説明

画像形成装置

【課題】像担持体となる感光体の摩耗量を確実に把握することができ、寿命時まで安定した画像を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電潜像を担持する感光体11と、感光体11に接触又は近接して配設されて、感光体11表面を帯電する帯電装置20と、感光体11表面を露光し、静電潜像を書き込む露光装置12と、感光体11表面に形成された潜像にトナーで可視像化する現像装置30と、感光体11表面の可視像を中間転写ベルト61に転写する転写装置60と、転写装置60の下流に配設されて、感光体11表面のトナーをクリーニングするクリーニング装置40と、を備え、クリーニング装置40から搬送された廃トナーを回収する廃トナー回収容器44を備え、かつ、廃トナー回収容器44内の廃トナー量を検知する廃トナー量検知手段46を設けて、感光体11の摩耗量を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置に係り、詳しくは、像担持体の膜厚の減少に伴う異常画像の発生を抑える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子写真方式の画像形成装置では、一般的に、像担持体として有機感光体(OPC)が用いられている。この有機感光体の材料には樹脂が使用されており、比較的安価に製造することができる。
感光体の構造は、一般的に基材となるアルミニウム等の導電性の金属製の素管側から、下引層、電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)という積層型の構成を有している。しかし、感光体の表層となるCTLは、帯電による高電界がかかることや現像手段やクリーニング装置に摺擦されることで摩耗していく。感光体が摩耗して、膜厚が薄くなると感光体の表面電位の局部低下により、地肌汚れ等の異常画像が発生する。
感光体の摩耗が進み感光体の膜厚が薄くなると露光後電位が上昇することで、画像が薄くなるなど濃度が安定した画像が得られなくなる。また、接触又は近接での帯電方式では、絶縁破壊による帯電不良などの異常画像となる。
そこで、安定した画像を感光体の初期から寿命時まで提供するためには感光体の摩耗量を的確に把握し、感光体の膜厚に応じた最適な作像条件にすることが必要である。
【0003】
これまで、感光体の摩耗量は画像面積率に大きく寄与することがわかった。これは、転写手段で転写し切れなかったトナーが感光体に残留し、クリーニング装置で回収されるが、クリーニング装置に入力されたトナーが研磨剤として働き、感光体の摩耗を促進していると考えられる。
よって、クリーニング装置に入力されるトナー量が感光体摩耗への寄与率が大きいとなる。また、複数の現像装置をもつタンデム型の画像形成装置などは、一度転写手段に転写されたトナー像が一部下流の現像装置の感光体へトナーが感光体側に転写される逆転写という現象があり、クリーニング装置に入力されるトナー量は、画素情報だけでは正確ではない。そこで、感光体の摩耗量をより確実に予測することができるので感光体の寿命まで無駄なく使用するために、クリーニング装置に入力されたトナー量を把握することができれば、感光体の摩耗量を確実に把握する必要がある。
感光体の寿命時まで、異常画像が発生しない画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することである
【0004】
したがって、上記必要性のために、例えば、特許文献1では、像担持体に流れる電流の測定による像担持体の膜厚測定時、像担持体に当接している部材の少なくとも1つを像担持体から離間する像担持体の膜厚測定方法が開示されている。しかし、感光体を離間させる必要があり、そのためにカムやモータが必要になり画像形成装置も大きくなってしまうという不具合がある。
また、特許文献2では、複数の層が積層されてなる表面層を有する交換自在なトナー像担持体を備え、前記表面層は、前記トナー像担持体の累積回転数の増加に伴い前記複数の層のうち表面側にある層から順次摩耗していくものであり、互いに隣合う層では、前記トナー像担持体の累積回転数に対する層厚の減少割合が異なるものであって、この画像形成装置はさらに、前記トナー像担持体の累積回転数に対する前記表面層における層厚の減少割合が変化したことを検出する変化検出部と、前記変化検出部の検出結果に基づいて、前記トナー像担持体の交換時期を検知する交換時期検知部を有する画像形成装置が開示されている。しかし、帯電部材は周囲環境や帯電部材の汚れ具合によって、正確なインピーダンスを測定することが難しいので、感光体膜厚量の誤差が大きくなるという不具合がある。
なた、引用文献3では、感光体の稼働量を計測する計測手段と、前記感光体の積算稼働量を演算する演算手段と、該演算手段によって演算された積算稼働量を記憶する第1の記憶手段と、前記感光体の摩耗寿命限度を記憶する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段が記憶する積算稼働量と前記第2の記憶手段が記憶する摩耗寿命限度とを比較して前記感光体の摩耗寿命を判断する判断手段と、温度検出器と湿度検出器のうちの少なくとも一方を有する環境検出手段と、を備え、前記演算手段は、前記計測手段に基づく稼働量情報と前記環境検出手段に基づく環境情報とから前記感光体の積算稼働量を算出する画像形成装置が開示されている。しかし、タンデム型の場合は特に下流の画像形成部には逆転写トナー量の影響が大きく、画像情報だけでは、正確に感光体摩耗を把握することが難しいという不具合がある。
【0005】
また、特許文献4では、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電手段と、前記帯電手段に流れる帯電電流の電流検知手段を備えた画像形成装置において、初期状態からの帯電電流の変化量から前記像担持体の摩耗量を検知し、前記摩耗量に応じて前記帯電電流の制御目標値を変化させる変化手段を有する画像形成装置が開示されている。しかし、帯電手段に流れる電流は周囲環境の影響を受けやすく電流値が変化しやすいことから、感光体の摩耗量を正確には判断しにくいという不具合がある。
また、特許文献5では、上記感光体の駆動トルクを測定するトルク測定手段と、感光体の回転量を測定する回転量測定手段と、上記トルク測定手段の測定値と上記回転量測定手段の測定値とに基づいて感光体の摩耗量を推定する摩耗量推定手段と、推定された上記摩耗量に基づいて画像形成の制御系を補正する制御系補正手段とを有する画像形成装置が開示されている。しかし、感光体のトルクは、現像手段やクリーニングブレード、転写手段の影響を大きく受けることから、トルク配分が異なることから、感光体のトルクだけを正確に判断することは難しいという不具合がある。
