図10を参照して本インク供給システムのアシスト原理について説明する。
図10(a)は記録ヘッド10から滴吐出を行っていない状態、あるいは、吐出流量が少ない条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。この状態では、弁体88はポート86b側にある。図10(a)に示すように、管部材87と弁体88の下部88bの間のギャップGbが管部材87と弁体88の上部88tのギャップGtよりも大きいこと、更に、ポート86aの先には図9に示すように流体抵抗の大きい液体供給チューブ71やフィルタ109があるため、矢印Qaで示すポンプ78によって送液されたインクは、流れやすいポート86b側に流れる(矢印C)。したがって、ポンプ78によって発生するインクの流れは、図9におけるポンプユニット80と流路抵抗可変ユニット83で形成されるループ経路内を循環するだけであり、記録ヘッド10の圧力にはほとんど影響を与えない。
【0067】
一方、図10(b)は記録ヘッド10の吐出流量が多い条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。管部材87と弁体88の上部88tのギャップGtを狭く設定することで、矢印Qhで示す記録ヘッド10からの滴吐出によるインクの流れによって、弁体88がポート86a側に引かれ弁体88が移動する(図で上方向に移動する。)。これにより、弁体88の下部88bが管部材87の小径部(流路部分87b:第2の絞り部182)に移動し、管部材87と弁体88の下部88bの間のギャップは小さいギャップGb1となる。矢印Qaで示すようにポンプ78によって送液されるインクは、この狭いギャップGb1を流れようとする(矢印D)ので、圧力が発生する。この圧力が、記録ヘッド10にインクが流れる際に発生する圧力損失を低減させ、大流量のインク供給を実現することができる。
【0068】
この流路抵抗可変ユニット83では、記録ヘッド10の吐出流量が増して圧力損失が大きくなる条件ほど、弁体88の下部88bの周面と管部材87の流路部分87bとのインクの流れ方向の対向長さ(第2の絞り部182の長さ)が長くなって、弁体88の下部88bと管部材87の狭ギャップGb1の長さが長くなり、よりポンプ(アシストポンプ)78による増圧効果を大きくする。これにより、従来のように流量調整弁を他のアクチュエータ等で制御する煩雑さがなく、簡易な構成で自動的に安定したインク供給を実現することができる。
【0069】
このように、このインク供給システムにおいては、狭ギャップGb1の形状とこの部分を流れる液体の流量によって増圧効果が決定される。高速記録により記録ヘッド10から消費されるインク量が増大すると、弁体88を持ち上げる力が増大し、ついには弁体88が管部材87の中で移動できる限界点に達すると、ギャップGb1の長さが変化しなくなるため、アシスト作用は飽和することになる。したがって、それ以上に記録ヘッド10への流量が増加すると、その増加分に相当する圧力損失が発生することになり、場合によってはリフィル不足が発生する。
【0070】
この場合、弁体88が上死点に達するような条件に対応するために、図10(b)の矢印Dに示す液体の流量を増やすことが考えられる。ここで、ポンプ流量を大きくして増圧効果を効率よく得るための流路の条件について図14を用いて説明する。
この図14は、インクカートリッジ76から流路抵抗可変ユニット83までの配管の模式的説明図であり、図14(a)は第2の流路60のうち流路抵抗可変ユニット83から分岐部63までの弁側流路60aの流体抵抗を分岐部63からインクカートリッジ76までのカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも小さくした場合(流路60aを相対的に太く図示して示している。)を示す図である。一方、図14(b)は弁側流路60aの流体抵抗をカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも大きくした場合(流路60bを相対的に太く図示している。)を示す図である。
【0071】
前述したように、流路抵抗可変ユニット83で発生するアシスト圧(増圧)を大きくするためにポンプ78の流量を大きくすると、まず図14(a)の条件では、弁側流路60aの流体抵抗がカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも小さいので、ポンプ78が弁側流路60aからインクを吸い出しやすくなる。その結果、ポンプ78によって流路抵抗可変ユニット83に流入するインクが、矢印Eで示すポンプ78の吸引するインクに使われてしまい、矢印Fの流量が不足し、十分なアシスト圧を発生できなくなる。
【0072】
一方、図14(b)のように、弁側流路60aの流体抵抗がカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも大きい条件にすると、ポンプ78がカートリッジ側流路60bからインクを吸い出しやすくなる。したがって、ポンプ78によって流路抵抗可変ユニット83に流入するインクが、矢印Hで示すようにインクカートリッジ76から優先的に供給され、流路抵抗可変ユニット83からのオーバーフローが矢印Gのように流れる形態となるので、図14(a)の構成のように、ポンプ流量を増加した場合のリフィル不足の不具合は発生せず、効率よくアシスト圧を増加することができる。
【0073】
つまり、圧力調整弁と分岐部の間の流体抵抗が分岐部と液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい構成(図14(b)の構成)とすることで、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁から液体を吸い出してアシスト効率を低下させることを抑制して、より効率よく圧力損失低減を行なうことができようになる。
【0074】
次に、本発明の第2実施形態におけるインク供給システムについて図15を参照して説明する。なお、図15は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、分岐部63にバッファタンク150を設けている。この実施形態の作用について前述した第1実施形態との比較において説明する。
【0075】
前述した第1実施形態における構成(図9の構成)における分岐部63のインクの流れの説明図を図16(a)に示している。図16(a)に示すように、各流路60a、60b、62が一点で近接していると、弁側流路60aの流体抵抗がカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも大きい条件にしていても、第4の流路62の流量Qaが大きくなった場合に、分岐部63での吸い込み流速が大きくなり、弁側流路60aからインクを引っ張りやすくなる。
【0076】
そこで、この第2実施形態(図15の構成)のように、分岐部63にバッファタンク150などの大容量部を備えた場合、インクの流れは図16(b)に示すようになる。つまり、各流路60a、60b、62を離間させ、それらの間に比較的大きな容積を設けることにより、第4の流路62の流量Qaが大きくなっても、バッファタンク150で流れが減速されるので、弁側流路60aとカートリッジ側流路60bの流体抵抗の関係で決まる流れを安定的に形成することができる。
【0077】
次に、本発明の第3実施形態におけるインク供給システムについて図17を参照して説明する。なお、図17は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の弁側流路60aに流体抵抗が変化する絞り可変弁151を配置している。
【0078】
この絞り可変弁151は、例えば図18(a)に示すように、内部に形成された流路153の一部に変形可能な梁152が設けられている。梁152は、その先端が流路抵抗可変ユニット83側に傾斜して設けられており、隙間d1に流路を絞っている。ここで、図18(a)の矢印Jで示す方向の流れが弱い条件では、絞り可変弁152の絞りの開口が隙間d1であるが、内部を流れるインクの流量が増加して、図18(b)に示すように矢印Kで示すように方向の流れが強い条件になると、梁152が撓んで絞りの開口が隙間D2に狭められる(d2<d1)。
【0079】
