説明

画像形成装置

【課題】複雑な構成を用いることなく接触式の帯電手段表面に付着した異物を除去可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像ユニット5、転写ローラ17及びクリーニング装置9を備えており、感光体ドラム2を逆回転させながら現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給し、帯電ローラ3表面に帯電バイアスを印加することなく感光体ドラム2表面に供給された清掃用トナーを略均一に付着させて該表面の異物を清掃用トナーに付着させた後、感光体ドラム2を正回転させながら帯電ローラ3に帯電バイアスを印加して帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを移動させ、感光体ドラム2表面からクリーニング装置9に清掃用トナーを回収することによって、帯電ローラ3表面の清掃を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真法を用いた画像形成装置に関するものであり、特に感光体の帯電を行う帯電器の清掃に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置には、像担持体(感光体)表面を帯電させるために帯電器(帯電手段)が用いられている。帯電器としては、感光体と非接触に配置し、コロナ放電により感光体の表面を帯電させるコロトロン(若しくはスコロトロン)帯電器と、感光体に接触して若しくは非接触に配置されて感光体を帯電する帯電ローラ等の接触式の帯電器と、が知られている。しかし、近年、人体に有害なオゾンの排出量を減らすため、オゾン排出量がより少ない帯電ローラが採用されることが多くなっている。
【0003】
このような接触式の帯電器を用いる場合、像担持体である感光体表面がトナーの成分や転写紙の紙粉等の異物で汚染されていると、これら異物が、例えば帯電ローラの表面に移動し帯電不良を起こす原因となり、帯電不良による画像品質の低下が生じていた。かかる帯電ローラの汚染(異物の付着)を防止するため、従来、帯電ローラに対して、回転式若しくは固定式のブラシやスポンジ等のクリーニング部材を接触させることにより、帯電ローラの清掃が行われていた。
【0004】
しかし、クリーニング部材を帯電ローラに当接させると、清掃ムラやクリーニング部材の劣化等が生じ、清掃性能を十分に発揮できず、帯電不良を防止できないという問題があった。かかる問題に対処するため、クリーニング部材を帯電ローラに対して接離等させる方法が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、帯電ローラを感光体及びクリーニング部材に対して接離させる接離機構を所定の位置に切り換えることにより、画像形成を停止した状態で長期間放置されても、帯電ローラが感光体表面を汚して白スジ等の異常画像を発生させることを防止する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ブラシ清掃部材を、接触帯電部材に対するクリーニングブラシの当接及び離間動作に連動して、クリーニングブラシから離間及び当接させることにより、クリーニングブラシを清掃し、簡易な構成で、帯電ローラ等の接触帯電部材に付着した異物の除去性能を長期にわたって維持可能とする方法が開示されている。
【0007】
しかし、特許文献1または特許文献2の方法では、帯電ローラに対するクリーニング部材の接離機構や、クリーニングブラシに対するブラシ清掃部材の接離機構を設ける必要があるため、装置の大型化や複雑化を招くおそれがある。また、かかる接離機構を設けても、印字動作中にはクリーニング部材が帯電部材に当接しているため、帯電ローラのクリーニングムラやクリーニング部材の劣化といった問題が生じ、帯電ローラを十分に清掃できないおそれがある。そこで、このような接離機構を設けない方法が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献3には、潜像担持体(像担持体)に静電的に付着させたトナーを接触帯電部材に接触通過させて接触帯電部材を清掃することにより、新たな構成部品を増設することなく、接触帯電部材に付着するトナーや外添剤を簡便に低減することを可能とする方法が開示されている。また、かかる特許文献3には、像担持体上のトナーが接触帯電部材に接触通過する間、接触帯電部材に交流を重畳した直流の電圧を印加することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−292626号公報
【特許文献2】特開2004−109870号公報
【特許文献3】特開2002−196569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献3の方法では、帯電ローラに電圧(帯電バイアス)を印加しながら像担持体表面のトナーを帯電ローラに接触させているため、像担持体表面のトナーの帯電量が増加してトナーと像担持体表面との間に静電気力が生じたり、帯電ローラと像担持体との間にトナーが帯電ローラから像担持体へと移動する方向の電位差が生じるおそれがある。
【0011】
かかる場合、像担持体表面のトナーが帯電ローラ表面に付着し難くなるため、像担持体表面のトナーを帯電ローラ表面に接触させても、帯電ローラ表面の全周にわたって軸方向に略均一に付着させることは困難となる。さらに、帯電ローラ表面に対して該表面の異物を回収するために十分なトナーを付着させることができず、異物を十分に回収できないおそれがある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑み、複雑な構成を用いることなく接触式の帯電手段表面に付着した異物を除去可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、画像形成時に所定の回転方向に回転可能であり静電潜像が形成される像担持体と、該像担持体を回転させる駆動手段と、前記像担持体に対して接触回転しながら帯電する接触式の帯電手段と、該帯電手段に帯電バイアスを印加可能な第1のバイアス印加手段と、前記像担持体表面にトナーを供給し前記像担持体表面に形成された静電潜像をトナー像とする現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段にトナーとは逆極性の転写バイアスを印加可能な第2のバイアス印加手段と、前記回転方向に対し前記帯電手段の上流側且つ前記転写手段の下流側に配置され前記像担持体表面に残留したトナーを回収可能なクリーニング手段と、を備えた画像形成装置において、非画像形成時、回転する前記像担持体表面に前記現像装置から清掃用トナーの供給を行い、前記像担持体表面から前記帯電手段表面に前記帯電バイアスを印加することなく略均一に前記清掃用トナーの付着を行った後、前記帯電手段表面から前記像担持体表面に前記清掃用トナーを移動させ前記像担持体表面から前記クリーニング手段への前記清掃用トナーの回収を行うことにより、前記帯電手段表面を清掃することを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