説明

画像形成装置

【課題】摩擦帯電系列及び粒径の異なる二種類以上の外添剤を用いた現像剤でも帯電ローラ汚れを効率良く低減し、表面抵抗上昇を抑制して、帯電ローラの長寿命化を実現した画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電ローラ12と当接して回転するクリーニングブラシローラ13の表面は、現像剤に含まれる第一の外添剤及び第二の外添剤より摩擦帯電系列において正極性側に位置している。制御手段は、少なくともクリーニングブラシローラ13が帯電ローラ12の一周をクリーニングする間、クリーニングブラシローラ13と帯電ローラ12とが第一の周速比となるように、また、少なくともクリーニングブラシローラ13が帯電ローラ12の一周をクリーニングする間、クリーニングブラシローラ13と帯電ローラ12とが第二の周速比となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式にて画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置には種々の方式がある。この中でも、帯電ローラを使用する接触系の帯電方式では、転写残トナー中に含まれる外添剤等がクリーニングブレードをすり抜けて帯電ローラに付着することで、帯電ローラの表面抵抗が上昇してしまう。すると、帯電時に感光体を所定の電位に帯電させようとしても、当初の帯電電圧では所定の電位に帯電されなくなり、画像不良が生じてしまうことが問題となっている。これは、帯電ローラの寿命が長くなるほど致命的な問題となるため、帯電ローラの表面に外添剤等が付着することで帯電ローラの寿命低下を招いてしまう。
【0003】
そこで、帯電ローラの表面抵抗上昇を抑制するために、帯電ローラ表面に付着した外添剤等をクリーニングするためのクリーニング部材を設ける構成が提案されている。この中でも、特許文献1では、クリーニング部材としてのクリーニングローラを帯電ローラに当接させ、このクリーニングローラを帯電ローラの周速よりも大きくなるよう駆動回転させる。これにより、常に安定して帯電ローラ表面をクリーニングすることができる。
【0004】
ここで、クリーニングローラの材質として弾性体を用いることで帯電ローラの振れや真直度不良が生じても、クリーニングローラと帯電ローラ間に十分なニップを確保することができる。そのため、帯電ローラに対するクリーニングローラからのブレーキ作用により発生する微小振動を抑制し、安定して感光体を均一に帯電させることができる。そして、帯電ローラの回転を促進する方向にクリーニングローラを回転させるため、帯電ローラに対するブレーキ作用を生じさせたり、無用な付勢力を与えることなく安定してクリーニングすることが可能となる。このように、帯電ローラに付着した外添剤に対する清掃能力を向上させるためにクリーニングローラを設置することで、帯電ローラの表面抵抗上昇に伴う帯電電位低下による画像不良の発生を大きく抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−227208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1のように帯電ローラに対するクリーニングローラの周速比が常に一定である場合、特定の外添剤に対する清掃能力は高くなる。しかしながら、一般的に現像剤には粒径の異なる複数の外添剤が外添されており、クリーニングローラの材質を含めたこれらの摩擦帯電系列も異なっている。そのため、特定の周速だとクリーニングローラが帯電ローラと接触した際に帯電ローラからクリーニングローラに静電的に吸着される。また、クリーニングローラが帯電ローラから離間する際に除去される外添剤の種類や量が異なり、外添剤とクリーニングローラの摩擦帯電系列の位置関係や粒径によっては効率的に帯電ローラから外添剤を清掃することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、摩擦帯電系列及び粒径の異なる二種類以上の外添剤を用いた現像剤でも帯電ローラ汚れを効率良く低減し、表面抵抗上昇を抑制して、帯電ローラの長寿命化を実現した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
感光体と、
前記感光体と接触して帯電させる回転可能な帯電ローラと、
第一の外添剤と、前記第一の外添剤より粒径が小さい第二の外添剤とを含み、前記第一の外添剤は前記第二の外添剤よりも摩擦帯電系列において正極性側に位置している現像剤によって前記感光体上の静電像を現像する現像手段と、
前記帯電ローラと当接し、かつ、前記帯電ローラとの当接部にて同方向に回転してクリーニングする回転可能なクリーニングブラシローラであって、前記クリーニングブラシローラの表面は摩擦帯電系列において前記第一の外添剤及び前記第二の外添剤より正極性側に位置しているクリーニングブラシローラと、
前記クリーニングブラシローラと前記帯電ローラの回転速度を制御する制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記帯電ローラの周速をV1、前記クリーニングブラシローラの周速をV2としたとき、前記帯電ローラに対する前記クリーニングブラシローラの周速比は、
周速比=(V2/V1)×100(%)
であり、
前記制御手段は、少なくとも前記クリーニングブラシローラが前記帯電ローラの一周をクリーニングする間、前記クリーニングブラシローラと前記帯電ローラとが第一の周速比となるように制御し、また、少なくとも前記クリーニングブラシローラが前記帯電ローラの一周をクリーニングする間、前記クリーニングブラシローラと前記帯電ローラとが前記第一の周速比より小さい第二の周速比となるように制御することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、摩擦帯電系列及び粒径の異なる二種類以上の外添剤を用いた現像剤でも、帯電ローラに付着した各外添剤を除去するために、最適な周速比で帯電ローラを清掃することができる。これによって、帯電ローラ汚れを効率良く低減することができ、帯電ローラの表面抵抗上昇を効率的に抑制することができる。このため、本発明によれば、帯電ローラの長寿命化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で使用した画像形成装置の概略断面構成を示す図である。
【図2】帯電ローラに対するブラシローラの周速比による帯電ローラ上のSi元素強度とTi元素強度の変化を示す図である。
【図3】実施例1で使用したブラシ繊維材質及び外添剤の摩擦帯電系列の関係を示す図である。
【図4】実施例1、2、3で使用した画像形成装置のブロック図を示す図である。
【図5】実施例1、2、3で使用した画像形成信号が入力されたときのフローチャートを示す図である。
【図6】実施例1、2、3で使用したタイミングチャートを示す図である。
【図7】図7(a)はSi元素強度推移に関して実施例1の効果を示す図である。図7(b)はTi元素強度推移に関して実施例1の効果を示す図である。
【図8】実施例2、3、4で使用した画像形成装置の概略断面構成を示す図である。
【図9】図9(a)はSi元素強度推移に関して実施例2の効果を示す図である。図9(b)はTi元素強度推移に関して実施例2の効果を示す図である。
【図10】実施例3、4で使用した画像形成装置の感光体周りの概略断面構成を示す図である。
【図11】帯電ローラとブラシローラのSi元素強度とTi元素強度の和の推移を示す図である。
【図12】図12(a)はSi元素強度推移に関して実施例3の効果を示す図である。図12(b)はTi元素強度推移に関して実施例3の効果を示す図である。
【図13】図13(a)は絶対水分量によるSi元素強度の推移を示す図である。図13(b)は絶対水分量によるTi元素強度の推移を示す図である。
【図14】実施例4で使用した画像形成信号が入力されたときのフローチャートを示す図である。
【図15】図15(a)はSi元素強度推移に関して実施例4の効果を示す図である。図15(b)はTi元素強度推移に関して実施例4の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0012】
実施例1
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成を示す。本実施例の画像形成装置は、1成分現像方式の電子写真式画像形成装置である。図1を参照して、画像形成装置の構成及び動作を説明する。
【0013】
(画像形成装置)
本実施例にて、画像形成装置は、矢印方向に回転自在に担持された像担持体としての電子写真感光体11と、帯電手段としての接触帯電装置である帯電ローラ12と、露光手段としての露光装置14と、現像手段としての現像装置15とを有している。
【0014】
感光体11は、帯電ローラ12により一様に帯電され、露光装置14によって像露光することにより感光体上に静電像を形成する。感光体11上に形成した静電像は、現像手段である現像装置15にて現像剤(トナー)を供給することにより、トナー像とされる。このトナー像は、転写手段としての転写ローラ16によって紙等の転写材Pに転写される。次いで、転写材Pは、定着装置(図示せず)へと搬送され、転写されたトナー像を定着することで出力画像を得る。
【0015】
以下に、本実施例における画像形成装置を構成する主要な構成部材について説明する。
【0016】
(感光体)
感光体11としては、ドラム型の感光体を備えている。本実施例における感光体11は、外径30mmのアルミニウム製シリンダの外周面に、感光層としてOPC(有機光半導体)を塗布し、硬化性の樹脂を電荷輸送層用の樹脂として構成したものを用いた。
【0017】
(帯電装置)
帯電装置12は、外径14mmの帯電ローラとされ、帯電ローラ12は、感光体11の表面へと押圧されて接触している。帯電ローラ12には、図示していない一次帯電バイアス電源から交流電圧に直流電圧を重畳した帯電バイアス電圧が印加される。これにより、感光体11を一様に帯電する。このように、交流電圧に直流電圧を重畳した帯電バイアス電圧を用いることにより、効率よく帯電を行うことができる。