したがって、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の弁側流路60aに絞り可変弁151を設けることにより、リフィル不足を防止するためにポンプ78からの流量を増加したときに、絞り可変弁151によって弁側流路60aの流体抵抗が増大し、ポンプ78が弁側流路60aからインクを吸い出すことによるアシスト効率の低下を防止することができる。
【0080】
なお、絞り可変弁151としては、流路抵抗可変ユニット83から分岐部63に向かう流れの流量が増大する場合に流体抵抗が大きくなる特性を有すれば良いので、図18に示したものに限られず、例えば図19に示すように、ばね156と弁体155を流路154内に備え、矢印J,Kで示すインク流量に応じて、弁体155が昇降してインクが流れるギャップがギャップg1〜g2の範囲で変化する構成としたのものなどを用いることもできる。
【0081】
このように、圧力調整弁と分岐部の間に抵抗可変弁を備え、抵抗可変弁は圧力調整弁から分岐部への液体の流量が多くなると流体抵抗が増加する特性であるので、より大きなアシスト圧を発生させるために送液手段による送液量を増加する場合に、抵抗可変弁の作用によって送液手段が圧力調整弁から液体を吸い出しにくくすることができ、送液手段の送液量を増量することによるアシスト効率の低下を抑制でき、より効率よく圧力損失低減を行なうことが可能になる。
【0082】
次に、本発明の第4実施形態におけるインク供給システムについて図20を参照して説明する。なお、図20は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、前記第3実施形態と同様に、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の弁側流路60aに絞り可変弁151を配置し、更にこの絞り可変弁151の両端に連通するバイパス流路165を設けている。このバイパス流路165は流路抵抗可変ユニット83で取り得る最大の流体抵抗値相当の抵抗となるように設定される。なお、絞り可変弁151としては上述した図19に示す構成のものを用いている。
【0083】
したがって、図19に示すように、絞り可変弁151の弁体156によって形成されるギャップg1、g2がある程度確保されている条件では、インクはこのギャップg1、g2を流れ、アシスト圧を発生する。さらに、インク流量が多くなった場合には、図21に示すように、矢印Lで示す方向のインク流量によって弁体156が完全に流路を閉塞する状態となる。このような状態になっても、この実施形態ではバイパス流路165が設けられているので、インクはバイパス流路165を流れることができる。
【0084】
このように流路抵抗可変ユニット83内の流路が完全に閉塞しても、バイパス流路165によってインクカートリッジ76と記録ヘッド10は連通状態を保つので、両者の水頭差を利用しながら安定した圧力制御を実現することができる。また、バイパス流路を備えることで、絞り可変弁151の選択範囲を拡大することができる。
【0085】
つまり、抵抗可変弁のバイパス流路を備えることで、抵抗可変弁を用いてアシスト効率の低下を抑制するときに、抵抗可変弁が閉塞状態になる場合も含めて、バイパス流路によって確実に液体タンクと圧力調整弁を連通させることができ、記録ヘッドの圧力を安定させることができるとともに、抵抗可変弁の設計条件を拡大することができる。
【0086】
次に、本発明の第5実施形態におけるインク供給システムについて図22を参照して説明する。なお、図22は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、インクカートリッジ76とポンプ78を第5の流路64で直接連通させている。このような構成にすることで、ポンプ78はより確実にインクカートリッジ76からインクを吸い上げるようにすることができる。
【0087】
この場合、インクカートリッジ76内において第2の流路60と第5の流路64を近接位置に設けると、ポンプ78の駆動により第2の流路60からインクを直接吸い上げて前述のアシスト効果を低下させる不具合が生じやすくなる。したがって、第2の流路60と第5の流路64は、吸引口部を相互に離間した位置とすることが好ましい。離間する構成としては、単に、第2の流路60と第5の流路64の吸引口部の位置を離すだけでなく、両者をインクカートリッジ76の異なる壁面に設ける構成や、いずれか一方を、インクカートリッジ76のより奥側に連通させる構成(図22の例)などを採用することができる。
【0088】
このように、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路は離間した位置で液体タンクに接続される構成とすることで、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。
【0089】
次に、本発明の第6実施形態におけるインク供給システムについて図23を参照して説明する。なお、図23は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、上記第5実施形態と同様に、インクカートリッジ76とポンプ78を第5の流路64で直接連通させ、更に第2の流路60と第5の流路64の吸引口部が近接して配置するとともに、各々の間に仕切り部66を設けている。これにより、第2の流路60と第5の流路64の吸引口部が近接していても、前記第5実施形態と同様に、ポンプ78の駆動により第2の流路60からインクを直接吸い上げることを防止でき、確実にアシスト効率を向上することができる。
【0090】
このように、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路のそれぞれの液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている構成とすることで、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。
【0091】
次に、本発明の第7実施形態におけるインク供給システムについて図24を参照して説明する。なお、図24は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
この実施形態は、前記第5、第6実施形態と同様にインクカートリッジ76にポンプ78が直接接続する構成とし、更に前記第4実施形態と同様に絞り可変弁151とバイパス流路165を設けた構成としている。
【0092】
この実施形態においても、前記第4実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、ここでは、インクカートリッジ76におけるポンプ78との連通部(ジョイント89a)と流路抵抗可変ユニット83との連通部(ジョイント89b)を水平方向に離間して配置している。これにより、ポンプ78が流路抵抗可変ユニット83からインクを直接吸い出しにくくしている。
【0093】
なお、以上の説明においては大気開放部90を有するインクカートリッジ76を用いて動作等の説明を行ったが、本発明はインクを収容した袋を用いたインクカートリッジなどを用いた場合にも同様に適用できる。
【0094】
また、以上の説明においては、異なる色のインクが供給される例で本願発明の動作、効果を説明したが、同一色のインクを複数のヘッドに供給する場合や、色ではなく処方の異なるインクを複数のヘッドに供給する場合にも同様に適用することができる。また、狭義のインクを吐出する画像形成装置に限定されるものではなく、様々な液体を吐出する液体吐出装置(本発明でいう「画像形成装置」に含まれる。)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
4 キャリッジ
10 記録ヘッド
30 サブタンク
60 第2の流路
61 第3の流路
62 第4の流路
63 分岐部
64 第5の流路
71 液体供給チューブ(第1の流路)
76 インクカートリッジ(メインタンク:液体タンク)
77 カートリッジホルダ
78 ポンプ(アシストポンプ)
80 ポンプユニット
81 圧力制御ユニット
83 流体抵抗可変ユニット
87 管部材(流路形成部材)
88 弁体
151 絞り可変弁
165 バイパス流路
