説明

画像形成装置

【課題】画像読取部の位置調整機構を持った画像形成装置において、調整機構により画像読取部が移動や姿勢の変化があっても、外装カバー間の隙間や段差が生じにくくする。
【解決手段】調整板41は、固定ネジ63を緩めることで、フレーム42に設けられた凸形状62と調整板の穴形状のガイドにより、矢印64の方向に可動となっている。そして、カバーのネジ固定位置は、調整板41に設けられたネジ穴61に固定される。これにより、カバーが調整板41に追従して動くことになる。すなわち移動する調整板41に固定されていることで、調整時にカバーも追従して動き、カバー合わせ部での段差や隙間が発生しにくくなり、またカバーを外さなくてもスキャナ部の着脱が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取部を有し、その画像読取部の位置調整機構を持つ画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取部を持つ画像形成装置においては、オプション構成による画像読取部の移動や、画像読取部の位置調整機構を備えるものが存在している。このような構成を有する画像形成装置では、それら装置自体の形状変更対して、いかに外観に違和感を持たせずに外装カバーによって対応するかが課題とされている。
【0003】
前記課題を解決するための従来技術としては特許文献1に開示されているものを挙げ得る。この特許文献1に開示されている発明では、オプションの組み合わせによる形状変更にはカバーつなぎ部のカットで対応し、カバーの追加も考えらており、これが一般的に採用されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−136133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オプション構成による大きな移動であれば前記部品のカットや追加で対応できるが、昨今の高画質対応による画像読取部の調整機構はその調整量は、数mmもしくは1mm以下であるため、カバーのカットや追加では対応が困難である。できたとしても部品が増えてコストアップとなってしまう。
【0006】
また些細な事であるがゆえに問題として放置されがちであり、その結果としてカバー間の隙間や段差が発生し、外観品質を低下させてしまっている。
【0007】
なお、ユーザの目に触れる外装の段差は例えば1mm以下を目標とするなどして設計が行われている。
【0008】
そこで本発明は、画像読取部の位置調整機構を持った画像形成装置において、調整機構により画像読取部が移動や姿勢の変化があっても、外装カバー間の隙間や段差が生じにくくすることを目的とする。
【0009】
なお以下に説明する画像読取部を有し、その画像読取部の位置調整機構を持つ画像形成装置は、後述する実施例では、画像読取部の片持ち構造であるが、本発明は、片持ち構造を持つ画像形成装置には限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、画像読取部と、該画像読取部の位置調整機構を有する画像形成装置において、
前記調整機構の全体もしくは一部を覆う外装カバーを前記調整機構が備える移動する調整部材に固定し、
該移動する調整部材に前記カバーを追従可能としてなる
ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係るものは、請求項1の画像形成装置において、前記調整部材に設ける前記外装カバーを固定するための止め穴を長穴とし、該長穴の上下部位を前記外装カバーの固定位置の位置決め部位とし、前記調整部材の調整時の移動方向が斜め方向でも対応可能としてなることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係るものは、請求項2の画像形成装置において、前記外装カバーの前記長穴への装着を、前記外装カバーが備えるボス部材の嵌着位置決めによることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係るものは、請求項3の画像形成装置において、前記長穴を、前記調整部材に代えて前記調整機構の調整板に設け、該長穴の上下部位を前記外装カバーの固定位置の位置決め部位とし、前記調整部材の調整時の移動方向が斜め方向でも対応可能としてなることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかの画像形成装置において、前記カバーは、前記調整機構による調整時に作業する部位を露出させるキャップ等の開放手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかの画像形成装置において、前記カバーの前記調整機構に対する装着、固定に、段ネジを用いてなることを特徴とする。
【0016】
請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかの画像形成装置において、前記外装カバーと隣接する他のカバーをスキャナに固定してなることを特徴とする。
【0017】
請求項8に係るものは、請求項7の画像形成装置において、前記外装カバーの前記調整部材に固定されていない側の固定位置は、前記スキャナを支持するフレームの片持ち部の起点よりも根元側、もしくは、前記スキャナが構造体に着地もしくは固定されている部位を挟んで反対側としてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動する調整部材に固定されていることで、調整時にカバーも追従して動き、カバー合わせ部での段差や隙間が発生しにくくなり、またカバーを外さなくてもスキャナの着脱が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお以下に説明する実施例では複写機を例にとって説明するが、本発明は複写機としての実施には限定されず、画像形成を行う種々の装置に適用可能である。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施対象とする画像形成装置の一例の模式図であり、図中11は画像形成部(以下、プロッタ部)、12は画像読取部(以下、スキャナ部)13は操作部である。プロッタ部11とスキャナ12部の間には排紙用の空間が設けられ、スキャナ部12の一部は中空に浮いている。
【0021】
図2は、図1の画像形成装置の詳細を若干拡大して示す斜視図である。図中21は、スキャナ部12への操作部13の取り付け部位、22はスキャナを支持するフレームの片持ち部の起点部位である。
【0022】
また図3は、図2の画像形成装置のスキャナ部を拡大した図である。図中31はカバー、32はカバー31のネジ固定位置、33は、着脱可能なキャップ、34はカバー31の固定位置調整板、35は後述するスキャナ支持フレーム42の片持ち部の起点部位、36は、カバー31への操作部13の固定位置である。
