説明

画像形成装置

【課題】転写後の感光体の電位が変動してもクリーニング手段で感光体表面を確実にクリーニングすることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】前記画像形成装置は、感光体と、静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段と、トナー像を用紙に転写する転写手段と、感光体表面を清掃するクリーニング手段と、前記感光体の回転方向に前記クリーニング手段の下流で且つ前記露光手段の上流に配置され前記感光体を帯電する第1帯電手段と、前記クリーニング手段の上流で且つ前記転写手段の下流に配置された第2帯電手段と、制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第2帯電手段を通過後の前記感光体の電位を均一する、所定の直流電圧を前記第2帯電手段に印加する制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、詳しくは、感光体のクリーニングに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置では、像担持体である感光体上にトナー像を形成し、このトナー像を用紙上に転写した後、トナー像を保持した用紙を定着手段により定着する。そして、定着後、画像形成された用紙は画像形成装置より排出される。
【0003】
感光体上に形成されたトナー像を用紙に転写後に、感光体上には転写残トナーが生じる。このため、この転写残トナーを清掃(クリーニング)することが必要となる。
【0004】
クリーニング手段としては、クリーニングブレード方式、クリーニングブラシ方式が一般的に用いられている。クリーニングブレード方式は、ゴムブレードのような弾性体ブレードを像担持体に押し付け、機械的にトナーを掻き取り、クリーニングを行う。一方クリーニングブラシ方式は、表面に毛部材を配設した円筒形の芯金を回転させながら像担持体上のトナーに接触させ、トナーを掻き取りクリーニングを行う。また、クリーニングブレード、クリーニングブラシを組み合わせた方式(ブラシ・ブレードクリーニング手段)も用いられている。
【0005】
このクリーニングに関し、感光体に接するクリーニングブレードと弾性を有する導電性ローラを有し、導電性ローラにトナーの帯電極性と逆極性のバイアス電圧を印加する構成とした画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−137356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、導電性ローラにトナーの帯電極性と逆極性のバイアス電圧を印加し、感光体に付着している残留トナーの電荷を除去し、クリーニングブレードの先端部に付着したトナーによって感光体が劣化することを防止するものである。
【0008】
ところで、従来の静電転写方式を用いた場合は、転写後に感光体に逆極性またはAC電圧を印加し除電して感光体より用紙を分離するため、クリーニング手段に進入時点での感光体の電位(感光体電位)は大きくない。
【0009】
しかしながら、近年、画像品質向上を目的として転写ベルトを用いた接触転写方式を採用する画像形成装置が増加してきている。この接触転写方式では、前述の除電をしないで転写ベルトに用紙を密着させて感光体より分離することが一般的であり、感光体が転写手段で除電されない状態でクリーニング手段に進入する。このため、感光体の帯電電位の大小、画像パターンによる露光の有無で、転写手段を通過後の感光体の電位が大きく変動し、これによりクリーニング手段に進入した感光体の電位が大きく変動する。
【0010】
また、画像安定化のためトナーパッチを作成しているが、特に高速化にともない生産性を低下させないために、用紙間でトナーパッチを作成し画像濃度制御を行っている。更に、印字面積率(印字率)が少ない画像を大量に印字された場合のトナー劣化防止を目的として、用紙間でトナー帯を作成し、トナーを捨てている。
【0011】
この場合、用紙間のトナー像で転写ベルトを汚さないために、通常の用紙にトナー像を転写させる場合と逆特性の電圧を転写ベルトに印加し、用紙間のトナー像が転写ベルトに移らないようにしている。このため、用紙内と用紙間で転写出力の極性が変わり、転写手段を通過後の感光体の電位が大きく変動し、これによりクリーニング手段に進入した感光体の電位が変動する。また、用紙間でのトナー像の有無、大小によってもクリーニング手段に進入した感光体の電位が大きく変動する。
【0012】
クリーニングブラシ・クリーニングブレードを用いたクリーニング手段において、クリーニング手段に進入した感光体の電位が大きく変動した場合、即ちクリーニング手段での副走査方向(感光体回転方向)における感光体電位が大きく変動した場合、感光体の電位変動の速度に比べて、クリーニングブラシの電位変動の速度は緩やかである。即ち、感光体の電位変動に追従するクリーニングブラシの電位変動の速度が遅い。
【0013】