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置(単なる液体吐出装置を含む)を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を媒体に着弾させる、即ち液滴吐出装置ないし液体吐出装置と称されるものを含む)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、DNA試料、パターニング材料などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。
【0004】
記録ヘッドとして用いる液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)としては、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ液室内の体積を変化させて圧力を高め液滴を吐出させる圧電型ヘッドや、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる気泡によって液室内の圧力を高め、液滴を吐出させるサーマル型ヘッドが知られている。
【0005】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、特に画像形成スループットの向上、すなわち画像形成速度の高速化が望まれており、本体据え置きの大容量のインクカートリッジ(メインタンク)からチューブを介して記録ヘッド上部のサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクと称されるものを含む。)にインクを供給する方式が行なわれている。このようなチューブを用いてインクを供給する方式(チューブ供給方式)とすることで、キャリッジ部を軽量小型化でき、構造系、駆動系も含めて装置を大幅に小型化できる。
【0006】
ところで、チューブ供給方式では、画像形成で記録ヘッドから消費されるインクがインクカートリッジからチューブを通って記録ヘッドに供給されることになるが、例えば、柔軟性に富む細いチューブを使うと、チューブをインクが流れる際の流体抵抗が大きいため、インク供給がインク吐出に間に合わず吐出不良となる。特に、広幅の記録媒体に印字する大型マシンでは必然的にチューブが長くなりチューブの流体抵抗が大きくなる。また、高速印字する場合や高粘度のインクを吐出する場合も流体抵抗が増大し、記録ヘッドに対するインク供給不足が課題となる。
【0007】
そこで、従来、特許文献1に開示されているように、インクカートリッジのインクを加圧状態に保持すると共に、ヘッドのインク供給上流側に差圧弁を設けて、サブタンク内の負圧が所定の圧力より大きい時にインクを供給するようにすることが知られている。
【0008】
また、特許文献2に開示されているように、ヘッドの上流にばねによって負圧を得る負圧室にポンプでインクを送液して積極的にインク供給圧を制御するもの、特許文献3に開示されているように、負圧室を有していないが、同様にポンプによって積極的に圧力を制御する方式のものも知られている。
【0009】
一方、簡単な構成で負圧を得る方式としては、大気に連通したインクカートリッジと記録ヘッドをチューブで接続し、単にインクカートリッジを記録ヘッドよりも下方に配置することで、水頭差で負圧を得る方式がある。
【0010】
この方式では、負圧連動弁を用いて常時加圧する方式や負圧室を設けてポンプで送液する方式よりも圧倒的に簡易な構成でありながらもより安定な負圧を得ることができるものの、この水頭方式では前述したチューブ抵抗による圧力損失の問題がある。
【0011】
この水頭差によって負圧を得るインク供給システムでこの圧力損失を解決する技術としては、例えば、特許文献4に開示されているように、ヘッドとインクカートリッジを繋ぐチューブにポンプを設け、さらにポンプの上流側と下流側を繋ぐバイパス経路を設けて、このバイパス経路に弁を設けた構成とし、バイパス経路に設けた弁の開度を印字によって適宜制御して所望の圧力を保つものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3606282号公報
【特許文献2】特開2005−342960号公報
【特許文献3】特表平5−504308号公報
【特許文献4】特開2004−351845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、前述したリフィル不足の問題は解決されるが、負圧を制御するための機構が複雑であり、しかも負圧連動弁のシール性能を高度に要求されるという課題がある。また、常時加圧する方式であるため、インク供給経路中にある全ての接続部の気密も高度に要求され、万一故障した際には、インクが噴出する不具合が生じるおそれがある。
【0014】
また、特許文献2、3に開示の技術では、ポンプによって積極的に圧力を制御することから、インクの消費量等に応じて正確にポンプの送液量を制御する必要があるため、負圧室の圧力を用いたフィードバック制御等が必要となる。また、例えば色の異なる複数種のインクを用いる画像形成装置に適用する場合には、色種ごとにポンプを制御することが求められ、制御が複雑で、装置が大型化するという課題がある。
【0015】
また、特許文献4に開示の技術でも、色の異なる複数種のインクを用いる画像形成装置に適用する場合には、色種ごとにポンプを制御することが求められ、装置が大型化する課題がある。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
途中に分岐部を有し、前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記分岐部と前記送液手段を連通する第4の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記圧力調整弁と前記分岐部の間の流体抵抗が前記分岐部と前記液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい
構成とした。
【0018】
ここで、前記分岐部にバッファタンクを備えている構成とできる。
【0019】
また、前記圧力調整弁と前記分岐部の間に抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記分岐部への液体の流量が多くなると流体抵抗が増加する構成とできる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路は離間した位置で前記液体タンクに接続される
構成とした。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路のそれぞれの前記液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている
構成とした。
【0022】
ここで、前記第2の流路には流体抵抗が変化する抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量が設定値よりも多くなったとき、又は、前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量に応じて流体抵抗が増加する構成とできる。
【0023】
また、前記抵抗可変弁をバイパスするバイパス流路を備えている構成とできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避して吐出不良を低減することができ、更に、圧力調整弁と分岐部の間の流体抵抗が分岐部と液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい構成としたので、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁から液体を吸い出してアシスト効率を低下させることを抑制して、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避して吐出不良を低減することができ、更に、液体タンクと圧力調整弁に連通する第2の流路と、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路は離間した位置で液体タンクに接続される構成としたので、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができる。