また、特許文献6では、帯電器から前記像担持体に印加される前記電圧の印加条件と当該像担持体のサイクル数とを把握する使用状態把握手段と、前記使用状態把握手段により把握された前記印加条件と前記像担持体の過去における使用履歴とから当該像担持体の寿命係数を決定する寿命係数決定手段と、前記寿命係数決定手段により決定された前記寿命係数と前記像担持体の前記サイクル数とに基づいて当該像担持体の寿命を算出する寿命積算量算出手段とを備えた画像形成装置が開示されている。しかし、感光体のサイクル数から感光体の摩耗量を換算しているが、画像面積率などの影響も大きくうけることから、正確に摩耗量を判断することはできないという不具合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、像担持体となる感光体の摩耗量を確実に把握することができ、寿命時まで安定した画像を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持する像担持体と、該像担持体に接触又は近接して配設されて、該像担持体表面を帯電する帯電装置と、該像担持体表面を露光し、静電潜像を書き込む露光装置と、該像担持体表面に形成された潜像にトナーで可視像化する現像装置と、該像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写装置と、該転写装置の下流に配設されて、前記像担持体表面のトナーをクリーニングするクリーニング装置と、を備える画像形成装置において、クリーニング装置から搬送された廃トナーを回収する廃トナー回収容器を備え、かつ、廃トナー回収容器内の廃トナー量を検知する廃トナー量検知手段を設けて、像担持体の摩耗量を推定することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、画像形成の制御を変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、帯電装置に印加する電圧を変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体に非接触又は近接に配設された帯電装置に直流成分に交流成分を重畳したバイアスを印加する場合、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、交流成分の電流目標値を変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、露光装置の出力を変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、現像装置に印加する電圧を変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、クリーニング装置の下流に配設される除電装置への条件を変更することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、帯電装置、露光装置、現像装置、除電装置および転写装置から少なくとも一つ以上の変更を行うことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、少なくとも像担持体と帯電装置とクリーニング装置とを一体に支持していて、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明の画像形成装置によって、感光体の膜厚が薄くなることで、画像濃度が薄くなり、残像や帯電装置による異常放電による異常画像が発生しやすくなった場合でも、感光体の摩耗量に応じて最適な条件を判断し、寿命時まで定した画像を提供することができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】像担持体周りの構成を示す断面図である。
【図3】廃トナー量と感光体摩耗量との関係を示すグラフである。
【図4】各作像ユニットの廃トナー量とそれぞれの感光体の摩耗量を示すグラフである。
【図5】作像ユニットの廃トナー量と感光体摩耗量との関係を示すグラフである。
【図6】作像ユニットの廃トナー量とそれぞれの感光体の摩耗量を示すグラフである。
【図7】本発明の画像形成装置が用いる廃トナー量検知手段の構成を示す図である。
【図8】本発明の画像形成装置が用いる廃トナー量検知手段の動作を説明する図であり、(a)は、廃トナーが廃トナー回収容器に無い状態であり、(b)は受光部に光が届かない状態の図である。
【図9】本発明のタンデム型画像形成装置が用いる廃トナー量検知手段の構成を示す図である。
【図10】本発明の画像形成装置における制御を示すブロック図である。
【図11】感光体のCTL膜厚と露光後電位との関係を示すグラフである。
【図12】感光体のCTL膜厚と露光後電位との関係を示すグラフである。
【図13】レーザ光の出力を変更したときの、感光体のCTL膜厚と露光後電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
以下に本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお以下では、画像形成装置として、タンデム方式を採用したフルカラー画像を形成可能な複写機について説明するが、本発明に係る画像形成装置としては、図示のものに限定されず、プリンタ、ファクシミリ装置、複合装置等々種々の装置に適用できる。
図1、図2を用いて複写機としての基本構成とその動作について説明する。
図1は、本発明の実施の形態である画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
図2は、像担持体周りの構成を示す断面図である。
画像形成装置1の下部に記録材としての用紙を収納する給紙カセット81を配した給紙装置80を設け、その上方に作像部2を配置した構成となっている。作像部2は、像担持体(以下、「感光体」と記す)11Y、11M、11C、11K(以下、特に色を特定する必要がなければ感光体11と言う。)を備えた複数の作像手段として4個の作像ユニット10で、ここでは、プロセスカートリッジ10の形態を成している。複数の支持ローラ65、66に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成した中間転写体としての中間転写ベルト61と、各感光体11に潜像を形成する潜像形成装置である露光装置12と、用紙にトナー像を定着させる定着装置70等とが設けてある。
給紙カセット81から定着装置70までの間には、給紙カセット81から用紙を1枚毎に取り出す呼び出しローラ21、転写装置60にタイミングを計って用紙を送り出すレジストローラ83で用紙を搬送する搬送経路が形成されている。
【0012】
中間転写ベルト61の支持ローラ65、66の間は、このベルトの下部側ベルト走行辺に相当している。中間転写ベルト61には、支持ローラ66と対向する部位に2次転写装置となる2次転写ローラ63を搬送経路に臨ませて配設し、支持ローラ65と対向する部位にベルト表面を清掃するベルトクリーニング装置64が配設してある。
作像ユニット10は、この下側走行辺に対向するように配置することで、中間転写ベルト61の下方に配設してある。各作像ユニット10は、中問転写ベルト61に接する感光体11をそれぞれ備えている。各感光体11の周りには、帯電ローラ21を備える帯電装置20、現像スリーブ等を備える現像装置30、クリーニングブレード41を備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置してある。各感光体11が中間転写ベルト61に接する位置における中間転写ベルト61の内側には、一次転写を行う転写装置60としての一次転写ローラ62がそれぞれ設けてある。