【0018】
本実施例では、感光体11の表面電位を−600Vに一次帯電させるために、直流電圧として−600V、交流電圧として周波数2080Hzである1500Vp−pの正弦波を印加した。
【0019】
帯電ローラ12は、導電性支持体(鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒)上にエチレンプロピレンゴム(EPDM)から成る厚さ3mmの弾性層を設けて構成される。弾性層を形成する弾性材料の中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子伝導機構を有する導電剤及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加し、分散或いは発泡する。これにより、抵抗値を1010Ω未満に調整して導電性を持たせている。
【0020】
弾性層の具体的な弾性材料としては、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、さらにはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等を用いることができる。
【0021】
(クリーニング部材)
帯電ローラ12との対向位置には、回転可能なクリーニング部材であるクリーニングブラシローラ(以下、単に「ブラシローラ」という。)13が当接されている。ブラシローラ13としては、横糸及び縦糸から成る平板状の基布に対してブラシを形成する繊維(パイル糸)をパイル織によってW字型に織り込んだパイル地にする。このパイル地を適当な大きさにカットしてスパイラル状に導電性支持体に巻きつけてローラ形状に仕上げる織物型のブラシローラを用いることができる。導電性ブラシの場合、基布のブラシ繊維とは逆の面に導電性のバックコートが施されていることがある。一方、絶縁性のブラシの場合もまた、ブラシ繊維の脱落防止のため、バックコートが形成される。
【0022】
本実施例において、ブラシローラ13は、直径8mmの導電性支持体にブラシ繊維が形成される。本実施例では、ブラシローラ13は、織物型ブラシローラとされ、ブラシ繊維の材質としては絶縁性のナイロン、太さは3.0デニール、長さは2.0mm、密度は1平方インチ当たり50,000本のブラシローラを用いた。そして、帯電ローラ12との当接圧がおよそ2.0N/mとなるよう帯電ローラ12とブラシローラ13の軸間距離を12mmになるよう設定して固定した。
【0023】
ブラシローラ13を形成するブラシ繊維の材質としては適宜選択でき、導電繊維、絶縁繊維の双方が好適に用いられ、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、レーヨン、トリアセテート、キュプラなど様々な種類がある。帯電ローラ12表面への清掃能力としては、帯電ローラ12に付着したトナーをブラシに静電的に吸引できる材料によってブラシ繊維を構成すると、帯電ローラ12表面の清掃能力を一層高めることができる。
【0024】
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けてもよい。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは可撓性を保持し得る材料であれば何ら限定されることなく使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
【0025】
ブラシローラ13を形成するブラシ繊維の太さとしては、1.0デニールから5.0デニールの範囲が好適である。ブラシ繊維の太さが1.0デニールより小さいと初期的には清掃能力が維持されているものの、ブラシ繊維間に外添剤等を溜め込みやすい。その結果、ブラシローラ13が一定量以上の外添剤を溜め込んだ時点で清掃能力が大幅に低下してしまう。また、ブラシ繊維の太さが5.0デニールより太いとブラシ繊維が単位面積当たりに存在できる本数が少なくなってしまうため、ブラシ繊維が帯電ローラ12に当たる場所と当たらない場所での清掃ムラが顕著になり、安定した清掃能力が得られなくなってしまう。さらに、ブラシ繊維の剛性が高くなってしまうため、ブラシローラ13が回転することによりブラシ繊維が帯電ローラ12表面を傷つけ、その傷部に外添物等が埋め込まれて逆に帯電ローラ12を汚染してしまうため好ましくない。
【0026】
ブラシ繊維の長さとしては、特に規定されるものではないが1〜15mmのものが好ましく用いられる。ブラシ繊維の長さが1mm以下では、ブラシローラ13の導電性支持体と帯電ローラ12が非常に近い配置となるため導電性支持体が帯電ローラ12と接触して、帯電ローラ12に傷がつきやすくなるため好ましくない。また、15mm以上ではブラシ繊維先端が帯電ローラ12に当たる力が弱くなり、帯電ローラ12に対する清掃能力が低下したり、ブラシ繊維が抜けやすくなるため好ましくない。
【0027】
ブラシの繊維密度としては、1平方インチ当たり10,000〜300,000本(1平方メートル当たり1.6×107〜4.7×108本)のものが好ましく用いられる。ブラシ繊維密度が1平方インチ当たり10,000本以下においては、ブラシ繊維が帯電ローラ12に当たる場所と当たらない場所での清掃ムラが顕著になるため好ましくない。また、ブラシ繊維密度を1平方インチ当たり300,000本以上にするためにはブラシ繊維の径を非常に小さくする必要があるため好ましくない。
【0028】
ブラシローラ13の帯電ローラ12に対する当接圧も適宜設定できるが、1.5〜10.0N/mの範囲にあることが好ましい。ブラシローラ13の当接圧が1.5N/m未満だとブラシローラ13の帯電ローラ12に対する食い込み量が少なくなりすぎて、帯電ローラ12の表面の清掃能力が低下する。一方、当接圧が10.0N/mを超えると、ブラシローラ13の食い込み量が過度に大きくなって、ブラシ繊維の倒れが促進されやすくなる。
【0029】
また、帯電ローラ12のクリーニング部材としては、軸にブラシ繊維を静電的に植毛した、所謂、静電植毛型のブラシローラを使用することもできる。ブラシ繊維を適宜な方法によって導電性支持体に固定することができるが、特にブラシの繊維基端部をブラシローラの導電性支持体の周面に静電植毛法により固定すると、導電性支持体に対して短い繊維を高密度に植毛することができる。これにより、長期間にわたってブラシの倒れの発生を防止でき、ブラシローラの寿命を伸ばすことが可能となる。例えば、予め導電性支持体に接着剤を塗布しておき、最終的にブラシローラを形成するブラシ繊維の長さとほぼ同じ程度の大きさにカッティングした多数の繊維の基端部をその接着剤に静電的に付着させる。これにより、ブラシ繊維の基端部を接着剤を介して導電性支持体に固定することができる。
【0030】
ブラシの繊維材質としては適宜選択でき、導電繊維、絶縁繊維の双方が好適に用いられる。特にナイロン、またはポリエチレンテレフタレート等の樹脂によりブラシ繊維を構成するとブラシの倒れを効果的に抑え、適度な食い込み量が得られることが確認されている。また、帯電ローラ12に付着したトナーをブラシに静電的に吸引できる材料によってブラシ繊維を構成すると、帯電ローラ12表面の清掃能力を一層高めることができる。
【0031】
ブラシ繊維の太さとその密度も適宜設定できるが、ブラシの繊維径としては10〜50μmのものが好適に用いられる。繊維密度としては1平方インチ当たり50,000〜600,000本(1平方メートル当たり7.8×107〜9.4×108本)のものが好適に用いられる。繊維径が100μmを超え、繊維密度を1.0×107本/m2未満とすると、ブラシ繊維が疎になりすぎて良好な清掃能力を発揮できない。繊維の密度を1.0×109本/m2に設定すると帯電ローラの表面に多数本の繊維が当接することになり、これによって各繊維に加えられる荷重を小さくすることができる。これによっても長期にわたってブラシの倒れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ表面に当接する繊維の本数が増大するので、帯電ローラの表面を効率よく清掃し、感光体上に常に高品質な画像を形成することが可能となる。
【0032】
ブラシ繊維の長さは適宜設定できるが、この長さを2mm以下、特に0.4mm以上1mm以下に設定することが望ましい。この繊維の長さは、導電性支持体に対して固定された繊維部分を除く、フリーとなった繊維部分の長さである。このように繊維の長さを短くすると、帯電ローラの表面に圧接して弾性的に曲げ変形した繊維の基端部に作用する曲げモーメントを小さくすることができる。これにより長期にわたってブラシの倒れの発生を抑えることができ、ブラシローラの寿命を伸ばすことができる。ブラシの繊維長さを2mmよりも長くすると、その繊維の先端部における繊維間の間隔が大きくなるので、帯電ローラの表面に当接した各繊維に加えられる荷重が大きくなってブラシの倒れが促進される。繊維の長さを2mm以下に設定することによりこの不具合を回避することができる。
【0033】
なお、本実施例では織物型のブラシローラを用いたが、織物型と静電植毛型のブラシローラにはそれぞれに長所・短所はあるものの、帯電ローラ表面への清掃能力としては大差がないためどちらを選択しても構わない。
【0034】
(露光装置)
その後、感光体11が帯電ローラ12によって一様に帯電された後、露光装置14から波長780nmのレーザー光を画像情報に応じて感光体11上に照射し、静電像が形成される。
【0035】
(現像装置)
感光体11上に形成された静電像は、トナーを収容した現像装置15によってトナーが付着され、トナー像として現像される。本実施例における現像方法は、1成分非接触現像であるジャンピング現像法を用いた。一般的に、現像装置15の現像剤担持体上のトナーは感光体11へ全て現像されることはなく、現像直後においても現像剤担持体上にはトナーは存在することになる。
【0036】
(現像剤)
