説明

画像形成装置

【課題】画像形成手段を両側から支持する一対の板金フレームとその板金フレームを下方から支持する一対の樹脂フレームとからなるフレームを備えるものにおいて、上下方向の外力や設置面の状況による第1フレームの変形を抑制し、かつ斜め上方や横から外力によるフレーム全体の変形を抑制して、フレームに支持した部品の位精度を良好に保ち、正確な画像を被記録媒体に形成する。
【解決手段】画像形成手段は一対の板金フレームに210L,210Rよって支持され、その一対の板金フレーム210L,210Rは、樹脂フレーム250L,250Rによって下方から支持されている。フレーム連結手段400は、両端を上下の板金フレーム210L,210Rと樹脂フレーム250L,250Rとにまたがって固定され、樹脂フレーム250L,250Rに対して上下方向の変位を許容するように固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置に関し、詳しくは、画像形成装置における、画像形成手段を支持するためのフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置では、感光体,スキャナユニット等の画像形成手段をフレームによって支持することが行われている。例えば、特許文献1には、フレームを、画像形成手段すなわちトナー像形成装置を支持するトナー像形成装置支持フレームと、そのトナー像形成装置支持フレームを下方から支持する下部フレームとによって構成することが開示されている。この構成においては、トナー像形成装置支持フレームを、下部フレームの上面に3箇所で支持することで、下部フレームに撓みや捩じれ等の変形を生じても、トナー像形成装置支持フレームに生じる撓みや歪み等の変形量を小さくし、トナー像形成装置の各部品を所定の位置に保持できるようにしている。好ましくは、3箇所を弾性部材で構成することで、外力がトナー像形成装置支持フレームに作用しても、トナー像形成装置支持フレームの変形を防止することができる。
【0003】
特許文献2には、フレームを、画像形成手段を挟む位置で対向する一対の板金製のフレームと、第1フレームを下方から支持する樹脂製のフレームとによって構成することが開示されている。この構成においては、画像形成装置が平らでない設置面に置かれたり、画像形成装置の上面に大きな力が加わったりとき、樹脂製のフレームが変形することで、板金製のフレームの変形を少なくして画像形成手段の各部品の位置精度を良好に保ち、正確な画像を被記録媒体に形成するようにしている。
【0004】
特許文献3には、一対の樹脂製フレームの内側に、それぞれ板金フレームを重ねた状態で配置したフレーム構造を採り、一対の板金フレームに、U字形に切り欠かれた溝を形成し、給紙ユニットを、その両端を溝に係合させて一対の板金フレームに固定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−330351号公報
【特許文献2】特開2010−44363号公報
【特許文献3】特開2010−52423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の画像形成装置では、トナー像形成装置支持フレームを下部フレーム上に3点で支持するために、トナー像形成装置支持フレームをその下面に底板、下部フレームをその上面に天板をそれぞれ有する箱型に形成しており、大型化するのみならず、構成が複雑化して製造コストが上昇してしまう。
【0007】
特許文献2に記載の画像形成装置では、樹脂製のフレームの上に板金製のフレームが載っている状態にあり、また特許文献3に記載の画像形成装置では、樹脂製のフレームが板金製のフレームを横から支持し、その板金製のフレームよりも下に延びて設置面と接している。このため、画像形成装置に対し斜め上方や横から外力が作用したとき、樹脂製のフレーム自身や樹脂製のフレームと板金製のフレームとの連結部が変形しやすく、樹脂製のフレームおよび板金製のフレームからなるフレーム全体が平行四辺形状に変形するおそれ
がある。これにより、樹脂製のフレームに支持した部品と板金製のフレームに支持した部品との位置にずれを生じるだけでなく、板金製のフレームにも変形を生じて画像形成手段の各部品の位置ずれを生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、画像形成手段を挟む位置で対向する一対の第1フレームと、その第1フレームを下方から支持し第1フレームよりも低剛性の第2フレームとからなるフレームを備える画像形成装置において、上下方向の外力や設置面の状況による第1フレームの変形を抑制し、かつ斜め上方や横から外力によるフレーム全体の変形を抑制して、フレームに支持した部品の位精度を良好に保ち、正確な画像を被記録媒体に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達するために本発明の画像形成装置は、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段を挟む位置で対向する一対のフレームと、前記一対の板金フレームを相互に連結するフレーム連結手段とを備え、前記フレームは、前記画像形成手段を挟む位置で対向し、その対向方向と直交する面内において上下方向および水平方向に延在する一対の第1フレームと、前記各第1フレームの下端にそれぞれ連結され、前記第1フレームを下方から支持する一対の第2フレームとからなり、前記第2フレームは、前記第1フレームよりも低剛性で、少なくとも上下方向に変形可能であり、前記フレーム連結手段は、その両端において、上下に位置する前記第1フレームと前記第2フレームとにまたがってそれぞれ固定され、かつ前記第1フレームと前記第2フレームとの一方に対して上下方向の変位を許容するように固定されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明では、第2フレームが、第1フレームよりも低剛性で、少なくとも上下方向に変形可能であるから、上下方向に外力が作用したり設置面に凹凸がある場合でも、第2フレームが変形することにより、第1フレームが変形することを抑制することができる。また、一対のフレームを相互に連結するフレーム連結手段が、その両端で、上下に位置する第1フレームと前記第2フレームとにまたがってそれぞれ固定されていることで、斜め上方や横から外力が作用した場合、フレーム全体が平行四辺形状に変形するのを抑制することができる。しかも、フレーム連結手段が第1フレームと前記第2フレームとにまたがってそれぞれ固定されても、前記第1フレームと前記第2フレームとの一方に対して上下方向の変位を許容していることで、上記のように上下方向の外力や設置面の状況により第2フレームが変形するのを可能にしている。