なお、本例において、作像ユニット10は、基本的には同一構造で構成してあり、一つの作像ユニット10の構造のみ示してある。各作像ユニット10において異なるのは、各現像装置30に収納してある現像剤としてのトナーの色が異なる点である。
【0013】
本発明の画像形成装置1における露光装置12は、図示しないが、光源(LD(レーザダイオード))から発光したレーザ光束を集光レンズを通して第一結像系となるシリンダレンズによって、ポリゴンミラーの偏向反射面の近傍に線状に結像し、このポリゴンミラーを回転することによって、レーザ光束を走査する。ポリゴンミラーによって偏向されて走査させたレーザ光束は第二結像系となるfθレンズによって主走査、副走査方向に所定のスポット径に絞り込まれて感光体11上を等速走査する。これによって、帯電している感光体11上に不可視の静電潜像が形成される。また、LDの電流値、発光時間によって、レーザ光束の強度、直径等の大きさを制御している。これらによって、形成される静電潜像の線幅、電位等が異なってくる。
また、図2に示すように、本発明における画像形成装置1では、除電装置13を設ける。除電装置13は、感光体11の表面に光を照射して、感光体11表面の電荷を除去する。感光体11が感度を有する光源に用いられているが、残留電荷を除去できるものであれば他の光除電手段を適用することができる。LED、有機EL等を光源とする光除電装置を用いることもできる。また、タングステン、モリブデン等の細線のワイヤーによる放電チャージャでもよい。
【0014】
本発明の画像形成装置1における帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21は、材質としては弾性樹脂ローラを用いている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させても良い。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
【0015】
本発明の画像形成装置1における現像装置30は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブ32へ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブ32によって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤は、規制部材33によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ32に担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。このときに、現像スリーブ33には、図示しない出力手段である電源より現像バイアスが印加されている。本発明の画像形成装置1におけるポジ−ポジ現像方式では、感光体11上に、レーザ光で形成された静電潜像に対して、トナーを供給できる程度の大きさの、トナーの電荷と同極性の現像バイアスを印加する。
また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置30に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジを、特に大容量としておくことも可能である。
【0016】
さらに、この画像形成装置1には、感光体11に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置50が設けられている。潤滑剤塗布装置50は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤52と、固形潤滑剤52に接触して潤滑剤を削り取り、感光体11に塗布するブラシローラ51とを備える。その他に、図示しないが、ブラシローラ51で塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレードを設けても良い。固形潤滑剤52は、直方体状に形成されており、加圧バネ53によってブラシローラ側に付勢されている。固形潤滑剤52はブラシローラ51によって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネ53で加圧されているために常時ブラシローラに当接している。ブラシローラは、回転しながら削り取った潤滑剤を感光体11表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置を中間転写ベルト61に対して配設してもよい。
上記潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
本発明の画像形成装置1は、潤滑剤塗布手段50が配設されているが、図2では、クリーニング装置40内に潤滑剤塗布装置50を配設しているが、独立して配設しても良い。
【0017】
クリーニング装置40は、クリーニングブレード41が感光体11と当接・離間する機構を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、感光体11に当接し、これによって、感光体11上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体11から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、廃トナー回収コイル42で、廃トナー回収経路43を通して廃トナー回収容器44に搬送し、貯留する。
さらに、この廃トナー回収容器44には、この廃トナー回収容器44内の廃トナー量を検知するための廃トナー量検知手段46が設けられている。これに関しては、後述する。
【0018】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を記録媒体6に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60は、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側には、対向部材となる支持ローラ653が対向するように設けている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。
【0019】
したがって、一次転写ローラの抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置1の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。
【0020】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で記録部材に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた記録部材側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
二次転写ローラ63は、金属よりなる円筒状の芯金と、この芯金の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された樹脂材料からなる表面層とから構成されている。
