説明

画像形成装置

【課題】複数の高圧接点の絶縁性を維持しつつ、装置内の限られたスペースを有効に利用し、装置内冷却用の風路を確保する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置1は、プロセスユニット25に高電圧を供給する高圧基板26と、高圧基板26とプロセスユニット25を電気的に接続する複数の高圧接点部材27と、複数の高圧接点部材27を導通部品から絶縁するための接点保持部材28とを備え、接点保持部材28には長手方向に沿って凹部78が凹設され、凹部78が装置本体2の内部を冷却するための冷却風を流通させる風路61を形成するとともに、複数の高圧接点部材27が互いにリークしない空間距離を保って接点保持部材27に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ・複写機・ファクシミリやこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置であって、特に、装置本体に取り付けられるプロセスユニットに高電圧を供給する高電圧供給機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ・複写機・ファクシミリやこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置には、複数の色を重ね合わせてカラー画像を形成するために、各種のプロセスユニット(例えば、像担持体ユニット、現像ユニット、一次転写ユニット、二次転写ユニット、クリーニングユニット)と、これらのプロセスユニットに高電圧を供給する高圧基板と、この高圧基板を上記のプロセスユニットに接続する複数の高圧接点部材が配置されている。また、この複数の高圧接点部材は、各高圧接点部材間での絶縁性を確保するため、樹脂製の接点保持部材に固定された状態で配置されるのが一般的である(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、上記の画像形成装置においては、装置内部で発生する熱により、書き込み光学系にひずみが生じて色ずれが発生したり現像剤の劣化が生じたりすることを防止する必要がある。そこで、冷却風を装置内に移送するための風路を内設した画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−115931
【特許文献2】特開2007−65178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、高圧接点部材の絶縁性を確保するための接点保持部材(特許文献1参照)と冷却風を移送するための風路(特許文献2参照)が、それぞれ別個の部材にて別々のスペースに形成されていた。しかしながら、画像形成装置においては装置の小型化が進んでおり、装置内において各部材が占有するスペースを、更に小さくすることが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、複数の高圧接点部材の絶縁性を維持しつつ、装置内の限られたスペースを有効に利用し、装置内冷却用の風路を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、画像形成プロセスを実行するために画像形成装置の装置本体に取り付けられるプロセスユニットと、該プロセスユニットに高電圧を供給する高圧基板と、該高圧基板と前記プロセスユニットを電気的に接続する複数の高圧接点部材と、該複数の高圧接点部材を導通部品から絶縁するための接点保持部材と、を備え、該接点保持部材には長手方向に沿って凹部が凹設され、該凹部により前記装置本体の内部を冷却するための冷却風を流通させる風路が形成されるとともに、前記複数の高圧接点部材が互いにリークしない空間距離を保って前記接点保持部材に配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記風路は、前記装置本体の外装カバーに開口された吸気口と連通する流入部と、該流入部を、前記装置本体の内部に配置された一方のポリゴンミラーと対向する第1送風口と連通する第1流路と、該第1流路とは仕切板によって仕切られ、前記流入部を、前記装置本体の内部に配置された他方のポリゴンミラーと対向する第2送風口と連通する第2流路と、を備えているものであっても良い。
【0009】
更に、前記接点保持部材は、前記高圧基板の保持部材として兼用されるものであっても良いし、廃棄トナー搬送用のケースとして兼用されるものであっても良い。
【0010】
更にまた、前記複数の高圧接点部材は、前記高圧基板とのバネ接点を構成する第1コイルバネと、前記プロセスユニットとのバネ接点を構成する第2コイルバネと、前記第1コイルバネと前記第2コイルバネとを連結する線形部と、を備え、該線形部の中間部には連結コイル部が形成されているものであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、複数の高圧接点の絶縁性を維持しつつ、装置内の限られたスペースを有効に利用し、装置内冷却用の風路を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部を示す、装置本体背面側からの断面図である。