このため、例えば、負帯電のトナーを負帯電の感光体に付着させる反転現像方式を用いた場合、クリーニング手段での感光体電位の絶対値が急激に減少した場合にクリーニングブラシに付着したトナーが感光体に移動し再現像される現象が発生する。この再現像されたトナーは、感光体との電気的付着力が強く、クリーニングブラシの下流にあるクリーニングブレードで掻き取られにくく残トナーとなり、この残トナーが再度、帯電、露光現像の各手段を通過し、転写手段で用紙に転写され、次の用紙の画像不良を引き起こす。
【0014】
特許文献1では、上記のような副走査方向(感光体回転方向)における転写手段通過後の感光体電位の変動は考慮しておらず、残トナーによる画像不良を防止することは困難であった。
【0015】
本発明は上記状況に鑑みなされたもので、転写後の感光体の電位が変動してもクリーニング手段で感光体表面を確実にクリーニングすることのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は、下記の構成により達成される。
【0017】
1.感光体と、静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段と、トナー像を用紙に転写する転写手段と、感光体表面を清掃するクリーニング手段と、前記感光体の回転方向に前記クリーニング手段の下流で且つ前記露光手段の上流に配置され前記感光体を帯電する第1帯電手段と、前記クリーニング手段の上流で且つ前記転写手段の下流に配置された第2帯電手段と、制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第2帯電手段を通過後の前記感光体の電位を均一にする、所定の直流電圧を前記第2帯電手段に印加する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【0018】
2.前記所定の直流電圧は、前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位を推定し、設定されることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0019】
3.前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位の推定は、前記第1帯電手段により付与された前記感光体のバックグランド電位、前記露光手段により付与された前記感光体の露光部電位、印字面積率及び転写手段の転写出力値に基づき行われることを特徴とする前記2に記載の画像形成装置。
【0020】
4.前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位の推定、及びこの推定に基づく前記第2帯電手段に印加する直流電圧の変更は、用紙内と用紙外とで分割して行うことを特徴とする前記2または3に記載の画像形成装置。
【0021】
5.前記クリーニング手段は、回転可能な円筒状のクリーニングブラシを備え、前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位の推定、及びこの推定に基づく前記第2帯電手段に印加する直流電圧の変更は、前記クリーニングブラシの1回転毎に行われることを特徴とする前記2から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0022】
上記により、第2帯電極を設け、転写後の感光体の電位を推定し、第2帯電極に印加するDC電圧を設定し印加することで、転写後の感光体の電位を略均一化することができる。これにより、転写後の感光体の電位が大きく変動してもクリーニング手段で感光体の表面の残トナーを確実にクリーニングすることが可能になり、残トナーによる画像不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る画像形成装置の例を示す図である。
【図2】画像形成装置の画像形成部の概略図である。
【図3】画像形成部及び制御手段ASの概略ブロック図である。
【図4】実施例及び比較例での画像形成の順序を示す図である。
【図5】比較例で画像形成を行った場合の感光体電位の変動を示す図である。
【図6】第2帯電極の印加電流と感光体電位変動量の特性を示す図である。
【図7】実施例で画像形成を行った場合の感光体電位の変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明に関する実施の形態を、図を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る画像形成装置の例を示す図である。画像形成装置は、画像形成装置本体A、画像読取装置SC、自動原稿送り装置DFから構成される。
【0026】
画像形成装置本体Aは、感光体(像担持体)1、第1帯電手段である第1帯電極2、露光手段3、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段6、等から成る画像形成部と、定着装置7及び用紙搬送系と、から構成されている。
【0027】