芯金を構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。芯金の上に形成される弾性層には一般的にゴム材料が使用されゴム層となっている。これは、二次転写ローラ63を変形させて二次転写ニップ部を確保のために二次転写ローラ63には弾性機能が要求されることに起因するものであり、JIS−A硬度で70[°]以下が望ましい。
また、二次転写ローラ63のクリーニング手段としてクリーニングブレード22を使用しているため、弾性層が柔らかすぎると、クリーニングブレード22の当接状態が不安定となり適正なクリーニング角度が得られなくなる。よって、弾性層の硬度としてはJIS−A40[°]以上が望ましい。
また、二次転写ローラ63が絶縁体ではトナー画像を記録体に転写するという機能が果たしえないため、導電機能を付与された発泡樹脂剤で、厚さは2mm〜10mmであることが好ましい。導電機能を付与する材料としては、カーボンブラックが分散されたEPDMやSiゴム、またイオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴム等を使用してもよい。
弾性層に用いられる発泡樹脂剤の多くがトナーに対し化学的親和性が高く、摩擦係数が大きいため、クリーニングブレード22が接触している表面層に必要な機能としては、低摩擦係数、トナー離型性が必要となることから、二次転写ローラ63の表面層は、フッ素樹脂系樹脂に抵抗制御材を加えて抵抗調整し用いられる。
さらに、二次転写ローラ63は、中間転写ベルト10と接触して回転していることから、中間転写ベルト10と二次転写ローラ63との間に微小な線速差が発生すると中間転写ベルト10の駆動に影響を与えてしまう。よって、中間転写ベルト10とのすべり性(中間転写ベルト10との摩擦を少なくする)が二次転写ローラ63の表面層には要求されるため、表面層の最表面の摩擦係数0.4以下になるように設定することが望ましい。
また、中間転写ベルト61には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。
また、支持ローラ653が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。
【0021】
中間転写ベルト61はPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を10〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ該中間転写ベルト61の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、
PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
なお、体積抵抗率および表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト61の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0022】
このように構成した画像形成装置1は、4個の作像ユニット10を中間転写ベルト61に対向させて設け、中間転写ベルト61に順次各色のトナー像を重ねて転写するため、作像手段が1つで4色の現像装置を持ち、中間転写ベルト上にトナー像を重ねて転写し、その後用紙に転写する形式のものと比べて、作像時間を大幅に短縮する。また、画像形成装置1の上部に積載部が構成してあるので、画像形成装置1から積載部が周囲に飛び出ることがなく、設置面積や占有面積が小さくなる。
【0023】
一方、本発明の画像形成装置1に用いる感光体11は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属、または、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体(以下、単に「感光体」と記す。)11としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層(CGL)は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層(CTL)は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、高感度で異常欠陥のない感光体11を用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体11を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
また、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は、樹脂を主成分とするが、その上に感光層を溶剤で塗布することから、有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0024】
この有機感光体11は印刷を行うと表面が摩耗し、摩耗が進行すると、感光体11の全体の厚さが薄くなり、帯電する電位が初期の設定値と異なってくるために帯電電位が低くなるなどの帯電不良、地肌汚れ等の異常画像が発生する。
感光体表面から転写残トナーを除去する手段として、クリーニングブレード41を用いるクリーニング装置40が一般的である。しかし、このクリーニングブレード41は感光体表面に押圧されており、感光体表面の摩耗要因のひとつとなっている。
さらに、クリーニングブレード41のエッジ部に滞留しているトナーが研磨剤として作用する。よって、クリーニングブレード41のエッジ部に入力されるトナー量が多くなると研磨作用が大きくなる。したがって、クリーニングブレード41に入力される転写残トナー量によって、大きく感光体表面の摩耗量が異なることがわかっており、転写残トナー量が多いと摩耗量は大きくなり、転写残トナー量が少ないと摩耗量は小さくなる。
転写残トナーは、感光体表面上のトナー像を転写装置60によって転写され、転写しきれずに感光体上に残ったトナーのことであるが、感光体11から転写装置60に転写されるトナーの比率は一定であるために、転写残トナー量はユーザーが印刷する画像面積率で決まる。
【0025】
そこで、感光体表面の摩耗は、画像面積と相関があることがわかっている。画像面積率を振った条件で感光体11の摩耗量を測定した。なお、ここで用いる感光体11は、摩耗の作用を明確にするために保護層を設けていない(以下、同様とする。)。
リコー製imagio MP C2200画像形成装置を改造し、感光体をクリーニングするクリーニング装置への転写残トナーの入力量を振るために画像面積率を振った画像を印刷し、20000枚印刷をした感光体の摩耗評価を行った。
評価条件は、以下の通りである。
1)画像面積率 2% 5% 20% 50%
2)印刷条件 連続印刷
3)印刷枚数 20000枚
4)感光体 試作感光体A
また、感光体摩耗測定方法は、FISCHER社製のFISCHERSCOPE・mmsを用いて測定した。
測定点は長手方向に24点測定し、感光体11の摩耗量は、感光体初期値との差分から算出した。
【0026】
この結果は、図3に示している。
図3は、廃トナー量と感光体摩耗量との関係を示すグラフである。
図3に示すように、このように画像面積率が大きくなって、それにつれて廃トナー量が増えると、それに比例して、感光体の摩耗量も大きくなることがわかった。