記清掃用トナーの回収を行うとき、前記第1のバイアス印加手段が前記帯電手段に前記帯電バイアスを印加することを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記駆動手段が前記像担持体を、前記清掃用トナーの供給及び付着を行うとき前記回転方向とは逆方向に回転させ、前記清掃用トナーの回収を行うとき前記回転方向に回転させることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記像担持体表面における前記現像手段と前記帯電手段との間隔は、前記帯電手段の周長以上であることを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記帯電手段表面の清掃を行うとき、前記第2のバイアス印加手段が前記転写手段に前記転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加することを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記清掃用トナーの供給及び付着を行うとき、前記像担持体の回転速度が前記画像形成時よりも小さいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の構成によれば、非画像形成時、回転する像担持体表面に現像装置から清掃用トナーの供給を行い、像担持体表面から帯電手段表面に帯電バイアスを印加することなく略均一に清掃用トナーの付着を行った後、帯電手段表面から像担持体表面に清掃用トナーを移動させ像担持体表面からクリーニング手段への清掃用トナーの回収を行うことにより、帯電ローラ表面を清掃することによって、帯電手段表面に付着した異物を帯電手段表面において清掃用トナーに付着させ、異物の付着した清掃用トナーを帯電手段から像担持体表面に移動させてクリーニング手段により回収することができる。
【0020】
これにより、クリーニング部材等の帯電手段を清掃するための部材を帯電手段表面に当接させる必要がないため、クリーニング部材等との当接によって生じるクリーニングムラや、クリーニング部材の劣化によって生じる帯電不良も回避できる。従って、複雑な構成を用いることなく接触式の帯電手段表面に付着した異物を除去することができる。さらに、長期間にわたって安定した画像品質を得ることが可能となる。
【0021】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、清掃用トナーの回収を行うとき、第1のバイアス印加手段が帯電手段に帯電バイアスを印加することによって、帯電手段表面から像担持体表面への清掃用トナーの移動を、より効率的且つ確実に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の画像形成装置において、駆動手段が像担持体を、清掃用トナーの供給及び付着を行うとき回転方向とは逆方向に回転させ、清掃用トナーの回収を行うとき回転方向に回転させることによって、清掃用トナーの供給及び付着時には、清掃用トナーが転写手段やクリーニング手段を通過することを回避できるため、帯電手段表面に清掃用トナーをより確実に付着させることができる。加えて、清掃用トナーの回収時には、クリーニング手段によって清掃用トナーをより確実に回収することができる。このように、清掃用トナーの付着及び回収をより確実に行うことができる。
【0023】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、像担持体表面における現像手段と帯電手段との間隔を、帯電手段の周長以上とすることによって、帯電手段表面に付着させるのに十分な清掃用トナーを、帯電手段表面に到達するまでに現像手段から像担持体表面に供給できるため、帯電手段表面に清掃用トナーをより確実に付着させることが可能となる。
【0024】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1〜第4の構成の画像形成装置において、帯電手段表面の清掃を行うとき、第2のバイアス印加手段が転写手段に転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加することによって、清掃用トナーが転写手段に付着することを防止できるため、清掃用トナーの付着及び回収がより確実になると共に、トナー像の記録媒体への転写時に不具合が発生することを回避できる。
【0025】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1〜第5のいずれかの構成の画像形成装置において、清掃用トナーの供給及び付着を行うとき、像担持体の回転速度を画像形成時よりも小さくすることによって、像担持体表面から帯電手段表面への清掃用トナーの付着をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図
【図2】本実施形態の画像形成装置に用いられる感光体ドラム周辺を示す概略拡大断面図
【図3】図2の感光体ドラム、帯電ローラ及び現像ローラ周辺を示す部分拡大図であり、図3(a)は、画像形成時の感光体ドラムの回転を示す図であり、図3(b)は、清掃用トナー供給及び付着時の感光体ドラムの回転を示す図であり、図3(c)は、清掃用トナー回収時の感光体ドラムの回転を示す図
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図
【図5】本実施形態に係る画像形成装置の制御手順の一例を示すフローチャート
【図6】図5の制御手順のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置1内には画像形成部Pが配設されている。この画像形成部Pは、帯電、露光、現像及び転写の各工程により所定の画像を形成する。
【0028】
この画像形成部Pには、可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)2が配設されており、感光体ドラム2上に形成されたトナー像が、シート(記録媒体)6上に転写され、さらに、定着ユニット7においてシート6上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。駆動モータ21(駆動手段、図4参照)により感光体ドラム2を図1において時計回り(所定の回転方向)に回転(正回転)させながら、感光体ドラム2に対する画像形成プロセスが実行される。
【0029】
次に、画像形成部Pについて詳細に説明する。回転自在に配設された感光体ドラム2の周囲及び上方には、感光体ドラム2を帯電させる帯電ローラ(帯電手段)3と、感光体ドラム2に画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム2上にトナー像を形成する現像ユニット(現像手段)5と、感光体ドラム2上に残留した現像剤(トナー)を回収するクリーニング装置(クリーニング手段)9と、静電潜像を除去する除電器10と、が設けられている。
【0030】
