説明

画像形成装置

【課題】両面ユニットへのガイド爪の取り付けを位置精度上ラフに行うと、両面ユニットを閉じたときのガイド爪の位置が狂って、記録用紙搬送に支障がでるおそれがある。
【解決手段】画像形成パス等開閉可能型両面画像形成装置において、両面ユニット80、排出側カバー70及び記録用紙ガイド爪6を搭載した定着後ガイド部材Gをそれぞれ開閉できるようにし、排出側カバー70を開くと,両面ユニット80の閉じ動作を阻止するストッパ92が突出し、定着後ガイド部材Gを開位置へ回動させると排出側カバー70の閉じ動作を阻止するストッパ101が突出するようにして、点検、ジャム処理等のために開いた両面ユニット80、排出側カバー70及び定着後ガイド部材Gの閉じ順を正しく誘導し、それだけ、各部開閉順序にかかわるトラブルを抑制できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置、特に記録シートの両面にトナー画像を形成することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙等の記録シート(以下、「記録用紙」或いは単に「用紙」と称することがある。)の両面にトナー画像を形成することができる画像形成装置は、記録用紙を記録用紙供給部から供給して画像形成部を通る画像形成パスに通過させることで記録用紙にトナー像を形成し、ひき続き定着装置に通過させることで記録用紙にトナー像を定着させることができ、片面画像形成モードでは、定着装置から出た記録用紙をそのまま排出し、両面画像形成モードでは、一方の面に画像形成された記録用紙を両面画像形成のための反転循環搬送路経由で再び画像形成パスに導き、記録用紙の他方の面にも画像形成することができるものである。
【0003】
このような画像形成装置の1例を図7を参照して説明する。
図7に示す画像形成装置100’は複写機、プリンタ、ファクシミリ機等の機能を有する複合機である。画像形成装置100’は、電子写真方式により記録用紙にトナー画像を形成するものであり、画像形成装置本体A’とそれに搭載された画像読み取り装置IRを含んでいる。
【0004】
画像読み取り装置IRはそれ自体既に知られているもので、原稿画像を読み取り、読み取った画像情報を画像形成装置本体A’での原稿複写やファクシミリ送信等に供することができるものである。
【0005】
画像形成装置本体A’は、画像形成部a1、画像形成部下方の記録用紙供給部a2及び画像形成パスa3を含んでいる。
【0006】
画像形成部a1は、図中反時計方向まわりに回転駆動されるドラム型感光体1を含んでいるとともに、その周囲に、感光体回転方向に順次配置された帯電器11、画像露光装置12、現像器13、転写ローラ2及び感光体クリーニング装置14等を含んでいる。
【0007】
記録用紙供給部a2は、この画像形成装置例では2段の記録用紙供給カセット41、42と、記録用紙をユーザーが供給する手差しトレイ43を含んでいる。
【0008】
カセット41、42に収容された記録用紙は給紙ローラ411、421によりそれぞれ1枚ずつ引き出し、画像形成パスa3へ供給することができる。手差しトレイ43に載置された記録用紙は給紙ローラ431にて画像形成パスa3へ供給される。
【0009】
画像形成装置本体A’は定着装置5も有しており、画像形成パスa3は記録用紙供給部a2から上昇し、感光体1と転写ローラ2との間を通り、転写ローラ2の上方に位置する定着装置5へ延びている。画像形成パスa3の、転写ローラ2の前の部分にタイミングローラ対3が配置されている。
【0010】
定着装置5はそれ自体知られているもので加熱定着ローラとバックアップローラとのニップ部にトナー像が転写された記録用紙を通過させることでトナー像を記録用紙に加熱加圧下に溶融定着させるものである。
【0011】
画像形成装置本体A’はさらに記録用紙を排出する排出トレイTに臨む排出ローラ対7及び定着装置5の排出側から排出ローラ対7へ延びる排出搬送路a4を有している。
排出搬送路a4の途中部分には、支点軸6s’を中心に回動可能の記録用紙ガイド爪6’が設けられている。ガイド爪6’は常時はその自重により下降回動して排出搬送路途中部分を閉じている。
【0012】
画像形成装置本体A’はさらにガイド爪6’の上側域から排出ローラ対7とは反対側に延びる反転循環搬送路a5を有している。反転循環搬送路a5には記録用紙搬送のための搬送ローラ対82が配置されている。反転循環搬送路a5は、記録用紙の両面に画像形成するために片面に画像形成された記録用紙を反転させて再び画像形成パスa3へ供給するためのものである。
