説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の設置スペースの省スペース化を図りつつ、搬送経路上で発生した用紙詰まりの原因となった記録媒体を容易に除去することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ装置10は、装置本体12と、装置本体12の上部に配置され、記録紙に画像を形成するヘッドキャリッジ部21と、ヘッドキャリッジ部21の下方に配置され、記録紙をヘッドキャリッジ部21に対向させて搬送する搬送部22と、装置本体12の下部に配置され、記録紙が積載される給紙トレイ13と、搬送部22と給紙トレイ13との間に配置され、記録紙を反転させる両面ユニット24とを備え、両面ユニット24は、反転搬送経路50aを有する反転搬送部本体50と、装置本体12の前面部12F側に設けられ、反転搬送部本体50を覆う本体カバー51とを有し、本体カバー51が前面部12F側から両面ユニット24に対して着脱可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、記録媒体の片面および両面に画像を形成可能な例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置および複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録媒体の両面に画像を形成可能な画像形成装置においては、装置の小型化および操作性の観点から、記録媒体を装填する給紙カセットや画像が形成された記録媒体が排紙される排紙トレイを画像形成装置の前面側に配置したものが提案されている。
【0003】
この種の画像形成装置として、装置本体の前面中央に記録媒体である用紙を装填した給紙カセットが上下2段に設けられ、各給紙カセットの上面開放部を覆うように、印刷の終了した用紙が排紙される排紙トレイが上下2段に設けられたいわゆるフロント給・排紙タイプのインクジェット式プリンタ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献1に記載のインクジェット式プリンタ装置は、装置本体内部に第1印刷部と第2印刷部とが上下2段に設けられており、この第1印刷部および第2印刷部は、それぞれ円弧状搬送経路Aおよびこの円弧状搬送経路Aから排紙トレイへ繋がる直線状搬送経路Bを形成する紙搬送装置を備えている。また、この従来のインクジェット式プリンタ装置には、給紙カセットと円弧状搬送経路Aと直線状搬送経路Bと排紙トレイとによって、給紙カセットから給紙された用紙を処理した後に前面の排紙トレイに戻すU字状搬送経路が形成されている。さらに、この従来のインクジェット式プリンタ装置は、第1印刷部と第2印刷部とを繋げる用紙受け渡し経路Cを備えており、この用紙受け渡し経路Cは、第1印刷部の直線状搬送経路Bの後端側に連結されるとともに、第2印刷部の円弧状搬送経路Aの途中に連結されている。
【0005】
このように構成された上述の特許文献1に記載のインクジェット式プリンタ装置は、特に用紙の両面に印刷を行う両面印刷処理においては、第1印刷部において用紙の表面に画像を形成した後、第1印刷部の紙搬送装置を逆転させて表面に画像が形成された用紙を用紙受け渡し経路Cを介して第2印刷部へと搬送することにより用紙の表面と裏面とが反転される。その後、第2印刷部により用紙の裏面に画像が形成されて、両面に画像が形成された用紙が第2印刷部の排紙トレイに排紙される。
【0006】
ところで、このような給紙カセットや排紙トレイが装置前面側に配置され、用紙の両面に画像を形成可能な画像形成装置にあっては、装置内部に設けられた搬送経路上において用紙詰まりが発生することがある。このような用紙詰まりを除去するため、搬送経路を覆うカバー部材などを開状態とし、装置内部の搬送経路を一部露出させて用紙詰まりの原因となった用紙を取り除くことができるようにした画像形成装置が提案されている。
【0007】
この種の画像形成装置として、例えば図6(a)、(b)に示すような画像形成装置が知られている。図6(a)、(b)に示すように、この従来の画像形成装置1は、装置本体2の上部に配置された画像形成手段3と、装置本体2の下部に配置された給紙手段4と、画像形成手段3と給紙手段4との間に配置された搬送手段5と、装置本体2の前面側に設けられ、排紙される画像形成後の記録媒体がストックされる排紙トレイ6と、装置本体2に対して着脱可能に装置本体2の背面側に配置され、表面に画像が形成された記録媒体を反転させる両面ユニット7と、を備え、両面ユニット7が装置本体2の背面側に開閉可能なカバー部7aを有している。
【0008】