用紙搬送系は、給紙カセット10、給紙手段11、搬送手段12、排紙手段14、搬送路切換手段15、循環再給紙手段16、反転排紙手段17等から構成されている。また、装置各部を制御する制御手段ASを備えている。
【0028】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿dは、自動原稿送り装置DFの搬送手段により搬送され、画像読取装置SCの光学系により原稿の片面又は両面の画像が読みとられ、イメージセンサCCDにより読み込まれる。イメージセンサCCDにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部20において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光手段3に画像信号を送る。
【0029】
画像形成部において、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。
【0030】
画像形成部においては、感光体1に対し、第1帯電極2により電荷(本実施の形態では負帯電)が付加され、露光手段3からのレーザ光照射により静電潜像が形成され、現像手段4により静電潜像が顕像化されてトナー像(本実施の形態のではトナーは負電荷である)となる。第1帯電極2により付加された電位をバックグランド電位と称す。
【0031】
次いで、給紙カセット10に収容された用紙Pが給紙手段11から搬送される。
【0032】
用紙Pは、レジストローラを含む搬送手段12でトナー像との同期がとられて搬送される。その後、用紙Pは、転写手段5でトナー像が転写されてから定着装置7により定着される。定着後の用紙Pは、排紙手段14により装置外に排出される。一方、クリーニング手段6により感光体1上の転写残のトナーが除去される。
【0033】
なお、両面コピーの場合は、第1面に画像形成された用紙Pは、循環再給紙手段16に送り込まれて反転され、再び画像形成部において第2面に画像形成後、排紙手段14により装置外に排出される。反転排紙の場合は、通常の排紙通路から分岐した用紙Pは、反転排紙手段17においてスイッチバックして表裏反転された後、排紙手段14により装置外に排出される。
【0034】
図2は、本発明に係る画像形成装置の画像形成部の概略図である。画像形成部は、前述のように感光体1、第1帯電極2、露光手段3、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段6を備えている。第1帯電極2は、感光体の回転方向にクリーニング手段6の下流で且つ及び露光手段3の上流に配置されている。
【0035】
転写手段5は、転写ローラ51と転写ローラ51を含む複数のローラに張架された転写ベルト52を備えている。転写ローラ51は、付勢手段(不図示)により感光体1方向に付勢され、転写ベルト52を介し感光体を押圧する。
【0036】
クリーニング手段6は、感光体1に接触し、付着したトナーを掻き取るクリーニングブラシ61及びクリーニングブレード62を有する。
【0037】
クリーニングブラシ61の毛部材としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の樹脂が用いられる。クリーニングブラシ61の軸は金属製でグランド接続される。
【0038】
クリーニングブラシ61は、駆動手段(不図示)により感光体1と同方向、または逆方向に回転される。
【0039】
クリーニングブレード62の材質としてはゴム弾性体が好ましく用いられ、その材料としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等が知られているが、これらのうち、ウレタンゴムは他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で好ましい。
【0040】
また、本発明における画像形成装置には、感光体の回転方向にクリーニング手段6の上流で且つ転写手段5の下流に配置された第2帯電手段である第2帯電極100が設けられている。
【0041】
図3は、画像形成部及び制御手段ASの概略ブロック図である。制御手段ASは、装置各部を制御する制御機能、後述の感光体電位推定機能、第2帯電極印加電圧(電流)設定機能を有している。感光体電位推定機能、第2帯電極印加電圧設定機能は制御手段ASと分離した構成としてもよい。
【0042】
前述のように、転写手段5に転写ベルト52を用いた方式では、転写後の除電をしないで転写ベルト52に用紙を密着させて感光体より分離することが一般的である。このため、感光体1の帯電電位の大小、画像パターンによる露光の有無で、転写手段5を通過後の感光体1の電位が大きく変動し、これによりクリーニング手段6に進入した感光体1の電位が大きく変動する。
【0043】
また、トナーパッチの作成において、用紙間のトナー像で転写ベルト52を汚さないために、通常の用紙にトナー像を転写させる場合と逆特性の電圧を転写ベルト52に印加し、用紙間のトナー像が転写ベルト52に移らないようにしている。このため、用紙内と用紙間で転写出力の極性が変わり、転写手段5を通過後の感光体の電位が大きく変動し、これによりクリーニング手段6に進入した感光体1の電位が変動する。また、用紙間でのトナー像の有無、大小によってもクリーニング手段6に進入した感光体1の電位が大きく変動する。