したがって、本発明では、画像形成手段の各部品の位置関係を正確に維持して、被記録媒体に正確な画像を形成することができる。
【0011】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記第2フレームが、前記第1フレームの下で水平方向に延在し、かつ画像形成装置を床面等に設置するため前記第2フレームの下面に突出する複数の脚を有し、前記第1フレームと前記第2フレームとが連結された部位は、前記複数の脚間に対応する位置の上方にあり、前記部位よりも前記脚側の前記第2フレームは上下方向に変形可能であり、前記フレーム連結手段が、前記第2フレームに対して前記脚を挟んで前記部位の反対側の前記第2フレームに固定される。
【0012】
これにより、第2フレームは、第1フレームと連結された部位よりも脚側の部分において、上下方向の外力や画像形成手段の重量により上下方向に変形しやすくなり、設置面の状況に対応しやすい。また、フレーム連結手段が、第2フレームに対して脚を挟んで連結部位の反対側の第2フレームに固定されていることで、第2フレームが上下方向に変形可能であるのを維持したまま、フレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明は、上記構成において好ましくは、1つの前記第1フレームが、水平方向に間隔
をおいた複数箇所で1つの前記第2フレームに連結され、1つの前記第2フレームの前記複数の脚が、前記複数箇所よりも水平方向において外側に位置する。これにより、第2フレームは、第1フレームと連結された部位よりも脚側の部分において、上下方向に一層変形しやすくなり、上下方向の外力や設置面の状況に対応しやすい。
【0014】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記画像形成手段が、前記一対の第1フレームに支持され、前記フレーム連結手段が、前記画像形成手段の少なくとも一部に対して位置決めされて前記一対の第1フレームに固定され、前記第2フレームに対して、上下方向の変位を許容するように固定される。これにより、フレーム連結手段が第1フレームの平行四辺形状の変形を効果的に抑制し、画像形成手段の各部品の位置関係を正確に維持することができる。特に、フレーム連結手段が画像形成に対して一部の機能をもつ場合、画像形成手段に対して正確に位置が定まり、正確な画像形成に寄与することができる。
【0015】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記一対の第1フレームが、その対向面側に、前記画像形成手段の少なくとも一部を支持するための取付部材を備え、その取付部材が、前記フレーム連結手段を位置決めするための位置決め部を有する。これにより、フレーム連結手段の第1フレームへの位置決めを容易にし、フレーム連結手段が第1フレームの平行四辺形状の変形を一層効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明は、上記構成において好ましくは、さらに、前記一対の第1フレームの上端を相互に連結する上部フレーム連結手段と、前記一対の第2フレームの下端を相互に連結する底部フレーム連結手段とを備え、前記フレーム連結手段が、前記上部フレーム連結手段と前記底部フレーム連結手段との間において前記第1フレームと前記第2フレームとの連結部にまたがって前記一対のフレームを相互に連結する。これにより、一対の第1フレームを、上部フレーム連結手段およびフレーム連結手段によって枠状に構成し、一対の第2フレームを、底部フレーム連結手段およびフレーム連結手段によって枠状に構成し、しかもフレーム連結手段が、第1フレームと第2フレームの連結部にまたがって一対のフレームを相互に連結していることで、フレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記フレーム連結手段が、前記第1フレームおよび前記第2フレームの水平方向の端部であってかつ上下方向に延在する端面に、その両端をほぼ重ねた状態で固定される。これにより、フレーム連結手段を第1フレームおよび第2フレームの端面にほぼ重ねた状態で強固に固定し、フレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。しかも、一対のフレーム間に画像形成手段の配置のための空間を広く確保することができる。
【0018】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記上下方向の変位を許容する固定が、上下方向に長い長孔と、それに挿入される部材とによって行われ、その長孔と部材とが、上下方向には相対移動可能であるが、前記一対のフレームの対向方向と平行な方向には相対移動をほぼ制限される。これにより、フレーム連結手段が、第1フレームと前記第2フレームとの一方に対して上下方向の変位を可能で、しかも一対のフレームの対向方向と平行な方向には相対移動をほぼ制限して固定され、その結果、上記のように上下方向の外力や設置面の状況により第2フレームが変形するのを可能にし、フレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記一対のフレームが、前記画像形成手段に対して前記被記録媒体を搬送する経路を挟んでその搬送方向に対し直交する方向に対向しており、前記フレーム連結手段が、前記搬送方向における前記第1フレームおよび前記第2フレームの端部に固定される。これにより、一対のフレーム間に画像形成手段の配置の
ための空間を、被記録媒体の搬送方向に広く確保して、フレーム連結手段によりフレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明は、上記構成において好ましくは、前記画像形成手段が、複数の画像形成部を相互に平行に配列して備え、前記一対のフレームが、前記複数の画像形成部の配列方向と平行に延在し、前記フレーム連結手段が、前記複数の画像形成部の配列方向における前記第1フレームおよび前記第2フレームの端部に固定される。これにより、カラー画像を形成するため複数の画像形成部を備えるものにおいて、一対のフレーム間に複数の画像形成部の配置のための空間を広く確保して、フレーム連結手段によりフレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用されたレーザプリンタの構成を概略的に表す模式図である。
【図2】そのレーザプリンタの、画像形成手段を取り外した状態の本体フレームの構成を右後上方から表す斜視図である。
【図3】その図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して表す断面図である。
【図5】図2の状態から更に電源ユニットを取り外した状態を表す斜視図である。