本実施例において用いた現像剤は、従来から知られている種々のものを採用することができるが、本実施例においては粉砕法により製造された磁性黒色トナーを用いた。具体的には、結着樹脂、着色剤及び/または磁性体、荷電制御剤、又はその他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。そして、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、その後に粉砕物を分級して得ることができる。一般的に、トナーの帯電極性は、負極性、正極性どちらでも可能である。
【0037】
トナーには、トナーの流動性、現像性及び帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子を好ましく用いることができる。
【0038】
無機微粒子としては、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化錫、酸化亜鉛等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)、カーボンブラック、シリカ等を使用することができる。これらの無機微粒子は、高湿度下のトナーの流動特性や帯電特性の悪化を防止するために、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等の表面処理剤を用いて疎水性を上げることが好ましい。これら無機微粒子は、単独で使用することもあるが、本発明では、複数併用されている。
【0039】
無機微粒子の一次粒子径は、0.005〜2μm程度であることが好ましく、0.01〜1μm程度であることがより好ましい。また、無機微粒子の外添割合としては、トナー粒子100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、0.01〜2.0重量部であることがより好ましい。外添剤の添加量が0.01重量部未満の場合には、一成分系現像剤の流動性が悪化し、現像効率及び転写効率が低下して画像の濃度ムラや画像部周辺にトナーが飛び散ってしまう。一方、外添剤の量が10重量部を越える場合には、過多な外添剤が感光体や現像剤担持体に付着してトナーへの帯電性を悪化させたり、画像を乱したりする。
【0040】
本実施例では負帯電極性のトナー100重量部に対して、粒径0.05μm以下の疎水性シリカ、そして、粒径0.05〜0.1μmの酸化チタン、粒径0.5〜2μmのチタン酸ストロンチウムを各1.0重量部ずつ外添した現像剤を用いた。即ち、本実施例にて、第一の外添剤としての酸化チタン及びチタン酸ストロンチウムは、第二の外添剤としての疎水性シリカより粒径が大とされる。
【0041】
本願明細書及び特許請求の範囲の記載にて、外添剤の「粒径」とは、「個数平均粒径」を意味するものとする。粒径の測定法としは、SEM等の電子顕微鏡で外添剤を直接観察し、その外形から外添剤の種類を判別し、各々の平均粒径(個数平均粒径)を求める手法が最も好ましい。他の方法としては、動的光散乱法を使用することも可能である。この動的光散乱法とは、溶液中に微粒子(外添剤)を分散させると、微粒子は溶液中でブラウン運動をする。このブラウン運動している粒子にレーザー光を照射すると、粒子からの散乱光からそれぞれのブラウン運動の速度に対応した散乱強度の揺らぎが観測される。この散乱強度の時間的揺らぎを解析処理することで、粒子のブラウン運動の速度が得られ、粒子の大きさを求めることができる。ただし、この動的光散乱法では、外添剤が複数種外添されている場合に平均粒径が近い場合には上手く判別できない可能性がある。従って、先の電子顕微鏡で直接観察して各外添剤の平均粒径を求める手法をメインとし、動的光散乱法は、補助的なものとするのが好ましいと考えられる。
【0042】
(転写装置)
トナー像が形成された感光体11に対向した部位には、外径18mmの転写ローラ16が配置されている。この転写ローラ16が、感光体11に形成されたトナー像を転写材に転写させるための転写手段となる。不図示の給紙カセットに収納されていた転写材P(例えば、紙、透明フィルム)は、給紙ローラよって給紙され、搬送ローラによってレジストローラに搬送される。この転写材Pは、感光体11上のトナー像にタイミングよく合わせるようにしてレジストローラにより転写部Nに供給される。一方、転写ローラ16には、図示されていない転写バイアス電源からトナーの帯電極性と逆極性の転写バイアス電圧が印加される。これにより、感光体11上のトナー像が転写部Nを介して転写材P表面に転写される。転写材Pに転写されたトナー像は、不図示の定着装置で熱や圧力を加えてトナーを融着させ、転写材Pにトナー像定着後に画像形成装置本体の外部に排紙される。
【0043】
(クリーニング装置)
一方、トナー像転写後の感光体11は、表面に残ったトナー(転写残トナー)がクリーニング装置17によって除去される。クリーニング装置17は、板金17bに支持されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード17a、図示されてはいない転写残トナー飛散防止シート及び転写残トナー搬送スクリューで構成されている。感光体11からクリーニングブレード17aによって除去された転写残トナーは転写残トナー搬送スクリューによって転写残トナー回収容器へと送られる。本実施例では、クリーニングブレード17aとしては板金17bの先端部に一体的に保持された高硬度で弾性に富み、耐磨耗性や機械的強度、耐油性、耐オゾン性等に優れ、感光体を傷つけないポリウレタンゴムから成るクリーニングブレードを用いた。しかし、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、二トリルゴム等のエラストマー等適度な弾性と硬度を有する材料であればいずれでもよい。
【0044】
(帯電ローラ汚れの定量化法)
本実施例では、帯電ローラ12への外添剤付着量を評価する手段として、蛍光X線元素分析法を用いて各元素強度によって定量化を行った。帯電ローラ12にあるエネルギーをもつX線を照射すると、照射された範囲に存在している各原子において内殻の電子が励起され、外殻の電子が内殻にできた空孔に遷移する際にこれらのエネルギー差に対応した蛍光X線が放出される。このとき、内殻と外殻のエネルギー差は元素固有であるため、放出される蛍光X線のエネルギーも元素固有の値となる。この蛍光X線の強度を検出することにより、帯電ローラ12に付着している各元素の量を定量評価することができる。本実施例では蛍光X線元素分析装置として、HORIBA製のX線分析顕微鏡XGT−5000を用いた。本実施例の場合、外添剤のシリカ(第二外添剤)はSi元素で、酸化チタンとチタン酸ストロンチウム(第一外添剤)はTi元素が含まれているため、外添剤の付着量としては蛍光X線によるKα線のSi元素強度とTi元素強度を用いた。また、各外添剤についてブラシローラ13が帯電ローラ12から外添剤を清掃する能力について、清掃能力という指標を用いる。これは、上記のX線分析顕微鏡にて測定した各元素強度の値から算出する。ブラシローラ13を具備しない状態の帯電ローラ12上の元素強度をAとし、ブラシローラ13を具備した状態の帯電ローラ12上の元素強度をBとすると、清掃能力を[(A−B)×100]/A(%)と定義する。
【0045】
図2は、上記の外添剤を外添した現像剤を用いて、ブラシローラ13の回転速度をブラシローラ駆動装置21(図4参照)により変更し、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比を変えて各外添剤における清掃能力の変化を示した図である。帯電ローラ12とブラシローラ13は、互いの当接部にて同方向に回転する。
【0046】
今、帯電ローラ12の周速をV1、ブラシローラ13の周速をV2、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比をα、とすると、
周速比(α)=(V2/V1)×100(%)
で示される。
【0047】
本実施例によれば、上述のように、帯電ローラ12の回転速度(即ち、周速V1)は変えずに、ブラシローラ13の回転速度(即ち、周速V2)を制御手段にてブラシローラ駆動装置21(図4参照)を制御することにより変更するようにした。つまり、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比(α)を変えて帯電ローラ12のクリーニングを行うことができる。勿論、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比(α)を変えるために、帯電ローラ12の回転速度を可変とすることも可能であり、また、帯電ローラ12及びブラシローラ13の双方の回転速度を可変とすることもできる。
【0048】
周速比(α)100%は、帯電ローラ12の周速(V1)とブラシローラ13の周速(V2)との差、即ち、周速差(|V1−V2|)がゼロを意味する。なお、詳しくは後述するように、本実施例においては、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比(α)が100%の場合、ブラシ繊維先端速度で言えば、帯電ローラ12に対するブラシ繊維先端速度の周速比はおよそ115%となる。
【0049】
帯電ローラ12に対する清掃能力は、帯電ローラ12とブラシローラ13との周速比(α)に応じて変化する。Si元素を含むシリカ(第二の外添剤)では、周速比(α)が100%(帯電ローラ12に対するブラシ繊維先端速度の周速比がおよそ115%)から離れるにしたがって清掃能力が大きくなる傾向がある。Ti元素を含む酸化チタンやチタン酸ストロンチウム(第一の外添剤)では周速比(α)が100%(帯電ローラ12に対するブラシ繊維先端速度の周速比がおよそ115%)に近づくほど清掃能力が大きくなる傾向がある。
【0050】
これは、ブラシローラ13による外添剤の清掃メカニズムが異なるからである。即ち、清掃メカニズムは、接触時に作用する静電的な力と、ブラシローラ13が帯電ローラ12と離間する際に作用する機械的な力の関係が、帯電ローラ12との周速比や各外添剤の摩擦帯電系列、粒径等の物性値によって異なる。