先ず、帯電ローラ3によって感光体ドラム2の表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、感光体ドラム2上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像ユニット5は、感光体ドラム2と対向して配置された現像ローラ5aを有し、現像ユニット5には、磁性一成分の正帯電トナーがトナーコンテナ11によって所定量充填されている。このトナーは、不図示の現像バイアス印加装置により現像バイアスが印加された現像ローラ5aにより感光体ドラム2表面に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。なお、帯電ローラ3の詳細については後述する。
【0031】
トナー像が転写されるシート6は、シート6を収納する複数の給紙カセット12a、12b、12cと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)12dに収容されており、給紙ローラ13、レジストローラ14を介して、トナー像が形成された感光体ドラム2に向けて搬送される。
【0032】
このとき画像書き出し信号がONとなり、シート6の所定位置にトナー像が転写されるように感光体ドラム2上に画像形成を行う。そして、感光体ドラム2の下部において、所定の転写バイアスが印加された転写ローラ(転写手段)17で電界付与することにより、感光体ドラム2上のトナー像がシート6上に転写される。
【0033】
トナー像が転写されたシート6は、定着ユニット7へと搬送される。また、トナー像が転写された後の感光体ドラム2は、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、その表面に残留したトナーがクリーニング装置9により回収される。定着ユニット7に搬送されたシート6は、定着ローラ7aにより加熱及び加圧されてトナー像がシート6の表面に定着され、所定の画像が形成される。画像が形成されたシート6は、その後排出ローラ18によって排出トレイ19に排出される。
【0034】
図2は、本実施形態の画像形成装置に用いられる感光体ドラム周辺の概略拡大断面図である。なお、図2において、直線矢印方向は、シート6の搬送方向を示す。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。感光体ドラム2としては、例えばアモルファスシリコン(a−Si)ドラムを用いることができる。また、感光体ドラム2は、不図示の駆動ギアを介して駆動モータ21(図4参照)と連結されることにより、正逆回転するようになっており、上記した通り、画像形成時には図中時計回り(正回転方向)に回転(正回転)するようになっている。
【0035】
感光体ドラム2の上方には、ドラム表面と回転自在に当接し、該ドラム表面を帯電する帯電ローラ3が配置されている。帯電ローラ3は、例えば、金属製のシャフト(芯金)3aの周面に抵抗値105〜106Ω、表面粗さRZ=10μmのエピクロルヒドリンゴム等から成るゴム層(弾性層)を形成した導電性ゴムローラ等のソリッドタイプを好適に用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。その他、例えば、発泡ゴムローラにチューブを被せたスポンジタイプ等を用いることもできる。
【0036】
帯電ローラ3は、装置本体に回転可能に支持されている。また、帯電ローラ3は、感光体ドラム2に所定のニップ圧で圧接されており、感光体ドラム2に従動して回転するようになっている。また、画像形成時、帯電ローラ3には正極性の帯電バイアスが印加されるようになっている。
【0037】
具体的には、帯電ローラ3の芯金3aは、第1電源(第1のバイアス印加装置)25と電気的に接続され、第1電源25から帯電ローラ3に対して交流電圧を重畳した直流電圧から成る帯電バイアスが印加される。かかる帯電バイアスの印加によって帯電ローラ3のゴム層の抵抗に応じて流れる電流により、感光体ドラム2表面を帯電することができる。なお、第1電源25から帯電ローラ3に対して、直流電圧を印加することもできる。
【0038】
また、転写ローラ17の芯金17aは、第2電源(第2バイアス印加装置)27と電気的に接続され、画像形成時、第2電源27から転写ローラ17に対してトナーとは逆極性である負極性の転写バイアスが印加されるようになっている。また、後述する帯電ローラ3の清掃時には、転写ローラ17に対して、転写バイアスとは逆極性である正極性のバイアス(逆バイアス)が印加されるようになっている。
【0039】
クリーニング装置9には、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するためのクリーニングブレード22と、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム2表面を摺擦して研磨するクリーニングローラ23と、トナー排出手段としての回収スクリュー24と、が設けられている。クリーニングブレード22は、感光体ドラム2の表面に、該ドラムの正回転方向(図2の時計回り)に対しカウンターとなるよう当接している。クリーニングブレード22の厚みは、装置構成等に応じて例えば1.2mmとすることができる。
【0040】
感光体ドラム2表面の残留トナーや外添剤は、クリーニングブレード22により除去され、クリーニングローラ23及び回収スクリュー24によってトナー排出口(図示せず)からクリーニング装置9の外部に排出される。なお、図示しないが、クリーニング装置9には、クリーニングローラ23表面のトナーを所定の層厚とするためのスクレーパや、クリーニング装置9内の廃トナーを外部に漏らさないためのウレタンシール等も設けられている。
【0041】
かかるクリーニング装置9を設けることによって、上記の通り残留トナーや外添剤のほとんどは、クリーニングブレード22により除去されるが、除去されずにクリーニングブレード22を摺り抜けるトナーや外添剤等の異物も存在する。クリーニングブレード22を摺り抜け、感光体ドラム2表面に付着したまま正回転方向下流側に移動する異物のうち、トナーと逆極性を帯びているものは、帯電バイアスにより帯電ローラ3表面に付着する。
【0042】
かかる異物が帯電ローラ3に付着すると、付着した部分は帯電ローラ3表面の電位が他の部分とは異なるため帯電不良が生じるおそれがある。その結果、形成される画像上に黒点等となって出現し、画像不良が発生するおそれがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、かかる帯電不良及び画像不良の原因となる異物を除去するために、非画像形成時、現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給し、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加することなく感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面に清掃用トナーを付着させ、帯電ローラ3表面において異物を清掃用トナーに付着させ、異物が付着した清掃用トナーを帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面に移動させクリーニング装置9によって回収することにより、帯電ローラ3表面を清掃することとした。なお、清掃用トナーは、帯電ローラ3表面に付着され、異物が付着可能であれば特に限定されないが、画像形成に用いるトナーを用いればよい。