【図4】高圧基板を基板保持部材に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】高圧接点部材を示す説明図である。
【図6】基板保持部材を示す斜視図である。
【図7】高圧基板の基板保持部材への取り付け過程を示す説明図である。
【図8】連結部材を示す斜視図である。
【図9】連結部材の連結支持部を示す拡大斜視図である。
【図10】高圧端子台を示す、装置本体左側後方からの斜視図である。
【図11】高圧端子台を示す、装置本体右側後方からの斜視図である。
【図12】装置本体内部の冷却風の流れを示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
まず、主に図1、図2を用いて、本発明の画像形成装置の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の説明図である。
【0015】
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ1は、装置本体2の上面に形成された排紙トレイ3と、装置本体2の外周面を被覆する外装カバー4と、装置本体2の正面(図1において手前側)中央に設けられた手差しトレイ5と、装置本体2の正面下端に設けられた給紙トレイ6と、装置本体2の側面後方の外装カバー4に開口された吸気口7と、装置本体2の側面前方の外装カバー4に開口された排気口8を備えている。
【0016】
また、図2に示す如く、カラープリンタ1は、装置本体2の内部に、給紙トレイ6内に配置された給紙カセット9と、給紙カセット9又は手差しトレイ5にセットされた転写紙が搬送される搬送経路10と、給紙カセット9にセットされた転写紙を搬送経路10に供給する給紙部11と、手差しトレイ5にセットされた転写紙を搬送経路10に供給する手差し給紙部74と、補給用トナーを収納した複数のトナーコンテナ12と、この複数のトナーコンテナ12の下方に配置された中間転写ベルト13と、中間転写ベルト13の下方に配置された複数の感光体ドラム14と、感光体ドラム14の表面を所定の電圧に帯電させる帯電器(図示せず)と、帯電器によって帯電させた感光体ドラム14の表面にビーム光束を出射して、所定の静電潜像を形成する露光器15と、露光器15が形成した静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像器16と、そのトナー像を感光体ドラム14と協働して中間転写ベルト13に一次転写する一次転写ローラ17と、感光体ドラム14の表面に残留したトナーを除去するクリーニングデバイス18と、感光体ドラム14の電荷を除去する除電デバイス19と、上記一次転写ローラ17により一次転写されたトナー像を、搬送経路10の中途部において中間転写ベルト13から転写紙に二次転写する二次転写部20と、二次転写後に中間転写ベルト13の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置21と、転写紙に二次転写したトナー像を搬送経路10の下流側において転写紙に定着させる定着部22と、定着済みの転写紙を両面印刷のために搬送経路10の上流側へと反転搬送する反転経路23と、を備えている。
【0017】
露光器15は、各感光体ドラム14に対応した複数の光源から放射された各ビーム光束を、一対のポリゴンミラー24(a)(b)で偏光走査しつつ、感光体ドラム14にビーム光束を結像する。
【0018】
上記の構成において、カラープリンタ1に電源が投入されると、各種パラメータが初期化され、定着部22の温度設定を行うなどの初期設定が実行される。そして、カラープリンタ1に接続されたコンピュータ等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0019】
まず、帯電器(図示せず)によって感光体ドラム14の表面が帯電された後、露光器15により感光体ドラム14に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム14に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器16がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、トナーの極性と逆極性(−)の電圧を一次転写ローラ17に印加することにより、中間転写ベルト13に一次転写される。以上の動作を各色ごとに順次繰り返すことによって、中間転写ベルト13上にフルカラーのトナー像が形成される。このフルカラーのトナー像は、二次転写部20にトナーと逆極性(−)の電圧を印加することにより、搬送経路10を通って二次転写部20に搬送されてきた転写紙に二次転写される。この転写紙に二次転写されたフルカラーのトナー像は、定着部22で転写紙に定着され、トナー像が定着した転写紙が、排紙トレイ3に排出される。また、二次転写部20での二次転写の完了後、中間転写ベルト13の表面に残留したトナーは、クリーニング装置21によって除去される。