【図6】(A)上記電源ユニットと板金フレームとの固定状態を表す平面図、(B)は、図6(A)におけるB−B線断面図、(C)は図6(A)の状態からピン410が抜けた状態を表す平面図、図6(D)はその状態を表す斜視図である。
【図7】上記固定状態を取付部材を省略して表す右側面図である。
【図8】(A)は上記電源ユニットと上記板金フレーム及び樹脂フレームとの接続状態を表す背面図、(B)は図8(A)のF−F線断面図、(C)は図8(A)のG−G線断面図である。
【図9】図5の状態から更に上記取付部を取り外した状態を表す斜視図である。
【図10】上記樹脂フレームと上記板金フレームとの接続を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[レーザプリンタの全体構成]
本発明をレーザプリンタ1に適用した実施の形態を、図面に沿って説明する。このレーザプリンタ1は、被記録媒体に感光体から直接転写するタンデム方式のカラープリンタであって、下部には、被記録媒体の一例としての用紙Pを収容する給紙トレイ2が前方へ引き出し可能に装着されている。給紙トレイ2の前端上方位置には、用紙Pを搬送する給紙ローラ3が設けられ、後述の搬送ローラ8,8に向けて用紙Pを1枚ずつ搬送可能に構成されている。一対の搬送ローラ8,8は、レジストローラ9,9に向けて用紙Pを搬送し、レジストローラ9,9は、給紙ローラ3から搬送ローラ8,8を介して送られた用紙Pを、画像形成手段へ送り出す。
【0023】
画像形成手段は、感熱方式、インク滴噴射方式など公知のものを採用することができるが、本実施の形態では、以下に説明するように電子写真方式を採用している。画像形成手段は、複数個の画像形成部すなわちブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色に対応した4つのプロセスユニット20、露光器30、転写器14および定着器40などからなる。
【0024】
各プロセスユニット20は、静電潜像担持体すなわち感光体21と、帯電器22と、現像カートリッジ24とを備えて構成されている。感光体21は、ベルト状あるいはドラム状のものを使用可能であるが、本実施の形態ではドラム状のもの使用し(以下感光体ドラムという)、接地された金属製のドラム本体の表層を正帯電性の感光層で被覆することにより構成されている。
【0025】
帯電器22は、感光体ドラム21の後側斜め上方において、感光体ドラム21と所定間隔を隔てて対向配置されている。この帯電器22は、本実施の形態では帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させるスコロトロン型帯電器であり、感光体ドラム21の表面を一様に正極性に帯電させる。現像カートリッジ24は、内部にトナー収容室25を備え、その中に収容されたブラック,イエロー,マゼンタ,またはシアンの正帯電性非磁性1成分現像剤すなわちトナーを正に摩擦帯電させた上で現像ローラ26を介して感光体ドラム21に供給する。
【0026】
また、各プロセスユニット20の上方には、露光器30が配置されている。露光器30は、LED方式あるいはレーザ光方式などの周知のものが使用可能であるが、本実施の形態ではレーザ光方式を使用している。露光器30は、各色の画像データに対応するレーザ光Lk,Ly,Lm,Lcを発生する半導体やそのレーザ光Lを偏向するポリゴンミラー(いずれも図示省略)を備え、各感光体ドラム21を走査露光するものである。
【0027】
複数のプロセスユニット20は、感光ドラム21を互いに平行にしてほぼ平面状に配置され、その下側にベルトユニット10が平行に配置されている。ベルトユニット10 は、駆動ローラ11と従動ローラ12との間に無端状の搬送ベルト(転写ベルト)13を架設した構成で、レジストローラ9,9から送られた用紙Pを、搬送ベルト13により各感光ドラム21に接触させながらその感光ドラム21の配列方向に搬送する。
【0028】
ベルトユニット10には、搬送ベルト13を挟んで各感光体ドラム21と対向する位置に、4つのローラからなる転写器14が支持されている。
【0029】
このため、各感光体ドラム21の表面は、その回転時、先ず帯電器22により一様に正帯電される。その後、露光器30からのレーザ光Lの高速走査により露光されて、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ26の回転により、現像ローラ26上に担持され正帯電されているトナーが、感光体ドラム21に対向して接触するときに、感光体ドラム21の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム21の表面には、静電潜像に対応したトナー像が担持される。
【0030】
その後、各感光体ドラム21の表面上に担持されたトナー像は、搬送ベルト13によって搬送される用紙Pが感光体ドラム21と転写器14との間を通るときに、転写ローラ14に印加される転写バイアス電流によって、用紙Pに順次転写される。こうしてトナー像が転写された用紙Pは、ベルトユニット10の後方に配設された定着器40に搬送される。
【0031】
定着器40は、ハロゲンランプ等の熱源を備えて回転駆動される加熱ローラ41と、加熱ローラ41の下方において、加熱ローラ41を押圧するように対向配置され従動回転される加圧ローラ42とを備えている。この定着器40では、4色のトナー像を担持した用紙Pを、加熱ローラ41と加圧ローラ42とによって狭持搬送しながら加熱することにより、トナー像を用紙Pに熱定着させる。そして、トナー像が熱定着された用紙Pは、排紙ローラ43により、レーザプリンタ1の上面に設けられた排紙トレイ(図示省略)に排出される。
【0032】
また、定着器40と排紙ローラ43との間には、フラッパ44が揺動可能に設けられている。このフラッパ44は、用紙Pの搬送経路を、定着器40から排紙ローラ43へ向かう経路と、排紙ローラ43から再搬送ローラ47へ向かう経路とに切り換えるものである。再搬送ローラ47は、給紙トレイ2の下方に複数対設けられており、用紙Pを前述のレジストローラ9,9に向けて搬送するものである。
【0033】
用紙Pの両面に画像を形成する場合には、先ず、フラッパ44が、用紙Pを排紙ローラ43に向かわせる方向に切り換えられ、正転する排紙ローラ43によって図1における上方に向かって用紙Pが搬送される。続いて、用紙Pの後端がフラッパ44を通過したタイミングで、排紙ローラ43が逆転されると共に、フラッパ44が用紙Pを再搬送ローラ47へ向かわせる方向に切り換えられる。
【0034】