【0044】
ここで、クリーニングブラシ61の毛部材は、前述のように樹脂製なので電気抵抗と静電容量を持つ。このため、このようにクリーニング手段6に進入した感光体1の電位が大きく変動した場合、即ちクリーニング手段6での副走査方向(感光体回転方向)における感光体電位が大きく変動した場合、クリーニングブラシ61の電位も感光体1の電位変動につられて変動する。
【0045】
しかしながら、感光体1の電位変動の速さに比べて、クリーニングブラシの電位変動の速さは遅い。即ち、感光体1の電位変動に追従するクリーニングブラシ61の電位変動の速さは遅い。
【0046】
このため、例えば、負帯電のトナーを負帯電の感光体1に付着させる反転現像方式を用いた場合、クリーニング手段6での感光体電位の絶対値が急激に減少した場合にクリーニングブラシ61に付着したトナーが感光体1に移動し再現像される現象が発生する。この再現像されたトナーは、感光体1との電気的付着力が強く、クリーニングブラシ61の下流にあるクリーニングブレード62で掻き取られにくく残トナーとなり、この残トナーが再度、帯電、露光、現像の各手段を通過し、転写手段5で次の用紙に転写され画像不良を引き起こす。
【0047】
この画像不良の発生を防止するためには、クリーニング手段6での感光体電位を安定化させる必要がある。
【0048】
この感光体電位を安定化する方法として、クリーニング手段6より上流側でイレーサーランプによる露光、AC放電による除電、DC放電による電位制御を行うこと等が知られている。
【0049】
イレーサーランプによる露光は、露光してから実際に感光体1の表面電位が低下するまで時間が掛かるため画像形成装置の高速化には適さない。高速化対応を考慮した場合、イレーサーランプとクリーニング手段6との距離を長くする確保する必要があるため装置が大型化する等のデメリットがある。
【0050】
また、AC放電による除電は、電源の大型化及びコストアップ、リーク防止のため帯電極の大型化、電波ノイズ防止のためのコストアップ等デメリットが大きい。
【0051】
これらのことから、DC放電による電位制御が好ましい。
【0052】
本発明では、転写後の感光体1の電位安定化を、このDC放電による電位制御で行うものである。
【0053】
次に、本発明での、転写後の感光体1の電位制御について説明する。
【0054】
本発明において、このDC放電は、感光体1の回転方向にクリーニング手段6の上流で且つ転写手段5の下流に第2帯電極100を設け、この第2帯電極100にDC電圧を印可することで行われる。
【0055】
制御手段ASは、第2帯電極100を通過後の感光体1の電位を略均一とする、所定の直流(DC)電圧を第2帯電極100に印加する制御を行う。
【0056】
第2帯電極100に印加するDC電圧を制御することで、第2帯電極100の出力値が制御される。なお、DC電圧の制御、即ち出力値の制御は、印加電流を制御することで行っている。
【0057】
ここで、前述のように、転写手段5を通過後の感光体電位は、大きく変動する。そのため、感光体1の電位を均一化するためには、第2帯電極100に印加するDC電圧は、第2帯電極100に進入した感光体1の部分の電位毎に設定される所定のDC電圧とする必要がある。
【0058】
この所定のDC電圧は、第2帯電極100に進入する感光体1の電位を推定し、設定される。第2帯電極100に進入する感光体の電位の推定は、第1帯電極2により付与された感光体1のバックグランド電位、露光手段3により付与された感光体の露光部電位、印字面積率、転写手段5の転写出力値に基づき行われる。
【0059】
また、前述のようにトナーパッチの作成において、転写ベルト52の用紙間には通常の用紙にトナー像を転写させる場合と逆特性の電圧を印加し、用紙間のトナー像が転写ベルト52に移らないようにしている。これにより、用紙内と用紙間で転写出力の極性が変わる。従って、感光体電位を略均一化するために第2帯電極100に印加するDC電圧は用紙内と用紙間では大きく異なる。
【0060】
このため、第2帯電極100に進入する感光体1の電位の推定、及びこの推定に基づく第2帯電極100に印加するDC電圧の変更は、用紙内と用紙外、即ち印可するDC電圧が大きく異なる領域に分割して行うことが好ましい。
【0061】
更に、用紙内においても、露光手段3により付与された感光体の露光部電位、印字面積率が異なる。また、用紙間においても、印字面積率が異なる。このため、第2帯電極100に進入する感光体1の電位の推定、及びこの推定に基づく第2帯電極100に印加するDC電圧の変更は、用紙内、用紙間を更に分割して行うことが好ましい。例えば、クリーニングブラシ61の1回転毎とする等である。
【0062】