【0026】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドのノズルから液滴を吐出するときには、流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化する圧力調整弁を介して記録ヘッドと液体タンクが連通している状態で、送液手段により液体を液体タンクから記録ヘッドに送液する構成としたので、記録ヘッドの吐出量に応じて適正なアシスト圧を自動的に調節しながら記録ヘッドに印加して、チューブ部材の長尺化、吐出流量の増大化、吐出液体の高粘度化等に伴うリフィル不足を回避して吐出不良を低減することができ、更に、液体タンクと圧力調整弁に連通する第2の流路と、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路のそれぞれの液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている構成としたので、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。これにより、簡易な構成、制御でヘッドの負圧を適正範囲に維持でき、高粘度の液体でも、吐出不良を生じることなく、高速で吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を示す概略正面説明図である。
【図2】同じく概略平面説明図である。
【図3】同じく概略側面説明図である。
【図4】同装置の記録ヘッドの説明に供する要部拡大説明図である。
【図5】同装置のインク供給系(インク供給システム)のサブタンクの模式的断面説明図である。
【図6】同じくカートリッジホルダ部分の説明図である。
【図7】同じくポンプユニットの説明図である。
【図8】同じく圧力制御ユニットの説明図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図10】同実施形態における流路抵抗可変ユニットを示す説明図である。
【図11】初期充填動作の説明に供するフロー図である。
【図12】印字動作の説明に供するフロー図である。
【図13】同じくヘッド吐出流量とヘッド圧力損失とアシスト流量の関係の一例を示す説明図である。
【図14】流路抵抗可変ユニット及びインクカートリッジと分岐部との間の流体抵抗の説明に供する模式的説明図である。
【図15】本発明の第2実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図16】同実施形態の分岐部の説明に供する模式的説明図である。
【図17】本発明の第3実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図18】同実施形態の絞り可変弁の一例を示す模式的説明図である。
【図19】同じく絞り可変弁の他の例を示す模式的説明図である。
【図20】本発明の第4実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図21】同実施形態の作用説明に供する絞り可変弁の状態を示す模式的説明図である。
【図22】本発明の第5実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図23】本発明の第6実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【図24】本発明の第7実施形態におけるインク供給システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の概略正面説明図、図2は同じく概略平面説明図、図3は同じく概略側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、本体フレーム1に立設された左右の側板1L、1Rに横架したガイド部材であるガイドロッド2と、本体フレーム1に横架される後フレーム1Bに取付けられたガイドレール3とで、キャリッジ4を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ4を図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド2の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
【0029】
このキャリッジ4には、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク滴を吐出する1又は複数の記録ヘッド10が搭載され、記録ヘッド10は複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0030】
ここで、記録ヘッド10は、図4に示すように発熱体基板12と液室形成部材13から構成され、ベース部材19に形成されたインク供給路を介して共通流路17及び液室(個別流路)16に順次供給されるインクを液滴として吐出する。この記録ヘッド10は、発熱体14の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室16内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル15の開口中心軸とを直角となしたサイドシュータ方式の構成のものである。
【0031】
なお、記録ヘッドとしては、圧電素子を用いて振動板を変形させ、また、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に係る画像形成装置に適用することができる。
【0032】
また、サーマル方式のヘッドの中には、他にも吐出方向が異なるエッジシュータ方式があるが、このエッジシュータ方式においては気泡が消滅する際の衝撃により発熱体14を徐々に破壊する、いわゆるキャビテーション現象の問題がある。これに対し、上述したサイドシュータ方式においては気泡が成長し、その気泡がノズル15に達すれば気泡が大気に通じることになり温度低下による気泡の収縮が起こらない。そのため、記録ヘッドの寿命が長いという長所を有する。また、発熱体14からのエネルギーをより効率良くインク滴の形成とその飛行の運動エネルギーへと変換でき、またインクの供給によるメニスカスの復帰も速いという構造上の利点を有する。したがって、本インクジェット記録装置においてはサイドシュータ方式の記録ヘッドを採用している。
【0033】
一方、キャリッジ4の下方には、記録ヘッド10によって画像が形成される用紙20が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図3に示すように、用紙20は、搬送ローラ21と押えコロ22で挟持されて、記録ヘッド10による画像形成領域(印字部)に搬送され、印写ガイド部材23上に送られ、排紙ローラ対24で排紙方向に送られる。
【0034】
このとき、主走査方向へのキャリッジ4の走査と記録ヘッド10からのインク吐出を画像データに基づいて適切なタイミングで同調させ、用紙20に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙20を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。
【0035】
一方、記録ヘッド10の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンク)30が一体的に接続される。ここでいう「一体的」とは、記録ヘッド10とサブタンク30がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ4に搭載されているという意味である。
【0036】
このサブタンク30には、装置本体側の主走査方向の一端部側に設けられたカートリッジホルダ77に着脱自在に装着される各色のインクを収容した本発明における液体タンクであるインクカートリッジ(メインタンク)76からインク供給経路の一部を形成するチューブ部材であって第1の流路を形成する液体供給チューブ71を介して、各色のインクが供給される。
【0037】
また、装置本体の主走査方向の他端部側には記録ヘッド10の維持回復を行う維持回復機構51が配置されている。この維持回復機構51は、記録ヘッド10のノズル面をキャッピングするキャップ52と、キャップ52内を吸引する吸引ポンプ53と、吸引ポンプ53で吸引されたインクの廃液を排出する排出経路54などを含み、排出経路54から排出される廃液は本体フレーム1側に配置された廃液タンク56に排出される。