【0044】
図3は、図2の感光体ドラム、帯電ローラ及び現像ローラ周辺を示す部分拡大図であって、図3(a)は、画像形成時の感光体ドラムの回転を示す図であり、図3(b)は、清掃用トナー供給及び付着時の感光体ドラムの回転を示す図であり、図3(c)は、清掃用トナー回収時の感光体ドラムの回転を示す図である。なお、図3ではトナーを白丸で示す。
【0045】
画像形成時には、図3(a)に示すように、感光体ドラム2が正回転(図の時計回り)しているため、現像ローラ5aから供給された現像用のトナーは、転写ローラ17(図2参照)に向かう。なお、ここでは感光体ドラム2を、外径30mmのa−Si感光体から構成し、その画像形成時の線速(回転速度)を300mm/secとし、帯電ローラ3の外径を12mmとした。また、帯電ローラ3の清掃を画像形成時に行うと画像形成の妨げとなるため、非画像形成時に行うこととした。
【0046】
まず、感光体ドラム2表面への清掃用トナーの供給について説明する。非画像形成時において、現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用のトナーを供給して、ベタ画像から成るトナー像を形成することとした。非画像形成時には、帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加、現像ローラ5aに対する現像バイアスの印加、転写ローラ17に対する転写バイアスの印加及び感光体ドラム2の回転は停止している。
【0047】
この状態から、図3(b)に示すように、感光体ドラム2を画像形成時(帯電時)とは逆回転(図の反時計回り)させ、かかる逆回転開始と同時に現像ローラ5aに現像バイアスを印加すると共に、転写ローラ17に転写バイアスとは逆極性である正極性のバイアス(逆バイアス)を印加することとした。このうち現像バイアスの印加により、感光体ドラム2と現像ローラ5aとの電位差によって、感光体ドラム2表面にベタ画像から成る清掃用トナー像を形成して、感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給することができる。また、逆回転時の感光体ドラム2の線速を、略150mm/secとした。
【0048】
このとき、帯電ローラ3表面の軸方向全域及び周方向に少なくとも1周分の範囲に相当する清掃用トナーを、感光体ドラム2表面に供給することにより、帯電ローラ3の表面略全体に清掃用トナーを付着させることが可能となる。ここでは、帯電ローラ3表面の軸方向全域及び周方向に1周分の範囲に相当する清掃用トナーを供給することとした。
【0049】
また、感光体ドラム2表面において、帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔を、帯電ローラ3の周長以上とした。これにより、現像ユニット5から供給された清掃用トナーが帯電ローラ3に到達するまでに、感光体ドラム2表面に帯電ローラ3表面の少なくとも1周分の範囲にわたる清掃用トナーを担持させることができる。しかし、かかる間隔は、帯電ローラ3表面略全体に略均一に清掃用トナーを付着させることが可能であれば、特に限定されない。
【0050】
また、清掃用トナーの供給時間も、帯電ローラ3表面略全体に清掃用トナーを略均一に付着させることが可能であれば特に限定されるものではなく、上記した帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔や、清掃用トナー像の濃度等に応じて、少なくとも帯電ローラ3の1周分の清掃用トナーを帯電ローラ3に供給するのに要する時間とすればよい。また、供給時間が長すぎると、帯電ローラ3に付着する清掃用トナーが過剰となり、帯電ローラ3に付着されない清掃用トナーが増加したり、待機時間の延長に繋がるおそれがある。従って、例えばかかる観点を考慮して供給時間を適宜設定することができる。
【0051】
また、ここでは転写ローラ17に逆バイアスを印加したため、転写ローラ17に清掃用トナーを付着させることなく、清掃用トナーを帯電ローラ3に到達させることができる。また、逆バイアスを、感光体ドラム2の逆回転開始(清掃用トナー供給及び付着の開始)から、正回転終了(清掃用トナー回収の終了)まで、転写ローラ17に印加することとした。これにより、清掃用トナーの供給から、後述する付着及び回収までの間、清掃用トナーが転写ローラ17に付着することを防止できる。
【0052】
なお、感光体ドラム2の逆回転時に現像ローラ5aから感光体ドラム2表面に供給された清掃用トナーは転写ローラ17には向かわないが、クリーニング装置9に回収されたトナーが転写ローラ17に到達して付着するおそれがある。従って、かかる逆回転時においても転写ローラ17に逆バイアスを印加することは効果的である。
【0053】
そして、感光体ドラム2への清掃用トナーの供給が終了したとき、現像ローラ5aに対する現像バイアスの印加を停止することとした。一方、転写ローラ17への逆バイアスの印加は継続することとした。
【0054】
次に、帯電ローラ3表面への清掃用トナーの付着について説明する。現像ローラ5aから清掃用トナーの供給が停止した後も、感光体ドラム2の逆回転を継続することとし、帯電ローラ3への帯電バイアスの印加を停止したままとした。感光体ドラム2の逆回転を継続すると、感光体ドラム2表面に供給された清掃用トナーが感光体ドラム2と帯電ローラ3とのニップに到着する。
【0055】
ここで、帯電ローラ3に清掃用トナーを付着させる際、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加しないで付着させた場合と、帯電バイアスを印加しながら付着させた場合とで、感光体ドラム2表面の清掃用トナーのトナー帯電量を調べた。
【0056】
具体的には、線速300mm/secで感光体ドラム2を逆回転させると共に現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給した後、帯電バイアスを印加することなく帯電ローラ3を感光体ドラム2に従動回転させた場合(帯電OFF)と、第1電源25により350Vの直流電圧にVppが1kVの交流電圧を重畳させた帯電バイアスを印加しながら帯電ローラ3を感光体ドラム2に従動回転させた場合(帯電ON)とで、感光体ドラム2表面の清掃用トナーの帯電量を調べた。
【0057】
このとき、現像ユニット5から清掃用トナーを供給しながら感光体ドラム2を2秒間逆回転させ、各条件について3回繰り返して帯電量(μC/cm2)を測定した。なお、外径30mmの感光体ドラム2が2秒間回転(約6回転)する間に、外径12mmの帯電ローラ3は約16回転する。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1に示すように、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加した場合には、帯電バイアスを印加しない場合と比べて感光体ドラム2上の清掃用トナーの帯電量が増加していた。この結果、帯電バイアスを印加することによって、帯電量が増加した清掃用トナーと感光体ドラム2表面との間に静電気力が生じる。加えて、帯電ローラ3と感光体ドラム2との間に、清掃用トナーが帯電ローラ3から感光体ドラム2へと移動する方向に電位差が生じるため、感光体ドラム2から帯電ローラ3上に清掃用トナーを付着させ難いことがわかった。