【0020】
上述の如く、カラープリンタ1の装置本体2には、画像形成プロセスを実行するためのプロセスユニットが多数取り付けられている。そして、このようなプロセスユニットのうち高電圧を必要とするプロセスユニット(例えば、感光体ドラム14、帯電器、現像器16、一次転写ローラ17、クリーニングデバイス18、二次転写部20、クリーニング装置21、定着部22。以下、単にプロセスユニット25という。)に対して高電圧を供給する構成について、主に図3〜図12を用いて説明する。
【0021】
図3は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部を示す装置本体背面側からの断面図、図4は、高圧基板を基板保持部材に取り付けた状態を示す斜視図、図5は、高圧接点部材を示す説明図、図6は、基板保持部材を示す斜視図、図7(a)〜(c)は、高圧基板の基板保持部材への取り付け過程を示す説明図、図8は、連結部材を示す斜視図、図9は、連結部材の連結支持部を示す拡大斜視図、図10は、高圧端子台を示す、装置本体左側後方からの斜視図、図11は、高圧端子台を示す、装置本体右側後方からの斜視図、図12は、装置本体内部の冷却風の流れを示す説明図である。
【0022】
図3に示す如く、カラープリンタ1の装置本体2の内部には、高電圧を必要とするプロセスユニット25に対して高電圧を供給するための高圧基板26と、この高圧基板26とプロセスユニット25を電気的に接続する高圧接点部材27と、この高圧接点部材27を保持するための接点保持部材28が配置されている。
【0023】
高圧基板26は、図3に示す如く、下端部を接点保持部材28に保持された状態で、装置本体2の外装カバー4の内側に立設されている(立設手段については後述)。高圧基板26の下端には、図4に示す如く、複数個(本実施例では3個)を1セットとする端子29が複数セット(本実施例では4セット)配置され、高圧基板26の下端両隅には、係合穴30がそれぞれ穿設されている。また、高圧基板26は、装置本体2内に立設された本体側板31に固定される電源基板38(図3参照)と、図示しない配線によって接続されている。また、高圧基板26は、電源基板38から供給される交流電源を直流変換及び高圧変換するためのトランス(図示せず)を備えている。
【0024】
高圧接点部材27は、図5に示す如く、導電性を有する一本のワイヤーを巻回及び折曲させて形成されており、高圧基板26とのバネ接点である第1バネ接点32を構成する第1コイルバネ33と、プロセスユニット25とのバネ接点である第2バネ接点34を構成する第2コイルバネ35と、第1コイルバネ33と第2コイルバネ35とを連結する線形部36とを備えており、線形部36の中間部にはコイル状の連結コイル部37が形成されている。高圧接点部材27は、複数本(本実施例では3本)を1セットとして接点保持部材28に複数セット(本実施例では4セット)配置されている。
【0025】
接点保持部材28は、図3に示す如く、高圧基板26を保持する基板保持部材39と、この基板保持部材39に連結固定される連結部材40と、高圧端子台41とを備えている。上記の基板保持部材39、連結部材40及び高圧端子台41は、これらの部材によって保持される高圧接点部材27を導通部品(例えば、板金フレーム)から絶縁するため、樹脂材によって形成されている。
【0026】
基板保持部材39は、図示しないスナップフィット機構及びネジにより、本体側板31に取り付けられる。図6に示す如く、基板保持部材39の下部には、突出部42が外方に突出して形成されており、この突出部42内に、基板保持部材39の長手方向に沿って複数個(本実施例では4個)の収納部43が形成されている。各収納部43には、各高圧接点部材27の第1コイルバネ33が1セット(本実施例では3個)ずつ、互いにリークしない空間距離を保った状態で収納されている。また、突出部42の先端面44には、高圧基板26の各端子29に対応する位置に円形の挿通穴45が穿設され、この挿通穴45から、各高圧接点部材27の第1バネ接点32が外方に突出している。また、突出部42の両側端部には、高圧基板26の係合穴30と対応する位置に、係合突起46が設けられている。更に、突出部42の先端面44の下端には、高圧基板26を載置するための複数個(本実施例では6個)の延出片47が、外方に延出して形成されている。この延出片47の配置間隔には、複数個(本実施例では4個)の樹脂材製のスナップフィット48が配置されており、このスナップフィット48の先端側には、図7(a)〜(c)に示す如く、先細テーパー状の係止部49が設けられている。