【0038】
次に、このインクジェット記録装置に適用した本発明の第1実施形態におけるインク供給系(インク供給システム)について図5ないし図10をも参照して説明する。なお、図5は同インク供給システムのサブタンクの模式的断面説明図、図6は同じくカートリッジホルダ部分の説明図、図7は同じくポンプユニットの説明図、図8は同じく圧力制御ユニットの説明図、図9はインク供給システムの説明図、図10は流路抵抗可変ユニットの一例を示す説明図である。
【0039】
まず、サブタンク30は、インク室103を形成するタンクケース101の一部の開口に外側に向かって凸状に形成された可撓性を有するゴム部材102が設けられ、インク室103の内部には記録ヘッド10との接続部の近傍にフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクを記録ヘッド10に供給する構成となっている。
【0040】
このサブタンク30には、インク供給チューブ71の一端部が接続される。インク供給チューブ71の他端部は、図1及び図2に示すように本体据え置きのカートリッジホルダ77に接続される。
【0041】
カートリッジホルダ77には、インクカートリッジ76と、送液手段であるポンプユニット80と、圧力制御ユニット81が接続されている。
【0042】
カートリッジホルダ77の内部には、図6に示すように、各色のインクに対応して内部流路70,74、79が形成され、ポンプユニット80に連通するポンプ接続ポート73a、73bと、圧力制御ユニット81に連通する圧力制御ポート72a、72b、72cを備えている。また、ポンプ接続ポート73aと圧力制御ポート72cとは内部流路70で連通している。
【0043】
ポンプユニット80は、図7に示すように、カートリッジホルダ77のポンプ接続ポート73a、73bとそれぞれ連通するポート85a、85bと、これらのポート85a、85bに連通するポンプ78を備えている。ポンプ78としては、チュービングポンプやダイヤフラムポンプ、ギアーポンプなど様々なポンプを適用することができる。図7のポンプユニット80においては、4色のインクに対応して4つのポンプ78K、78C、78M、78Yを備えているが、これらの4つのポンプは1つのモータ82で連動して駆動する構成としている。
【0044】
圧力制御ユニット81は、図8に示すように、カートリッジホルダ77の圧力制御ポート72a、72b、72cとそれぞれ連通するポート86a、86b、86cと、これらのポート86a、86b、86cに連通する圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を備えている。
【0045】
次に、インク供給システムの全体構成及び動作について図9に示す概略構成図を参照して説明する。なお、図9ではインク供給システムの動作、作用の理解をしやすいように1つの液体吐出ヘッド(記録ヘッド)10に接続する主要構成要素のみを表している。
このインク供給システムは、記録ヘッド10に供給するインクを貯留するインクカートリッジ76と、記録ヘッド10にインクを供給する第1の流路である液体供給チューブ(以下「第1の流路」ともいう。)71と、途中に分岐部63を有し、インクカートリッジ76に連通する第2の流路60と、第1の流路71と第2の流路60を連通させる圧力調整弁である流路抵抗可変ユニット83を含む圧力制御ユニット81と、圧力調整弁(流路抵抗可変ユニット83)にインクを送る送液手段であるポンプ78を含むポンプユニット80と、圧力調整弁(流路抵抗可変ユニット83)とポンプ78を連通する第3の流路61と、分岐部63とポンプ78を連通する第4の流路62とを有している。
【0046】
ここで、流路抵抗可変ユニット83は、内部を流れる液体の流れ方向や流量によって流路抵抗が変化する特性を有するものである。この流路抵抗可変ユニット83は、例えば図10に示すように、流路形成部材である管部材87と、管部材87内に自由状態で移動可能に収容された可動部材である弁体88とを有している。
【0047】
管部材87は、第1の流路(液体供給チューブ)71を接続するポート86aと、第2の流路60の分岐部63で分岐した流路60aを接続するポート86bと、第3の流路61を接続するポート86cとを有している。弁体88は、液体の流れの方向において径の異なる段部を有する段付き軸形状部材であり、上部88t、中央部88m、下部88bの少なくとも3つの段部要素を有し、中央部88mの径が下部88bよりも小径に形成されている。この弁体88は、管部材87の内部で移動可能とされ、内部の流れの状態等に応じて、図10(a)の位置、図10(b)の位置、あるいはその中間の位置をとる。
【0048】
ここで、この弁体88の上部88tと管部材87の流路部分87aとの間で第1の流路側の第1の絞り部181が形成され、弁体88の下部88bと管部材87の流路部分87bとの間で第2の絞り部182が形成され、弁体88が上述したように内部の流れの状態等に応じて移動することにより、第2の絞り部182の絞り量が変化する。
【0049】
そして、管部材87には、弁体88の中央部88mの位置、すなわち、第1の絞り部181と第2の絞り部182との間に第3の流路43の一部となる横穴(ポート)86cが形成されている。
【0050】
図9に戻って、インクカートリッジ76には大気連通部90が設けられており、インクカートリッジ76内の液面が記録ヘッド10のノズル面よりも低い位置になるように配置されている。これにより、インクがインク供給全経路に満たされている状態では、記録ヘッド10とインクカートリッジ76の液面の水頭差hにより、記録ヘッド10は負圧に保持されるので、安定して記録ヘッド10からインク滴吐出を行うことができる。
【0051】
次に、上記インク供給システムを使用したインク初期充填動作について図11のフロー図を参照して説明する、
インクカートリッジ76が装着済であることが確認された後、記録ヘッド10のノズル面を維持ユニット51のキャップ52でキャッピングする。このキャッピング状態で吸引ポンプ53を駆動し、記録ヘッド10のノズルを介してインク供給系路内の空気を吸引する(ノズル吸引開始)。そして、このノズル吸引は、ノズル吸引の開始から所定時間が経過した時まで行う。所定時間吸引を行うことにより、インクカートリッジ76内のインクが第1の流路(液体供給チューブ)71に達する。
【0052】
その後、ノズル吸引開始から所定時間が経過した時((タイマがカウントアップした時))、モータ82を駆動してポンプ(アシストポンプ)78を駆動する。このとき、図9に示すようにインク供給経路が形成されているので、ポンプ78の駆動によって流路抵抗可変ユニット83に矢印Qa側に送液されて、ポンプ78が接続されているバイパス経路である第3の流路61内の空気が流路抵抗可変ユニット83側に押し出され、インクで置換される。
【0053】
その後、所定時間が経過した時(タイマがカウントアップした時)に、吸引ポンプ53とポンプ78を両方とも停止させる。この段階で、インク供給経路内を全てインクで充填することができる。
【0054】
その後、維持ユニット51のキャップ52によるキャッピングを解除し、維持ユニット51に備えられる図示しないワイパー部材で記録ヘッド10のノズル面をワイピングし、記録ヘッド10を駆動して画像形成に寄与しない所定の滴数のインク滴をノズルから吐出させる(ヘッド空吐出)ことで、ノズルに所望のメニスカスを形成できる。
【0055】
このようにして、インクの初期充填が完了する。なお、図11に示すフロー図ではアシストポンプ(ポンプ78)をノズル吸引停止まで継続して駆動しているが、前述したバイパス経路(分岐部63から第4の流路62、第3の流路61及び横穴86cを経路)のインク置換が完了しだい停止しても初期充填を行うことができる。ただし、図11に示す例では、液体供給チューブ71と記録ヘッド10への充填時にもポンプ78を駆動するので、より短時間に初期充填を完了することができる。
【0056】
次に、印字動作について図12に示すフロー図を参照して説明する。
印字ジョブ信号を受信した後、まず温度センサ27で機内(装置内)の温度を検知し、インクの温度を推定する。なお、温度センサ27はキャリッジ4に搭載されている(図2参照)が、インクカートリッジ部や記録ヘッド部等別の場所に設けられていてもよい。また、インク供給経路内に設けてインクの温度を直接検知しても良い。