【0051】
(接触時における静電的な清掃について)
先ず、接触時に働く静電的な力に関してであるが、帯電ローラ12が回転中はブラシローラ13も回転しており、これらの接触部では帯電ローラ12に付着した外添剤とブラシローラ13のブラシ繊維が摺擦される。このとき、摺擦される材質同士の摩擦帯電系列における相対位置関係によってブラシ繊維と各外添剤の摩擦帯極性及び摩擦帯電量が決定されることになる。
【0052】
先ず、摩擦帯電極性に関しては、摺擦する2つの材質の摩擦帯電系列において、正極性側に位置する材質が相対的に正極性に摩擦帯電されやすくなり、負極性側に位置する材質が相対的に負極性に摩擦帯電されやすくなる。また、これらの位置関係が遠いほど摩擦帯電量は大きくなるので、摩擦帯電系列の位置関係によって各外添剤で摩擦帯電量は異なる。
【0053】
ここで、本実施例の場合はブラシローラ13におけるブラシ繊維の材質としては前述のように絶縁性のナイロン繊維を用いており、ブラシ繊維材質と各外添剤の摩擦帯電系列の相対位置関係は図3のようになる。即ち、ブラシローラ13は、摩擦帯電系列において外添剤より正極性側に位置している。そのため、帯電ローラ12とブラシローラ13の周速に差がある場合、各外添剤の摩擦帯電極性は、いずれも負極性となる傾向や周速差が大きいほど摩擦帯電量が大きくなる傾向は各外添剤で共通している。しかし、第一の外添剤としての酸化チタン或いはチタン酸ストロンチウムが、第二の外添剤としてのシリカより正極性側に位置している。そのため、摩擦帯電量は、酸化チタンやチタン酸ストロンチウムよりも常にシリカの方が大きくなる。よって、帯電ローラ12とブラシローラ13が接触している際にこれらに作用する静電的な吸着力は、どの周速比でも常にシリカが大きいため、静電的な清掃能力はシリカに対しての方が大きい。
【0054】
(離間時における機械的な清掃について)
次に、ブラシローラ13が帯電ローラ12から離間する際に作用する機械的な力に関して言えば、ブラシローラ13が回転してブラシ繊維が接触部から離間部に移行する際に各ブラシ繊維が変形する。そのため、各ブラシ繊維に変形による弾性エネルギーが蓄えられる。そして、ブラシ繊維が帯電ローラ12から離間する際に接触部通過時に蓄積された弾性エネルギーの一部がブラシ繊維の運動エネルギーへと変換される。この運動エネルギーが大きいほどブラシ繊維の先端移動速度が大きくなるため、ブラシ繊維の運動量も大きくなる。このブラシ繊維の運動量によって離間時に帯電ローラ12の表面から外添剤を弾く力が発生し、この力が大きいほど帯電ローラ12に付着した外添剤を弾き飛ばしやすくなるため、離間時の機械的な力による外添剤の清掃能力は向上する。
【0055】
ここで、ブラシ繊維の先端移動速度は、ブラシローラ13の周速とブラシ繊維の変形に起因したエネルギー変換による速度の和となる。そのため、離間した際のブラシ繊維の先端移動速度はブラシ繊維の変形量が大きいほど、そして、ブラシローラ13の周速が大きくなるほど大きくなる。そのため、ブラシ繊維の帯電ローラ12に対する侵入量やブラシローラ13の周速が大きいほど、各外添剤の清掃能力は向上する。この傾向はシリカや酸化チタン、チタン酸ストロンチウムにおいて共通ではあるが、実際にはシリカよりも酸化チタンやチタン酸ストロンチウムの方が機械的な力によって除去されやすい。この理由としては、ブラシ繊維によって帯電ローラ12上から機械的に除去されるためには、除去される前に外添剤がブラシ繊維に接触しなければならない。しかし、帯電ローラ12の表面に付着している外添剤の粒子径が大きくなるほどブラシ繊維と接触する確率が大きくなり、また、外添剤1個当たりのブラシ繊維との接触面積も大きくなる。シリカと、酸化チタン或いはチタン酸ストロンチウムとではシリカの方が平均粒径は1オーダー以上小さく、ブラシ繊維がこれらの外添剤と接触する確率は粒径の大きな酸化チタンやチタン酸ストロンチウムの方が大きくなる。そのため、シリカよりもこれら酸化チタン或いはチタン酸ストロンチウムである外添剤の方がブラシ繊維に捕らえられ易く安定して清掃を行うことができ、離間時にブラシ繊維によって弾き飛ばされる量が多くなるためであると考えられる。また、帯電ローラ12の表面は微小な凹凸があり、この凹部には外添剤が埋め込まれやすい。これは粒径の小さな外添剤ほど顕著になり、ブラシ繊維で掻き落としにくくなるので、これらを機械的に除去するのが難しい。これらの理由から、ブラシ繊維が帯電ローラ12の表面から離間するときの機械的な清掃能力に関しては、いずれの外添剤でもブラシローラ13の周速が大きいほど清掃能力が大きくなる。そして、この清掃能力は、粒径の小さなシリカ(第二の外添剤)よりも1オーダー以上粒径の大きな酸化チタンやチタン酸ストロンチウム(第一の外添剤)の方が特に大きくなる。
【0056】
つまり、本発明では、第一の外添剤の粒子の粒径(個数平均粒径)が、第二の外添剤の粒子の粒径(個数平均粒径)より大であれば、即ち、少なくとも平均粒径の順列が合っていれば、本発明の効果は得られる。ただ、平均粒径差が縮まれば、粒径が逆転している比率が増大することとなるので、効果は薄まることとなる。
【0057】
(ブラシローラによる清掃能力)
これらの接触時における静電的な清掃能力と離間時における機械的な清掃能力の和がトータルの清掃能力となる。
【0058】
シリカに関しては周速差が大きいと機械的な清掃能力は小さいが静電的な清掃能力が大きくなるため、トータルの清掃能力は向上する。周速差とは、上述したように、帯電ローラ12の周速V1とブラシローラ13の周速V2との差の絶対値(|V1−V2|)であり、本実施例では、通常、帯電ローラ12の周速V1がブラシローラ13の周速V2より大(V1≧V2)とされる。周速差が小さいと、即ち、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比(α)が100%(帯電ローラ12に対するブラシ繊維の先端速度の周速比はおよそ115%)に近い場合には、機械的な清掃能力がわずかに大きくなる。しかし、静電的な清掃能力が極端に小さくなるため、トータルの清掃能力も低下する。
【0059】
また、酸化チタンやチタン酸ストロンチウムに関しては、周速差が大きいと静電的な清掃能力も機械的な清掃能力も小さいため、トータルの清掃能力としては小さくなる。帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比(α)が100%(帯電ローラ12に対するブラシ繊維の先端速度の周速比はおよそ115%)に近い場合には、静電的な清掃能力は効果が薄いが、機械的な清掃能力が大幅に増加する。そのため、トータルの清掃能力は向上する。
【0060】
各周速比におけるこれらのSi元素やTi元素に対する清掃能力の優劣を表1に示した。表1で示す「周速比」は、帯電ローラ12に対するブラシローラ13のブラシ繊維先端速度の周速比を意味している。
【0061】
【表1】

【0062】
ここで、本実施例で行った帯電ローラ12に対するブラシローラ13の処方及び当接条件においては、ブラシ繊維の先端速度はブラシローラ13の周速よりも15%程度大きくなる。そのため、上述したように、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比が100%の場合は、ブラシ繊維の先端速度の帯電ローラ12に対する周速比は115%程度となる。
【0063】
従って、本発明の実施例における説明にて、「ブラシローラの周速」とは、ブラシローラのブラシ繊維の先端速度を意味するものとする。従って、特段の記載がない限り、「帯電ローラに対するブラシローラの周速比」とは、帯電ローラに対するブラシローラのブラシ繊維先端速度の周速比を意味するものとする。
【0064】
なお、除去されずに帯電ローラ12上に残留したままの外添剤の一部は静電的作用や機械的作用により帯電ローラ12への付着力が低下し、帯電ローラ12が感光体11と接近した際に相対的に正極性を持つ感光体11に静電的に付着する。そして、そのまま現像装置15、転写ローラ16、クリーニング装置17のいずれかに回収される。
【0065】
本実施例では、ブラシローラ13の回転速度を管理するために、ブラシローラ13の導電性支持体の端部にギアを接続し、これを介してブラシローラ駆動装置21(図4参照)を連結している。このブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を一定にすることでブラシローラ13の回転速度を一定にすることができる。
【0066】
図4は、本実施例で使用した画像形成装置のDCコントローラにおけるブロック図を示したものである。制御手段を構成するDCコントローラにおけるCPU18には、不揮発メモリ19、感光体駆動装置20、ブラシローラ駆動装置21、ブラシローラ回転速度制御装置22、高圧電源23が接続されている。
【0067】
図5に本実施例における画像形成信号が入力されたときのフローチャートを示す。画像形成装置の電源をONにし、画像形成信号が入力されるまで待機する。画像形成装置の操作部にあるコピーボタンを押したり、ネットワークを介して画像形成装置にプリンタ出力信号が入力されると、CPU18が不揮発メモリ19にアクセスし、これに格納されている情報を読み出す。そして、画像形成動作を始めるための準備回転として感光体11及びそれに従動する帯電ローラ12を回転させる(以下、「前回転」という。)。同時に、ブラシローラ13も回転させるため、感光体駆動装置20及びブラシローラ駆動装置21のモータ回転数をそれぞれ172rpm、714rpmで回転させる(S101)。すると、感光体11及びそれに従動する帯電ローラ12は周速260mm/secで、ブラシローラ13は周速299mm/secで回転を始める。
【0068】
なお、上述したように、本実施例の説明にて、「ブラシローラ13の周速」とは、ブラシローラ13のブラシ繊維の先端速度を意味するものとする。従って、特段の記載がない限り、「帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比」とは、帯電ローラ12に対するブラシローラ13のブラシ繊維先端速度の周速比を意味するものとする。
