説明

画像形成装置

【課題】張力付与ローラの周面の磨耗状態を均等化する画像形成装置を提供する
【解決手段】制御部が、1乃至複数枚の画像を形成する画像出力の画像形成が終了した後、次の画像出力が存在しないときに10インチつまり254mm後進させる処理を実行し、また手動操作により後進の指示が行なわれたときには1/6インチつまり4.23mm後進させる処理を実行することを考慮して、254mmと4.23mmの整数倍および整数分の1倍を避けた周長の張力付与ローラ13を製作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続紙に画像を形成する画像形成装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。この特許文献1、2には、連続紙を前進させているときにその連続紙に張力付与ローラで張力を与えて連続紙を弛ませないようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−248733号公報
【特許文献2】特開2007−169053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、張力付与ローラを張力付与させつつ回転させると、連続紙がその幅方向の一方に寄ってしまう、いわゆる片寄せが発生する恐れがあるため、張力付与ローラは回転させずに停止させたまま用いられる。この張力付与ローラを回転させずに停止させたまま用いると、張力付与ローラの特定の部分だけが磨耗する。
【0004】
本発明は、張力付与ローラの周面の磨耗状態を均等化する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の画像形成装置は、前進方向に走行中の連続紙上に画像を形成する画像形成部と、
連続紙の搬送方向について上記画像形成部よりも下流側に配置され、その連続紙を上記前進方向に搬送する搬送ローラと、
連続紙の搬送方向について上記画像形成部よりも上流側に配置され、その連続紙を後進させる逆駆動ローラと、
連続紙の搬送方向について上記画像形成部よりも上流側に配置されてその連続紙に接し、その連続紙が上記搬送ローラにより前進方向に搬送されているときに停止してその連続紙に後進方向の張力を付与するとともにその連続紙が後進するときはその連続紙の後進に従動して回転する張力付与ローラとを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の画像形成装置は、1乃至複数枚の画像を形成する画像出力の画像形成が終了し画像形成待ちの次の画像出力が存在しないときに連続紙の搬送を停止してその連続紙を規定長だけ後進させる制御部を備え、
上記張力付与ローラは、上記規定長の整数倍および整数分の1倍を避けた周長を有することを特徴とする。
【0007】
請求項3の画像形成装置は、上記制御部は、後進の指示を受けて連続紙を単位長の整数倍後退させるものであって、
上記張力付与ローラは、上記規定長の整数倍および整数分の1倍を避けるとともに、さらに上記単位長の整数倍および整数分の1倍を避けた周長を有することを特徴とする。
【0008】
請求項4の画像形成装置は、上記張力付与ローラは、上記逆駆動ローラとの間に連続紙を挟む位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記請求項1の画像形成装置によれば、連続紙の後進に従動して張力付与ローラを回転させて、連続紙の前進時に張力付与ローラが連続紙に接する位置を変更することができる。
【0010】
上記請求項2の画像形成装置によれば、上記張力付与ローラが停止して連続紙に接する位置を、1乃至複数枚の画像を形成する画像出力を終了させた後の連続紙の後進処理ごとに変更することができる。
【0011】
上記請求項3の画像形成装置によれば、上記張力付与ローラが停止して連続紙に接する位置を、手動操作で連続紙を後進させる度に変更することができる。
【0012】
上記請求項4の画像形成装置によれば、連続紙の前進時には逆駆動ローラと張力付与ローラとが連携して連続紙に張力を与えることができ、連続紙の後進時には、逆駆動ローラと張力付与ローラとが連携して連続紙を後進させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1を示す図である。
【0015】
図1には、画像形成装置1の内部の画像形成部10周辺の構成が抜粋されており、画像形成部10の上流側に位置する給紙部(不図示)からその画像形成部10を経由して画像形成部の下流側に位置する排紙部(不図示)にまで連続紙180が長々と連なっている状態が示されている。
【0016】
構成を簡単に説明する。
【0017】
図1の画像形成装置1には、前進方向に走行中の連続紙180上に画像を形成する画像形成部10が備えられている。本実施形態では、画像形成部10の一例として、感光ドラム100とその感光ドラム100よりも連続紙の搬送方向について下流側に位置する定着器101とで構成された画像形成部10が示されている。
【0018】
またその画像形成部10よりも連続紙180の搬送方向について下流側には、その連続紙180を前進方向に搬送する搬送ローラ11が備えられており、その画像形成部10よりも上流側にはその連続紙180を後進させる逆駆動ローラ12が備えられている。搬送ローラ11は回転することにより連続紙180をA方向に前進させ、逆駆動ローラ12は回転することにより連続紙180をB方向に後進させる。この例では2つの逆駆動ローラ120,121が設けられた例が示されている。
【0019】