【0057】
そして、インクの温度に基づいてアシストポンプ78で送液する流量を決定し、ポンプ78を駆動する。その後、記録ヘッド10のノズル面を覆っているキャップ52をノズル面から離間させて(キャッピング解除)、所定の滴数の空吐出を実施した後、印字を開始する。
【0058】
このとき、アシストポンプ78が駆動されているので液体供給チューブ71が長いシステムで高粘度のインクを用いる場合でもインク供給に伴う圧力損失を適切に低減することができ、インクの供給不足を生じさせることなく良好な印字を行うことができる。
【0059】
印字終了後、キャリッジ4を装置の所定の位置(ホームポジション)に停止させ、記録ヘッド10のノズル面をキャップ52でキャッピングする。その後、アシストポンプ78を停止させる。
【0060】
ここで、アシストポンプ78は印字終了後直ちに停止させても良い。また、温度に基づいてアシストポンプ78の送液量を制御しているが、インク供給仕様等の条件によっては、最も低温環境でのインク供給で供給不足を起こさない送液量で、全ての温度条件で送液することも可能である。
【0061】
このような印字動作を行うとき、吐出するインクの粘度が大きい場合や液体供給チューブ71の流体抵抗が大きい場合、例えばチューブが細かったり長かったりする場合、あるいは、インク吐出流量が大きい場合には、インク供給経路の流体抵抗によりインク供給が追いつかなくなる事態が生じる。具体的には、本インク供給システムでインク供給抵抗となる主要な要素としては、液体供給チューブ71、フィルタ109、ジョイント89がある(図9参照)。
【0062】
例えば、液体供給チューブ71の直径が2.8mm、長さが2500mmのロングチューブを備える広幅の画像形成装置において、16cPの高粘度インクを吐出した場合には、液体供給チューブ71の流体抵抗は2.7e10[Pa・s/m3]となる。また、フィルタ109及びジョイント89の流体抵抗は、この実施形態では、それぞれ1e10[Pa・s/m3]、2e9[Pa・s/m3]のものとしている。
【0063】
ここで、記録ヘッド10から安定した吐出ができる圧力損失の限界値を2.5kPaとし、全ノズルから連続してインクを吐出した場合には0.1cc/sの吐出流量となる。その時の圧力損失は、6.9kPaである。圧力制御ユニット81がない場合でも3.94kPaとなるので、単純な水頭差インク供給システムでは自然供給することはできない。
【0064】
このようにインク供給系の抵抗により圧力損失が増大しリフィルが不足するときに、ポンプ78を駆動して第3の流路43からインクを矢印Qa(Qaはアシスト流量、あるいはアシスト用液体の流れであるが、便宜上矢印の符号としても使用する。)の方向に送り出す。このポンプ78の送液によってインクの供給不足量を補う(リフィルアシスト)ことができる。
【0065】
記録ヘッド10の吐出流量とポンプ78の送液量(アシスト流量)と記録ヘッド10の圧力の関係の一例を図13に示している。図13は、アシスト流量を0〜0.2cc/sとしたときのヘッド吐出流量に対するインク供給系の圧力損失の変化を示している。前述したように、アシスト流量が「0」のときは、ヘッドの圧力損失は約7kPaとなり、インクを連続吐出できず、噴射不良となってしまうが、ポンプ78によりアシストすることにより圧力損失が1kPa以下程度となり、連続吐出することができる。
【0066】
ここで、前述した図10を参照して本インク供給システムのアシスト原理について説明する。
図10(a)は記録ヘッド10から滴吐出を行っていない状態、あるいは、吐出流量が少ない条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。この状態では、弁体88はポート86b側にある。図10(a)に示すように、管部材87と弁体88の下部88bの間のギャップGbが管部材87と弁体88の上部88tのギャップGtよりも大きいこと、更に、ポート86aの先には図9に示すように流体抵抗の大きい液体供給チューブ71やフィルタ109があるため、矢印Qaで示すポンプ78によって送液されたインクは、流れやすいポート86b側に流れる(矢印C)。したがって、ポンプ78によって発生するインクの流れは、図9におけるポンプユニット80と流路抵抗可変ユニット83で形成されるループ経路内を循環するだけであり、記録ヘッド10の圧力にはほとんど影響を与えない。
【0067】
一方、図10(b)は記録ヘッド10の吐出流量が多い条件での流路抵抗可変ユニット83の状態を示している。管部材87と弁体88の上部88tのギャップGtを狭く設定することで、矢印Qhで示す記録ヘッド10からの滴吐出によるインクの流れによって、弁体88がポート86a側に引かれ弁体88が移動する(図で上方向に移動する。)。これにより、弁体88の下部88bが管部材87の小径部(流路部分87b:第2の絞り部182)に移動し、管部材87と弁体88の下部88bの間のギャップは小さいギャップGb1となる。矢印Qaで示すようにポンプ78によって送液されるインクは、この狭いギャップGb1を流れようとする(矢印D)ので、圧力が発生する。この圧力が、記録ヘッド10にインクが流れる際に発生する圧力損失を低減させ、大流量のインク供給を実現することができる。
【0068】
この流路抵抗可変ユニット83では、記録ヘッド10の吐出流量が増して圧力損失が大きくなる条件ほど、弁体88の下部88bの周面と管部材87の流路部分87bとのインクの流れ方向の対向長さ(第2の絞り部182の長さ)が長くなって、弁体88の下部88bと管部材87の狭ギャップGb1の長さが長くなり、よりポンプ(アシストポンプ)78による増圧効果を大きくする。これにより、従来のように流量調整弁を他のアクチュエータ等で制御する煩雑さがなく、簡易な構成で自動的に安定したインク供給を実現することができる。
【0069】
このように、このインク供給システムにおいては、狭ギャップGb1の形状とこの部分を流れる液体の流量によって増圧効果が決定される。高速記録により記録ヘッド10から消費されるインク量が増大すると、弁体88を持ち上げる力が増大し、ついには弁体88が管部材87の中で移動できる限界点に達すると、ギャップGb1の長さが変化しなくなるため、アシスト作用は飽和することになる。したがって、それ以上に記録ヘッド10への流量が増加すると、その増加分に相当する圧力損失が発生することになり、場合によってはリフィル不足が発生する。
【0070】
この場合、弁体88が上死点に達するような条件に対応するために、図10(b)の矢印Dに示す液体の流量を増やすことが考えられる。ここで、ポンプ流量を大きくして増圧効果を効率よく得るための流路の条件について図14を用いて説明する。
この図14は、インクカートリッジ76から流路抵抗可変ユニット83までの配管の模式的説明図であり、図14(a)は第2の流路60のうち流路抵抗可変ユニット83から分岐部63までの弁側流路60aの流体抵抗を分岐部63からインクカートリッジ76までのカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも小さくした場合(流路60aを相対的に太く図示して示している。)を示す図である。一方、図14(b)は弁側流路60aの流体抵抗をカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも大きくした場合(流路60bを相対的に太く図示している。)を示す図である。
【0071】
前述したように、流路抵抗可変ユニット83で発生するアシスト圧(増圧)を大きくするためにポンプ78の流量を大きくすると、まず図14(a)の条件では、弁側流路60aの流体抵抗がカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも小さいので、ポンプ78が弁側流路60aからインクを吸い出しやすくなる。その結果、ポンプ78によって流路抵抗可変ユニット83に流入するインクが、矢印Eで示すポンプ78の吸引するインクに使われてしまい、矢印Fの流量が不足し、十分なアシスト圧を発生できなくなる。
【0072】