【0069】
上述のように、周速299mm/secで回転を始めたブラシローラ13は、帯電ローラ12を少なくとも一周以上クリーニングする。この前回転中には帯電ローラ12に付着している酸化チタンやチタン酸ストロンチウムを積極的に清掃するために、帯電ローラ12に対するブラシローラ13の周速比を115%(第一の周速比)に設定している。高圧電源23から帯電ローラ12にバイアス電圧を印加するまでは感光体11と共に回転させ続ける。
【0070】
しかし、帯電バイアス電圧を印加する1秒前にCPU18からブラシローラ回転速度制御装置22へと指令を出し、ブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を714rpmから497rpmへと変更する(S102)。これによって、ブラシローラ13の周速は208mm/secとなり、帯電ローラ12とブラシローラ13の周速比はシリカをより積極的に清掃する85%(第二の周速比)へと変更される。ブラシローラ13は、帯電ローラ12を少なくとも一周以上クリーニングする。この際、帯電バイアス電圧の起ち上げには数十μsec程、ブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を変更する時間も数百μsec程の時間を要するので、これらを考慮して帯電バイアス電圧を起ち上げる1秒前に周速比を変更するようにした。そして、CPU18がブラシローラ回転速度制御装置21へ回転速度を変更する指令を出した1秒後にはCPU18から高圧電源23へ帯電ローラ12に所定のバイアス電圧を印加するよう指令を出す(S103)。帯電ローラ12にバイアス電圧を印加後に入力された画像形成信号に応じて露光、現像、転写、定着の電子写真プロセスによる画像形成動作を実行する(S104)。これが終了したら印加していた帯電バイアス電圧を解除するためにCPU18から高圧電源23へと指令を送る(S105)。帯電バイアス電圧が解除されて1秒後にCPU18から不揮発メモリ19にアクセスし、格納されている情報に基づいてブラシローラ回転速度制御装置22に指令を出してブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を714rpmに変更する(S106)。これによって、帯電ローラ12とブラシローラ13の周速比は再び115%(第一の周速比)へと変更されるが、帯電バイアス電圧の起ち下げ時にも起ち上げ時と同様の事情を考慮している。この状態で感光体11及びそれに従動する帯電ローラ12とブラシローラ13を回転させ続け、CPU18から感光体11とブラシローラ13を停止させるために、感光体駆動装置20とブラシローラ駆動装置21へ信号を送信する。それにより、感光体11及びそれに従動する帯電ローラ12とブラシローラ13の回転は停止する(S107)。
【0071】
ここで、画像形成装置をOFFにしない場合は、新たに画像形成信号が入力されるまで待機する。画像形成装置をOFFにする場合は、そのまま画像形成装置をOFFにする。図6に上述した一連の制御をタイミングチャートに記す。
【0072】
上記のような構成と、ブラシローラ13を帯電ローラ12の回転に対して従動にした構成で、帯電ローラ12を変えずに画像比率5%のA4画像を連続モードで200,000枚まで通紙を行う。これにより帯電ローラ12に付着しているSi元素強度とTi元素強度の推移を図7(a)、(b)にそれぞれ示した。ブラシローラ13の周速を適宜変更した系では従動する系に比べてSi元素強度、Ti元素強度共に低下していることが分かる。また、ブラシローラ13の周速をシリカと、酸化チタン及びチタン酸ストロンチウムと、を効率よく清掃する周速比に適宜切り替えることで、帯電ローラ12に付着している外添剤の量を低減させることができる。従って、帯電ローラ12の表面抵抗上昇を抑制することができる。
【0073】
つまり、本発明により、帯電ローラ12とブラシローラ13の周速を適宜変更することで帯電ローラ汚れを効率よく低減し、帯電ローラ12の寿命を1.5倍以上に伸ばすことができた。
【0074】
実施例2
次に、本発明の画像形成装置の第二の実施例について説明する。
【0075】
本実施例では、画像形成装置として図8に示した電子写真方式の4色フルカラーの画像形成装置を使用した。同図はその概略構成を示す縦断面図である。図8を参照して、画像形成装置の構成及び動作を説明する。
【0076】
(画像形成装置)
本実施例にて、画像形成装置は、4個(4色)の画像形成ステーション、即ち、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーションY、M、C、Kを備えている。
【0077】
各画像形成ステーションY、M、C、Kは、像担持体としての矢印方向に回転自在に担持された電子写真感光体11Y、11M、11C、11Kを備えている。各感光体11Y、11M、11C、11Kの周りには、帯電手段としての接触帯電装置である帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kを備えており、各帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kにはブラシローラ13Y、13M、13C、13Kが設けられている。更に、各感光体11Y、11M、11C、11Kの周りには、露光手段としての露光装置14Y、14M、14C、14K、現像手段としての現像装置15Y、15M、15C、15Kが設けられている。また、各感光体11Y、11M、11C、11Kの周りには、クリーニング装置17Y、17M、17C、17Kが配置されている。
【0078】
なお、感光体11Y、11M、11C、11K、帯電ローラ12Y、12M、12C、12K、ブラシローラ13Y、13M、13C、13K、に関しては実施例1で使用したものと同様であるので、説明を省略する。また、露光装置14Y、14M、14C、14K、現像装置15Y、15M、15C、15K、クリーニング装置17Y、17M、17C、17Kについても同様である。
【0079】
上記構成により、各画像形成ステーションY、M、C、Kで形成された各色のトナー像を中間転写体25上に順次に一次転写して重ねあわせ、その後、一括で紙等の転写材Pに二次転写する。二次転写された4色のトナー像は、定着装置(図示せず)にて定着することで4色フルカラー画像が得られる。
【0080】
(現像剤)
現像剤としては、トナー粒子に対して磁性のキャリアを混合したものを磁気力によって搬送し、感光体に対して接触状態で現像するための2成分現像剤を用いた。トナー粒子の形状、粒径など特に制限はなく、感光体11Y、11M、11C、11K上の静電像上に正確に載るものであればよい。ただし、良好な画質を得る観点からは、球状のトナーを用いることが好ましい。トナーに添加する外添剤は、トナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の個数平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
【0081】
本実施例では外添剤として、実施例1で使用していたシリカ(以下、「シリカA」という。)よりも粒径が0.05〜0.1μmでシリカAよりも粒径の大きなシリカ(以下、「シリカB」という。)、酸化チタン、チタン酸ストロンチウムを使用した。外添剤の割合としては、トナー100重量部に対し0.01〜15重量部が用いられ、好ましくは0.05〜12重量部である。ここで、シリカBは粒径が大きくなっていることで、シリカAよりも摩擦帯電能が低下している。
【0082】
(一次転写装置)
上述の4個の画像形成ステーションY、M、C、Kの下方には、中間転写体25が配設されている。中間転写体25の内側における、各感光体11Y、11M、11C、11Kに対応する位置には、外径18mmの一次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kが接触配設されている。中間転写体25は、これら一次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kによって感光体11Y、11M、11C、11K表面に押圧されている。これにより、感光体11Y、11M、11C、11Kと中間転写体25との間には、一次転写部(一次転写ニップ部)N1が形成されている。そして、中間転写体25に従動回転しながら、一次転写バイアス電源から正極性の一次転写バイアスが印加されると、感光体11Y、11M、11C、11K上のそれぞれのトナー像は、一次転写部N1を介して中間転写体25上に一次転写される。なお、一次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kとしては、EPDM、ウレタンゴム、CR又はNBR等にカーボン等の抵抗調整剤を加え、抵抗値を107Ω以下に調整した材料を用いることが一般的である。
【0083】
(中間転写体)
本実施例ではポリエチレン−四フッ化エチレン共重合体等のフッ素含有樹脂からなる単層構造の中間転写体を用いたが、単層構造の場合、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン及びポリフェニレンサルファイド等の硫黄含有樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレン−四フッ化エチレン共重合体等のフッ素含有樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等やこれらの各種変性樹脂や共重合体を1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0084】