【0013】
反転循環搬送路a5は両面ユニット80に設けられている。
記録用紙ガイド爪6’もその回動軸6s’で両面ユニット80に取り付けられている。 また転写ローラ2及びタイミングローラ対3も両面ユニット80に取り付けられている。
【0014】
両面ユニット80は、ここでは全体的に上下方向に延びており、画像形成装置本体A’の側面カバーとして機能するものである。両面ユニット80は下端部の軸8Sで画像形成本体A’に揺動可能に連結されている。
【0015】
両面ユニット80を図7に鎖線で示すように横に外側へ揺動させて開くことで、画像形成パスa3を開き、点検や、ジャム処理等を行うことができる。両面ユニット80を開くと、転写ローラ2、タイミングローラ対3のほか、記録用紙ガイド爪6’もユニット80側に付いて露出される。画像形成パスa3を構成していたガイド部材2g、3g等もユニット80側に付いて露出される。両面ユニット80を開いた状態から本体A’側へ閉じることで画像形成パスa3を形成することができる。
【0016】
画像形成装置本体A’の上部には排出搬送路a4を開閉する排出側カバー70が設けられている。排出ローラ対7は回転駆動される上側の排出ローラ71とこれにスプリングで圧接される下側の従動ローラ72とからなっている。排出側カバー70は上側の排出ローラ71の軸71sを中心にそのまわりに手動回動可能に設けられている。
【0017】
図7では排出側カバー70も両面ユニット80も閉じられており、この状態では、排出側カバー70の係合部(図示例では凸係合部)73が、両面ユニット80の係合部(図示例では凹係合部)83に嵌合係合しており、両面ユニット80を閉じたまま排出側カバー70を開くことはできないようになっている。両面ユニット80を開いた後、排出側カバー70を開くことで排出側カバーに隠れていた部分を露出させて、点検、ジャム処理等を行える。
【0018】
以上説明した画像形成装置100’は図示省略の制御部の指示、制御のもとに次のようにして画像形成できる。
画像形成部a1における感光体1が図示省略のモータで回転駆動され、回転する感光体1表面が帯電器11で所定電位に帯電される。その帯電域に画像露光装置12から画像露光が施され、静電潜像が形成される。露光装置12は、画像読み取り装置10から提供される画像情報或いは外部のコンピュータやファクシミリ機等からの画像情報に基づいて画像露光を施す。
【0019】
このようにして形成された静電潜像は、現像装置13の現像ローラ131からトナーを付与されて現像され、トナー像が形成される。このとき現像ローラ131には図示省略の電源から現像バイアスが印加される。
【0020】
一方、記録用紙供給部a2のカセット41、42のいずれか、或いは手差しトレイ43から記録用紙がタイミングローラ対3へ供給される。記録用紙はそこで一旦停止される。 感光体1上のトナー像が転写ローラ2へ到来するタイミングで感光体1と転写ローラ2とのニップ部へ記録用紙が供給されるようにタイミングローラ対3が駆動され、記録用紙が転写領域へ供給される。
【0021】
かくして記録用紙に転写ローラ2により感光体1上のトナー像が転写される。このとき、転写ローラ2には図示省略の転写電源から転写電圧が印加される。
感光体1上の転写残トナー等はクリーニング装置14に除去される。トナー像が転写された記録用紙は定着装置5を通過することで該トナー像が定着される。
【0022】
片面画像形成モードでは、定着装置5を通過した記録用紙は記録用紙ガイド爪6’を押し上げ回動させつつ排出搬送路a4を通って排出ローラ対7にて排出トレイTへ排出される。
【0023】
両面画像形成モードでは、定着装置5を通過した記録用紙は記録用紙ガイド爪6’を押し上げ回動させつつ排出搬送路a4を通って排出ローラ対7にて排出トレイTへ排出されるが、記録用紙の後端がガイド爪6’を通過した後、排出ローラ対7が逆転開始され、これにより記録用紙はスイッチバックし、自重回動して閉じ位置に復帰したガイド爪6’の上側を通って反転循環搬送路a5へ送られ、さらに搬送路a5における搬送ローラ対82に搬送されて画像形成パスa3へ表裏反転した状態で再供給される。
かくして該記録用紙は反対側の面にも、前記同様に画像形成され、排出トレイTへ排出される。
【0024】