【0060】
従って、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加することなく感光体ドラム2を逆回転させることとした。これにより、帯電バイアスが印加されていない帯電ローラ3と感光体ドラム2との間のニップに清掃用トナーが入り込むと、ニップ圧によって、感光体ドラム2表面の清掃用トナーを帯電ローラ3表面に物理的に付着させることができる。その結果、帯電ローラ3表面略全体に略均一に清掃用トナーが付着する。また、感光体ドラム2の線速は、上記した清掃用トナーの供給に引き続き略150mm/secとした。
【0061】
感光体ドラム2から帯電ローラ3への清掃用トナーの付着時間は、帯電ローラ3表面に清掃用トナーを略均一に付着させることが可能であれば特に限定されるものではなく、少なくとも帯電ローラ3の1周分に要する時間とすればよい。また、付着時間が短いと、帯電ローラ3表面に付着した清掃用トナーが十分に均一化されないおそれがあり、また、異物を清掃用トナーに十分に付着させることができないおそれがある。
【0062】
一方、付着時間が長くなると、清掃用トナーが帯電ローラ3表面に強固に付着して、後述する清掃用トナーの回収の際、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを移動させ難くなるおそれがある。また、待機時間の長期化にも繋がる。従って、例えばかかる観点を考慮して、付着時間を適宜設定することができる。
【0063】
また、ここでは清掃用トナーの供給及び付着時、感光体ドラム2の逆回転時の線速を、画像形成時の略1/2である略150mm/secとしたため、感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面へと清掃用トナーをより確実に付着させることができる。しかし、かかる逆回転時の線速は、現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給し、感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面に清掃用トナーを略均一に付着させることが可能であれば、特に限定されるものではなく、帯電ローラ3表面への清掃用トナーの付着状況等に応じて適宜設定することができる。
【0064】
そして、帯電ローラ3表面において帯電ローラ3に付着した異物と清掃用トナーとが接触すると、異物が清掃用トナーに付着する。
【0065】
次に、清掃用トナーの回収について説明する。帯電ローラ3表面で清掃用トナーに異物を付着させた後、図3(c)に示すように、感光体ドラム2の回転方向を切り換えて正回転させると同時に、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加することとした。また、感光体ドラム2の線速は300mm/secとし、転写ローラ17への逆バイアスの印加を継続することとした。
【0066】
これにより、帯電ローラ3と感光体ドラム2との間の電位差によって、帯電ローラ3表面に付着した清掃用トナーが感光体ドラム2へと移動する。また、かかる清掃用トナーの移動と共に、清掃用トナーに付着した異物も感光体ドラム2に移動する。
【0067】
さらに感光体ドラム2が正回転を続けると、感光体ドラム2表面に移動した清掃用トナーは、現像ユニット5を通過し、転写ローラ17を通過する。このとき、転写ローラ17に逆バイアスが印加されているため、現像ユニット5を通過した清掃用トナーは、転写ローラ17に付着することなくこれを通過してクリーニング装置9に到達し、クリーニング装置9によって回収される。なお、回収時間は、例えば正回転開始から5秒間とすることができる。
【0068】
かかる5秒間の間に、外径30mmの感光体ドラム2は約16周、外径12mmの帯電ローラ3は約40周回転するため、帯電ローラ3から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを十分に移動させることができ、更に、クリーニング装置9によって感光体ドラム2表面に移動した清掃用トナーを十分に回収することができる。
【0069】
なお、かかる回収時間は、感光体ドラム2表面からの清掃用トナーの回収状況に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。ただし、回収時間が短くなれば清掃用トナーを十分に回収できないおそれがあり、長くなれば十分に回収した後にも感光体ドラム2を回転させることになって、無駄に待機時間が長期化するおそれがある。従って、例えばかかる観点を考慮して、回収時間を適宜設定することができる。
【0070】
また、清掃用トナーの回収における感光体ドラム2の正回転時には、感光体ドラム2の線速を、画像形成時と同じ300mm/secとしたため、効率的に清掃用トナーの回収を行うことができる。しかし、かかる回収時の感光体ドラム2の線速は、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面へと清掃用トナーを移動させ、クリーニング装置9によって清掃用トナーを回収可能であれば、特に限定されるものではなく、清掃用トナーの移動状況や回収状況等に応じて適宜設定することができる。
【0071】
そして、清掃用トナーの回収終了後、帯電ローラ3への帯電バイアスの印加、転写ローラ17への逆バイアスの印加、及び感光体ドラム2の正回転を停止することとした。
【0072】
次に、帯電ローラ3表面の清掃の制御方法について説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置の制御機構の一例を示すブロック図である。図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置1は、画像形成部P、定着ユニット7、クリーニング装置9、駆動モータ21、第1電源25、第2電源27、画像入力部32、AD変換部33、記憶部34、制御部35、操作パネル36を含む構成である。
【0073】
画像入力部32は、画像形成装置1が複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部(図示せず)であり、画像形成装置1がプリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部32より入力された画像信号は制御部35に送出され、階調処理等の画像処理を適宜行い、AD変換部33においてデジタル信号に変換された後、後述する記憶部34内の画像メモリ40に送出される。
【0074】