このように、転写残トナーは、廃トナーとして廃トナー回収容器44に回収されるので、クリーニング装置40への入力トナー量とである廃トナー量と感光体11の摩耗量には相関がある。よって、廃トナー回収容器44に回収された廃トナー量を検知することで、感光体の摩耗量が判断できる。
【0027】
上述したように、転写残トナーは、ユーザーが印刷する画像面積率で決まるだけであれば、画像形成装置1が印刷した画像情報を記憶することで、おおよその転写残トナー量を予測することができる。
しかし、タンデム型の画像形成装置1では、クリーニング装置40に入力されるトナーは、転写残トナーだけでなく、上流の現像装置30の逆転写トナーも入力される。逆転写とは、感光体11等の像担持体に形成されたトナー像を、中間転写ベルト61等の中間転写体に順次転写し、中間転写体に複数色のトナー画像が形成されるタンデム型のカラー画像形成装置1では、中間転写体の上流側の作像ユニット10で一次転写されたトナーの一部が、それより下流側の作像ユニット10の像担持体に戻ってしまうというものであり、混色や画像の乱れの、汚れ等の原因となる。
すなわち、画像形成装置1が印刷した画像情報を積算しても、実際にクリーニング装置40に入力されるトナーは、各作像ユニット10によっても異なるといえる。また、下流の作像ユニット10ほど実際のクリーニング装置40へのトナー入力量は多くなる。
また、中間転写ベルト61上のトナーの重なりや周囲環境によっても、逆転写トナー量は異なることから、予測することは困難である。そこで、各作像ユニット10のクリーニング装置40に入力されたトナー量を直接確認することがもっとも誤差が少なくすることができる。
クリーニング装置40に入力されたトナーは、廃トナー回収容器に回収されることから、この廃トナー量を検知することで、感光体11の摩耗状態を予測することが可能となる。廃トナー量検知手段46から得られた廃トナー量の情報をもとにして、画像形成装置4に設けられている、図示しない感光体摩耗量推定手段によって、感光体11の摩耗量を推定する。
【0028】
次に各作像ユニット10の画像面積率を20%として、20000枚印刷したときの感光体摩耗量を測定した。
画像形成装置1として、リコー製imagio MP C2200画像形成装置を改造し、中間転写ベルト61の回転方向に対して上流側からイエロー作像ユニット10Y、マゼンタ作像ユニット10M、シアン作像ユニット10C、ブラック作像ユニット10Kとなっており、下流側の作像ユニット10ほど逆転写トナーの入力量が多くなる。すなわち、下流側の作像ユニットほど感光体クリーニング装置40への入力トナー量が多くなる。
表1は、各作像ユニット10の廃トナー量と感光体11の摩耗量を示している。
【表1】

【0029】
図4は、各作像ユニットの廃トナー量とそれぞれの感光体の摩耗量を示すグラフである。
また、図5は、作像ユニットの廃トナー量と感光体摩耗量との関係を示すグラフである。
図4に示すように、中間転写ベルト61の上流側の作像ユニット10で一次転写されたトナーの一部が、それより下流側の作像ユニット10より多いことがわかる。結果的に、最下流にあるブラックトナーの作像ユニット10Kで回収された廃トナーが最も多くなっている。
また、図5では、図3に示したグラフと同様に、廃トナー量に比例して感光体11の摩耗量が増加していることがわかる。
このように、各作像ユニット10から排出された廃トナー量と感光体11の摩耗量にはよい相関が得られた。
【0030】
また、実際にリコー製imagio MP C2200画像形成装置を改造し、各印刷枚数における廃トナー量と感光体摩耗量を確認した。
評価条件は、以下の通りである。
評価条件
1)画像面積率 5%
2)印刷条件 2枚/回
3)感光体 試作感光体A
【0031】
表2は、作像ユニット10の廃トナー量と感光体11の摩耗量を示している。

【表2】

図6は、作像ユニットの廃トナー量とそれぞれの感光体の摩耗量を示すグラフである。
表2、図6の結果より、80000枚印刷時に地肌汚れが発生しており、感光体の寿命に達したといえる。よって、60000枚までが安定して感光体の使用できる枚数とすると、感光体寿命時の廃トナー量は105.2gになった場合となる。
【0032】
図7は、本発明の画像形成装置が用いる廃トナー量検知手段の構成を示す図である。
図7に示すように、廃トナー回収容器44に、廃トナー量検知手段46として、発光部461として発光素子(LEDと、受光部462として受光素子(フォトダイオード(PD)又はフォトトランジスタ(PTr))とを組み合わせている。そして、発光素子からセンサ光が発光され、それを受光素子で受光している。
また、図7に示すように、廃トナー量を検知するために、廃トナー回収容器44内を前後もしくは左右に光が透過できる透明の透過窓47を設け、その透過窓47を透過できるように廃トナー回収容器44の外部に発光部461と受光部462を配する。また、廃トナー量検知手段46は、複数の発光部461、受光部462、透過窓47を設けておくことで、各々の受光部462への光の受光有無によって、廃トナー回収容器44内に回収された廃トナー量を検知することができる。
また、廃トナー量検知手段46による廃トナー回収容器44内のトナー量の検知は、光センサによる検知に限るものではなく、廃トナー回収容器44の下に、圧力センサ、歪センサを設けることで、廃トナーの重量を測定してもよい。
【0033】
廃トナー回収容器44内の廃トナー量で感光体寿命と判定するために廃トナー量検知手段46で検知する必要がある。廃トナー回収容器44内を前後もしくは左右に光が透過できる透明の透過窓47を設け、その透過窓47を透過できるように廃トナー回収容器44の外部に発光部461と受光部462とを配し、受光部462への光の受光有無によって、廃トナーが廃トナー回収容器44内で所定の量回収されたかを確認できる。
上記の感光体寿命時の廃トナー量が、105.2gだとすると、廃トナーの嵩密度を0.4g/cmであるので、廃トナーの体積は、105.2/0.4=263cmとなる。例えば、廃トナー回収容器44の底面積を100cmとすると、263/100=2.63cmの高さになった時点で廃トナー量が感光体11の寿命時となるので、その位置に廃トナー量検知手段46を設けるとよい。
図8は、本発明の画像形成装置が用いる廃トナー量検知手段の動作を説明する図であり、(a)は、廃トナーが廃トナー回収容器に無い状態であり、(b)は受光部に光が届かない状態の図である。
感光体11の径や材料によっても摩耗速度は異なるので、画像形成装置1における感光体摩耗速度と廃トナー量の関係を確認し、廃トナー量検知手段46に感光体寿命時の廃トナー量を検知できるように設定しておく必要がある。そこで、(b)に示すように、(a)の状態から、廃トナー回収容器44に所定量の廃トナーが回収され、貯留されて、受光部に光が届かない状態になったときに、感光体11が異常画像を発生させる摩耗量に達したと判断する。
したがって、本発明の画像形成装置1は、廃トナー量検知手段46で、廃トナー量を検知して、感光体11の摩耗量を推定することができ、それにともなう感光体11の寿命も推定することができる。
【0034】
図9は、本発明のタンデム型画像形成装置が用いる廃トナー量検知手段の構成を示す図である。
各廃トナー回収容器44K、44C、44M、44Yは、各作像ユニット10K、10C、10M、10Yからの廃トナーだけを回収するために、仕切りを設けているが、一体でもよいし、別体でもよい。