一方、図14(b)のように、弁側流路60aの流体抵抗がカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも大きい条件にすると、ポンプ78がカートリッジ側流路60bからインクを吸い出しやすくなる。したがって、ポンプ78によって流路抵抗可変ユニット83に流入するインクが、矢印Hで示すようにインクカートリッジ76から優先的に供給され、流路抵抗可変ユニット83からのオーバーフローが矢印Gのように流れる形態となるので、図14(a)の構成のように、ポンプ流量を増加した場合のリフィル不足の不具合は発生せず、効率よくアシスト圧を増加することができる。
【0073】
つまり、圧力調整弁と分岐部の間の流体抵抗が分岐部と液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい構成(図14(b)の構成)とすることで、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁から液体を吸い出してアシスト効率を低下させることを抑制して、より効率よく圧力損失低減を行なうことができようになる。
【0074】
次に、本発明の第2実施形態におけるインク供給システムについて図15を参照して説明する。なお、図15は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、分岐部63にバッファタンク150を設けている。この実施形態の作用について前述した第1実施形態との比較において説明する。
【0075】
前述した第1実施形態における構成(図9の構成)における分岐部63のインクの流れの説明図を図16(a)に示している。図16(a)に示すように、各流路60a、60b、62が一点で近接していると、弁側流路60aの流体抵抗がカートリッジ側流路60bの流体抵抗よりも大きい条件にしていても、第4の流路62の流量Qaが大きくなった場合に、分岐部63での吸い込み流速が大きくなり、弁側流路60aからインクを引っ張りやすくなる。
【0076】
そこで、この第2実施形態(図15の構成)のように、分岐部63にバッファタンク150などの大容量部を備えた場合、インクの流れは図16(b)に示すようになる。つまり、各流路60a、60b、62を離間させ、それらの間に比較的大きな容積を設けることにより、第4の流路62の流量Qaが大きくなっても、バッファタンク150で流れが減速されるので、弁側流路60aとカートリッジ側流路60bの流体抵抗の関係で決まる流れを安定的に形成することができる。
【0077】
次に、本発明の第3実施形態におけるインク供給システムについて図17を参照して説明する。なお、図17は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の弁側流路60aに流体抵抗が変化する絞り可変弁151を配置している。
【0078】
この絞り可変弁151は、例えば図18(a)に示すように、内部に形成された流路153の一部に変形可能な梁152が設けられている。梁152は、その先端が流路抵抗可変ユニット83側に傾斜して設けられており、隙間d1に流路を絞っている。ここで、図18(a)の矢印Jで示す方向の流れが弱い条件では、絞り可変弁152の絞りの開口が隙間d1であるが、内部を流れるインクの流量が増加して、図18(b)に示すように矢印Kで示すように方向の流れが強い条件になると、梁152が撓んで絞りの開口が隙間D2に狭められる(d2<d1)。
【0079】
したがって、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の弁側流路60aに絞り可変弁151を設けることにより、リフィル不足を防止するためにポンプ78からの流量を増加したときに、絞り可変弁151によって弁側流路60aの流体抵抗が増大し、ポンプ78が弁側流路60aからインクを吸い出すことによるアシスト効率の低下を防止することができる。
【0080】
なお、絞り可変弁151としては、流路抵抗可変ユニット83から分岐部63に向かう流れの流量が増大する場合に流体抵抗が大きくなる特性を有すれば良いので、図18に示したものに限られず、例えば図19に示すように、ばね156と弁体155を流路154内に備え、矢印J,Kで示すインク流量に応じて、弁体155が昇降してインクが流れるギャップがギャップg1〜g2の範囲で変化する構成としたのものなどを用いることもできる。
【0081】
このように、圧力調整弁と分岐部の間に抵抗可変弁を備え、抵抗可変弁は圧力調整弁から分岐部への液体の流量が多くなると流体抵抗が増加する特性であるので、より大きなアシスト圧を発生させるために送液手段による送液量を増加する場合に、抵抗可変弁の作用によって送液手段が圧力調整弁から液体を吸い出しにくくすることができ、送液手段の送液量を増量することによるアシスト効率の低下を抑制でき、より効率よく圧力損失低減を行なうことが可能になる。
【0082】
次に、本発明の第4実施形態におけるインク供給システムについて図20を参照して説明する。なお、図20は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、前記第3実施形態と同様に、流路抵抗可変ユニット83と分岐部63の間の弁側流路60aに絞り可変弁151を配置し、更にこの絞り可変弁151の両端に連通するバイパス流路165を設けている。このバイパス流路165は流路抵抗可変ユニット83で取り得る最大の流体抵抗値相当の抵抗となるように設定される。なお、絞り可変弁151としては上述した図19に示す構成のものを用いている。
【0083】
したがって、図19に示すように、絞り可変弁151の弁体156によって形成されるギャップg1、g2がある程度確保されている条件では、インクはこのギャップg1、g2を流れ、アシスト圧を発生する。さらに、インク流量が多くなった場合には、図21に示すように、矢印Lで示す方向のインク流量によって弁体156が完全に流路を閉塞する状態となる。このような状態になっても、この実施形態ではバイパス流路165が設けられているので、インクはバイパス流路165を流れることができる。
【0084】
このように流路抵抗可変ユニット83内の流路が完全に閉塞しても、バイパス流路165によってインクカートリッジ76と記録ヘッド10は連通状態を保つので、両者の水頭差を利用しながら安定した圧力制御を実現することができる。また、バイパス流路を備えることで、絞り可変弁151の選択範囲を拡大することができる。
【0085】
つまり、抵抗可変弁のバイパス流路を備えることで、抵抗可変弁を用いてアシスト効率の低下を抑制するときに、抵抗可変弁が閉塞状態になる場合も含めて、バイパス流路によって確実に液体タンクと圧力調整弁を連通させることができ、記録ヘッドの圧力を安定させることができるとともに、抵抗可変弁の設計条件を拡大することができる。
【0086】
次に、本発明の第5実施形態におけるインク供給システムについて図22を参照して説明する。なお、図22は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、インクカートリッジ76とポンプ78を第5の流路64で直接連通させている。このような構成にすることで、ポンプ78はより確実にインクカートリッジ76からインクを吸い上げるようにすることができる。
【0087】
この場合、インクカートリッジ76内において第2の流路60と第5の流路64を近接位置に設けると、ポンプ78の駆動により第2の流路60からインクを直接吸い上げて前述のアシスト効果を低下させる不具合が生じやすくなる。したがって、第2の流路60と第5の流路64は、吸引口部を相互に離間した位置とすることが好ましい。離間する構成としては、単に、第2の流路60と第5の流路64の吸引口部の位置を離すだけでなく、両者をインクカートリッジ76の異なる壁面に設ける構成や、いずれか一方を、インクカートリッジ76のより奥側に連通させる構成(図22の例)などを採用することができる。
【0088】
このように、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路は離間した位置で液体タンクに接続される構成とすることで、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。
【0089】
次に、本発明の第6実施形態におけるインク供給システムについて図23を参照して説明する。なお、図23は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