その結果、用紙Pは後端側から再搬送ローラ47によって搬送され、レジストローラ9,9を介して表裏が反転された状態で搬送ベルト13の表面に供給される。続いて、用紙Pは、その裏面に前述のようにトナー像が転写された後、定着器40にてトナー像が定着され、両面に画像が形成された状態で排紙ローラ43を介して排紙される。また、レーザプリンタ1の後面には、カバーの一例としてのリアカバー50が支点の一例としてのヒンジ51を中心に開閉可能に設けられている。このリアカバー50は、図1に示すようにヒンジ51から略鉛直に立ち上がる閉鎖位置に配設されることで、フラッパ44から排紙ローラ43に至る用紙Pの搬送経路と、排紙ローラ43からフラッパ44を経て再搬送ローラ47に至る用紙Pの搬送経路とを、後側から規定する。
【0035】
また、各プロセスユニット20は、ドラムサブユニット100に設けられた4つの収納部(図示省略)に、個々に着脱可能に保持されている。そのドラムサブユニット100は、略箱型に構成された本体フレーム200に前後摺動可能に支持され、本体フレーム200を囲む外筐(図示省略)の前面(リアカバー50と反対側の面)開口部から外部へ引き出し可能に構成されている。
なお、本実施の形態において、ドラムサブユニット100を引き出す側を前方、外筐内へ格納する側を後方、その前後方向と直交する方向のうち水平方向を左右方向、前後方向と直交する方向のうち縦方向を上下方向という。
【0036】
[本体フレームの構成]
本体フレーム200は、図2に示すように、画像形成手段を挟んで対向する左右一対のフレーム201L,201Rと、それらの上端間を連結する上部フレーム連結手段241,242,270、それらの下端間を連結する底部フレーム連結手段252,253,および上部フレーム連結手段と底部フレーム連結手段の間においてフレーム201L,201Rの後端間を連結するフレーム連結手段400からなる。
【0037】
一対のフレーム201L,201Rは、それぞれ上下2部品で構成され、板金製の第1フレーム(以下板金フレームという)210L,210Rと、板金フレーム210L,210Rを下方から支持する樹脂製の第2フレーム(以下樹脂フレームという)250L,250Rとからなる。板金フレーム210L,210Rは、画像形成手段を挟む位置で対向し、その対向方向と直交する面内において上下方向および水平方向(すなわち前後方向)に延在しており、その面に沿う方向には高い剛性を有している。板金フレーム210L,210Rは、その上端縁、前端縁および後端縁を外側へ直角に屈曲して、前記面を捻る方向に対して所定の剛性を確保している。
【0038】
樹脂フレーム250L,250Rは、上下方向および前後方向に延在する縦壁の上端縁、下端縁、前端縁および後端縁から外側へ直角に立ち上がった壁を有した断面コ字形をなしている。樹脂フレーム250L,250Rは、この形状により樹脂材料でありながらも自身の所定の剛性を確保しているが、その上下方向における剛性は、板金フレーム210L,210R上下方向における剛性よりも低い。樹脂フレーム250L,250Rは、その間に前述の給紙トレイ2と再搬送ローラ47とを支持している。
【0039】
ドラムサブユニット100は、一対の板金フレーム210L,210Rの互いに対向す
る内側面に設けたレール部材に前後摺動可能に支持されている。図1にに示すように、ドラムサブユニット100の後端下部には、後方から前方に向かって切欠かれた切欠部102が形成されている。この切欠部102は、ドラムサブユニット100の本体フレーム200への装着時には、一対の板金フレーム210L,210Rの間に架け渡された本体基準軸220(図2参照)に係合することによって、ドラムサブユニット100の後端を上下方向及び前後方向に位置決めする。また、ドラムサブユニット100の前端には左右方向外側に軸(図示省略)が突出されており、左右一対の板金フレーム210L,210Rにはその軸を受け入れる穴部211(図2に板金フレーム210R側のみ図示)が形成されている。
【0040】
図2に示すように、上部フレーム連結手段の1つ270は、その左右両側に屈曲された端縁272を、一対の板金フレーム210L,210Rの上端にそれぞれ、前,後,中央の3箇所でビス273を介して固定されている。この連結手段270は、露光器30を支持する露光器プレートとして機能し、各色に対応するレーザ光Lを透過する4つのスリット271(図2では3つのみ図示)を有している。
【0041】
上部フレーム連結手段の他の2つアッパビーム241およびフロントビーム242は、露光器30の上方中央および板金フレーム210L,210Rの前方上端においてそれぞれ板金フレーム210L,210Rの上端間を連結している。このアッパビーム241,フロントビーム242によって、板金フレーム210L,210Rの露光器30の近傍の剛性を向上させている。さらに、一対の板金フレーム210L,210Rの前方下部間は金属製のアンダービーム244によって連結されている。
【0042】
底部フレーム連結手段252,253は、一対の樹脂フレーム250L,250Rの下面間を、前後に間隔をおいた2箇所で連結している。フレーム連結手段400は、後述するように板金フレーム210L,210Rの下端および樹脂フレーム250L,250Rの上端にまたがって固定されている。したがって、一対の板金フレーム210L,210Rは、上部フレーム連結手段241,242、アンダービーム244およびフレーム連結手段400により前後方向からみて枠状に構成されている。一対の樹脂フレーム250L,250Rは、底部フレーム連結手段252,253およびフレーム連結手段400により前後方向からみて枠状に構成されている。
【0043】
左側の板金フレーム210Lには、感光体ドラム21を駆動するための駆動カップリング(図示省略)が挿通される丸穴212や、現像ローラ26を駆動するための駆動カップリング(図示省略)が挿通される丸穴213が穿設されている。更に、左側の板金フレーム210Lの外側には、上記各駆動カップリングをモータによって駆動する駆動系(図示省略)が固定される。なお、このような駆動系の構成は、例えば特開2008−9262号公報等により公知であるので詳細な説明は省略する。
【0044】
給紙ローラ3、搬送ローラ8およびレジストローラ9は、一対の板金フレーム210L,210Rの前方下部間に架設したユニットボックスに設けられている。定着器40は、一対の板金フレーム210L,210Rの互いに対向する内側面に固定した取付部材290L,290Rに、板金フレーム210L,210Rの後方側から着脱可能に取り付けられている。ベルトユニット10は、一対の板金フレーム210L,210Rの下部間に取り付けられている。あるいは、ベルトユニット10は、取付部材290L,290Rに取り付けられてもよい。
【0045】
図3,図4に示すように、一対の板金フレーム210L,210Rの、定着器40よりもさらに後方下部には、電源ユニット400が取り付けられている。なお、この電源ユニット400は、一対のフレーム201L,201Rの後端間を連結するフレーム連結手段