上記により、第2帯電極100を設け、転写後の感光体1の電位を推定し、第2帯電極100に印加するDC電圧を設定し印加することで、転写後の感光体1の電位を略均一化することができる。これにより、転写後の感光体1の電位が大きく変動してもクリーニング手段6で感光体1の表面の残トナーを確実にクリーニングすることが可能になり、残トナーによる画像不良を防止することができる。
【0063】
次に、本発明を適用した画像形成装置、即ち第2帯電極100を設けた画像形成装置の実施例を説明する。また従来の、即ち第2帯電極100を用いない画像形成装置を比較例として説明する。
【0064】
実施例、比較例とも、下記の順序で、3枚の用紙と各用紙間に異なる印字面積率の画像形成をおこない、感光体電位を評価した。
用紙1 :印字面積率 0%
用紙間1:印字面積率 50%
用紙2 :印字面積率 50%
用紙間2:印字面積率 100%
用紙3 :印字面積率 100%
図4に、上記画像形成の順序を示す。従って、用紙1→用紙3方向に感光体1上に画像形成される。即ち、用紙1→用紙3の順序で転写されることになり、用紙1に対して用紙3は感光体1の回転方向下流側になる。
【0065】
先ず、実施例から説明する。
【0066】
[実施例]
前述のように、実施例は、本発明を適用した画像形成装置、即ち第2帯電極100を設けた画像形成装置の例である。
【0067】
第2帯電極100として、印加した電流とその時の感光体電位の変動量が図5に示す特性を持つDC放電極を設置した。
【0068】
先ず、本実施例の画像形成装置の露光手段3と現像手段4との間に感光体表面電位形を設置し、感光体電位を測定した。その結果より、白地(印字率面積0%)部電位は−800V、黒地(印字面積率100%)部電位は−200V、と計測された。これより、印字面積率50%の感光体電位は−500Vと推定した。
【0069】
また、転写に正電圧印加(用紙内)の場合は、感光体電位は+200V、転写に負電圧印加の場合(用紙間)は、感光体電位は−100V変動するとの知見を実験により得ていたので、それを加味して転写後の感光体電位を推測し、その変動をキャンセルできるように第2帯電極100の出力を調整し、印加するDC電圧を設定した。
【0070】
なお、本実施の形態における画像形成装置では、転写後の感光体電位の変動量が300V以内ではクリーニング不良が発生しないとの実験結果を得ていたため、過剰な放電によるオゾン発生を防止するため、転写後の感光体電位が600±100Vに収まるように第2帯電極の出力を調整した。
【0071】
図6は、画像形成装置で上述の画像形成を行った場合の感光体電位の変動を示す図である。図6(a)は、用紙と用紙間の位置及び転写前の感光体電位を、図6(b)は、推測した転写後の感光体電位を示す。図6(b)の破線は転写前の感光体電位を示す。
【0072】
図6は、転写手段5で用紙内には正極性の電圧が印可され、用紙外では負極性の電圧が印可される例である。
【0073】
図6(a)に示すように、転写前の感光体電位は、用紙1内及び用紙間の画像形成されない部分では−800V、用紙間1の画像形成部分及び用紙2内では−500V、用紙間2の画像形成部分及び用紙3内では−200Vであった。
【0074】
転写後の感光体電位は前述のように、用紙内では感光体電位が+200V、用紙間では−100Vの変動となる。即ち、用紙間の画像形成されない部分では−900V、用紙1内及び用紙間1の画像形成部分では−600V、用紙2内及び用紙間2の画像形成部分では−300V、用紙3内では0Vであった。
【0075】
図7は、転写後の感光体1を第2帯電極100で帯電した場合の感光体電位の変動を示す図である。なお、用紙と用紙間の位置及び転写前の感光体電位は図6(a)を参照する。
【0076】
図7(a)は、推測した転写後の感光体電位を示す図であり、図6(b)と同じ図である。
【0077】
図7(b)は、転写後の感光体1の電位を変動させ調整するための帯電を行う第2帯電極100の出力を示す図である。第2帯電極100に印加するDC電圧の設定は、推測した転写後の感光体電位に基づき、用紙間の画像形成されない部分、用紙1内、用紙間1の画像形成部分、用紙2内、用紙間2の画像形成部分、用紙3内に分割して行った。
【0078】
図7(c)は、第2帯電極100で帯電された感光体電位(CL前感光体電位と記す)を示す図である。図7に示す電位で感光体1は、クリーニング手段6に進入する。
【0079】
次に、第2帯電極100による感光体1の帯電について説明する。
【0080】
上述のように出力が調整された第2帯電極による帯電で、転写後の感光体電位が調整される。
【0081】
図7(a)に示すように、転写後の感光体1の用紙間の画像形成されない部分は−900Vになる。この部分の感光体電位を600±100Vに収めるために、第2帯電極100に400μAの電流を印加した。これにより、この部分の電位は200V変動し(図5参照)、図7(c)に示すように−700Vとなった。
【0082】
転写後の用紙1内及び用紙間1の画像形成部分では−600Vになる。この部分の感光体電位は600±100Vに収まっているため、第2帯電極100での帯電は行わなかった。即ち、印加電圧を0Vとした。
【0083】