このように構成された従来の画像形成装置1にあっては、例えば両面ユニット7の内部の反転搬送経路7b上で用紙詰まりが発生した場合には、図6(a)に示すように、カバー部7aを開状態としてユーザが反転搬送経路7b上で詰まった用紙を除去することができる。また、装置本体2の内部の搬送経路2a上で用紙詰まりが発生した場合には、図6(b)に示すように、両面ユニット7を装置本体2から取り外して搬送経路2a上に詰まった用紙を除去することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の画像形成装置1にあっては、両面ユニット7が装置本体2の背面側に着脱可能に配置されているため、両面ユニット7の反転搬送経路7b上、あるいは装置本体2の搬送経路2a上に詰まった用紙を除去するには、ユーザが装置本体2の背面側に移動して除去作業を行うか、装置本体2が狭い設置スペースに設置されて装置本体2の背面側が壁などに接して配置されているような場合には、装置本体2を移動させて除去作業を行う必要がある。このため、従来の画像形成装置1にあっては、例えば両面ユニット7の反転搬送経路7b上、あるいは装置本体2の搬送経路2a上に詰まった用紙を除去するためのユーザによる除去作業が容易でないという課題があった。
【0010】
また、両面ユニット7が装置本体2において、画像形成手段3、給紙手段4および搬送手段5の側部であって装置本体2の背面側に配置されているため、装置本体2の設置幅(奥行き)が両面ユニット7の配置スペース分だけ装置本体2の背面側に長くなってしまい画像形成装置1の設置スペースの省スペース化を図ることができないという課題があった。
【0011】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の設置スペースの省スペース化を図りつつ、搬送経路上で発生した用紙詰まりの原因となった記録媒体を容易に除去することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、上記目的を達成するため、記録媒体の記録面を反転させることにより前記記録媒体の両面に画像を形成可能な画像形成装置であって、装置本体と、前記装置本体の上部に配置され、前記記録媒体の記録面に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段の下方に配置され、前記記録媒体の記録面を前記画像形成手段に対向させて搬送する搬送手段と、前記装置本体の下部に配置され、前記搬送手段に給紙される前記記録媒体が積載される給紙手段と、前記搬送手段と前記給紙手段との間に配置され、前記記録媒体の記録面を反転させる反転手段と、を備え、前記反転手段は、前記記録媒体を反転させる搬送経路を有する反転搬送部と、前記装置本体の前面側に設けられ、前記反転搬送部を覆う前面カバー部と、を有し、前記前面カバー部が前記装置本体の前面側から前記反転手段に対して着脱可能である構成を有する。
【0013】
この構成により、本発明は、反転手段の前面カバー部が装置本体の前面側から反転手段に対して着脱可能であるので、反転手段内部の反転搬送部で用紙詰まりが発生した場合には、装置本体の前面側から前面カバー部を取り外すことにより反転搬送部を開放することができる。このため、ユーザは、反転手段内部の反転搬送部で用紙詰まりが発生した場合であっても、装置本体の背面側に移動する必要もなく、また装置本体を移動させる必要もないので、用紙詰まりの原因となった記録媒体を装置本体の前面側から容易に除去することができる。
【0014】
また、本発明は、装置本体において、画像形成手段、搬送手段、給紙手段および反転手段を縦積みに配置したので、装置本体の奥行を小さくすることができる。さらに、用紙詰まりに対する対処を装置本体の前面側から行えるようにしたので、装置本体の背面を例えば壁などに接触させて画像形成装置を設置することができる。このため、画像形成装置の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記反転手段は、前記装置本体の前面側から前記装置本体に対して着脱可能である構成を有する。
【0016】
この構成により、本発明は、反転手段が装置本体の前面側から装置本体に対して着脱可能であるため、例えば装置本体内部の搬送経路上で用紙詰まりが発生した場合には、装置本体の前面側から反転手段を取り外すことにより、装置本体内部の搬送経路を開放することができる。このため、ユーザは、装置本体内部の搬送経路上で用紙詰まりが発生した場合であっても、装置本体の背面側に移動する必要もなく、また装置本体を移動させる必要もないので、用紙詰まりの原因となった記録媒体を装置本体の前面側から容易に除去することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、少なくとも前記装置本体の前面部および前記前面カバー部のいずれか一方に設けられ、前記画像形成手段により画像が形成された前記記録媒体が排紙される排紙手段をさらに備え、前記排紙手段が、前記装置本体および前記前面カバー部に対して着脱可能である構成を有する。