としても機能する。図4に示すように、電源ユニット400は、左右方向に延びる筒状に樹脂にて成形されたダクト401を備えており、そのダクト401の下面に、上記モータ等を駆動するための電力を供給する基板403が取り付けられている。なお、図3,図4では、基板403に実装された電源部品等の図示を省略している。また、図2に示すように、電源ユニット400の右端には、ダクト401内の空気をレーザプリンタ1の外部へ排気することによって基板403を冷却するファン404が設けられている。
【0046】
さらに、電源ユニット400の後端下部には、リアカバー50のヒンジ51を回動可能かつ上下方向に移動可能に支持する軸受け部405がダクト401と一体成形されている。また、電源ユニット400の上方には、搬送ベルト13から定着器40に向けて用紙Pを案内する図1では図示省略したガイド408と、加圧ローラ42に付着したトナーを除去するためのクリーナローラ407とが設けられている。クリーナローラ407は、用紙Pの幅方向(左右方向)に間隔を置いて設けられた複数の剥離爪に対応して、その各々が加圧ローラ42と接触して回転するように複数個配設されている。また、電源ユニット400の後部背面には、図2に示すように、フラッパ44から再搬送ローラ47に至る用紙Pの搬送経路の一部に沿って、用紙Pの搬送を円滑にするための複数のガイドリブ500が上下方向に一体に突設されている。
【0047】
なお、リアカバー50には、ヒンジ51の傍らに円弧状の案内溝が形成されており、電源ユニット400の軸受け部405の傍らに設けられた円柱状のピン(コロであってもよい)が嵌められている。これによって、例えば、リアカバー50が開放される際には、円柱状のピンが円弧状の案内溝の中を相対的に移動することにより、リアカバー50のヒンジ51が軸受け部405の上端側に向かって上昇しながら開放される。また、逆に、リアカバー50が閉じられる際には、同様にして、円柱状のピンが円弧状の案内溝の中を相対的に移動することにより、リアカバー50のヒンジ51が軸受け部405の下端側に向かって下降しながら閉じられる。このため、用紙Pの両面に画像を形成する場合において、フラッパ44から再搬送ローラ47に至る搬送経路で紙詰まり(ジャム)が発生したとき、リアカバー50の開放に伴って、その下端部分が上記搬送経路を開放する向きに変位することとなり、紙詰まり(ジャム)した用紙Pを容易に取り除くことができる。
【0048】
また、用紙Pの片面に画像を形成する場合において、いわゆるフェイスアップ排紙(ストレート排紙)を行うために、リアカバー50を開放し、その上面をフェイスアップ排紙トレイとして利用する場合においては、後方側に向かってストレートに排出される用紙Pに対して、リアカバー50を高さ方向により接近した位置に配置することができ、用紙Pの積載性(用紙Pを整列して積載できる能力)を向上させることができる効果もある。
【0049】
[板金フレームと樹脂フレームとの連結構造]
図3,図9に示すように、一対の板金フレーム210L,210Rの下端縁は一部を残して内側に屈曲され、その屈曲されずに下方へ垂下状に延びた部分は、樹脂フレーム250L,250Rと連結するための連結片217となっている。すなわち、連結片217は前後方向に間隔をおいた複数箇所において各板金フレーム210L,210Rから下方に矩形に突出して、樹脂フレーム250L,250Rの上面に直方体状に突出した台部255上に当接される。
【0050】
板金フレーム210L,210Rの前端近傍の下端縁には、円弧部を上にしたU字状の切欠部219が形成され、樹脂フレーム250L,250Rの上記切欠部219との対向位置には、円弧部を上にしたU字状の突起258が形成されている。このため、突出片217と台部255との当接によって板金フレーム210L,210Rの樹脂フレーム250L,250Rに対する高さ方向の位置が規定され、各切欠部219と突起258との係合によって板金フレーム210L,210Rの樹脂フレーム250L,250Rに対する
前後方向の位置が規定される。突出片217と台部255との当接部は、画像形成手段および板金フレーム210L,210Rの荷重を樹脂フレーム250L,250Rで受けるための、板金フレーム210L,210Rと樹脂フレーム250L,250Rとを連結する連結部でもある。
【0051】
板金フレーム210L,210Rと樹脂フレーム250L,250Rとは、樹脂フレームの上面から板金フレームの側面に沿って立ち上がった壁に挿通したビス251(図10参照)によって複数箇所で固定されているが、そのビスによる固定は比較的緩やかである。例えば、図10に示すように、ビス251は、いわゆる段付きネジとして構成され、その段部の径よりも、樹脂フレーム250のビス穴257が十分に大きく形成されており、ビス251の先端のネジ部が、板金フレーム210のビス穴218に螺合している。
【0052】
これにより、樹脂フレーム250と板金フレーム210とは、ビス251によって、それら両者が相対的に移動できない程、堅く接続されていないため、樹脂フレーム250の歪みがそのまま板金フレーム210に伝達されるおそれがない。また、樹脂フレーム250と板金フレーム210との線膨張率が異なったとしても、温度変化による寸法差を吸収することができるため、樹脂フレーム250や板金フレーム210が反ったりするおそれもない。
【0053】
ビス251は、いわゆる段付きネジとして構成されたものに限らず、例えば、一般的なビスを用いて、段部に相当するワッシャ等を介在させてネジ止めするようにしても、同様の効果ができる。また、同様の効果ができる構成であれば、他の構成であってもよい。
【0054】
一対の樹脂フレーム250L,250Rの下面には、前後両端近傍にそれぞれ、レーザプリンタ1を設置する床面等の設置面に接する支持脚600(図3参照)が下方に突出するように設けられている。これらの各支持脚600は、各板金フレーム210L,210Rにおける前後2つの突出片217よりも前後方向外側に距離LAをおいて位置する。換言すると、樹脂フレーム250L,250Rは、各突出片217よりも前後方向外側へ延在し、かつその延在した位置に支持脚600を有していることになり、その延在部分を、突出片217の下方部分をほぼ中心として上下方向に弾性変形可能にしている。また、前後2つの突出片217が前後2つの支持脚600間に対応する位置の上方にあることで、画像形成手段を含む板金フレーム210L,210Rは、支持脚600間の樹脂フレーム250L,250Rに上下方向に弾性支持されている。
【0055】
[本体フレームにおける電源ユニット取付構造]