中間転写体25は、駆動ローラ26、二次転写対向ローラ27、中間転写体クリーニング装置対向ローラ28とに掛け渡されている。駆動ローラ26は図示していない駆動モータからの駆動力が伝達されて回転して時計回りの回転により、中間転写体25は矢印方向に回転移動する。中間転写体25は、感光体11Y、11M、11C、11Kとは別の駆動系で駆動するため、感光体11Y、11M、11C、11Kの速度と中間転写体25の速度を独立して制御することができる。また、感光体11Y、11M、11C、11Kの表面と中間転写体25の表面との速度差が1〜5%の範囲内となるように感光体11Y、11M、11C、11Kと中間転写体25とを駆動させる。駆動ローラ26は、金属芯金上に導電ゴム層を有し、102〜106Ωのロールで、芯金は接地されている。
【0085】
(二次転写装置)
中間転写体25の二次転写対向ローラ27に対向した部位には、外径24mmの二次転写ローラ29が二次転写対向ローラ27のバックアップローラとして対向配置されている。この二次転写対向ローラ27と二次転写ローラ29が、中間転写体25に転写されたトナー像を記録材に転写させるための第2の転写手段となる。二次転写ローラ29には、図示されていない二次転写バイアス電源からトナーの帯電極性と逆極性の二次転写バイアス電圧が印加される。これにより、中間転写体25上のトナー像は、二次転写対向ローラ27上の二次転写部(二次転写ニップ部)N2を介して転写材P表面に一括して二次転写される。トナー像転写後の各感光体11Y、11M、11C、11Kは、表面に残ったトナー(転写残トナー)がクリーニング装置17Y、17M、17C、17Kによって除去される。
【0086】
上述の中間転写体25上で重ねられた4色のトナー像は、中間転写体25の矢印方向の回転に伴って二次転写部N2に搬送される。一方、不図示の給紙カセットに収納されていた転写材P(例えば、紙、透明フィルム)は、給紙ローラよって給紙され、搬送ローラによってレジストローラに搬送される。この転写材Pは、上述の中間転写体25上に4色のトナー像をタイミングよく合わせるようにして、レジストローラにより二次転写部N2に供給され、N2位置で転写材Pに転写される。その後、不図示の定着装置で熱や圧力を加えてトナーを融着させ、転写材Pにトナー像定着後に装置本体外部に排紙される。
【0087】
(中間転写体クリーニング装置)
また、二次転写部N2にて転写材Pに二次転写されなかった二次転写残トナーは、中間転写体25のクリーニング装置30へと送られて除去され、回収されたトナー及び潤滑剤は図示されていない二次転写残トナー収容器に収容される。
【0088】
(その他)
なお、図8に示すように、画像形成装置には、各色の現像装置15Y、15M、15C、15Kに補給するためのトナーが収納されたトナー補給容器31Y、31M、31C、31Kが設置されている。
【0089】
上記のような構成と、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kを帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kの回転に対して従動にした構成で、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kの周速を変えずに画像出しを行った。この時、画像比率5%の画像をA4連続モードで200,000枚まで通紙を行った。この時の、各画像形成ステーションの帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着しているSi元素強度とTi元素強度平均値の推移を図9(a)、(b)にそれぞれ示した。
【0090】
ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速を適宜変更した系では、従来の従動する系に比べてSi元素強度、Ti元素強度共に低下していることが分かる。ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速をシリカ、酸化チタンとチタン酸ストロンチウムを効率よく清掃する周速に適宜切り替えることで、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着している外添剤の量を低減させることができる。
【0091】
よって、本発明により、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比を適宜変更することで帯電ローラ汚れを効率よく低減することができる。これにより、帯電ローラの表面抵抗上昇を抑制することができる。従って、フルカラー電子写真方式の画像形成装置を使用した場合でも帯電ローラの寿命を1.5倍以上に伸ばすことができた。
【0092】
実施例3
次に、本発明の画像形成装置の第三の実施例について説明する。
【0093】
本実施例では、実施例2とほぼ同様の構成を用いた。ただ、画像形成装置の画像形成各ステーションにおいて、図10に示したように、除去部材33Y、33M、33C、33Kを各ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに対して接触するよう設置した。除去部材33Y、33M、33C、33Kは、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kのクリーニング部材であるブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに内包された外添剤を除去するためのものである。
【0094】
図11は、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに付着しているSi元素強度とTi元素強度の和の推移をそれぞれ示したものである。ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに外添剤が捕集され続けて内包量が飽和すると、帯電ローラ12Y、12M、12C、12K上の外添剤付着量の増加率が大きくなっていることが分かる。つまり、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着した外添剤の一部はブラシローラ13Y、13M、13C、13Kによって除去され、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに捕集されていく。これによってブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに内包する外添剤の量が増加していく。
【0095】
ブラシ繊維に付着した外添剤の一部は、ブラシ繊維が帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kの表面から離間して弾性復帰する際の衝撃によってブラシ繊維の先端部に付着したトナーがブラシ繊維から飛び出る。そのため、ある程度はブラシ繊維がリフレッシュされる。しかしながら、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kに内包できる外添剤の量には限界があり、画像形成中はクリーニング装置17Y、17M、17C、17Kからトナーや外添剤の一部が常にすり抜けてくる。そのため、リフレッシュされてもすぐにこれらが付着してすり抜け量とリフレッシュ量が平衡状態となってしまい、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの内包量が飽和状態となる。すると、ブラシ繊維に付着した外添剤が飽和した時点でほぼ外添剤で覆われてしまったブラシ繊維と帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとの摺擦による静電的な清掃能力が極端に低下する。そのため、離間時におけるブラシ繊維の復元力による弾き飛ばし効果のみで清掃していると考えられる。ブラシ繊維に付着した外添剤の一部を除去して静電力による清掃能力を回復させるために、ブラシ繊維をフリッカー(除去部材)に打ち当てて力学的に除去することができる。また、ブラシ繊維にバイアス電圧を印加するなどして静電的に除去することができる。これらの方法によって、ブラシ繊維のリフレッシュ効果を高めることができる。
【0096】
本実施例では、図10に示したように、画像形成装置の各ステーションのブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの法線方向にブラシ繊維に付着した外添剤の一部を除去するための除去部材33Y、33M、33C、33Kを設ける。この除去部材33Y、33M、33C、33Kは、ブラシ繊維に当接するように各ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの中心位置から5.0mm離した位置に設置した。本実施例では、この除去部材33Y、33M、33C、33Kとしてブラシローラ13Y、13M、13C、13Kのブラシ部と同じ長手長さで、厚み500μmのポリエチレンテレフタレートシートを各ステーションに配備した。厚みとしては100μm以上であれば好ましく用いることができる。100μmより薄いと、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kが回転してブラシ繊維が衝突した場合にブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの回転方向に塑性変形してしまい、効果が得られなくなってしまう。
【0097】
各ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kが回転してブラシ繊維がこの除去部材33Y、33M、33C、33Kにブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速ではたかれることで、ブラシ繊維に付着したトナーや外添剤が除去される。この除去部材33Y、33M、33C、33Kを設置することで、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの外添剤内包量が限界を超えないよう少しずつ除去することができ、静電力による清掃能力を長期にわたって維持することができる。
【0098】