【0018】
この構成により、本発明は、排紙手段が装置本体および前面カバー部に対して着脱可能であるため、反転搬送部または装置本体内部の搬送経路上で用紙詰まりが発生した場合には、排紙手段を装置本体の前面側から取り外すことにより、給紙手段と排紙手段との間のスペースを上方に開放することができる。したがって、ユーザによる記録媒体の除去作業のスペースが拡大されるため、ユーザは、用紙詰まりの原因となった記録媒体を装置本体の前面側からより容易に除去することができる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記給紙手段は、前記装置本体の前面から前記装置本体に対して着脱可能である構成を有する。
【0020】
この構成により、本発明は、給紙手段が装置本体の前面から装置本体に対して着脱可能であるため、例えば給紙手段から給紙される記録媒体について用紙詰まりが発生した場合には、装置本体の前面側から給紙手段を取り外すことにより、上述の用紙詰まりの原因となった記録媒体を装置本体の前面側から容易に除去することができる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記画像形成手段が、複数のノズルが形成された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドの前記ノズルからインク滴を吐出することにより、前記記録媒体の記録面に画像を形成するインクジェット方式からなる構成を有する。
【0022】
この構成により、本発明は、反転手段の前面カバー部が装置本体の前面側から反転手段に対して着脱可能であるので、反転手段内部の反転搬送部で用紙詰まりが発生した場合には、装置本体の前面側から前面カバー部を取り外すことにより反転搬送部を開放することができる。このため、ユーザは、反転手段内部の反転搬送部で用紙詰まりが発生した場合であっても、装置本体の背面側に移動する必要もなく、また装置本体を移動させる必要もないので、用紙詰まりの原因となった記録媒体を装置本体の前面側から容易に除去することができる。
【0023】
また、本発明は、装置本体において、インクジェット方式からなる画像形成手段、搬送手段、給紙手段および反転手段を縦積みに配置したので、装置本体の奥行を小さくすることができる。さらに、用紙詰まりに対する対処を装置本体の前面側から行えるようにしたので、装置本体の背面を例えば壁などに接触させてインクジェット方式の画像形成装置を設置することができる。このため、インクジェット方式の画像形成装置の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ装置からなるものである。
【0025】
この構成により、本発明は、反転手段の前面カバー部がプリンタ装置本体の前面側から反転手段に対して着脱可能であるので、反転手段内部の反転搬送部で用紙詰まりが発生した場合には、プリンタ装置本体の前面側から前面カバー部を取り外すことにより反転搬送部を開放することができる。このため、ユーザは、反転手段内部の反転搬送部で用紙詰まりが発生した場合であっても、プリンタ装置本体の背面側に移動する必要もなく、またプリンタ装置本体を移動させる必要もないので、用紙詰まりの原因となった記録媒体をプリンタ装置本体の前面側から容易に除去することができる。
【0026】
また、本発明は、プリンタ装置本体において、画像形成手段、搬送手段、給紙手段および反転手段を縦積みに配置したので、プリンタ装置本体の奥行を小さくすることができる。さらに、用紙詰まりに対する対処を装置本体の前面側から行えるようにしたので、装置本体の背面を例えば壁などに接触させてプリンタ装置を設置することができる。このため、プリンタ装置の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、画像形成装置の設置スペースの省スペース化を図りつつ、搬送経路上で発生した用紙詰まりの原因となった記録媒体を容易に除去することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の機構部を示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置のヘッドキャリッジ部の概略構成を示す上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の機構部を示す概略構成図であって、両面ユニットの本体カバーおよび排紙トレイが取り外された状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の機構部を示す概略構成図であって、両面ユニットおよび排紙トレイが取り外された状態を示す図である。