画像形成部Pは、感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光ユニット4、現像ユニット5、転写ローラ17等から構成され、AD変換部33において変換され画像メモリ40に記憶された画像データをもとに感光体ドラム2上に静電潜像を形成する。感光体ドラム2の他、転写ローラ17、クリーニング装置9内のクリーニングローラ23及び搬送スクリュー24(図2参照)等も、駆動モータ21により不図示のギアやクラッチ等を介して回転駆動され、制御部35は駆動モータ21に制御信号を送信して感光体ドラム2や転写ローラ17、クリーニングローラ23、回収スクリュー24の回転及び停止を制御する。
【0075】
記憶部34は、画像メモリ40、RAM41、及びROM42を備えており、画像メモリ40は、画像入力部32において入力され、AD変換部33においてデジタル変換された画像信号(データ)を記憶し、制御部35に送出する。RAM41及びROM42は、制御部35の画像処理プログラムや処理内容等を記憶する。また、感光体ドラム2の逆回転及び正回転のタイミングや線速を制御するためのプログラムや、清掃用トナーを現像ユニット5から感光体ドラム2表面に供給するための現像バイアスやその印加及び印加停止タイミング、転写ローラ17に印加する逆バイアスやその印加及び印加停止タイミング、帯電ローラ3に印加する帯電バイアスやその印加及び印加停止タイミング等も記憶される。
【0076】
制御部35は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部32、画像形成部P、クリーニング装置9等を全般的に制御するとともに、画像入力部32から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データ(印字データ)に変換する。露光ユニット4は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム2表面に静電潜像を形成する。さらに制御部35は、設定されたプログラムに従って画像入力部32、帯電ローラ3、露光ユニット4、現像ユニット5等の画像形成装置各部の制御も行う。
【0077】
また制御部35は、非画像形成時に帯電ローラ3表面の清掃モードが設定されると、感光体ドラム2を逆回転させ、現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給する機能や、感光体ドラム2表面に供給された清掃用トナーを帯電ローラ3表面に帯電バイアスを印加することなく感光体ドラム2を逆回転させて付着させる機能や、清掃用トナーが帯電ローラ3表面に付着した後、感光体ドラム2を正回転させて帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを移動させると共にクリーニング装置9によって回収させる機能や、感光体ドラム2の逆回転開始から正回転停止するまでの間、転写ローラ17にトナーとは逆極性のバイアスを印加する機能も有している。
【0078】
操作パネル36は、画像形成装置1が複写機の場合には、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷サイズ等、印刷条件等の設定を行う他、例えば画像形成装置1がファクシミリ機能を有する場合は、記憶部34にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。また、操作パネル36は、画像形成装置1がプリンタである場合には、不図示のパーソナルコンピュータに表示される表示部から構成される。
【0079】
なお、清掃モードは、ユーザが操作パネル36で設定する他、所定枚数の印字終了後や、一の印字ジョブの終了後等に自動的に行うこともできる。また、そのタイミングは特に限定されるものではなく、帯電ローラ3表面の汚染状況等に応じて適宜設定することができる。
【0080】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の制御例の一例について説明する。図5は、本実施形態に係る画像形成装置の制御手順の一例を示すフローチャートであり、図6は、図5の制御手順のタイミングチャートである。図4及び図6を参照しながら、図5のステップに従い本制御例について説明する。
【0081】
まず、画像形成(印字)終了後、帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加、現像ユニットの作動、転写ローラ17に対するバイアスの印加、感光体ドラム2を回転させる駆動モータ21の作動(図6に駆動として示す)は、停止している(OFF)。かかる非画像形成時に、清掃モードが設定されると(スタート)、制御部35は、駆動モータ21を逆回転させることにより感光体ドラム2を逆回転させ、転写ローラ17に逆バイアスを印加させると共に、現像ユニット5を作動させて感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給させる(ステップS1)。
【0082】
次に、帯電ローラ3の1周分の清掃用トナーが感光体ドラム2表面に供給されると、制御部35は、現像ユニット5の作動を停止させ、現像ユニット5からの清掃用トナーの供給を停止する(ステップS2)。次に、制御部35は、感光体ドラム2の逆回転を継続し、帯電ローラ3に到達した感光体ドラム2表面の清掃用トナーを、帯電ローラ3表面に帯電バイアスを印加することなく付着させる(ステップS3)。清掃用トナーが帯電ローラ3表面に付着すると、帯電ローラ3表面において異物が清掃用トナーに付着する。
【0083】
次に、感光体ドラム2の逆回転開始から例えば2秒経過後、制御部35は、駆動モータ21の回転方向を切り換え、感光体ドラム2を正回転させると共に、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加する(ステップS4)。これにより、異物が付着した清掃用トナーが、帯電ローラ3表面から、正回転する感光体ドラム2表面に移動する。また、感光体ドラム2表面に移動した清掃用トナーは、逆バイアスが印加された転写ローラ17に付着することなくこれを通過して、クリーニング装置9により回収される。
【0084】
そして、正回転開始から例えば5秒経過後、制御部35は、感光体ドラム2の正回転、帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加、及び転写ローラ17に対する逆バイアスの印加を停止した後(ステップS5)、終了する。
【0085】
上記の通り、非画像形成時、回転する感光体ドラム2に現像ユニット5から清掃用トナーを供給し、帯電ローラ3表面に帯電バイアスを印加させることなく清掃用トナーを略均一に付着させた後、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを移動させ感光体ドラム2表面からクリーニング装置9への清掃用トナーの回収を行うことにより帯電ローラ3表面の清掃を行ったため、帯電ローラ3表面に付着した異物を、帯電ローラ3表面で清掃用トナーに付着させ、異物の付着した清掃用トナーを感光体ドラム2表面に移動させてクリーニング装置9により回収することができる。
【0086】