なお、画像形成装置において、点検やジャム処理のために各部を開閉する機構は、図7に記載の画像形成装置の場合とは構成が異なってはいるが、例えば特開平9−297440号公報、特開2002−72720号公報、特開2004−133485号公報、特開2004−264518号公報、特開2006−293407号公報等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開平9−297440号公報
【特許文献2】特開2002−72720号公報
【特許文献3】特開2004−133485号公報
【特許文献4】特開2004−264518号公報
【特許文献5】特開2006−293407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ところで、以上説明した画像形成装置100’では、記録用紙ガイド爪6’が開閉可能の両面ユニット80に取り付けられており、しかも両面ユニット80の揺動支点軸8Sから相当遠い距離に取り付けられている。そのため、揺動支点軸8Sをラフに位置決めしたり、両面ユニット80へのガイド爪6’の取り付けを位置精度上ラフに行うと、両面ユニット80を閉じたときのガイド爪6’の画像形成装置本体A’での位置が狂って、記録用紙搬送に支障がでるおそれがある。
【0027】
そのため、両面ユニット80を閉じたとき記録用紙ガイド6’が正しい位置に配置され、正しく排出搬送路a4の所定途中部分を閉じるように両面ユニット80に精度よく取り付けておかなければならないが、その作業は両面ユニット80の揺動支点軸8Sの位置決めも配慮して行わなくてはならず、実際には微調整等も要する手間のかかる作業である。
【0028】
本発明者はこの問題を解消すべく、図5に示すように、記録用紙ガイド爪6を画像形成装置本体側(図5の例では画像形成装置本体側の定着後ガイド部材G)に搭載してその位置を安定させるとともに、点検やジャム処理等のために、定着後ガイド部材Gを画像形成装置本体側に設けた支点軸Gsを中心に、排出搬送路a4のガイド爪6より定着装置5側の部分を形成する閉位置から該部分を開ける開位置まで往復回動可能に取り付けることを試みた。この例では、ガイド爪6はガイド部材G上の支点軸6sを中心に、記録用紙により僅かに持ち上げ回動可能とした。
【0029】
この場合、定着後ガイド部材Gを開位置に開く場合、両面ユニット80を開いてその係合部83を排出側カバー70の係合部73から外し、次いで排出側カバー70を開き、その後に定着後ガイド部材Gをガイド爪6ごと開くのである。閉じるときは、正しくは定着後ガイド部材Gを閉じた後、排出側カバー70を閉じ、最後に両面カバー80を閉じるのである。
【0030】
しかし、例えば図6に示すように、定着後ガイド部材Gを閉位置へ閉じる前に排出側カバー70を閉じてしまい、そのために定着後ガイド部材Gや両面ユニット80を閉じられなくなり、しかたなく、もう一度排出側カバー70を開いて正しい順序で閉じ直さなければならない、といったトラブルが生じ易い。
【0031】
そこで本発明は、 記録用紙を記録用紙供給部から供給して画像形成部を通る画像形成パスに通過させることで該記録用紙にトナー像を形成し、ひき続き定着装置に通過させることで該記録用紙にトナー像を定着させることができ、片面画像形成モードでは、定着装置から出た記録用紙を排出搬送路により、該排出搬送路を構成する定着後ガイド部材に搭載された記録用紙ガイド爪の下に潜らせて排出ローラ対へ案内して排出トレイへ排出でき、両面画像形成モードでは、一方の面に画像形成された記録用紙を前記排出ローラ対にて前記排出トレイへ排出し、該記録用紙後端が前記記録用紙ガイド爪を通過したのち、該排出ローラ対の逆転にて、前記記録用紙ガイド爪に沿って反転循環搬送路へ導き、該反転循環搬送路経由で再び前記画像形成パス及び前記定着装置に通過させて該記録用紙の他方の面にも画像形成して前記排出搬送路により前記排出ローラ対へ案内し、前記排出トレイへ排出することができ、前記反転循環搬送路は画像形成装置本体に設けられた第1支点を中心に揺動して前記画像形成パスを開閉することができる両面ユニットに設けられており、前記排出搬送路のうち前記記録用紙ガイド爪から前記排出ローラ対へ至る排出搬送路部分が画像形成装置本体に設けられた第2支点を中心に揺動可能の排出側カバーにより開閉可能である画像形成装置(以下、この画像形成装置を「画像形成パス等開閉可能型両面画像形成装置」ということがある。)であって、