電源ユニット400は、板金フレーム210L,210Rおよび樹脂フレーム250L,250Rの後端部であって上下方向に延在する端面に、その両端をほぼ重ねた状態で固定される。その際、図2および図5に示すように、電源ユニット400は、板金フレーム210L,210Rに、その内側面にそれぞれ固定された樹脂製の一対の取付部材290L,290Rにより位置決めされる。すなわち、電源ユニット400の左右両端近傍には、図6に示すようにピン410が設けられており、各取付部290L,290Rには、そのピン410を上下方向に位置決めする一対の水平板291が突設されている。各水平板291は、取付部材290L,290Rの内側に水平方向に突出した平板状に構成され、上下で対をなす水平板291の間には、ピン410が後側から水平方向に挿入可能となっている。なお、図6(A)では、取付部290Lに突設された上側の水平板291を一部切り欠いて図示している。
【0056】
左側の取付部材290Lに突設された水平板291は、上方の水平板291よりも下方の水平板291を幅広にしており、その下方の水平板291の後端面には、矩形の切欠部292が形成されている。また、ピン410の後側下方には、上記切欠部292に嵌合す
る矩形平板状の嵌合部411が一体成形されている。このため、左側のピン410を、取付部材290Lに突設された一対の水平板291の間に挿入したとき、切欠部292に嵌合部411が嵌合することでそのピン410が左右方向及び前方向に位置決めされる。
【0057】
図7に示すように、右側の取付部290Rに突設された一対の水平板291の前側端部は、連接部296によって側面視コの字形に連接され、ピン410はこの連接部296に当接することによって前方向に位置決めされる。
【0058】
また、このようなピン410は電源ユニット400の他の箇所にも形成されている。そして、図5,図7に示すように、板金フレーム210L,210Rの後端に外側に直角に屈曲された屈曲部には、上記他の箇所に形成されたピン410を受け入れる穴部214がそれぞれ形成されている。さらに、板金フレーム210L,210Rの後端の上記屈曲された部分には、電源ユニット400をビス421(図2参照)によって固定するためのビス穴215が穿設されている。また、樹脂フレーム250L,250Rの後端面には、電源ユニット400をタッピングネジ422(図2参照)によって固定するためのボス259が突設されている。
【0059】
板金フレーム210L,210Rの後端の、穴部214,ビス穴215よりも下方の部分には、互いに対向する位置に鉤状の切欠部216がそれぞれ形成され、その切欠部216に電源ユニット400の左右両端部が配設される。なお、切欠部216の詳細な構成については、図5の状態から更に上記一対の取付部290L,290Rを取り外した状態の本体フレーム200の構成を表す図9を参照されたい。
【0060】
図8(A)に示すように、電源ユニット400の左右両端において上方へ延長した一対の取付片436には、板金フレーム210L,210Rのビス穴215との対向位置に長穴431が形成されている。長穴431は、図8(A)(B)に示すように、ビス421のネジ部よりも上下左右方向に大きく形成されている。これにより、ビス穴215の位置精度にかかわらず、電源ユニット400を以下に説明するように高精度で位置決めして、電源ユニット400は板金フレーム210L,210Rに固定されている。
【0061】
切欠部292に嵌合部411が嵌合し、かつ、連接部296にピン410が当接するまでビス421が締め付けられたとき、図8(B)に示すように、板金フレーム210L,210Rと電源ユニット400との間には隙間ができるように設計されている。このため、ビス421によって取付片436を撓ませることで、電源ユニット400の前後方向の位置が、前述の切欠部292と連接部296によって正確に規定される。この場合、矩形の切欠部292と嵌合部411とは、電源ユニット400の左右方向の位置決めのみを行うことになる。
【0062】
電源ユニット400の下端における左右両端近傍には、矩形の一対の取付片435が、樹脂フレーム250L,250Rの後端面と対向する位置へ下方に垂下して突設されている。樹脂フレーム250L,250Rと取付片435との対向位置には、取付片435側には長穴437、樹脂フレーム側にはその長穴437に嵌合するボス259がそれぞれ形成されている。長穴437は、図8(A)(C)に示すように、ボス259よりも上下方向に大きく形成され、左右方向には長穴437とボス259との相対的な動きが実質的に制限されるように両者間の隙間が小さくかつタッピングネジ422の鍔よりも左右方向に狭く形成されている。
【0063】
また、ビス421が前述のように締め付けられた場合、樹脂フレーム250L,250Rと取付片435との間に隙間ができ、かつ、ボス259の中心のビス穴に締め付けられたタッピングネジ422の鍔と取付片435との間にも隙間ができるように設計されてい
る。このため、タッピングネジ422による樹脂フレーム250L,250Rと電源ユニット400との接続は、前後上下方向に自由度を有する。タッピングネジ422の鍔は、取付片435がボス259から完全に抜けてしまうのを抑制している。
【0064】
長穴437とボス259との間の左右方向の隙間が小さく、樹脂フレーム250L,250Rの左右方向の位置は長穴437によってほぼ決められることになるが、上記のように、上下の板金フレーム210L,210Rと樹脂フレーム250L,250Rとが比較的緩やかに固定されているので、樹脂フレーム250L,250Rを板金フレーム210L,210Rに対する位置を調整することで、板金フレーム210L,210R、樹脂フレーム250L,250Rおよび電源ユニット400の三者の相互の位置を設定することができる。
【0065】
このように、電源ユニット400は、左端を左の板金フレーム210Lと樹脂フレーム250Lとにまたがって、また右端を右の板金フレーム210Rと樹脂フレーム250Rとにまたがって固定し、左右のフレーム201L、201R間を相互に連結している。すなわち、電源ユニット400は、フレーム連結手段として機能し、上下の板金フレーム210L,210Rと樹脂フレーム250L,250Rとが上記のように比較的緩やかに固定されていても、斜め上方や横から作用した外力よって、装置フレーム全体が平行四辺形状に変形するのを抑制する。さらに詳細には、電源ユニット400は、板金フレーム210L,210Rに対し上記のように前後左右上下に位置決めされて固定され、樹脂フレーム250L,250Rに対し上記のように左右の移動を制限されて固定されていることで、装置フレーム全体が平行四辺形状に変形するのを抑制している。
【0066】
さらに、電源ユニット400は、樹脂フレーム250L,250Rに対して支持脚600を挟んで突出片217の反対側の端面、すなわち上記のように弾性変形する部分の端面に連結されることになるが、両者は上記のようにボス259と長穴437によって連結されていることで、樹脂フレーム250L,250Rが板金フレーム210L,210Rに対して上下方向に変形することを許容することができる。
【0067】