【図6】従来の画像形成装置の機構部を示す概略構成図であって、(a)は、両面ユニットのカバー部の開状態を示す図であり、(b)は、装置本体に対して両面ユニットが取り外された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図7は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をインクジェット方式のプリンタ装置に適用した例を示している。なお、インクジェット方式のプリンタ装置として構成する他に、ファクシミリ装置、印刷機、または複合機から構成してもよい。
【0030】
まず、構成を説明する。
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ装置10は、装置本体12と、装置本体12の前面部12F側に装着され、記録媒体としての記録紙を装填するための給紙トレイ13と、給紙トレイ13の上方であって装置本体12の前面部12F側に装着され、画像が記録(形成)された記録紙をストックするための排紙トレイ14と、を備え、さらに装置本体12の前面部12Fの一端部側には、それぞれ色の異なるインク、例えばブラック(BK)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを収容した図示しないインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部15が配置されている。このインクカートリッジ装填部15は、前面部12Fから出し入れ可能に装置本体12に収容されている。
【0031】
また、排紙トレイ14の上方に位置する装置本体12の前面部12Fには、前面部12Fから前方側に突き出した操作表示部17が配置されている。この操作表示部17には、例えば、各色のインクカートリッジの残量がニアーエンドおよびエンドになったことを表示する各色の残量表示部や、電源ボタン、用紙送り・印刷再開ボタンおよびキャンセルボタンなどの各種操作部が配置されている。
また、給紙トレイ13の上部に位置する装置本体12には、手差しトレイ18が配置されている。
【0032】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係るプリンタ装置10の機構部について説明する。
図2に示すように、プリンタ装置10は、装置本体12と、装置本体12の上部に配置されたヘッドキャリッジ部21と、ヘッドキャリッジ部21の下方に配置された搬送部22と、装置本体12の下部に配置された給紙部23と、搬送部22と給紙部23との間に配置された両面ユニット24と、装置本体12の前面部12F側に配置された排紙部25とを含んで構成されている。このように、プリンタ装置10は、装置本体12の内部において、ヘッドキャリッジ部21、搬送部22、給紙部23および両面ユニット24が、装置本体12の上下方向に縦積みに配置されている。
【0033】
ヘッドキャリッジ部21は、図3に示すように、キャリッジ26と、キャリッジ駆動装置27とを含んで構成されており、キャリッジ26には、複数のインク吐出口(ノズル)が原稿の搬送方向(矢印Bで示す方向)と同方向の副走査方向に配列されたブラック(BK)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各色の記録ヘッド28k、28c、28m、28y(以下、単に記録ヘッド28という)が、インク滴の吐出方向が下方となるよう装着されている。記録ヘッド28を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱交換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用することができる。
【0034】
また、キャリッジ26には、記録ヘッド28にインクを供給するための図示しない各色のサブタンクが搭載されており、このサブタンクにはカートリッジ装填部15(図1参照)に装填された各色のインクカートリッジから各色のインクが補充供給されるようになっている。
【0035】
キャリッジ駆動装置27は、タイミングベルト30が主走査モータ31の回転駆動によって周回駆動することにより、ガイドロッド32および図示しないスレイドレールにガイドされたキャリッジ26を主走査方向(図中、矢印Aで示す方向)に移動走査するようになっている。
【0036】
このように構成されたヘッドキャリッジ部21は、後述する搬送ベルトによって搬送された記録紙が所定位置に到達すると、キャリッジ26が主走査方向に移動しながら記録ヘッド28からインクを記録紙上に吐出して、記録紙上に画像を形成する。また、キャリッジ26の一方向の印刷が終了すると、記録紙が搬送ベルトによって所定位置まで搬送され、記録紙が所定位置まで到達すると、キャリッジ26が主走査方向に移動しながら記録ヘッド28からインクを記録紙上に吐出して、記録紙上に画像を形成する。ヘッドキャリッジ部21は、以上の動作を繰り返し行うことにより、記録紙の所定の領域内に画像を形成する。