前記記録用紙ガイド爪の位置が安定し、それだけ記録用紙搬送の信頼性が高く、また、点検、ジャム処理等のために前記両面ユニット及び排出側カバーを開閉できるだけでなく、定着後ガイド部材を記録用紙ガイド爪ごと開閉でき、しかも、開いた両面ユニット、排出側カバー及び定着後ガイド部材の閉じ順を正しく誘導しやすく、それだけ、点検、ジャム処理等を各部開閉順序にかかわるトラブルを抑制して円滑に行える画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は前記課題を解決するため、 記録用紙を記録用紙供給部から供給して画像形成部を通る画像形成パスに通過させることで該記録用紙にトナー像を形成し、ひき続き定着装置に通過させることで該記録用紙にトナー像を定着させることができ、片面画像形成モードでは、定着装置から出た記録用紙を排出搬送路により、該排出搬送路を構成する定着後ガイド部材に搭載された記録用紙ガイド爪の下に潜らせて排出ローラ対へ案内して排出トレイへ排出でき、両面画像形成モードでは、一方の面に画像形成された記録用紙を前記排出ローラ対にて前記排出トレイへ排出し、該記録用紙後端が前記記録用紙ガイド爪を通過したのち、該排出ローラ対の逆転にて、前記記録用紙ガイド爪に沿って反転循環搬送路へ導き、該反転循環搬送路経由で再び前記画像形成パス及び前記定着装置に通過させて該記録用紙の他方の面にも画像形成して前記排出搬送路により前記排出ローラ対へ案内し、前記排出トレイへ排出することができ、前記反転循環搬送路は画像形成装置本体に設けられた第1支点を中心に揺動して前記画像形成パスを開閉することができる両面ユニットに設けられており、前記排出搬送路のうち前記記録用紙ガイド爪から前記排出ローラ対へ至る排出搬送路部分が画像形成装置本体に設けられた第2支点を中心に揺動可能の排出側カバーにより開閉可能である画像形成装置であり、
前記定着後ガイド部材は画像形成装置本体に設けられた第3支点を中心に、前記排出搬送路を形成する閉位置と、該排出搬送路を開く開位置とを往復回動可能であり、前記両面ユニットは前記画像形成パスを形成する閉位置にあるとき、前記排出搬送路部分を形成する閉位置におかれた前記排出側カバーの係合部に係合して該排出側カバーの開動作を阻止し、該画像形成パスを開く開位置にあるときは該排出側カバー係合部から外れて該排出側カバーの開動作を許す両面ユニット側係合部を有しており、
前記両面ユニットを開いてから前記排出カバーを開くことで、該両面ユニットの閉じ動作を阻止する位置をとり、該排出カバーを閉じることで該両面ユニット閉じ動作を許す位置をとる第1ストッパ及び
前記両面ユニット及び排出側カバーを開き、前記定着後ガイド部材を開位置へ回動させることで、該排出側カバーの閉じ動作を阻止する位置をとり、該定着後ガイド部材を閉位置へ閉じることで該排出側カバーの閉じ動作を許す位置をとる第2ストッパを備えている画像形成装置を提供する。
【0033】
本発明に係る画像形成装置によると、定着後ガイド部材は画像形成装置本体に設けられた第3支点を中心に、前記排出搬送路を形成する閉位置と、該排出搬送路を開く開位置とを往復回動可能なように画像形成装置本体側に設けられているので、両面ユニットの開閉に影響されることなくその位置が安定し、従ってまた定着後ガイド部材に搭載された記録用紙ガイド爪の位置も安定し、それだけ記録用紙搬送の信頼性が高くなっている。
【0034】
また、本発明に係る画像形成装置によると、点検やジャム処理のために両面ユニット、排出側カバー、定着後ガイド部材をそれぞれ開位置へ開こうとすると、先ず両面ユニットを開いてその係合部を排出側カバーの係合部から外し、そのあと排出側カバーを開くことになる。排出側カバーを両面ユニットを開く前に先に開こうとしても、両者の係合部が係合しあっているので排出側カバーを開くことはできない。排出側カバーを開いたあと、定着後ガイド部材を開位置へ回動させて開く。
【0035】
排出側カバーを開位置へ開くと、第1ストッパが両面ユニットの閉じ動作を阻止する位置をとる。定着後ガイド部材を開位置へ回動させることで第2ストッパが排出側カバーの閉じ動作を阻止する位置をとる。
【0036】
点検、ジャム処理等が終了後、両面ユニット、排出側カバー及び記録用紙ガイド爪をそれぞれ閉位置へ戻そうとするときには、先ず定着後ガイド部材を閉位置へ回動させて閉じ、それにより第2ストッパに排出側カバーの閉じ動作を許す位置をとらせ、そうしてから排出側カバーを閉位置へ閉じる。このとき、定着後ガイド部材を閉じる前に、先に排出側カバーを閉じようとすると、第2ストッパが邪魔になって排出側カバーを閉じることはできない。
【0037】