【0027】
基板保持部材39の内面(図3において右側の面)の上部には、基板保持部材39の長手方向の一端から他端まで弧状凹部50が形成されており、この弧状凹部50の下方には一方係合部52が設けられている。
【0028】
連結部材40は、図示しない連結手段により、基板保持部材39の内面側に取り付けられる。連結部材40の外面(図3において左側の面)の上部には、長手方向の一端から他端まで、基板保持部材39の弧状凹部50に対応する位置に、上部をL字型に屈曲させるとともに下部を弧状に湾曲させた連結凹部51が形成され、この連結凹部51の下方には、基板保持部材39の一方係合部52に対応する位置に他方係合部53が形成されている。そして、基板保持部材39と連結部材40とを連結させた状態で、一方係合部52と他方係合部53が係合し、この係合部分の上方に、弧状凹部50と連結凹部51により囲繞される廃棄トナー搬送用のケース54が形成されるように構成されている。この廃棄トナー搬送用のケース54内の長手方向には、残留トナーの搬送機構としてのスクリュー55が、駆動源(図示せず)と接続した状態で配置されている。
【0029】
連結部材40の内面(図3において右側の面)の下部には、図8に示す如く、高圧接点部材27の連結コイル部37を支持するための連結支持部56が、下側1個、上側2個を1セットとして複数セット(本実施例では4個)設けられている。各連結支持部56内には、図9に示す如く、高圧接点部材27の連結コイル部37が、互いにリークしない空間距離を保った状態で支持されている。連結支持部56は、連結コイル部37の一端が係合されるバネ受け57と、連結コイル部37の下端を支持する支持枠58と、連結コイル部37の上部をガイドするガイド枠59と、を備えている。支持枠58の基端部には連通孔(図示せず)が形成されており、この連通孔を介して、高圧接点部材27の線形部36が、基板保持部材39の収納部43側から連結コイル部37材の連結支持部56側に挿通されている。
【0030】
高圧端子台41は、本体側板31に取り付けられており、図3に示す如く、基板保持部材39及び連結部材40よりも本体側板31を介して内側に配置されている。高圧端子台41の上部には、図3に示す如く、高圧接点部材27の第2コイルバネ35を保持するための接点ガイド75が設けられている。この接点ガイド75は、図10に示す如く複数個(本実施例では3個)を1セットとし、高圧端子台41の長手方向に沿って複数セット(本実施例では4セット)形成されている。各接点ガイド75には、高圧接点部材27の第2コイルバネ35が互いにリークしない空間距離を保って配置されており、第2コイルバネ35の先端部に形成された第2バネ接点34が、接点ガイド75の上端から突出している。図3に示す如く、各接点ガイド75の下部には連通孔76が穿設されており、この連通孔76を介して、高圧接点部材27の線形部36が、連結部材40の連結支持部56側から高圧端子台41の接点ガイド75側に挿通されている。
【0031】
高圧端子台41の下部には、図3に示す如く、本体側板31と高圧端子台41の側壁60との間に、風路61が形成されている。この風路61は、図11に示す如く、高圧端子台41の長手方向に沿って凹設された凹部78によって形成されており、高圧端子台41の一端側に設けられた流入部62と、この流入部62と一端を連通する第1流路としての下方流路64及び第2流路としての上方流路63により構成されている。上方流路63と下方流路64とは、高圧端子台41の底壁65から斜め上方に延出する仕切板66により上下に仕切られており、下方流路64の他端は、側壁60の一側に形成された第1送風口67と連通し、上方流路63の他端は、側壁60の他側に形成された第2送風口68と連通している。また、図12に示す如く、第1送風口67は、露光器15に配設された一方のポリゴンミラー24(a)と対向する位置に配置され、第2送風口68は、露光器15に配設された他方のポリゴンミラー24(b)と対向する位置に配置されている。
【0032】
また、図12に示す如く、風路61の流入部62は、外装カバー4と本体側板31との間に形成された導入路69及び本体側板31に形成された連通開口部70を介して、吸気ファン71と連通している。この吸気ファン71は、外装カバー4(右側部分)の吸気口7の内側に、外装カバー4の長手方向に対して傾斜した状態で配置されている。また、導入路69は、吸気ファン71と本体側板31の間の空間を上下に仕切る隔壁72の上方の空間に形成されており、この隔壁72の下方の空間は、電源基板38の配置空間73を介して、外装カバー4の排気口8と連通している。
【0033】