なお、本実施の形態においては、上述のヘッドキャリッジ部21が画像形成手段を構成している。
【0037】
また、キャリッジ26の移動走査方向の一方側の非印字領域には、維持回復機構35が配置されており、記録ヘッド28の複数のインク吐出口(ノズル)の状態は、この維持回復機構35によって記録ヘッド28の各インク吐出口(ノズル)面がキャピングやワイピングされることにより維持および回復されるようになっている。
【0038】
一方、キャリッジ26の移動走査方向の他方側の非印字領域には、インク回収ユニット36が配置されている。このインク回収ユニット36は、空吐出受けで構成され、記録中などに増粘したインクを吐出するために記録に寄与しないインク滴を吐出させる空吐出が行われるときのインク滴を受けるようになっている。
【0039】
搬送部22は、搬送ローラ41と、テンションローラ42と、搬送ローラ41とテンションローラ42とに巻き掛けられた無端状の搬送ベルト43と、図示しないガイド部材やカウンタローラなどを含んで構成され、給紙部23から給紙された記録紙をガイド部材やカウンタローラを介して搬送ベルト43に搬送するようになっている。また、搬送部22は、図示しない帯電ローラ等によって表面が帯電させられた搬送ベルト43が搬送された記録紙を静電吸着するとともに、記録紙の搬送方向に周回するようになっている。なお、搬送ベルト43は、駆動モータ45(図3参照)によって搬送ローラ41が回転駆動されることにより、記録紙の搬送方向に周回するようになっている。このように搬送部22は、搬送ベルト43を周回させることにより、搬送ベルト43に搬送された記録紙の記録面をヘッドキャリッジ部21に対向させて搬送するようになっている。
なお、本実施の形態においては、上述の搬送部22が搬送手段を構成している。
【0040】
給紙部23は、用紙積載部13aを有する給紙トレイ13と、給紙ローラ47と、給紙ローラ47と対向する位置に設けられた図示しない分離パッドなどを備えており、給紙トレイ13の用紙積載部13a上に積載された記録紙を給紙ローラ47および分離パッドによって、1枚ずつ分離して搬送部22に搬送するようになっている。
なお、本実施の形態においては、上述の給紙トレイ13が給紙手段を構成している。
【0041】
両面ユニット24は、反転される記録紙の搬送経路である反転搬送経路50aを有する反転搬送部本体50と、装置本体12の前面部12F側に設けられ、反転搬送部本体50を覆う本体カバー51とを含んで構成されており、搬送ベルト43の逆方向回転で戻される記録紙を反転搬送部本体50の反転搬送経路50aに取り込んで反転させて再度、搬送部22の搬送ベルト43に搬送するようになっている。これにより、表面に画像が形成された記録紙は、再度、ヘッドキャリッジ部21において裏面に画像が形成されて、両面に画像が形成される。本実施の形態においては、上述の両面ユニット24が反転手段を構成し、反転搬送部本体50が反転搬送部を構成し、本体カバー51が前面カバー部を構成している。
なお、両面ユニット24の詳細については、後述する。
【0042】
排紙部25は、排紙ローラ55と、排紙コロ56と、排紙トレイ14と、図示しない分離爪などを含んで構成されており、ヘッドキャリッジ部21により画像が形成された記録紙を分離爪によって搬送ベルト43から分離して、排紙ローラ55および排紙コロ56によって排紙トレイ14上に排紙するようになっている。
また、排紙トレイ14は、両面ユニット24の本体カバー51に着脱可能に取り付けられている。また、排紙トレイ14は、装置本体12の前面部12Fに着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。
なお、本実施の形態においては、上述の排紙トレイ14が排紙手段を構成している。
【0043】
次に、図2、図4〜図5を参照して、両面ユニット24の詳細について説明する。
図2および図4に示すように、両面ユニット24の本体カバー51は、装置本体12の前面部12F側に設けられ、反転搬送部本体50に対して着脱可能に装着されている。このため、両面ユニット24は、給紙トレイ13と排紙トレイ14との間から装置本体12の前方側に向けて本体カバー51を反転搬送部本体50から取り外すことにより、反転搬送経路50aが開放されるようになっている。したがって、反転搬送経路50a上で用紙詰まり、いわゆるジャムが発生した場合には、本体カバー51を反転搬送部本体50から取り外すことにより、開放された反転搬送経路50aからジャムの原因となった記録紙がユーザによって除去される。
【0044】