定着後ガイド部材を閉位置へ回動させ、排出側カバーを閉じると、それにより第1ストッパが両面ユニットの閉じ動作を許す位置をとるので、続いて両面ユニットを閉じることができる。排出側カバーを閉じる前に、先に両面ユニットを閉じようとすると、第1ストッパが邪魔になって閉じることはできない。
【0038】
このように、点検、ジャム処理等が終了後、両面ユニット、排出側カバー及び記録用紙ガイド爪を搭載した定着後ガイド部材をそれぞれ閉位置へ戻すときには、定着後ガイド部材、排出側カバー、両面ユニットをこの順序で閉じることでこれらを閉じることができ、その閉じ順は第1ストッパ及び第2ストッパにより誘導されるごとくである。
従って、それだけ、点検、ジャム処理等を各部開閉順序にかかわるトラブルを抑制して円滑に行える。
【0039】
本発明に係る画像形成装置は例えば次のものでもよい。すなわち、
前記記録用紙供給部は前記画像形成部より下方にあり、前記画像形成パスは上下方向に延びて前記画像形成部を通っており、前記定着装置は該画像形成パスの上側に続けて配置されており、前記排出搬送路は該定着装置の排出側から上昇して前記排出ローラ対へ湾曲して延びており、前記画像形成装置本体に設けられた第1支点は前記両面ユニットの下端部を中心に該両面ユニットの上端部を横方向に揺動させる支点であり、前記画像形成装置本体に設けられた第2支点は前記排出ローラ対を構成するいずれか一方のローラの回転軸を中心に前記排出側カバーの両面ユニット側端部を上下に揺動させる支点であり、前記画像形成装置本体に設けられた第3支点は前記定着後ガイド部材を前記両面ユニット側へ回動させて開位置におき、反対側に回動させて閉位置におくことができる支点である画像形成装置である。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように本発明によると、画像形成パス等開閉可能型両面画像形成装置であって、記録用紙ガイド爪の位置が安定し、それだけ記録用紙搬送の信頼性が高く、また、点検、ジャム処理等のために両面ユニット及び排出側カバーを開閉できるだけでなく、定着後ガイド部材を記録用紙ガイド爪ごと開閉でき、しかも、開いた両面ユニット、排出側カバー及び定着後ガイド部材の閉じ順を正しく誘導しやすく、それだけ、点検、ジャム処理等を各部開閉順序にかかわるトラブルを抑制して円滑に行える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成を概略的に示す図である。
【図2】両面ユニットを揺動させて画像形成パスを開いた様子を示す図である。
【図3】図2に示す状態からさらに排出側カバーを開いた状態を示す図である。
【図4】図3に示す状態からさらに定着後ガイド部材を開位置へ回動させた様子を示す図である。
【図5】記録用紙ガイド爪を画像形成装置本体側に取り付ける試みを示す図である。
【図6】図5の記録用紙ガイド爪を搭載した定着後ガイド部材が閉じられる前に先に排出側カバーが閉じられる様子を示す図である。
【図7】従来画像形成装置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例について説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示している。図1の画像形成装置100は図7に示す画像形成装置100’を改良したものであるが、画像形成装置100’と同様に画像形成できるものである。画像形成装置100’における部品、部分等と同じ部品、部分等については図7で用いた符号と同じ符号を付してある。
【0043】
画像形成装置100は、画像形成装置100’と同様に、記録用紙供給部a2は画像形成部a1より下方にあり、画像形成パスa3は上下方向に延びて画像形成部a1を通っている。定着装置5は画像形成パスa3の上側に続けて配置されており、排出搬送路a4は定着装置5の排出側から上昇して排出ローラ対7へ湾曲して延びている。
【0044】
画像形成装置本体Aにおける、両面ユニット80の揺動開閉のための第1支点は、両面ユニット80の下端部を中心に両面ユニット80の上端部を横方向に揺動させる軸8Sにより提供されている。
画像形成装置本体Aにおける、排出側カバー70の揺動開閉のための第2支点は、排出ローラ対7を構成する、回転駆動される上側の排出ローラ71の軸71sにより提供されており、排出側カバー70は軸71sを中心に両面ユニット80側の端部を上下に揺動させることができる。
【0045】