このような構成を備えたカラープリンタ1において、高圧基板26を基板保持部材39に固定するには、図7(a)に示す如く、高圧基板26の係合穴30と基板保持部材39の係合突起46の位置を合わせて、図7(b)に示す如く、高圧基板26を基板保持部材39側に押圧する。この押圧により、高圧基板26の下端が樹脂材製のスナップフィット48を下方に弾性変形させながら係止片49を乗り越え、図7(c)に示す如く、高圧基板26の下端部が係止片49の内側に係止される。これにより、図4に示す如く、高圧基板26が基板保持部材39の延出片47の上面に立設され、同時に、図7(c)に示す如く、高圧接点部材27の第1バネ接点32が、高圧基板26の端子29に圧着し、高圧基板26と高圧接点部材27とが電気的に接続される。
【0034】
本実施例においてはこのように、接点保持部材28である基板保持部材39が高圧基板26の保持部材として兼用されるため、高圧基板26を保持する部材と高圧接点部材27を保持部材とを別個に形成する場合と比較して、装置の構成を簡易なものとすることが可能となる。また、樹脂材の弾性力を利用したスナップフィット方式の着脱手段を用いているため、ネジ留め等の固定手段を用いる場合と比較して、高圧基板26の基板保持部材39への着脱を容易に行うことが可能となる。更に、高圧基板26を基板保持部材39に固定することにより、高圧基板26の端子29に高圧接点部材27の第1バネ接点32が圧着し、高圧基板26と高圧接点部材27が自動的に接続される構成であるため、高圧基板26と高圧接点部材27との電気的な接続を別途に行う必要がなく、設置時の作業負担を軽減することが可能となる。
【0035】
また、上述の如き構成を備えたカラープリンタ1において、各プロセスユニット25に高電圧を供給するには、図3に示す如く、高圧基板26の端子29を第1コイルバネ33の第1バネ接点32に接触させる。また、プロセスユニット25の下端に形成された接続端子77を第2コイルバネ35の第2バネ接点34に接触させる。そして、図示しない配線を介して電源基板38から高圧基板26に交流電圧を供給し、この交流電圧を、高圧基板26に配置したトランスで直流変換及び高圧変換した後、高圧接点部材27を介して各プロセスユニット25に供給する。
【0036】
その際、本発明の画像形成装置においては、複数の高圧接点部材27の第1コイルバネ33、連結コイル部37、第2コイルバネ35がそれぞれ、接点保持部材28としての基板保持部材39、連結部材40及び高圧端子台41に、互いにリークしない空間距離を保って配置されているため、各高圧接点部材27同士が電気的に干渉するおそれがない。また、上記接点保持部材28としての基板保持部材39、連結部材40及び高圧端子台41は、すべて樹脂材にて形成されているため、導通部品(例えば、装置本体内に配置される板金フレーム)との絶縁性も確保される。従って、高圧基板26から各プロセスユニット25に、高電圧を安定して供給することが可能となる。
【0037】
また、高圧接点部材27は、図5に示す如く、第1コイルバネ33と第2コイルバネ35とを線形部36を介して接続しているため、この線形部36が通過できる隙間さえあれば、装置本体2内の狭い空間にも容易に配線を行うことが可能となる。更に、この線形部36の中間部分には連結コイル部37を形成しているため、直線状の線形部36のみにて第1コイルバネ33と第2コイルバネ35の間を連結する場合に比べて、高圧接点部材27の形状の安定性を高めることが可能となる。また、プロセスユニット25、高圧基板26と高圧接点部材27を連結する際に各バネ接点に32、34にかかる衝撃を、連結コイル部37で吸収することが可能となるとともに、連結コイル部37の長さを変化させることで、線形部36の長さを調整することも可能となる。
【0038】
また、上述の如き構成を備えたカラープリンタ1において、図示しない駆動源により、廃棄トナー搬送用のケース54内のスクリュー55を回転させると、廃棄トナー搬送用のケース54を介して、装置本体2内の廃棄トナーが外部に移送される。本実施例においてはこのように、接点保持部材28が廃棄トナー搬送用のケース54として兼用されるため、接点保持部材28と廃棄トナー搬送用のケース54を別個に形成する必要がなく、装置本体2内のスペースの有効活用が可能となるとともに、装置の構成を簡易なものとすることができる。
【0039】
また、上述の如き構成を備えたカラープリンタ1において、装置本体2内部を冷却風により冷却するには、図示しない吸気ファン電源により吸気ファン71を回転させる。これにより、図12に示す如く、外装カバー4の吸気口7を介して外気を装置本体2の内部に引き込み、この引き込まれた外気を、吸気ファン71を介して隔壁72の方向に冷却風として吹き付ける。この隔壁72の方向に吹き付けられた冷却風のうち、隔壁72の上方に吹き付けられた冷却風は、導入路69及び本体側板31の連通開口部70を介して風路61内に流入部62側から流入し、風路61内に設けられた仕切板66によって上下に分けられる。そして、仕切板66の下方に流入した冷却風は、下方流路64を介して第1送風口67から一方のポリゴンミラー24(a)に吹き付けられる。また、仕切板66の上方に流入した冷却風は、上方流路63を介して第2送風口68から他方のポリゴンミラー24(b)に吹き付けられる。
【0040】