また本実施形態の画像形成装置1には、連続紙180の搬送方向について上記画像形成部10よりも上流側に配置されてその連続紙180に接し、その連続紙180が搬送ローラ11により前進方向(A方向)に搬送されているときは停止してその連続紙180に後進方向の張力を付与するとともに、連続紙180が後進するときは連続紙180の後進に従動して回転する張力付与ローラ13が備えられている。この例では、その張力付与ローラ13が上記2つの逆駆動ローラ120,のうちの一方の逆駆動ローラ121との間に連続紙180を挟む位置に配置されている。
【0020】
この張力付与ローラ13で張力が与えられた連続紙に感光ドラム100・定着部101によって画像が形成される。なお図1には、2つの補助搬送ローラP,Qと連続紙の姿勢矯正用のローラRも図示されている。
【0021】
上記搬送ローラ11の駆動と、上記逆駆動ローラ12の駆動は、本発明にいう制御部の一例を構成するマイクロコンピュータ14によって制御される。マイクロコンピュータ14のROM内には、連続紙を前進させたり後進させたりする等の搬送に関わるプログラムが格納されており、そのプログラムの手順にしたがってマイクロコンピュータ14から搬送ローラ11を駆動する駆動部11Aに指示が与えられたり、逆駆動ローラ12を駆動する駆動部12Aに指示が与えられて、それらの駆動部11A,12Aの駆動により回転する搬送ローラ11や逆駆動ローラ12により連続紙180の搬送が行なわれる。
【0022】
この本実施形態のマイクロコンピュータ14は、搬送ローラ11の駆動部11Aおよび逆駆動ローラの駆動部12Aに順次指示して1乃至複数枚の画像を形成する画像出力の画像形成が終了し画像形成待ちの次の画像出力が存在しないときに連続紙180の搬送を停止させて連続紙180を規定長だけ後進させ、次の画像出力の画像形成を開始するときにはその前の画像出力で形成された画像の終端に続けて画像を形成することで連続紙内に空白を形成しない処理を実行する。この例ではマイクロコンピュータ14が、画像出力が終了し次の画像出力が存在しないときに駆動部11A,12Aに指示して連続紙の搬送を停止させて規定長の一例となる10インチ後進させる処理を実行する。
【0023】
またマイクロコンピュータ14は、手動操作による後進の指示を受けて連続紙180を単位長の整数倍後退させる処理も実行する。図1には単位長の一例として1/6インチ後進させる処理を行なう例が示されている。
【0024】
ここで、逆駆動ローラ12と張力付与ローラ13の部分を抜粋してそれらの構成の詳細を説明する。
【0025】
図2は、図1の張力付与ローラ13および逆駆動ローラ12付近の拡大図である。
【0026】
図2に示す様に、2つの逆駆動ローラ12は回転することにより連続紙をB方向に後進させる。この例では、2つの逆駆動ローラのうちの1つの逆駆動ローラ120の方にはその逆駆動ローラ120との間に連続紙180を挟む位置に従動ローラ122が設けられており、この従動ローラ122は、連続紙180を後進させるときにだけ、連続紙180に接する位置に配置され連続紙180を挟んで後進させる。また、その逆駆動ローラ120の上流側には、もう一つ逆駆動ローラ121が備えられており、その逆駆動ローラとの間に連続紙180を挟む位置には張力付与ローラ13が配置されている。この張力付与ローラ13は、連続紙180を前進させるときは逆駆動ローラ12とともに停止して、逆駆動ローラ12の駆動により連続紙180を後進させるときにはその連続紙の搬送に従動して回転する。
【0027】
このため、張力付与ローラ13は、連続紙180を前進させるときには停止して連続紙180に張力を与えて連続紙180が弛むのを防止し、連続紙180を後進させるときには従動して回転して補助ローラとしての機能を担うとともに連続紙の搬送に従動して回転して連続紙を前進させるときの張力付与ローラの連続紙に接する位置を変更するという機能を担う。
【0028】
図1の画像形成装置1は、以上説明した様な構成を持つ。
【0029】
ところで、図1、図2の構成にすると、搬送ローラ11の回転により連続紙180を前進させているときには張力付与ローラ13が停止して連続紙180に張力が与えられる。このため張力付与ローラ13が停止したままであると、張力付与ローラ13が連続紙180に接する位置がいつも同じ位置になるためにその位置だけが磨耗する。前述の特許文献2のように張力付与ローラ13を回転させることにより張力付与ローラ13の周面の同じ位置の磨耗を防止することができるが、張力付与ローラ13を回転させるためには駆動部をもう一つ余分に設けなければならない。
【0030】
そこで本実施形態では、逆駆動ローラ12の回転により連続紙180を後進させるときは張力付与ローラ13を連続紙の搬送に従動して後進させる構成にして張力付与ローラ13が連続紙180に接する位置の変更を行なうことが可能な構成にし、さらにその張力付与ローラ13の周長に工夫を凝らして連続紙180を後進させた後の張力付与ローラ13が連続紙180に接する位置を、画像出力ごとに、また手動操作による後進処理が行なわれる度に異ならせることにより、張力付与ローラ13の周面の磨耗が均等化されるように構成している。
【0031】
具体的には、前述した様に、制御部の一例を構成するマイクロコンピュータ14が、1つの画像出力が終了して次の画像出力が存在しないときに規定長である10インチ後進させる処理を行なうことと、手動操作に応じて単位長である1/6インチ後進させる処理を行なうこととを考慮して、張力付与ローラ13の周長を、その規定長である10インチの整数倍および整数分の1倍を避けるとともに、さらに単位長である1/6インチの整数倍および整数分の1倍を避けた周長である20mmにしている。