以下に、画像形成装置100’とは異なる点を中心に説明を続ける。
画像形成装置100の画像形成装置本体Aでは、排出搬送路a4における記録用紙ガイド爪として図5及び図6に示す爪と同様の記録用紙ガイド爪6を採用している。すなわち、排出搬送路a4のうち定着装置5の排出側の部分を形成する定着後ガイド部材Gに搭載された記録用紙ガイド爪6を採用している。ガイド爪6はガイド部材Gに支点軸6sで僅かに回動可能に支持されている。
【0046】
ガイド爪6は図1、図2及び図3には一つしか示していないが、軸6sに間隔を開けて複数個設けられている。換言すれば、定着装置5から出てくる記録用紙の搬送方向を横切る幅方向に間隔を開けて複数個設けられ、軸6sに取り付けられている。
定着後ガイド部材Gは、排出搬送路a4(特に定着装置5から爪6に至る部分)を形成する閉位置(図1〜図3参照)から排出搬送路a4を開く開位置(図4参照)を手動で往復回動させることができる。
【0047】
このように、記録用紙ガイド爪6は画像形成装置本体A側に設けられた定着後ガイド部材Gに搭載されているので、両面ユニット80の開閉に影響されることなく、定着後ガイド部材Gとともに、その位置が安定し、それだけ記録用紙搬送の信頼性が高くなっている。
【0048】
画像形成装置100は排出側カバー70の開閉に連動する第1ストッパ装置9及び定着後ガイド部材Gの開閉回動に連動する第2ストッパ装置10を有している。
【0049】
第1ストッパ装置9は、図2〜図4に示すように、排出側カバー70に設けられたストッパ駆動部材74、画像形成装置本体Aの定位置に軸9sで回動可能に支持された回動部材91、回動部材91の外周に設けられ、回動部材91とともに回動するストッパ92、回動部材91の側面に取り付けられ、回動部材とともに回動する駆動部材受け部材93を含んでいる。
【0050】
ストッパ装置9を構成するこれら部材は、排出搬送路a4の記録用紙搬送方向を横切る方向の幅より外側の、記録用紙搬送を妨げない領域に配置されている。図示例では、図中奥側に設けられているので、破線で示してある。
【0051】
回動部材91は図示省略のスプリングで、ストッパ92が図3に示す突出位置へ回動するように常時回動力を付与されている。スプリングはそのように作用するものであれば特に制限はなく、例えば一端が画像形成装置本体Aに、他端が回動部材91に係止された巻きバネを採用できる。
【0052】
この第1ストッパ装置9によると、排出側カバー70が図2に示すように閉じられているときは、カバー70に支持された駆動部材74が回動部材91側面の受け部材93をスプリングに抗して押し下げ、それにより回動部材91に支持されたストッパ92を両面ユニット80の開閉動作を妨げない位置に配置する。
【0053】
図3に示すように両面ユニット80を開いたのち、排出側カバー70を開くと、駆動部材74が上方へ後退回動し、それにつれ、受け部材93、回動部材91及びストッパ92がスプリングの弾性復元力で回動し、ストッパ92が図3に示す、両面ユニット80の閉じ動作を阻止する位置へ突出する。この状態ではストッパ92が両面ユニット80の閉じ動作を阻止する。両面ユニット80を閉じようとすると、ユニット80の部分84がストッパ92に衝突して閉じられない。
【0054】
図3に示すように、定着後ガイド部材Gが閉じ位置にある状態で排出側カバー70を閉じ回動させると、駆動部材74が受け部材93をスプリングに抗して押し下げ、それに伴い回動部材91及びストッパ92も復帰回動し、ストッパ92は両面ユニット80の閉じ動作を妨げない位置へ復帰する。
【0055】
第2ストッパ装置10は、図2〜図4に示すように、定着後ガイド部材Gの回動に連動回動するように図示省略の部材を介して定着後ガイド部材Gに支持された駆動部材61、軸10sで画像形成装置本体Aに回動可能に支持されたストッパ101、ストッパ101に一体的に設けられた駆動部材当接アーム102を含んでいる。
【0056】
ストッパ装置10を構成するこれら部材は、排出搬送路a4の記録用紙搬送方向を横切る方向の幅より外側の、記録用紙搬送を妨げない領域に配置されている。図示例では、図中奥側に設けられているので、破線で示してある。
【0057】
ストッパ101及びアーム102は図示省略のスプリングで、ストッパ101が図4に示す突出位置へ回動するように常時回動力を付与されている。スプリングはそのように作用するものであれば特に制限はなく、例えば一端が画像形成装置本体Aに、他端がアーム102に係止された巻きバネを採用できる。