ここでは、上記第5実施形態と同様に、インクカートリッジ76とポンプ78を第5の流路64で直接連通させ、更に第2の流路60と第5の流路64の吸引口部が近接して配置するとともに、各々の間に仕切り部66を設けている。これにより、第2の流路60と第5の流路64の吸引口部が近接していても、前記第5実施形態と同様に、ポンプ78の駆動により第2の流路60からインクを直接吸い上げることを防止でき、確実にアシスト効率を向上することができる。
【0090】
このように、液体タンクと送液手段を直接連通する第5の流路を有し、第2の流路と第5の流路のそれぞれの液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている構成とすることで、送液手段による送液量を増加する場合に、送液手段が圧力調整弁ではなく確実に液体タンクから液体を吸い出すようにしてアシスト効率の低下を抑制し、より効率よく圧力損失低減を行なうことができる。
【0091】
次に、本発明の第7実施形態におけるインク供給システムについて図24を参照して説明する。なお、図24は同インク供給システムの全体構成を示す模式的説明図である。
この実施形態は、前記第5、第6実施形態と同様にインクカートリッジ76にポンプ78が直接接続する構成とし、更に前記第4実施形態と同様に絞り可変弁151とバイパス流路165を設けた構成としている。
【0092】
この実施形態においても、前記第4実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、ここでは、インクカートリッジ76におけるポンプ78との連通部(ジョイント89a)と流路抵抗可変ユニット83との連通部(ジョイント89b)を水平方向に離間して配置している。これにより、ポンプ78が流路抵抗可変ユニット83からインクを直接吸い出しにくくしている。
【0093】
なお、以上の説明においては大気開放部90を有するインクカートリッジ76を用いて動作等の説明を行ったが、本発明はインクを収容した袋を用いたインクカートリッジなどを用いた場合にも同様に適用できる。
【0094】
また、以上の説明においては、異なる色のインクが供給される例で本願発明の動作、効果を説明したが、同一色のインクを複数のヘッドに供給する場合や、色ではなく処方の異なるインクを複数のヘッドに供給する場合にも同様に適用することができる。また、狭義のインクを吐出する画像形成装置に限定されるものではなく、様々な液体を吐出する液体吐出装置(本発明でいう「画像形成装置」に含まれる。)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
4 キャリッジ
10 記録ヘッド
30 サブタンク
60 第2の流路
61 第3の流路
62 第4の流路
63 分岐部
64 第5の流路
71 液体供給チューブ(第1の流路)
76 インクカートリッジ(メインタンク:液体タンク)
77 カートリッジホルダ
78 ポンプ(アシストポンプ)
80 ポンプユニット
81 圧力制御ユニット
83 流体抵抗可変ユニット
87 管部材(流路形成部材)
88 弁体
151 絞り可変弁
165 バイパス流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
途中に分岐部を有し、前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記分岐部と前記送液手段を連通する第4の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記圧力調整弁と前記分岐部の間の流体抵抗が前記分岐部と前記液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記分岐部にバッファタンクを備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記圧力調整弁と前記分岐部の間に抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記分岐部への液体の流量が多くなると流体抵抗が増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路は離間した位置で前記液体タンクに接続される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路のそれぞれの前記液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の流路には流体抵抗が変化する抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量が設定値よりも多くなったとき、又は、前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量に応じて流体抵抗が増加することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記抵抗可変弁をバイパスするバイパス流路を備えていることを特徴とする請求項3又は6に記載の画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
途中に分岐部を有し、前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記分岐部と前記送液手段を連通する第4の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記圧力調整弁と前記分岐部の間の流体抵抗が前記分岐部と前記液体タンクの間の流体抵抗よりも大きい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記分岐部にバッファタンクを備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記圧力調整弁と前記分岐部の間に抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記分岐部への液体の流量が多くなると流体抵抗が増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路は離間した位置で前記液体タンクに接続される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留する液体タンクと、
前記記録ヘッドに前記液体を供給する第1の流路と、
前記液体タンクに連通する第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を連通させる圧力調整弁と、
前記圧力調整弁に前記液体を送る送液手段と、
前記圧力調整弁と前記送液手段を連通する第3の流路と、
前記液体タンクと前記送液手段を直接連通する第5の流路と、を有し、
前記圧力調整弁は、前記第1の流路を流れる液体の流量に応じて内部の流路抵抗が変化し、
前記ノズルから液滴を吐出するときには、前記圧力調整弁を介して前記記録ヘッドと前記液体タンクが連通している状態で、前記送液手段により前記液体を前記液体タンクから前記記録ヘッドに送液し、
前記第2の流路と前記第5の流路のそれぞれの前記液体タンクとの連通部の間に仕切り部が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の流路には流体抵抗が変化する抵抗可変弁を備え、前記抵抗可変弁は前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量が設定値よりも多くなったとき、又は、前記圧力調整弁から前記液体タンクへの前記液体の流量に応じて流体抵抗が増加することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記抵抗可変弁をバイパスするバイパス流路を備えていることを特徴とする請求項3又は6に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−274608(P2010−274608A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131499(P2009−131499)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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