また、各廃トナー回収容器44K、44C、44M、44Yに回収された廃トナーを均すために均し部材481を設け、外部に設けたギア482で均して、廃トナーの検知の精度を向上させることができる。
【0035】
したがって、本発明の画像形成装置1では、廃トナー量検知手段46で廃トナー回収容器44内の廃トナー量を検知して、画像形成の制御を変更するものである。画像形成のためには、上述したように、感光体11の周囲に配置されている帯電装置20、露光装置12、現像装置30、除電装置13および転写装置60から少なくとも一つ以上の変更を行う。
図10は、本発明の画像形成装置における制御を示すブロック図である。
画像形成を行う感光体11の周囲の帯電装置20、露光装置12、現像装置30、除電装置13および転写装置60の出力手段を制御する。廃トナー量検知手段46の受光部462からの信号を、画像形成装置1内の図示しない像担持体摩耗量推定手段で信号処理をして、感光体の摩耗量を推定する。
この感光体の摩耗量から、その摩耗量に応じて、帯電装置20、露光装置12、現像装置30、除電装置13および転写装置60を、一つ又は各々の的と運組み合わせで制御する。
【0036】
本発明の画像形成装置1では、感光体11の推定した摩耗量に基づいて、帯電装置20に印加する電圧を変更する。
感光体11の電荷輸送層(CTL)が薄くなると感光体11の静電容量が大きくなりそのため帯電電位が低下したり感度が低下したりする。また、局部的な摩耗により、感光体表面の電位低下により、地肌汚れが発生しやすくなる。
感光体11の摩耗量に応じて地肌ポテンシャルを大きくすることで地肌汚れの発生を抑制する。ここでいう地肌ポテンシャルとは、感光体表面の未露光部(白部)の帯電電位と現像装置30に印加する電圧差のことである。この値が大きくなるとトナーにとって感光体11から現像装置30の方向に電界が働くことから地肌部へのトナーの移動を妨げることができるので、地肌汚れが改善される。
したがって、帯電ローラ21に印加されている直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)を、帯電バイアス演算手段が感光体11の推定した摩耗量に基づいて演算し、帯電バイアス、帯電バイアスのうちのAC電流値等を出力手段である電源を制御して、電圧及び電流値を決定して直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)を印加する。
【0037】
改造したリコー製imagio MP C2200画像形成装置1を用いて、感光体11の電荷輸送層(CTL)の膜厚と地肌汚れを確認した。
ここでは、条件は以下の通りである。
1.1)条件試作感光体A
2)CTL厚 26μm(初期膜厚相当)
2.1)試作感光体B
2)CTL厚 21μm
3.1)試作感光体C
2)CTL厚 19μm
地肌ポテンシャルを振って感光体11の上の地肌汚れを測定した。地肌汚れは感光体11上の白部を透明なテープを用いて感光体11上の白部に付着したトナーを採取し、テープの画像濃度を測定した。
【0038】
図11は、感光体のCTL厚と地肌汚れとの関係を示すグラフである。
図11に示すように、感光体初期の地肌ポテンシャルが150Vでは、CTL厚19μm時に地肌汚れが悪化する。しかし、CTL厚19μmでも地肌ポテンシャルを180Vにすると、地肌汚れが改善する。
よって、感光体11の摩耗量がある所定の摩耗量に達したときに地肌ポテンシャルを大きくすることで地肌汚れを改善できる。地肌ポテンシャルを大きくする方法として、帯電装置20に印加するバイアスを大きくすることで感光体11の帯電電位を大きくすることで可能である。
【0039】
また、本発明の画像形成装置で1は、感光体11に非接触又は近接に配設された帯電装置20に直流成分に交流成分を重畳したバイアスを印加する場合、感光体11の推定した摩耗量に基づいて、交流成分の電流目標値を変更する。
感光体11と帯電ローラ21に微少なギャップを形成した方式は、帯電ローラ21が感光体11に接していないことから、帯電ローラ21の汚れに対して有効であり、帯電ローラ21の高寿命化が可能となる。しかし、感光体11と帯電ローラ21が近接状態では、少しのギャップの変動も帯電の均一性に影響することから、感光体11を一様に帯電させるためには、印加するバイアスは直流成分にAC成分を重畳することが望ましい。帯電ローラ11は、温度や湿度の影響を受け抵抗が変動することから定電流制御が望ましい。しかし、感光体11の膜厚が薄くなると同じ帯電電流値を得るためにはピークトゥピーク電位が大きくなってしまう。
【0040】
改造したリコー製imagio MP C2200画像形成装置1を用いて、感光体11のCTL厚と帯電装置20への交流成分とフィルミング発生状況を確認した。
【表3】

表3に示すように、この結果より、帯電装置20への交流成分のピークトゥピーク電位が大きくなると感光体11がフィルミングしたり、異常放電による異常画像が発生する。よって、感光体11の膜厚が変動すると帯電装置20の目標電流値の制御変更する必要がある。
【0041】
改造したリコー製imagio MP C2200画像形成装置1を用いて、感光体11のCTL膜厚と帯電の交流成分のピークトゥピーク電位が一定になる交流成分の電流目標値を振ったときの異常放電による異常画像の発生状況を確認した。
なお、ここでの異常画像は、異常放電箇所が点状となるものである。
ここでは、条件は以下の通りである。
1.1)条件試作感光体A
2)CTL厚 26μm(初期膜厚相当)
2.1)試作感光体B
2)CTL厚 21μm
3.1)試作感光体C
2)CTL厚 19μm
【0042】
【表4】

表4に示すように、異常放電による異常画像は、帯電の交流成分のピークトゥピーク電位と相関があり、帯電の交流成分のピークトゥピーク電位が2180Vp−p以上となると発生する。よって、感光体11の寿命時まで帯電の交流成分のピークトゥピーク電位が2180Vp−pを越えないように制御する必要がある。よって、感光体11の推定される摩耗量に応じて帯電の交流成分の電流の目標値の制御を変更する。
ここで、例えば、帯電の交流成分の電流の目標値を、電荷輸送層(以下、「CTL」と記す。)厚さが26μmの時には700μA、CTL厚さが21μmの時には650μA、CTL厚さが19μmの時には600μAとなるように感光体の推定摩耗量に達したときに変更するようにすればよい。
これは、実験から得られたパラメータを割り当てても良いし、演算装置で比例式に基づいて摩耗量に対して帯電の交流成分の電流の目標値を変更できるようにしてもよい。
【0043】
また、本発明の画像形成装置1では、感光体11の推定した摩耗量に基づいて、露光装置12の出力を変更する。
感光体11の膜厚が薄くなると露光後の電位が上昇する。露光後電位が上昇すると現像に印加されているバイアスとの電位差が小さくなることから、現像能力が低下し画像濃度が低下する。そこで、感光体11の推定摩耗量に応じて、露光装置12の出力を変更すると、狙いの露光後電位にすることができ、狙いの画像濃度が得られる。
改造したリコー製imagio MP C2200画像形成装置1を用いて、感光体11のCTL膜厚とレーザーの出力を一定にしたときの露光後電位の関係を確認した。
ここでは、条件は以下の通りである。