図8(A)に示すように、樹脂フレーム250L,250Rは、板金フレーム210L,210Rよりも左右方向の幅を大きく形成され、板金フレーム210L,210Rよりもその対向方向内側へ延びている。支持脚600も板金フレーム210L,210Rよりも内側へ延びている。電源ユニット400の下面は、樹脂フレーム250L,250Rにおける内側へ延びた部分の上端面と対向している。
【0068】
つまり、画像形成手段の荷重や各板金フレーム210L,210Rに上方から作用する外力と、樹脂フレーム250L,250Rから上方向へ作用する力の作用点とは、左右方向に互いにずれている。上下方向から強い衝撃等が作用して、突出片217よりも外側に延びる樹脂フレーム250L,250Rの部分が板金フレーム210L,210Rに対し近づく方向に変形したとき、樹脂フレーム250L,250Rにおける内側へ延びた部分が、電源ユニット400の、板金フレーム210L,210Rよりも内側に延びた部分の下面に当接することによって衝撃等を緩和する。これにより、板金フレーム210L,210Rに衝撃等が伝達されるのを抑制することができる。
【0069】
なお、好ましくは、樹脂フレーム250L,250Rにおける内側へ延びた部分と、それに対向する電源ユニット400の下面とのすくなくとも一方には、半球状の突起440が突設され、樹脂フレーム250L,250Rが変形したとき、突起440が他方と当接するようにしている。
【0070】
ところで、1つのユニットとして構成された定着器40は、後方側より一対の取付部2
90L,210Rに対して着脱自在に構成されているが、その着脱に際して、電源ユニット400が定着器40の着脱を邪魔しないような配置関係となっている。上記のように、定着器40と電源ユニット400、およびベルトユニット10との三者が1つの部材で位置決めされることとなるため、定着器40の各ローラ41,42、電源ユニット400のガイド408及びクリーナローラ407、更には、ベルトユニット10の搬送ベルト13との三者の位置関係を容易かつ正確に確保することができる。
【0071】
そして、図3から明らかなように、電源ユニット400は、各板金フレーム210L,210Rにおける前後両端の2つの突出片217よりも外側の位置、より具体的には、後側の突出片217よりも後方の位置に配置され、板金フレーム210L,210Rおよび樹脂フレーム250L,250Rの後端部における上下方向に延在する端面に、その両端をほぼ重ねた状態で固定されている。このため、一対の樹脂フレーム250L,250Rの上に板金フレーム210L,210Rを支持するようにして組み立てた後であっても、電源ユニット400を板金フレーム210L,210Rに対して取り付けることができる。
【0072】
[本実施の形態の効果]
このように構成された本実施の形態のレーザプリンタ1では、ドラムサブユニット100、露光器30、ベルトユニット10及び定着器40を両側から支持する一対の板金フレーム210L,210Rは、上部フレーム連結手段270,241,242、アンダービーム244およびフレーム連結手段(電源ユニット)400を介して互いに連結されている。このため、画像形成手段の各部品の相対位置を正確に保持して、色ずれ等の少ない正確な画像を形成することができる。
【0073】
しかも、一対の板金フレーム210L,210Rはそれとは別体に構成された樹脂フレーム250L,250Rによって支持され、板金フレーム210L,210Rを含む画像形成手段の重量は、突出片217を介して樹脂フレーム250L,250Rの台部255の上面で受けている。樹脂フレーム250L,250Rに設けた複数の支持脚600は、各板金フレーム210L,210Rにおける前後両端の2つの突出片217よりも前後方向外側に位置している。このため、前記重量は、前後2つの支持脚600間において樹脂フレーム250L,250Rの弾性により受けられる。
【0074】
したがって、板金フレーム210L,210Rに上方から衝撃が加わったり、あるいは任意の1つの支持脚600が設置面の凹凸などにより持ち上げられたとき、樹脂フレーム250L,250Rの、突出片217よりも前後方向外側へ延在している部分が、突出片217の下方位置をほぼ中心として上方へ弾性変形する。樹脂フレーム250L,250Rに作用した曲げモーメントや捩りモーメントなどの影響は、板金フレーム210L,210Rに及ぶことが少ない。衝撃が過大になるなどすると、樹脂フレーム250L,250Rの変形が電源ユニット400の下面で受けられ、板金フレーム210L,210Rの変形あるいは破壊を防止することができる。
【0075】
もし、板金フレーム210L,210Rに、樹脂フレーム250L,250Rから撓みや捩りモーメントなどが作用したとしても、それは、板金フレーム210L,210Rには上下方向つまりその面方向に沿って作用する。板金フレーム210L,210Rは面方向には、樹脂フレーム250L,250Rの延在部分の上下方向の剛性よりも高い剛性を有しているので、画像形成手段の各部、特にスキャナユニット30とプロセスユニット20との間の位置精度を良好に保つことができ、色ずれなどの少ない正確な画像を形成することができる。
【0076】
また、一対の板金フレーム210L,210Rの切欠部216の間に、上記一対の板金
フレーム210L,210Rの間隔よりも左右方向に長い電源ユニット400が配置されている。このため、上記のように左右方向に長い電源ユニット400を使用したにも拘わらず、装置の大型化を抑制することができる。しかも、電源ユニット400は、板金フレーム210L,210Rに対し固定され、樹脂フレーム250L,250Rに対しては変位可能とされている。このため、電源ユニット400は、画像形成手段との位置関係が正確に規定され、一層良好に画像を形成することができる。
【0077】
また、電源ユニット400は、板金フレーム210L,210Rと樹脂フレーム250L,250Rとにまたがって固定され、樹脂フレーム250L,250Rに対しては上下方向に変位可能に固定されているので、斜め上方や横から作用した外力よって、装置フレーム全体が平行四辺形状に変形するのを抑制することができる。さらに、上方から作用した衝撃等により、樹脂フレーム250L,250Rが変形しても、電源ユニット400と樹脂フレーム250L,250Rとの相対変位で、それを吸収することができる。
【0078】
また、電源ユニット400は、ベルトによる用紙搬送方向端部、複数のあるいはプロセスユニット20の配列方向の端部であって、板金フレーム210L,210Rおよび樹脂フレーム250L,250Rの後端部における上下方向に延在する端面に、その両端をほぼ重ねた状態で固定されているので、一対のフレーム201L,201R間に画像形成手段に干渉することなく画像形成手段の配置のための空間を広く確保することができ、しかも、フレーム全体として平行四辺形状に変形するのを効果的に抑制することができる。
【0079】
[本発明の変形例]