【0023】
図4は、図3から、カバーと操作部を除いた状態の斜視図である。41は調整板、42はフレーム、43はネジ穴である。カバー31は、後述するように、調整板41に設けられたネジ穴61に固定され、調整板41に追従して動く。調整板41は、スキャナ支持フレーム42に対して可動な構成となっている。
【0024】
図5は、図4を反対側から見た斜視図である。スキャナ部12は調整板41に着座しており、調整板41の動きにより位置調整が行われるようになっていることを示してある。
【0025】
図6は、図4のスキャナ支持部を拡大した斜視図、図7はスキャナ支持部を真横から見た側面図である。調整部材41は、固定ネジ63を緩めることで、フレーム42に設けられた凸形状62と調整部材の穴形状のガイドにより、図中の矢印64の方向に可動となっている。そして、カバー31のネジ固定位置32は、調整板41に設けられたネジ穴61に固定される。これにより、上述のように、カバー31が調整板41に追従して動くことになる。
【0026】
カバー31は、自身に設けられたボス(図示を省略してある)を図6中に示す調整板41に設けられた穴65に嵌めて上下方向に位置決めされるようになっている。すなわち、図7から良くわかるように、調整板41に設けられた穴65は横長穴であり、したがってボスの上下位置を決め得る。なお、この構造により、調整時の移動が斜め方向でも対応でき、カバー31の隙間に変動が無い。またネジ締結による軸方向の圧力が無いため、調整板41の移動に負荷とならないし、カバー31の捩れが発生しない。
【0027】
またカバー31のキャップ33は着脱可能で、キャップ33を外すと、調整板41を調整する時に緩めることになる固定ネジ63(図6)にアクセスが可能になる(図3と図6の位置関係を参照されたい)。カバーを外さなくても調整できる点も好ましい利点となる。
【0028】
なお調整部材41と追従して可動なカバー31と隣接する操作部13およびそのカバーの固定(図3中に符号36で示す)は、図4に示したスキャナ部12に設けたネジ穴43に対してネジ止めすることで行われる。調整機構と同様に動くスキャナ部12に固定するため、相対位置が維持されて、カバー31の隙間が大きくならない。
【0029】
また図3中に示すカバー31の固定位置34は、スキャナ支持フレーム42の片持ち部の起点(図中符号35で示す)よりも根元側である。カバー31の固定位置34の間隔を大きくでき、調整による移動がカバー31の姿勢に大きく影響を及ぼさないようにすることができるようになるので外観を損なわないで済む。また根元側の固定点34を中心にカバー31の姿勢が変わるので、根元側のカバー合わせ部(図2中に符号22で示した部位)で段差や隙間が発生しない。
【0030】
なおカバー31の固定に段ネジを用いれば、調整時の移動に負荷とならないだけでなく、カバー31に捩れが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施対象とする画像形成装置の一例の模式図
【図2】図1の画像形成装置の詳細を若干拡大して示す斜視図
【図3】図2の画像形成装置のスキャナ部を拡大した図
【図4】図3から、カバーと操作部を除いた状態の斜視図
【図5】図4を反対側から見た斜視図
【図6】図4のスキャナ支持部を拡大した斜視図
【図7】スキャナ支持部を真横から見た側面図
【符号の説明】
【0032】
11:画像形成部(プロッタ部)
12:画像読取部(スキャナ部)
13:操作部
21:スキャナ部への操作部の取り付け部位
22:スキャナを支持するフレームの片持ち部の起点部位
31:カバー
32:カバーのネジ固定位置
33:キャップ
34:カバーの固定位置調整板
35:スキャナ支持フレームの片持ち部の起点部位
36:カバーへの操作部の固定位置
41:調整板
42:フレーム
43:ネジ穴
61:ネジ穴
62:凸形状
63:固定ネジ
65:穴(横長穴)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取部と、該画像読取部の位置調整機構を有する画像形成装置において、
前記調整機構の全体もしくは一部を覆う外装カバーを前記調整機構が備える移動する調整部材に固定し、
該移動する調整部材に前記カバーを追従可能としてなる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記調整部材に設ける前記外装カバーを固定するための止め穴を長穴とし、
該長穴の上下部位を前記外装カバーの固定位置の位置決め部位とし、
前記調整部材の調整時の移動方向が斜め方向でも対応可能としてなる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
前記外装カバーの前記長穴への装着を、前記外装カバーが備えるボス部材の嵌着位置決めによる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
前記長穴を、前記調整部材に代えて前記調整機構の調整板に設け、
該長穴の上下部位を前記外装カバーの固定位置の位置決め部位とし、
前記調整部材の調整時の移動方向が斜め方向でも対応可能としてなる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの画像形成装置において、
前記カバーは、前記調整機構による調整時に作業する部位を露出させるキャップ等の開放手段を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの画像形成装置において、
前記カバーの前記調整機構に対する装着、固定に、段ネジを用いてなる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの画像形成装置において、
前記外装カバーと隣接する他のカバーをスキャナに固定してなる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
前記外装カバーの前記調整部材に固定されていない側の固定位置は、
前記スキャナを支持するフレームの片持ち部の起点よりも根元側、もしくは、前記スキャナが構造体に着地もしくは固定されている部位を挟んで反対側としてなる
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−34958(P2010−34958A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196267(P2008−196267)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】