これにより、クリーニング部材等の帯電ローラ3表面を清掃するための部材を帯電ローラ3表面に当接させる必要がないため、クリーニング部材等との当接によって生じるクリーニングムラや、クリーニング部材の劣化によって生じる帯電不良も回避できる。従って、複雑な構成を用いることなく帯電ローラ3表面に付着した異物を除去することができる。また、長期間にわたって帯電性能の低下を防止できるため、長期間にわたって画像品質の低下を防止することができる。
【0087】
また、本実施形態では、清掃用トナーの回収を行うとき、第1電源25が帯電ローラ3に帯電バイアスを印加したため、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面への清掃用トナーの移動を、より効率的且つ確実に行うことができる。
【0088】
なお、かかる回収時の帯電バイアスを、画像形成時の帯電バイアスと同じにすることによって構成の複雑化を防止することができる。しかし、回収時の帯電バイアスは、特に限定されるものではなく、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面への清掃用トナーの移動状況等に応じて適宜設定することができる。また、清掃用トナーの移動状況によっては、回収時に帯電バイアスを必ずしも印加する必要はない。
【0089】
また本実施形態では、駆動モータ21が感光体ドラム2を、清掃用トナーの供給及び付着を行うとき逆回転させ、清掃用トナーの回収を行うとき正回転させたため、清掃用トナーの供給及び付着時には、清掃用トナーが転写ローラ17やクリーニング装置9を通過することを回避できる。これにより、帯電ローラ3表面に清掃用トナーをより短時間で確実に付着させることができる。加えて、清掃用トナーの回収時には、クリーニング装置9によって清掃用トナーをより確実に回収することができる。従って、清掃用トナーの付着及び回収がより効果的となる。
【0090】
また、清掃用トナーが帯電ローラ3表面に付着する前に転写ローラ17に付着したり、クリーニング装置9に回収されないように、転写ローラ17及びクリーニング装置9を感光体ドラム2に対して離間させるための離間装置等を設ける必要がないため、装置の大型化や装置構成の複雑化を回避することができる。
【0091】
しかし、感光体ドラム2を正回転させて帯電ローラ3に清掃用トナーを供給及び付着させることもできる。かかる場合、感光体ドラム2を正回転させると共に、転写ローラ17に逆バイアスを印加することによって、転写ローラ17に対する清掃用トナーの付着を防止することができる。また、上記した様な離間装置によりクリーニング装置9を感光体ドラム2から離間させることによって、クリーニング装置9により清掃用トナーが回収されることを防止できる。なお、帯電ローラ3に付着した清掃用トナーを回収する際には、クリーニング装置9を感光体ドラム2に接触させればよい。
【0092】
また、感光体ドラム2を正回転させる場合には、清掃用トナー像を、帯電ローラ3で感光体ドラム2表面を帯電後、露光ユニット4によりベタ画像から成る静電潜像を形成し、かかる静電潜像に対して現像ローラ5aから清掃用トナーを供給することによって形成することもできる。この場合には、帯電後、清掃用トナーが帯電ローラ3表面に到着するまでに帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加を停止すればよい。
【0093】
また、本実施形態では、帯電ローラ3表面の清掃を行うとき、第2電源27が転写ローラ17に転写バイアスとは逆極性の逆バイアスを印加したため、清掃用トナーが転写ローラ17に付着することを防止できる。これにより、清掃用トナーの付着及び回収がより確実になると共に、トナー像の記録媒体への転写に及ぼす不具合を回避できる。しかし、その他、上記の様な離間装置を設け、逆バイアスを印加する代わりに転写ローラ17を感光体ドラム2から離間させることもできる。なお、転写手段として非接触式の転写部材を用いた場合には、かかる離間装置を設ける必要はない。
【0094】
また、例えば中間転写ベルトを有するタンデム型の画像形成装置を用いた場合には、中間転写ベルトに対する清掃用トナーの付着を防止するため、中間転写ベルトを感光体ドラム2から離間させる離間装置を設けることができる。また、本実施形態では、感光体ドラム2の逆回転開始時から正回転終了時まで、転写ローラ17に逆バイアスを印加したが、その他、正回転時のみ逆バイアスを印加すること等もできる。
【0095】
また、本実施形態では、感光体ドラム2表面において、帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔を、帯電ローラ3の周長以上としたため、帯電ローラ3表面に付着させるのに十分な、帯電ローラ3の少なくとも1周分以上の清掃用トナーを、帯電ローラ3表面に到達するまでに現像ユニット5から感光体ドラム2表面に供給できる。これにより、帯電ローラ3表面に清掃用トナーをより確実に付着させることが可能となる。
【0096】
また、本実施形態では、清掃用トナーの供給及び付着を行うとき、感光体ドラム2の線速を画像形成時よりも小さくしたため、感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面への清掃用トナーの付着をより確実に行うことができる。特に、本実施形態では、このときの線速を画像形成時の略1/2としたため、帯電ローラ3表面への清掃用トナーの付着を一層確実に行うことができる。
【0097】
その他、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記した感光体ドラム2や帯電ローラ3の材質や外径、線速等は、特に限定されるものではなく、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、上記実施形態では、本発明を正帯電トナーに適用したが、その他、負帯電トナーに適用することもできる。
【0098】
また、本実施形態では、磁性一成分トナーを用いたが、その他、例えば二成分系トナーを用いることもできる。また、本発明は、デジタル複合機やタンデム式のカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、或いはファクシミリやレーザプリンタ等、種々の画像形成装置に適用可能である。
【0099】
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0100】
図1に示した本発明の実施形態に係る画像形成装置1を用い、連続印字後に清掃モードを実行したときの帯電ローラ3表面の清掃状態を調べた。また、上記したa−Si感光体から成る外径30mmの感光体ドラム2、上記した芯金3aの周面にEPDMから成るゴム層を形成しゴム層の表面にフッ素加工を施した外径12mmの帯電ローラ3、EPDM発泡体から成る転写ローラ17を用いた。
【0101】
まず、現像ユニット5により磁性一成分の正帯電トナーを供給して、25%ハーフ画像を1000枚印字後に、上記制御例に基づいて、帯電ローラ3に帯電バイアスを印加することなく感光体ドラム2を逆回転させて、感光体ドラム2表面への清掃用トナーの供給、及び感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面への清掃用トナーの付着を行った。