なお、本発明は上記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、板金フレーム210L,210Rは樹脂フレーム250L,250Rに載せるだけであってもよい。
フレーム連結手段は電源ユニット400を兼ねものでなく、給紙ローラ3、搬送ローラ8およびレジストローラ9を収容するユニットボックスを兼ねるものであってもよい。またフレーム連結手段は、他の機能を兼ねることなく連結機能のみを有する板状、あるいは棒状のものであってもよい。
上記実施の形態では、フレーム連結手段(電源ユニット)400は樹脂フレーム250L,250Rに対し上下方向に変位可能に固定されているが、板金フレーム210L,210Rに対し上下方向に変位可能に固定されてもよい。また、長穴437およびボス259は、固定する2つの部材のいずれに設けられてもよい。
搬送ベルト13は、用紙を搬送することなく、中間転写ベルトとして機能するものとし、感光体からのトナー像をベルトに転写しそのベルト上から用紙へ転写するものであってもよい。
上記実施の形態の第2のフレームを構成する樹脂としては、ABS樹脂を使用することができるが、これ以外にも板金より剛性の低い樹脂材料を適宜を用いることができる。
その他本発明はモノクロのレーザプリンタやファクシミリ装置,コピー機等の各種画像形成装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…レーザプリンタ 20…プロセスユニット 30…露光器
40…定着器 201…フレーム 210…板金フレーム
241…アッパビーム 242…フロントビーム 244…アンダービーム
250…樹脂フレーム 259…ボス 270…露光器プレート
290…取付部材 400…フレーム連結手段(電源ユニット)
421…ビス 422…タッピングネジ 435,436…取付片
600…支持脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を挟む位置で対向する一対のフレームと、
前記一対の板金フレームを相互に連結するフレーム連結手段と、
を備え、
前記フレームは、前記画像形成手段を挟む位置で対向し、その対向方向と直交する面内において上下方向および水平方向に延在する一対の第1フレームと、前記各第1フレームの下端にそれぞれ連結され、前記第1フレームを下方から支持する一対の第2フレームとからなり、
前記第2フレームは、前記第1フレームよりも低剛性で、少なくとも上下方向に変形可能であり、
前記フレーム連結手段は、その両端において、上下に位置する前記第1フレームと前記第2フレームとにまたがってそれぞれ固定され、かつ前記第1フレームと前記第2フレームとの一方に対して上下方向の変位を許容するように固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2フレームは、前記第1フレームの下において水平方向に延在し、画像形成装置を床面等に設置するため前記第2フレームの下面に突出する複数の脚を有し、
前記第1フレームと前記第2フレームとが連結された部位は、前記複数の脚間に対応する位置の上方にあり、前記部位よりも前記脚側の前記第2フレームは上下方向に変形可能であり、
前記フレーム連結手段は、前記第2フレームに対して前記脚を挟んで前記部位の反対側の前記第2フレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
1つの前記第1フレームは、水平方向に間隔をおいた複数箇所で1つの前記第2フレームに連結され、1つの前記第2フレームの前記複数の脚は、前記複数箇所よりも水平方向において外側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、前記一対の第1フレームに支持され、
前記フレーム連結手段は、前記画像形成手段の少なくとも一部に対して位置決めされて前記一対の第1フレームに固定され、前記第2フレームに対して、上下方向の変位を許容するように固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一対の第1フレームは、その対向面側に、前記画像形成手段の少なくとも一部を支持するための取付部材を備え、
その取付部材は、前記フレーム連結手段を位置決めするための位置決め部を有していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに、前記一対の第1フレームの上端を相互に連結する上部フレーム連結手段と、
前記一対の第2フレームの下端を相互に連結する底部フレーム連結手段と
を備え、
前記フレーム連結手段は、前記上部フレーム連結手段と前記底部フレーム連結手段との間において前記第1フレームと前記第2フレームとの連結部にまたがって前記一対のフレームを相互に連結していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記フレーム連結手段は、前記第1フレームおよび前記第2フレームの水平方向の端部であってかつ上下方向に延在する端面に、その両端をほぼ重ねた状態で固定されているこ
とを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記上下方向の変位を許容する固定は、上下方向に長い長孔と、それに挿入される部材とによって行われ、その長孔と部材とは、上下方向には相対移動可能であるが、前記一対のフレームの対向方向と平行な方向には相対移動をほぼ制限されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記一対のフレームは、前記画像形成手段に対して前記被記録媒体を搬送する経路を挟んでその搬送方向に対し直交する方向に対向しており、
前記フレーム連結手段は、前記搬送方向における前記第1フレームおよび前記第2フレームの端部に固定されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成手段は、複数の画像形成部を相互に平行に配列して備え、
前記一対のフレームは、前記複数の画像形成部の配列方向と平行に延在し、
前記フレーム連結手段は、前記複数の画像形成部の配列方向における前記第1フレームおよび前記第2フレームの端部に固定されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2フレームは、樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−237670(P2011−237670A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110137(P2010−110137)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】