転写後の用紙2内及び用紙間2の画像形成部分では−300Vになる。この部分の感光体電位を600±100Vに収めるために、第2帯電極100に−400μAの電流を印可した。これにより、この部分の電位は−200V変動し(図5参照)、図7(c)に示すように−500Vとなった。
【0084】
転写後の用紙3内では0Vになる。この部分の感光体電位を600±100Vに収めるために、第2帯電極100に−1000μAの電流を印可した。これにより、この部分の電位は−500V変動し(図5参照)、図7(c)に示すように−500Vとなった。
【0085】
この状態でのクリーニング手段6によるクリーニングを評価した。評価は、次の用紙に形成される画像を目視で観察することで行った。
【0086】
評価の結果、次の用紙に汚れは認められなかった。即ち、クリーニング不良は認められなかった。
【0087】
[比較例]
前述のように、比較例は従来の、即ち第2帯電極100を用いない画像形成装置の例である。
【0088】
比較例の画像形成装置で上述の画像形成を行った場合の、転写前と転写後の感光体電位の変動は、実施例と同じ、即ち図6と同じである。従って、転写後までの説明は、省略する。
【0089】
比較例においては、画像形成装置には第2帯電極100を用いないため、感光体1はこの転写後の感光体電位のままクリーニング手段6に進入し、クリーニングが行われる。
【0090】
この状態でのクリーニング手段6によるクリーニングを評価した。評価は、次の用紙に形成される画像を目視で観察することで行った。
【0091】
評価の結果、次の用紙の感光体1の図6(b)○印部分が接触する部分に汚れが確認された。即ち画像不良が生じた。
【0092】
これは、図6(b)○印部分では感光体1上の残トナーをクリーニング手段6で掻き取りきれず、クリーニング不良となり、クリーニング手段6を通過した感光体1にトナーが残存したためである。
【0093】
図6(b)○印部分は、転写後の感光体電位が正側に300Vを超えて変動する部分(−900V→−300V、−900V→0V)であり、クリーニングブラシ61に付着したトナーが感光体1に移動し再現像される現象が生じ、付着したトナーをクリーニングブレード62で十分掻き取れなかった部分である。
【0094】
上記のように、本発明の構成を採用した場合、クリーニング手段6前の感光体電位の変動量は、200V以内に抑えられ、クリーニング不良の発生はなかった。これにより、本発明の効果が確認できた。
【符号の説明】
【0095】
1 感光体
2 第1帯電極
3 露光手段
4 現像手段
5 転写手段
51 転写ローラ
52 転写ベルト
6 クリーニング手段
61 クリーニングブラシ
62 クリーニングブレード
100 第2帯電極
A 画像形成装置
AS 制御手段
DF 自動原稿送り装置
SC 画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段と、トナー像を用紙に転写する転写手段と、感光体表面を清掃するクリーニング手段と、前記感光体の回転方向に前記クリーニング手段の下流で且つ前記露光手段の上流に配置され前記感光体を帯電する第1帯電手段と、前記クリーニング手段の上流で且つ前記転写手段の下流に配置された第2帯電手段と、制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第2帯電手段を通過後の前記感光体の電位を均一にする、所定の直流電圧を前記第2帯電手段に印加する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の直流電圧は、前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位を推定し、設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位の推定は、前記第1帯電手段により付与された前記感光体のバックグランド電位、前記露光手段により付与された前記感光体の露光部電位、印字面積率及び転写手段の転写出力値に基づき行われることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位の推定、及びこの推定に基づく前記第2帯電手段に印加する直流電圧の変更は、用紙内と用紙外とで分割して行うことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クリーニング手段は、回転可能な円筒状のクリーニングブラシを備え、前記第2帯電手段に進入する前記感光体の電位の推定、及びこの推定に基づく前記第2帯電手段に印加する直流電圧の変更は、前記クリーニングブラシの1回転毎に行われることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−242719(P2011−242719A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117108(P2010−117108)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】