本発明においてはこのように、接点保持部材28である高圧端子台41に風路61を形成し、この風路61を介して装置本体2の内部に配置されたポリゴンミラー24(a)(b)に冷却風を吹き付けて、ポリゴンミラー24(a)(b)を冷却している。このように、接点保持部材28に風路61を形成することにより、装置本体2の内部の部材を冷却するための風路61を、接点保持部材28と別体に形成する必要がなく、装置本体2内の限られたスペースを有効に利用することが可能となる。
【0041】
また、上述の如く、風路61は、吸気口7と連通する流入部62と、この流入部62を、装置本体2の内部に配置された一方のポリゴンミラー24(a)と対向する第1送風口67と連通させる下方流路64と、この下方流路64とは仕切板66によって仕切られ、流入部62を、装置本体2の内部に配置された他方のポリゴンミラー24(b)と対向する第2送風口68と連通させる上方流路63と、を備えている。そのため、各送風口67、68にそれぞれ対向させて配置されたポリゴンミラー24(a)(b)に対して、冷却風を的確な位置から効率良く吹き付けることができる。
【0042】
また、吸気ファン71を介して隔壁72の方向に吹き付けられた冷却風のうち、隔壁72の下方に吹き付けられた冷却風は、隔壁72の下方の空間を介して電源基板38の配置間隔73に流入し、電源基板38を冷却した後、排気口8から外部に排出される。本実施例においてはこのように、吸気ファン71に隣接させて隔壁72を配置し、この隔壁72の上方に吹き付けられた冷却風で、本体側板31の内側に配置されたポリゴンミラー24(a)(b)を冷却するとともに、隔壁72の下方に吹き付けられた冷却風で、本体側板31の外側に配置された電源基板38を冷却している。そのため、本体側板31の内側の部材と外側の部材を一個の吸気ファン71のみで同時に冷却することが可能となり、吸気ファン71の効率的な使用が可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
2 装置本体
7 吸気口
24(a)(b) ポリゴンミラー
25 プロセスユニット
26 高圧基板
27 高圧接点部材
28 接点保持部材
32 第1バネ接点
33 第1コイルバネ
34 第2バネ接点
35 第2コイルバネ
36 線形部
37 連結コイル部
54 ケース
61 風路
62 流入部
63 上方流路(第1流路)
64 下方流路(第2流路)
66 仕切板
67 第1送風口
68 第2送風口
78 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成プロセスを実行するために画像形成装置の装置本体に取り付けられるプロセスユニットと、
該プロセスユニットに高電圧を供給する高圧基板と、
該高圧基板と前記プロセスユニットを電気的に接続する複数の高圧接点部材と、
該複数の高圧接点部材を導通部品から絶縁するための接点保持部材と、
を備え、
該接点保持部材には長手方向に沿って凹部が凹設され、該凹部により前記装置本体の内部を冷却するための冷却風を流通させる風路が形成されるとともに、前記複数の高圧接点部材が互いにリークしない空間距離を保って前記接点保持部材に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記風路は、
前記装置本体の外装カバーに開口された吸気口と連通する流入部と、
該流入部を、前記装置本体の内部に配置された一方のポリゴンミラーと対向する第1送風口と連通する第1流路と、
該第1流路とは仕切板によって仕切られ、前記流入部を、前記装置本体の内部に配置された他方のポリゴンミラーと対向する第2送風口と連通する第2流路と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接点保持部材は、前記高圧基板の保持部材として兼用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接点保持部材は、廃棄トナー搬送用のケースとして兼用されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の高圧接点部材は、
前記高圧基板とのバネ接点を構成する第1コイルバネと、
前記プロセスユニットとのバネ接点を構成する第2コイルバネと、
前記第1コイルバネと前記第2コイルバネとを連結する線形部材と、
を備え、
該線形部材の中間部には連結コイル部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの請求項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−248206(P2011−248206A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122807(P2010−122807)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】