1.1)条件試作感光体A
2)CTL厚 26μm(初期膜厚相当)
2.1)試作感光体B
2)CTL厚 21μm
3.1)試作感光体C
2)CTL厚 19μm
4.暗部電位 600V
その結果を、図12に示す。
図12は、感光体のCTL膜厚と露光後電位との関係を示すグラフである。
ここでは、CTLの厚さが26μmの時には、十分な露光量が得られているが、CTL厚が薄くなると露光後電位が上昇する。そこで、このように感光体11の膜厚が薄くなると露光後電位が大きくなる。
それぞれのCTL厚において、レーザーの出力を大きくすると露光後電位を下げることができる。
【0044】
また、CTL厚21μmおよび19μmの感光体11に対して、レーザーの出力を大きくすることで、露光後電位をCTL層26μm(初期膜厚相当)と同じ電位まで下げることができるか確認した。
図13は、レーザ光の出力を変更したときの、感光体のCTL膜厚と露光後電位との関係を示すグラフである。
これによって、現像に印加されているバイアスを変更することなく、トナーの現像における電位差を、感光体11が摩耗しても一定にすることができる。したがって、感光体11の寿命時まで、露光装置12におけるレーザ光の出力の制御を変更することで、画像濃度を安定させることができる。
これは、実験から得られたパラメータを割り当てても良いし、演算装置で計算式に基づいて摩耗量に対して露光装置12の目標値の制御を変更できるようにしてもよい。
【0045】
本発明の画像形成装置1では、感光体11の推定した摩耗量に基づいて、現像装置30に印加する電圧を変更する。
感光体11の膜厚が薄くなると露光後電位が上昇する。露光後電位が上昇すると現像装置30に印加されているバイアスとの電位差が小さくなることから、現像装置30における現像能力が低下し画像濃度が低下する。そこで、感光体11の推定摩耗量に応じて、現像装置30に印加する電圧を大きくすることで、現像装置30と感光体11との露光後電位の電位差を初期から一定とすることで感光体11が摩耗しても画像濃度が一定にできる。
改造したリコー製imagio MP C2200画像形成装置1を用いて、感光体11のCTL膜厚と現像装置30に印加するバイアスを一定にしたとき、ブラックのベタ部画像濃度の関係を示す。
ここでは、条件は以下の通りである。
1.1)条件試作感光体A
2)CTL厚 26μm(初期膜厚相当)
2.1)試作感光体B
2)CTL厚 21μm
3.1)試作感光体C
2)CTL厚 19μm
4.暗部電位 600V
計測器 X-rite 938
【表5】

表5に示すように、感光体11のCTL厚が薄くなるにつれて、同じ現像バイアスでも画像濃度が低下している。
【0046】
このように、画像濃度は、1.40以上を目標としているが、感光体11のCTL厚が21μm以下では、1.40以下となってしまう。しかし、CTL厚21μm、19μmの時に、現像装置30に印加するバイアスを、それぞれ500V、550Vと大きくする。
【表6】

表6に示すように、現像に必要な電位差が得られることから、目標の画像濃度1.40異常とすることができる。これは、実験から得られたパラメータを割り当てても良いし、演算装置で比例式に基づいて摩耗量に対して、現像装置30における現像バイアスの制御を変更できるようにしてもよい。
【0047】
また、本発明の画像形成装置1では、感光体11の推定した摩耗量に基づいて、クリーニング装置40の下流に配設される除電装置13への条件を変更する。
感光体11の膜厚が薄くなると、露光装置12によって感光体11に書き込まれて、現像された部分が感光体11の一周後に画像が現れる残像という現象が発生する。感光体11が露光装置12によって書き込まれた部分が転写装置60を通過後には転写バイアスによって、感光体11にはプラスの電荷が残ってしまい、その部分が次の帯電装置20によって帯電されても、レーザ光で露光された露光部の電位は少し低い状態となってしまっている。よって、その電位差が画像として現れてしまう。除電装置13を用いることで転写後の感光体上を除電することができ、次の帯電で一様に帯電することができるので、残像は改善される。
しかし、感光体11の膜厚が薄くなると、初期の使用時間の短い感光体11に合わせて設定した除電装置13の設定条件では不十分となってしまい、感光体11上には電位差が残ったままとなってしまう。そこで、感光体11の摩耗量に応じて、初期の使用時間の短い感光体11より除電装置13の設定条件における除電能力を高くすることで、寿命時まで残像のない安定した画像が得られる。
【0048】
改造したリコー製imagio MP C2200画像形成装置1を用いて、感光体11のCTL厚と残像の発生状況を除電装置の条件を振った結果を表7に示す。
今回は、除電装置13に除電ランプを用いた。除電ランプの照度変更する方法として、入力電流を変更した。
ここでは、条件は以下の通りである。
1.除電ランプ仕様
ピーク波長:660±20nm
照度 :27〜120mW/m
感光体試作感光体A CTL厚 26μm(初期膜厚相当)
試作感光体B CTL厚 21μm
試作感光体C CTL厚 19μm
暗部電位 600V
【0049】
【表7】

表7に示すように、感光体膜厚が薄くなると残像を改善するための除電ランプ13の入力電流を大きくする必要がある。よって、感光体11の推定摩耗量に応じて、除電ランプ13の入力電流を大きくすることで、残像のない安定した画像を得ることができる。
これは、実験から得られたパラメータを割り当てても良いし、演算装置で比例式に基づいて摩耗量に対して除電装置13に印加する電圧を制御を変更することができるようにしてもよい。除電装置13としては、除電ランプの他にチャージャでもよい。
【0050】
次に、画像形成動作について説明する。
画像形成動作が開始すると、最初に、廃トナー量検知手段46が動作を開始し、廃トナー収納容器44内の廃トナーの量を検知する。このときに、廃トナー量を検知して、感光体11の摩耗量を推定する。この推定した摩耗量が、画像形成の条件を変更する必要がない場合は、以下の画像形成動作を開始する。
各作像ユニット10の感光体11を図示しない駆動装置によって時計方向に回転駆動し、各感光体11の表面を帯電ローラ21によって所定の極性に一様に帯電させる。帯電した各感光体11の表面には、露光装置12からレーザ光Lをそれぞれ照射し、それぞれの表面に静電潜像を形成する。このとき、例えば、原稿を読み取る読取装置3で読み取った画像を演算装置にて、各感光体11に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成した静電潜像は、各感光体11と現像装置30の間を通るとき、各現像装置30に収納したトナーによってトナー像として可視像化する。
中間転写ベルト61を巻き掛けた複数の支持ローラ65、66のうち1つのローラを、図示していない駆動装置によって反時計方向に回転駆動し、これにより中間転写ベルト61を走行駆動し、他のローラを従動回転させる。このように走行する中間転写ベルト61には、各作像ユニット10で形成した各色のトナー像が一次転写ローラ62によって順次重ねて転写され、中問転写ベルト61の表面にはフルカラーのトナー像が担持される。
トナー像を転写した後の各感光体11の表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置40によって各感光体11表面から除去し、感光体11の表面を図示しない除電装置によって除電し、表面電位を初期化して次の画像形成に備えさせる。