【0058】
第2ストッパ装置10によると、定着後ガイド部材Gが図2、図3に示すように閉位置に閉じ回動されているときは、駆動部材61がスプリング力に抗してアーム102を図中左方向へ押し、それによりストッパ101を排出側カバー70の閉じ動作を妨げない位置に配置する。
【0059】
図4に示すように両面ユニット80及び排出側カバー70を開いたのち、定着後ガイド部材Gを開位置へ回動させると、それにつれ、アーム102及びストッパ101がスプリングの弾性復元力で図4に示す、排出側カバー70の閉じ動作を阻止する位置へ回動突出する。この状態で排出側カバー70を閉じようとすると、その動作に連動して復帰回動するストッパ92がストッパ101に衝突するので排出側カバー70を閉じることはできない。なお、この場合、排出側カバー70又はそれに設けられた部材がストッパ101に当たることで排出側カバー70の閉じ動作が妨げられるようにしてもよい。要するに、ストッパ101は突出状態において排出側カバー70の閉じ動作を阻止するものであればよい。
【0060】
図4に示すように、排出側カバー70が開位置にある状態で定着後ガイド部材Gを閉位置へ回動させると、駆動部材61がスプリングに抗してアーム102を図中時計方向へ回動させ、それによりストッパ101は排出側カバー70の閉じ動作を妨げない図2や図3に示す位置へ復帰する。
【0061】
従って、点検やジャム処理のために両面ユニット80、排出側カバー70、記録用紙ガイド爪6を搭載した定着後ガイド部材Gをそれぞれ開位置へ開こうとするときは、先ず両面ユニット80を開いてその係合部83を排出側カバー70の係合部73から外し、そのあと排出側カバー70を開くことになる。排出側カバー70を両面ユニット80を開く前に先に開こうとしても、両者の係合部73、83が係合しあっているので排出側カバー70を開くことはできない。排出側カバー70を開いたあと、定着後ガイド部材Gを開位置へ回動させて開く。
【0062】
排出側カバー70を開位置へ開くと、第1ストッパ92が両面ユニット80の閉じ動作を阻止する位置をとる。定着後ガイド部材Gを開位置へ回動させることで第2ストッパ101が排出側カバー70の閉じ動作を阻止する位置をとる。
【0063】
点検、ジャム処理等が終了後、両面ユニット80、排出側カバー70及び記録用紙ガイド爪6を搭載した定着後ガイド部材Gをそれぞれ閉位置へ戻そうとするときには、先ず定着後ガイド部材Gを閉位置へ回動させて閉じ、それにより第2ストッパ101に排出側カバー70の閉じ動作を許す位置をとらせ、そうしてから排出側カバー70を閉位置へ閉じる。このとき、定着後ガイド部材Gを閉じる前に、先に排出側カバー70を閉じようとすると、第1ストッパ92が第2ストッパ101に当たって閉じることはできない。
【0064】
このようにして排出側カバー70を閉じると、それにより第1ストッパ92が両面ユニット80の閉じ動作を許す位置をとるので、続いて両面ユニット80を閉じることができる。排出側カバー70を閉じる前に、先に両面ユニット80を閉じようとすると、第1ストッパ92が邪魔になって閉じることはできない。
【0065】
このように、点検、ジャム処理等が終了後、両面ユニット80、排出側カバー70及び記録用紙ガイド爪6を搭載した定着後ガイド部材Gをそれぞれ閉位置へ戻すときには、定着後ガイド部材G、排出側カバー70、両面ユニット80をこの順序で閉じることでこれらを閉じることができ、その閉じ順は第1ストッパ92及び第2ストッパ101により誘導されるごとくである。
従って、それだけ、点検、ジャム処理等を各部開閉順序にかかわるトラブルを抑制して円滑に行える。
【0066】
なお、以上説明した画像形成装置100における画像形成部a1はモノクロ画像を形成するものであったが、画像形成部はカラー画像を形成するものであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、画像形成パス等開閉可能型両面画像形成装置において、記録用紙ガイド爪の位置を安定させて記録用紙搬送信頼性を向上させ、また、点検、ジャム処理等のために両面ユニット及び排出側カバーに加え、記録用紙ガイド爪を搭載した定着後ガイド部材も開閉できるようにして、しかも、開いた両面ユニット、排出側カバー及び定着後ガイド部材の閉じ順を正しく誘導しやすく、それだけ、各部開閉順序にかかわるトラブルを抑制できるようにすることに利用できる。
【符号の説明】
【0068】
100 画像形成装置