【0102】
次に、逆回転開始から2秒経過した後、感光体ドラム2を正回転させる共に帯電ローラ3に帯電バイアスを印加して、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面へと清掃用トナーを移動させ、クリーニング装置9による感光体ドラム2表面の清掃用トナーの回収を行うことにより、帯電ローラ3表面の清掃を行った。
【0103】
そして、印字前(初期)、清掃前、逆回転開始から5秒経過後(清掃(5秒))、10秒経過後(清掃(10秒))における、帯電ローラ3表面の清掃状態を評価した。なお、かかる評価を2回繰り返して行った。また、帯電ローラ3表面にシリカ等の異物が付着すると、該表面が白くなる。そこで、清掃状態の評価は、反射色差計を用い、帯電ローラ3表面の明度(L値)を測定することにより行った。
【0104】
【表2】

【0105】
表2に示すように、1000枚印字後、清掃前には、帯電ローラ3に対する異物の付着により、L値が上昇していたが、清掃後には、帯電ローラ3表面に付着した異物が回収され、L値が印字前と略同じ値に戻っていた。この結果、清掃モードを実行することによって、帯電ローラ3表面に付着した異物を除去できることがわかった。
【0106】
また、回収時間を10秒とした場合の方が、5秒とした場合よりも、L値が印字前に近づいていた。この結果、回収時間を5秒以上とすることによって、帯電ローラ3表面に付着した異物を十分に回収することができ、10秒以上とすれば略全ての異物を回収できることがわかった。さらに、回収時間を5秒以上10秒以下に設定することによって、確実に帯電ローラ3に付着した異物を回収できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、非画像形成時、回転する前記像担持体表面に前記現像装置から清掃用トナーの供給を行い、前記像担持体表面から前記帯電手段表面に前記帯電バイアスを印加することなく略均一に前記清掃用トナーの付着を行った後、前記帯電手段表面から前記像担持体表面に前記清掃用トナーを移動させ前記像担持体表面から前記クリーニング手段への前記清掃用トナーの回収を行うことにより、前記帯電手段表面を清掃するものである。
【0108】
これにより、複雑な構成を用いることなく接触式の帯電手段に付着した異物を除去することができるため、長期間にわたって安定した画像品質を得ることが可能となり、帯電手段の長寿命化を図ることもできる。
【0109】
また、清掃用トナーの回収を行うとき、第1のバイアス印加手段が帯電手段に帯電バイアスを印加することによって、帯電手段表面から像担持体表面への清掃用トナーの移動を、より効率的且つ確実に行うことができる。また、駆動手段により像担持体が、清掃用トナーの供給及び付着を行うとき回転方向とは逆方向に回転し、清掃用トナーの回収を行うとき回転方向に回転することによって、清掃用トナーの付着及び回収をより確実に行うことができる。また、像担持体表面における現像手段と帯電手段との間隔を、帯電手段の周長以上とすることによって、帯電手段表面に清掃用トナーをより確実に付着させることができる。
【0110】
また、帯電手段表面の清掃を行うとき、第2のバイアス印加手段が転写手段に転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加することによって、清掃用トナーの付着及び回収がより確実になると共に、トナー像の記録媒体への転写時における不具合の発生を回避できる。清掃用トナーの供給及び付着を行うとき、像担持体の回転速度を画像形成時よりも小さくすることによって、像担持体表面から帯電手段表面への清掃用トナーの付着をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0111】
1 画像形成装置
2 感光体ドラム(像担持体)
3 帯電ローラ(帯電手段)
5 現像ユニット(現像手段)
9 クリーニング装置(クリーニング手段)
17 転写ローラ(転写手段)
21 駆動モータ
25 第1電源(第1のバイアス印加装置)
27 第2電源(第2のバイアス印加装置)
34 記憶部
35 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成時に所定の回転方向に回転可能であり静電潜像が形成される像担持体と、
該像担持体を回転させる駆動手段と、
前記像担持体に対して接触回転しながら帯電する接触式の帯電手段と、
該帯電手段に帯電バイアスを印加可能な第1のバイアス印加手段と、
前記像担持体表面にトナーを供給し前記像担持体表面に形成された静電潜像をトナー像とする現像手段と、
該現像手段により現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段にトナーとは逆極性の転写バイアスを印加可能な第2のバイアス印加手段と、
前記回転方向に対し前記帯電手段の上流側且つ前記転写手段の下流側に配置され前記像担持体表面に残留したトナーを回収可能なクリーニング手段と、を備えた画像形成装置において、
非画像形成時、回転する前記像担持体表面に前記現像装置から清掃用トナーの供給を行い、前記像担持体表面から前記帯電手段表面に前記帯電バイアスを印加することなく略均一に前記清掃用トナーの付着を行った後、前記帯電手段表面から前記像担持体表面に前記清掃用トナーを移動させ前記像担持体表面から前記クリーニング手段への前記清掃用トナーの回収を行うことにより、前記帯電手段表面を清掃することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃用トナーの回収を行うとき、前記第1のバイアス印加手段が前記帯電手段に前記帯電バイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動手段が前記像担持体を、前記清掃用トナーの供給及び付着を行うとき前記回転方向とは逆方向に回転させ、前記清掃用トナーの回収を行うとき前記回転方向に回転させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体表面における前記現像手段と前記帯電手段との間隔は、前記帯電手段の周長以上であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電手段表面を清掃するとき、前記第2のバイアス印加手段が前記転写手段に前記転写バイアスとは逆極性のバイアスを印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記清掃用トナーの付着を行うとき、前記像担持体の回転速度は前記画像形成時よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−133501(P2011−133501A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289957(P2009−289957)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】