また、このとき、排紙トレイ14についても両面ユニット24の本体カバー51あるいは装置本体12の前面部12Fから取り外すことにより、給紙トレイ13と排紙トレイ14との間のスペースが上方に開放される。このため、ユーザによる上述の記録紙の除去作業のスペースが拡大されるため、ユーザによる記録紙の除去作業が容易となる。
【0045】
また、図5に示すように、両面ユニット24は、装置本体12に対して着脱可能に装着されており、装置本体12の前面部12F側から前方側に向けて取り外し可能になっている。また、装置本体12は、両面ユニット24が取り外された状態において、両面ユニット24の大きさに対応するスペースC(図中、矢印Cで示す)が前面部12Fに確保されるようになっている。したがって、装置本体12の内部の搬送経路、例えば給紙部23から搬送部22までの搬送経路12a上でジャムが発生した場合には、両面ユニット24を装置本体12に対して前面部12F側から前方に向けて取り外すことにより、ジャムの原因となった記録紙を搬送経路12aからスペースCを介して除去することができる。
【0046】
ここで、上述のスペースCは、例えば搬送経路12a上のジャムの原因となった記録紙を除去する際に、ユーザの手が装置本体12の内部の搬送経路12aまで進入できる程のスペースに設定されるのが好ましい。
【0047】
また、このとき、両面ユニット24と同時に排紙トレイ14についても両面ユニット24あるいは装置本体12から取り外すことにより、給紙トレイ13と排紙トレイ14との間のスペースが上方に開放される。したがって、ユーザによる上述の記録紙の除去作業のスペースが拡大されるため、ユーザによる記録紙の除去作業が容易となる。
【0048】
以上のように、本実施の形態では、両面ユニット24の本体カバー51が装置本体12の前面部12F側から両面ユニット24に対して着脱可能であるので、両面ユニット24の反転搬送経路50aでジャムが発生した場合には、装置本体12の前面部12F側から本体カバー51を取り外すことにより、両面ユニット24の反転搬送部本体50を開放することができる。このため、ユーザは、反転搬送部本体50の反転搬送経路50aでジャムが発生した場合であっても、装置本体12の背面側に移動する必要もなく、また装置本体12を移動させる必要もないので、ジャムの原因となった記録紙を装置本体12の前面部12F側から容易に除去することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、装置本体12において、ヘッドキャリッジ部21、搬送部22、給紙部23および両面ユニット24を縦積みに配置したので、装置本体12の奥行(図5中、矢印dで示す)を小さくすることができる。さらに、従来、装置本体12の背面側から行っていたジャムに対する対処を装置本体12の前面部12F側から行えるようにしたので、装置本体12の背面を例えば壁などに接触させてプリンタ装置10を設置することができる。このため、プリンタ装置10の設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、両面ユニット24が装置本体12の前面部12F側から装置本体12に対して着脱可能であるため、例えば装置本体12の内部の搬送経路12a上でジャムが発生した場合には、装置本体12の前面部12F側から両面ユニット24を取り外すことにより、装置本体12の内部の搬送経路12aを開放することができる。このため、ユーザは、搬送経路12a上でジャムが発生した場合であっても、装置本体12の背面側に移動する必要もなく、また装置本体12を移動させる必要もないので、ジャムの原因となった記録紙を装置本体12の前面部12F側から容易に除去することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、排紙トレイ14が装置本体12および両面ユニット24に対して着脱可能であるため、反転搬送経路50aまたは搬送経路12a上でジャムが発生した場合には、排紙トレイ14を装置本体12の前面部12F側から取り外すことにより、給紙トレイ13と排紙トレイ14との間のスペースを上方に開放することができる。したがって、ユーザによる上述の記録紙の除去作業のスペースが拡大されるため、ユーザは、より容易にジャムの原因となった記録紙を搬送経路12aから除去することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、排紙トレイ14を装置本体12の上方に配置したので、給紙トレイ13の上部に位置する装置本体12に手差しトレイ18を配置させることができる。このため、従来、例えば画像形成装置の背面側に配置していた手差しトレイを装置本体12の前面部12F側に配置することにより、装置本体12の背面を壁などに接触させてプリンタ装置10を設置することができるとともに、プリンタ装置10の操作性を向上させることができる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、ヘッドキャリッジ部21の記録方式がインクジェット方式である例について説明したが、これに限らず例えば電子写真方式等、各種記録方式で構成するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態においては、上述の両面ユニット24(本体カバー51を含む)および排紙トレイ14に加えて、給紙トレイ13が装置本体12に対して装置本体12の前面部12F側から着脱可能に装着されるものであってもよい。