A 画像形成装置本体 IR 画像読み取り装置
a1 画像形成部
a2 記録用紙供給部
a3 画像形成パス
a4 排出搬送路
a5 反転循環搬送路
5 定着装置
6 記録用紙ガイド爪
6s 記録用紙ガイド爪の回動支点軸
G 定着後ガイド部材
Gs 定着後ガイド部材の回動支点軸
70 排出側カバー
7 排出ローラ対
71 排出ローラ
71s 排出ローラ軸(排出側カバーの揺動支点軸)
74 駆動部材
80 両面ユニット
8S 両面ユニットの揺動支点軸
T 排出トレイ
9 第1ストッパ装置
91 回動部材
9s 回動部材軸
92 ストッパ
93 駆動部材受け部材
10 第2ストッパ装置
61 駆動部材
101 ストッパ
102 駆動部材当接アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙を記録用紙供給部から供給して画像形成部を通る画像形成パスに通過させることで該記録用紙にトナー像を形成し、ひき続き定着装置に通過させることで該記録用紙にトナー像を定着させることができ、片面画像形成モードでは、定着装置から出た記録用紙を排出搬送路により、該排出搬送路を構成する定着後ガイド部材に搭載された記録用紙ガイド爪の下に潜らせて排出ローラ対へ案内して排出トレイへ排出でき、両面画像形成モードでは、一方の面に画像形成された記録用紙を前記排出ローラ対にて前記排出トレイへ排出し、該記録用紙後端が前記記録用紙ガイド爪を通過したのち、該排出ローラ対の逆転にて、前記記録用紙ガイド爪に沿って反転循環搬送路へ導き、該反転循環搬送路経由で再び前記画像形成パス及び前記定着装置に通過させて該記録用紙の他方の面にも画像形成して前記排出搬送路により前記排出ローラ対へ案内し、前記排出トレイへ排出することができ、前記反転循環搬送路は画像形成装置本体に設けられた第1支点を中心に揺動して前記画像形成パスを開閉することができる両面ユニットに設けられており、前記排出搬送路のうち前記記録用紙ガイド爪から前記排出ローラ対へ至る排出搬送路部分が画像形成装置本体に設けられた第2支点を中心に揺動可能の排出側カバーにより開閉可能である画像形成装置であり、
前記定着後ガイド部材は画像形成装置本体に設けられた第3支点を中心に、前記排出搬送路を形成する閉位置と、該排出搬送路を開く開位置とを往復回動可能であり、前記両面ユニットは前記画像形成パスを形成する閉位置にあるとき、前記排出搬送路部分を形成する閉位置におかれた前記排出側カバーの係合部に係合して該排出側カバーの開動作を阻止し、該画像形成パスを開く開位置にあるときは該排出側カバー係合部から外れて該排出側カバーの開動作を許す両面ユニット側係合部を有しており、
前記両面ユニットを開いてから前記排出カバーを開くことで、該両面ユニットの閉じ動作を阻止する位置をとり、該排出カバーを閉じることで該両面ユニット閉じ動作を許す位置をとる第1ストッパ及び
前記両面ユニット及び排出側カバーを開き、前記定着後ガイド部材を開位置へ回動させることで、該排出側カバーの閉じ動作を阻止する位置をとり、該定着後ガイド部材を閉位置へ閉じることで該排出側カバーの閉じ動作を許す位置をとる第2ストッパを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録用紙供給部は前記画像形成部より下方にあり、前記画像形成パスは上下方向に延びて前記画像形成部を通っており、前記定着装置は該画像形成パスの上側に続けて配置されており、前記排出搬送路は該定着装置の排出側から上昇して前記排出ローラ対へ湾曲して延びており、前記画像形成装置本体に設けられた第1支点は前記両面ユニットの下端部を中心に該両面ユニットの上端部を横方向に揺動させる支点であり、前記画像形成装置本体に設けられた第2支点は前記排出ローラ対を構成するいずれか一方のローラの回転軸を中心に前記排出側カバーの両面ユニット側端部を上下に揺動させる支点であり、前記画像形成装置本体に設けられた第3支点は前記定着後ガイド部材を前記両面ユニット側へ回動させて開位置におき、反対側に回動させて閉位置におくことができる支点である請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−215415(P2011−215415A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84219(P2010−84219)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】