一方、給紙トレイ81から給紙した用紙を搬送経路へ送り込み、二次転写ローラ63よりも給紙側に配設したレジストローラ対83によって給紙タイミングをとってローラ66と二次転写ローラ66とのニップ部に給送する。このとき二次転写ローラ66には、中問転写ベルト61表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧を印加し、これによって中間転写ベルト61の表面のトナー像を用紙上に一括して転写する。トナー像の転写を受けた用紙を定着装置70へと搬送し、定着装置70を通過させる際に熱と圧を加え、トナー像を溶融させて定着させる。そして、トナー像が定着した用紙、すなわちプリント済みの用紙は、画像形成装置1の上部寄りに設けた搬送経路の終端に位置する排出ローラ84へと搬送し、画像形成装置1の上部に構成した積載部へと排出する。トナー像を用紙に転写した後の中間転写ベルト61上に残留したトナーはベルトクリーニング装置64より除去され、クリーニングされる。
【0051】
一方、この推定した摩耗量が、画像形成の条件を変更する必要があると判断した場合は、画像形成装置1内の制御手段で、帯電装置20、現像装置30、露光装置12や除電装置13を感光体11の摩耗量に応じて最適な条件を判断し制御を変更して、画像形成動作を行う。このときに、どの装置の制御を変更するかは適宜決定することができる。
なお、以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、作像部2の作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色または3色の画像を形成したりすることもある。また、本形態の画像形成装置1を用いてモノクロ印刷をする場合には、ブラックの作像ユニット10の感光体11K上にのみ静電潜像を形成して、中間転写装置60によって用紙に転写し、定着装置70で定着すればよい。
また、作像ユニット10は、いわゆるプロセスカートリッジとし、感光体11、現像装置30、クリーニング装置40、帯電装置20が一体としてある。
【0052】
このように、本発明の画像形成装置1では、感光体11の膜厚が薄くなることで、画像濃度が薄くなり、残像や帯電装置による異常放電による異常画像が発生しやすくなる。これらの不具合を改善するためには、それぞれの不具合に対して、帯電装置20、現像装置30、露光装置12や除電装置13を感光体11の摩耗量に応じて最適な条件を判断し、感光体11の膜厚が摩耗して、寿命時まで総合的に安定した画像を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成装置
2 作像部
3 読取装置
10 作像ユニット/プロセスカートリッジ
11 感光体
12 露光装置
13 除電チャージャー
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
31 トナー補給ユニット
32 現像スリーブ
33 規制部材
40 クリーニング装置
41 クリーニングブレード
42 回収ローラ
43 廃トナー回収経路
44 廃トナー回収容器
45 廃トナー排出口
46 廃トナー量検知手段
461 発光部
462 受光部
47 透過窓
481 均し部材
482 ギア
50 潤滑剤塗布手段
51 ブラシ状ローラ
52 固形潤滑剤
53 圧縮バネ
60 転写装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 ベルトクリーニング装置
65、66 支持ローラ
70 定着装置
80 給紙装置
81 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 レジストローラ
84 排紙ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開平08−220935号公報
【特許文献2】特開2005−266056号公報
【特許文献3】特開平10−161487号公報
【特許文献4】特開2008−107571号公報
【特許文献5】特開2006−267972号公報
【特許文献6】特開2004−101837号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
該像担持体に接触又は近接して配設されて、該像担持体表面を帯電する帯電装置と、
該像担持体表面を露光し、静電潜像を書き込む露光装置と、
該像担持体表面に形成された潜像にトナーで可視像化する現像装置と、
該像担持体表面の可視像を被転写体に転写する転写装置と、
該転写装置の下流に配設されて、前記像担持体表面のトナーをクリーニングするクリーニング装置と、を備える画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
クリーニング装置から搬送された廃トナーを回収する廃トナー回収容器を備え、
かつ、廃トナー回収容器内の廃トナー量を検知する廃トナー量検知手段を設けて、像担持体の摩耗量を推定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、画像形成の制御を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、帯電装置に印加する電圧を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体に非接触又は近接に配設された帯電装置に直流成分に交流成分を重畳したバイアスを印加する場合、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、交流成分の電流目標値を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、露光装置の出力を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、現像装置に印加する電圧を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、クリーニング装置の下流に配設される除電装置への条件を変更する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記像担持体の推定した摩耗量に基づいて、帯電装置、露光装置、現像装置、除電装置および転写装置から少なくとも一つ以上の変更を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
少なくとも像担持体と帯電装置とクリーニング装置とを一体に支持していて、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを備えている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−186176(P2011−186176A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51209(P2010−51209)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】