【0055】
この場合、給紙トレイ13から給紙される記録紙についてジャムが発生した場合、例えば給紙ローラ47の近傍でジャムが発生した場合には、装置本体12の前面部12F側から給紙トレイ13を取り外すことにより、ユーザは、装置本体12の内部の給紙ローラ47の近傍で発生したジャムの原因となった記録紙を前面部12F側から容易に除去することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、画像形成装置の設置スペースの省スペース化を図りつつ、搬送経路上で発生した用紙詰まりの原因となった記録媒体を容易に除去することができるという効果を有し、記録媒体の片面および両面に画像を形成可能な例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置および複合機等の画像形成装置等として有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 プリンタ装置(画像形成装置)
12 装置本体
12F 前面部
13 給紙トレイ(給紙手段)
14 排紙トレイ(排紙手段)
21 ヘッドキャリッジ部(画像形成手段)
22 搬送部(搬送手段)
23 給紙部
24 両面ユニット(反転手段)
25 排紙部
28 記録ヘッド
50 反転搬送部本体(反転搬送部)
50a 反転搬送経路(搬送経路)
51 本体カバー(前面カバー部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2006−264184号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の記録面を反転させることにより前記記録媒体の両面に画像を形成可能な画像形成装置であって、
装置本体と、
前記装置本体の上部に配置され、前記記録媒体の記録面に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段の下方に配置され、前記記録媒体の記録面を前記画像形成手段に対向させて搬送する搬送手段と、
前記装置本体の下部に配置され、前記搬送手段に給紙される前記記録媒体が積載される給紙手段と、
前記搬送手段と前記給紙手段との間に配置され、前記記録媒体の記録面を反転させる反転手段と、を備え、
前記反転手段は、前記記録媒体を反転させる搬送経路を有する反転搬送部と、前記装置本体の前面側に設けられ、前記反転搬送部を覆う前面カバー部と、を有し、
前記前面カバー部が前記装置本体の前面側から前記反転手段に対して着脱可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記反転手段は、前記装置本体の前面側から前記装置本体に対して着脱可能であることを特徴する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
少なくとも前記装置本体の前面部および前記前面カバー部のいずれか一方に設けられ、前記画像形成手段により画像が形成された前記記録媒体が排紙される排紙手段をさらに備え、
前記排紙手段が、前記装置本体および前記前面カバー部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記給紙手段は、前記装置本体の前面から前記装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段が、複数のノズルが形成された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドの前記ノズルからインク滴を吐出することにより、前記記録媒体の記録面に画像を形成するインクジェット方式からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載の画像形成装置がプリンタ装置からなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−5728(P2011−5728A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150961(P2009−150961)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】