【0032】
このため、張力付与ローラ13が連続紙180に接する位置が画像出力ごとに変更され、さらに手動操作による後進の指示にしたがって後進させた後の張力付与ローラ13の連続紙180に接する位置が上記画像出力ことに変更された位置とは重ならない位置に変更される。
【0033】
その結果、張力付与ローラ13の周面の、連続紙180に接する同じ位置の磨耗が防止され周面の磨耗が均等化される。
【0034】
なおこの張力付与ローラ13を後進させるときにだけ回転させる構成にするのは容易であり、張力付与ローラ13に公知技術である1ウエイクラッチを備えさせれば良い。
【0035】
最後に図3を参照して具体的な数値を掲げて本発明の作用を説明する。
【0036】
図3は、搬送ローラ11と逆駆動ローラ12と感光ドラム100との位置関係を示す模式図である。
【0037】
図3には、上記した様に張力付与ローラ13の直径を20mmにした場合の例が示されている。
【0038】
前述した様に、本発明にいう制御部の一例を構成するマイクロコンピュータ14は1乃至複数枚の画像を形成する画像出力が終了して次の画像出力が存在しないときには連続紙180を規定長である10インチつまり254mm後進させる処理を実行する。また手動操作により後進の指示が行なわれたときには連続紙180を1/6インチつまり4.23mm後進させる処理を実行する。
【0039】
そこで、この254mmと4.23mmの整数倍および整数分の1倍を避けた周長になる直径20mmの張力付与ローラ13を製作して、連続紙180の後進処理が行なわれた後においては張力付与ローラ13が連続紙180に接する位置gが、その前に接していた位置hからは変更される構成にしている。
【0040】
この例では、張力付与ローラの直径を20mmとし周長を20×3.14=62.8mmにしてマイクロコンピュータ14の制御の下に連続紙180を10インチ後進させる処理が行なわれた後においては、張力付与ローラ13が図3に示す様に254mm÷62.8mm=4.044、つまり4回転と16度回転して図3の符号gの位置に停止し、連続紙に接する位置hからは外れた位置に停止する構成としている。
【0041】
この構成にすると画像出力で連続紙上に1乃至複数枚の画像が形成される度に連続紙の後進に従動して張力付与ローラ13が回転して、張力付与ローラ13の連続紙180に接する位置が画像出力ごとに変更されて張力付与ローラ13の周面の磨耗が均等化される。
【0042】
また、手動操作による後進の指示においては後進処理ごとに張力付与ローラが連続紙180に接する位置が変更され、たとえ後進処理が連続的に行なわれて張力付与ローラ13が一回転したとしても張力付与ローラ13が連続紙180に接する位置が一回転する前の位置からは変更されて張力付与ローラ13の周面の磨耗が均等化される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の画像形成装置1の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の張力付与ローラ13および逆駆動ローラ12付近の拡大図である。
【図3】搬送ローラと逆駆動ローラと感光ドラムとの位置関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成装置
10 画像形成部
11 搬送ローラ
12 逆駆動ローラ
120 逆駆動ローラ
121 逆駆動ローラ
122 従動ローラ
13 張力付与ローラ
14 マイクロコンピュータ(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前進方向に走行中の連続紙上に画像を形成する画像形成部と、
連続紙の搬送方向について前記画像形成部よりも下流側に配置され、該連続紙を前記前進方向に搬送する搬送ローラと、
連続紙の搬送方向について前記画像形成部よりも上流側に配置され、該連続紙を後進させる逆駆動ローラと、
連続紙の搬送方向について前記画像形成部よりも上流側に配置されて該連続紙に接し、該連続紙が前記搬送ローラにより前進方向に搬送されているときに停止して該連続紙に後進方向の張力を付与するとともに該連続紙が後進するときは該連続紙の後進に従動して回転する張力付与ローラとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
1乃至複数枚の画像を形成する画像出力の画像形成が終了し画像形成待ちの次の画像出力が存在しないときに連続紙の搬送を停止して該連続紙を規定長だけ後進させる制御部を備え、
前記張力付与ローラは、前記規定長の整数倍および整数分の1倍を避けた周長を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、後進の指示を受けて連続紙を単位長の整数倍後退させるものであって、
前記張力付与ローラは、前記規定長の整数倍および整数分の1倍を避けるとともに、さらに前記単位長の整数倍および整数分の1倍を避けた周長を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記張力付与ローラは、前記逆駆動ローラとの間に連続紙を挟む位置に配置されていることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−69666(P2010−69666A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237973(P2008−237973)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】