上記のような構成と実施例2の構成で、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kを変えずに画像比率5%のA4画像を連続モードで200,000枚まで通紙を行い、画像出しを行った。この画像出しにおいて、各ステーションの帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着しているSi元素強度とTi元素強度平均値の推移を図12(a)、(b)にそれぞれ示した。
【0099】
除去部材13Y、13M、13C、13Kを設置した系(実施例3)では、実施例2に比較して、Si元素強度、Ti元素強度共に低下していることが分かる。除去部材33Y、33M、33C、33Kを設置してブラシローラ13Y、13M、13C、13Kのブラシ繊維に付着した外添剤を除去する。これにより、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着している外添剤の増加率を低減させることができる。
【0100】
よって、本発明により、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比を適宜変更し、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの外添剤内包量を減少させる。これにより、帯電ローラ汚れを効率よく低減し、実施例2の場合よりも帯電ローラの寿命を1.5倍以上に伸ばすことができた。
【0101】
実施例4
次に、本発明の画像形成装置の第四の実施例について説明する。
【0102】
本実施例では、実施例3とほぼ同様の構成を用いた。また、本実施例では、実施例3で用いた構成に画像形成装置の設置環境を判断するため周囲温湿度を検知する温湿度検知手段、即ち、温湿度センサ34を搭載し、この検知結果に応じてブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速の割合を変更した。
【0103】
図13(a)、(b)は、絶対水分量がおよそ2g/kg(低湿度環境)とおよそ20g/kg(高湿度環境)下における各ステーションの帯電ローラ12Y、12M、12C、12K上のSi元素強度とTi元素強度平均値の通紙枚数による推移を示す。低湿環境と高湿環境では帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着する外添剤の比率が異なる。
【0104】
シリカについては、高湿環境よりも低湿環境の方が帯電ローラへの付着量が多くなるため、低湿環境で帯電ローラ寿命の律速になり易い。そのため、低湿環境ではシリカに対する清掃能力が高い状態を維持するのが望ましい。一方、酸化チタンやチタン酸ストロンチウムについては、低湿環境より高湿環境の方が帯電ローラへの付着量が多くなるため、
高湿環境で帯電ローラ寿命の律速になり易い。そのため、高湿環境では酸化チタンやチタン酸ストロンチウムに対する清掃能力が高い状態を維持するのが望ましい。
【0105】
本実施例で使用した画像形成装置本体には、画像形成装置内の温度を検出する温度センサ及び湿度を検出する湿度センサから成る温湿度センサ34が配置される。この温湿度センサ34により検知した温度及び相対湿度より計算される絶対水分量により、使用環境条件によって帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kとの周速比の割合を変更する。温湿度センサ34は、白金、タングステン、ニクロム、カンタル等の正の温度特性、又はSiC(炭化ケイ素)、TaN(窒化タンタル)等の負の温度特性を有する微細線若しくは薄膜、サーミスタ等の微小感温素子による検知素子によって構成し得る。
【0106】
この温湿度センサ34をCPU18に接続する。画像形成装置が稼動状態ではリアルタイムで温度及び相対湿度を常に検知しており、その検知結果を逐次CPU18に送信する。送信後にCPU18で絶対水分量を演算し、不揮発メモリ19にアクセスして格納されている表2のブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比に対する環境テーブルに応じてブラシローラ回転速度制御装置22に指令を出す。これによって、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの回転速度を変更する。
【0107】
【表2】

【0108】
上述したように、低湿環境ではシリカがより帯電ローラに付着しやすくなり、高湿環境では酸化チタンやチタン酸ストロンチウムがより帯電ローラに付着しやすくなる。
【0109】
そこで、低湿環境ではシリカを積極的に除去するよう帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比が85%である状態を維持する時間を長くする。高湿環境では酸化チタンやチタン酸ストロンチウムを積極的に除去するよう周速比を115%である状態を維持する時間を長くする。本実施例では、低湿環境と高湿環境の境界となる絶対水分量を12g/kgに設定し、温湿度センサ34により得られた絶対水分量が12g/kg未満であれば低湿環境、12g/kg以上であれば高湿環境であると判断させる。
【0110】
図14に本実施例における画像形成信号が入力されたときのフローチャートを示す。
【0111】
先ず、画像形成装置の電源をONにし、画像形成信号が入力されるまで待機する。画像形成信号が入力されたら、温湿度センサ34が検知した結果をCPU18で受信し、絶対水分量を演算後に12g/kgより小さいか大きいかを判断する(S201)。絶対水分量が12g/kgより小さければ、感光体11Y、11M、11C、11Kが前回転時及び後回転時の帯電ローラ12Y12M、12C、12Kに対するブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比を115%(第一の周速比)に設定する。
【0112】
なお、上述したように、実施例の説明にて、「ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速」とは、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kのブラシ繊維の先端速度を意味するものとする。従って、特段の記載がない限り、「帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに対するブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比」とは、帯電ローラに対するブラシローラのブラシ繊維先端速度の周速比を意味するものとする。
【0113】
上述のように、帯電ローラ12Y12M、12C、12Kに対するブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比は、115%(第一の周速比)に設定される。そのために、画像形成信号が入力されて画像形成装置の設置環境が低湿度環境だと判断されたら、感光体駆動装置20及びブラシローラ駆動装置21のモータ回転数をそれぞれ172rpm、714rpmで回転させる(S202)。すると、感光体11Y、11M、11C、11K及びそれらに従動する帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kは周速260mm/secで、ブラシローラ13は周速299mm/secで回転を始め、これらの周速比が115%(第一の周速比)になる。そして、高圧電源23から帯電ローラ12にバイアス電圧を印加するまでは感光体11Y、11M、11C、11Kと共に回転させ続ける。
【0114】
しかし、感光体11Y、11M、11C、11Kが前回転中の帯電バイアス電圧を印加する1秒前にCPU18からブラシローラ回転速度制御装置22へと指令を出す。そして、ブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を714rpmから497rpmへと変更する(S203)。これによって、ブラシローラ13Y、13M、13C、3Kの周速は208mm/secとなり、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとの周速比は85%(第二の周速比)となる。そして、CPU18がブラシローラ回転速度制御装置21へ回転速度を変更する指令を出した1秒後にはCPU18から高圧電源23へ帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに所定のバイアス電圧を印加するよう指令を出す(S204)。帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kにバイアス電圧を印加後に入力された画像形成信号に応じて露光、現像、転写、定着の電子写真プロセスによる画像形成動作を実行する(S205)。これが終了したら印加していた帯電バイアス電圧を解除するためにCPU18から高圧電源23へと指令を送る(S206)。帯電バイアス電圧が解除されて1秒後にCPU18から不揮発メモリ19にアクセスし、格納されている情報に基づいてブラシローラ回転速度制御装置22に指令を出してブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を714rpmに変更する(S207)。これによって、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比は再び115%(第一の周速比)へと変更される。この状態で感光体11Y、11M、11C、11K及びそれに従動する帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kを回転させる。CPU18から感光体11Y、11M、11C、11Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kを停止させるために、感光体駆動装置20とブラシローラ駆動装置21へ信号を送信する。これにより、感光体11Y、11M、11C、11K及びそれに従動する帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの回転は停止する(S208)。ここで、画像形成装置をOFFにしない場合は、新たに画像形成信号が入力されるまで待機する。画像形成装置をOFFにする場合は、そのまま画像形成装置をOFFにする。
【0115】
また、絶対水分量が12g/kgより大きければ、感光体11Y、11M、11C、11Kが前回転時及び後回転時の帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに対するブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比を85%(第二の周速比)に設定する。そのために、画像形成信号が入力されて画像形成装置の設置環境が低湿度環境だと判断されたら、感光体駆動装置20及びブラシローラ駆動装置21のモータ回転数をそれぞれ172rpm、497rpmで回転させる(S209)。すると、感光体11Y、11M、11C、11K及びそれらに従動する帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kは周速260mm/secで、ブラシローラ13は周速208mm/secで回転を始め、これらの周速比が85%(第二の周速比)になる。そして、高圧電源23から帯電ローラ12にバイアス電圧を印加するまでは感光体11Y、11M、11C、11Kと共に回転させ続ける。
【0116】
しかし、感光体11Y、11M、11C、11Kが前回転中の帯電バイアス電圧を印加する1秒前にCPU18からブラシローラ回転速度制御装置22へと指令を出す。そして、ブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を497rpmから714rpmへと変更する(S210)。これによって、ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速は299mm/secとなり、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとの周速比は115%(第一の周速比)となる。そして、CPU18がブラシローラ回転速度制御装置21へ回転速度を変更する指令を出した1秒後にはCPU18から高圧電源23へ帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに所定のバイアス電圧を印加するよう指令を出す(S211)。帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kにバイアス電圧を印加後に入力された画像形成信号に応じて露光、現像、転写、定着の電子写真プロセスによる画像形成動作を実行する(S212)。これが終了したら印加していた帯電バイアス電圧を解除するためにCPU18から高圧電源23へと指令を送る(S213)。帯電バイアス電圧が解除されて1秒後にCPU18から不揮発メモリ19にアクセスし、格納されている情報に基づいてブラシローラ回転速度制御装置22に指令を出してブラシローラ駆動装置21のモータ回転数を497rpmに変更する(S214)。これによって、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比は再び85%(第二の周速比)へと変更される。この状態で感光体11Y、11M、11C、11K及びそれに従動する帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kを回転させる。CPU18から感光体11Y、11M、11C、11Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kを停止させるために、感光体駆動装置20とブラシローラ駆動装置21へ信号を送信する。これにより、感光体11Y、11M、11C、11K及びそれに従動する帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの回転は停止する(S208)。ここで、画像形成装置をOFFにしない場合は、新たに画像形成信号が入力されるまで待機する。画像形成装置をOFFにする場合は、そのまま画像形成装置をOFFにする。
【0117】
上記のような構成と実施例2の構成で、絶対水分量がおよそ2g/kg、20g/kgの環境で帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kを変えずに画像比率5%のA4画像を連続モードで200,000枚まで通紙を行った。各ステーションの帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着しているSi元素強度とTi元素強度平均値の推移を図15(a)、(b)にそれぞれ示す。ブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速の割合を画像形成装置の設置環境に応じて適宜変更した系(実施例4)では、図9(a)、(b)に示す実施例2の系に比べてSi元素強度、Ti元素強度共に低下していることが分かる。
【0118】
本実施例では、画像形成装置の設置環境に応じてブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速をシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウムを効率よく清掃する周速比に適宜切り替える。これにより、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kに付着している外添剤の量を低減させることができる。
【0119】
よって、本発明により、帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kとブラシローラ13Y、13M、13C、13Kの周速比を画像形成装置の設置環境に応じて適宜変更することで帯電ローラ汚れを効率よく低減することができる。これにより、帯電ローラらの表面抵抗上昇を抑制することができる。従って、画像形成装置の設置環境によらず帯電ローラの寿命を1.5倍以上に伸ばすことができた。
【符号の説明】
【0120】
11、11Y、11M、11C、11K 感光体
12、12Y、12M、12C、12K 帯電ローラ
13、13Y、13M、13C、13K クリーニングブラシローラ
15、15Y、15M、15C、15K 現像装置(現像手段)
18 CPU(制御手段)
21 ブラシローラ駆動装置
22 ブラシローラ回転速度制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体と接触して帯電させる回転可能な帯電ローラと、
第一の外添剤と、前記第一の外添剤より粒径が小さい第二の外添剤とを含み、前記第一の外添剤は前記第二の外添剤よりも摩擦帯電系列において正極性側に位置している現像剤によって前記感光体上の静電像を現像する現像手段と、
前記帯電ローラと当接し、かつ、前記帯電ローラとの当接部にて同方向に回転してクリーニングする回転可能なクリーニングブラシローラであって、前記クリーニングブラシローラの表面は摩擦帯電系列において前記第一の外添剤及び前記第二の外添剤より正極性側に位置しているクリーニングブラシローラと、
前記クリーニングブラシローラと前記帯電ローラの回転速度を制御する制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記帯電ローラの周速をV1、前記クリーニングブラシローラの周速をV2としたとき、前記帯電ローラに対する前記クリーニングブラシローラの周速比は、
周速比=(V2/V1)×100(%)
であり、
前記制御手段は、少なくとも前記クリーニングブラシローラが前記帯電ローラの一周をクリーニングする間、前記クリーニングブラシローラと前記帯電ローラとが第一の周速比となるように制御し、また、少なくとも前記クリーニングブラシローラが前記帯電ローラの一周をクリーニングする間、前記クリーニングブラシローラと前記帯電ローラとが前記第一の周速比より小さい第二の周速比となるように制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記クリーニングブラシローラの回転速度を可変に制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニングブラシローラは、導電性支持体にブラシ繊維を形成した織物型或いは静電植毛型のブラシローラであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングブラシローラに付着した前記外添剤を除去するための除去部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、周囲温湿度を検知する温湿度検知手段を有し、
前記帯電ローラに対する前記クリーニングブラシローラの周速比は、前記温湿度検知手段の検知結果に応じて変更することができ、
前記制御手段は、前記温湿度検知手段が低湿度を検知した場合は、前記第一の周速比である状態を長くするように制御し、前記温湿度検知手段が高湿度を検知した場合は、前記第二の周速比である状態を長くするように制御する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第一の外添剤はシリカであり、前記第二の外添剤は酸化チタン或いはチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−252974(P2011−252974A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125197(P2010−125197)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】